2014年08月06日

●和文露訳指南第1回

続和文解釈入門の更新に時間がかかる過ぎるため、別のコーナーを立ち上げることにした。これがうまく行くとよいのだが。これがだめなら、ロシアンぴろしきの管理者のみなさんに新しいコーナーを作ってもらうしかない。

出題)「勘定はいいから、俺につけておいてくれ」をロシア語にせよ。

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2014年08月07日

●和文露訳指南第2回

学習者がロシア語の先生についてよいと思われるのは、正しい発音とイントネーションを学べるからだが、母語としてロシア語を話す人が、外国人にロシア語の発音を教えることができるのかどうかは疑わしい。それなりの発音に関する教育を受ける必要があるし、もっというと、日本人向けの発音やイントネーション教授というのは、日本語をきちんと理解していないと無理だと思う。私はロシア人のような発音はできないが、一応ロシア語で相手に意思を伝えることができる。日本語には音素фонема(言語において意味の相違をもたらす音の最小単位)が英語やロシア語の10倍少ないらしい。母音一つとっても英語の発音記号を見れば分かるように、アだけでもいくつもある。ロシア語を苦労してマスターした人なら、ロシア語の発音はロシア人にかなわないにせよ、ロシア語として通用するような発音はどのようにすればよいか分かりやすく説明できることは間違いない。生まれつきなんとなく覚えたというのとは違い、意識して、恥をかいて覚えたものだからだ。そういう意味で、本当にロシア語をマスターするつもりなら、別にロシア人について学ぶ必要はない。もっとも絶対音感を持っているような、耳で聞いた音をすぐまねられるような音楽家のような耳を持っている人は、ロシア人に学ぶ価値はあるかもしれない。

出題)「この資金のうち27%が交通機関、照明、水道、電話の維持に向けられた」をロシア語にせよ。

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2014年08月08日

●和文露訳指南第3回

語彙や構文に頼らない体系的な、会話のための和文露訳に使える参考書を書くつもりで、先日『和文露訳指南』を上梓した。実質的には『和文露訳入門』の4訂版である。この3年間はこのコーナーの投稿者のみなさんのおかげと、めぐり合ったロシア語のよい参考書のおかげで、自分の中で本当にロシア語の勉強が集中してできたし、ロシア語文法の全般の理解も深まったと思う。ただ今にして思うと『和文露訳入門』は百点満点の60点の出来であり、新訂版は80点、三訂版は90点、そして『和文露訳指南』は95点ぐらいの出来であろう。まだまだ収録する例文に改善の余地はあると思うが、基本的な動詞の体の使い方についてはほぼ書き終えたと思う。ただ面白そうな文例、より分かりやすい説明、記入漏れの遂行動詞などは、『和文露訳指南』出版後も少し書き留めたりしている。こういう参考書と言うのは例文が命であり、自説を証明するために使用の限界を示す事ができるような例文をいくつかバリエーションを変えて紹介できればよい。一例を挙げれば、『和文露訳指南』8-2-1項の次の文である。

(いつも朝は大学へは歩きで、夜帰宅するのはバスです)Утром я обычно иду пешком в университет, вечером еду домой на автобусе.

このような例文がまとまったら改訂版として出版するかどうかは今のところ不明である。ただ主なものはこのコーナーで説明することにする。

出題)「地方の党官僚の組織力には何の幻想も私は抱いていない」をロシア語にせよ。

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2014年08月09日

●和文露訳指南第4回

 会話における和文露訳を上達したいと考えているが、語彙や構文の暗記だけでは何となくもの足りない、また外人ロシア語ではなく、ロシア人のようなロシア語を話したいという人は、『和文露訳指南』を一読されることを勧める。ただ読んで分かった気になっても、それだけでは理解したことにはならない。実際に試してみる必要がある。例えばこのコーナーの出題をやってみることである。しかしそれでも自分のどこがよくてどこが悪いのかは分からない。毎回幾人かの投稿者が回答を寄せてくれているが、その投稿文とまったく同じものを、間違っているものも正解のものも含めて書けるはずがない。匿名で構わないのだから投稿すべきである。毎回投稿する必要はないが、百回も投稿すれば自分の長所や短所が見えてくる。

 『和文露訳指南』を読んで、その中の結果の存続は理解しやすい。しかし、アオリスト的用法は理解が難しいし、遂行動詞、結果存続評価型動詞となると、この本だけでは無理かもしれない。結果の存続や定動詞・不定動詞の使い分けも否定がからむとよく理解できないのではないかと危惧している。投稿すれば理解が深まることは確実だが、投稿を見る限り、ちょっとしたことでボタンの掛け違いというか、正しく理解できていないのではないかと思えることが多々ある。結局のところ学習者それぞれのレベルに従って、個人的に教えるということが一番の早道かもしれない。『和文露訳指南』に書いてないことを教えるというのではなく、書いてあることを分かりやすくその学習者に合わせて説明するということである。学習の早い段階で、動詞の体の用法をマスターすれば、後は語彙と構文だけだから暗記だけで済むから楽だ。

出題)「いつパスポートを返してもらえますか?」をロシア語にせよ。

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2014年08月10日

●和文露訳指南第5回

革命前にロシアの地主が行った犬猟псовая охотаでは銃は用いず、ハウンド犬гончиеが獲物(ウサギ、キツネ、オオカミ)を森から追いたて、ボルゾイ犬борзые(単数はборзаяで力点はа、борзыйは足が速いという意味であり、борзойは犯罪者の隠語で大胆な、態度のでかいという意味)が仕留めるというものである。オオカミは生け捕りにする時は猟師自身が馬上からオオカミに襲い掛かり、オオカミの口にかぶっていた帽子を押し込みはがいじめにするという勇壮なものであり、とらえたオオカミの口をしばり、口と両脚を棒で通して持ち帰ったという。オオカミやオオカミの子供を生け捕りにするのは、ボルゾイ犬の訓練のために使うからである。猟銃を使った猟にはлегавыеポインターが使われ、これは誰でもできるので紳士の猟とはみなされなかったという。

出題)「子供部屋は要らないものの倉庫と化した」をロシア語にせよ。

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2014年08月11日

●和文露訳指南第6回

最近仕事が閑なのでミステリーを読むことが多い、堂場舜一などもストーリーは面白いが、登場人物の描きわけがよくできていないので、だれがだれなのか途中で混乱することがままある。主人公の肉付けがそれなりになされているのは、検事城戸南ぐらいであろう。そういう中でお勧めするのは日本のディーヴァーと呼んでもいいかもしれない富樫倫太郎のSROである。登場人物の設定もいいし連続殺人犯の近藤房子(中年のおばさん)というのも斬新だ。彼には箱館もの3部作があるが、その中の会話で使われるロシア語の発音表記が実際のロシア語に近い。ロシア語でも学んだのだろうか?女流作家で密室ものを得意とする今邑彩の貴島刑事シリーズも面白かったが、作者が2013年病死したのは残念だった。彼女の作品では『ルームメイト』がベストだろう。この他には誉田哲也の『ジウ』三部作や首藤瓜於の『脳男』『指し手の顔』(上下)という脳男シリーズ、香納諒一の『贄の夜会』、『虚国』は大いに楽しませてもらった。ヴォール・ヴ・ザコーニェというロシアの犯罪エリートを登場させたのが月村了衛の『機龍警察暗黒市場』(機龍警察シリーズ第3作)で、近未来の警察小説という触れ込みであり、使った資料も日本で手に入るものばかりとはいえ、それなりにヴォールの実態を伝えている。この作家の他の作品にもロシア語の会話がロシア文字で出てくるが、基本的なミスも散見される。ただ意欲は高く評価したい。日本のミステリーもなかなか捨てたものではない。海外では、オーストリアの新進女流ミステリー作家レーナ・アヴァンツィーニの『インスブルックの葬送曲』(扶桑社ミステリー文庫、2013年)が出色である。その他にはメタボで、いつも不機嫌で、愚痴をよくこぼし、孤独癖があって、癇癪を起こすが、部下には慕われるというヴァランダー刑事もので有名なスウェーデンのへニング・マンケルも面白いが、話の展開がスローなので、人間が丁寧に描かれているとも言えるし、私は好きだが、まだるっこしいと感じる人もいるかもしれない。

出題)「残りの点については御想像にお任せします」をロシア語にせよ。

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2014年08月12日

●和文露訳指南第7回

教科書や参考書というものはあくまで学習の手段であり、知らず知らずのうちに学習者の進度(進み具合)ではなく、教科書や参考書1冊上げることが究極の目的になったりする。そうではなくて、少しでもロシア語の会話ができるようなりたい、それももっと具体的に若い(同じ年代の)ロシアの女(男)の子と話をしてみたいというのでもいいのである。目標や目的が具体的であればあるほど、ロシア語の上達は早い。

出題)「考えすぎだよ」をロシア語にせよ。

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2014年08月13日

●和文露訳指南第8回

研究社の露和辞典を見ても、не стоитの後は必ず不完了体不定形だとある。不必要という意味では確かにその通りなのだが、完了体不定形が来る場合もある。それはничего не стоить(~するのは朝飯前だ)の後である。これは「もし~するにしても、それは朝飯前だ」ということで、例示的用法と考えられる。

(急ぐ必要はない)Не стоит спешить.
(彼らを追いだす事なんか造作もなかった)Согнать их с места ничего не стоило.
(奴は人を侮辱することなどなんとも思っていない)Ему ничего не стоит оскорбить человека.

出題)「信じるか信じないかはあなた次第」をロシア語にせよ。

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2014年08月14日

●和文露訳指南第9回

自分は学校でロシア語を教えているわけではないので、このコーナーで唯一体の用法について他の学習者がどのようにとらえているのか、その一端を知ることができる。これは感謝しても感謝しきれない。かといって大学の先生はと言えば、第二外国語でロシア語を選択した学生のみならず、ロシア語の専攻の学生にでさえ、いかにロシア語の授業に興味を持たせるか、授業に集中させるかに心を砕き、そのほうが大変だという話である。語学は、特に入門過程では丸暗記の連続なのだからというような、学生の方にも言い分はあるだろう。確かにこれでは大学の勉強とは言えない。ロシア語は文字は読めなければいけないし、代表的な名詞の格変化や動詞の活用を丸暗記せざるをえないというのは事実である。しかし、丸暗記するのはそれらのいくつかであって、初級の段階で何十も何百も丸暗記する必要はない。いくつか覚えれば応用して芋づる式に覚えられるのである。そういうコツを教えるのが先生の役割のはずだ。一般的に大学生以降の大人の勉強というのは頭を使うことであって、一つ覚えたことをいかに応用するか、応用するための基礎を自分が納得するまで突き詰めて考えるということだと思う。最初に覚える名詞だって、学校школаよりは車машинаを、学生студентよりтелефонを覚えた方が日常生活では必要な単語である。このように現代社会で頻度の高い単語や動詞を優先的に覚えさせ、それで作文を作らせるようにすればよいと思う。それを使ってロシアのメル友とやり取りするようにすれば、ロシア語の興味はすぐ湧いてくると思う。こういうメール用の作文の指導ができる先生がいないというのが問題なのだろう。

 このコーナーに投稿するような人はモチベーションが高い人ばかりである。さもなければタダとは言っても、自分の貴重な時間を割くような投稿者はいないはずだ。腕試しか、面白いか、役に立つと考えるから投稿するのだろう。だから私は興味を持たせるとかというようなことを特にしなくてもいいし、数は少なくとも、自分のロシア語力を向上させたいというやる気のある人ばかりが相手である。そういう面ではロシア語だけに集中できるのだから、学校の先生の授業よりははるかに楽だし、得るものも多いと思う。学校の先生は給料をもらっている分雑用も多いのだろうから、ロシア語だけに集中できないということはあるのだろう。

出題)「深淵を見て、ある人は死を思い、ある人はどうやって橋を懸けるかを考える」をロシア語にせよ。

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2014年08月15日

●和文露訳指南第10回

ベロヴィンスキーによると、19世紀農奴制がまだ存在していた時に、犬猟好きな地主が飼っていた犬を誤って農奴の子供が怪我をさせてしまい、その犬はびっこを引くようになってしまった。地主はこれに腹を立て、その少年を裸にむいて、野に放ち、何匹かのボルゾイ犬に追わせた。八つ裂きにさせようとしたのである。犬は少年を見つけて、側には寄ったが、それ以上何もしようとはしない。これを知った少年の母親がその場に駆け付け、我が身で少年をかばったが、地主に引き離された。その母親は三日後に発狂したという。これを知った時の皇帝アレクサンドル1世は地主を裁判にかけようと召喚したが、地主はもうこれまでと思って自殺したという。これは非常に極端な例だが、獣とはいえより犬の方がよほどましということになる。

出題)「18世紀末には田舎にも劇場が出現している」をロシア語にせよ。

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2014年08月16日

●和文露訳指南第11回

動詞の体の用法はある程度集中的にやった方がよい。もっとも1週間というレベルではなく、1年ぐらいのスパンという意味である。このコーナーの出題に毎日投稿しても1年で365回であり、100回ぐらいやれば、和文露訳自体怖くなくなるだろうと思う。こういう短文の出題形式というのは自分の若い頃はなかったので、回答者とか投稿者の立場では何も言えないのだが、投稿の答えを見ていると、間違いは間違いでも体の用法ではそれほど正解からぶれなくなってくると思えるのは、毎日投稿する人で3ヶ月ぐらいからではないかと思うからである。このコーナーの出題はあらゆる分野(政治経済、スポーツ、医学、技術、犯罪、観光、社会、ビジネス他)から、毎回毎回体系無視(面倒だから次回のことは何も考えずに)で出しているが、これが実戦(実践)に近い形式だと自負している。1100回以上も出題しているのでこれくらい言っても罰は当たらないだろう。それに結果の存続で問題を出すと予告して、その出題に投稿が正解だったとしても、実戦では使えないだろう。体の使い分けについての体系的なものとしては『和文露訳指南』を書いたので、それを見てもらえばよい。世の中やってみないと分からないことが結構あり、和文露訳もそうである。このコーナーはタダだし、匿名でも構わないし、辞書を使っても、極端に言えばロシア人に聞いてもかまわない(それで正解が得られるなら結構なことだが)。give-and-takeで出題者のロシア語の勉強にもなっているので、タダだからと気に病むこともない。おかげで本も出せた。

 このコーナーはロシア文字を覚えたばかりの初級者でも、中級者でも上級者でもだれでも大歓迎だが、一番いいのは語彙や文法をある程度やって、ロシア語の実力はあるのにロシア人の前に立つと、満足なロシア語が出て来ないという人たちである。つまり文法もよく分かっていないのに日常会話だけはペラペラしゃべる人たちに、悔しい思いを抱いている人たちである。基本ができているのだから、少し動詞の体の用法について見方を変えるだけで、すぐ見違えるように会話がうまくなると思う。もっともリスニングは自分で千時間ぐらい歌詞の多い音楽とか、ニュースを聞いてもらう必要はある。聞きとれなければ会話にならないからだ。通勤通学で聞き流せばいいので、そのために特に時間を取る必要はない。

出題)「右を見ても、左を見ても山ばかり」をロシア語にせよ。

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2014年08月17日

●和文露訳指南第12回

8月16日22時30分から午前1時の間に投稿されたゴさん、はりねずみさん(多分2回)他の方、何人かいらっしゃると思いますが、削除解除がうまく利かなかったようで、誤って削除されたようです。恐縮ですが、再度投稿願います。休みの日だからか普通の倍ぐらい(2,000ぐらい)スパムが来ており、朝昼晩とその処理にくたくたです。

出題)「不眠症にお悩みじゃないですか?」をロシア語にせよ。

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2014年08月18日

●和文露訳指南第13回

30年来探し求めていた本の半分が手に入った。Письмовник, Курганов Н.Г.という1794年に出た、日本でいう往来物みたいな、文法と文例集を併せたものである。2巻本の第1巻を手に入れたので読んでいるが、18世紀の終わりに、ほとんど現在の文法と用語面でも遜色のない説明には感心する。時制は10に分け、不完了体未来形を未来において動作が完遂するかは不明と書いてあり、完了体未来形は未来において動作が完遂するとの説明と対比されている。これなども当時の一流の語学者が動詞の体をどうとらえていたかが分かるし、現在にも通じる考え方だと思う。他にも形容詞の最上級を作るнаи-(наилучшийなど)はポーランド語由来で耳への響きが悪いと書いてあるのは、当時のポーランド人に対するロシア人の偏見があるのかもしれない。еслиはестьлиから派生したと思われるが、18世紀末ではеслиではなく、естьлиと書けとクルガーノフは書いている。その他にも、кончитьсяが不完了体で用いられていたり、ロシア文字としてのiの説明など、読み始めたばかりだが、結構面白いことも書いてある。べリンスキー(全集第1巻)も本書については書いてあるが、文学ではないからか、ほめてはいない。私としては第2巻にロシアのアネクドートの元になったと言われる文章がいくつかあると聞いているので、確かめるのが悲願である。私の買ったのは1794年版のファクシミリ版のオンデマンド製本で1万4千円もする高いものだったが、一生に一度の買い物だからやむを得ないと思っている。とかくロシア語の資料集めには金がかかる。

出題)「彼は煙にまかれ窒息死した」をロシア語にせよ。

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2014年08月19日

●和文露訳指南第14回

出版したばかりで恐縮だが、『和文露訳指南』の6-1-8項に下記追記願う。いい例文があれば自分のために『和文露訳指南』に常に追加しているという事であり、またそれを他のみなさんにも紹介しているだけのことで他意はない。特に遂行動詞や複合動詞などは増えている。しかし、続編を出すかどうかは、量的な問題や質的な問題などがあり、先の話だ。

(時計が動かなくなった)Часы отказались служить.
(彼のいうことは理解しかねる)Отказываюсь понимать его слова.
(彼は彼らの報告を聞こうともしなかった)Он отказался выслушать их доклад. <выслушатьと完了体不定形が来ているのは、この動詞の語義「最後まで聞く」による例示的用法のため>
(喜んで紅茶1杯いただきます)Не откажусь выпить чашечку чаю. <не откажусь = мне охотно бы сделать что-либоということで、語義に否定的な意味のある動詞が否定されると、二重否定で肯定的なニュアンスに変わり、そのため接続する不定形が完了体となる説明になる>

出題)「ミシュートカはどこにでも兄貴のあとをついて行く。まるで金魚のフンだ」をロシア語にせよ。

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2014年08月20日

●和文露訳指南第15回

革命前のロシアでは子供の折檻は当たり前で、木の枝や棒のようなものをрозгиと言い、それで聞き分けのない子供を叩いた。これよりもひどいものとして、膝を折って立たせ、すねのところに一粒の乾いたエンドウマメを入れるというもので、血が出ても、泣け叫んでも、罰は続くというものがあった。良くも悪くも人間の創意工夫は限りない。

出題)「奴のバックにいるのが誰か知っているか?」をロシア語にせよ。

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2014年08月21日

●和文露訳指南第16回

『和文露訳指南』の時制において、現在は二通りに解釈されている。基本は今この瞬間を現在とするものであり、もう一つは広い意味での近接過去や近接未来を含む現在である。第3章の現在の時制の完了体の用法は後者の意味で説明されているが、それ以外は基本的に前者の考え方で書かれている。現在のロシア語学者では私の使っている完了体未来形を完了体現在形という用語で使う人が多いようだ。これも現在の時制を広くとらえてということと、完了体未来形(現在形)は近接未来の完遂の用法が多く、それに則したものと考えられる。ただそうなると、近接過去には当然のことながらこの「完了体現在形」は使えないはずだ。

(たった今彼と電話で話したばかりだ)Я сейчас говорил с ним по телефону.

 こういうことから私個人としては完了体未来形という用語を使っている。それは完遂の用法は一瞬後以降とはいえ、厳密に言って未来の時制の動作だからだ。それと完遂の用法には近接未来の用法が多いような気がするのは確かだが、それ以外の1年後とかの遠い未来にも動作が終了するという意識があれば使える。現在の時制で完了体未来形を扱っているのは、和文露訳の参考書である以上、日本語の時制に合わせたからである。

出題)「左のフックに気をつけろ」をロシア語にせよ。

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2014年08月22日

●和文露訳指南第17回

サイトの管理人の方々のおかげで、スパム防止ソフトを導入したので、スパムの数が激減しました。ただ英数字のみ、また改行のみや空白行があると投稿エラーになるということなので、投稿の際はこの点に留意願います。

 露文和訳をする時は直訳を避け、できるだけ自然な日本語が望ましい。しかしながら、日本語とロシア語は全く別な言語であり、意訳は勧めないものの、ある程度は自然な日本語にするためにテクニックを使わねばならない時がある。ロシアソ連文学の翻訳をしたらという声は全くかからないが、技術関係の翻訳は細々ながら30年近くやっている。そこで培ったテクニックについて紹介したい。

1) 前の文全体を受ける関係代名詞что(『和文露訳指南』9-9-2項)
2) 動名詞は無理に名詞で訳さずに動詞で訳してみる。
Она грозила убийством.(彼女は殺すと脅した)<彼女は殺害によって脅迫したという日本語は直訳過ぎておかしい>
место встреч(会う場所)
места скопления публики 大衆の集まる場所
средство наживы(儲ける手段)
3) 形容詞 + 名詞の組み合わせで、訳が不自然になるものは名詞を形容詞として、形容詞を名詞のように訳してみる。калейдоскоп событий(目まぐるしく変わる出来事)、несметное количество цветов(無数の花々)
4) 「~は可能とさせた」は「~のおかげで~できた」のように自然な日本語に代える。
Это позволяет полагать, что (これは~と仮定することを可能にする)という人工的な日本語ではなく、「このおかげで~と仮定することができる」とする。

出題)父親が妊娠した娘に「誰の子なんだ?」をロシア語にせよ。

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2014年08月23日

●和文露訳指南第18回

двое, трое, четвероなどの複合数詞は男性か、モノであれば複数しかない名詞(двое ножницハサミ2丁など)に使われ、女性に対しては用いられない。文法書でなぜそうなるのかは書いておらず、丸暗記せよということらしい。今、『Письмовник(文法文例集)』, Курганов Н.Г.という1794年版の、江戸時代でいう往来物を読んでいるが、その中で複合数詞は、двое беглых(二人の逃亡者), трое мещани(3人の町人)と使い、3人の大貴族трое Боярとするのは品がなく、три Бояринаと個数詞を用いる必要があると書いてあった。つまり複合数詞は下層の民に用いられるとある。またモノであって複数しかない名詞は現代語とは違って-еではなく、-иが語尾に付き、двои сани(2台のソリ、現代語ではдвое саней)、трои часы(3個の時計、現代語ではтрое часов)と双数扱いである。つまり複合数詞というのは複数を意識した名詞に使われ、庶民も当時は烏合の衆であり、個人としての意識がないために、個人として人格が感じられる貴人には用いるのは畏れ多いといったところだろう。女性に複合数詞を用いないというのも、女性の人格を認めたというよりは、貴族の女性が頭にあるからであり、庶民の女性は夫や父を立てて、表に立つものではないので、数の内に入いっていなかったからではないかと思われる。

出題)「彼は隣人とのチェスの1勝負に負けて、カンカンだ」をロシア語にせよ。この1勝負というのは三番勝負などのという意味です。

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2014年08月24日

●和文露訳指南第19回

ロシアンぴろしきの管理人の方々がスパム処理について対策およびチェックをしていたために、昨日は特に午前中に投稿エラーが出た方がいたかと思います。スパムも少なくなってきたように思いますが、もし投稿できなければ、私のホームページ「ランポポー」のメールから投稿ください。

出題)「キエフ行きの列車は今朝から運休している」をロシア語にせよ。

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2014年08月25日

●和文露訳指南第20回

よい例文探しは今も続いており、死ぬまで終わることはないだろう。集めたものを『和文露訳指南』に書きこんでいる。ロシア語の参考書にふさわしい、よい例文と言うのは、何度か書いたが、その用法の限界を示すような例文である。

Тетрадь стоит рубль.(ノートは1ルーブルする)<この動詞が価格を意味する時は対格を取る>
Этот вопрос стоит внимания.(この問題は注意に値する)<それ以外は生格を取る>

出題)「彼は血を見ると気持ちが悪くなるたちだった」をロシア語にせよ。4日ほど都合でコメントできません。悪しからず。

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2014年08月29日

●和文露訳指南第21回

『和文露訳指南』第3-1-4-3項に下記追記願います。

(おめでとうございます)Шлю вам поздравления. <= Примите мои поздравления.>

このように具体的な1回の動作でも完了体動詞命令形の代わりに、一人称の遂行動詞(不完了体動詞現在形)が同義で使われる場合があり、こういう互換性と言うのは、遂行動詞に動作の遂行という完了体的要素があるからだと言える。現在の時制では結果の存続(これも動作が終了した後の状態と言える)を除き、完了体は使えないので、発話の開始から終了までの過程の動作をも示す遂行動詞が、完了体と不完了体の中間的というか、互いの要素を部分的に担った役割を果たしていると言える。

出題)「野良犬(野犬)は警察によって殺処分の対象となった」をロシア語にせよ。

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2014年08月30日

●和文露訳指南第22回

поставщик Двораを帝室(皇室)御用達(「ごようたつ」だが俗に「ごようたし」とも言う)と訳したいという気持ちは分からないわけではないが、この言葉は革命前のロシアにおいては、モスクワやペテルブルグの商工会議所の展覧会、後にはロンドンやパリの展示会に参加すれば使ってよいとされた。ロシアの帝室や、公爵などに実際にものを納めているかどうかとは全く無関係であり、称号とすら呼べないものである。

出題)「試しにどこか床に一発撃つというのも意味のあることだ」をロシア語にせよ。

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2014年08月31日

●和文露訳指南第23回

命令法と言うのは時制で判断すると、早くて一瞬後とはいえ、これからの動作だから、未来の時制ということになる。そういう意味では未来の時制との関わりが強いと言えるし、未来の時制の体の用法が参考になる。『和文露訳指南』の5-2-4項などその典型だろう。

出題)「お前は嘘をついている。目で分かる」をロシア語にせよ。

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2014年09月01日

●和文露訳指南第24回

不定法を時制で考えると、時制を担うのは述部であって、不定形ではない。不定形は基本的に発話より未来の時制を示すのが基本で、反復や状態という意味では発話と同じ時制となり、発話より過去の時制を示すことはない。「~したことto have done」と言いたければ、то, что я сделал (делал)と節にするか、сделанноеと被動形動詞過去形を使うしかない。ロシア語では不定形では過去の時制を示す事がない代わりに、形動詞過去がその役割を担っていると言える。『和文露訳指南』8-10-2項参照。

(このテキストを読むのは我々には簡単だった)Нам было легко читать этот текст. <この意味では対応する完了体がないのでчитатьと不完了体不定形が来ている>
(学生たちがその講義を聴講するのは興味深いぞ)Студентам будет интересно слушать лекцию.

出題)「ヴォーフカが先に手を出したんだ」をロシア語にせよ。

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2014年09月02日

●和文露訳指南第25回

ロシアンぴろしき管理者を通じ、本日9月2日10時~12時頃にかけて、サーバの移行作業が行われると、サーバの管理会社から連絡がありました。この関係から、もしかすると、記事エントリーの際に、うまくいかないことがあるかもしれません。この時間をずらして投稿願います。

ビジネスレターで貴社や御社を文中であってもВы, Вам, Вашеなどと大文字で始めるが、これは相手に敬意を払ってのことである。18世紀末にクルガーノフの書いた文法例文集によれば、敬意を示す名称は大文字で始めるか、すべて大文字にすることとあるが、それが関係しているのかもしれない。Бог(神), ПЕТР ПЕРВЫЙ(ピョートル大帝), ТЫ(わが君 <君主に対してはтыで呼びかけた。当時はвыの用法がフランスから入ったばかりのようで、クルガーノフは非論理的なので使うべきでないと書いている>), Генерал(将軍), Синод(宗務院), Москва(モスクワ), Сибирь(シベリア), Проблема(問題)という例を挙げている。モスクワやシベリアは地理的名称だからとか、固有名詞だからではなく、ツァーリやその代理が治めているから尊称扱いだったのだろうか?問題が大文字なのは由々しい問題だからなのかもしれない。国名も現代同様大文字で始まるが、民族名はこの時代は大文字で始めたのが今とは違う。外国人に対する敬意が少なくなってきたからだろうか?яがロシア語で小文字なのは謙譲表現だからかもしれないし、逆に英語のIが大文字なのは国民的に自己主張が強いということかもしれない。

出題)自治体首長の発言「津波警報を解除します」をロシア語にせよ。

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2014年09月03日

●和文露訳指南第26回

中世のロシアでは貴婦人方は人前に出ないようにしていたが、例外として客人が家に来た時に、出迎えて、客人にキスをするというものである。これはキスの儀式と呼ばれ、キスは注目と尊敬のしるしであり、その客人につつがなく(無事)で、健康であれという意味の無言の願いであるとされる。それはキスпоцелуйがцелый(欠けるとことのない、つつがない)から派生しているということからも分かる。

出題)「彼の背丈は僕と同じくらいだった」をロシア語にせよ。

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2014年09月04日

●和文露訳指南第27回

ロシアでは19世紀の初めには農奴以外の国民向けに国民学校が整備されつつあり、貴族は自分の子弟が、いやらしい虫(ナンキンムシの類)が体に湧いているようなこれらの階級の子らと同じ机に学ぶのは困るということで、貴族だけの学校を作ったりした。しかし教師には自分の雇っている教養のない外国人(元パリの門番、厩番など)ばかりを教師として厄介払いの形で押しつけたりした。そのため国民学校の生徒より貴族の子弟の方がものを知らなかったという。その一人が懐古談で、Мы были настоящее училище попугаев.(我々は正にオウムの学校だった)と書いている。これは丸暗記で教科書に書いてあることをオウムのように暗記させられたということである。我が国のロシア語の初級の授業においても、特に会話ではオウムになってはいまいか?初級者には理屈は分からないとはなから決めつけ、理屈など教えずに、会話の例文の暗記と発音の矯正に終始してはいまいか?ロシア語を学ぶ人たちは大人である。大人に理屈が通らないわけがない。教えないのは教える側が人に分かりやすく教えるようにはロシア語を理解していないからではないか?

出題)「前の方で道路工事中だ」をロシア語にせよ。

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2014年09月05日

●和文露訳指南第28回

20年ほど前にシベリアのチュメニというところに12月出張で行ったことがある。現地の工場の人が急にТепло!(暖かい)と言って、着ている防寒着を脱ぎ出したので、どうしたことかと、温度をきいて見るとマイナス22度だという。朝はマイナス39度だったから暖かくなったのは確かだが、ちょっと驚いた。寒いというのはどのくらいの気温を指すのかと聞いたらマイナス50度ぐらいで、学校や仕事が休みになる温度だという。温度というものも相対的なものだと分かる。

出題)「成績がよかったので学費免除だった」をロシア語にせよ。

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2014年09月06日

●和文露訳指南第29回

拙著『ロシア小話アネクドート』(ブックレットNo. 66、東洋書店)のアネクドート発生においての一考察において、ユダヤ人のラデクがアネクドートの創始者のように言われているが、批評家のドゥルィリンはこれを否定していると書いたが、バジャーノフの『私はスターリンの秘書だった』によれば、20年代のソ連の閣僚や高官のいる前でラデクは自分が創作したアネクドートを話したと言うし、ソ連や反ソビエト関係の小話はかなり部分ラデクが作ったと述べ、バジャーノフはそれらをラデク自身からじかに聞いたと言う。ラデクがソ連の政治小話、特にスターリンを揶揄したものの創作で、政治局の内情に通じていることから大きな役割を果たしたのは間違いのないところだろう。そのうち二つほどを紹介する。

スターリンとモーゼの違いは何か?モーゼはユダヤ人をエジプトから連れ出したが、スターリンは政治局から。

古いタイプの反ユダヤ主義(宗教的、人種差別的)に新しいタイプが加わった。それはマルクス主義的反ユダヤ主義である。これには大きな未来があると予言できる。

出題)「消費材市場の多様性はこれにとどまらなかった」をロシア語にせよ。

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2014年09月07日

●和文露訳指南第30回

велеть (приказать) долго житьというのは、亡くなるумеретьという意味だが、文字通りは長く生きろと命じるということで、どうして死ぬ人間がそういう事を言うのかよく分からなった。天国でというのであれば、命じるのは神様のはずで、主語が死ぬ人というのが納得いかなかったわけである。ベロヴィンスキーによれば、ロシア正教徒は死期が近づくと、痛悔機密(カソリックの告解〔こっかい〕、いわゆる懺悔)をし、罪の許しを得、聖体機密を得ることで、心静かに死を迎える準備が整ったことになり、残される子や妻にたいして、祝福を与える(お前たちは長く生きなさいと命じる)言葉であると書いてあった。この痛悔機密、罪の許し、聖体機密を受けなければ魂は地獄に行くとされ、罪の許しを得させないで人を死に追いやることは最大の罪とされた。旅人を襲って殺してしまうような盗賊ですら、犠牲者の最後の願いにより犠牲者の懺悔を聞いてやることがあったという。ただ懺悔を聞いてやった上でも、殺すということには変更はなかったらしい。

出題)「昼食と夕食の時間には私の叔父たちの後ろに直立不動で召使いが一人ずつ皿を持って立っていた」をロシア語にせよ。

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2014年09月08日

●和文露訳指南第31回

はりねずみさんから続和文露訳入門第512回に関して、次のようなコメントをいただいた。「勘違いかも知れませんが、私は遂行動詞を三つタイプで考えています。一つ目は報告するや連絡する、の様に発話=行為(主に話す事が関係する動詞)のもの、二つ目は解除や禁止の様に発話をもって行為が有効になるもの、三つ目は許すや分かります等の意思表示に関わるものです。三つ目の場合、否定でも遂行動詞の様に感じてしまう場合があります。例えば殴られた後等の「許さない!」は否定の強調で完了体を選ぶのが正しいのかもしれませんが、時制を考えると発話によって許さないという意思表示が遂行される(許さないのは一瞬先を含む未来では無く現在から)と考えて不完了体を選んでしまいそうです」

 この返答として遂行動詞が定義的に、不完了体の否定のように動作自体を否定する、つまり動作がなければ動作の遂行がないということで、遂行動詞には否定形はないことを伝えた。詳しくは第512回のコメント参照願う。提示された例文の「許さない!」では、完了体未来形の否定しか使いようがないが、はりねずみさんの言わんとするところは、遂行動詞の否定でも、意思を具体的な文脈で発話終了と同時に否定の意味で伝わる(伝えることができる)という気づきをご指摘されたように思われる。そこで、改めて考えてみると、態度表明型の遂行動詞の否定については、そのような傾向があると考えてもよいのではないかという節がある。

 賛成か反対かを問われて、Против.(反対です)といえば、遂行動詞的用法だが、これをНе согласен.(賛成しない)と返事すれば、遂行動詞的な、具体的な事柄の否定の意思表示である。ただこの例も含め、他の会話の用例を見ても、叙想語を使って、Не могу согласиться.(同意できません)とするか、仮定法過去Охотно бы, но не могу.(そうしたいのは山々ですが)などを使い、遂行動詞の不完了体動詞を否定して、かつ否定的ニュアンスのまま使う例はないと思われる。これは遂行動詞が定義的に否定文では使えないので、それを避ける工夫がなされているとからだと思われる。どうしても遂行動詞を否定で使う場合は、動詞自体に否定的ニュアンスがあるものを否定する、つまり二重否定にして肯定文として用いられることになるのではないかというのが私の考えである。

(断固反対する)Решительно отказываюсь!
(そのような意見には反対しない)Я не возражаю такого же мнения. <意味的に肯定なので遂行動詞として使われているのであろう>

 ロシア語の歴史的現在や否定文の権威であるパードゥチェヴァ先生は遂行動詞は否定では用いられないと書かれているとはいえ、否定文というのは全般的にまだまだ研究の余地があるとも述べておられる。投稿者のみなさんの中で、遂行動詞における否定の用法ということで論を発展させるつもりであれば、私は見つけることができなかったが、上記のように遂行動詞的用法は否定で用いられる以上有るはずだという前提のもと、ロシア語の本や会話をよく研究し、人が聞いてなるほどと思われるような(作った文ではない)自然な文を集めて例証とすることである。将来斯界に益する考え方や研究、論文(例えば遂行動詞と否定とか)でも発表されることにでもなればこれに過ぎる喜びはない。このコーナーをやっていてよかったと思うのは、自分の発想では出て来ないような気づきを投稿者の方々から、直接間接いただくことであり、これによって自分のロシア語もこの3年ほどで、ロシア語の理解とその解説能力ということではかなり上達したと思う。そういう意味で投稿者の皆様方には改めて感謝申し上げたい。

出題)「暑さには弱いですか?」をロシア語にせよ。

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2014年09月09日

●和文露訳指南第32回

智さんの御指摘により出題の第30回の私の回答にタイプミスが見つかり、それを訂正したのでお知らせする。

不完了体と完了体を白と黒のように対立的(対蹠的)なものと考えるのは誤りである。不完了体は動詞の用法のすべてをカバーしているのだが、完了体はその中の動作の完遂とその動作の結果を意味する。つまり不完了体という大きな円の中に完了体という小さな円が含まれているのだと考えると分かりやすい。ただこの完了体は強力で、過去と未来においては、動作の完遂であれば、不完了体よりも優先的に使われ、表に出て、強く自己主張をしたがる。完了体は現在でも動作の存続や被動形動詞過去短語尾の現在の時制で使われるが、これとて過去の動作の結果が現在に持ち込まれていて、その状態を示しているにすぎず、動作としては現在の時制で完了体が使われることはない。不完了体はと言えば、完了体の使えない現在の時制で、過程(進行形)、遂行動詞、結果存続兼評価型動詞の用法のように動作の遂行や具体性を示すのである。

出題)「他のところで騒げ」をロシア語にせよ。

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2014年09月10日

●和文露訳指南第33回

具体的な1回の動作の否定には完了体が用いられ、動作が一切ない(任意の1回の動作の否定か反復動作の否定かは文脈による)ことを示すのが不完了体の否定である。そのため不完了体である遂行動詞を否定すると、この動作が一切ないという風に理解されるため、遂行動詞的用法で、遂行動詞の否定はあり得ないことになるのだと思われる。

出題)「このような見世物小屋で頭が二つある子牛を見ることができた」をロシア語にせよ。

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2014年09月11日

●和文露訳指南第34回

『Письмовник(文法文例集)』(Курганов Н.Г.)という1794年版の、江戸時代でいう往来物では、現行のロシア語文法と異なる点もいくつかある。受け身(受動態)の動作主は現代ロシア語では造格で示されるが、18世紀には造格の他に、от + 生格でも示せるとある。

Дарий побеждён от Александра (Александором).(ダリウスはアレクサンドロスに破れた)
Турецкий флот сожжён от Российского 1770 года.(トルコ艦隊は1770年ロシア艦隊の焼き打ちにあった)<1770 годаと生格なのは、現代の日にちの用法と似ている。Российскогоと大文字なのは、民族や国名の形容詞は当時は語頭を大文字で書いたからである>

出題)「私はいろんな時にたくさんのスポーツをやりました」をロシア語にせよ。

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2014年09月12日

●和文露訳指南第35回

遂行動詞が否定で用いられないのは、肯定的なことは一人称で述べるが、相手に悪印象を与えるような否定的なことは不定人称文や受け身(受動態)にして動作主をぼかすという人間心理が働いているのかもしれない。否定であっても動作が肯定的内容であれば遂行動詞が使えるということがその例証である。

(そのような意見には反対しない)Я не возражаю такого же мнения.

出題)「我々は自分が食べたものからできている」をロシア語にせよ。

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2014年09月13日

●和文露訳指南第36回

ロシア語を学ぶのは、ロシア人と会話したいとか、ロシアに行ってみたい、ロシアについていろいろ知りたいというためなのだろうが、そういうある意味直接的、実利的なことではなく、茶道、日本舞踊、生け花、空手道(スポーツや格闘技ではない)、座禅のように、お稽古事(習いごと)感覚で、ロシアやロシア人を知ること、特に庶民の文化を知ることを趣味や生きがいにしてはどうだろう?私の上の世代である団塊の世代は、退職の時期を迎え、生活の方はそこそこなんとかなるが、毎日することがない、趣味や生きがいがないのが悩みだという声も聞く。若いころにロシアやロシア語と関わりがあったとか、今までロシアとは何のか関わりもなかったが、ボケ防止や余生の一つの生き方としてロシア語を学んでみたいという人がいれば、お手伝いできると思うのでこのコーナーか私のサイト「ランポポー」のメール欄に希望を寄せていただければありがたい。ロシアの庶民文化を知るためにアネクドートを通じてロシア語を教えてみたいと考えている。言葉と文化は切り離せないわけで、ロシア人を真に理解するために、一番分かりやすいのがアネクドートであると確信しているからである。年配の人でなくても、若者向けのロシア語の雑誌を、チェーホフやドストエフスキー、トルストイを原語で読みたいとか、会話における生きたロシア語を勉強してみたいという方でも大歓迎である。体面授業が望ましいが、やったことはないがスカイプを使って遠方の方と授業をトライしてもよい。

出題)「きっと、うちのペーチャが学校で何かしでかしたのよ」をロシア語にせよ。

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2014年09月14日

●和文露訳指南第37回

『闇屋になりそこねた哲学者』(晶文社、2003年)という木田元(1928~2014)の自伝を読んだ。哲学者流の丸暗記による語学勉強のことが出てきている。語学を知識収集の道具ととらえ、会話は無視というのであれば、また暗記が得意であれば、こういう勉強法もよいと思う。「大学なんて、本当に勉強したくなってから入った方がよさそうです」とか、「語学の勉強には精神を安定させるところがあります」とあり、特に「他の大学のテキストの読み方が相当ルーズだということが分かりました。おおよその意味が分かればいいという読み方です」とあり、これではいけない、精確な読み方をすべきであるとして、ハイデッガーなどをドイツ語の原書で好学の士に教えるような、訳読形式の勉強会を何年も主宰して、教えてきたという。

出題)「読者は3人から28人に増えた」をロシア語にせよ。

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2014年09月15日

●和文露訳指南第38回

言葉を覚えたばかりの幼児がどうだったと聞かれて、「引っ張った」と答えたのに対して、「何を」と尋ねると、「機関車」と続くわけだが、この「引っ張った」は伝えたいこと(文の焦点)であり、幼児の頭に最初に浮かんだことだったと思われる。それを露訳するとしたら、完了体になるはずだ。

出題)「食欲減退(イライラ感、仕事の能率の低下)は前からですか?」をロシア語にせよ。

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2014年09月16日

●和文露訳指南第39回

最近お亡くなりになった木田元先生の自伝を第37回で紹介したが、先生は「語学の勉強には精神を安定させるところがあります」とおっしゃっている。不眠に悩む人も催眠剤を飲むだけではなく、外国語を原書で読むような勉強をしてみてはどうだろう。本を読んで眠れなくなるという話を聞くこともあるが、それは非常に刺激の強い本だったり、面白くて読むのが止められない本であるが、そういう本は稀である。授業中に教科書をながめていて(読んでいてと言うよりは)、瞬間気を失った経験はだれしもあるはずである。このことから語学の勉強が睡眠薬代わりになることは納得されるだろう。先生はドイツ語の原書でハイデッガーなどを勉強会で輪読されたようだが、それも人のやらないような、今だれもやろうとしない、正に逆風の吹いている感のあるロシア語を睡眠薬代わりにやってみてはどうだろう。これだと副作用はなかろう。日本人に人気の高い、メンタリティー的に合うと思われるドストエフスキーや、チェーホフ、トルストイの原書でも、若者向けのロシア語の雑誌やアネクドートでもよい。初めからすらすら読める人はいないから、その読み方や辞書の使い方、飽きの来ない勉強法を指導してもよい。

出題)「彼には何でもお見通しだ」をロシア語にせよ。

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2014年09月17日

●和文露訳指南第40回

そのロシア語文が正しいかどうか分かるには語感を磨くことであるが、そのためにはロシア・ソ連文学などの名文をできるだけ多く精読(cover-to-coverで)すべきである。私の場合は500冊ぐらい精読して語感がついたように感じたように思う。早い人は100冊も読めば語感が研ぎ澄まされてくるのかもしれない。今790冊を読破し、トルストイのКруг чтения(読書の輪とか、読書の範囲と訳すのか)と19世紀の探検家で幕末の箱館(今の函館)にも来たことがあるС.В. Максимовの全集の残りを読んでいる。元々ロシア・ソ連文学にのめりこんだのはかなり遅くて、39歳の時にパスルナークのДоктор Живагоを読んでロシア・ソ連文学の面白さに目覚めたわけである。それまではロシア語の会話(和文露訳)をマスターしようとして、構文、慣用句、諺、熟語、語彙の暗記や文法の本を読んでばかりいた。40代、50代は1日のノルマを50ページとか100ページ精読(体の用法、ニュアンスの読解)するだけでなく、会話に使える表現をエクセルに和露形式で書き抜いてまとめるようなことまでしていたので、10ページに1時間半ぐらいかかることもあった。今はあまりやる気もないので、ロシア語が錆びつかないように1日20ページ、つまり2冊がノルマということになる。

 ロシア・ソ連文学は名文の宝庫であり、ロシア語をやる以上1日10ページくらいは精読すべきであり、使えると思う表現はエクセルに和露の形式でまとめておくと、検索も楽だし、後で会話などに利用しやすい。本も100ページくらいのから1,000ページを超えるものまでいろいろだが、1冊平均400ページくらいのものを1日10ページ精読すれば、1年で10冊ぐらいは読める勘定である。90年代はロシアでは古本を1冊1ドルくらいで買えたが、今や本も高い。ただネットでロシア文学はほとんどロシア語原文をタダで読めるので、やる気があれば読む本はいくらでもあるということになる。どんな本を読むべきかは露学階梯に書いたが、いろいろたくさん書いてあるので、そこにたどりつくまでが大変だろうと思うので、次回リストアップする。

出題)「我らがチームは又引き分けだ」をロシア語にせよ。

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2014年09月18日

●和文露訳指南第41回

日本に紹介されている、つまり和訳のあるロシア・ソ連文学はいずれもよい本である。そこから自分の読みたい本をピックアップしてもよいが、一応私が読んだ中でお勧めのものを挙げておく。*は特によいと思うもの。
Аксаков: Записки об уженье рыбы, Записки ружейного охотника оренбургской губернии, Семейная хроника, Детские годы Багрова-внука
Бажов: Малахитовая шкатулка
Белый: Воспоминание(3巻)
Библия *
Благово: Рассказы бабушки
Булгаков: *Мастер и Маргарита
Бунин: Суходол
Витте: Воспоминания
Войнович: Жизнь и необыкновенные приключения солдата Ивана Ченкина, Москва 2042
Вострышев: Московские обыватели
Гаршин: Четыре дня, Attalea princeps
Герцен: *Былое и думы
Гиляровский: Москва и москвичи
Гоголь: Тарас Бульба, Ревизор, *Мертвые души
Горький: *В людях, По Руси, Детство, *Жизнь Клима Самгина
Григорович: Литературные воспоминания
Гроссман: Всё течёт..., Жизнь и судьба
Довлатов: Наши
Достоевский: Неточка Незванова, Село Степанчиково и его обитатели, *Записки из мертвого дома, *Преступление и наказание, Бесы, *Братья Карамазовы
Дурова: Записки русской амазонки
Дудинцев: Белые одежды
Есенин: Автобиография, Сергей Есенин
Жванецкий: Миниатюры
Забелин: Домашний быт русских царей и цариц в 16 – 17 ст.
Зайцев: Дом в Пасси, Анна
Зощенко: Перед восходом солнца
Искандер: Сандро из Чегема, Стоянка человека, Детство Чика
Каверин: Ночной сторож, или Семь занимательных историй, рассказанных в городе Немухине в тысяча девятьсот неизвестном году, Верлиока
Карамзин: *История государства российского
Карцев Роман: На пляж Одесса собиралась так...
Кони: Воспоминания о деле Веры Засулич
Короленко: История моего современника
Крестовский: Петербургские трущобы
Крылов: *Басни
Ключевский: *Курс русской истории
Куприн: Яма, Гамбуринус
Лесков: *Соборяне, Очарованный странник
Максимов С.: Сибирь и каторга
Мельников: *В лесах
Некрасов В.: В окопах Сталинграда
Пастернак: *Доктор Живаго
Паустовский: «Тот» мальчик
Пикуль: Исторические миниатюры
Помяловский: Очерки бурсы
Приставкин: Ночевала тучка золотая
Пришвин: Календарь природы
Пушкин: Повести покойного Ивана Петровича Белкина,
*История Пугачева
Пыляев: Замечательные чудаки и оригиналы
Райкин: Без грима
Раскин: Энциклопедия Хулиганствующего Ортодокса
Репин: Далекое близкое
Романов: Застольная история государства Российского
Савинков: Воспоминания террориста
Салтыков-Щедрин: История одного города, Пешехонская старина, господа Головлевы
Севера Э.: Легенды инвалидной улицы, Мужской разговор в русской бане
Симонов: Живые и мертвые
Скороходов: Разговоры с Раневской
Солженицын: Архипелаг ГУЛАГ
Соловьев С. М.: *История России с древнейших времен
Соллогуб: Тарантас
Сологуб: *Мелкий бес
Станиславский: Моя жизнь в искусстве
Степанов: Порт Артур
Толстой А.К.: Семья вурдалака, Артемий Семенович Бервенковский
Толстой Л.Н. : Детство, *Анна Каренина, *Война и мир, Холстомер, Крейцерева соната, Отец Сергий, Воскресенье, Фальшивый купон
Тургенев: Дневник охотника, Дворянское гнездо, Отцы и дети, Муму, Ася, Первая любовь
Успенский Г.И.: Нравы Растеряевой улицы
Утесов: *Спасибо, сердце
Чехов: Ионыч, Палата № 6, *Попрыгунья, Человек в футляре, В овраге, Черный монах, Каштанка, Шуточка
Чуев: 140 бесед с Молотовым
Чуковский: От дувух до пяти, Живой как жизнь
Шаламов: *Колымские рассказы, Очерк преступного мира
Шмелев: *Лето господне, Богомолье
Шолохов: *Тихий Дон, Судьба человека
Щеглов: Фаина Раневская
Эренбург: Оттепель; Люди, годы, жизнь

出題)「奴は口封じに殺された」をロシア語にせよ。

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2014年09月19日

●和文露訳指南第42回

このコーナーの設問や出題の私の回答はすべてこれまで私が本で読んだり、ロシア人から聞いたりしたものであり、語結合も、文法的にも確認を取り、自分が通訳のときに使っているか、使おうと心に決めているものばかりであり、主語を変えることはあっても時制や体を変えたことはない。つまり自分の頭で勝手に作り上げた例文ではないという事を申し上げたい。文脈にもよるが、基本的にどこに出してもおかしくないロシア語文である。プロの通訳やガイドはみなそのような語彙や例文を収集しているはずであり、ひとりよがりな訳は避けるために、本や雑誌をよく読んで、使える例文の収集に努めているはずである。私のはこれまで収集した9万1千項目ある自分の和露の語彙集から精選したものである。

出題)「目黒へはどんな乗り物がありますか?」をロシア語にせよ。

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2014年09月20日

●和文露訳指南第43回

被動形動詞過去形は完了体から作られるのが一般的だが、稀に不完了体からも作られる。作られるのは無接頭辞単純動詞(本源動詞)からであり、писанный, битыйなどである。完了体由来のものとの違いは、不完了体からのものは過去の動作の反復を示すことができるということだろうと思う。

Стихи, читанные ещё в детстве(まだ子供のころによく読んだ詩)

ちなみにнの一つ少ないчитаный = прочитанныйは形容詞であり、читаная книга(読了した本)となる。

出題)「彼は二位に落ちた」をロシア語にせよ。

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2014年09月21日

●和文露訳指南第44回

プロとして和露辞典を使うことがないとは言えないが、通訳やガイドの現場の実態に則しているとはとても思えない。ごくたまにヒントをもらうぐらいである。そのため自分用に和露語彙集を30年ほど前から作り始め、1年前には9万4千500項目にまでなった。そろそろタイプミスや重複も含めて内容チェックの時期だろうと思い、3千項目ほど減らした。あと10年ぐらいやれば、私家版和露活用辞典として公開できるものになるかもしれない。当分この私家版和露活用辞典の編纂にかかりきりになると思う。

 20年ほど前に今は亡き恩師の飯田規和先生に、和露語彙集を作っているが、語彙集として使えるようになるにはどのくらいの語彙が必要か尋ねたことがある。先生は岩波露和辞典の編纂者のお一人でもあり、辞書作りのプロだったからだ。5万くらいあれば使えるようになるとのお話で、その際項目数も大事だが、要は使える例文をどのくらい集めることができるかだとおっしゃったのを覚えている。

 今現在項目は9万1千を超えたが、使える例文をもっと増やそうと日夜ロシア語や日本語の読書に余念がない毎日である。日本語の小説、新聞、雑誌、テレビからロシア語に訳しにくいという語彙を集めて、それをロシア語にし、実際に使えるかどうかの確認をしているわけで、これに相当時間を取られる。日本語の語彙をロシア語の文で説明するのや、自分で勝手に語彙を作るのはそれほど難しくはないが、文脈に合わせて、できるだけ簡潔に意を尽くす、より日常よく使われるロシア語の語彙や表現を見つけるのはそう簡単ではない。もちろんロシア語の名詞が日本語の名詞に対応させる必要はないし、動詞句、副詞句、形容詞句、前置詞句で表現しても、全体として意味が正しく伝わればいいと考えているとはいえ、それでも結構難しい。辞書、本などの資料にも金がかかるし、現地調査にも金がかかる。私家版和露活用辞典編纂に専念できるよう、スポンサーが現れてくれないか神頼みの毎日である。

出題)「彼らは子供のころおもちゃで遊んだ」をロシア語にせよ。

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2014年09月22日

●和文露訳指南第45回

『和文露訳指南』4-1-1-4項の一部を分かりやすいように下記のように書き改めた。

・無意識的で否定的結果をもたらす動作 ×лишаться → лишиться(なくなる)、×ломать → сломать(壊す)、×разбивать → разбить(砕く)、×ронять → уронить(なくす)、×терять → потерять(失う)、×убивать → убить(殺す)、×ударять → ударить(なぐる) <否定文の場合も含めて、これらの動詞は具体的な1回の動作を示し、このような危害や人の命、損得に関わる動作は人間の暮らしにとって非常に重要なものゆえ、感情を抜きにした単なる動作の有無の確認ということにはならず、主観的ニュアンスであると考えられ、完了体が多用される>

Кошелёк или жизнь.(金を出せ、さもないと命はないぞ)という言い方もあることだし。

出題)道を尋ねて、「いくつめの角を曲がるのですか?」をロシア語にせよ。

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2014年09月23日

●和文露訳指南第46回

ライフワークである私家版和露活用辞典完成のためにコツコツと語彙や例文の収集や整理をしていると書いたが、目指しているのは、単なる和露辞典ではなく、勝俣銓吉朗先生の『新英和活用辞典』(研究社、1958年)の和露辞典版のようなものである。勝俣先生は日本人が英語を書くためには和英辞典だけでは不十分であり、語結合が重要であるとして、自ら雑誌や書籍などから20万の例文を収集し、38万もの語彙を活用辞典に載せておられる。私はと言えば、日本人がロシア語を書くというよりは、もっと基本的なロシア語会話をしたり、ロシア語でメールを書いたりする上で、もっと語結合を重視して、実際に使える語彙や例文をそろえた和露活用辞典が必要だと考えている。これまで自費でロシア語の辞書400点、ロシア語の書籍1400冊を購入し、その書籍の55%を読破し、使えると思う例文や語彙を40年にわたって和露語彙集に集積してきた。そのごく一部をこのコーナーで紹介し、またその成果の一端を紙の著作11点、電子書籍6点という形で出版してきた。私の著作にある例文はすべてこの和露語彙集から採ったものである。しかし、さらに新たな資料などをそろえ、それをチェックし、エクセルにインプットするなど辞書の編纂に専念するためには、これまで以上に時間を取られ、生活もしていかねばならない以上金もかかるからである。スポンサーを見つけるのは無理のようなので、クラウドファンディング(ソーシャルファンディング)で私家版和露活用辞典編纂プロジェクトへ支援をお願いした方がよいのかもしれない。この場合のクラウドファンディングというのは、個人が多くの人々からわずかな寄与を集め、利用することで目標に到達するというコンセプトである。そのため御趣旨に賛同いただいた方々への見返りは、私が病気か死なない限りは、せいぜいのところ、いつ完成するかもしれない(多分10年後)その辞書たった1部ということになる。

 その辞書のサンプルは『アネクドートに学ぶ実戦ロシア語会話第2版』(東洋書店)第6章の「使える言い回し」にある。そこには500項目(60ページ)載せたが、私の私家版和露活用辞典は使える例文や類語の使い分けなども含め、項目数を200倍の10万項目(原稿としてはすでに9万1千項目ある)にするというものである。これを見ていただければ、私の考えがお分かりになると思う。紙幅の関係から1項目1例文に抑えたが、実際には1項目にいくつかの例文が載る場合もあるので、例文の数はすでに20万を超えていると思われる。エクセルを使い、ロシア語からも検索できるクロス検索となっているので、トータルの語彙数も40万以上はあると思う。この項目にある語彙や例文の精度を上げ、ロシア語会話のために、より使いやすいものを出版したいというのが私の願いである。

出題)「ヴィクトルはとてもおかしく我らが生物学の教授の真似をする」をロシア語にせよ。

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2014年09月24日

●和文露訳指南第47回

動作の遂行は完了体でも不完了体でも表現できるが、完了体は動作の過程を示さず、動作の結果を重視する。過程というのは常に動作が一瞬一瞬動いているわけで、完了体の動作は過去か未来であり、その時点での動作の一瞬や過程(進行形)を示す事はない。過程を示せないことから、完了体は未来でも過去でも時間軸の一点の動作を示すと私は考えた。この一点に動作があるということは、動作自体に焦点があり、動作に焦点を結ぶというのはより具体的な動作を意味することになり、それは主観的な動作にもつながる。それゆえ主観的な事柄には完了体を用いるのだというのが私の考え方である。

出題)「繰り返して悪いことは決してない」をロシア語にせよ。

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2014年09月25日

●和文露訳指南第48回

『和文露訳指南』8-10-3項に下記追記願う。

能動形動詞現在の形容詞としての用法には、不完了体現在形の反復の用法を使ったвертящиеся табуретки(回転式ストゥール)、вращающееся кресло(回転イス)、открывающаяся решётка на окна(開閉式格子)、поворачивающее на шарнирах зеркало(ヒンジで回転する鏡、ヒンジ回転式鏡)、поднимающаяся кровать(上下可動式ベッド)などがある。

出題)「そこは何番地ですか?」をロシア語にせよ。

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2014年09月26日

●和文露訳指南第49回

『わたしの哲学入門』(木田元、講談社学術文庫、2014年)を読んで大いに啓発された。読書の醍醐味というのは正にこういうことを言うのであろう。ハイデガーを中心に、自らの哲学へのかかわりについて書かれている。「存在とは何か」という問いが、西洋哲学の根本の問いであり、本質存在(本質性)と事実存在(現実性)に分けて考えたのはプラトンであり、プラトンは本質性の現実性への優位を主張したが、アリストテレスが現実性に重きを置いたとハイデガーは考えているとのことだった。著者はこれを日本語で「一万円札デアル」(本質性))と「一万円札ガアル」(現実性)というように「である」と「がある」に簡単に訳し分けているのはすごい。

 「家が立っている」というのはたんなる静止ではなく、建てるという運動の集約した終結点であるというのは、状態ではなく、結果の存続(現存)であると言い替えられるような気がする。ここから不完了体というのはその動詞の語義における本質的動作(本質性)を示し、完了体はこれを具体的な動作という現実性を示しているのではないかとも思える。

 氏の説くハイデガーの著書『存在と時間』における存在と時間というのは、時制と存在とも置き換えられるような気がするし、現在の時制の現前性が優勢であるとあり、これなどは完了体過去形の用法では分かりやすいうちの結果の存続(現存)と似たようなものだという感じがする。つまり時制やアスペクト(動詞の体)を考えることは、哲学すると同義であると言っても間違いではないように思われる。そうであれば、体の使い分けに関心のある人は、毎日哲学していることになる。

出題)「生ゴミ対策はどうしていますか?」をロシア語にせよ。

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2014年09月27日

●和文露訳指南第50回

『私家版和露活用辞典』研究編纂についてのクラウドファンディングのお願いを第46回本文に書いたところ、資金(この場合寄付金)を出して10年音沙汰なしというのでは、寄付する側が納得しないだろうから、ニュースレターのような進み具合がどうなっているかを知らせるような仕組みが必要ではないかという声が寄せられた。全くその通りで、このコーナーが続いている間は、このコーナーの本文で研究編纂の段階で得られた私なりのロシア語文法上の知見を紹介して行きたいと思っているし、このコーナーがやめとなれば、クラウドファンディング(寄付)の提供者の中で希望者(メール番号を教えてもらうことが前提)には、何らかの発信をしてゆきたいと思っている。このようにこのプロジェクト実現のための提言があれば、是非、このコーナーでも、私のサイト「ランポポー」のメールからでもご意見を賜りたい。

こういうクラウドファンディングをお願いするというのも、体力的にも精神的にもこのような辞書の編纂はここ10年くらいしかできないだろうと感じるからである。今まで40年以上にわたって蓄積した資料を私の死後このまま葬るのは非常に残念な気持ちだからである。

 ご寄付いただいた方に完成の暁には製本版を無料送付できればいいのだが、それは無理というものである。戸田進先生の『和露・技術用語用例辞典』には見出し語約3,000、用例数約8,500で19,000円(税別)となっており、私の予定している辞典の項目数は91,000で、30倍だから、単純計算で1冊60万円となってしまう。安くはできるかもしれないが、限度があろう。つまり電子書籍(辞書用の検索プログラムを購入する必要がある)とならざるを得ないし、私が寄付をお願いしているのは、製本費用ではなく、資料購入、研究調査および編纂に専念するための費用である。電子書籍にしてフラッシュで送付できるのなら、ご寄付された方で希望者には無論辞書完成後送付する。

 クラウドファンディングと言っても私の場合は、税金の関係上、寄付という形を取らざるを得ない。寄付なので多数の個人からなら少額でいいのだが、やはり企業や団体などの大口のスポンサーがないと話は進まないと思う。そういうのを御紹介いただけるのでもよい。ご紹介していただいた方には下記のようなお礼を差し上げつつもりである。仮に一口2万5千円を寄付してもらっても、50口から100口ぐらいないと、本格的なスタートすらできない。とりあえずは寄付希望者がどのくらいあるか、寄付の意思と額(口数)のみをお寄せいただき、それが50口を超えた時点から、実際に寄付してもらうというほうがよいかもしれない。

 ただ一方的に寄付を募るというのでは申し訳ないので、今私ができることを次に挙げるので、ご寄付いただいた方から、希望者(住所と氏名を教えてもらう必要があるが)には一口当たり一つ選んでもらえば、送付するなどしたいと考えている。これはあくまでたたき台(試案)なので、これに対してもご意見をお寄せいただければありがたい。

A) 『私家版和文露訳活用辞典』原稿(項目数9万1千400で、エクセルのファイル16.6メガバイト)
 原稿なので毎日手を入れているとはいえ、スペルミス、項目の重複などがまだあるし、エクセルなので検索はロシア語日本語とも語幹でという工夫が必要だが、一応私が仕事で使っているもの。
 フラッシュメモリーにコピーした後、書き込み禁止と、コピー禁止をしたフラッシュメモリーを希望者に送付する。ただ書き込み禁止(エクセルのファイルにすればよいのだろうと思う)や、コピー禁止のやり方が分からないので教えてもらってからということになる。昔CDで1回だけ録画でき、あとは読み出しオンリーというのがあったが、こういうフラッシュがあればいいし、あるいはそういう設定ができればこういう形のお礼も可能である。
B) 『続和文露訳指南』オンデマンド製本版を寄付1口当たり1セット(2冊)郵送する。
 『和文露訳指南』が発売されてから2カ月近く経つが、すでに内容的に全体で8ページほど増えている。1~2年経てば、50~60ページぐらい増えているだろうと思うので、これを寄付いただいた方に決定版ということで今から1~2年後に送付するというもの。『続和文露訳指南』は電子書籍として出すかもしれないが、製本版は出すつもりがないので、寄付いただいた方限定とするつもりである。
C) 『和露類語集』(仮称)オンデマンド製本版1部を寄付一口当たり1部郵送する。
 類語辞典については、『るいごプラス!』に類語を431語載せているが、今原稿の段階で約250語あるので、これを合わせて計680語として再編集する。電子書籍は一般向けに販売するが、オンデマンド製本版は寄付いただいた方限定という形で、寄付受付後半年以内に希望者に郵送するというもの。
D) これまで電子書籍とした私の著作の中で、寄付いただいた方の希望を聞いて一番希望が多いものをオンデマンド製本して、希望者に郵送する。特に『ロシア人の疑問』は日本語テキストとロシア語の見開きとなっているので、製本した方が見やすいかもしれない。
E) ロシア語レッスン4時間(1回1時間で計4回)
 交通費を御負担いただけるならどこでもいいが、そうでなければ東京23区内のみ。希望者の要望に合わせたレッスンを実施する。

 10年というのはあまりにも長いので、3年後、5年後に編纂途中のエクセルファイルを一口以上ご寄付いただいた希望者に送付するというのでもよいし、万が一私が死んだり、病気になったりしたら、その時点でエクセルファイルをその希望者に送るよう手配しておくつもりである。


出題)「こういうひどい目に何度か遭ったことがある」をロシア語にせよ。

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2014年09月28日

●和文露訳指南第51回

『和文露訳指南』9-3項に下記追記願う。

しかし、自然現象が自分の意志を持っていたと考えられた昔はともかく、現代においてはこのような自然現象が動作主として主語に立つことに抵抗を覚えるのではないかと考えられ、無人称文や受動態を使うのが自然であろう。

P.S. ある方から「クラウドファンディングでは、毎年一口寄付して、毎年更新された私家版和文露訳活用辞典を手にして完成の過程を共有するのが個人的にはよいと思いました」というご提案もいただきました。毎年ご寄付いただくというのは個人としては大変だと思います。寄付は一度でも結構だと思います。ただ毎年ご寄付いただいた方にはご寄付いただくごとに、その時点での和露活用辞典の最新原稿ファイルを送付するということにしたいと思います。その手段として、1回だけ書き込める記憶媒体をご存じの方ご一報ください。

出題)「常にパスポートを所持している必要がありますか?」をロシア語にせよ。

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2014年09月29日

●和文露訳指南第52回

『私家版和露活用辞典』のためのクラウドファンディングという事でご寄付をお願いしているが、辞書の編纂方針を御紹介したい。「白い」、「テレビ」などの日常語彙は単独では検索の効率性を考えて基本的に載せていないが、薄型テレビのようなものは載っている。かなりの語彙に出典が明記されており、С. Максимовの3-158とあれば、マクシーモフ著作集の第3巻158ページにその用例があることになり、私の持っている著作集の当該ページに赤で下線が引いてある。単純に収録語彙を増やす事ではなく、和文露訳で使える例文や語結合を収録するように努めている。動植物はカタカナ表示であり、例えば、サクラマスсима(ヤマメはその陸封型)とあれば、その学名(ラテン語名)でチェックし、和名とロシア語名が魚類図鑑で一致したもののみ例文なしの単語のみで記載している。建て網ставной неводなどの用語は日ロの百科事典(Wikipediaも含む)、英露・露英技術辞典などで、図解や内容を吟味した上、納得したものを例文なしの単語のみで載せている。ガタンというようなオノマトペ(擬態語)も収めたが単語のみである。収録した語彙は基本的な語彙の場合は、露訳が一筋縄ではいかないようなものに用例を添え、その露文には和訳をつけた。ただ力点はまだ打っていない。日本語のことわざ、慣用句、格言、武器、機器名からも引けるようになっている

 寄付された方にはご希望があればこの辞典の原稿ファイルを読み出し専用で送付するが、まだ原稿なのでタイプミス、重複、誤訳など不備も多いし、私の気づかない短所も多数あると思う。実際に使ってみて、疑問点やコメントがあれば遠慮なくメールしてほしい。そうすることにより、辞書はさらに使い勝手がよくなるし、そういう形で辞書編纂に携わることになる。辞書編纂に終わりはない。ある程度のところまで私がやるつもりだが、私が死んだり、体力的、精神的に辞書編纂が不可能と判断した時には、寄付された方でご希望の方々(それまでに辞書に対するコメントなどで編纂に協力してきた方々)に、辞書、文献を差し上げてもよい。正し送料は負担願う。さらに最終原稿ファイルをそのまま(読み出し専用ではなく)無料で、その方々に前以て希望があれば送付するよう手配するので、私の原稿に基づいて、自分なりの和露辞典を、自分の編集方針で完成されてもかまわない。編集協力者に私の名前を入れてくれればよい。

 辞書は本来一人で作るものではないが、編集方針などもあるし、デカルトも「学問にしても、種々雑多な人たちの意思で少しずつ組み立てられたものより、一人の人間が一定の方向に従ってつくり上げたものの方が真理に近づく捷径であるに違いない」と述べているし、У семи нянек дитя без глазу (глаза).(船頭多ければ船山に上る)ともいうので、一人でやって行くつもりである。これまで40年近く語彙集作成をしてきたのだが、毎年1万項目ぐらいは手に入れていると思う。

出題)「彼はどんな助けであれ断った」をロシア語にせよ。

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2014年09月30日

●和文露訳指南第53回

Письмовник, Курганов Н.Г.という1794年に出た、日本でいう往来物みたいな、文法と文例集の第一部を読んでいるが、後ろの方にКраткие повести(小話とでも訳すのか)というヨーロッパの笑い話を訳したものが140ページ(第一部全体の1/3)あるのを見つけた。読んでオチが特に面白いとは思わないが、これが後のロシアのアネクドートの源流の一つであろうと思うとそれなりに興味深い。これまた偶然『中国笑話選』(松坂茂夫、武藤禎夫訳、東洋文庫、1964年)も読んだが、収録されているのは『笑府』という明の時代のものが主である。松坂先生によると中国の小噺は二千数百年前にできた『孟子』にある逸話にさかのぼると言われているから相当古い。
笑府には男色をテーマにしたものがいくつかあるが、17世紀初頭に完成した戦国・安土桃山時代の笑話集が『醒酔笑』(2巻)〔安楽庵策伝、鈴木棠三校注、岩波文庫、1986年〕で、日本でも男色(寺院における)が広く行われていたことがよく分かる。西洋と違い、宗教的に同性愛を迫害したりしなかったので、おおっぴらに笑いのめす事が可能だったのだろう。

P.S. 昨日の私家版和露活用辞典原稿についてだが、「日本語のことわざ、慣用句、格言、武器、機器名からも引けるようになっている」を補足する。
私家版和露活用辞典原稿のファイルを書き込み禁止にして、ファイル名を寄付いただいた方の名前にすればよいのかもしれない。挿入→ヘッダ→テキスト→ヘッダとフッター→ヘッダ/フッター要素のファイル名に寄付いただいた方の名前を入れるというのでもよいかもしれない。PDF Proでコピペ禁止というやりかたもあるようである。

出題)「電気照明は個人の家々にも普及し始めた」をロシア語にせよ。

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2014年10月01日

●和文露訳指南第54回

2014年9月末にメル友の極東連邦大学ヒサムトヂーノフ教授(まだ面識はない)の奥さま(ウラジオの大学で英語を教えておられる)のナターシャさんが京都産業大学のシベリア関係のシンポジウムで来日され、東京でお会いしたときに、教授が編纂中『日本のロシア人』百科(仮名)の日本の地名や人名のチェックを依頼された。スラビストの会議が1~2年後東京であるらしく、それまでには完成させたいという。教授は最近ロシア政府か外国の機関からか1年分の研究助成金を受けたという。うらやましい限りである。氏は2013年に本文640ページ、カラー写真満載の『太平洋のロシア人の波』をロシア政府協賛(ラヴロフ外務大臣やジェニーソフロシア駐日大使の推薦の言葉が載っている)で出版されており、今回寄贈いただいた。氏の本はこれまで4冊読了しており、その中から例文をいくつか私家版和露活用辞典に載せており、氏もそのことを知り、私の辞典編纂に役立てばという事で、寄贈されたものである。奥さまのナターシャさんにも語学者という立場で、私の著書『ロシア人の疑問』のロシア語部分を検閲いただいたことがある。彼女は若い時にイントゥリーストに勤め、ナホトカ・横浜航路の客船で通訳をしたこともあり、何度も来日しているという。双方で互いの研究につき協力し合う事を誓った。情けは人のためならずという諺もある。私はこの諺を本来の意味で使っているのであって、人に人情をかけると、甘やかされて、その人を駄目にするという意味ではないので念のため。

出題)「こんなわけで彼は来なかったんだ」をロシア語にせよ。

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2014年10月02日

●和文露訳指南第55回

2014年10月1日付の読売新聞朝刊に「大人にも家庭教師」という記事が載っていた。金とゆとりのあるシニア世代に対する語学や音楽の家庭教師の需要が増えているらしい。「回りの人についていけないと恥ずかしい」とか、「基礎からこっそり学びたい」という「大人の事情」を理由に個別指導を求める声は多い。家庭教師派遣企業も盛況なようである。英語などは仕事でも多くの人がやっているので、いまさら基礎的な事を聞きにくいし、語学学校でも浮いてしまうということがあるかもしれない。

 ロシアは北方領土の問題もあるし、ロシアの宣伝下手(日本人同様ロシア人は自分を売り込むということには抵抗があるようである)ということもあっていいイメージがあまりないが、メンタリティーがロシアと合うのか、ロシア文学やロシア民謡は人気が高い。ロシア語はやっている人はほとんどいないし、ドストエフスキーを原語で読むとか、ロシア語の文字が読めるようになりたいとか、ロシア民謡をロシア語で歌ってみたい、ロシアのアネクドートに言語で触れてみたいというシニア世代は多いと思う。このように個人的にロシア語をやってみたい、丸暗記でなく、もっとうまく理詰めにロシア語をやりたいという方は御一報を。

出題)「何レーンからスタートなさるのですか?」をロシア語にせよ。

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2014年10月03日

●和文露訳指南第56回

турманというのは露和辞典では宙返りバトとあり、最近まで、つまりこの40年よく意味が分からなかった。ベロヴィンスキーの本を読んでいたら、革命前には、鳩を飼うには、鳩の美しさのために飼う人もいるが、そうではなく、鳩の飛行の美しさを愛でるために鳩を仕込む人がいたとあり、鳩を上空高く飛ばせ、降下するときに、турманは文字通り落下し、落下しながら頭か尾かでくるっと一回転するという。普通の鳩は上昇するのも降下するのも円を描いてというのが違うとのこと。Век живи, век учись!(生涯学習、一に勉強、二に勉強)である。長く疑問の種を心のどこかに持ち続けていると、いつか答えは見つかるというのが私の信念である。

出題)「彼氏募集中」をロシア語にせよ。

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2014年10月04日

●和文露訳指南第57回

『和文露訳指南』5-1-2項を下記のように改めたのでお知らせする。

この用法は「~するとしたら」が前提となっているために、踏み台(みなし反復)ということで、動作自体が任意であり、動作遂行の結果をイメージしないので、不完了体命令形が用いられ、時間軸の特定の不動の一点を示すような時の状況語(例えば次の文のсегодняやзавтра)でも、時間軸の一点と言うよりは、期間としての任意の一点と考えられるので共に用いることができる。

(時間がおありなら今日家に寄ってくださいね)Заходите к нам сегодня, если у вас будет время. <если以下で分かるように、このсегодняは時間を制約しておらず、不完了体命令形は、話し手の主観がない、あなたまかせと言うか、聞き手まかせの用法である。そのためこのсегодняを時間軸の不動の一点ではなく、期間と考えて、今日のいつでもという任意の一点を示していると考えれば、正に不完了体そのものの用法である>

出題)「着るものは時と場所に合わせなければならなかった」をロシア語にせよ。

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2014年10月05日

●和文露訳指南第58回

先日山手線の電車に乗った時に、ある大手の多言語を教える語学学校の宣伝が貼ってあるのに気がついた。そこに受講生に人気の言語が5位まで書いてあり、英語、中国語、スペイン語の後に、ブラジルポルトガル語を押さえて、何とロシア語が堂々の4位である。NHKの語学番組の扱いや語学テキストの売れ行き(2年ぐらい同じテキストを使っているとばかり思っていた)から、ロシア語は斜陽の言語とばかり思っていたが、違うのだろうか?ドストエフスキー、チェーホフ、トルストイなどのロシア文学は、メンタリティーが合うのか日本でも訳本が売れ行き好調であることは知っているが、ロシア語が静かなブームなのだろうか?全くその特典にあずからない身としてはほんとうに不思議な思いである。技術通訳などの仕事はウクライナ問題もあって低調なようだし、実際のところどうなのであろう?

出題)「ボヤで済んだ」をロシア語にせよ。

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2014年10月06日

●和文露訳指南第59回

家庭用ビデオについてはVHS対ソニーのベータの戦いがあり、1980年代半ばにはVHS側の勝利が確定した。井田真木子の『旬の自画像』(文芸春秋、1995年)によれば、1982年に出た、最初のアダルトビデオ「華麗なる遍歴・愛染恭子」(代々木忠監督)の評判を聞いたナショナル(現パナソニック)がこれを20分の販促用コピーにして、1982年~83年ビデオテープの景品としたところ、爆発的にテープが売れ、これがVHSの販路拡大に大いに貢献したとある。ビデオテープに関してはお父さん、おじさん、お兄さんパワーがかなりものをいったらしい。若くして亡くなった井田真木子は今見直されているドキュメンタリー作家であり、『もう一つの青春』など同性愛者を扱ったものがある。

出題)「僕は行かない方がいい」をロシア語にせよ。

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2014年10月07日

●和文露訳指南第60回

「調子はどうですか?Как дела?」と聞かれて、日本語の「まあまあです」のつもりでтак себе = ни хорошо, ни плохо, неважно (= не вполне хорошо, посредственно)を使うと、これは「ぱっとしない」という意味なので、誤訳となる可能性が高い。「まあまあ」とは多くもないが少なくもない、十分ではないが一応満足できる様ということであり、「まあまあです」と言いたければ、Хорошо.と言うか、ビジネス用語では、Нормально.を使うべきである。どうしても、まあまあのニュアンスをだしたというのであれば、Спасибо, помаленьку.(ぼちぼちです)を使うぐらいか。

設問)「何日付の検査結果ですか?」をロシア語にせよ。

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2014年10月08日

●和文露訳指南第61回

『和文露訳指南』第3章の出だしに下記を挿入願う。

イェスペルセンは『文法の原理』(安藤貞雄訳、岩波文庫、2006年)において、「現在というのは厳密に言えば現在の一瞬であり、点としてとらえることができる。ただ現在の一点が言及された期間内に入っていれば現在の時制であり、反復についても慣用ということで、現在の一点が含まれているから現在の時制になるのだ」と指摘している。

 過去から現在に至る継続(3-1-3-1項)や真理(3-1-10項)の用法は言うに及ばず、状態(3-1-6項)や過程(3-1-1項)の用法において不完了体現在形が用いられるのも、刻々と動く時間軸のこの一点(この一瞬)が動作に言及されているからだし、遂行動詞は過程の要素が、結果存続兼評価型動詞は状態の要素に現在のこの一瞬が含まれるために不完了体現在形という形式を用いるのだということが言える。

 毎朝通勤するというような反復の動作は、ある行為が現在から未来へと一定の時間間隔で、あるいは間隔を無視できるぐらい頻繁に繰り返されることを意味する。この一瞬というのは常に動いており、その動作が一定の時間隔後にこの一瞬となって繰り返されると言及されていることになる。反復の用法ではこの一瞬が動作に組み込まれているので、不完了体現在形という形式を用いるということになる。同じように、予定の用法では、過程の用法の延長として、未来に起こるこの一瞬の動作が言及されていると見なすことで、不完了体現在形という形式が使われるのだと思われる。

 歴史的現在では臨場感を出すために、現在の時制から過去を覗くように、過去の動作をあたかも現在のこの一瞬によって追体験させるために、不完了体現在形という形式が用いられているが、動作自体は過去ですでに完了しているため、表しているのはアオリスト的用法となる。

出題)「ロシア語の話せる人をお願いします」をロシア語にせよ。

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2014年10月09日

●和文露訳指南第62回

ヒレ肉(フィレ、大阪弁のヘレ)というのは、牛の大腰筋でテンダーロインという赤身の最高級の部位だが、これをфиле (филей)と訳すと間違いである。ヒレ肉はвырезкаといい、филеは肉(鶏肉も含む)や魚(三枚におろして)から骨を抜いた切り身のことである。漁業用語ではフィレーと言い、魚の切り身でも骨のついたものはкусокである。トンカツなどのロース (loin) はспинка (толстый край, тонкий край) であろう。

出題)「罵詈雑言が我々の暮らしのBGMのようなものになった」をロシア語にせよ。

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2014年10月10日

●和文露訳指南第63回

大岡昇平は好きな作家で『俘虜記』や『レイテ戦記』は、極限状態での人間同士の関わり合いを描き、興味深く読んだことは以前書いたことがある。ロシア語を勉強しているので、翻訳や通訳に絡んで日本語の文体論にも興味があり、大岡昇平の『現代小説作法』(大岡昇平全集第12回所載、中央公論社、1974年)を読んだ。その中でトゥルゲーネフの『猟人日記』の一節の訳である二葉亭四迷の『あひゞき』を、「コンマを読点、ピリウドを句点として、語の数も合うように移植したそうで、日本の言文一致の走りであるだけでなく、翻訳の手本を示したものです。文章としても、翻訳としても、その後これ以上のものは出ていないと言っても過言ではないほどの出来栄えです」と絶賛している。訳の日本語が素晴らしいというだけならともかく、ロシア語のできない大岡昇平がロシア語の翻訳について云々するのはまともな発想とは思えない。ロシア語と日本語は全く別の言語であり、それを二葉亭がしようと試みたように、「コンマを読点、ピリウドを句点として、語の数も合うように移植」というのは、たんに曲芸や職人芸の類であって、翻訳という芸術に対するものとは思えない。そういうのに感心しているのだから、日本の文士もまったく大したことがない。コンマもピリオドも同じようにするということを考えるよりは、いかに文意を正しく移し替え、耳への響きもよく、文体的に優れた訳をするかに心を砕くのが翻訳家としての本筋だろう。

 木村毅の「小説研究十六講」(恒文社、1980年)は松本清張が小説家を志すに当たって重宝したというものだが、その中に偶然、中村白葉による『罪と罰』の翻訳が人物・性格・心理の例として1ページほど挙げられていた。試しに12行ある文の文末を見てみると、「~た」ばかりである。確かにこれでは機関銃のようで芸がない。露文は過去時制なのだろうが、完了形も不完了形も、быть動詞もあるようなのだからおかしいように思う。山本夏彦が「本来、血沸き肉踊る大河ドラマであるはずのロシアの大作を、無味乾燥で晦渋な文章にしたのは岩波お抱えの米川正夫以下の翻訳者が文法的に正しくありたいあまり、日本語のリズムを失ったからだ」と批判しているのも分かるような気がする。この山本がロシア語を知っているというのではなく、多分文末の調子などから判断したものだろう。日本語の歴史的現在、遂行動詞というのに思い至らずに、形式重視の形式主義の端緒となったのは二葉亭ではないのか?

出題)「知らないことを知っているふりをすることは恥だし、有害である」をロシア語にせよ。

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2014年10月11日

●和文露訳指南第64回

遂行動詞というのは、発話と共に動作が始まり、発話の終了と共に動作が終わる、つまり過程の意味を内在しているわけで、時間軸の動作の一点は不動ではなく、動いているために不完了体が使われるということになる。また動作自体というよりは、動作の内容に焦点があることと、促し(着手)のニュアンスがあることから不完了体が来るということも言える。

出題)「彼は何か変だと感じた」をロシア語にせよ。

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2014年10月12日

●和文露訳指南第65回

『和文露訳指南』7-3項に若干手を入れた。

(電話か?飛び起きて聞き耳を立てる。いや、気のせいだ)Телефон? Вскочил, прислушался - нет, показалось! <показалосьは「一瞬そう思われた」ということで、不完了体の持つ持続性の観念はないから、казалосьに代えることはできない>

この動詞の完了体過去形である「思われた」はその動作が発現したことを意味し、「気のせいだ」という発現した記憶が残ることが動作の存続であって、これは動作の状態が継続しているということを意味しない。上の文で言うと(今も)電話の音が聞こえるような気がするというわけではない。もしそうならкажетсяとなり、その動作は終了せず、それこそ動作の状態が存続していることになる。

出題)「行き違いがあったとか、気分を害したとおっしゃるならあやまります」をロシア語にせよ。

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2014年10月13日

●和文露訳指南第66回

ロシア経済の成り行きを見る際に重要なのは原油の価格とされ、それはロシア連邦の予算の5割を原油やガスの輸出に依存しているからとされる。しかし、その価格の推移を見ても我々素人は何のことかよく分からない。重要なのは政府予算の損益分岐点(赤字予算を組む必要のない1バレルあたりの価格)であり、それが年平均1バレル105ドルであると2014年10月12日付読売新聞朝刊にはある。私が2006年に出版した『ロシア式ビジネス狂騒曲』(東洋書店)では、この損益分岐点を1バレルあたり10~12ドルと書いたのと比べると雲泥の差である。物価の上昇と、公務員や年金に対するプーチン氏のバラマキ政策もあるのだろう。この人気取りのバラマキ政策が悪いと言っているのではない。少数の金持ちに富が集中するよりは、いくらかでも庶民に還元される方がよいに決まっている。しかしながら、石油収入を積み立てた準備基金や国民福祉基金合わせて1500億ドル、外貨準備高4000億ドルとある程度の財政的余裕があると言っても、ものには限りがある。

 同じく読売新聞によると1バレルの原油価格は現在85ドルだから、1バレルあたり20ドルもロシアは損をしていることになる。一方天然ガスも、アメリカのシェールガスに押されて値下げの方向であろう。ウクライナ問題での西欧からの締め付けもルーブル安などで、アンダーブローのように利いているわけで、インフレが庶民の生活を直撃しているということから、そろそろロシアも西欧寄りの姿勢を明確にせざるを得ないと思われる。10月11日プーチン大統領がウクライナ国境沿いに展開していた17,600人に帰還命令を出したと10月13日付の読売新聞朝刊に出ていた。イスラム国の台頭やフランスやスペイン、ポーランドなどのヨーロッパの農業国も、ロシアへの農産物輸出がストップして青息吐息というから一つのチャンスでもある。しかし、肝心の東ウクライナのいわゆる親ロシア派武装勢力トップは、東ウクライナが自治共和国や独立となれば、高官になれるわけで、高官というのは利権がついてまわるという、いわゆる欲と名誉の二本立てなのだから、そう簡単にプーチンの言う事を聞いて矛を収めるとはとても思えない。

 2014年10月13日付のタイム誌にホドルコーフスキー氏とのインタビューが載っていた。母親が危篤に陥ったため刑期を後3カ月残してプーチン大統領に恩赦を要請せざるを得なくなった経緯を述べ、母親が亡くなったので、スイスからプーチン退陣のキャンペーンを張ると意気軒高である。しかし、反政府運動の一方の旗頭だったナヴァーリヌィ氏(銃器の合法化、外国人退去とか、愛国主義的な言動が目立ち、外国との協力は及び腰のようだ)も経済事犯で懲役5年の判決を受け、自宅軟禁の目にあっている今、ホドルコーフスキー氏が押すような候補は社会主義者のグドコーフ氏ぐらいらしい。タイム誌も原油の価格が90ドル近辺ではロシア経済における悪影響は避けられないだろうと指摘している。こういうことを考えると、当分ロシア関係のビジネスや観光はパッとしないだろうと思われる。日本政府は北方領土の問題もあるので、民間の企業にはロシアとの関係を切らないよううまくやってほしいと考えているようだが、肝心のロシアが不景気では、ロシア側パートナーも及び腰だろう。

出題)「何曜日がお休みですか?」をロシア語にせよ。

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2014年10月14日

●和文露訳指南第67回

『ロシア語百科 Русский язык Энциклопедия』(Советская энциклопедия, 1979)による動詞の体の説明を読んだ。動詞の体の文法的意味に関しては、少なくともこの百科辞典の発行の時には、共通の見解に達していないと述べ、「不完了体は動作の完遂завершённость действияの意味を持たないかもしれないし、持つかもしれない」とあり、「完了体は自らの抽象的な、質的な限界(そこに達すると動作が尽きるか、止むはずの臨界点)に達した動作という意味を持つ〔ヴィノグラードフ教授の見解〕」とか、「完了体は動作の不可分の全一性を持つ〔マースロフ教授やボンダールコ教授の見解〕とある。全一性については、不完了体の遂行動詞、結果存続兼評価型動詞、状態の動詞、予定の用法も完了体のような全一性を示すし、これらの不完了体の用法は状態の動詞を除けば、ヴィノグラードフ教授の完了体の定義にも当てはまる。いずれにせよ、これらの定義は正しいとは思うが、会話における和文露訳における体の使い分けには、抽象的過ぎて役に立たないと思う。

出題)「その後急に足がいう事を利かなくなり、頭が回りだすことがあった」をロシア語にせよ。

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2014年10月15日

●和文露訳指南第68回

ジョークや小噺、アネクドートの類はほとんどが面白くない。なぜかというとほとんどのオチは子供のころも含めて雑誌などに紹介されていて、既に知っているからである。しかもその源流をたどると、中国では二千数百年前の笑府などから江戸時代に翻訳されたものも多いだろうし、また人間は基本的に考えるところは同じだから、同じ発想の笑い話が長い間に生まれてもおかしくはないと考えられるからなおさらである。笑府の中の「女の知恵」というのは、クルガーノフの『文法文例集』Письмовникにも同工異曲のもの(フランスなどからの翻訳であろうが)があるが、それがいい例であろう。

 小噺には人の好みもある。私はロシア語のダジャレ、地口、その時々のロシアやソ連の時代風刺が好きだが、万国共通の艶話や政治小話が好きだという人もいるわけで、多くの人がこれはというようなアネクドートを見つけるのは至難の業である。オチが面白いかどうかにこだわらなければ、アネクドートは時代を知る上での宝庫と言ってよい。しかしアネクドートを理解するためには、現代の若者言葉や俗語のみならず、その当時(ソ連時代も含めて)の時代背景を理解する必要がある。アネクドートは30年ぐらい研究を続けてきたし、何冊か著書も書いた。ロシア・ソ連文学の露文解釈の代わりに、アネクドートで現代ロシアを読み解くという試みをレッスンの形で始めようかと考えている。これは映画や日常会話の聞き取り、文学の読解力向上に大いに役立つと思う。

出題)「彼は往生際が悪い」をロシア語にせよ。

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2014年10月16日

●和文露訳指南第69回

哲学者の木田元先生の「語学の勉強には精神を安定させるところがあります」という言葉を前に紹介したが、原語を読むというのは、特に抽象的な(想像の働きにくい)思想書や哲学書をすらすら読みこなすには相当の修練が必要である。毎日20~100ページくらいいろいろなロシア語の本を読むようにしているが、これは毎日副作用のない精神安定剤を飲んでいるようなものだし、新しい知見や考え方をも知ることができる。

 そうは言っても原語を読み始めるのなら、その人にとってとっつきやすいものから読むべきである。チェーホフの初期のチェホンテ名義のユーモラスな短編などは読みやすいし、今読んでいるトルストイの『読書の範囲』Круг чтенияも日めくりカレンダーに書かれているような古今の賢人の名言が、トルストイ自身のも含めて、短ければ1行や2行、長くても1~2ページで書かれているので、トルストイ好きな人以外にも、副作用のない睡眠薬や精神安定剤としてお勧めである。

出題)「奴はみんなになめられている」をロシア語にせよ。

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2014年10月17日

●和文露訳指南第70回

多分今回で和文露訳の短文出題は通算1200回となる。これまで続いたのも投稿者のおかげであり、深く感謝申し上げる。あとどのくらい続くのだろう。1200回全部に投稿したという方はいらっしゃらないが、自分で回答したという方はいらっしゃるかもしれない。もしそういう奇特な方がいらっしゃれば、御一報を。ある程度回数をこなせば、和文露訳に対しても特に構えることもなく、自分の弱点が分かって来ると思うが、その感想をお聞きしたいものである。それを『和文露訳指南』を使うことで、その弱点を克服できればよいと願っている。

出題)「始めます、始めよう」をロシア語にして、可能な限り挙げ、用法を説明せよ。自分で状況語を加えてもよい。

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2014年10月18日

●和文露訳指南第71回

警察小説が好きでいろいろ読んでいるが、太田蘭三の北多摩純情派シリーズなどはお決まりの面々が登場というお約束事があって、読んでいてほっとさせられるものがあるし、顔のない刑事シリーズはそれなりに読みごたえがある。最近はタイム誌が誉めていたタナ・フレンチの『悪意の森』を読んだが、登場人物を細かく描写するタイプのようで、読んでいて少し疲れる。第三作の『葬送の庭』の設定は奇抜だが、前二作ほどではなく、人物設定も説得力があり、文学的でもある力作。他にはダナ・レオンの『ヴェネツィア刑事はランチに帰宅する』も面白いが、ピーター・ラヴゼイ『最後の刑事』他のピーター・ダイヤモンド警視シリーズは、ユーモアとウィットの利いた会話、人物描写、アッと驚く結末も含めて警察小説では最高の出来のシリーズものだと思う。

出題)「エヂークが来てたって彼女に伝えてね」をロシア語にせよ。

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2014年10月19日

●和文露訳指南第72回

18世紀末には受け身の動作主がот + 生格でも作れるとクルガーノフの文法文例集にあったが、聖書のヨハネの第一の手紙の露訳の中にもあるので紹介する。トルストイの『読書の範囲』Круг чтенияの中にあったもの。

Братья, будем любить друг друга, ибо любящий рождён от Бога и знает Бога.(同胞〔はらから〕よ、お互いに愛し慈しもう。なんとなれば愛するものは神によって生まれ、神を知っているからである)

出題)「どなたとも知らない方にお答えするのはちょっと」をロシア語にせよ。

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2014年10月20日

●和文露訳指南第73回

不完了体は動作自体が文脈に依存するので、具体的な動作だったり、抽象的、非現実的、曖昧な動作を示したりする。不完了体が具体的な動作を示す用法としては、完了体が使えない、刻々動くこの一瞬を含む動作を示す現在の時制の、過程(進行形)、遂行動詞、結果存続兼評価型動詞、状態の動詞などがある。

出題)「彼は都会育ちだ」をロシア語にせよ。

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2014年10月21日

●和文露訳指南第74回

『和文露訳指南』6-2-5-1項を下記のように改めた。

 трудно(~することが困難である)というのは、ある状況が存在するために、しようとする動作が不可能に近いと言っているのであり、この状況がなくなったり、緩和されれば可能性が出てくるということになる。一方нетрудно, легко(~することが容易である)は、具体的なある状況下では動作遂行の不可能性が低いということである。つまり難易を示す副詞трудно, нетрудно, легкоは、具体的な1回の動作を示す事が多く、このように不可能性に関係すると見なされ、ふつうは完了体動詞不定形と結びつく。不完了体と結びつくのは継続、反復、また次に述べるように、動作遂行が権限や能力において主体の手に負えないというニュアンスがある時であり、他には6-2-5-2項参照願う。

出題)「おはきの靴のメーカーはどこですか?」をロシア語にせよ。

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2014年10月22日

●和文露訳指南第75回

『和文露訳指南』2-1-8-10項結果存続の無効を現在の時制に移し、項目も3-1-12項結果存続無効と変更して、下記内容を出だしとして追記した。

結果存続無効аннулированность результатаという用法は、動作が現在とは関わりがないことを示すわけで、動作が過去の時制であることを明確にするのに一番簡単なのは、反復の意味ではない不完了体動詞過去形を用いることである。不完了体動詞過去形は仮定法を除けば過去の時制でしか用いられないという特性を持ち、動作の有無の確認の用法でよく使われる。不完了体動詞過去形はこの用法の他に、過去完了(過去の過去を示す)、過去進行形を示すが、3-1-7項の経験の用法のように現在の時制の文脈で回顧的に用いれば、過去完了とか、過去進行形と混乱することはない。対義語のある不完了体動詞過去形を使った2-1-3項も、反復や過程の用法でないことが明確ならこの用法が使える。完了体動詞過去形の用法の項で述べるアオリスト的用法と結果の存続は形が同じなので、区別するのは文脈しかない。その場合結果の存続ではないことをはっきりさせるためには、結果存続無効の用法を使うことになる。

(彼は田舎育ちだ)Он рос в деревне. <育ったのは田舎だが、大人になるまでいたかは分からないし、もう田舎にはいないというニュアンスである。ちなみに日本語の「育った」はアオリスト的用法、結果の存続、過去完了を意味する>
(彼は田舎で大人になった)Он вырос в деревне. <вырасти = стать взрослымであり、アオリスト的用法か結果の存続(まだ田舎にいる)かは文脈で判断せざるを得ず、結果の存続であれば、まだ田舎にいるとなり、日本語の「田舎育ちだ」というニュアンス(田舎にはもういない)と食い違ってくる。このロシア語文は動作が時間軸の一点であるような状況語か文脈がない限り、アオリスト的用法ではなく、結果の存続と理解するのが普通であり、その曖昧さを避けるには結果存続無効の用法を用いるべきである>

設問)「いつもの時間に家へと帰った」をロシア語にせよ。

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2014年10月23日

●和文露訳指南第76回

ロシア経済の成り行きに注目せざるを得ない身としては、悪いニュースばかりが目につく。ルーブルの対ドルレートは今年6月に比べて、現在30%ぐらいルーブル安である。2014年10月27日付のタイム誌によると、国家収入の45%を石油やガスの税収から得ているロシアは、最近の原油の値下がりによって大打撃を被っている。2014年6月に1バレルあたり115ドルだった原油は現在85ドルまで下がり、この値下がり傾向は当分続くと識者は見ている。その理由として挙げられるのは、第一に世界経済の牽引役であった中国やドイツの景気後退によるオイル消費の減少傾向、第二はアメリカでの石油増産で、シェールガスの生産もあり6年前より2倍増え、1日当たり850万バレル生産している。第三はOPECの最重要国であるサウジアラビアも減産するよりは、生産量を維持して原油収入を維持する方針であり、他のOPEC諸国も市場シェアを奪われることを恐れて減産には踏み切れない。

 一方ロシアは、2015年から2017年の国家予算を1バレル100ドルで計算しており、既に1バレルあたり15ドル税収が落ち込んでいることになる。この損失の穴埋めに740億ドルあると言われる準備基金の半分を使わざるを得ない見込みで、シルアーノフ蔵相も税収不足のため国内のインフラの追加投資取りやめや、軍事費削減まで言及している。国内インフラの整備が遅れれば、ますます石油ガスの税収に頼る割合は増えるわけで、ロシア経済はますます悪循環に陥ることになる。2014年10月23日付読売新聞朝刊によれば原油は1バレル82ドルとのことであり、ロシアの原油生産量が日産1,000万バレルなので、1バレル80ドルになれば、予算との差は1日あたり2億ドルとなる。年間では準備基金が吹っ飛ぶ計算になる。シェールオイルも80ドルを切ると採算割れになるとも言われているから、このまま原油の値下がり傾向が続くというものでもないようだ。

 これは北方領土交渉やロシアとの経済協力にとってはプラスの材料かも知れず、石油は1バレル80ドルを割る可能性が高いと専門家はみているので、原油輸入大国の日本にとっては朗報だが、極微小なりといえどもロシアで食っている我々にとっては頭の痛い問題である。

出題)「乗員1名転落。付近一帯の海域を捜索中」をロシア語にせよ。

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2014年10月24日

●和文露訳指南第77回

日常会話で自分の意思を大体のところを伝えるのはそれほど難しいことではないが、精確に伝えるためには、自分が日本語でどのような動作を伝えようとしているのかを、存在と時間について明確に意識することが必須である。人間だから感じることにそう違いはないが、存在と時間の表現形式が言語によって異なるということである。私の言っているのは難しいことではなく、例えば「来た」というのは、「来ている」のか「来ていた」のか、「来る」というのは、反復の意味か予定の意味かなどを区別するという意味である。時制を区別しないと露訳できないことになる。これは日本語を勉強しているロシア人にも言えることで、日本語の時制を理解しないといつまでも外人日本語のままである。存在と時間(つまりは動詞の体、時制や法)について考えることは哲学することであると、木田元先生もおっしゃっている。ロシア語会話を通じて動詞の体や時制について考えれば、より精確により簡単に自分の意思をロシア語で伝えることができる。ロシア語で哲学しよう。

設問)「次の日曜は何日ですか?」をロシア語にせよ。

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2014年10月25日

●和文露訳指南第78回

私が動詞の体の本質が分かったと感じたのは2013年6月ごろで、ちょうど『新訂和文露訳入門』を出す間際の頃である。40年以上ロシア語をやってきてと、考えると情けない限りのようなものだが、会話の和文露訳をする上での体の使いわけの参考書がなかったし、教えてくれる人もいなかったのでやむを得ないと感じている。体の参考書ではA Grammer of Aspect, Forsyth, Cambridge, 1970がベストだと思うが、うかつなことにこの本の存在を教えてもらったのが2013年の8月であり、もっと早く読んでいたらと思わないわけでもない。ただ大学の時にこの本を読んでいても、理解できなかっただろう。理解するには何事もベースとなるものが必要である。会話のマスターを優先に考え、ロシア語を学んで最初の20年間は中級文法をやる傍ら、例文と語彙の丸暗記がベストと思い、慣用句や熟語、諺の暗記に徹していたからである。フォーサイス先生のこの参考書は、肝心の体の本質については完了体の動作の全一性ということに触れているだけで、後は、完了体と不完了体の結果の存続とか、順次的用法など、時制や法(命令法、不定法)において、個別に詳しく説明しているに過ぎない。露文解釈ならこれで十分だが、会話での和文露訳をする上で、一つの動詞文をロシア語にしようとすると、どちらの体を使うのかが、これではうまく出て来ない。うまい具合にフォーサイス先生の挙げてある例文に近いものが出ればしめたものだが、そう世の中はうまくいかないものである。それと発行年代からやむを得ないとは言え、遂行動詞の説明がないし、体の本質がよく説明されていないために、不完了体未来形の説明が不十分である。一番問題なのは完了体と不完了体が同じような文で使われる場合は、どちらが使われる確率が多いかという説明であり、これも体の本質を説明できていないからだと思う。

 体の用法についてはロシア語を学んで数年後に読み始めた『ロシア語動詞 体の用法』、(О. П. Рассудова、磯谷孝訳編、吾妻書房、1975年)、『演習ロシア語動詞の体』(磯谷孝編著、吾妻書房、1977年)や『ロシア語の体の用法』(原求作、水声社、1996年)に負うところが多い。この3冊は30年の間何度も読み返した。体について何とか分かるようになったのもこの3冊の本のおかげである。おかげで結果の存続や順次的用法はわりに早い時点で理解した。遂行動詞のсообщать(知らせる)やその類語については、商社にいてビジネスレターを受け取ったり、自分で作ったりしていたので、ロシア語を学んで数年してそういう奇妙な形式があることには気づいていたが、これもただ丸暗記しただけである。私の体の理解が進んだのは、ひとえに、2011年に偶然手に入れたНовый объяснительный словарь синонимов русского языка, Ю. Д. Апресян 他, Школа «Языки русской культуры, 1999 – 2003(3巻本、総ページ1,300)を4カ月かけて読み通したことによる。これによって遂行動詞や結果存続兼評価型動詞の理解が深まった。この後フォーサイス先生の本やA comprehensive Russian grammer, Terence Wade, Wiley-Blackwell, 2011, 3rd editionの例文で自説の正しさを確認することができたと思う。否定について確信が持てたのは2014年6月にパードウチェヴァ先生の参考書を読んだからで、これを読んだことにより、否定についての自分の考え方が間違っていなかったことを豊富な例文で確認できたわけで、『和文露訳指南』を出版する踏ん切りがついた。

 まだ体が分かってから1年ちょっとではあるが、細かい点での発見や見直しがあるとはいえ、和文露訳をする上では、今のままの自分の理解でよいと思っているが、より分かりやすくという観点から表現の仕方にひと工夫あってもよいかもしれない。

出題)「彼は怪我をしたが、命には別条ない」をロシア語にせよ。

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2014年10月26日

●和文露訳指南第79回

『木田元の最終講義 反哲学としての哲学』(木田元、角川ソフィア文庫、2008年)を読んだ。これまで読んだ木田先生の著作のまとめのようなものだが、弟子筋の村岡晋一中央大教授が書かれた解説が面白い。木田先生が、「本がちゃんと読めるようになれば人柄がよくなる」とおっしゃったのは、「原文をきちんと日本語に移しかえることができれば、その文章だけでなく、前後の文脈が一気に誰にでも理屈抜きにクリアになる」ということであり、「テキストの一文を自然な日本語にできなければ、結局その部分を理解できていないことがばれてしまう。その結果テキストの間では分からないことを分かったふりなどできなくなり、謙虚にならざるを得ないというわけである」というのが木田先生から学んだ教訓であるとある。「ちゃんと理解すれば、それにぴったりと当てはまる日本語の表現が見つかるはずだ」という木田先生の信念については、全く同感である。「哲学は本来難解なものだから、翻訳が分からないのは読者の無理解のせいだと言わんばかりのものが多かった」とか、「哲学とは人類普遍の英知とばかり教えられてきた」が、木田先生は、「日本で哲学と言っているのは西洋哲学のことであり、日本の哲学的翻訳のレベルを全く新しい次元にまで高められた」とあるのもうなづける。1972年から毎週月曜中央大学後楽園キャンパスにてドイツ哲学書の原書を読む読書会を主宰され、休むのは正月ぐらいだったとあるから、後進の指導にも熱心だったことがよく分かる。

 木田先生は最初ハイデガーの『存在と時間』を読解するために、ドイツ語の他に、フランス語、英語、ラテン語、古典ギリシャ語も学ばれたと聞く。そうであればドイツ人の哲学を専攻した人と哲学についてドイツ語での会話でどのくらいわたりあえたのだろう?ロシア語から類推すればロシア語読解がかなりのレベルできても、会話のロシア語(和文露訳)ができるかは別問題であり、私がいた頃の大学でロシア文学専門の先生方は会話が得意の方は少なかった。これは当然のことで、和文露訳は和文露訳用の勉強をしないとうまくならないからである。これまでは初級文法を終えた後はおおむね例文の丸暗記だったが、和文露訳用に理詰めの、動詞の体を中心とした勉強を私は提案している。木田先生のように読解だけと割り切るにせよ、語彙を完璧に理解するためには原語の語彙を使いこなせなければ、読解の方も完璧な理解にはならないと思う。使ってみて初めて知る、その語彙のニュアンスや味わいというものがあるからである。動詞の体の用法を理解し、使いこなせなければ、ロシア語からの翻訳などとてもできるものではないと思う。翻訳や通訳を考える上での最初の通過点が体の理解とその使い分けであり、それができない人が翻訳や通訳をするというのはそら恐ろしい気がする。

出題)「何をした後に痛みが起こりますか?」をロシア語にせよ。

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2014年10月27日

●和文露訳指南第80回

『和文露訳指南』3-1-2項の出だしとして下記追加願う。

過程(進行形)は進行する動作の平面が開放的であるが、円とか四角や不規則な形でも、ループのように始点と終点が一致する閉道を動けば、動作は反復することになる。これは池の回りをぐるりと何度も一方向に歩いたり、走ったりすることをイメージするとよい。この動作自体は過程であり、不完了体は過程も示せるのだから、ここから2-1-6項で説明した規則的(偶発的ではない)反復も示す事ができるという理屈になる。

出題)「どんな色がお好きですか?」をロシア語にせよ。

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2014年10月28日

●和文露訳指南第81回

遂行動詞というのは発話と同時に動作が始まり、発話の終了と共に動作が終わるということで、過程の意味と完遂の意味が同時に含まれている。この過程の意味があるために完了体は使えず、動作が発話と同時なので不完了体現在形が来ている。遂行動詞というのは、どの動詞でも不完了体現在形で一人称ならなれるかというとそうではない。『和文露訳指南』の3-1-4-3項にあるようにオースティンは5つ挙げているが、一言で言えば意思伝達型の動詞である。これ以外の動詞идти(運動の動詞)、чувствовать(感覚の動詞)などは基本的に遂行動詞にはならない。なるとすれば、Идёт.(オーケー)というような意思伝達の意味を持つときである。

出題)「1901年彼は国境の部隊に異動した」をロシア語にせよ。

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2014年10月29日

●和文露訳指南第82回

『和文露訳指南』5-1項の出だしに下記追記願う。

動作の全一性というのは完了体の特質とされるが、不完了体にも現れる場合がある。特に強く現れるのが次項で説明する命令法の促しや着手の用法である。完了体は話し手が動作遂行の結果として、時間軸の特定かつ不動の一点をイメージするのだが、不完了体におけるこの点は全体を一つの大きな点として見立てたものであり、不動の極小の一点ではない。完了体の動作の全一性には動作の結果を包含しているが、不完了体は動作の結果を意識しないから、全一的動作を提示ないしは示唆していることになる。いわば動作に主観性を与えず、聞き手にその動作を行うかどうかの選択の余地があることを示しており、この状況下ではこうするのが自然であると言っているに過ぎない。ただこの状況下での動作ということを強調すれば、義務や強制というニュアンスが出てくるが、これは何の色にでも染まる不完了体の特性であり、それは飽くまでも文脈に依るのである。

出題)「二部授業をせざるを得なかった」をロシア語にせよ。

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2014年10月30日

●和文露訳指南第83回

どんな動詞も完全な体のペアになるわけではない。完全な体のペアになるのは動作動詞である。それは動作動詞のсесть/садиться(座る)と状態の動詞сидеть(座っている)を比べてみれば分かる。понять/понимать(理解する)という動作動詞でも、不完了体が「分かっている」という状態の意味の時は、露露辞典でも完了体か不完了体か別項を立てるのが普通である。なぜなら状態の意味が完了体の語義にはないからである。これは完了体が動作結果の存続を除けば現在の時制を示す事ができないことに起因する。『和文露訳指南』7-3項の動詞も不完了体が状態の動詞であるために、不完全なペアである完了体の方は動作の結果の存続ではなく、動作の記憶の存続しか示す事ができない。

出題)「夜間、サンマは光源に勢いよく集まって来る」をロシア語にせよ。

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2014年10月31日

●和文露訳指南第84回

叙想語にも遂行動詞的用法がある。船舶用語で、「エンジン停止(エンジンを停止せよ)!」)というときに、Машина больше не нужна! <= Остановите машину.>というが、これなどもそうであろう。

出題)「その学校は完全に独立採算で運営され続けた」をロシア語にせよ。

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2014年11月01日

●和文露訳指南第85回

『和文露訳指南』4-1-1-6項出だしに下記を追記した。

不完了体というのは場依存型であり、これを未来の時制の否定文で用いると、その文脈(慣習)により当然なすべきと考えられる行為や動作を否定するわけだから、慣習に逆らうことになり、そこから主観的ニュアンスが生まれ、意識的な行為や動作を示す事になる。注意すべきは、不完了体未来形の否定は、あくまで文脈という枠内の中において、その文脈で当然行われるはずの行為や動作を否定するのであって、完了体のように始めから文脈や場を度外視しているわけではないということである。

出題)「彼らは警察のお世話になったことがある」をロシア語にせよ。

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2014年11月02日

●和文露訳指南第86回

完了体と不完了体の使い分けをより簡便にするために、『和文露訳指南』第1章の完了体の定義として、「完了体は話し手が動作遂行の結果として、時間軸の特定かつ不動の一点をイメージする」と書いたが、もっと簡単に定義できるはずだと、ずっと考えてきた。その思案をここに述べる。

 動詞の完了体の定義については、第67回で『ロシア語百科 Русский язык Энциклопедия』(Советская энциклопедия, 1979)にある、「完了体は動作の不可分の全一性の意義значение неделимой целостности действияを持つ〔マースロフ教授やボンダールコ教授の見解〕を紹介した。これは完了体が明示的な機能を持つという有徴性からのものであり、不完了体については「不完了体は動作の完遂завершённость действияの意味を持たないかもしれないし、持つかもしれない」というあいまいな記述をせざるを得ないことからもそれは理解できる。これは会話で和文露訳をする際にどちらの体を使うかを決めるには、まったく役に立たないことは明らかである。

 会話における和文露訳での体の使い分けを可及的速やかに、実用的に行うには、やはり完了体のもつ有徴性から考えて、完了体のもつ動作の不可分の全一性の意義という定義から出発するのがよさそうである。完了体が動作の不可分の全一性を意味するのであれば、中途の動作である過程を完了体は示せないことになる。しかし、動作の不可分の全一性だけでは、不完了体の遂行動詞、状態の動詞、予定の用法も動作の不可分の全一性を示すわけで、これだけでは不十分である。そこでもう一つの説「完了体は自らの抽象的な、質的な限界(そこに達すると動作が尽きるか、止むはずの臨界点)に達した動作という意味を持つ〔ヴィノグラードフ教授の見解〕」を考慮に入れれば、完了体は中途の動作である過程を示せないのは明らかとなる。

 つまり、「完了体は刻々と動く動作のその瞬間を表現できない」ということになり、これは過去、現在、未来、不定法、命令法、その他の表現においてもそうである。これが体の使い分けを行う上での大本であり、全ての個別の体の使い分けはここから発していると言える。またその瞬間の動作の表現は、他に代わるものがないから、やむをえず、不完了体が担うことになる。

 完了体過去形や被動形動詞過去短語尾の結果の存続の用法、また結果存続兼評価型動詞では、動作は既に終わり、動作の結果だけが示されているに過ぎないので、上の定義と矛盾しない。体の本質は同じであるが、その現れ方に強弱が出る場合もある。体の本質についてのお題目だけ唱えても、会話の和文露訳で体の使い分けができるようになるわけではない。第2章以下の個別の具体的な用法により動詞の体の用法を検証し続ければ、必ず体の本質の奥義を極められる。

出題)「彼がこの前村に来たのは54歳の時だった」をロシア語にせよ。

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2014年11月03日

●和文露訳指南第87回

『和文露訳指南』2-1-3項の前半分を下記のように変更した。

 不完了体過去形の用法には反復と、過程(при-という接頭辞のついた運動の動詞以外)の用法があるが、本項で取り上げる動作の往復の用法двунаправленное значениеというのは、完了体過去形に見られる結果の存続(3-2-1項)の用法のアンチテーゼとして生じた結果存続無効(3-1-12項)の一つである。動作やその結果が反対方向に向けられた動作や出来事によって容易に取り消されるような動詞の用法を意味する。この用法には、運動の動詞の不定動詞ходить, ездитьの過去形、および接頭辞のついた運動の動詞の不完了体動詞過去形、および対義語のある動詞群の不完了体過去形を用い、動詞の体のペアがある動詞である。例を挙げると、приходил = пришёл и ушёлは、<来たが立ち去ってしまって、今はそこにいない>を意味し、完了体過去形の順次的用法を意味する。同様に、входил = вошёл и вышел(そこに入って出て、もうそこにはいない)、заходил = зашёл и ушёл(立ち寄って、去った)、отходил = отошёл и подошёл(その場を離れて、又戻ってきた)、уводил = увёл и привёл(連れ去って、又連れ戻った)、уходил = выходил и вернулся(その場を出てから戻ってきた)などである。

 この用法では時の状況語と併せて用いられることができる。解釈は二つあり、一つは完了体の順次的用法の代用であるから、とんぼ返りを示す折り返し地点のような時の状況語と併せて用いられても問題ないはずだという考え方であり、もう一つは、このような動作の往復では、とんぼ返りのような動作には実際上ならないので、時間の状況語は無限小の時間軸の不動の一点ではなく、「期間内に」を意味するという考え方である。

 この用法では動作が往と復の二つあり、復の動作は往の動作と同じ内容だが方向のみが逆、つまり同価で符号のみ(+)が(-)に変わっただけの反復動作と考えられるので、2-1-6-1項のみなし反復として不完了体が使われると考えてもよい。

 ちなみに、この用法は反復、過去進行形(при-のついた運動の動詞群を除く)、動作の有無の確認と解釈される場合も文脈によってはありうるので、何でもこの用法だと決めつけてはならない。また歴史的現在の用法は実質的に順次的用法なので、時間軸の不動の一点と不完了体現在形が結びつくことになるので、これと混同しないよう注意すべきである。

(昨日僕のところに友人たちが来た)Вчера ко мне приходили друзья.
(1992年カザンに議員としてタタール議会にやってきた)В 1992 году приезжал в г. Казань на Татарский Конгресс в качестве делегата. <приезжал = приехал и уехалであり、1992年内に来て帰ったという意味>

出題)「サケマスは産卵に川に上る」をロシア語にせよ。

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2014年11月04日

●和文露訳指南第88回

新聞やテレビの報道などで事故や事件で亡くなった人の遺族や友人が、「故人は今頃天国で我々を見守っていると思います」というような発言をよく聞く。キリスト教徒は1億3千万人いるという日本国民の200万人くらいだから、こういう発言をする人は普通の日本人だろうと思う。亀井勝一郎は『日本人の精神史』第1部『古代知識階級の形成』の中で、飛鳥や奈良時代におけるいわゆる初期の神道では、死は穢れであり、死んだら山の彼方に行くとあるだけだと述べている。死が穢れだから、神社には墓がないし、私見だが、神仏習合というほど仏教と神道が日本人において密接なつながりを持っているのも、仏教が死に関わる葬儀や埋葬を引き受けているからだろう。『日本宗教史』(末木文美士、岩波新書)だったと思うが、江戸時代になって、神道も体系化され、死後人の魂は荒魂(あらぶる魂)となり、生きている人に害をなすので、これを鎮めるために供養をするが、それにより徐々に和魂(にぎたま)となり、33年経って(33回忌とかお釈迦様の生まれ変わる数の33に関係しているかもしれない)先祖の霊と一体化するとある。次回に続く。

出題)「昼食は何になさいますか?」をロシア語にせよ。

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2014年11月05日

●和文露訳指南第89回

『日本人と地獄』(石田瑞麿、講談社学術文庫、2013年)によると、地獄思想が日本で広く受け入れられたのは、10世紀末の往生要集が具体的に地獄を描いてからであり、地獄としての最初の発想は八寒地獄であったのが、八大(八熱)地獄の方が有名になっていったらしい。思うに、寒さがひどくなると眠くなって凍死するわけだが、熱さの方は暑くなる一方だし、日本には火山や温泉がたくさんあるから、具体的にイメージしやすかったからかもしれない。八大地獄というのは殺生などすると、等活地獄(罪障が尽きるのが1兆6200億年後)から、黒縄地獄(罪障が尽きるのが等活地獄の8倍後で、苛烈さは10倍)、以下罪障の尽きる長さと苛烈さは10倍で、衆合地獄、叫喚地獄、大叫喚地獄、焦熱地獄、大焦熱地獄と続き、最後の阿鼻地獄(これは罪障の尽きる期間が1千倍で、苛烈さは2倍)となり、各地獄には16の小地獄があると書かれている。人は生きている以上、肉食、魚食、野菜や果実を食べたりして生き物の殺生せざるを得ないわけで、そうなるとだれでも堕獄する(地獄に堕ちる)と考えるのが普通だ。そこで、地獄から救い出してもらうため、また後生を願うため、あるいは代受苦として(地蔵)観音さまなどに代わりに地獄での苦患(責苦)を少しの間だけでも代わってもらうため、僧侶に有難いお経を読んでもらって、回忌ごとに盛大に追善供養をしてもらうという発想なのだろう。

 話が長くなったが、これが日本人の伝統的な死生観だったはずで、聖者でもない限り、普通の人は中有(次の生を得るまでの中間的存在)にいて、次の生まれ変わりを待つということだと思っていた。死んだら天国に行くという発想はキリスト教との天国と西方浄土の極楽の混淆としか思えない。だから悪いということはないが、日本人の死後の宗教観が変化したということかもしれない。外国人に日本の宗教観を説明せざるを得ない身である以上、いろいろ書いてしまった。私個人は不可知論者であり、至高の存在というものはあるのかもしれないが、あったとしてもそういう存在がわざわざ人間に関わりをもつというのが理解できないし、ましてやお賽銭やお参りをすると神仏が喜ぶとか、そうしなければ機嫌を損ねるとか、祟るというのはまったく理解できない。お賽銭を上げる人も神仏の存在を信じているというよりは、もし神仏が存在していて、機嫌でも損ねたら困るし、ひょっとしてお賽銭で幾分かは幸運を分けてもらえるかも知れず、ダメ元といったところなのだろう。

 地獄ならいつかは年期が明けて、生まれ変わるか極楽にいけるという期待があるが、天国や極楽はそれ以上の場所がないし、いくら美人(美男)や美食が満ち溢れていると言っても、それだけでは退屈な場所のようだ。そこに行けたとしても、ずっとお教や聖書やコーランを読んでいなければならないのだろうか。死ねば終わりというのが私の考えであり、せいぜいのところ、死ねば無になるか、全ての根源たる宇宙と一体化するというところであろう。

出題)「私の言う事を最後まで聞いていただけるなら、それを例に示して解説します」をロシア語にせよ。

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2014年11月06日

●和文露訳指南第90回

時の状況語と不完了体は相性が悪いと述べたが、不完了体と時の状況語が結びつく場合もある。これを詳しく説明すると、時の状況語を時間軸の特定かつ不動の一点を数学的に大きさのないもの(無限小)と捉えれば、完了体的アプローチであり、その点に大きさがあると感じられれば、「期間内に」ということになり、不完了体的アプローチということになる。不完了体的アプローチでは、この時間的枠内であれば、動作は1回でもよいし、またそれ以上でもよい。またある程度継続してもよく、その時間内のいつということを明示しないということになる。明日завтраという時の状況語を大きさのない点ととらえれば、完了体的アプローチであり、明日中(のいつかとか、何回とは意識しない)という期間内にと捉えれば、不完了体的アプローチとなる。体の用法は伝えようとする事柄への話し手の意識に関わってくるというのはそういう意味である。

出題)「現在本船の速度は何ノットですか?」をロシア語にせよ。

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2014年11月07日

●和文露訳指南第91回

『和文露訳指南』3-1-10項の出だしに下記を追記した。

真理というのは過去から現在への反復や継続であるとも言える。「地球が太陽の周りを回る」といっても、遠い未来には太陽も地球も、この宇宙も消滅すると言われているから、未来のことは分からないが、少なくとも今現在は真理と見なす事ができるということと、真理は永遠性と慣用、無条件性を強調した概念というよりは、真理やものの本質の時制には、現在のこの一瞬も含まれるから、過去、現在、未来の時制でも不完了体動詞現在形が用いられる。

出題)「時間があれば僕が行ったのに」をロシア語にせよ。

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2014年11月08日

●露文露訳指南第92回

作家・宗教家フョードル・ストラーホフФёдор Страховによれば、ソクラテスは賢者を助産婦に例えた。助産婦は女性に赤ん坊を作らせはしないが、自力で出産する手助けをすると述べたと友人のトルストイは『読書の範囲』に書いている。このように教師の役割というのは生徒の学習における弱点を見つけ、それを指摘し、改善点を見出す手助けをするということにある。しかし大学や語学校で大勢の学生とともに画一的な授業を受ける場合や、自学自習ではなおさらそのような機会は得難い。和文露訳の短文課題は、ありがたいことに他の投稿者の回答があるので、間違いや改善点のちょっとしたヒントが与えられることにより、文が短いゆえに学習者自身が自分の弱点に気づきやすく、自学自習を助ける上で最善の方法の一つだと考える。

出題)今回だけ講演会の会場を借りた人にかける言葉「お帰りになる時に明かりを消して下さい」をロシア語にせよ。

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2014年11月09日

●和文露訳指南第93回

『和文露訳指南』5-1-6項の出だしの部分を下記のように改めた。

 命令法においては現在の時制の反復といっても、動作はこれからになるので、厳密に言えば時制的には未来であり、ただそれが現在にほぼ接している時点以降を扱うか、現在とは距離を置いた未来の反復を扱うかという違いだけであり、扱う時系列的な範囲は重なる。この違いを示すのは、従属節におけるбытьの未来形の有無のみである。これは不完了体未来形が近接未来を表現できないことに起因する。下記の文でもбудетеがついていれば、現在とは離れた未来の時制の反復を意味するが、そうでなければ、現在とほぼ接した時点以降の未来の反復というニュアンスになるが、反復という動作に変わりはなく、会話においてはбудетеをつけようとつけまいと、このようなニュアンスを除いて意味に変わりはない。4-1-1-9項も参照。

(彼がつけ上がるようなら、たしなめなさい)Если он будет заноситься – одёргивайте. <Если以下の従属節が未来の時制の反復を示している>

(帰る時はいつも明かりを消して下さい)Всегда. когда (будете) уходить, гасите свет.

 上の文を「今日は」というような具体的な1回の動作にすると、下記のように、主文に完了体命令形が来る。

(お帰りになる時は明かりを消して下さい)Когда будете уходить, погасите свет.

 上記の文ではбудетеはこれからの動作である未来の時制を示すという点で必須であり、不完了体未来形は近接未来を示せない代わりに、未来の動作にある程度の時間の余裕を与えるという機能もある。また4-1-1-9項にあるように、文の焦点が主文の動詞погаситеにあるため、когда以下の従属節では未来の時制における動作の有無の確認であり、文の焦点がこないために不完了体未来形が用いられているとも言える。когда以下の従属節に完了体未来形が来ると順次的動作となって、帰る動作と明かりを消す動作が、継時的にあまり間をおかず行われることになり、この文では不自然である。

出題)「どんな魚の缶詰の人気が高いですか?」をロシア語にせよ。

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2014年11月10日

●和文露訳指南第94回

『和文露訳指南』第5章の命令法の出だしに下記追加した。

不完了体は回りの状況に依存するので、願い事、説得、主張、反抗的態度、脅しなどの感情的な色彩をもつことがある。完了体は回りの状況に左右されないので、感情にも左右されないということになり、超然的なニュアンスがある。不完了体の命令法は、Продолжайте.(〔そのまま〕続けなさい)やОставайтесь.(〔そのまま〕残っていなさい)というように、現在の状態のまま動作をつけるということを示す事が可能だが、これもそのままにせよという指示は一瞬後であり、命令法では不完了体も完了体も時制的に言えば、早くて一瞬後とはいえ、これからの動作だから、未来の時制との関わりが強いと言えるため、未来の時制の体の用法が大いに参考になる。5-2-4項などその典型だろう。

出題)「大陸からの気団が寒冷前線となって太平洋上に張り出しています」をロシア語にせよ。

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2014年11月11日

●和文露訳指南第95回

『和文露訳指南』2-1-8項に下記追記乞う。

歴史的現在というのは、過去の出来事を本来アオリスト的用法で表現するはずの動作を、あたかも今眼前で起こっているかのような臨場感で示すために、刻々と動く今この一瞬が含まれているかのように表現するため、不完了体現在形が使われるということになる。

出題)「何か分かったらすぐ電話してくれ」をロシア語にせよ。

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2014年11月12日

●和文露訳指南第96回

『和文露訳指南』4-2-1項の出だしに下記追記願う。

 完了体過去形にはアオリスト的用法があり、その派生として結果の存続という用法がある。完了体過去形という一つの形式に過去完了の完了と現在完了の完了という二つの用法があって、それを文脈により使い分けているということになる。同様に完了体未来形の完遂的用法にも、近接未来ближайшее будущее(発話時点のすぐ後に続くか、発話時点と融合した未来)で用いられる近接未来完了と、発話の時点と隔たっている未来で用いられる未来完了の二つの用法がある。近接未来完了には動作結果表出の想定というニュアンスがあり、発話のすぐ後に動作が起こるため、今というような副詞を除き、具体的な時の状況語と共には使われないことが多い。動作結果表出の想定というのは、動作が始まって終わるという動作の全一性の後で、何らかの結果のニュアンス(そこにそのままいるとか、結果の良否などの主観的ニュアンス)が発話の時点で想定されるという意味であり、完了体過去形の結果の存続と対比される。不完了体未来形は未来の時制の動作の有無の確認はするが、動作の完遂には言及しない。

(その仕事を終わらせる)Я кончу работу. <その仕事が遂行されて、やることがなくなるというニュアンス>
(〔終業時間なので〕仕事は終わりにします)Я буду кончать работу. <時間的に終わる区切りを指しているのであって、仕事自体は残る>
(今〔ここで〕お別れをして、もうお会いすることはありません)Сейчас мы с вами порощаемся и больше не увидимся.

 未来完了では具体的な未来の時の状況語をイメージする。未来完了においては未来において動作の結果が現れるが、それは発話の時点とは結びつかない。未来の時制における被動形動詞過去短語尾は、この未来完了の用法で用いられる完了体他動詞由来であり、近接未来完了では用いられない。

(彼は今日明日中に死ぬ)Он сегодня-завтра умрёт.
(彼は1年後モスクワに行く)Он уедет в Москву через год.
(日本は必ず復興する)Япония обязательно возродится!  <漠然とした遠い未来であっても、動作が完遂すると話し手が考えている以上、完遂に時点というものが必然的に成り立つと想定されるので完了体未来形が用いられる>
(欠席ないし遅刻に対しては罰が下されることになる)За небытие или опоздание будет взыскан.
(差額は発注者によりそれに応じて払い戻しされることになる)Разница будет возмещена соответственно заказчиком.

出題)「その場所は低地だったので、洪水のときはよく冠水した」をロシア語にせよ。

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2014年11月13日

●和文露訳指南第97回

『ロシア語動詞 体の用法』(О. П. Рассудова、磯谷孝訳編、吾妻書房、1975年)の124ページにある「Ⅱロシア語動詞の時制体系における完了体未来の特別な位置」には「完了体現在と完了体未来」とを分けて考えているという点で、ロシア語会話という観点から大いに参考になる。また近接未来ближайшее будущееは同書には、「発話時点のすぐ後に続くか、発話時点と融合した未来」とあり、完了体は報告や論文などにおける近接未来の表現で非常によく用いられると指摘されている。さらに、「ロシア語には、完了体未来形を不完了体未来形ではなく、不完了体現在形と対比しなければならない意味領域が存在する。とくに近接未来を表す場合に、不完了体の動詞は用いられないのである」とあり、これは不完了体未来形が近接未来では用いられないということであろう。なぜなのかを考えてみた。

 過去というものはすでに動作が終了しているので、終了したという確認は不要であり、そのため不完了体過去形は直近の過去でも使えるが、未来においては、動作が終了するという確証はその動作の結果が出るかどうかである。不完了体未来形は、動作の有無の確認だけで結果には言及せず、そのため未来における動作の不確実性が感じられる。近接未来というのは極端に言えば、一瞬後に動作が始まって終わり、一瞬後ゆえすぐその結果が出て、それが分かるというニュアンスであるが、不完了体では動作が終了するかどうかは文脈次第であり、いずれにせよ結果については示せないから、近接未来には用いられないということになる。近接未来については文脈依存性があれば、不完了体現在形の予定の用法が用いられる。

出題)「誰から聞いたとは言わないから、教えて」をロシア語にせよ。

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2014年11月14日

●和文露訳指南第98回

否定の用法についてまとめてみると、完了体過去形はアオリスト的用法(派生としての結果の存続)、完了体未来形は不可能という用法の他に、具体的な一つの動作がないことを示す。不完了体過去形は動作の無の確認で、不完了体現在形は、動作が全くないこと(これには一つの動作がないことと、反復がないことの二つが含まれるが、どちらかは文脈による)。第85回にも述べたように、不完了体未来形の否定は、あくまで文脈という枠内の中において、その文脈で当然行われるはずの行為や動作を否定するのであって、完了体のように始めから文脈や場を度外視しているわけではないということである。つまり不完了体未来形は動作が未来において動作の無の確認であると同時に、いかなる状況においても動作がないという、意識的否定を意味する。完了体未来形の否定は具体的な一つの動作が未来において行われないという事を示すが、不完了体未来形の否定は具体的かどうかにかかわらず、一切の動作を否定するという違いがある。
P.S. 第96回の本文を若干訂正したので、ご興味のある方は一読願う。

出題)「私はこれを過去、現在、未来において信じる」をロシア語にせよ。

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2014年11月15日

●和文露訳指南第99回

遂行動詞も既知の状況を踏まえての、みなし反復の用法であり、それゆえ不完了体が用いられるのだと言える。次の文も着陸の許可を求めてきて、それに対する応答であるということがみなし反復となるのである。

(着陸を許可します)Разрешаю посадку.

出題)裁判官が裁判所での裁決で言う「異議の申し立てを却下する」をロシア語にせよ。

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2014年11月16日

●和文露訳指南第100回

昔会社勤めをしていたころ、ある同僚が1円とか、10円とか、100円とか道に落ちていてもぜったいに拾わない。なぜならそれで自分の運を使い果たすような気がするからだと言っていた。20年以上前NHKにアネクドートを100話訳したものを送ったら(他にも10社ぐらいコピーを送付した)、担当者から話をしたいという事で呼ばれたことがある。NHKの近くを歩いていたら、財布が落ちていて、千円札が何枚か顔を出していた。普通なら拾うのだろうが、そのときはここで運を使い果たしてはいけないような気がして、拾わなかった。だからなのだろうか、アネクドートは採用されなかったが、NHKのラジオのロシア語講座テキストの後ろの穴埋めに半年ほど私のエッセーが採用されたことがある。あれで運は使い果たしてしまったのだろうか?!

出題)「水曜遅く台風は上海に上陸予定」をロシア語にせよ。

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2014年11月17日

●和文露訳指南第101回

上級文法を知り、かなりの語彙を知っていても、それで自動的に会話ができるということにはならない。言葉の使い方、つまり語用論を会得していないと、いつまでたっても挨拶どまりか、ホテルのチェックイン程度である。もしホテルの部屋がダブルブッキングなんてことになれば、まったく使えないロシア語である。会話には会話用の勉強があり、それを理解することで、露文解釈の方の力もつく。

設問)「いじめられたり、人に悪意を感じたりする時はいつも、全ての人は神の子供であるという事を思い起こすようにしなさい」をロシア語にせよ。

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2014年11月18日

●和文露訳指南第102回

時の状況語と不完了体は相性が悪いと述べたが、不完了体と時の状況語が結びつく場合もある。これを詳しく説明すると、時の状況語を時間軸の特定かつ不動の一点を数学的に大きさのないもの(無限小)と捉えれば、完了体的アプローチである。理論上はともかく、現実には大きさのない点は存在しないわけで、その点に大きさがあると感じられれば、「期間内に」ということになり、不完了体的アプローチということになる。不完了体的アプローチでは、この時間的枠内であれば、動作は1回でもよく、またそれ以上でもよい。またある程度継続してもよいし、その時間内のいつということを明示しないということになる。明日завтраという時の状況語を動作が起こるという点だけに注目して、大きさのない点ととらえれば、完了体的アプローチであり、明日中(のいつかとか、何回とは意識しない)という期間内にと捉えれば、不完了体的アプローチとなる。体の用法は伝えようとする事柄への話し手の意識に関わってくるというのはそういう意味である。

出題)「寒さと暑さではどちらが楽ですか?」をロシア語にせよ。

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2014年11月19日

●和文露訳指南第103回

ロシア語における否定の体の用法で分かりやすいのは次のような例である。

Это он Макса убил, пока мы в лесу были. Я не убивал.(俺たちが森にいる間に、奴がマックスを殺したのだ。俺は殺っていない) <不完了体過去形を使っているので、過去における動作の全否定となるため、「人を殺したことがない」という経験の用法とも考えられるが、「俺はやっていない」という動作の無の確認であり、結果存続の無効であろう>

Я не убил ни одного человека.(俺は一人も殺していない) <完了体は具体的な1回の行為を示すので、普通は具体的な状況を示すが、この場合は否定の強調となる>

出題)「太陽は東から上がります」をロシア語にせよ。

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2014年11月20日

●和文露訳指南第104回

遂行動詞について日本語、ロシア語、英語にあることは確かだが、語義的に同じものが同じく遂行動詞として使えるとは必ずしも言えない。日本語の「分かりました」は確述(確言、確定)表現であり、「分かります」は遂行動詞である。遂行動詞は話し手の意思を伝達していることが分かる。完了体過去形はアオリスト的用法と結果の存続をどちらかを意味し、その違いは文脈に依存する。また不完了体現在形は現在の時制を示しているだけで、それが具体的な事柄か、任意の一つの動作や反復な動作かは文脈による。つまり完了体過去形の結果の存続と、不完了体現在形で具体的な事柄を扱うような用法(遂行動詞)は意味的に接近する。

I understand. = I see. = I got it. <最初の二つは遂行動詞で、I got it.は口語的表現>
Я понял (поняла). <結果の存続>
Ага, понимаю! У вас были романы.(なるほど、〔そのときは〕恋愛中だったのですね) <前の文脈に沿って、遂行動詞>
По глазам вижу, что ты говоришь неправду.(お前が嘘をついていることは目で分かる) <遂行動詞>

出題)「彼は何代目の社長ですか?)をロシア語にせよ。

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2014年11月21日

●和文露訳指南第105回

和文露訳を出題する上で学習者の実力を知るために一番いいのは、一段落ぐらいを訳させることである。そうすれば前後の文脈がより明確になる。学習者が何人もだとチェックする側が大変だということの他に、何か所も間違った場合、間違いのどれに集中していいか学習者の注意が散漫になるということもある。このコーナーのように短文であれば、実際上のチェックする上での便宜、つまり出題の狙いに対して回答者が正しく答えるかどうかを見るだけだから、基本的に出題者は楽であるし、回答者も間違えても、その間違いが何であるかに意識を集中させることができやすい。もっとも凡ミスは除き、短文で3か所も4か所も間違える人がいるが、こう人は考え過ぎなのであり、いろいろ考えているからかえってロシア語の上達も早い。また出題する側にとっても、出題の狙いとは違うわけだから、勉強になる場合が多々あるということも言える。いつも書いていることだが、何もボランティアという気持ちというよりは、自分の勉強のためにやっているわけだから、それはそれで有難い。

出題)「昨日は船の揺れが激しくてなかなか眠れませんでした」をロシア語にせよ。

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2014年11月22日

●和文露訳指南第106回

Я родился от своей матери.(私は自分の母から生まれた)という文も、一見отが受け身の動作主を示しているとも考えられるが、родилсяは明らかに完了体過去形だから、考えすぎかもしれない。ちなみにродитьсяは完了体と不完了体が同形の動詞である。
しかし次のような例ではどうだろう?

(木の葉が風で揺れていた)Листья колебались от ветра.

出題)「節水にご協力願います」をロシア語にせよ。

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2014年11月23日

●和文露訳指南第107回

会話でよく使われる動詞を覚えるのなら、数ではなく、使う頻度の高い運動の動詞、特にидти/ходитьの用法を徹底的に覚えることである。露和辞典には用法が30ぐらい載っているが、それをすべて覚えるようにする。運動の動詞と言っても覚えるのは、нести(軽いものを手で運ぶという意味で、ピアノみたいなものを運ぶのであればтащить), везти(載りもので運ぶ), вести(連れて行く)ぐらいでよい。参考書としては『ロシア語の運動の動詞』(原求作、水声社、2008年)や『Verbs of motion in Russian』(L. Muravyova, Russkii yazyk, 1975)を勧める。

出題)「してほしくないことを人にしてはいけない」をロシア語にせよ。

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2014年11月24日

●和文露訳指南第108回

体の本質を考えると不完了体は動作そのものということなのだが、これでは会話での和文露訳をする上で、どちらの体を使えばいいのかが分かりにくい。動作そのものということは文脈(状況)のニュアンスの色がついているとも言える。完了体は主観的動作であり、主観的な色がついているわけで、これを瞬時に見分けるのは難しく、良い例文を数多く学ぶという鍛練が必要である。

出題)「天津の新聞雑誌はバラエティーにとても富んでいた」をロシア語にせよ。この回答は都合で4、5日遅れます。

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2014年11月29日

●和文露訳指南第109回

『背信の科学者たち』(ウィリアム・ブロード、ニコラス・ウェイド、牧野賢治訳、ブルーブックス、2006年)を読んだ。ルィセンコなどのデータ改ざんをした科学者列伝である。興味深いのは、その中に千円札にも描かれている野口英世が入っていることである。野口英世はアメリカ医学研究の創始者であるサイモン・フレクスナーに可愛がられ、梅毒、黄熱病、小児マヒ、狂犬病、トラコーマの病原体を培養したと報告し、当時としては驚異的な200もの論文を発表したとされるが、ほとんどの研究がその価値を失ったとある。野口については、非常に押しの強い、あくの強い、借金を踏み倒すのもなんとも思わないような人物だったらしいが、自分の名を挙げると同時に、師フレクスナーからの成果を出せという圧力や期待に応えようと一生懸命だったという一面もあったのかもしれない。

出題)「いくつから働き始めましたか?」をロシア語にせよ。

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2014年11月30日

●和文露訳指南第110回

идтиは歩くで、ехатьは飛行機以外の乗りもので行くという意味だということは初級で習う。ところがидтиは主語に乗りものも取れる。ただ定期運航というニュアンスが出るという違いはある。

(船はアストラハン行きだ)Судно идёт в Астрахань. <плывётも可だが、必ずしも定期運航ということではない。一方向のみの動作ということに注意>
(飛行機はキエフ行きだ)Самолёт идёт в Киев. <летит. も可だが、必ずしも定期運航ということではない。一方向のみの動作ということに注意>
(オートバイがこっちに向かってくる)Мотоцикл едет на нас. <オートバイは定期運航とは無関係だからか>

出題)「髪形は流行にも、その人の気分にも左右された」をロシア語にせよ。

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2014年12月01日

●和文露訳指南第111回

『和文露訳指南』8-4項末尾を下記のように追記した。

в чём (= где) も同様に、ロシア語の文では主語とイコールではなく、知識(問題などの)のある(内在する)場所(所在)ということになる。гдеは所在を示すが、в чём/на чёмとなり、必ずしも内在するものを示さないので使わないのだと思われる。

(生きるか死ぬか、それが問題だ)Быть или не быть, в чём вопрос. <英語ではTo be or not to be, that is a question.となり、ロシア語との差が明確である>
(どういうことだ)В чём дело? <= Что случилось?>
(サムソンの力(の源)は彼の髪の毛にある)Сила Самсона заключалась в волосах его.
(すべての宗教的教義の本質は愛である)Сущность всех религиозных учений – в любви.

出題)「行ってみると、奴はもういないというわけさ」をロシア語にせよ。

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2014年12月02日

●和文露訳指南第112回

この和文露訳の短文をブログに掲載してから1200回を超えた。3年以上にもなる。今年いっぱいのネタはあるが、いつまで続くかは分からない。投稿者は匿名でも受け付けているので、投稿する側は気は楽だが、投稿者や閲覧者同士の交流の場がないわけで、このコーナーが終わればすべて雲散霧消となるだろう。日本ではロシア語に興味ある人は少ないし、ロシア語を話せる人でも、初級文法は別にして、文法、特に動詞の体などに興味を持つのは奇人変人の類と見られる嫌いなきにしもあらずといったところである。そういう中でごく少数とはいえ、投稿者(定期不定期を問わず)や閲覧のみの方々には深くお礼申し上げる次第である。こういうマイノリティーのグループでは、独学を続けるには無理がある。このコーナーではできるだけ私の体験を伝えようとしているが一方通行であり、一人でロシア語を学ぶ上ではいろいろ疑問が起こり、気軽に聞く相手もおらず、それが解決されないために勉強が続けられないということも起こり得ると思う。

 そういう中で昨日チジクピジクさん(chijikpijik@hotmail.com)よりオフ会の提案があったので、ここに再録する。急な話しのために志があっても、また住まいの場所の関係で参加できない方もおられると思うが、今回がだめでも、1月なら可能であるというような人もおられるかもしれない。マイノリティー親睦の場として、顔つなぎができれば、今後はメールなどで上級者は中級者や初級者に学習上のアドバイスができるようになると思うし、いろいろ面白い話も聞けるかも知れない。これまで遠慮して私にメールで質問できなかった方も、あるいは直接学びたいという方もおられるかもしれない。そういう意味でのразбить лёд(障害や緊張を取り除く)という意味合いであり、それによってЛёд тронулся.(物事が動き出した)となるように願っている。参加者は必ずしも投稿者である必要はなく、極端に言えばブログの閲覧者である必要もない。独学であろうとなんであろうとロシア語がうまくなりたいという人であれば歓迎する。参加の申し込みは私のホームページ「ランポポー」からメールで私宛でもよい。

さとう先生のブログ愛読者の皆様

12/12(金)20:00から東京の上野近辺でさとう先生とのささやかな忘年会を同僚と二人で催します。ご興味のある方はどなたでも私のメールアドレス(chijikpijik@hotmail.com)にご一報いただけるとうれしい限りです。

出題)「その不景気の時の大量馘首が女性に大打撃を与えた」をロシア語にせよ。

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2014年12月03日

●和文露訳指南第113回

『和文露訳指南』6-2-7項は「語義的に、不可避・必然を示しているために、具体的な1回の動作の頻度が高く、そのため完了体のприйтисьの使用のほうがはるかに多い。一方不完了体のприходитьсяは反復、習慣、慣用や否定で用いられる。」と訂正します。この場合の動作の継続は不定形の役割の一つであって、приходитьсяそのものとは関係ないと判断したからです。その理由はприходитьが反復を示し、過程や状態を示す事ができないということにあります。

出題)「娘は狂言自殺を図った」をロシア語にせよ。

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2014年12月04日

●和文露訳指南第114回

このコーナーでは和文露訳を短文で出題しているが、もっと大きい単位、例えば、段落、やページで出題しないのはなぜかという疑問が起きるかもしれない。実際、和文露訳のロシア人講師の添削などは4~5行の段落の問題をいくつか出題し、1カ月後に添削するというのが多いようである。段落や1ページぐらいの出題であれば、前後の文脈もつかみやすいので、動詞の体などの設定がしやすいという利点はあるのは認める。ただ短文にするのは、長いと個人的に添削するのが面倒だという理由の他に、各投稿者の間違いの数である。短文には一応出題の狙いが一つあって、間違うとしたら、タイプミスを除けば、その1か所のはずであり、それが動詞の体の使い分け、単数複数、語彙だったりする。ところが、短文ですら一つどころか、二つ、あるいは4つぐらい間違う投稿者もいるのに、これが、段落やA4の1ページなら間違いの数は比較にならないほど多いと思われる。そういうのを添削するのはできないことはないが、投稿する側からみれば、間違いが多ければ多いほど、添削されて直された個所への注意が分散する。短文であれば、間違いは普通は1箇所なので、例えば、今回は不完了体の結果の存続の無効であり、『和文露訳指南』の第2-1-8-10項を見れば、詳しい説明があると説明したほうが、学習者にとっても自分の間違いに集中することができ、正しい理解に導きやすいと考える。

出題)「大多数の雑誌は創刊された年に廃刊となった」をロシア語にせよ。

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2014年12月05日

●和文露訳指南第115回

『代替医療のトリック』(サイモン・シン&エツァート・エルンスト、青木薫訳、新潮社、2010年)を読んだ。鍼、指圧、灸、電気、レーザー、音波、磁気を使った治療、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法の治療効果はプラセボ(プラシーボ)効果によるものであり、患者の治りたいという気持ちが治療効果をある程度出す場合もあるのだということである。カイロプラクティックについては腰痛に効果がある場合もあるが、レントゲンの多用でガンになる可能性もあり、予防接種に対する敵対的態度、頸椎への手技では頸動脈破損の可能性が何もしない場合の5倍にも上るとして、より安全な理学療法や整骨療法を勧めている。プラセボ(偽薬)効果というのは、例えば砂糖の丸薬と薬と偽っても、治療効果が出る場合もあるということである。世の中には催眠術にかかりやすい人とそうでない人いるわけで、暗示にかかりやすい人は、本人の意思にかかわらず、具合が悪くなるわけだから、プラセボだろうと何だろうと効果があればいいのではなかろうか思う。ただ問題なのは、プラセボ効果の出方が予測不可能ということにある。これなら通常の医療に頼った方が病気やけがが治る確率がはるかに高いと言える。本書ではプラセボ効果には、3つの要素があると指摘している。一つは、医師の評判が高いこと、二つ目は、治療薬が高いこと、三つ目は治療法が目新しいことである。高いお金を出しているのだから効果があるはずだという期待が、治療効果を挙げているということも否定できないということなのだろう。その他に、治療効果を上げるには、錠剤より注射、一錠より二錠、錠剤の色は緑が最も不安を和らげ、抑鬱改善には黄色がベストである。白衣を着た医師から錠剤をもらう方が、Tシャツを着た医師からもらうより効果があり、そんな医師でも看護師からもらうよりは効果があるとある。錠剤の大きさも大きい方が効果があるが、非常に小さい錠剤についてはその限りではないという。

 代替治療は通常の医療に比べ、より長い診察時間、より分かりやすい説明など、患者との間に治療効果のある関係を築き上げているために、プラシーボ効果が強く現れるのだろうと思われるという。

出題)「彼は病み上がりだ」をロシア語にせよ。

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2014年12月06日

●和文露訳指南第116回

神があるのなら、なぜこの世に悲しみや苦しみが尽きないのかという疑問は誰にでも起こる。ゴーゴリは悲しみにより人は賢くなり、苦しみと悲しみは、本では得られない叡智のひとかけらを得るためにあると言っている。トルストイは苦しみは人が常に完璧、啓蒙を目指し、神に近づくための褒美であると言っている。

出題)「沿海地方のスケトウダラ漁に小樽から出漁した」をロシア語にせよ。

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2014年12月07日

●和文露訳指南第117回

以前アマゾンのピダハン語は数、色、左右の概念もなく、時制も現在だけであることを紹介したが、左右の定義は日本語とロシア語ではどうなるのか気になったので調べてみた。ロシア語で左は心臓のある側とあり、右は左の反対と定義されている。日本語では広辞苑には左は南を向いたとき、東に当たる方向とある。南をどうやってみつけるのか気になったので、南を引いてみると、日の出る方向に向かって右の方向とあり、東は日の出る方向と書いてある。辞書作りにもいろいろ苦労があることが分かった。ところで左岸、右岸という言葉があるが、これを露文和訳したり、和文露訳するのは簡単であるが、川のどちらの方か分かっている人はいるだろうか?левый берег = берег, располоенный слева, если стоять лицом по направлению течения(左岸とは流れの方向に顔を向けて立つなら、左側にある岸)である。

出題)「早い者勝ち」をロシア語にせよ。

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2014年12月08日

●和文露訳入門第118回

ロボットが進化するにつれて、人間のすることはなくなってゆくように思われる。余暇が増えて行くにつれて、人がやらなければならないのは、人の内面を掘り下げて行く、つまり哲学をすることである。時間と存在について言語の方面から突き詰めて行くという事を考えるのも、未来を先取りしていることになる。これは難解な事を言っているのではなく、身近に、例えば自分の意思を精確に伝える方法を突き詰めて考えるというのでもよい。

出題)「違反だ、罰金3ルーブル」をロシア語にせよ。

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2014年12月09日

●和文露訳指南第119回

(彼はしばしばモスクワに来る)Он бывает в Москве.
(彼は3度うちに来たことがある)Он был у нас три раза.

бытьとбыватьの違いは、бытьが明確な回数を示すのにもかかわらず、多回動詞のбыватьは不定の複数回「いる、行く」という動作を示すということである。

出題)「あれはあれ、これはこれ」をロシア語にせよ。

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2014年12月10日

●和文露訳指南第120回

『和文露訳指南』3-1項末尾に下記追記乞う。

 不完了体現在形を用いた肯定文では動作が現に起きており、否定文では起きていないことは明らかなので、動作の有無のどちらかであることは明白である。動作の有無は不完了体の現在の時制における全ての用法に共通しているため、過去や未来の時制とは異なり、現在の時制では動作の有無の確認だけの用法はあり得ないと言える。

出題)「帰る時に窓は閉めたか確認してください」をロシア語にせよ。

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2014年12月11日

●和文露訳指南第121回

『和文露訳指南』第6章の出だしを下記のように改めた。

不定法を時制で考えると、時制を担うのは述部であって、不定形ではない。不定形は基本的に発話より未来の時制を示すのが基本で、反復や状態という意味では発話と同じ時制となり、発話より過去の時制を示すことはない。「~したことto have done」と言いたければ、то, что я сделал (делал)と節にするか、сделанноеと被動形動詞過去形を使うしかない。ロシア語では不定形では過去の時制を示す事がない代わりに、形動詞過去がその役割を担っていると言える。『和文露訳指南』8-10-2項参照。

(このテキストを読むのは我々には簡単だった)Нам было легко читать этот текст. <この意味では対応する完了体がないので、читатьと不完了体不定形が来ている>
(学生たちにとってその講義を聴講するのは興味深いことになるぞ)Студентам будет интересно слушать лекцию.

出題)「こういう場合彼はまず来ない」をロシア語にせよ。

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2014年12月12日

●和文露訳指南第122回

ロシア語の辞書は重い。アカデミー版の露露辞典は1冊あたりA4よりちょっと小さめで厚みは5センチ、重さも2~3キロはあるだろう。これまでに出た22冊を机の目の前にずらーっと並べている。坂口安吾に『勉強記』という30頁ほどの短編があるが、主人公は印度哲学科で梵語を学んでいて、その辞書たるや露露辞典の比ではないようだ。これを読むと、26歳の時にロシア語原文でゴーゴリの『検察官』を読み始めた頃、1ページで30回も辞書を引くのにうんざりしたことを思い出す。さすがに10ページも読まずにあきらめた。本格的にロシア語でロシア文学を読みだしたのは39歳のときの『ドクトルジヴァーゴ』だから、この後遺症はずいぶん続いたことになる。最初にロシア語で読むのはチェーホフの初期短編など、もっと短いものにすべきだったと思ったが後の祭りだった。1ページに辞書を引く限界は、個人的経験から言うと10回であり、それを超えるなら、まだその本は手に負えないということになる。自分の体験から言って、子供向けの本から始めた方が長続きするし、読解力もついて行く。何を読んでいるか誰に言うわけでもないのだから、児童向けのノーソフНосовの『もの知らず』Незнайкаシリーズなどは手ごろだろう。

出題)「彼は彼女が着替えをしている最中に(部屋に)入ってきた」をロシア語にせよ。

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2014年12月13日

●和文露訳指南第123回

昨日のオフ会には私を含めて7人(チジクピジクさん、ジェーニャさん、Jiangminさん他)が参加され、ロシア語に関する興味深いお話がいろいろ聞けた。このようなロシア語学習者というマイノリティーの中の体の使い分けに興味を持つ人というマイノリティーの親睦を深める機会が増えるよう切に願っている。急な話にも関わらず参加された方には深く感謝申し上げる。お話を伺った中で、拙著『和文露訳指南』の説明が分かりにくいようだが、特定の人を対象に書いたものではなく、また正確を期してロシア語文法の専門家からも間違いを指摘されないよう工夫して書いてあるので、回りくどく感じられるのも著者からすればある程度やむを得ないと思う。学習者個々人によって分からない点は異なるわけで、そうなるとその人に合わせて教えるしかないということになる。私も今は元気だが、気力がどこまで続くかは分からないし、このコーナーも自転車操業みたいなもので、出題の種がなくなればそれで終わりとならざるを得ない。この2、3年中ならまだ元気だろうから、元気なうちに会話における和文露訳や体の使い分けを後進に伝えたいと思う。

出題)「欠陥設備返品の件は納入者と発注者の代表によりケースバイケースで解決される」をロシア語にせよ。

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2014年12月14日

●和文露訳指南第124回

『和文露訳指南』6-1-1項に下記追記願う。

рано + 不定形(~するのは早い)やпоздно + 不定形(~するのは遅い)もпораに準用して、不完了体不定形を用いるのが普通である。これは動作が起こるべき時間がすでに設定されており、それより早いか遅いという事で切迫感に関係してくるからだと思われる。その他に考えられるのは、不必要や嫌気ということであるが、これも不完了体の用法である。

(あきらめるのは早い)Рано отчаиваться.
(ブレーキをかけるのはもう遅い)Тормозить уже поздно.

出題)「彼の忍耐には頭が下がる」をロシア語にせよ。

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2014年12月15日

●和文露訳指南第125回

オフ会の第1回はチジクピジクさんの呼びかけのもと、私も含めて男性4人、女性3人で上野の焼き肉店でお酒を飲みながら楽しくロシア語の話をしたのだが、開始がこちらの都合で午後8時、終わったのが10時半すぎだったようで、夜も遅くなってしまい女性の方にはお気の毒だったと思う。ただ世の中にはお酒が苦手な人もおり、オフ会がこのような飲み会である必要はない。マイノリティーの中のマイノリティーである我々の親睦が目的なので喫茶店でもいいわけである。東京以外の方でも、北海道、東北、関西などから出張とか、何かのご用で上京されるのであれば、私の家は葛飾区のJR新小岩駅と京成の立石駅の中間ぐらいなので、メールでご一報いただければ、たいていは閑なので、歓談することは可能である。もちろん都内在住の方で一度ロシア語の話をしたいという方でも大歓迎である。新小岩駅北口を出てすぐ左の雑居ビル2階にルノアールという喫茶店があるので、そこなどいいかもしれない。別に新小岩駅でなくとも、都内(できれば23区内)なら、こちらから出向くので一緒にお茶を飲んで若い人(多分ほとんどは私より若い人だろう)と1~2時間ロシア語関係の話をするのは、自分にとってもボケ防止になると思うので、特に遠慮なさる必要はない。

 ロシア語を勉強する人は少数ながらいるが、文法、特に動詞の体に興味を持っている方は限りなくゼロに近い。そういう地球上の絶滅危惧種同士親交を深め、少しでもレッドブックから外れるようになってもらいたいというのがこの歓談会を提案する理由である。学習のレベルが初級でも、中級でも、上級の方でもいろいろロシア語関係や、ロシア事情(最近の事情については知らないが)についてもお話しできると思う。一人でも私は構わないが、1対1だと気づまりだと思う方がいるかも知れず、それなら友人の方と一緒でも構わない。歓談ご希望の方はこのコーナーに書いてくださっても結構だが、できれば「ランポポー」という私のサイトのメールをクリックしていただくと私に直接メールできるようになっているので、そこを利用されたい。誤解があるといけないので、よけいなことを書くが、歓談は無料で、各自が自分の飲み物代(コーヒーや紅茶)を喫茶店に払っていただくだけである。

出題)「池の水を飲むなんてことは考えるなよ」をロシア語にせよ。

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2014年12月16日

●和文露訳指南第126回

智さんからの12月15日付のприходитьは過程でも使われるのではないかというご指摘に対しての回答も含めて、『和文露訳指南』3-1-1-2項を下記のように改めた。これは2-1-8-9項(歴史的現在)に書いたものをより適切な項目に移しかえたものである。智さんには深く感謝申し上げる。このように投稿者の御指摘が私のロシア語への理解を深めることにもなるし、智さんのお役にも立てればと願うと同時に、他のみなさんのご参考になるかもしれないと思い、ここに挙げる。ただприходитьと過程については、和文露訳入門の第137回本文ですでに述べており、これが拙著の元の原稿にあたる。

приходитьについては『ロシア語動詞の体の用法』(原求作、水声社、1996年)の137ページに、抽象的な意味を示す時には過程の意味で使えると書かれている。

(彼は意識が戻り始めた)Он начал приходить в себя.

これは語義の体の用法に対する影響の問題であって、体そのものとは関係ないとも書いてあるから、この場合とは違うと考えられる。ただ似たような文例で、3-1-5-3項にも書いたように、Я начинаю думать ...は意向の過程(~と考え始めつつある)というよりは、「もうそういう考えになった」というニュアンスであるから、これを過程と考えるのはどうかなという気もする。
意識が戻るというのは、一直線で戻るのだろうか?つまり過程として捉えられるのだろうか?気がつくというのは、意識が戻ったり、戻らなかったり、そういう意味で意識と無意識の境を往復しながらという風に理解して、ロシア語ではприходитьが用いられているのではなかろうか。

(北の短い夏の様々な喜びは終わりに近づき、終わりのないような秋がおぞましき姿で前に迫ってきたのであった)Радости короткого северного лета приходили к концу, впереди грозно надвигалась бесконечная осень. <радостиと複数なので、いろいろな喜びがそれぞれ終わりに近づくということで、多くの場合(例えばчасто)に起こる事柄には反復の用法として不完了体が用いられる>

原先生が挙げられている、それ以外の下記の二つの例文にしても、一見過程のようだが、意識は反復しているように見える。

(彼の人生の三度目の冬が終わりに近づいた)Третья зима его жизни приходила к концу. <季節は巡ってくるものであり、既に冬は2回巡ってきている>
(深く考えれば考えるほど、ある結論にたどり着く)Чем больще я обдумываю, тем больше я прихожу к выводу. <何度も深く考えて、何度もある一つの結論にたどりつく>

それゆえ私個人としてはприходитьは過程を示すことができないと思っている。приходить в себя (к концу)なども含めて、すべて反復で説明がつくと考えており、そこが原先生との考えの違いである。

出題)医者が患者の家族に言う「彼はまず助からない」をロシア語にせよ。

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2014年12月17日

●和文露訳指南第127回

このコーナーはロシア語の上級者専用サロンでもない。初級中級レベルの人でも、出題の和文露訳の短文に投稿すれば、仮想上の実戦体験ができ、ある程度の数の投稿をすれば、自分の弱点がより明確になると思う。また初級中級者で閲覧のみという人もいるだろうから、同じレベルの人の投稿には親近感もわき、得るところは大きいと思う。簡単そうに見える間違いだって、私の経験から言うと、文法的な説明のしにくいものは多々ある。そういうものは私の勉強にもなる。できるだけ新聞、雑誌、テレビなどの日常的な語彙を含めて出題するようにしているし、できるだけ理詰めに解説するつもりなので、どしどし投稿してほしい。毎日でなくとも1週間に1回とか、1カ月に1回でもよいと思う。投稿することによって、自分のためになるのみならず、知らず知らずのうちに、他の人のためにもなっているというのなら愉快な話ではないか。会話においても(後々いつまでたっても外人ロシア語だといわれないためにも)、露文解釈においてロシア文学を昧読するにせよ、体の使い分けはできるだけ早い時期にマスターした方がよい。体の使い分けは難しいが、理解不可能というわけでもないし、体系的である。体の使い分けを覚えながら、語彙もついでに覚えていけば、一石二鳥である。

出題)「昨日あったことが今はもうない」をロシア語にせよ。

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2014年12月18日

●和文露訳指南第128回

『和文露訳指南』10-3-5項を下記のように変更した。

 その文脈ではゼロなのか、単数なのか、複数なのか分からない数(不定数)については、可算名詞の場合複数で示される。同様に無を示す場合、可算名詞では複数生格を取ることになる。ゼロも意味するところは無だから同じ扱いとなる。ところが「ひとつも~ない」という一つすらという強調の場合は単数となる。これはロシア語には冠詞が存在しないことと関係があるのかもしれない。つまり単数は定冠詞である「その the」を意味し、複数は不定冠詞 anyというような役割分担のように見える。

(むくみは〔まったく〕ない)Отёков нет.
(零度)Ноль градусов.
(空には小さな雲ひとつない)На небе ни облачка.
(こんなことはまだ一度もなかった)Такого ещё ни разу не было.

直接補語(対格)の場合、単数生格にすると具体的な何かが存在しないという意味になる。2-1-2-2項や3-1-8項にあるように、動詞の直接補語を否定する場合も原則は同じである。

(僕は預言者というものを好きではない)Не люблю пророков. <補語が単数なら特定の預言者が嫌いとなる>

出題)「現在この地区に強風波浪注意報が出ている」をロシア語にせよ。

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2014年12月19日

●和文露訳指南第129回

ガイド試験に受からないとガイドとしては働けないが、通訳に免許は不要である。ガイド試験に受かるためには、市販の問題集をやって、ガイド試験の傾向と対策を十分に練ることが基本である。ガイド試験に受かるためなら、そういう学校や講座、過去問題集もあるから、私などの出番はない。ただ、試験に受かった後や、ロシア語の通訳として働こうと考える時に、自分のロシア語の実力でロシア人に通じるだろうかという不安は初心者ならだれでも持つはずである。特にロシア語の場合は、暗記した例文がそのまま使えるぐらい例文や語彙のストックがあれば別だが、動詞の体の使い分けが難しい。日常会話に近くなればなるほど、なぜこの体が使うのか理解できないことが多い。使い分けができないと、次に話す時に又間違える可能性もあるし、正否の区別がいつまでも分からないことになる。それでそのまま例文を丸暗記ということになる。問題はその例文でどちらの体も使えるような例文や、覚えた例文にない会話の和文に出くわしたときである。確率50%だから運を天に任すしかないが、それではいつまでも体の使い分けが理解できないし、死ぬまで運に天を任すというゴールの見えない例文や語彙の丸暗記の道を突き進むことになる。

 体の使い分けについては入門や初級の段階で勉強を始め(私の指導のもとかどうかは別にして)、中級や上級に至る前にマスターすることが望ましいし、それは不可能ではない。その一環として。実際に投稿するかどうかは別にしても、このコーナーの出題の短文にトライすることで、ある程度自分の弱点は分かるが、独学の場合適切な指導なくして、それ以上進むのは困難だろうと思う。その学習者のレベルに合わせ、また希望を聞いて、個人向けにアレンジした私の講習を週1時間受け、毎日2時間私のアドバイスに従って自習すれば、ゼロから始めた人でも5年くらい(体の使い分けのマスターだけなら1年くらい)で、語彙は別にして、今の私の文法のレベルに達することは可能である。すでに中級や上級のレベルの人は、1~2年も真面目にやれば私のレベルに到達できる。実際にガイドをしている人や通訳している人でも、体の使い分けに自信がないという人もいるというのは私にとっては驚きである。そういうレベルの人が私の指導のもと体の用法をマスターするのは、コツをつかめば簡単である。そうでないと上級者であっても、ひたすら例文や語彙の丸暗記の道をたどるしかなく、出口の見えないトンネルをただ進んでいくようなものである。だれもこれで体の用法はマスター済みという指針を示してくれないからである。

 私の講習では、学習者に特に希望がなければロシア語のアネクドート(露文解釈中心で、語彙ではなく構文の会話への応用)を使うので、ロシア人気質や日常のトリビア(雑学)も分かり、それらはガイドや通訳の時にロシア人との無駄話(日常の話)の理解に役立つ。ロシア人と話していて、語彙はすべて分かるが、全体の意味が分からないというのは、このような日常のトリビアを知らないからである。これはアネクドートのオチを理解することで分かるようになる。このような一般的な日常会話集に載っていないような語彙も私の講習に含まれるし、アネクドートで頻出する歴史的現在、時制の転用、遂行動詞など上級文法をマスターする過程で、語彙の収集の仕方は教えるので、自分で必要と思う語彙は自分で覚えればよいし、私の出版した参考書を利用してもよい。私の講習では基本的に説明なしに丸暗記はさせないが、文法を覚える時点で例文も暗記することになるので、自然と実戦的な語彙は増えてゆく。後はロシア文学でも、ビジネスロシア語でも、ガイドでも自分の好きな分野の語彙を増やしてゆけばよい。

 不人気なロシア語の面白さをできるだけ多くの人に分かってほしいのと、ロシア語(体の使い分けも含めて)やアネクドート(日本ではほとんど政治小話しかこれまで紹介されてこなかったが)を通じて、日本人の知らないロシアの庶民の深い洞察とたくましさ、日常を笑い飛ばすユーモアとしたたかさ、温かさ、謙虚さを伝えたいというのが終生の願いである。

出題)「名を名乗るのだけはご勘弁願います」をロシア語にせよ。

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2014年12月20日

●和文露訳指南第130回

被動形動詞過去は完了体由来であり、完了体の性質を受け継いでいるため、規則的反復や過程などでは用いられない。用いられるのは被動形動詞現在である。

часто задаваемые вопросы и ответы (ЧАВО)(FAQ よくある問答)

出題)「そうよ、ロマのことを時々思い出して、涙ぐむこともあるわ。なんて私純情で、お馬鹿さんだったのかしら」をロシア語にせよ。

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2014年12月21日

●和文露訳指南第131回

和文露訳の問題を作成するにあたって、一番信頼性が高いと思われていて、手軽なのは日本人とロシア人の分業である。日本人で話せるかどうかは別にしてロシア語の分かる人が和文を作り、それを日本語の読み書きができるかどうかは別にして、日本語の話せるロシア人に訳してもらって相互にチェックするというやりかたである。一見大丈夫のようだが、日本人がロシア語の体の使い分けや時制に、そのロシア人が日本語の時制に精通しているかどうかはこれまで問題にされて来なかったようだ。日本語とロシア語の時制が違うということすら気にもされず、会話が一応通じれば和文露訳の問題と回答は作れる能力はあると見なされているようである。相互チェックといっても、実質のところ語彙だけであり、出題される和文露訳の答えとなる露文は、つまりチェックするロシア人にとって、この露文を出題の和文とチェックすることになり、それはそのロシア人にとっては露文和訳であり、これは我々日本人にとっての和文露訳に相当するから、結構難しいはずだ。もしその日本人なり、ロシア人が日ロ両方の時制や体の用法に精通しているというのなら、二人でコンビを組む必要はないことになる。チェックが語彙はともかく、時制やアスペクト(体の用法のニュアンスも含めた和訳)が正確かどうかは大いに疑問である。一方その日本人にとっても、時制や体の使い分けを理解していないと正確にロシア語をチェックできないことになる。語彙が正しいというだけでは、訳の正確さは保証されないのはいうまでもない。これは前回出題した偶発的反復なども、この用法をその日本人がよく理解していなければ、時制が合わないということで出題から外されると予想されることでも分かる。出題されないのだから、いつまでたっても生徒は覚えないということになるのは必然である。

 このコーナーの短文に回答されたり、閲覧された方は分かると思うが、ロシア語の回答がロシア語として正しくとも、和文の意味を伝えていなければ間違いとなるのはよくあることである。こういうことは実際にやってみないと分からない。しかも出題の正解は一つとは限らない。正解と間違いの境界というのが曖昧な時もある。出題の日本語の解釈の仕方によっては、完了体と不完了体がそれぞれ可能な場合があるが、出題者としては、想定される全てを答えに網羅すべきである。またそのニュアンスの違いを明確にし、二つ解釈できるなら、解釈ごとに回答しなければ完璧な答えとは言えない。和文露訳を教える大学や講座が、そういうことも考慮して教えているのが大いに興味あるところである。どなたかご存知の方があればご教示いただきたいものである。

出題)「患者は急性の貧血を発症した」をロシア語にせよ。

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2014年12月22日

●和文露訳指南第132回

ロシア語には過去完了という形式がないため、過去完了の完了はアオリスト的用法として完了体過去形が、過去完了の継続は不完了体過去形が受け持つ。

(昨日は船の揺れが激しくてなかなか眠れませんでした)Вчера я долго не мог заснуть из-за сильной качки судна.

出題)「電動の天井扇が回っている」をロシア語にせよ。

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2014年12月23日

●和文露訳指南第133回

トルストイの『読書の範囲Круг чтения』でフス戦争当時の精神的指導者であるチェコ(モラビア)のピョートル・ヘリチーツキーПётр Хельчицкий(1390?~1460?)の著作が紹介されており、トルストイの無抵抗主義непротивлениеの先駆者のようである。キリスト教と戦争は相容れないと説いた。そういえば、キリストは「左の頬を打たれれば右の頬を差し出せと」言ったというが、ヘリチーツキーの主張への反論はキリスト者であればできないだろう。しかし、キリスト教国の歴史では、中世、近代と戦争が続いた。今のイスラム過激派のように、一神教というものは、基本的に他宗派を認めないことから、そのことがキリストの言説とは矛盾すると考えた人もいたことがわかる。

出題)「彼は資金カンパを募っていた」をロシア語にせよ。

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2014年12月24日

●和文露訳指南第134回

トルストイの『読書範囲Круг чтения』にブーカБукаという人の箴言がよく出てくる。ロシア語のбукаはお化けという意味だが、調べてみるとこの人は本名アルハンゲリスキーА. И. Архангельский(1857~1906)といい、獣医から時計職人になった人らしい。「精霊、救世主、聖母、天使たち、聖人、聖者、奇跡を起こす人たち、イコン、複数の十字架、数知れぬ絵やものが豊穰の角から出る神々のようにばらまかれている。最大の驚きは死者の体の一部(мощиのことを指しているのだろう)さえもだ。これは近代のエジプトのミイラと同じだ」と非難している。私が以前書いたように、一神教であるはずのキリスト教にも多神教の要素があり、庶民の中には聖母やそれぞれの聖人を、具体的な御利益(家内安全とか病気の平癒、家畜のお守り)に分けて信仰する人もいるわけで、彼はそれをものへの隷属化(執着)であるとして強く指弾している。

出題)「運転手が駐車場ではないところに車を置いて、罰金を払うということはこのようによくあることだ」をロシア語にせよ。

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2014年12月25日

●和文露訳指南第135回

偶発的反復と規則的反復の使い分けだが、偶発的反復は超時間的用法であり、過去、現在で使われるが、いずれの時制でも例示的用法からの派生という事で完了体未来形が用いられ、一つの動作を例としての(例示的な)反復や慣用を示す用法である。そのため主語が単数の文やтыを主語にした普遍人称文(特に諺など)でよく用いられる。「早起きは三文の得」の露訳は偶発的反復でも、不完了体の規則的反復でも表現できるが、完了体では一つの動作を例にとることにより、完了体の特質でもある具体性が感じられ、生き生きとした感じが出るが、不完了体では、例外なく皆こうであるというような平板な感じを受ける。

Встанешь раньше, шагнёшь дальше. <偶発的反復で、例示的用法の例えば早起きしたらというニュアンスがあり、二つの動作に論理的帰結がある>
Кто рано встаёт, тому бог даёт. <規則的反復で動作の常態化を示すが、二つの動作に論理的帰結がない>

ここで誤解して欲しくないのは、このように二つの体が語義的に同じような場合に使われるというのは非常に稀であり、仮に使われるにせよ、上に記したようなニュアンスの差はあり、通常は二つの用法に厳然とした使い分けの違いがあるということである。偶発的反復がよく使われるのは、動作が次々と行われる順次的用法のとき、否定の状況がある時、動作の到来を強調するような語句(как только, сразу, вдруг)がある時であるが、特によくみられるのは、文脈に原因が記載されているどうかは別にして、その結果(論理的帰結)のニュアンスがある時である。不完了体の規則的反復には結果のニュアンスはない。その例については、ひょっとして『和文露訳指南(改)』というのを出す時には載せるつもりだが、あてにはならないので、いずれ本コーナーに復習として出題することになるかも知れない。

出題)「この飛行機の高度はどのくらいですか」(機内でキャビンアテンダントに)をロシア語にせよ。

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2014年12月26日

●和文露訳指南第136回

このコーナーを始めた理由は、ロシア語の動詞の体の使い分けについて自分なりに整理しようと思い、またそれが世間で通用するかどうかを確かめてみたいと考えたからである。和文露訳短文に対する熱心な投稿者からのフィードバックもあり、おかげで『和文露訳入門』とその改訂版である『和文露訳指南』を電子版(紙の本は出版を引き受けてくれるところがなかったので)で出せた。本を出したのはいいが、この本だけで体の使い分けを体得できるとは思えなかったので、読者サービスの一環として和文露訳の短文出題を実戦用の模擬テスト代わりとして継続した。ひょっとして新規の購入者が出てくるかもしれないなとも考えたからでもある。

 短文出題が1300回近くになって思うのだが、上級者はこの本と短文出題をやれば体の使い分けがすぐに理解できるようになると思うが、初級者や中級者が体の使い分けを独学でやるには、うまくいったとしても10年とか20年単位の時間がかかるかも知れず、それくらいやってもよほど一所懸命取り組まないと、結局体の用法の全貌はつかめないということにもなりかねない。それではまったくの時間の無駄である。体の使い分けはできるだけ早い時期にマスターすれば、会話であろうと、通訳や翻訳、ガイドでも効果抜群である。なぜならロシア語のまともな文を会話で言おうとすればまず動詞が出てくるはずであり、そうなると完了体か不完了体かどちら選ばねばならないはずであり、そこでつまづくのが普通だからである。

 露文解釈や翻訳においても体の使い分けをマスターすることにより、動詞のニュアンスも含めてより深くロシア文学を昧読できるというものである。初級者や中級者でも体の使い分けを含めたロシア語のレッスンを受ければ1~2年で済むのに、その10倍の時間をかける意味はないし、10倍かけても体の使い分けが分からないということも大いにあり得る。ただロシア語自体が不人気のため、学習者が他言語に比べればほとんどいないというわけで、希望者もないのが残念である。希望者が万一出てきたころには、こちらの気力や体力が伴っていかないような気がする。

出題)「家から職場へは片道1時間40分の道のりだ」をロシア語にせよ。

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2014年12月27日

●和文露訳指南第137回

「完了体は話し手が動作遂行の結果として、時間軸の特定かつ不動の一点をイメージする」という私の完了体の定義は、完了体が過程を表す事ができないことに由来する。完了体は動作に焦点を置くわけで、それは動作にピントを合わせるゆえに、具体的な動作を示すのに完了体は使われるということになる。ここから完了体は動作のミクロ化(縮小化)を示し、不完了体は俯瞰的な、いわばマクロ的な動作を示すということも言える。

出題)「いざという時になると彼は二の足を踏んだ」をロシア語にせよ。

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2014年12月28日

●和文露訳指南第138回

『和文露訳指南』2-2-4項の末尾に、「(休暇はどのように過ごされましたか?)Как проводили отпуск? <この質問には、「旅行に行きました」というような答えを予想しているのにもかかわらず、Как вы провели отпуск? に対してのような、「Хорошоよかった」という返事が返ってくる場合が多々ある>」と書いた。このпроводилиは様態を聞いているのだが、文法的には過程を示している。というのはラスードヴァ先生曰く、過程というのは現象の内容を示すわけで、動作や事実の有無の確認とは対立するからである。

『和文露訳指南』3-1-11項に下記追加願う。
ラスードヴァ先生曰く、бытьは過去の時制で過程も示せるとしている。なぜなら過程というのは現象の内容を示すわけで、動作や事実の有無の確認とは対立するからであると。

(説明があった)Объяснение было. <動作の有無の確認>
(〔こういう〕説明があった)Было объяснение. <(これから)説明の内容が示される、つまり現象の説明であるから過程である>

様態に文の焦点があるというのは、すでに動作が行われているという前提ゆえ、5-1-3項同様、2-1-6-1項のみなし反復という考え方ができる。

出題)「1979年7月5日94歳でみまかった」をロシア語にせよ。

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2014年12月29日

●和文露訳指南第139回

『和文露訳指南』3-1-12項に下記追記願う。

この用法(結果存続無効)は不完了体を用いるために、経験の用法と重なり、回数や具体的にいつということを表現できないという憾みがある。

出題)「こういう人間は先に(銃を)撃ってから、その後話をする」をロシア語にせよ。

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2014年12月30日

●和文露訳指南第140回

命令法について第23回本文にて未来の時制を示すと書いた。命令法では過去や厳密な意味での現在の時制は示せないし、示す必要もない。なぜなら動作はすでに起こったか、起こりつつあるからである。もし過去や現在の時制を命令法で示すとしたら、起こった、ないしは起こりつつある動作とは反対の、つまり起こらなかったり、起こっていない動作を示す事になる。それは仮定法過去の過去と現在の時制ということになる。

出題)「くれるというならもらっておけ」をロシア語にせよ。

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2014年12月31日

●和文露訳指南第141回

拙著『るいごプラス!』に書いたように、сквозь, черезは空間や、場所(通り、川、部屋)を通って(越えて)という意味であり、ドアや窓などの対象物に対してはв + 対格を使う。

глядя в окно на бухту(窓の外の入り江を見ながら)
уходить в дверь с улицы(通りのドアを通って去る)

出題)「間違えたり、何か抜かしたのだったら、訂正するか、追加してください」をロシア語にせよ。

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2015年01月01日

●和文露訳指南第142回

С Новым Годом! 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

例示的用法(偶発的反復)に四苦八苦なさっている方が多いようだ。Если что, всегда я вам помогу.(何かあれば、いつでもお助け申し上げます)という文は、例示的用法ということはよく理解できなかったが、40年くらい前に丸暗記した。そのときにвсегдаが可能なら、частоやиногдаも可能なはずだと頭の隅で考えたが、いい例文にもめぐり合わずそれっきりだった。いい例文というのは、一流のロシア人文学者の文で、それを一流の編集者がチェックしたもの、ないしはロシア人のロシア語学者の引用する例文という意味で、一般のロシア人が作るものではない。我々普通の日本人の発話がそのまま日本語の教科書の例文(特に文法の解説で使うような文)とはならないと同じ理屈である。つまり(何かあれば、いつでもお助け申し上げます)なら正しいロシア語に訳せるというだけだったのである。このように理屈が分からなくても丸暗記はできるし、理屈を考えない方が悩まず、ストレスもないから丸暗記しやすいとは言える。

 ところが数年前にчасто、иногда、бываетを含む偶発的反復のいい文に出遭ったのである。それまではこういう頻度の副詞と組み合わさる動詞は不完了体だと思っていたので、大きな衝撃だった。しかしこういう不完了体を用いる規則的反復と完了体を用いる偶発的反復(名称は私のつけたもので、正式のものがあればいつでも替える)との区別をどうするかについてこの3~4年じっくり考え、『和文露訳指南』にまとめたものだが、投稿者の答えを見ると、私の説明では不十分であることが分かる。それで、再度別の角度からアプローチしたものを、それぞれの投稿者にコメントとして出したり、第135回の本文に書いたりした。これが私の言うフィードバックである。つまり投稿者のみなさんのおかげで自分の説明が不十分であることが分かるわけで、独りよがりの説明から脱するチャンスをいただいたことになる。機会があれば『和文露訳指南(改)』に書き加えたいが、出せるかどうか分からないので、ご興味ある方は自分なりにまとめてみたらよいと思う。分からなければ、具体的に質問願う。質問が具体的であればある程、答えもより適切なものになると思う。

 いずれにせよчасто、иногда、бываетが来ても完了体未来形が来る場合があるということを理解されればよい。このコーナーで出題している例示的用法、遂行動詞、歴史的現在も用語の名称はいかめしいが、日本語の日常会話やテレビドラマでよく使われるものばかりである。ただ日常会話表現というのは一般的に文法的に説明するのが難しいものが多いと言える。『和文露訳指南』の目次や例文にあるものは、すべて内容的に普段の会話でよく使われるものであり、隠語や俗語も避けている。しかしこれらの用法が目新しく感じるのは、学校でも参考書でも教えることがほとんどないか、少なくとも表立っては教えていないということになる。他のロシア語の参考書や学校で遂行動詞や例示的用法を教えているというなら教えてほしい。通訳やガイドの参考書などでも語彙の解説ばかりで、このような語用論(動詞の体、単数複数の使い分け)などを教えているものはほとんどないと言える。あっても露文解釈の立場からで、私のように和文露訳の観点からではないので、実際にこのコーナーのような出題に出会うと戸惑うのである。疑問に思えば、その回答を得ようと人は努力する。その疑問のきっかけにでもなればと願っている。偶発的反復(例示的用法)については投稿者のほとんどの方が正解となるまでは、ちょくちょく出していきたいと思っている。例示的用法というのは学習者にとって分かりにくいと思う。プロの通訳やガイドの中にはロシア人のようにこの例示的用法を自在に操れる人もいるが、規則的反復とどうやって区別するのかは聞いても説明できる人はいないのではないかと思う。私よりロシア語のうまい人は何百人もいると思うが、私の目指すしているのは、和文露訳において、間違いを繰り返さないために、各用法の区別をよい例文を基に分かりやすく解説することであり、翻訳や通訳も含めてただロシア語のうまさを目指しているものではないということである。ロシア語がうまくなりたいのなら、丸暗記で例文や語彙を増やせばよいだけだが、丸暗記を何十年も続けられる人は、人というよりはロボットを目指しているようで、ロシア語をやっても面白くはないだろうし、私は願い下げである。

 投稿者の方も閲覧者の方も私より若い方がほとんどであろう。つまり例示的表現、遂行動詞をマスターしたとしたら、それは私がマスターしたよりも10年も、20年も、あるいは30年も早いということになる。例示的用法も、『和文露訳指南』に目次に挙げた用法も通訳、ガイド、翻訳をする上で基本的な事柄ばかりである。これらはできるだけ早い時期にマスターすれば、ロシア語の理解が格段に早まるし、深まる。語彙を丸暗記で覚えるよりも、これらの用法の会得を学習の最優先にすべきだと声を大にして言いたい。

出題)「彼らは一つの文化の枠にしばられない」をロシア語にせよ。

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2015年01月02日

●和文露訳指南第143回

『和文露訳指南』8-1項の出だしに下記追加願う。

(おくつろぎください)Будьте как дома.
(お楽に)Будьте без церемоний.

 上記のように「(そういう状態に)ある」という意味では、動詞бытьも命令形を取るが、「(その場に)いる」という意味では、命令形は使われない。論理的に考えて既にその場にいるなら命令する必要はないわけであり、使われるとすれば、これからの動作となり、побыть(少しの間いる)という完了体命令形を取るのが普通である。

(しばらくここにいてください)Побудьте пока здесь.

出題)「建物の外側はぱっとしない」をロシア語にせよ。

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2015年01月03日

●和文露訳指南第144回

『和文露訳指南』4-2-1項を第96回本文に加え、再度訂正する。

完了体未来形の完遂的用法にも、近接未来ближайшее будущее(発話時点のすぐ後に続くか、発話時点と融合した未来)で用いられる近接未来完了と、発話の時点と隔たっている未来で用いられる未来完了の二つの用法がある。近接未来完了における発話時点との融合は、動作の開始が発話時点(例えば現在のこの一瞬)であるとしても、動作の終了は早くて発話の一瞬後という未来の時制に起こり、動作遂行の結果として、時間軸の特定、かつ無限小の不動の一点は未来にあるということを意味する。動作の終了が発話の一瞬後であるため、今というような副詞を除き、具体的な時の状況語と共には使われないことが多い。また近接未来完了には動作結果表出の想定というニュアンスがあり、それは動作が始まって終わるという動作の全一性の後で、何らかの結果のニュアンス(そこにそのままいるとか、結果の良否などの主観的ニュアンス)が発話の時点で想定されるという意味であり、完了体過去形の結果の存続や結果の評価と対比される。不完了体未来形は未来の時制の動作の有無の確認はするが、動作の完遂には言及しない。

(しばらく待ちます)Я пока подожду. <пока = некоторое время с настоящего момента>

出題)「シートベルトをつけないと、罰金だ」をロシア語にせよ。

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2015年01月04日

●和文露訳指南第145回

пока + 状態の動詞、過程の意味の不完了体動詞は主文と従属節の動作が同時に起こることを示し、пока + 動作動詞(неと共に用いられる場合が多く、具体的な1回の動作では完了体が用いられる)では主文の動作が従属節よりも後に起こる。

До тех пор пока будет признаваться власть правительства и право его управлять народом, налагать подати, учреждать суды, наказывать, война никогда не прекратится.(政府権力が人民を支配し、年貢を課し、裁判所を設け、罰する権利を認める間は、戦争は決してやむことはない)
Прошу вас подождать, пока я оформлю документы.(書類の手続きをするまでお待ちください) <ждать, подождать, ожидатьが主文の述語の時は、покаの後にнеが来なくてもよい>
И это продолжается до тох пор, пока колода не убивает медведя.(それはその短い丸太が熊を殺すまで続く)

出題)「両方の間で振り子のように人(の心)は揺れる」をロシア語にせよ。

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2015年01月05日

●和文露訳指南第146回

例示的用法で完了体未来形のみがほぼ使われるという理由を考えてみた。過去形であれば確述の意味も含め、動作が既に起こったという事を意味し、仮定法過去であれば、実際には起こっていない、起こる確率のないような動作を示すことになる。また不完了体未来形であれば動作が終わるということを明確に言えないが、完了体未来形なら、これからの動作で完遂する動作を示すわけで、例として提示するのであれば、妥当だと判断されたのではないかと思われる。

出題)「複数の部屋は鍵のかからないドアで仕切られていた」をロシア語にせよ。

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2015年01月06日

●和文露訳指南第147回

最初のモスクワ駐在の頃だから1985年ごろだと思うが、赤の広場の近くの通り(ヴァルヴァールカだと思う)を歩いている時に、お巡りさんから呼び止められた。信号無視だという。ぼんやり歩いていたので、信号に気がつかなかったのだ。罰金を払えというので、賄賂を出せと言う事かと思い、金額を聞いたら1ルーブルだと言う。お金を払うとその場で受取をくれた。歩いて信号無視して、罰金を取られたのは私ぐらいだろう。赤の広場近辺ではちゃんとした賄賂を取らないお巡りさんを特別に配置していたのか、そのお巡りさんが例外的にそういうことのしない人だったのかは知らない。ロシアの警察官(役人と言い変えてもよい)と賄賂は切っても切れないものだというのは骨身にしみて知っている。その後運転している時に、何度もお巡りさんから、スピード違反とか信号無視とか因縁をつけられて、賄賂を取られたことを思い出す。もったいないので、できるだけ会社のカレンダーを渡す事にしており、水着のミニカレンダーなどは車の常備品だった。賄賂や乞食に渡すお布施も、渡すタイミングというものがあり、日本人にはなかなか難しい。もらう人が気分を害さぬようにという意味ではなく、お金を出す瞬間というのは人から見られているわけで、見られるということは盗難を自ら招き寄せているのと同じだからである。こういうのを覚えたからと言って日本では何の役にも立たないけど。

出題)「混雑から私が抜け出すのに彼らが手を貸してくれたのさえ思い出す」をロシア語にせよ。

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2015年01月07日

●和文露訳指南第148回

菜食主義者であるトルストイは肉食の害を説いた。一般に菜食主義者にとって肉食はダメだが、菜食は、つまり植物は動物と違うので食べてよいということらしい。植物と動物では生命という概念が違うようである。木の皮の近くは既に死んだ細胞で、生きているのは内部だけだと読んだことがある。ただ植物だって生き物であり、最近の研究では植物には感情があるかどうかという研究がなされており、弱い電気信号を用いて感情を示しているともいう。同じ生き物なのだから、肉食がだめなら、植物を食べるのも不可とすべきという議論が出てくるはずだが、植物も駄目となると、仙人じゃあるまいし、人は霞を食っては生きられないのは確かである。これに対してトルストイは、果実食を勧めている。果実を食べても種は残るわけで、再生産の道を残す事になると言う考えらしい。そうであれば根で増える栄養生殖の植物もよいのだろう。ただそういう理屈であれば、酪農農家であっても、種牛を金を出して借りてきて、種付けするわけだから、再生産の道は残していることになる。今全人類が肉食を止めたとしたら、飼われていた家畜のほとんどは餓死してしまうだろうし、需要がなくなれば無理に飼うこともなくなるわけで、繁殖させることもなくなる。自然にはそれほど栄養のある食糧である草がないからだ。食べられるために生きるのと、はじめからそういう可能性もなく、生まれて来ないと言うのではどちらがよいのだろう。いずれにせよ、人が勝手に決める問題ではないように思う。

出題)「水をたくさん汲んだら、すぐに戻るんだ。いいな?」をロシア語にせよ。

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2015年01月08日

●和文露訳指南第149回

聖書にある有名な「右の頬を打たれれば左の頬を向けよ」の露訳は、二通り考えられる。

Если кто ударит тебя в правую щёку твою, обрати к нему и другую. <偶発的反復であり、例示的用法の例えば右の頬を打たれとしたらというニュアンスがあり、右の後は左と論理的帰結を示している>
Христос поучал: когда тебя бьют по одной щеке, подставляй другую.(片方の頬を打たれる時は、もう片方の頬を(いつも)差し出せとキリストは教えた) <規則的反復で動作の常態化を示し、片方ともう片方では論理的帰結がない>

このように同じ動作を完了体と不完了体で示す事も稀に可能な場合もあるが、ニュアンスは違う。完了体は「例えば左の頬を打たれたとしたら」という例示的用法なので、生き生きした感じがするが、不完了体の反復はいつもいつもという感じで平板な感じがする。そのため完了体と不完了体を選べるなら、文に張りが出るので、完了体を使った方がよい。

出題)「赤信号ではだれも通りを渡らない」をロシア語にせよ。

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2015年01月09日

●和文露訳指南第150回

繰り返し構文の主格 + 造格には、第119回出題で紹介したように、суеверие суеверием(迷信は迷信として措いといて)、сомнения сомнениями(疑惑は疑惑として)、поэзия поэзией(詩は詩として)、переписка перепиской(文通は文通として)「~は~として」があるが、人や人称名詞は用いられないようである。その代わりに、下記表現を見つけた。

Папенька сам по себе(パパはパパ)
Божья воля сама по себе, а надо и меры принимать.(神意は神意として、手段を講じなくては)
Лотерея-то лотерея, да кой-какие номерки и помеченные.(クジはクジとして、若干の番号札には印がついているのだ)

 なぜ人や人称名詞が使われないかについては、私見だが、19世紀によく使われた同じ繰り返し構文の強調用法が関係していると思われる。この表現は現在では慣用表現にしか残っておらず、基本的に新しく作ることはない。дурак дураком(大馬鹿者)、баня баней (= как баня 蒸し風呂のようだ)、чудак чудаком(大変人)、сирота сиротой(天涯孤独の身の上)、 молодец молодцом(男の中の男)、туча тучей(雲霞のごとく、むっつりした)だが、このようにマイナスイメージの熟語が多いために人に対しては使わないのかもしれない。

出題)「だれも怪我していないか?」をロシア語にせよ。

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2015年01月10日

●和文露訳指南第151回

по-という接頭辞のついた運動の動詞は始発を示すものもあるが、完了体が動作の全一性を示す事から、目的地を示す補語があれば、到着を示すというのがフォーサイス先生のお考えである。到着するという意味で、無理にпри-のついた接頭辞の運動の動詞を使うこともないが、その場所からいなくなった(去った)と言いたければ、у-という接頭辞のついた運動の動詞を用いた方が誤解が少ない。

И вот поплыли рыбы в море к тому месту, где жили мудрая рыба, и спросили её, что такая вода и как узнать её.(海の魚たちは賢い魚の住んでいる場所に行って、水とは何か、どうやってそれを見分けるのか尋ねた)
Сколько времени он сюда поедет?(どのくらいの時間でここに彼は来るの?)
Я пойду в магазин.(僕は店に行くよ)

出題)「仕事が終わるとすぐ彼は家に行く」をロシア語にせよ。

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2015年01月11日

●和文露訳指南第152回

定動詞というのは反復であまり使われないが、円運動であるとか、反復が一方向ずつだけであれば使えるということは『和文露訳指南』8-2-1項で説明した。規則的な反復であれば、定動詞も順次的用法に使える。ただ順次的用法と不完了体一般という事でいえば、下記の文は文脈上動作の順がはっきりしているからいいが、不完了体というのは動作の終了をはっきりは示さないので、同時性や動作の重なりなどが出てくる場合もあるので、順次的用法は完了体と共に用いられると考えた方がよい。

(この頃彼は帰宅して、夕食をとって、仕事に取り掛かるのがいつもの日課だった)В это время он всегда приходил домой, ужинал и принимался за работу.
(仕事が終わるとすぐ彼は家に行く)После работы он сразу идёт домой.
(いつも自分の仕事を終えると友達のところに遊びに行く)Обычно я заканчиваю свои дела и идёт в гости к своим друзьям.
(夏が来ると毎年海に行く)Каждый год, как только наступает лето, я еду на море.
(毎年海に行く)Каждый год я езжу на море. <滞在する、いる、訪問するという意味では定動詞は使えない>

出題)「患者には筋肉の弛緩が認められる」をロシア語にせよ。

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2015年01月12日

●和文露訳指南第153回

岩波露和辞典のмочьの項885ページにмочьとсмочьの過去の用法として、いくつか使い分けの例文が次のように載っている。

イ) Он смог перепечатать свой доклад.(彼は自分の報告をタイプで打つことができた)
ロ) Он мог перепечатать свой доклад.(彼は自分の報告をタイプで打つことができたはずだ(が打たなかった))
ハ) Как ты смог подняться на такую высоту?(君はどうしてこんな高い所へ上れたんだ(感嘆))
ニ) Как он мог обмануть меня!(彼はよくも私をだませたものだ(非難))

これらの例文は露文解釈には非常に役に立つのだろうが、和文露訳の観点から考えると、この説明だけではイ)、ロ)のグループとハ)、二)のグループの使い分けがよく分からない。そこで今回は短文出題の代わりに、мочьとсмочьの過去の用法の使い分けを、和文露訳に使えるよう、上記の例文の用法について、汎用性のある説明をしてほしい。『和文露訳指南』の用語を使ってもいいし、独自の用語でもよいが、その場合は定義を明確にすることが必要である。これまで体の使い分けについて、いろいろ考えを深めてきたみなさんなら、それほど難しい問題ではないだろう。ちなみに研究社露和辞典では、смочьの過去は「うまく...することができた (суметь)の意」とあるだけで、岩波のような区別は立てていない。

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2015年01月13日

●和文露訳指南第154回

前回の出題は「~することができた」を和文露訳するときに、単純にмогとсмогのどちらを使うべきかという風にも置き換えられる。つまり日常会話でも大いにあり得る状況である。мочь/смочьは助動詞ではあるが、体の使い分けに関しては本質的には他の動詞と変わることがない。過去の時制についていえば、接続する動詞の体や文脈によって、状態、規則的反復、動作の有無の確認、結果の存続、アオリスト的用法、否定の用法などがあるが、岩波の書き方ではあたかもその文例の用例しかないように、学習者が受け止めてしまう恐れがある。この用例は、不完了体過去形は過去の時制でのみ用いられ、現在とのつながりがあるかどうかは分からないという特質を活かした結果存続無効の用法(第75回本文参照)や動作の有無の確認であり、完了体過去形は結果の存続を示しているに過ぎない。感嘆とか非難というのもкакが示すものであり、後に続く不定形の動詞の語義や文脈、イントネーションによるもので、мочь/смочьとは関係ない。

(負傷後すぐに怪我をした足で歩け(踏み出せ)ましたか?)Вы могли сразу после травмы наступать на повреждённую ногу? <動作の有無の確認>
(彼は自分の報告書をタイプアップすることができた)Он мог (смог) перепечатать свой доклад. <不完了体過去形は動作の有無の確認から来る結果存続無効〔可能性があった〕であり、完了体過去形は結果の存続だが、文脈によってはアオリスト的用法も可能>
(どうやってこんな高いところに登って来られたのだい?)Как ты смог подняться на такую высоту? <結果の存続>
(よくも彼は私をだます事ができたものだ!)Как он мог обмануть меня! <動作の有無の確認>
(どうしてドイツ軍が1941年にモスクワに迫ることができたのか?)Почему немцы смогли вплотную подойти к Москве в 1941 году? <アオリスト的用法>
(1911年秋から学校に通うことができるようになって、1913年春に卒業しました)С осени 1911 года он смог ходить в школу и окончил ее весною 1913 года. <アオリスト的用法由来の大過去(過去完了の継続)>

出題)「全ての人は時間がないとぼやくが、ちょっとでも自由な時間ができると、無駄に過ごしてしまう」をロシア語にせよ。

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2015年01月14日

●和文露訳指南第155回

このコーナーで出題の和文露訳用短文の回答をする上で理想的なのは、短文を読んだ瞬間、語彙は別にして、どの時制でどちらの体を使うべきか分かることであり、そのあとすぐその理由づけが浮かんで来れば、体の使い分けの奥義を極めたことになる。100%正しく体の使い分けが感覚的にできるなら別だが、そうでなければ用法が分かっていないと、次回は間違う可能性が常につきまとう。体の用法を極めるためには、ロシア語の本を精読多読する他に、書かれた(聞いた)ロシア文に対して、また日本語の新聞や文学、日常会話における体の使い分けを意識して、これを会話に応用するにはどうしたらよいのかという意識を常に持つことが必要である。バイリンガルなら自動的に体の使い分けができるから楽だと考える人が要るかもしれないが、バイリンガルというのは幼いころからロシアに住んでいた日本人や、日本に住んでいたロシア人だが、日常会話はペラペラでも、全員が通訳で使えるかどうかは分からない。通訳には長文読解力が要求されるからである。長文読解力を鍛えるには、日本語でもロシア語でも数百冊以上の本を精読する必要がある。それとともに体の用法(ロシア人ならテイルなどの日本語のアスペクト)などを極める必要がある。95%体の使い分けができればいいのではなく、プロなら100%できないといけないということになる。読書力がないと、ビジネスや政治経済、技術などでの標準ロシア語や、標準日本語が話せないということになりかねないからである。バイリンガルの方で通訳として成功している人たちは、自らさらにロシア語を向上させるために勉強を続け、このような努力している人たちなのである。ただ多くの通訳の方々は体の使い分けに、文法的なアプローチではなく、大量の例文の丸暗記で対処(感覚的な動詞の体の自動識別化、ロボット化とでもいうのか)なさっているように見える。私のアプローチとはこの点が違うし、文法的に対処する方が、効率的に、短期間で体の使い分けをマスターできるが、大量の例文丸暗記では出口の見えないトンネルにいるようなもので、だれもこれで十分とは言ってくれないのである。このコーナーの短文は日常会話というよりは、新聞雑誌、文学書で使われるような表現が多いので、体の奥義を極める上でも、また実戦にも大いに役に立つと自負している。

P.S. 139回のやまさんへの最初のコメントに、стрельнутьなどの一回体は、動作の一括化がないと書いたと思うが、これは間違いで、一回体も動作の一括化がある。『和文露訳指南』にその例が載せてあるのをすっかり失念していた次第。お詫び申し上げる。

Снова несколько раз кашлянул.(再び何度か咳き込んだ)

出題)「誰かから私に問い合わせがあったら、私はレストランにいますから」をロシア語にせよ。

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2015年01月15日

●和文露訳指南第156回

ロシア語の文法というと、初級文法で暗記ばかりさせられたうらみからか、拒絶反応を起こす人が多い。将棋を例にとれば、駒の並べ方、進み方、玉の詰み方を知ることが初級文法であり、これを覚えないとゲームにならない。しかし、銀矢倉を始め、将棋にはいろいろな手があり、これを覚えないと、将棋の面白さが分からないことになる。ロシア語も同様で、初級文法だけで、後は語彙を覚えるのに熱心であっても、動詞の体の用法や、単数複数などが分かっていないと、最小限度の用は足せるというぐらいのもので、面白さが湧かない。ロシア語の面白さを満喫するために、また自分の意思を正しく相手に伝えるためにも、動詞の体をマスターすることが必要であると考える。

出題)「集まった人の3人に一人は彼に借金をしていた」をロシア語にせよ。

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2015年01月16日

●和文露訳指南第157回

規則的反復というのは、毎週、毎月というというような、それこそ規則的な繰り返しの他に、予測可能な反復、例えば、電話など、いつかは、また誰かからは知らないがだれにでもかかってくることは予測できるような動作、つまり、このような話し手が日常的に起こり得ると見なす反復動作を規則的反復と言う。第155回の出題「誰かから私に問い合わせがあったら」というのも、いつ問い合わせがあるか、誰からあるかは知らないが、仕事をしている以上、問い合わせがあると予測可能であるために、規則的反復が用いられ、偶発的反復(例示的用法)は用いられない。
例示的用法の使い方がよく分からないという人のために、聖書のコリント人への手紙のトルストイの訳を挙げよう。

(もし足が、私は体の一部ではない、なぜなら私は手ではないからだと言ったとしても、まさか足が体の一部ではないということになるというのか?)И если нога скажет: я не принадлежу к телу, потому что я не рука, то неужели она потому не принадлежит к телу?

このような文は仮定法過去で始めるのが普通だが、上の例文のように完了体未来形を使って、例示的用法でも表現可能である。このように話し手によって、「仮に~であれば」という、あるかないか分からないような、予測不可能であることを示すなら、完了体未来形が使えるということになる。

出題)「70年代の日本は資本主義諸国の中で米国を抜いて1位となった」をロシア語にせよ。

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2015年01月17日

●和文露訳指南第158回

本格的に露文解釈をやろうと思ったら、単語の語義を辞書で確認するのみならず、その単語を使いこなせないと真に理解したことにはならない。特に文学の場合は、どういう気持ちを込めて作者がこの単語を使ったのかが問われる場合もある。そのためには和文解釈で体の使い分けを学ぶことで、露文解釈や露文和訳においても、正確に文意やニュアンスをつかむ術や自由に単語を使いこなせる術を身につけることができるようになる。

出題)「いつもこうだ。僕が中庭に走って来るや否や、すぐに誰かが叫び出すんだ」をロシア語にせよ。

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2015年01月18日

●和文露訳指南第159回

動詞の体の使い分けを考える際に、完了体と不完了体を対立するものとか、別個のものと考えると混乱する。それよりも数学の集合の考えを取り入れて、動詞の用法を大きな丸としたなら、その中に黒い丸を書く。その黒い丸が完了体であり、それ以外の白い部分が不完了体である。つまり不完了体は動詞の用法全てを代表するが、白地に黒が目立つように、完了体は主観的な動作を行うと考えればよい。完了体は過程(進行形)を示せないが、全一性などは、不完了体よりも、クロが白よりも目立つという意味で完了体が優先的に使われるということになる。完了体が過程を示せないので、やむを得ず不完了体が示すということになる。

出題)「そのような行動への参加・不参加に一線を画するのは難しい」をロシア語にせよ。

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2015年01月19日

●和文露訳指南第160回

実際に通訳をしている時に、瞬間的に完了体か不完了体かのどちらかを選ぶのは難しい。大まかには話の流れに沿っての動作なら不完了体を、新規や想定外の動作なら完了体をととらえておくとよい。ただ通訳というものは瞬時に体を決めなければならないので、自分なりに目安というものを作っておくとよい。「いつも」とか「頻繁に」となれば、不完了体というのは間違いではないが、それは予測可能な動作の場合であって、特に日常会話などで予測不能な動作の場合完了体が来るというのは、例示的用法(偶発的反復)で何度か出題したので覚えておられる方も多いだろう。話題が過去で2005年などの時の状況語が出てくれば、完了体過去形(アオリスト的用法)を使うとか、前回の出題のように「~するのは難しい」とか、「~するのは簡単だ」というのは、不可能から来る難易のニュアンスがあるので完了体不定形を使うとか、動作に「例えば」というように入れられるなら、例示的用法であるとかである。厳密に言えば、文脈によってそうでない場合もあり、それは体の本質を考えれば説明可能だが、時間のないときには、このような便法に頼るのも一案である。このような便法をどのくらい使いこなせるかが通訳の腕の見せ所である。『和文露訳指南』の体の使い分けの目安16条などもそういう便法である。

 体の使い分けについては、本書で詳しく説明したが、ただ初級者や中級者、ひょっとして上級者でも、読んでもよく分からない人、この本を読むのが面倒な人、じっくり読む時間がない人は、その人に合わせた体の使い分けに関する個別レッスンを実地で受けてもらうしかない。

出題)「その決定は国の内外に大きな波紋を呼んだ」をロシア語にせよ。

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2015年01月20日

●和文露訳指南第161回

死ぬまでにやり終えたいと考えていることが二つある。一つは、前にも書いたが、和露活用辞典の編纂・出版であり、これは毎日少しずつ単語を追加したり削ったりして、手直しをしているが、大きなスポンサーが見つからない限り、このままでは出版できず、未完のままで終わるような気がする。まあこれはこれで仕方がない。できるだけ推敲して、原稿の質を高めておけば、後に役に立つと思ってくれる人も出てくるかもしれない。
 もう一つは、ロシア語のレッスンについてである。ロシア語の入門や、初級、中級の段階で早くから体の使い分けを中心に据えてロシア語を教えれば、機械的な丸暗記を少なくできるわけで、ロシア語会話への興味も増し、学習を継続させることができ、また学習効果が高まるのではと考えている。自分では早くからロシア語文法に興味を持ち、語彙や熟語、慣用句、諺などの丸暗記と並行して中級文法もやってきたが、文法で説明がつかないところは丸暗記してきたわけである。当然のことながら、自分でこの方法をゼロから試したことはない。昨年(2014年)の6月ごろようやく否定の用法に確信が持てたことで、体の使い分け全般に自信が持て、『和文露訳指南』を執筆したわけである。今も細かい表現やより適切な説明や例文を修正加筆しているが、それはマイナーな点であり、本質的なものは書き終えたと思っている。
このコーナーの定期投稿者は大体上級レベルで、独力でそのレベルに達した人ばかりである。このコーナーには腕試しとして参加され、語彙の面や体の奥義を極めるなどで、若干お手伝いできることもあるが、私の学習法を試すには遅すぎる人たちばかりである。私の学習法を試してみたいのは、もっと下のレベルの学習者である。それゆえ体の使い分けを中心とした勉強に興味のある入門レベル、初級、中級レベルの学習者に『和文露訳指南』を基にしたレッスン参加を募っているところである。年齢も年齢なので、人を教えるにしてもあまり時間がないような気もするが、より多くの人に、体の用法の奥義を極めることにより、より深くロシア語を味わえるのだという事を伝えたいと思っている。週1回1時間で1~2年やれば、本人が努力すれば体のあらましは分かるようになると思う。学習希望者は御一報を。このサイトでも、私のサイト「ランポポー」のメールで送信していただいてもよい。

出題)「あす朝までに熱が下がらなかったら、医者を呼びます」をロシア語にせよ。

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2015年01月21日

●和文露訳指南第162回

疑惑や不信を示す動詞、сомневаться, не думать, не верить, не может бытьには、чтоもчтобыも両方可能で、意味も近いと言える。

Я не думаю, что этот план (будет, было) трудно выполнить. = Я не думаю, чтобы этот план трудно было выполнить.(この計画が遂行困難だ(った)とは思わない)
Я сомневаюсь, что они выполнили (выполнят) этот план. = Я сомневаюсь, чтобы они выполнили этот план.(彼らがこの計画を実行した(する)かは疑問だ)
Не может быть, что этот план уже выполнен. =Не может быть, чтобы этот план уже был выполнен.(この計画がもう遂行されたはずがない)

P.S. 第157回の回答のコメントで、やまさんの回答にстать первымは時間的関係のみと書きましたが、次のような例文を見つけました。やまさんの回答は正解です。その旨訂正しましたので、ここにお詫びさせていただきます。

Япония стала вторым после Китая крупнейшим рынком солнечной энергетики.(太陽光発電市場では日本は規模で中国に次ぐ2位になった)

出題)「他の最大級の有力なデパートにも根回しをしておいた」をロシア語にせよ。

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2015年01月22日

●和文露訳指南第163回

ロシア語の会話がうまくなりたいならば、理想的には、ストーリー性のある会話集、どういう会話集か分からなければNHKのラジオ講座テキストなどを半年分用意して、1ページ毎に文法事項を徹底的に解説してもらい、訳と解説に納得がいけばⅠページ毎に丸暗記し、それを半年分続けることである。講座テキストには和訳は載っているが、単数・複数、動詞の体などの詳しい文法解説はないから、そういう解説のできる人に頼むしかない。初級から上級までいかなる文法的な疑問にも対応できるよう、詳しい文法事項の解説してくれる人を探すのは大変だろう。解説がなぜ必要かというと、入門者や初級者では質問のとっかかりが分からず、疑問に思う事すらないからである。疑問なくして、又その解決なくして語学の上達はない。疑問を前以てクリアしておいて暗記すれば、その文の応用範囲は広がり、多くの文脈に対応できることになり、暗記の効果が高まると言える。これはロボット的な丸暗記とは違う。

 稀にテキストの丸暗記を半年続けられる人がおり、そういう人はロボットみたいなもので、例文にぴったりの和文が出てくれば露訳できるが、そうでなければ文法ができていないので、応用が利かないし、第一体の使い分けができないから、いつまでたっても外人ロシア語のままである。文が文法的に正しいかどうかが判定できないので、疑問があればロシア人に尋ねることになるが、聞かれたロシア人もロシア語としてその文が使われるかどうかは判定できるが、なぜ他の用法が使えないかは、他の用法を提示してもらえない限り判定できないことになる。まじめで優秀な人ほど語彙や例文の暗記を際限なく続けることになる。そういうのを嫌がらない人が優秀な通訳になってゆくと思うが、ロシア語をやって楽しいと感じるだろうか? 私が提唱するのは、ロシア語のニュアンスが楽しめる、昧読できるような人間的なロシア語学習法であって、ロボットみたいな機械的丸暗記法ではない。

出題)「ボートは沖に流された」をロシア語にせよ。

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2015年01月23日

●和文露訳指南第164回

「語学の勉強には精神を安定させるところがあります」と言う木田元先生のお言葉を第37回で紹介したが、この40年ロシア語を原語で読みだした20年前ごろから、あまりストレスを感じなくなったような気がする。15年前ぐらいロシア文学の理解には聖書が不可欠だろうと思い、聖書を読みだしたが、旧約と新約両方合わせて千ページぐらいのもので、当時ソ連でようやくおおっぴらに売り出したものだった思う。信者でもないので飽きると思い、1日2ページにした。旧約は預言者アブラハムと神とのユダヤ人らしいしぶとい駆け引きなどがあり、結構内容も面白いので、だんだんと1日に読むページが増え、10ページになり、結局4カ月ほどで読んでしまった。
最近トルストイのКруг чтения(読書の範囲)という、これも900ページぐらいあるのを読了したが、ノルマはこれも1日10ページだった。内容はトルストイ自身の言葉や自分がよいと思った他の著者の名言が1年365日毎にいくつか書かれており、短いのは1行、長くても5~6行で、週の終わりに短編のようなのが入っており、結構面白い。朝起きて読みだすのだが、おかげで1日をゆったり送れることができるような気がする。基本的に使えそうな例文を探してエクセルに入れるために読んでいるわけだが、会話に使えそうな例文はほとんどなかったとはいえ、人にとって一番大事な、心の平穏が得られるというのは、ロシア語をやってよかったと思うことの一つである。今は20年前に買ったポーランドのSF作家レムの露訳全集全12巻と、例年恒例の年鑑『日本Япония 2014』を読み始めた。この年鑑が私の時事ロシア語の教材になっていて、ここから役に立つと思う語彙や表現をエクセルに入れ、完成するかどうか分からないが『和露活用辞典』の原稿の一つになるということになる。あと『民間直喩大辞典Большой словарь народных сравнений』(Мокиенко, Никитина, ОЛМА Медиа групп, 2008)という800ページほどの時点を毎日4ページ読んでいる。この辞典は標準語だけでなく、方言も扱っているのがよい。直喩と訳したのは、есть как бегемот(がつがつ食べる)というように、какなどを使う語句である。

出題)「まず聞いたことを自分の中でよく消化し、あわてて吐き出してはならない」をロシア語にせよ。

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2015年01月24日

●和文露訳指南第165回

私よりロシア語の通訳やガイド、翻訳の上手な人は何百人もいるだろう。これは謙遜ではなく、自分の目指すロシア語が、機械的に、ないしは反射的にロシア語から日本語、日本語からロシア語というような、日ロのバイリンガルを目指したものではないからである。精確な(正確であればそれに越したことはないが、すくなくとも近づけるという意味で)訳を目指しているからである。私の取り柄は、40年以上ロシア語をやっているので、この間ロシア語の本をいろいろ読んだり、仕事や日常、テレビや映画などでロシア人の生の会話を聞いたりして、役に立つと思われる語彙や例文をエクセルに保存しており、それが9万1千項目ぐらいあるということである。だからすぐに適訳が出なくとも、この語彙集にあたってみれば、かなりいい線までは適訳が見つかる可能性が高いのではないかと自負している。
それと20年以上アネクドートやロシアソ連の犯罪の研究をおり、実際にソ連ロシアに10年駐在したので、ロシア人庶民のトリビア(雑学)に強くなったということである。こういうロシアのトリビアは日本に住んでいるロシア人に聞けばよいと思われるかもしれないが、ロシア人はこのトリビアを空気のようにあまり意識していないし、聞けば教えてくれるが、当然のことながらそれを日本語のトリビアでは何に当たるかは知らない。英米のトリビアに関する辞典は『スーパートリビア事典』(フレッド・L・ワース、渡辺洋一他監訳、研究社、1988年)がある。ロシアに関したもので上品なものでは、Россия Большой лингвострановедческий словарь, Прохоров, АСТ-ПРЕСС, 2007があるが、平俗的なものは扱っておらず、Большой словарь русской разговорной речи, В. В. Химик, Норинт, 2004にほんの少し解説あるくらいであり、体系的なトリビアの事典はない。トリビアというのはロシア人にとってあまりに当たり前すぎて、売れないからであろう。これは日本でロシア語を勉強する学習者の大きな弱点である。それは日本のトリビアについての日本語の本がないと同じである。買う人がいないので出版されておらず、日本語ができるロシア人の弱点にもなっている。
 アネクドートを研究したおかげと現地にも10年暮らしたおかげで、ロシアのトリビアにも強くなり、それが日本語で言えばどういう感じに当たるかもある程度見当がつくようになった。このトリビアの知識がないと、アネクドートのオチが分からないとはともかく、ロシア人の仲間内での話もよく理解できないことが多い。日本では嫁姑の問題も、ロシアでは嫁の母と婿の問題となるという類である。

出題)「足を踏み外さないで、階段よ」をロシア語にせよ。

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2015年01月25日

●和文露訳指南第166回

結果存続兼評価型動詞という用語名は、完了体と関係があるようにも受け取られるので、評価解釈型動詞と名称を変更した。『和文露訳指南』を下記のように変更する。

3-1-5-1 評価解釈型動詞とは何か

 評価解釈型動詞интерпретационные глаголыというのは、動詞自体には具体的な動作の意味はないが、発話において具体的な動作の評価を示し、動作の解釈は発話と共に始まり、発話の終了と共にその解釈(判定)は終わるので不完了体動詞現在形が用いられる。遂行動詞の中に判定宣告型というのがあり、これに具体的な評価(ほぼマイナス評価)を併せたものに近い。またこの動詞群はこの用法では過程(進行形)の意味では用いないので、所与の状況や文脈に沿った動作ということで、不完了体現在形で現在の時制でのみ用いられる。

(中略)

これらの動詞群は発話終了と同時に、〔すでに考えの間違いは犯された、間違った行動はなされている、すでに中傷という事実はある〕という(ほぼマイナスの)評価が示され、これは完了体動詞過去形のもつ結果の存続と結果の評価を併せた機能に近い。そのような文脈において、この用法の体のペアである完了体動詞過去形と不完了体動詞現在形は互換性があると言える。その点が遂行動詞(3-1-4参照)との違いである。

出題)「この考えを自分の胸にとどめた」をロシア語にせよ。

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2015年01月26日

●和文露訳指南第167回

『和文露訳指南』を下記のように変更した。

3-1-6-1 状態の動詞とは

 状態の動詞は「ある、いるбыть(存在の動詞、8-1項参照)やнаходиться(位置や所在の動詞)」の意味を語義に持つ不完了体で、そのままの動作の状態の維持を意味しており、場依存型の動詞であると言える。状態の動詞は語義的に、時間軸において動作の特定かつ不動の一点を示す事ができないゆえに対応の完了体をもたないと言える。対応する完了体がない不完了体のработать(働く)やспать(眠る)などは、動作の意味で過程や反復の意味も示せるが、動作の意味を示す時には、поработать(ちょっと働く)、проработать(働きとおす)、поспать(ちょっと眠る)、проспать(眠りとおす)などと、体のペアではないが、意味を限定しての完了体を作ることができる。このように状態の動詞にはвходитьのように語義に動作と状態の二つの意味を持つものもあるので、露露辞典にて用法を確認されたい。

出題)「反応炉の冷却がイの一番にやられる」をロシア語にせよ。

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2015年01月27日

●和文露訳指南第168回

ロシア語の入門者に一から教えるのも、上級者に動詞の体やロシアの雑学(トリビア)を教えるのもそれなりに自分の勉強になると思うが、今一番やりたいのは、ロシア語の勉強に一度挫折した人向けに、ロシア語に再挑戦してもらうことであり、丸暗記ではなく、動詞の体の使い分けを含めたロシア語文法の楽しさを通じて和文露訳を学んでもらい、ロシア人とのメールのやり取りなどで、ロシア語への興味も取り戻してくれるのではないかと思うからである。まず見つからないであろう新規のロシア語学習者を見つけるよりも、ロシア語学習者数の増加を見込めると思うし、ロシアやロシア人との相互理解も進むと思う。

出題)「彼は船内探検に出かけた」をロシア語にせよ。

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2015年01月28日

●和文露訳指南第169回

ロシア大衆の使う表現にголова у кого с (в) ведро(バケツぐらいの大きさの頭)というのがあるが、意味は同じようなものでも、文法的には少し違う。с + 対格は以前にも説明したように、およその大きさを示す。в + 対格はголоваの大きさを示している。

出題)「来ないと思った」をロシア語にせよ。

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2015年01月29日

●和文露訳指南第170回

アネクドートの露文和訳を出題した黒帯研究会から8年半、多分今回で和文露訳の短文を出題するようになってからほぼ4年、1300回を数えた。ここまで続いたのも投稿者の皆様のご支援のおかげである。改めてお礼申し上げる。こういう短文というのは出題しようと思えば際限なくできるが、出題する相手のレベルが特定できないために、上達の進度が全くこちらには分からない。こういうやり方で少しはお役に立っているとは思うものの、まさに糠に釘ということで手ごたえがあまり感じられないので、これでいいのか常々悩むところである。常連の方々は上級者なので、特に教えるようなものはないし、せいぜい凡ミスのチェックぐらいだろう。4年もほぼ毎日続けたからもう潮時かもしれない。ロシア語独学のお手伝いばかりで、全くあなた任せであり、そういうのよりはもっと具体的な学習者に教えるようにしたほうが世の中のためになるのかもしれない。

出題)「それは娘達にとっては糠に釘みたいなものだった」をロシア語にせよ。

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2015年01月30日

●和文露訳指南第171回

идтиの過去形がшёл, шла, шло, шлиであることはロシア語をやっている人は皆ご存知であろう。英語のgoの過去形wentは、wendという別の動詞から借用したと読んだことがあるので、ロシア語もそうかなと思い語源を調べてみたら、古代スラブ語のходитьのぺルフェクト用法という現在完了(結果の存続)のような用法由来らしい。хがшに音韻変化を起こしたり、脱落したことが分かる

ход" - "шед"
Произошло замещение буквы "Х" на "Ш" в одной из форм изначального глагола "хъдьти"
("ъ" и "ь" - это звук "э" разной краткости, сегодня стал где "о", где "е", где "и", а где и вовсе выпал)

первоначальная форма глагола *хъдьти, откуда через *хьдьти > идти, причем, в основных формах "хь" перешло в "ь" (краткое гласное "е")
*хьду > иду - *хьдемы > идем
*хьдеши > идешь - *хьдете > идете
*хьде > идет - *хьдут > идут
в перфекте "хь" > "ш": *хь (дъ) л > шь (дъ) л > шел

出題)「ランプは風の当たらない場所におく必要がある」をロシア語にせよ。

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2015年01月31日

●和文露訳指南第172回

順次性は完了体の特性だという事をあまり強調しなかったようなので、『和文露訳指南』2-2-1-4項を少し改めた。

 同じく動作が順々に起こっていても、過去の反復ならば、不完了体動詞過去形を使う。不完了体は時間的に共存する過程を示し、時間における過程と過程の前後関係を指示しないとラスードヴァ先生も述べておられるので、不完了体は具体的な1回ずつの動作の順次性を示さないと考えるべきである。

(この頃彼は帰宅して、夕食をとって、仕事に取り掛かるのがいつもの日課だった)В это время он всегда приходил домой, ужинал и принимался за работу. <夕食を取るのと仕事に取り掛かるのが同時という可能性もある>
(炎はすでに室内に激しさを増し、かまちも窓も燃えており、炎の先端は壁の上にのびていた)Пламя уже бушевал внутри комнаты, горели рамы и окна, и языки огня высовывались вверх по стене. <動作の同時性を示す>

出題)「この家は築何年ですか?」をロシア語にせよ。

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2015年02月01日

●和文露訳指南第173回

偶発的反復と規則的反復が形式上入り混じったような文を見かけることがある。最初の文のслучаетсяはбываетも含めて、文法上иногда、всегдаなどと同じ副詞扱いであり、偶発的反復を示している。三つ目と最後の文は主文が規則的反復を示し、従属節が完了体未来形を用いて先行する動作を示しているが、例示的ニュアンスも感じられる。

(運転手が駐車場ではないところに車を置いて、罰金を払うということはこのようによくあることだ)Так и случается: поставит водитель машину не на стоянке – заплатит штраф.
(そうよ、ロマのことを時々思い出して、涙ぐむこともあるわ。なんて私純情で、お馬鹿さんだったのかしら)Правда, иногда вспомню Рому и всплакну, какая я была наивная и глупенькая.
(塩素が蒸発したら、溶液を瓶に〔いつも〕注ぎます)Когда хлор улетучится, я наливаю раствор в банку.
(思い出すと、むかつく)Как вспомню - так тошнота подкатывает.

出題)「背中が凝っている」をロシア語にせよ。

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2015年02月02日

●和文露訳指南第174回

智さんが第19回でコーシカさん宛に2種類辞書を買ったことをお書きになっている。その中のУшаковは古い辞書だが、『窓別冊 ロシア語の辞書』(ナウカ、1980年)で東郷正延先生がこの辞書にはотвечатьに完了体的用法(完了体過去形のアオリスト的用法だと思われる)と記載あることを指摘され、стаканは「ものを飲むための円筒形の、取っ手のないガラス容器であり、бутылкаの約1/3が入る」とあって日本のコップよりは大きいことが具体的に分かるとして褒めておられる。このコップの量がうかがえるアネクドートとして、拙著『ロシアのジョーク集』に次のようなものがある。

На том свете встретились Брежнев с Андроповым. - Выпьем, Юра ! - Нет, Леня, подождём третьего. 
訳)あの世でブレジネフがアンドローポフと会いました。
「アンドローポフよ、飲もうぜ」
「ブレジネフ、だめだよ。三人目を待とうよ」

 ソ連末期酒不足の時に流行ったアネクドートで、オチはチェルニェンコの死を揶揄したものだが、そのほかにも読み取れるものがある。1本のウオッカを買う金のない人は酒屋の前で、見知らぬ人同士であっても後二人飲みたい人を集め、3人で1本買い、その場で隠し持っていたコップстаканで一気飲みして、名前も聞かずに分かれるのを常とした。なぜ3人かというと、ウオッカ1本は500 ccであり、それを3人で飲むと空になり、このことからウシャコーフの辞典にあるように、コップはビンの1/3の大きさであることが分かる。ロシア庶民のトリビア(雑学)に大いに関係していることが分かるアネクドート(小噺)である。以上蛇足ながら。

出題)酒を勧められての答えとして「運転がありますので」をロシア語にせよ。

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2015年02月03日

●和文露訳指南第175回

『和文露訳指南』9-2-3項の確述について、下記を加えた。例文については第173回の本文参照願う。

この用法で示すのは規則的反復である。主文は不完了体を用いて規則的反復を示し、従属節は完了体未来形を用いて先行動作の終了を示すが、例示的ニュアンスも出る。主文に不完了体を用いて規則的反復を示し、従属節に確述の用法の完了体動詞過去形を用いて先行動作を示す事も可能であり、さらに完了体過去形を続けて順次的用法を用いる場合もある。

出題)「師団への辞令をもらった」をロシア語にせよ。

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2015年02月04日

●和文露訳指南第176回

会話での和文露訳のときには、実際に使える活用語彙активный запас словと文法の知識がものを言う。語彙というのは単語、熟語、慣用句、諺にせよ基本は丸暗記だが、単語だけを並べても意味やニュアンスが伝わるとは言えない。そこで必要なのが、語用論である。語用論というのは動詞の体の用法、単数複数の使い分けなど、実際にロシア語を話す上で必須となる知識であり、手段かつ武器である。露文解釈では必要がないということで、ほとんど無視されてきたが、拙著『和文露訳指南』は、その武器を実戦用に分かりやすく解説・整備したものである。

出題)「ひょっとしたら、それはすべて俺の空耳か」をロシア語にせよ。

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2015年02月05日

●和文露訳指南第177回

『和文露訳指南』7-3項の出だしを下記のように改めた。

7-3 状態「~である」(不完了体)と状態の発生時点「~となる」(完了体)を示す動詞群(казаться/показатьсяのグループ)

 この動詞群は完全な体のペアとは呼べず、明らかに語義に相違があり、それはБыло трудно.(困難だった)とСтало трудно.(困難になった)の意味の対立に例えられる。このグループの完了体は状態の発生時点の意味をもたらす接頭辞をつけることで、状態を意味する不完了体から派生したと言える。このグループの完了体過去は容易にアオリスト的用法(〔そのときは〕その気になった)を意味し、状態を示す不完了体と対立する。なぜなら結果の存続については不完了体現在形がカバーするからである。ただ文脈によって完了体過去形はアオリスト的用法から派生して、動作の結果の存続ではなく、感覚の記憶が残っているという、いわゆる結果存続無効の用になる場合もある。3-1-6項の状態の動詞も参照願う。

(思いがけなく叩く音が聞こえた)Неожиданно послышался стук. <アオリスト的用法>
(ひょっとしたら、それはすべて俺の空耳か)Может быть, мне всё это просто послышалось. <結果存続無効>

出題)「発作が起こると意識を失う方ですか?」をロシア語にせよ。

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2015年02月06日

●和文露訳指南第178回

2015年1月5日付の読売新聞によると、ネットの利用法について出した電子書籍(1部200円)が記録的な部数である800部売れたが、作者の取り分は7万円とのこと。電子書籍で売り上げ部数が1ケタというのも結構多いらしい。2年ほど前に読んだタイム誌でもアメリカで電子書籍が100部売れたら一人前と書いてあった。課題は宣伝だとある。私はと言えば、電子書籍6点を販売してから3年過ぎてようやく販売部数200部をこの正月に越えた。喜ぶべきなのであろう。紙の書籍11点の累計売上数は10年間で三万部ほどだから、電子書籍だと購入をあきらめる人が多いような気がする。
『和文露訳指南』(上下2巻各1,080円)を昨年夏に出した時に、自分用も兼ねて製本版(各2,800円)も出した。自分でも買ってみて、今使っているが、製本版の方が見やすく、引きやすいし、はるかに使い勝手がいい。1,720円だけ電子書籍版より高いが、私が抜いているわけではなく、製本代をそのまま乗せているだけである。1冊ごとの製本ゆえに高いのであって、これが1万部とでもなれば、かなり安くなるだろうということは想像できるが、本の内容が内容だけに、そんなに売れるものではないのは百も承知である。総ページ数550ページだから、2巻で5,600円が高いかどうかである。使う人が内容を気に入ればということなのだろう。
Dlmarketも電子書籍を購入して、近くのコンビ二で紙にコピーしたものを受け取れるサービスを始めたという。しかし、コピー代が見開き(つまり2ページ)で60円くらいだから、製本版の方が安いし、買いやすいように思う。

出題)ようやく電話に出た相手に「俺はもう30分も電話しているんだぞ」をロシア語にせよ。

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2015年02月07日

●和文露訳指南第179回

完了体は語義にある動作の始めから終わりという全一性を示す。動作が終われば何らかの結果(論理的帰結)があるということで、それは具体性を帯びやすい。翻って、不完了体は動作の有無の確認がその本質だから、始まった動作が終わるかには関知せず、それゆえ一般性を帯びると言える。こういう観点から体の使い分けを考えてもよいかもしれない。

出題)「妊娠中に動脈圧の上昇(浮腫、皮膚炎、皮膚病)はなかったですか?」をロシア語にせよ。

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2015年02月08日

●和文露訳指南第180回

このコーナーや『和文露訳指南』において、動詞の体や単数複数、その他のロシア語の文法事項において、自説を述べているが、少なくとも私は先達の知識の上に立って展開しているつもりであり、我流の説にあぐらをかいて、雲をつかむような話をしているつもりはない。せいぜいのところ、これまでの参考書と違い、会話における和文露訳の観点から述べているというのが、目新しいのかもしれない。ただ私の説を鵜呑みすることなく、自分の読むロシア語の文章で確認してほしい。おかしいと思えば、具体的な例でご指摘いただければ、それについて回答するし、私の説が間違っていればお詫びして訂正する。

出題)「彼は返答に詰まった」をロシア語にせよ。

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2015年02月09日

●和文露訳指南第181回

丸暗記というのは何も考えずにひたすら暗記することを言うが、丸暗記が必ずしもだめだということではない。語学をする上で語彙や例文の暗記は必須だが、延々と続く丸暗記に向いている人はあまりいない。そういう小数の人が名通訳や名ガイドになるのかもしれないが、いい大人が丸暗記を続けられるはずもない。暗記を助ける手段として、動詞の体の用法の使い分けなどの文法の理解や、このコーナーへの投稿がある。どういう手段を使っても、何か脳に強い印象を与えるようにすれば、語彙を覚えることができる。そのお手伝いをこのコーナーでやっているわけでなる。自分が間違えた文の正解、苦労して考え出て正答した文は記憶に残りやすい。そういう意味で理詰めの和文露訳の勉強を勧めているわけである。

出題)「あなたと同じものを飲みます」をロシア語にせよ。

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2015年02月10日

●和文露訳指南第182回

投稿者の中には答えに加えて用法(例示的用法とか遂行動詞)とか書いて来られる方がいる。答えの文を見ればどういうつもりで書いているか大体分かるので、個人的にはどちらでも構わないのだが、こういう理屈を書くことで、仮に正解だったとしても偶然ではないという、どうしてこの体を選んだのかということで、偶然性の排除にもなるし、間違っても、具体的な反省の材料になる。他の投稿者や閲覧者にとっても、このような理屈付けは、他の人の考えを知る上で、大いに参考になると思う。投稿者は自分のロシア語の向上だけを考えて投稿すればよいが、それがかえって、私も含めて他の投稿者や閲覧者を大いに資することになっている。

出題)「この箱は彼にとって机代わりだ」をロシア語にせよ。

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2015年02月11日

●和文露訳指南第183回

『和文露訳指南』に9-14項として下記を追加のこと。

9-14 仮定法と未来の時制

 仮定法過去というのは事実に反する動作や状況を示し、同じ形式で過去の時制でも、現在の時制でも、未来の時制でも用いられる。時制の違いは文脈のみに依る。未来の時制で用いられる場合には、条件法の未来の時制と意味的に近くなるが、それでも実現の可能性はより少ないと話し手が考えていることになる。次の文を、仮定法と条件法で書いて見ても意味は変わらないが、ニュアンスは若干違う。

(母が僕に送金してくれたら、この車を買うのだが)Если бы мать прислала бы мне деньги, я бы купил эту машину. <仮定法過去、送金の可能性は絶望的〔このロシア語原文は『現代ロシア語文法』(城田俊、東洋書店、2005年)より借用〕>
(母が僕に送金してくれたら、この車を買う)Если мать пришлёт мне деньги, я куплю эту машину. <条件法〔このロシア語原文は『現代ロシア語文法』(城田俊、東洋書店、2005年)より借用〕>
(明日までに雨がやめば、郊外に行くのだが)Если бы к завтрашнему утру дождь кончился, мы поехали бы за город. <仮定法過去、雨がやむ可能性は絶望的。утруはどちらの力点も可能〔このロシア語原文は『現代ロシア語文法』(城田俊、東洋書店、2005年)より借用〕>
(明日までに雨がやめば、郊外に行く)Если к завтрашнему утру дождь кончится, мы поедем за город. <条件法、утруはどちらの力点も可能〔このロシア語原文は『現代ロシア語文法』(城田俊、東洋書店、2005年)より借用〕>
(警察が調書にしてくれたなら、いい教訓になるのに)Пусть бы милиция составила протокол – хороший был бы урок. <時制は過去ないしは未来。現在の時制は完了体を使っているので不可>
(どうして邪魔をするんだ。やらせてみればいいのに)Зачем помешали: пусть бы попробовал.  <同上>

出題)「自分がガンじゃないかと思うんだ」をロシア語にせよ。

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2015年02月12日

●和文露訳指南第184回

特定の日本語の語彙を頭において例文を集めるというのは邪道だと思う。ロシア語の本を読んで、その例文が和訳するとなれば、こう訳せるという事で、それを語彙集に含めるべきである。そうすれば、集まる語彙に無理がでない。ある日本語の語彙を見つけることを目標にすると必ず無理が出る。こういう風にして40年語彙集を作ってきたから、ある程度語彙にバラツキがあるのは止むを得ない。しかし、辞書編纂となると、もう少しバランスを取る必要があり、少しはその邪道に踏み込もうかと考えている。

出題)「その女の前に二人の警察官がぬっと現れた」をロシア語にせよ。

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2015年02月13日

●和文露訳指南第185回

пить воду(水を飲む)は対格で、попить воды(水を少し飲む)やвыпить воды(水を飲み干す)にはなぜ部分生格が来るのか考えてみた。部分生格の場合は動作にも、水にもその水ということでは限定性がある。対格の場合は動作にも、水にも限定性がない。そこが違うのではなかろうか?выпить стакан воды(コップ1杯の水を飲み干す)という例でも水が限定されている。

出題)「船体を緑の塗料で2度塗りして下さい」をロシア語にせよ。

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2015年02月14日

●和文露訳指南第186回

露文解釈だけならともかく、会話ということになれば、ビジネスロシア語や観光ロシア語においても、単に語彙やその説明をするのではなく、それ以前に文の正しい理解のために、動詞の体の正しい理解が不可欠である。そうでないと、損得に響くことが多々あり得る。語彙であれば、どういう風にネットで語彙を収集するのか、正しい語彙のチェックの仕方を教えるだけ十分だと思う。

出題)「湖面に輪が広がった」をロシア語にせよ。

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2015年02月15日

●和文露訳指南第187回

参考書というのは読むだけではなく、その後も利用できるように、内容に感心したり、疑問に思ったところには下線を引くなりして、後ろのページの余白にそのページ番号を書いておくようにすれば、あとで気になった時に、再度チェックできるから便利である。このようにして市販の参考書を自分なりにアレンジして、容易に検索可能な自分だけの学習辞書を作るとよい。そうすれば無理に暗記することなく、どこを探せば答えが見つかりそうかということで、そのような学習辞書をできるかで多く作ってしまえよいことになる。

出題)「画像をもっと鮮明にしようとした」をロシア語にせよ。

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2015年02月16日

●和文露訳指南第188回

体の本質は同じであるが、動詞群によってその現れ方に強弱が出る場合もある。そういう意味もあって、拙著『和文露訳指南』ではかなり細かく動詞群に分けて具体的に説明している。ただこのような個々の用法にばかり目が行き過ぎると、体に共通する本質というのを見失いがちになり、各動詞群の特徴ばかりに目が行って、逆に通訳の時に体の使い分けに時間がかかるようになってしまう。体の本質とは何かというのを常に頭において、個々の用法とフィードバックさせることが、体の奥義を極める近道である。

出題)「科学的な目的なのか、宗教的な目的なのかは我々には判断がつかない」をロシア語にせよ。

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2015年02月17日

●和文露訳指南第189回

不定法や命令法は厳密に言えば未来の時制の動作を対象にしたものであり、過去や現在の時制ではないので、促し、禁止、不可能、不必要、例示的用法という未来の時制に近い用法となったのだと思われる。

出題)「もし私が5時か6時に戻ってきたら、あなたのところは開いていますか?」をロシア語にせよ。

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2015年02月18日

●和文露訳指南第190回

『和文露訳指南』2-2-1-2項に下記追記願う。

完了体過去形のアオリスト的用法というのは、過去の時間軸の特定かつ不動の一点で行われた唯一の動作や出来事を指し、それが発話の時点と関係がないか、発話の時点との関わりを問題にしないという意味である。発話の時点と関わりがあれば近接未来ということで、結果の存続の用法となる。動詞によっては7-2項の動詞群のように、アオリスト的用法で動作が行われたが、発話の時点とは無関係どころか、その動作が完遂されなかったという結果存続無効(3-1-12項)のニュアンスがはっきりと出る動詞群がある。2-2-3項のбылоはいったん開始された動作の中断、中止)だが、それとは違って、動作は行われるのだが、期待された結果が出ないという動詞群である。

(彼のことはあてにしたのだが、このざまだ)Я на него понадеялся, а вот что вышло. <シノニムのположитьсяにもこのニュアンスが若干ある。動作は起こったのだが、期待とは違う結果になった>
(一瞬来ないのかと思ったよ)На секунду я было подумал, что ты не придёшь. <いったん開始された動作の中断、中止>
(リーヂヤ・ミハーイロヴナは突然笑い出して、僕に抱きつこうとしたが、僕は彼女を避けた)Лидия Михайловна вдруг засмеялась и попыталась меня обнять, но я отстанился от неё. <попробовать, попытатьсяもпонадеятьсяと同様な結果存続無効のニュアンスがある>

出題)「彼はドアを開けたままにした」をロシア語にせよ。

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2015年02月19日

●和文露訳指南第191回

『ハートロッカー』というアカデミー賞受賞の映画を見ていたら、「分かった」という言うところで、Understood.と言っているように聞こえた。そこでネットI understandとUnderstoodの違いについて調べたら、ネットの初心者英会話ステーションというところに説明を見つけた。説明と言っても現在の時制がよく使われるという頻度での説明であって、語用論的なものではまったくないのは、説明している人が遂行動詞というのを知らないか、閲覧者のレベルでは分からないと判断したのか、実用的には文法にこだわらずに、専門家の言う事に従えと考えているのかは分からない。ようするに使い方を丸暗記せよということらしい。

- Do you know what I mean?
- I understand.

Understoodは(It is) understood (by everyone)の略で、了解は了解でも、個人的に分かるというよりは、誰にでも分かるというニュアンスがあるらしい。ただI understandのほうが頻度的にはるかに高いとある。またI get it. = I got it.でニュアンスの差はほとんどないとある。つまり英語では遂行動詞と結果の存続を実用上は同じように見なしているということになる。

出題)「彼は何度死にかけたことか」をロシア語にせよ。

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2015年02月20日

●和文露訳指南第192回

完了体過去形を用いる結果の存続はアオリスト的用法の派生だが、それは完了体過去形をтолько что(たった今)と結びつけて考えると、動作の不動の一点が示されており、アオリスト的用法であることは一目瞭然である。動作の完遂した瞬間と発話の時点があまりに近いので、その動作の結果は発話の時点にも残っていると想定され、それが結果の存続につながって行ったと考えられる。ちなみに不完了体過去形なら動作の有無の確認となる。この違いは「たった今」を現在と全く関わりのない過去の時制と捉えるか、アオリスト的用法から派生した結果の存続と捉えるかによる。

(私はたった今戻った〔戻ってきたばかりだ〕)Я только что вернулся.
(ぼくにたった今アンドレイが電話してきた)Мне только что звонил Андрей.
(しかし、たった今彼が電話してきた)Но он только что позвонил.
(僕はたった今〔ここに〕入ってきたばかりだぜ。それなのに君ときたら自分のお願いかよ)Я только что вошёл, а ты ко мне со своими просьбами.
(僕はその時、首になったばかりだった)Я тогда только что уволился.
(彼らはたった今までここにいたんだ。遠くからでも分かったよ)Они только что были здесь, я заметил ещё издалёка.

出題)「前を失礼します」をロシア語にせよ。

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2015年02月21日

●和文露訳指南第193回

『和文露訳指南』の下記の部分を若干変更した。

7-2 不完了体動詞の使用頻度が高い動詞群(звонить/позвонитьグループ)

対応する完了体動詞はпо-という接頭辞をもつが、по-という接頭辞を持つ動詞がすべてこのグループに入るという事ではない。この動詞群においてはпо-という接頭辞は完了体の目印であり、はっきりとした語義上の差異をもたず、所与の動作の一回性を強調する。この動詞群の不完了体動詞は動作動詞ではあるが、動作の継続のニュアンスがあるために対応の完了体動詞とは完全なペアとはなりえない。不完了体が語義のすべてをカバーするため、過去の時制や目的を示す不定形に用いられる場合、特に動作主体、動作の時間などの話し手の注意が集中する場合には、完了体も用いられるとはいえ、一般的には不完了体の使用が優先する。完了体には偶発的反復でよく使われ、不完了体動詞未来形には意図の用法が発達している。この動詞群は不完了体から完了体が発達し、完了体を発達させた理由は、未来における必要性、可能性、好ましさ、結果存続無効を示すときなどに用いるためだと思われる。2-2-3項のбылоはいったん開始された動作の中断、中止)だが、それとは違って、動作は行われるのだが、期待された結果が出ないという動詞群である。未来の時制では完了体動詞未来形と不完了体動詞未来形のニュアンスは後者が口語的というぐらいで、ほとんどないといえる。3-1-4-5項、3-2-1-5 ハ)項、4-1-1-3項、4-1-1-7項、5-2-5項参照。

(ここに第190回本文にある例文を挿入のこと)

出題)「必要な時には助けるよ」をロシア語にせよ。

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2015年02月22日

●和文露訳指南第194回

『和文露訳指南』の3-1-6-2項に下記の部分を追加した。

形容詞の短語尾にもこの用法があるものもある。動作よりその結果の存続に文の焦点があるからとも言えるし、動詞бытьが動作の意味に用いられ、その結果の存続の用法であるとも言える。8-1-1項も参照願う。

(ロックンロールは死んだ)Рокк-н-ролл мёртв.
(彼は亡くなったが、彼の事業は生き続ける)Он мёртв, но дело его живо.

出題)「内科医としては長いのですか?」をロシア語にせよ。

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2015年02月23日

●和文露訳指南第195回

通訳をしているときは時間がないので、のんびりと体の使い分けを考えている余裕はない。そこで瞬間的に体の使い分けのできる基準を考えてみた。「過去や未来の時制で1回の具体的動作の完遂なら完了体を用い、それが現在の時制なら不完了体を用いる」というものであり、それ以外なら不完了体を用いると覚えておけばよい。体の用法の使い分けというのは、1回の具体的動作の終了(完了体)なのか、それ以外(不完了体)かということに尽きると思う。それ以外というのは状態、過程、性質、規則的反復である。問題なのはこの二つが組み合わさったような用法があることであり、結果の存続のように、先に動作が起こり、それから状態が続くのであれば、動作は過去の時点で起こったわけであり完了体過去形を、評価解釈型動詞のように、動作の評価を伝えるものは不完了体現在形を、遂行動詞のように過程に初めと終わりがあれば不完了体現在形をという具合である。その場合は動作がいつの時点で起こるのかによって体の使い分けが決まる。例示的用法の場合は、これから(未来)の1回の具体的動作に例えて用いられると考えればよい。ただ問題は一つの動詞、例えば状態の動詞(бытьも含めて)、動作のニュアンスがある場合もあることであり、形式上動作の意味であっても、状態で表現されるから始末が悪い。

(もういらしたのですね)Вы уже здесь. <結果の存続>

一つの動詞でも文脈によって語義が動作や状態(過程)となる場合があり、それは使われる動詞のイメージを頭の中におくことで、ある程度体の使い分けの問題は解決できると思う。

出題)「僕はイールカともう1週間もけんかしていた」をロシア語にせよ。

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2015年02月24日

●和文露訳指南第196回

『李香蘭 私の半生』(山口淑子・藤原作弥、新潮社、1987)を読んだ。満州生まれの女優で、後の参院議員である山口淑子(1920~21014)の自伝である。正に波乱万丈の生涯であり、中国語が堪能であり、女優の自伝としては高峰秀子の『わたしの渡世日記』(2巻、高峰秀子、新潮文庫、2012年)と双璧であろう。満州時代に知らず知らずのうちに国から自分が傀儡としての役割を演じさせられたことを後悔していることが分かる。幼いころから中国を習い、日本語と同様母語同然であるが、日本に来たのは大人になってからという、日本人には珍しい、生まれついての国際派である。美人だが、顔は国際的というか何人でも通じるように見える。本書は共著であるために、自伝にありがちな偽善化や偽悪化もなく、物事を判断するうえでのバランス感覚にも優れ、文章も明快であり、歴史的事実についてもよく調べている。川島芳子とも交友があり、そのデカダン的な自暴自棄な生き方を身近に見た歴史の証人でもある。ラストエンペラーである溥儀一家とも交友があり、皇后がアヘン中毒であったのも、皇帝自身が男色の趣味があったからだとか興味が尽きない。満映社長だった甘粕正彦の複雑な心理なども垣間見える。水原弘の「男なら」という歌の元は、下関の特攻隊基地で彼女が聞いたもので、歌詞は「男なら男なら 未練残すな浮世のことは 花は散り際 男は度胸 胸に日の丸抱いて行け 男ならやって散れ」というもので特攻の歌だったということである。

出題)工場での質問「今日何点の商品を生産なさっているのですか?」をロシア語にせよ。

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2015年02月25日

●和文露訳指南第197回

メーカーや弁護士の方が無料翻訳ソフトを使って作ったメールが、ネット上に流出して大問題になっているのは周知の通りである。ロシア語も翻訳の仕事はほぼなくなり、これも無料翻訳ソフトの影響もあるのだろう。だいたいの意味さえわかるのならこういうソフトを使ってみるというのも分かるような気がするが、タダより高いものはないということの証左でもある。語学はそれなりの時間、お金を費やしてものしたものであるから、それをタダで利用しようというのは虫がよすぎる話である。

出題)「地震は高さ何十メートルもの津波を伴った」をロシア語にせよ。

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2015年02月26日

●和文露訳指南第198回

「最寄りの駅がどこにあるか教えてください」はСкажите, пожалуйста, где ближайшая станция?と初級の会話のレッスンで習う。教えると言っても、сказатьであって、научитьではない。英語でもPlease tell me, where the nearest station is.であって、teachは使わない。英語もロシア語も論理的であり、日本語でなぜこういうことが起きるか考えてみた。この「教える」は敬語だろうと思う。尋ねる相手を立てているわけで、物を聞く以上、先生と見なして、教えを乞うという謙譲の姿勢が言葉に現れたものだと思う。

出題)「私は何も言わなかったことにして下さい」をロシア語にせよ。

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2015年02月27日

●和文露訳指南第199回

『和文露訳指南』4-1-1-5項に下記追記する。

例えば、出だしの文としての「薬局に行って来る」という新たな事態や情報が出てくる場合の露訳に、いきなり×Я буду идти в аптеку. (×は非文〔文法的に正しくない文〕)とは使えない。動作自体が新規であり、動作が文の焦点に来る文なので完了体動詞未来形を使うべきである。不完了体未来形は近接未来では使えないし、不完了体には明確な意味で完遂の用法はないから、未来完了でも使えない。使えるのは未来の時制における動作の有無の確認だけである。よく使われるのは、4-1-1-9項にあるесли, когда との組み合わせである。不完了体動詞未来形がいきなり出てくるように見える次の文でも、普通列車に文の焦点があるから、動作の有無の確認ということで、動詞がなくても意味は通じるから、不完了体動詞未来形が使われているということになる。

(普通列車でいらっしゃるのですね)Вы будете ехать в обычном пассажирском поезде. <急行や特急、飛行機ではなく>

出題)「申し上げる決心がつかないのです」をロシア語にせよ。

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2015年02月28日

●和文露訳指南第200回

тотやтаは前の文脈で出てきた人を指し示す、その人(それぞれ男と女)という意味であり、3人称の人称代名詞と同じ意味で使われる。ただонやонаはそれぞれ男性名詞と女性名詞の代名詞であって、英語のように人だけを示すものではないが、тотやтаは人や動物のみを示す。

出題)「家系に何か遺伝的なものがありますか?」をロシア語にせよ。

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2015年03月01日

●和文露訳指南第201回

否定では遂行動詞は使わないと『和文露訳指南』3-1-4-8項に書いたが、第199回の出題を遂行動詞と考える人もいるようなので、私なりの見解を書いておく。

(申し上げる決心がつかないのです)Я не решаюсь вам сказать.

「決心がつかない」というのは心の内、ないしは独り言であり、これだけであれば、聞き手に言わんとするところは伝わらない。しかし、対話の文章とすると、「決心がつかないのです」と言われた瞬間、その内容を聞き手は了解するから遂行動詞ではないかと思われたのだろう。しかし、厳密に言えば、上記の文は、「決心がつかないと言う」となって、はじめて聞き手に了解されるわけで、「言う(伝える)」が省略されていることが分かる。言うговорюも伝えるсообщаюも遂行動詞であることは言うまでもない。つまり「決心がつかない」は遂行動詞 + что以下の従属節の文ということになる。

出題)「国公立の大学の競争率は4~5倍である」をロシア語にせよ。

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2015年03月02日

●和文露訳指南第202回

テレビで欧米出身の自爆テロリストが仲間から、すぐに天国の美女が待っているぞと冷やかされている映像を見た。ネットによるとイスラム過激派によるイスラム教の天国は、決して悪酔いすることのない酒や果物、肉などを好きなだけ楽しみ、フーリーと呼ばれる永遠の処女と性行為を楽しむ事ができるとある。自爆テロリストにも女性はいるだろうから、女性はどうなるのだろうかとか、フーリーの気持ちはどうなのだろうと思った次第。

 仏説阿弥陀経によれば仏教の極楽は、極楽という仏土は広々としていて、辺際のない世界であり、地下や地上や虚空の荘厳は微をきわめ、妙をきわめている。この浄土にある華池や宝楼、宝閣などの建物もまた浄土の宝樹も、みな金銀珠玉をちりばめ、七宝乃至は百千万の宝をもって厳飾されている。しかも、それらは実に清浄であり、光明赫灼と輝いている。衣服や飯食は人々の意のままに得ることができ、寒からず暑からず、気候は調和し、本当に住み心地のよいところである。また、聞こえてくる音声は、常に妙法を説くがごとく、水鳥樹林も仏の妙説と共に法音をのべる。したがって、この浄土には一切の苦はなく、ただ楽のみがあるとある。飽きがこないのだろうか?

 キリスト教では統一的見解というのがないようだが、神や天使などがいて、清浄とされる、天上の理想の世界らしい。神様はともかく天使も死んだ人のお世話をするとするなら、これも大変なような気がする。それに具体的に天国の想像できないのでは凡夫の身として何とも言いようがない。神道では死は穢れであり、黄泉の国の神話を読むかぎり行きたいと願うようなところではない。そうなると死んで何も残らないか、宇宙の源とか他の霊と合一するという方が気楽のような気がする。

出題)「マスコミの役割は両国の住民の直接接触の量の変化に反比例して増える」をロシア語にせよ。

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2015年03月03日

●和文露訳指南第203回

『和文露訳指南』の下記項目に追記変更した。

3-1-12 結果存続無効

結果存続無効аннулированность результатаという用法は、動作が現在とは関わりがないことを示し、2-2-3項のбылоはいったん開始された動作の中断、中止)だが、それとは違って、動作は行われるのだが、期待された結果が出ないという動詞群である。
結果存続無効を表現するためには発話の時点(それが現在なら現在)と動作が関わりなかったという事を言えばよい。つまり発話(現在)の時点と全く関わりのない過去の時制であることを明らかにすればよいことになる。結果の存続ではないことが明確なアオリスト的用法、歴史的現在、そして対義語がある体のペアなどが考えられる。

出題)司会者が報告者に尋ねる「以上ですか?」をロシア語にせよ。

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2015年03月04日

●和文露訳指南第204回

通訳をしていて思うのだが、完璧な訳というのは、1分でも2分でも、ある程度時間をもらえばかなり精度の高い訳はできると思うが、逐次通訳でも(ましてや同時通訳では)考える時間がないような場合が多いから、うまい具合に暗記していた例文や語彙と同じような文であれば別だが、意訳になるのが多いような気がする。つまり和文露訳の場合は、ロシア語として自然なように、元の日本語よりもロシア語としての論理や言い回しに自然なように、露文和訳の場合は日本語として自然なような訳となるように思う。それは毎回短文を出題しているが、このような短い文ですから、体の使い分けが何も考えずに、瞬間的に自然に出てくるとはとても思えないからである。

出題)女性に対する質問「初婚ですか?」をロシア語にせよ。

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2015年03月05日

●和文露訳指南第205回

Ушаковの辞典は持っていないし、買う気もない。余分なお金がないというのが一番の理由だが、東郷先生がいくつか長所を上げているのにも関わらず買わないのは、ソ連時代の第二次世界大戦のころに出た辞典で内容的に古いというのが第一点、収録語数が8万5千語と少ないのが第二点、一番気に入らないのはソ連時代に出た辞典であり、ソ連のイデオロギーにたっぷりと浸った辞典であるということである。いかなる辞典もイデオロギーとは一線を画すべきだというのが私の考えだからだ。ロシア史ではソロヴィヨーフСловьёвやクリュチェーフスキーКлючевскийの著作は精読したが、邦訳もあるポクロフスキーПокровскийの著書を読まないのも同じ理由である。

出題)「マンションのフラットの奥から女性の声が響いた」をロシア語にせよ。

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2015年03月06日

●和文露訳指南第206回

『和文露訳指南』3-2-4項の偶発的反復に下記を追加した。

規則的反復では現在のこの一点が言及されている期間に動作が含まれるので、不完了体現在形を使うが、偶発的反復では、動作を仮にとか例えば~であるというように、例として具体的にこれからの動作として示すので体は完了体未来形が、従属文の時制はその動作が現在のこの一点が言及された期間内に含まれないので未来となる。бываетなどが偶発的反復で使われるが、状況語(挿入語、副詞句のようなもの)であり、文の直接の成分ではない。

出題)「気の変わりやすい方ですか?」をロシア語にせよ。

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2015年03月07日

●和文露訳指南第207回

『シベリアの掟』(ニコライ・リリン、片野道朗訳、東邦出版、2015年)を読んだ。ウルカ(ウールカуркаであろう)と呼ばれるシベリアに起源を持つ犯罪共同体の一員として生まれ、少年時代に受けた教育や哲学を半生記である。あだ名はニコライ・コリマ(Николай Колымаであろう)。場所はトランスニストリアで現在の沿ドニエストル共和国のベンデルである。著者のウルカの説明や、その他の説明にしても定説とは異なる。著者の祖父や祖母たちは第二次世界大戦中にスターリンの少数民族強制疎開と同様、シベリアの一種の泥棒村から強制的にモルドヴァやルーマニアに集団で連れて来られたらしい。著者のリリンは1980年生まれで、24歳の時にイタリアに移住し、イタリア語での捜索活動を行っている。そのためロシア本国とは伝承が異なったものとなっているのかもしれない。ヴォールвор в законеのグループとは一線を画しているようである。
いずれにせよ1990年代初めにもこのような掟が共同体の中に存在していたことは大きな驚きである。伊賀出身の日本人などもウルカに参加したとあるのも興味深い。ただ翻訳者がロシアの犯罪事情に通じていないためか、若干初歩的なミスがある。ブリンナーヤ(ブリンナヤблинная)、チャドニャク(スホドニャークсходняк〔犯罪者の顔役авторитет (вор в законеが中心ではある)同士の寄り合い〕)、バール(バーбар)、ナガント(リボルバーのナガンであろう)、シベリアのネンシー族(ニェニェツ族か?)とか、ベンジャ・クリク(ベーニャ・クリクならオデッサのヤポンチクをモデルにした映画の主人公)がウルカの言い伝えに実在したと書かれているのはおかしい。

出題)「1966年は寄付金集めでは記録的となった」をロシア語にせよ。

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2015年03月08日

●和文露訳指南第208回

ロシアやソ連の犯罪が私の研究テーマであり、19世紀末から現在に至る犯罪関係の諸文献によると、20世紀初めの有名なジャーナリスト作家ドロシェーヴィチДорошевич の『流刑Каторга』によれば19世紀半ばのシベリアやサハリンなどの流刑地にてすでにイワンиваны, フラープхрапы, イグロークигроки, シュパンカшпанкиという4つの階層が見られたという。東シベリアのカーラКара鉱山にある流刑地で19世紀半ばラズギリジェーエフРазгильдеевという所長が酷い体罰を行い、それに耐えた少数のものからイワンиваныというエリート階級が発生したと言う。脱走囚が自分の身元がばれるのを恐れて、(生まれも知らぬ)無宿人бродяга (непомнящий родства)として一般的な名前イワンиван, не помнящий родства(生まれも知らぬ身の上)と名乗ったのが起りらしい。19世紀末あたりから体罰が軽くなるにつれて一番上のイワンの権威が相当落ちていったことが述べられている。19世紀ペテルブルグではマズーリクмазурики(仲間内ではジョルジжоржи、モスクワではジガーンжиган)が犯罪エリートであり、このイワン、マズーリクやジガーンの伝統がヴォールに引き継がれていったのではなかろうか。

 1917年のケーレンスキーによる二月革命の恩赦で何千もの犯罪者が出獄し、また革命後の混乱により刑務所内で力を振るったイワンは力を失ってゆき、10月革命後には元士官、商人、ブルジョアなどインテリ出身者がジガーンの新たな構成者となり、思想的ジガーンидейные жиганыという新興勢力が生まれた。これに対抗して刑務内でコズリャートニクкозлятникиという犯罪界の師範クラスが若いものに犯罪の手口を教え、暴力的なウールカуркаが誕生した。ムショをアカデミーという所以でもある。さらに思想的ジガーンの権威を認めない(反ソ的)と言うアナーキスト考え方を取り入れてウールカがヴォールの掟を作り上げていったと思われる。ジガーンとウールカの抗争、それと国内の監獄が整備されるにつれて、1920年代のネップ時代から30年代にかけて、監獄内における犯罪エリートの状況改善のため、具体的にはスリ集団の収監中の仲間への対する差入れの必要性からウールカからヴォールが発生したと考えられる。

 リリンの説では犯罪者にはシベリアのウルカ、黒の一族、灰色の一族、赤の一族があり、シベリアのウルカはいわゆるヴォールの掟を厳正に守るという点で、極端に美化されているように思われる。黒の一族はブラトニーとも呼ばれ、刑務所内にいることを好んだというし、вор в законеの別名はблатной(正確に言えばヴォール候補生)とも言うから、黒の一族がヴォールを指す可能性が高い。赤の一族は警察のイヌというので、これはスーカсукаであろう。どっちにもつかないのが灰色の一族というので、これはマフノー一派махновцы, 赤頭巾ちゃんкрасная шапочка, 分けて分捕れДери-бери, 流氷の上にただ一人Один на льдинкеと呼ばれていた中間派のグループであろう。

出題)「彼のことは買いかぶっておられます」をロシア語にせよ。

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2015年03月09日

●和文露訳指南第209回

モスクワの暴力団にはソーンツェフスカヤ組、オレーホフスカヤ組、ペテルブルグには、タンボフスカヤ組、カザーンスカヤ組、マルィシェフスカヤ組などがあったが、これらの組も2000年代初めにはビジネスに鞍替えしたり、警察などにより壊滅状態である。2010年現在ではロシア内務省によるとロシア全土では249の組があり、構成員は11,622名である。そのうちモスクワには12、モスクワ州には10の組がある。モスクワで大きな組は、イロケーズ組(Ирокезыモヒカン刈りという意味)、ドラゴン組Драконыである。ヴォールвор в законеは149名おり、内92名は塀の中という。

出題)「彼は恐喝容疑で拘束された」をロシア語にせよ。

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2015年03月10日

●和文露訳指南第210回

2015年2月28日付読売新聞夕刊の一面の見出しに、「女子目線で新商品」とあった。女子会という言葉もよく聞くが、これはティーンの女の子の会ということではなく、女の会ということのようだ。男子目線とか男子の会とか言葉はない。男女平等と言っても、これでは女性は若い方がいいということを、マスコミが主張しているようなものではないか?若く見えると言うのも、お肌のお手入れがどうかというよりは、老け顔とか若く見える顔と言うものがあり、男女ともども遺伝に依るような気がする。歳をとったら、経験の積み重ねによるよさ、歳をとれば利口になるというようなことを考えるべきだが、外見を若く変える方が、本を読んだり、経験を積み重ねて内面を磨くよりはるかに簡単なことは言うまでもないし、第一分かりやすい。ただ50代の人が、あるいは60代、70代の人が10歳若く見えるよりも、その年齢に応じた内面の深さがあるかどうかは、話をしてみればすぐ分かることだ。目線というのも嫌な言葉だ。視線でよいではないかと思う。

出題)「強く押すと痛いですか?」をロシア語にせよ。

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2015年03月11日

●和文露訳指南第211回

ヤポンチクЯпончикと言えばロシアの犯罪界の帝王と言われ、ヴォールвор в законеのトップに君臨したとされる。米国でFBIにも逮捕されたがロシアに送還され、2009年6月にモスクワで暗殺された。ソチオリンピックの施設建設にからみ、グルジア系のマフィアのタローТаро(本名はОниани Тариэлというグルジア生まれのギリシャ人で、彼もヴォールである)の指示によるとされる。

 ヤポンチクは二人いて、初代はオデッサで名をはせ、ソ連の内戦時代に赤軍に子分を連れて参加したが、大した働きもしないまま、暗殺された。目が細かったからという説もあるが、写真が残っていないので何のとも言えない。私は彼の写真を探しに、10年前にオデッサまで行ったが、ラフな肖像画しか手に入れられなかった。ただオデッサの警察博物館に特別に入れてもらい、いろいろ写真を撮ったのを覚えている。この初代が上納金制度общакを始めたとされる。二代目がこのヤポンチクで、目が日本人のように細かったということと、柔術を心得ていたからとい言う説がある。ヴォールは40までは生きないのがほとんどで抗争で殺されるか、麻薬の打ち過ぎで死ぬかのどちらかだが、二代目は1940年生まれだから、長生きした方である。

出題)「鼻からの呼吸がしにくいですか?」をロシア語にせよ。

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2015年03月12日

●和文露訳指南第212回

特に書くこともなくなったので、しばらくロシア語の類義語について書くことにする。アーケードのторговая аркадаは柱列ということで屋根付きとは限らない商店街で、пассаж は屋根付商店街のことである。

出題)「交渉は無期限に中断された」をロシア語にせよ。

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2015年03月13日

●和文露訳指南第213回

相手противникはスポーツなどの対戦相手であり、戦争などの敵という意味もあり、соперникも対戦相手という意味であり、ライバルという意味もある。оппонентは討論などの論敵を指し、собеседникは談話などの話相手を指す。

出題)「問題はだれが勇敢で、だれが臆病かという事ではなかった」をロシア語にせよ。

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2015年03月14日

●和文露訳指南第214回

麻はконопля のことで大麻とも言う。日本語の麻は大麻、カラムシкитайская крапива (рами)、亜麻лён、マニラ麻манильская пенька、黄麻(ジュート)джутの総称である。

出題)その日のうちにという文脈で「同じ道を往復したのか?」をロシア語にせよ。

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2015年03月15日

●和文露訳指南第215回

ロシアでも刑務所の改革は進んでおり、軽罪の受刑者はできるだけ釈放して刑務所の負担を軽減し、ブレスレットをつけさせて常時位置の監視ができるようにするという方向で検討されている模様である。2012年には30台の電子書籍リーダーをある刑務所で試験的に購入し、それにより8万2千点の電子書籍を読めるとのこと。

出題)「好奇心では彼女は父にそっくりだった」をロシア語にせよ。

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2015年03月16日

●和文露訳指南第216回

浅瀬бродは川幅いっぱいの、あるいは湖を横断できるような長さの浅瀬で、барは海岸近くの浅瀬、мелководьеは川や湖の浅瀬、мельは船舶航行ができない浅瀬で、отмельは岸から続いている浅瀬、перекатはотмель рекиである。косаは陸続きの細長い浅瀬、砂嘴、岬。

出題)「彼は不動産業者から身代金を受け取ることを計画した」をロシア語にせよ。

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2015年03月17日

●和文露訳指南第217回

よんどころのない事情で今後出題およびそのコメントは土日および祝祭日とせざるを得ません。よろしくご理解願います。次の出題のコメントも土曜になります。

出題)「その非難はその政治家には藪蛇だった」をロシア語にせよ。

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2015年03月21日

●和文露訳指南第218回

足場は複数形を用い、лесаと言う。подмости (подмостки)は足場の板張りの部分を指す。

出題)「殺人犯は全体の混乱に乗じて、平然と姿を消した」をロシア語にせよ。

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2015年03月22日

●和文露訳指南第219回

アパートに関して、апартаменты は複数で用い、豪華な部屋のことであり、アパートはсъёмная квартираのことである。

出題)「どのようにして彼は被爆したのか?」をロシア語にせよ。

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2015年03月28日

●和文露訳指南第220回

2009年ヤポンチクの暗殺に端を発したハサン老Дед Хасан (Аслан Усоян)とタローТаро (Тариэл Ониани)のヴォールвор в законеグループ同士の抗争は、2013年1月のハサン老の暗殺を以っても止んでいない。ハサン老はグルジア系ではあるが、ロシア系マフィアとも関係がよく、ヤポンチク亡きあと、当時のロシアマフィアのドンと言われていた。グルジア系マフィアを代表するタロー(自身はギリシャ系)とはソチオリンピックの施設の利権を巡って争っていた。タローは服役中であり、ヤポンチクの暗殺を直接指揮したと言われるグルジア系のロフシャンРовшанは未確認情報ながら2013年2月にはトルコで暗殺されたと言われている。ハサン老の跡目を継いで、ロシアマフィアのドンとなると予想されるのは、ヤングシャクロШакро-молодойであろうが、彼は今スペインで服役中である。2013年時点でロシアの犯罪界の実力者はシシュカンШишкан、チューリンТюрин(シベリアを仕切っているとされる)、アクセンАксен、ペートリクПетрикがいるが、じきにヤングシャクロが出獄するはずなので、彼の動向次第である。彼自身敵も多い。ロシア内務省の資料によれば、2013年現在ヴォールвор в законеの数は、旧ソ連圏で活動しているのが428名、拘置所に入っているのが75名、計503名とされるが、暗殺される者や、麻薬の打ち過ぎで死ぬものもあり、また自派のヴォールを増やすために、新たに多くのヴォールを襲名させるという動きもあり、数は一定しない。最近は中国系やベトナム系のマフィアもロシアに進出しているとされ、既存勢力も安閑としてはいられない。

出題)「その魔法の呪文は効きめがある」をロシア語にせよ。

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2015年03月29日

●和文露訳指南第221回

сеть, сеткаは一般に網を指し、неводは漁労用の大きな網、бреденьは浅瀬で使う小さな漁労用の網を、частикは目の細かい漁労用の網を指す。

出題)「(車の)後部座席にいた何者かが突然短機関銃をつかんだ」をロシア語にせよ。

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2015年04月04日

●和文露訳指南第222回

安全ベルトремень безопасности は車や飛行機ので、高所作業用のはпредохранительный поясという。

出題)「武力の行使は必要最小限となった」をロシア語にせよ。

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2015年04月05日

●和文露訳指南第223回

городищеは要塞化、軍事化された住居の遺跡で、стоянкаは古代の住居の遺跡・遺構である。共に複数形のостаткиやостанкиは遺物。останкиには雅語で遺骨という意味もある。

出題)「彼は殺されたニェリュービンと拘置所で同じ日に死んだ」をロシア語にせよ。

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2015年04月11日

●和文露訳指南第224回

悪戯っ子はうるさく騒ぐという意味ではшалун, баловник, баловеньがあり、проказникは悪さをする者という意味で、озорникは度を越した悪さをする、сорванец腕白者という感じである。

出題)「船長はお義理でもう5分すわってから、立ち上がった」をロシア語にせよ。

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2015年04月12日

●和文露訳指南第225回

『分析哲学入門』(青山拓央、ちくま文庫、2015年)を読んだ。分析哲学にはそれほど興味がないが、「どの可能世界もその世界から見れば「現実」であり、唯一本当に実在する現実世界などない」とか、「私以外のどの人物もその人物から見れば「私」であり、ここ以外のどの場所も、その場所から見れば「ここ」である」とか、また名指しと必然性などはロシア語の学習にとってもためになると思う。特に末尾の「時間について」において、無時制的表現(思考)ということで、今は状況に依存する表現であり、今は存在しないというのは、時間が過去から現在、未来へ一方通行的に流れるという事を否定しているわけで、これは大いに考えされられた。私見だが、今「昨日友人と会い、明日会社に行く」と思っているというのは、あたかも過去にそういう事実があり、未来においてもそういう動作を予定しているということに依存しているようだが、この今は連続せずに、単独で存在していると考えるべきだという風に理解した。ただロシア語の時制は基本的には過去から現在へ、未来へと一方向的に移行し、過去や現在を変えたらと想定するのが仮定法であると考えれば、秩序ある無時制と表現できるのかもしれない。

出題)「僕の帽子だれか見なかった?」をロシア語にせよ。

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2015年04月18日

●和文露訳指南第226回

「ある」という意味では、бытьが普通用いられる。находитьсяは公的に用いられ、пребыватьは書き言葉であり、長期間その状態にあるという事を示し、皮肉的なニュアンスもある。обретатьсяも書き言葉であり、廃語だが、使われるときには皮肉的なニュアンスがある。

出題)「彼は組織暴力団の構成員ということで受刑中である」をロシア語にせよ。

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2015年04月19日

●和文露訳指南第227回

陰謀の類語козни, происки, интриги は悪だくみのことであり、罠とも訳せ、複数で用いられることが多い。козниは悪辣さと秘密性を強調し、проискиは犯罪性、悪辣さを、интригиは閉鎖的グループ内の込み入った陰謀を指す。заговорは何人かでの共同謀議であり、主に政治的なものを指す。

出題)「捜査陣はある人物(氏名非公開)を突きとめることに成功した」をロシア語にせよ。

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2015年04月25日

●和文露訳指南第228回

『時間と出来事』(渡辺由文、中央公論新社、2010)を読んだ。「今」を瞬間の現在としてのみ捉えるのではなく、「今」は文脈によって任意の持続の幅を持つという主張は説得力がある。「今」が任意の時間幅を持つというのは、文脈によっては、この瞬間という時間軸の一点の意味にも、ある程度時間の幅を過去や未来に持つ場合があるという意味である。日本語の「今」も、ロシア語のсейчасもそのような使われ方をするからである。

出題)「この統計は数年来変わっていない」をロシア語にせよ。

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2015年04月26日

●和文露訳指南第229回

嘘の類語で、ложьやвраньёは語義にговорить(言う)やписать(書く)が含まれているので、重言(二重表現、重複表現)となり(馬から落馬するの類)、これらの動詞との語結合はあり得ない。говорить неправду(嘘をつく)、писать неправду(嘘を書く)となる。неправдаは意識的な嘘、無意識の嘘にも使える。ложьは前以て考えられた巧妙な嘘、враньёは想像に発する法螺であり、未来においてつく嘘にも使える。この二つには複数形はないが、неправдаはあまり用いられないが、複数は可能である。

出題)「実際のところ望みのものを得ないのであれば、キリールィチはキリールィチではない」をロシア語にせよ。

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2015年04月29日

●和文露訳指南第230回

1793年に出たクルガーノフКургановのПисьмовник第二巻を運よく入手できたので、読んだが、第一巻ほど面白いところはない。人は25歳までは縦に伸びるが、それ以降は横に伸びると書いてあるのは、当時のヨーロッパの特権貴族階級や富裕な商人のことを丸写ししたものであろう。余命についてもゼロ歳で8年、1歳で33年、45歳で20年、85歳なら後3年生きられるというのも、信じがたい記述だ。乳幼児死亡率が高く、伝染病もあったから、5歳を超えて生きた人はそれだけで、肉体的にエリートであり、飢餓や戦争などで死なない限りは、60歳ぐらいまでは生きたと思われるが、85歳まで生きたなら、後3年生きられるというのは、たわごとのような気がする。

出題)「鼻のどちら側が呼吸しにくいですか?」をロシア語にせよ。

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2015年05月02日

●和文露訳指南第231回

родитьは人の子や文化現象を創出するという意味であり、принестиは動物の子を生むとか、植物の実を作るという意味である。

出題)「前科なし」をロシア語にせよ。

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●和文露訳指南第232回

第232回
同じくクルガーノフの第2巻に、週の説明があり、日曜воскресеньеは復活の日というのが本義であり、これをスラブ語で言うとнеделя(現代語では週という意味)であり、これはне делай(〔何も〕するな)が由来であるという落語のオチ見たいなことが書かれている。これまでнеделяの由来など考えたこともなかったが、そう言われれば、なるほどと思えるから不思議だ。

出題)「2005年12月14日その取締役は半死半生になるまで殴られた」をロシア語にせよ。

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2015年05月03日

●和文露訳指南第233回

『複文Сложное предложение, Формановская, URSS, 2015(第3版)』を読み始めた。так какとпотому что、однакоとноの使い分けなど、例文が多く、分かりやすい。複文については文法書に少し書いてあるだけで、和文露訳での使い方も我流だった。本書は非常に役に立つと思うので、みなさんにもお勧めする。Формановская先生はАкишина先生と共著で、Этикет русского письма, Русский язык, 1981やРусский речевой этикет, Русский язык, 1978の名著を書かれた先生であり、これらの本は遂行動詞について書かれたものではないが、私がロシア語で遂行動詞や遂行動詞的用法を研究する際のよい原資料となった。共にURSSから復刻されているようである。

出題)「彼はとても誠実だったので、民の苦しみを見ていることができなかった」をロシア語にせよ。

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2015年05月04日

●和文露訳指南第234回

占いはгаданиеが一般的。ворожбаはカードや、豆、コーヒーかすで行うような病除けの占いを指す。

出題)「彼は2008年から国際的に指名手配されていた」をロシア語にせよ。

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2015年05月05日

●和文露訳指南第235回

運転手のшофёрは交通機関などのプロの運転手を指すのが普通で、водительはプロもアマも含む総称語であり、ドライバーとも訳せる。長距離運転手、つまりトラック野郎はводитель-дальнобойщикないしはдальнобойщикである。водила, водило は卑語で「運ちゃん」。丁寧な呼びかけである、「運転手さん」はкомандирやшефで、шефはボーイ、警察官などに呼びかけるときにも丁寧語として使われる。

出題)「試験に合格なさるとは思えません」をロシア語にせよ。

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2015年05月06日

●和文露訳指南第236回

『和文露訳指南』10-14項に下記追加願う。

接続詞のчтоは事実の確認に用いられ、чтобыは疑い、希望・要望(хотеть欲する, желать望む, просить頼む, советовать勧める, просьба頼む, совет助言, приказ命令, умолять懇願する, заклинать切願する, надо必要だ, нужно必要だ, необходимо不可欠だ、など)に用いられるという原則を理解されていない方が多いようだ。

(いらっしゃったことが重要です)Важно, что вы пришли. <事実の確認>
(いらっしゃることが重要です)Важно, чтобы вы пришли. <要望>
(合格なさると思います)Я думаю, что вы сдадите экзамен. <この主文を否定文にすると下記のようになる>
(試験に合格なさるとは思えません)Я не думаю (сомневаюсь, не считаю), чтобы вы сдали экзамен. <疑いのニュアンス>

(人は幸せでなければならない)Надо, чтобы люди были счастливы.

出題)「マンションは息子名義だった」をロシア語にせよ。

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2015年05月09日

●和文露訳指南第237回

『和文露訳指南』10-8項で、видетьなどの動詞は、接続詞としてчто/какの両方が取れると書いたが、使い分けはある。чтоは事実の確認だけだが、какは事実の確認だけではなく、動作にも注目していることになる。

(彼が到着したのが見えた)Я видел, как (что) он пришёл.
(彼が道を歩いていたのが見えた)Я видел, как он шёл по дороге. <чтоにすると不自然である>
(彼女から何かが〔繰り返し〕奪われたような〔その姿を〕私はしばしば目にせざるを得なかった)Нередко приходилось мне видеть, как у неё отнимали что-нибудь. <чтоにすると不自然である>

出題)「私が店に行ってくる間に、宿題を暗記しなさい」をロシア語にせよ。

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2015年05月10日

●和文露訳指南第238回

営業許可証のпатентは販売用であり、活動についてのものにはлицензияを用いる。

出題)「1年もたたないうちにモスクワ当局から最初の重大な警告が来た」をロシア語にせよ。

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2015年05月15日

●和文露訳指南第239回

動物をおびき出すための餌はприманкаであり、比喩的にも用いられる。наживкаは動物用の罠や釣りの餌に使われ、насадкаは釣針につける餌である。живецは生き餌としての小魚を指す。кормは鳩などの給餌用の餌、家畜の飼料。

出題)「大学に入った年のことを私は忘れない」をロシア語にせよ。

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2015年05月16日

●和文露訳指南第240回

сучья は大枝(一番低いところにある)で、ветви は枝、ветки は小枝、веточки は果実のなる小枝、побеги は若枝 で、лапаは針葉樹の手の形の枝を指す。

出題)「もし想像力がなくなれば、人は人でなくなる」をロシア語にせよ。

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2015年05月22日

●和文露訳指南第241回

『和文露訳指南』4-2-1-4項を若干下記のように変更した。

 「~するつもりはない」という意向の否定版を示すために意味的に一番明確なのは、4-1-3項の意向の動詞と否定詞の組み合わせ、つまりне собираться (намерен, думать, планировать) + 不完了体不定形を用いることである。これだと今後一切かような動作はしないという反復の否定版も、具体的な1回の動作の意向の否定版も示す事ができる。一方、4-1-1-6項の意識的否定は反復の否定版だけである。完了体未来形の否定で意向の否定版を示す事ができるのは、始発の動詞だけであり、動作の始発自体を否定することから意向の否定となり、しかも、それは具体的な1回の動作の否定版である。それ以外の完了体動詞では完遂の否定版や動作の強調の意味になってしまう。

(自分の立場を法廷で変えるつもりはない)Свою позицию на суде я менять не собираюсь. < = менять не буду>
(僕はそこには行かない)Я туда не пойду. <始発の動詞>

主観的ニュアンスなしに動詞本来の生の動作だけを意味するのが不完了体であり、これ否定すると今後一切かような動作は行わないという、未来におけるあらゆる時点で反復される動作も否定することになり、完了体動詞未来形の完遂の用法(具体的な1回の動作の完遂)の否定版と言える用法4-2-1項と対立する。また不完了体未来形が否定文で用いられるのであるから、これこそ動作の無の確認の用法でもある。

(彼はロンドンに行かない)Он не уедет в Лондон. <1回の具体的動作の完遂の否定版>
(許して下さい、二度としませんから)Простите (Извините) меня, я никогда больше не буду так делать. <今後複数回の動作の否定、ここから意識的否定となる>
(今〔ここで〕お別れをして、もうお会いすることはありません)Сейчас мы с вами попрощаемся и больше не увидимся. <1回の具体的動作の完遂の否定版であり、否定の強調でもある。большеのおかげで不完了体未来形の否定の意識的否定に文意が近くなる>

例示的用法を否定文で用いれば、3-2-2項の否定の強調や3-2-3項の不可能という用法につながる。その例文を次に挙げる。例示的用法は条件節などの従属節で用いられていることが分かる。

(ヴィークトルはきちんとした人だ。絶対に遅れないし、いつも時間に間に合う)Виктор человек точный: никогда не опоздает, всё вовремя успеет. <例示的用法の否定版で、完了体未来形は理由を示す従属節で用いられている>
(安全ベルトを締めないと、罰金を払うことになる)Не наденешь ремень безопасности - заплатишь штраф.
(渋滞にはまらなかったら、すぐに行くよ)Скоро приеду, если в пробках не застряну. <動作が順次的に行われていることを示す完了体の用法でもある。не застрянуは、これから渋滞にはまらなかったらという、例示的用法である>

出題)「この先どうなるかを理解するのに超能力は必要ない」をロシア語にせよ。

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2015年05月24日

●和文露訳指南第242回

フォルマノーフスカヤФормановская先生の『複文Сложное предложение』を読了した。第一部の「複文の同義語句群とバリエーション」が実戦的和文露訳に役立つと思う。同義語句群は頻出度の高い順から挙げられているので、非常に便利である。

『和文露訳指南』を昨年出版してから原稿が50ページほど増えたということと、複文や否定文につき、書き加えたこともあり、整理して『和文露訳要覧』として夏ごろに5訂版を出そうかなと思い、推敲を始めた。いくらなんでもこれが最後だろう。

出題)「また不幸に遭遇するために彼はここに来たようなものだ」をロシア語にせよ。

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2015年05月30日

●和文露訳指南第243回

『和文露訳指南』10-14項に下記追加願う。

(また不幸に遭遇するために彼はここに来たようなものだ)И вот он приехал сюда, чтобы здесь столкнуться с новыми несчастьями.

こういう文をフォルマノーフスカヤ先生はпредложение антицели(非目的文)と呼んでいる。私見では、形式的には目的を示すが、論理的には目的では文意が通らない文のことであろう。чтобы自体が仮想的ニュアンスを含んでいるため、якобы, как бы, будто быとは直接結びつかないし、словно чтобы やбудто чтобыは冗語的表現と見なされるからかもしれない。次のような和訳では目的に訳せるが、論理的には曖昧な文から、さらに目的とはかけ離れた非目的文が発達したものであると先生は述べている。非目的文はあたかもというような仮想的ニュアンスを含んだ文のことであると思われる。

(人を理解するには人を愛することが肝要である)Чтобы понимать людей, надо любить их.  <論理を無視した主観である>
(火事はすぐに前以上に激しく燃え上がるために鎮まったかのようである)Пожар как будто затухает, чтобы через минуту вспыхнуть с новой силой. <非目的文>

出題)「帝とはつかず離れずの関係でいなさい」をロシア語にせよ。

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2015年05月31日

●和文露訳指南第244回

не думатьの後にчтоが来ないかのように第235回出題の投稿のコメントには書いたが、誤解を受けやすいコメントだったので、投稿者のみなさんにお詫びすると同時に、真意をより詳しく説明したい。ただいずれにせよчтобыを使う方が自然だと思うことに変わりはない。

『和文露訳指南』10-14項に下記追記した。

『新ロシア語文典』(プーリキナ/ザハーワ・ニェクラーソワПулькина/Захава-Некрасова、稲垣兼一・初瀬和彦共訳、吾妻書房、1972)はロシア語の参考書で唯一複文をそれなりに扱った参考書だが、377ページに「意味の近い文に用いられるчтоとчтобы」という項目があり、сомневаться, не думать, не верить, не может бытьの後はчтоでもчтобыでも使用可能であり、文意も近いとある。これはフォルマノーフスカヤ先生の主張と違う。先生はчтоも使えるが、疑念のニュアンスが弱まると述べている。私見だが、чтобыは仮想的ニュアンスがある接続語であり、さらにこれらの疑念を示す述語で、文全体の疑念が強まるのに対し、чтоは接続語という役割しかなく、疑念を示すのは述語だけだからであろう。そういう意味でフォルマノーフスカヤ先生の主張の方が説得力がある。和訳する場合にはこのニュアンスの差をいかに表現するかが翻訳者の腕の見せ所であろう。

(彼らがこの計画を達成した(する)のか疑問だ)Я сомневаюсь, что они выполнили (выпоняет) этот план.
(彼らがこの計画を達成するかは疑問だ)Я сомневаюсь, чтобы они выполнили этот план.
(この計画の遂行が難しい(難しい、難しかった)とは思わない)Я не думаю, что этот план (будет, было) трудно выполнить.
(この計画の遂行は難しいとは思わない)Я не думаю, чтобы этот план трудно было выполнить.
(この計画がもう遂行されたはずがない)Не может быть, что этот план уже выполнен.
(この計画はもう遂行されたはずはない)Не может быть, чтобы этот план уже был выполнен.
(こんな短期間で好結果が出るかは疑わしい)Сомнительно, что вы добьётесь положительных результатов в такой короткий срок.
(こんな短期間で好結果が出るかは疑わしい)Сомнительно, чтобы вы добились положительных результатов в такой короткий срок.

出題)「彼女は彼女らを男に近づけさせないようにした」をロシア語にせよ。

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2015年06月05日

●和文露訳指南第245回

『発話用語彙辞典Активный словарь русского языка』, Ю. Д. Апресян, Языки славянской культуры, 2014の第1巻と第2巻を入手した。新たな語結合辞典として和文露訳に大いに役立つと思う。ある程度使いこなしてから、その特徴についてみなさんに報告したい。

出題)「そのグループは秋には解散すると取りざたされている」をロシア語にせよ。

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2015年06月06日

●露文和訳指南第246回

「追いつく」のシノニムに関して、先に行く人に追いつくという意味では、догнатьは追いつく人がスピードを上げて追いつこうとする。нагнатьは特に追いつこうという意識がなくとも、先に行った人がスピードを落とすなどしたおかげで追いつくか追い越す。настичь, нвстигнутьは追跡して追いつく。угнаться за + 造格は歩き、走り、仕事において一生懸命遅れないようにすることを意味する。

出題)「仕事じゃ彼はどんな奴にも負けない」をロシア語にせよ。

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2015年06月12日

●和文露訳指南第247回

王冠はкоронаだが、ビンの王冠はкапсюльで、雷管という意味もある。

出題)「この聖なる任務を誰か他の人にやらせたほうがいい」をロシア語にせよ。

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2015年06月13日

●和文露訳指南第248回

終えるの類語で、закончитьは完全に最後まで終えるで、окончитьは何かの境界まで終える(卒業など学業を終えるなど分かりやすい例でである)、кончитьは両方使える。завершитьはзакончитьの強調で、書き言葉であり、重要な事柄に用いる。докончить, довершитьは始めたことを終えるという意味であり、покончить, прикончитьは俗語で、最終的に終える(例えば、とどめをさす)ことを強調する。

出題)「全てを文字通りに受け止める必要はない」をロシア語にせよ。

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2015年06月19日

●和文露訳指南第249回

起こるという意味では、происходить, возникать を一般的に用いるが、протекать は時間の推移によって起こる動作を指す。иметь место も同義語だが、否定文において否定生格が主語にはならない。

出題)「その出来事の1週間前我々は大いに心配した」をロシア語にせよ。

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2015年06月20日

●和文露訳指南第250回

教えるのучитьは自分の経験、知識を教える、先生であるという広い意味があり、преподаватьは教科を教える、その教科の先生であるという意味である。道などを尋ねる場合はсказатьだが、図などの場合はпоказатьを使う。列挙するならназватьとなる。

出題)公開討論会などで「カスリンスカヤにマイクをお返しします」をロシア語にせよ。

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2015年06月26日

●和文露訳指南第251回

с собойというのは、お持ち帰りということで、ハンバーガー店などでよく聞く表現だが、これを用いた小話があるので、紹介しておく。オチは分かると思う。

Ковбой прямо на коне заезжает в салун и кричит:
«Барменша, мне бутылку виски!»
«С собой?»
«Нет, без вас!»

カウボーイが酒場に馬で乗りつけ、こうどなった。
「マダム、ウィスキーをボトルで1本!」
「お持ち帰り?」
「いや、あなたは結構です」

厳密に言えば、барменшаはバーの売り子であり、女バーテンダーでもなく、ホステスでもないし、ましてやマダムでもない。

出題)「この薬剤を用いるとアレルギー反応が出るかもしれません」をロシア語にせよ。

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2015年06月28日

●和文露訳指南第252回

『和文露訳要覧』の推敲も終わったが、電子書籍として出版するかどうか、ふんぎりがつかない。『和文露訳指南』よりは50ページほど増え、複文についても記述を加えたし、ミスタイプの訂正やより分かりやすいように表現にも工夫したが、本質的なところは『和文露訳指南』やそれ以前の『和文露訳入門』にすでに書いて来たから、出す意味があるのか、買う人がいるのかなど考えると、なんとなく面倒くさくなったというところである。ロシア語文法の専門家から突っ込まれないように、かなり理詰めに書いたわけで、それが初心者や中級者にとっての理解しにくさとなっているような気もする。体の用法は、こういう参考書とともに、実際に手取り足取り教えたが間違いないのだが。

出題)「彼を生かしておくわけにはいかなかった」をロシア語にせよ。

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2015年06月29日

●和文露訳指南第253回

起こるという意味では、происходить, возникать を一般的に用いるが、протекать は時間の推移によって起こる動作を指す。иметь место も同義語だが、否定文において否定生格は主語にならない。

出題)「日本で地震がおこってから1年後、普通の日本人はどのように暮らしているのですか?」をロシア語にせよ。

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2015年06月30日

●和文露訳指南第254回

教えるはучитьが自分の経験、知識を教える、先生であるという広い意味があり、преподаватьは教科を教える、その教科の先生であるという意味である。道などを尋ねる場合はсказатьだが、図などの場合はпоказатьを使う。列挙するならназватьとなる。

出題)「ワイヤー電極を自社で製造されていらっしゃいますか、それとも外注ですか?」をロシア語にせよ。

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2015年07月03日

●和文露訳指南第255回

東洋書店が任意整理という形で倒産の模様である。印税も個人的にはまあまあのものが管財人の弁護士によれば戻ってくる目処はないらしい。倉庫に保管していた著作も、保管料がかかるので、すべての著者の意向を無視して、すべて処分するとのことである。私の著作に少しでも興味のある方は、今のうちに買われた方がよいかもしれない。

 東洋書店で出した11冊の著書でご希望が多ければ、改訂増補版として、電子書籍として出版することも考えている。ただ東洋書店の製本デザインやCDは使えないのは自明の理である。個人的にはどうでもいいことなので、あくまでもご希望が多ければの話である。電子書籍だから、価格は半額ぐらいとなろう。

出題)「他の被告人は執行猶予4年から懲役18年の実刑判決を受けた」をロシア語にせよ。

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2015年07月05日

●和文露訳指南第256回

刑事事件で、告訴され裁判に付されるまでの被告人をобвиняемыйと呼び、公判(裁判所に起訴された後)、裁判においてはподсудимыйと呼ぶ。民事では被告ответчикとなり、原告はистец, истицаであり、弁護士から見れば被告、被告人はподзащитный である。

出題)「人数が少なければ少ないほど金の分け前は増える」をロシア語にせよ。

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2015年07月06日

●和文露訳指南第257回

白粉のбелилаは複数で用い、ファウンデーションケーキのことであり、пудрыは粉白粉のことで、これも複数形で用い、パウダーファウンデーションのことである。

出題)「普通選挙で選ばれるロシア連邦大統領のポスト導入が必要だと思いますか?」をロシア語にせよ。

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2015年07月10日

●和文露訳指南第258回

お尻の訳だが、ягодицыは臀部で、задницаはケツという意味の俗語。попкаは赤ん坊などのお尻を指し、бёдраはヒップを指す。мягкое местоはおいどという感じ。крупаは馬のお尻で、крестцыは動物のお尻。

出題)「私、あなたが思っているような女じゃないわ」をロシア語にせよ。

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2015年07月11日

●和文露訳指南第259回

日本で言うオルガンはリードオルガンязычковый органであり、орган はパイプオルガンであり、電子オルガンという意味もある。

出題)「彼から遺伝子鑑定のため、つばと汗のサンプルを取る予定である」をロシア語にせよ。

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2015年07月13日

●和文露訳入門第260回

теплицаは野菜や花の促成栽培用の温室で、оранжереяはフランス語のオレンジ用温室が原意だが、熱帯植物園のような南国の植物栽培用に用いられるのが普通である。парникはガラスやビニールなどによる花、果樹、野菜の促成栽培を指す。

出題)「彼らは使う側というよりは使われる側だ」をロシア語にせよ。

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2015年07月17日

●和文露訳指南第261回

価格はценаだが、売買の価格であり、стоимостьには売買の価格の他に、原価、費用、出費と言う意味もある。

出題)「彼は外交官に不可欠な資質をもっていた」をロシア語にせよ。

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2015年07月18日

●和文露訳指南第262回

案山子という意味のпугалоとчучелоは同義だが、чучело には藁人形、剥製という意味もある。бужалоはアルハンゲリスク州の方言。

出題)「私が彼女をかついでいると彼女は思った」をロシア語にせよ。

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2015年07月21日

●和文露訳指南第263回

わけあって4カ月ほどロシア語とは無関係な仕事をしてきたが、ロシア語の勘が鈍くなってきたようなので、ロシア語の通訳や翻訳の仕事に戻ることにした。お仕事の話は、ここでも、私のホームページからでもどうぞ。ウィンドウズ10が発売されたら、コンピューターも買い替えて、スカイプでロシア語を教えることも考えている。当面はガラケーをスマホに買い替える予定。

出題)「サンプルを受取次第貴社宛に転送いたします」をロシア語にせよ。

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2015年07月25日

●和文露訳指南第264回

пяткаは足や靴下のかかとを指し、каблукは靴のかかとを指す。

出題)「(自分の)代わりにだれを残したの」をロシア語にせよ。

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2015年07月26日

●和文露訳指南第265回

カクテルパーティーのфуршетはあらかじめ料理がおいてある立食形式のもので、ボーイが料理を運ぶものは коктейльと言う。

出題)「彼はめったに病気をしない」をロシア語にせよ。

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2015年07月27日

●和文露訳入門第266回

仮説を訳すと、предположениеは仮説(仮定)一般だが、гипотезаは科学的なデータの裏付けのある仮説であり、догадкаは思いもよらないとか、偶然のというニュアンスがある推測であり、домыселはそれほど説得力のない推測ということになる。

出題)「閉店時間はいつですか?」をロシア語にせよ。

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2015年07月28日

●和文露訳入門第267回

金縛りは就寝中、意識がはっきりしていながら体を動かすことができない症状であればсонный паралич, сонный ступорであり、比喩的に使うならоцепенениеである。

出題)「嘘と嘘をかけると真になる」をロシア語にせよ。

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2015年07月29日

●和文露訳指南第268回

人体などの体のтелоは体の外形を指し、организмは肉体と精神的な性質を含めたものである。

出題)「仕事を理由に(彼)自身は来なかった」をロシア語にせよ。

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2015年07月30日

●和文露訳指南第269回

皮という意味で、皮膚はкожаで、果物の皮はオレンジ、玉ねぎなどはкожура、リンゴは кожа、オレンジ、メロンは корка と言い、洋ナシやキュウリ、果皮、種皮などの薄い皮はкожицаと言う。太鼓の皮はмембранаである。

出題)「彼の子供ができたと伝えた」をロシア語にせよ。

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2015年07月31日

●和文露訳指南第270回

鑑定という意味では、атрибуцияは芸術作品の作者、年代、場所の特定であり、экспертизаは科学、技術、芸術の分野での特殊な問題の研究や解決を意味する。

出題)「そこから生きて帰れる保証は何もなかった」をロシア語にせよ。

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2015年08月01日

●和文露訳指南第271回

絆は結婚や夫婦の絆ならузыだが、人と人の心のつながりならчувство общностиでよい。

出題)「ルームサービスを頼んだ」をロシア語にせよ。

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2015年08月02日

●和文露訳指南第272回

きしみの訳で、скрежетというのは物理的にものとものがきしむことだが、人間関係のしこりなどにはшероховатостиと複数形を使う。

出題)「ドイツは近い将来の自国の計画について日本には伏せておいた」をロシア語にせよ。

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2015年08月03日

●和文露訳指南第273回

橋頭保という意味では、плацдармは上陸地点に作る半円形の陣地を指すが、拠点や足がかりという比喩的な意味にも用いられる。предмостное укреплениеは文字通り渡河用の橋頭保であり、比喩的な意味では用いない。

出題)「新聞の特派員は全世界に散らばっている」をロシア語にせよ。

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2015年08月04日

●和文露訳指南第274回

議場での採決の時に電光掲示板に出る「賛成За」、「反対Против」、「棄権 воздержались」、「欠席(採決に参加せず)не голосовали」の訳についてだが、賛成や反対は遂行動詞的用法であるのに、棄権は完了体過去形の結果の存続を用い、欠席は不完了体過去形の無の用法を用いている。体の用法を理解していないと、これらの説明をロシア語初級者や中級者に説明するのは難しかろう。丸暗記せよとでもいうのだろうか?!

出題)「頭のどの辺が痛みますか?」をロシア語にせよ。

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2015年08月05日

●和文露訳指南第275回

カメラマンのうち、報道カメラマンはфоторепортёр とか、 фотокор (= фотокорреспондент) であり、фотохудожник は写真集を出すようなカメラマンで、кинооператор は映画のカメラマンで、テレビのカメラマンはоператор телевидения という。

出題)「総勢何人でスタートしましたか?」をロシア語にせよ。

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2015年08月06日

●和文露訳指南第276回

выравниваниеは均等化ということで、よい意味で使うが、нивелировкаは悪平等という事。

出題)「何をした後に痛みが起こりますか?」をロシア語にせよ。

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2015年08月07日

●和文露訳指南第277回

切り身の訳はфиле (филей) だが、これは肉(鶏肉も含む)、魚(三枚に下ろした)の骨を抜いた切り身で、骨のあるものはкусокと言う。

出題)「数時間で1カ月分の量の雨が降った」をロシア語にせよ。

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2015年08月08日

●和文露訳指南第278回

私のホームページ『ランポポー』のURL変更のお知らせ。ホームページ維持費が高くなったので、より安いサービスに移行しました。そのためURLを変更せざるを得ず、新しいURLをお知らせします。http://lampopo4.style.coocan.jp です。

出題)「選手たちは何周目ですか?」をロシア語にせよ。

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2015年08月09日

●和文露訳指南第279回

魚群という意味では、стаяは年齢、生物学的特徴、動態で統一される一つの群れ、косякはトロール網とか巾着網漁業に適した表中層魚の群れ、скоплениеは漁業区域で隣接している群れ、концентрацияは漁業上採算の取れる群れを指す。

出題)「チュワーシュ人の概念では死んだ人の魂は死後犬に乗り移る」をロシア語にせよ。

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2015年08月10日

●和文露訳指南第280回

душаとдухは似ていても非なるもので、根本的な語義は違う。霊魂という意味では意味が重なるが、これも根にあるものは私見だが、душаは個々の心であり、духは総体的な精神である。

出題)「僕は女にはついていない」をロシア語にせよ。

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2015年08月11日

●和文露訳指南第281回

гребешок, гребёнкаは櫛飾りと、髪の毛をすく櫛という意味があるが、расчёскаは髪の毛をすく櫛という意味だけである。

出題)「このような状態をまともだとは呼べまい」をロシア語にせよ。

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2015年08月12日

●和文露訳指南第282回

уничтожитьは一人の人、一匹の動物や多数の人、多数の動物に対して根絶するという意味で用いられ、истребитьは多数の人、多数の生き物に対して駆除という訳が適切な場合が多い。известиは故意の根絶を意味し、俗語である。перевестиは動物や虫に対して完全に(あるいは多数の)駆除するという意味で用いる俗語的表現であり、изничтожить俗語の強調表現である。

出題)「何者かが仕事帰りのクズニェツォーフ氏を待ち伏せて、駐車場で射殺した」をロシア語にせよ。

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2015年08月13日

●和文露訳指南第283回

串はшампурやшпажкаと訳すが、これらは焼き肉用の金属製の串で、спицаは果物をさしたり、他のいろいろな用途の木製ないしは金属製の串。

出題)「自分の立場を法廷で変えるつもりはない」をロシア語にせよ。

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2015年08月14日

●和文露訳指南第284回

切り身はфиле (филей)だが、これ は肉(鶏肉も含む)、魚(三枚に下ろした)の骨を抜いた切り身で、骨のあるものはкусокと言う。

出題)「彼は逃亡の恐れあり」をロシア語にせよ。

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2015年08月15日

●和文露訳指南第285回

гребешок, гребёнкаは櫛飾りと、髪の毛をすく櫛という意味があるが、расчёскаは髪の毛をすく櫛という意味だけである。

出題)「ゲームのとき僕は別人になった」をロシア語にせよ。

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2015年08月16日

●和文露訳指南第286回


『和文露訳指南』4-1-5項で呼応的用法として紹介したものも、遂行動詞の告知型の変形ではないかと思われる。いつか出すかもしれない『和文露訳要覧』3-1-4-3項の末尾に下記のように追加することにした。

(呼応的用法)

идтиとбежатьという定動詞現在形一人称に代表的に見られ、「呼ばれたから行く、来る」という用法だが、日常会話ではよく耳にし、遂行動詞の告知型の変形と思われる。つまり、「行く」という動作そのものというよりは、動作内容を伝えていると考えるべきである。また定動詞は不完了体動詞であり、不完了体動詞には本来主観的な要素が欠如しているわけで、これらの動詞を用いるためには何かサイン(合図)が必要である。「助けて」という呼び声でも、宅配の人がドアのベルが鳴らすのでも、会社で、「~さん、電話ですよ」でもいいが、それを合図に「今行きます」Иду.(急ぐ時はБегу.)と告知することになる。つまり、この用法は予定の意味ではなく、不完了体の基本的な用法である場依存型である。

「だれか助けて」- Помогите, кто-нибудь!
「今行くぞぉー」- Иду-у-у!

 この他にも次の文の動詞にも遂行動詞としての告知のニュアンスがある。

(俺は手を引く)Я выхожу из игры. <不完了体を使っているので、主語である俺は状況から判断して手を引くのが当然と思っていることが分かる>

出題)「慣れた人なら外見だけで区別する」をロシア語にせよ。

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2015年08月17日

●和文露訳指南第287回

輝きやきらめきはблескが一般的だが、высверкは宝石などの一瞬のきらめきを指す。глянецはラッカー、蝋引き、磨いた後の光沢のことである。

出題)「俺たちはちゃんとチェックしたよ」をロシア語にせよ。

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2015年08月18日

●和文露訳指南第288回

露文和訳が辞書の助けを得て出来るとしても、和文露訳は和露辞典だけでは作れないというのは初級者や中級者にもご理解いただけるだろう。ここでいう初級者というのは、少なくともロシア文字が読めて、初級文法を漫然とでも勉強したことがあり、文法のガイドブックが手元にあるような人を指す。このような初級者でも和文露訳の勉強を始めるのは早い方がよいと思う。ロシア語を学ぶだれしもがロシア人との会話を夢見ているだろうからである。会話の勉強イコール和文露訳だからだ。会話の勉強は決まり文句の丸暗記では成り立たない。理屈を覚えた方が、上達は早いし、応用もできる。そのような初級者のために和文露訳(会話でも作文でも)のコツを書いて見よう。

 和文露訳で和露辞典が役に立たないのは、語彙を並べるだけではロシア語の文にならないからである。一番難しいのは動詞であり、完了体と不完了体のどちらを使うべきかでつまづく。ロシア人に聞いても、正しいロシア文は教えてくれるだろうが、なぜこの体を使うべきかについて満足のいく説明は聞けないだろう。

体の使い分けで一番重要なのは、過去、現在、未来という3つの時制と、命令法と不定法2つの法に留意することである。日本語もロシア語もこれら5つの要素に完全に準拠しているわけではない。概ね一致しているとはいえ、時制の転用や法の転用もある。しかも二つの言語はこの5つの要素がシンクロしているわけではない。つまりロシア語の過去が日本語では必ずしも過去で表現されるわけではないということである。また日本語は、「僕は毎日学校に行く」と「僕は明日学校に行く」のように、動詞の現在形と未来形が同じなので、時制の判断は文脈や補語によるということもある。

出題)「その省は製品納入業者間でオークションを行うはずだった」をロシア語にせよ。

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2015年08月19日

●和文露訳指南第289回

過去の時制を例にとると、「イワノフ氏が来ました」という意味は、文脈によって「来ている(たった今来た)」、「(1週間前に)来た」、「来ていた(来たことは来たが、今はいるかどうかは分からないし、いない可能性が強い)」という解釈が可能である。これを和訳すると、それぞれ次のようになる。приехать(乗り物で到着する)、прийти(歩いて到着する)

(イワノフ氏は来ている)Господин Иванов приехал (пришёл). <結果の存続>
(イワノフ氏は1週間前に来た)Гсоподин Иванов приехал (пришёл) неделю назад. <アオリスト的用法で、イワノフ氏はいるかもしれないし、いないかもしれない。неделю назадは対格補語の時間的副詞的用法>
(イワノフ氏は来ていた)Господин Иванов приезжал (приходил). <結果の無効で、いつ来たのかが不明確>

 完了体と不完了体の使い分けは、動作が時間的に不動の(固定した)一点(「たった今」と「1週間前」)で起こったことが明確であれば完了体を、そうでなければ不完了体を使うと理解すべきである。そうでないと最初の文と二番目の文の説明がつかない。このように不完了体は時間的補語との相性が悪い。時間的補語と一緒に不完了体が使われるとすれば、動作の一点ではなく、期間である。

出題)「(その件は)公訴時効となった」をロシア語にせよ。

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2015年08月20日

●和文露訳指南第290回

学習者にとって文法的に説明がつかないものは、例外だから丸暗記せざるをえないと考えるのは当然だが、私の45年にわたるロシア語学習から得た結論から言えば、文法的な例外というものはなく、すべては文法的に説明がつくものである。一番難しいと言われる体の使い分けもそうであり、その本質というのは、難しいものではない。

現在の時制での体の使い分けを考えるときに、一番重要なのは、完了体は動作の完遂ということから時間的に不動の一点を意識するわけで、そのため今現在の進行中の動作を表現できない、つまり、過去において完遂したか、未来において完遂する動作しか示せないということになる。現在においても(過去においても)進行中の動作は不完了体のみが示す事ができる。ただ動作が終了してその結果が残っている場合は、完了体過去形で現在の状態を示す事ができる。これは過去の時制で説明した結果の存続(「イワノフ氏は来ている」Господин Иванов приехал.)という用法である。

 現在のこの一瞬一瞬に関わる動作はすべて、時間が止まらないゆえに、過程や状態など不完了体現在形で示され、遂行動詞もそうである。遂行動詞は発話と共に動作が始まり、発話の終了と共に動作の内容が聞き手に伝わるもので、日本語にも、英語にも、ロシア語にもあるが、必ずしも語義的に動詞が一対一で対応するわけではない。この日本語にもロシア語にも通じる分かりやすい例は、「開会を宣言します(開会いたします)」で、ロシア語では Объявляю совещание открытым. (Я открываю совещание.)で、この発言の終了と共に会議が始まることはご理解いただけるだろう。この動詞の語義に現在の時制では現在のこの一瞬一瞬が含まれるために、不完了体現在形が用いられると考えられる。これは過程(進行形)ではない。過程なら動作は続いていることになるからである。

出題)「特殊科目にはどのくらいの時間をあてていますか?」をロシア語にせよ。

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2015年08月21日

●和文露訳指南第291回

完了体が動作の完遂ということから時間的に不動の一点を意識する。そこから主観的ニュアンスが生じる。つまり不完了体には主観的なニュアンスはなく、状況に依存する動作、動作の有無の確認を示す事になる。

未来の時制において完了体未来形と不完了体未来形の違いは、完了体未来形は現在から続く未来(一瞬後の未来)と、現在から離れた未来を示す事ができるが、不完了体未来形は現在とはつながりのない未来の動作、未来の反復する動作を示すという違いがある。ただ不完了体現在形の動作動詞では予定の用法で、現在の延長上にある未来を示す事ができる。

(彼はロンドンに行く)Он уедет в Лондон.
(彼はロンドンに1年後行く)Он уедет в Лондон через год.
(明日彼はロンドンに行く)Он едет в Лондон завтра.
(スペアーパーツを御注文なさいますか?)Вы будете заказывать запчасти? <注文してほしいというような期待の主観的ニュアンスはなく、動作の有無の確認のみ>

出題)「死因は急性心停止」をロシア語にせよ。

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2015年08月22日

●和文露訳指南第292回

欠点という意味ではнедостатокが一般的で人、もの、現象のマイナス面を指す。изъянは人やものの目に見える、あるいは目につく欠点を指す。порокは人のとがめられるような欠点やものの重大な短所を指し、несовершенствоは多く複数形で用い、人やものの本質的な欠点を指し、瑕疵と訳せる。недочётも多く複数形で用い、作業や遂行上の欠点に使われる。пробелも多く複数形で用い、недочётに近いが使用は限定される。дефектはものの外見上や物理的な欠陥を指す。минусは口語でнедостатокの意味だが、プラスとの対比で用いられることが多い。

出題)「腸の動きを正常化するためには、正しい食事療法を守ることが必要です」をロシア語にせよ。

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2015年08月23日

●和文露訳指南第293回

ロシア語と日本語では互いに100%意味を伝え合うことができるが、その表現形式が文法的に一対一で対応してはいない。それは系統的に異なる言語ゆえに当然のことである。ただそのことをロシア語の学習者によく理解していない場合がよくある。日本語の動詞をロシア語の動詞でそのまま訳せないことも多いし、時制や法(命令法や不定法)も対応していないことも多い。日本語が動詞の形式上現在の時制と未来の時制を区別しないということも一因である。分かりやすい例で言うと、一般的に直訳が正しい訳とはみなされないということからもそれは分かる。

出題)「貴国のチームのメンバーの顔ぶれは?」をロシア語にせよ。

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2015年08月24日

●和文露訳指南第294回

スポーツにおいてтренерはコーチや監督(文脈によってはстарший тренер)を指し、トレーナーというのは、スポーツ選手の健康・体著の管理や技術指導を行う人で、普通はинструкторである。

出題)「それは彼とエリツィンとの共同決定だ」をロシア語にせよ。

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2015年08月25日

●和文露訳指南第295回

結婚や夫婦の絆ならузыだが、人と人の心のつながりならчувство общностиでよい。

出題)「運転手は小さな女の子をひき逃げした」をロシア語にせよ。

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2015年08月26日

●和文露訳指南第296回

『和文露訳指南』に10-22項を追加する。

10-22 所有代名詞の特殊用法

мы с вамиは「あなたと私」、мы с ним「彼と私」と理解するのが普通で、「あなた(たち)と私たち」とか、「彼と私たち」という文脈は稀である。

(みんな落ちついて、私たちは君たちと一緒だ)Ребята, не волнуйтесь, мы с вами.

 ここからの応用として、次のような表現も可能である。

(あなたと私の行動はいかに難しいか)Как трудна наша с вами деятельность.
(あなたと私の党の義務)наш с вами партийный долг
(あなたと私が踏まれたときに痛いなら)если нам с вами больно, когда топчут нас
(あなたとパパの好きな歌)ваша с папой любимая песенка
(計画作成に関するあなたとハリマン氏の努力はすぐに報われた。)Ваши и г-на Гарримана усилия по составлению плана увенчаются быстрым успехом. <歴史的現在>
(それは彼とエリツィンとの共同決定だ)Это их с Елицыным совместное решение.
(あなたたちと私たちの自由のために)За вашу и нашу свободу!

出題)「新しい区画(ブロック)は墓地の通りの向かい側にある」をロシア語にせよ。

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2015年08月27日

●和文露訳指南第297回

給油はзаливкаが一般的で、車へのガソリン給油などで使う。бункеровкаは船舶への給油を指し、подачаは潤滑油の補給を言う。

出題)「犠牲者の身元は今のところ不明である」をロシア語にせよ。

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2015年08月28日

●和文露訳指南第298回

плацдармは橋頭保という意味で、上陸地点に作る半円形の陣地を指すが、拠点や足がかりという比喩的な意味にも用いられる。предмостное укреплениеは文字通り渡河用の橋頭保であり、比喩的な意味では用いない。

出題)「彼はその3日前に着いた」をロシア語にせよ。

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2015年08月29日

●和文露訳指南第299回

ビジネスの契約はконтрактやдоговорだが、芸能界の出演契約はангажементと言う。

出題)「食い放題、飲み放題、観劇し放題」をロシア語にせよ。

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2015年08月30日

●和文露訳指南第300回

ロシア語を教えるのは1対1で教えるのが理想である。そうすればその人の希望や興味、その人の資質に沿った指導ができるからだ。しかし、ロシア語に興味を持つ人はとても少ないし、教える場所(私の場合は東京23区近辺に限定される)やその費用や交通費が発生する。指導料を高めに設定できればともかく、通り相場というのがあり、いろいろ考えると、スカイプで教えるのが全国各地、極端に言えば、世界中の生徒に教えることができるので理想的である。スカイプでのロシア語受講希望者は、まず私のサイト『ランポポー』のメール経由、授業内容についての希望を知らせてもらうことが必要である。最初の授業1時間はお試し期間として無料とするという事を考えている。使う教科書は受講希望者の持っているものでもよいし、私のを使ってもよい。授業内容は受講希望者の要望に合わせるが、他のロシア語講座ではあまりないような、ロシア人と知り合うためのロシア語メールの書き方というようなものでもよい。

ロシア語をやっていると初級者、中級者、上級者に関わらず、学習上のいろいろな疑問が湧いてくる。上級者になればなるほど、自分で答えを見つける可能性が大きくなると言うだけで、疑問が出てくることに変わりはない。しかも疑問と言うのは学習の都度出てくるものであり、そばにロシア語ができる人がいればともかく、普通は答えが分からないうやむやのままで、フラストレーションがたまるばかりである。メモでもしない限り、そういう疑問が浮かんだことさえ忘れがちである。ロシア人に聞いても、自分の素人考えの答えを言う場合が多い。これは外国人から日本語に関する疑問をぶつけられた時の日本人の答えを見ても、文法に則っているとは言い難いことからも分かる。私のロシア語を受講すれば、スカイプでもメールでもその都度疑問を私のぶつけてくれればいいし、この40年のロシア語学習経験からロシア語やロシアに関するあらゆる疑問についての答えや、答えの導き方をお伝えできると思う。

 今使っているパソコン(ウィンドウズ7)ももうすぐ6年経つ。空きメモリーも残り10%ととなり、そろそろ買い替えの時期である。動画を見ないし、ネットゲームもしないので何とかもっている状態である。ウィンドウズ10の無料更新の知らせも来たが、メモリーに余裕がない。スカイプは家内が自分のコンピューターで娘とやっているが、私のパソコンにはない。多分9月か10月にはウィンドウズ10搭載のパソコンが売り出されるであろうから、それを購入してスカイプを始めようかと思う。スカイプでのロシア語受講希望者が一人でもいれば、家内のパソコンでとりあえず授業を開始してもよい。

出題)「彼は突入後直ちに銃殺すべき人のリストの6番目に載っていた」をロシア語にせよ。

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2015年08月31日

●和文露訳指南第301回

このコーナーの出題用に選んだ例文を読み返したところ、最近は上級者用にひねったものが多いように思う。もう少し基本に戻って、もっと会話で役に立つような、初級者、中級者にも参加できるようなものを工夫すべきかなと思う。

出題)「その立場は日本にとって目新しいものではなかった」をロシア語にせよ。

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2015年09月01日

●和文露訳指南第302回

『「ドイツ帝国が世界を破滅させる』(エマニュエル・トッド著、堀茂樹訳、文春新書、2015年)を読んだ。この中で興味深いのはロシアの復活にかなりの頁を割いていることである。ロシアでは乳児死亡率(1000人の乳児が1歳未満で死亡する率)が1995年20人から2013年には9人(2014年にはWHOによれば6名)と大幅な改善が見られるとある。ちなみにアメリカは8人(2014年には4人)、フランスは4人、日本は1名(WHOによる2014年発表の数字)とトップクラスである。出生率もロシアは1993年が1.7、1999年に1.2、2005年に1.4、そして2013年には1.7(WHOの2013年版、2014年版、2015年版では1.5)と回復している。フランスは2013年に2、日本はWHOの2013年版、2014年版、2015年版では1.4。人口維持には2.07ぐらいと言われている。ロシアでも子供の多い家庭向けの手当てを増やしており、そのせいもあるのかもしれない。意地悪い見方をすれば、ソ連崩壊の混乱がおさまって、旧に復しただけという感じもないではない。

出題)「今お電話よろしいですか?」をロシア語にせよ。

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2015年09月02日

●和文露訳指南第303回

彼らの間に、背の低い、見た感じとてもやせた女の子がいた。年は13歳くらいかもしれないが、彼女の小さな、病的な姿全体に、何かもう年寄りじみた、弱々しい、老いぼれた、生きるのさえ疲れたような感じが現れていた。汚い、破れ果てた、繕っては繕うのを繰り返したような、繻子の破れ果てたボロが、何とか彼女のやせた小さな体を隠していた。脇腹のところは破れていて、それは喧嘩をしたからだろう。このボロの大半が床を引きずられており、裾はぎりぎりまでほつれにほつれ、むき出しの脛にボロボロのすだれとなっていた。袖の上には大きな裂け目があり、そこを通して血の気のない、骨ばった小さな肩が見えていた。襟は破れて、ボタンもはずれ、ぺたんこの、病的にへこんだ子供の胸の一部が見えていた。

出題)「今通り過ぎた駅の名は?」をロシア語にせよ。

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2015年09月03日

●和文露訳指南第304回

もつれた、いつからか梳かされていない、濃い栗色の髪がべったりと濡れた額にはりついていて、少しカールして短いお下げのように肩にかかっている。そのおかげでやせた長い首がさらに目立つ。顔はといえば、可哀想で見ていられない。美しさのかけらぐらいはあろうけれど、熱に浮かされたようなくぼんだ目には、黒い青みがかったくまどりで、飢餓ゆえにギラギラと輝いている。明らかに不自然なほどの憔悴の徴候だ。きっと結ばれた、乾いて熱をもったような唇の隅には、図々しいような、挑むような、ふてぶてしさが浮かんでいる。この張り出した頬骨には何という自堕落な日々や夜が痕を残しているのか。

出題)「就職の見通しは?」をロシア語にせよ。

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2015年09月04日

●和文露訳指南第305回

そのこけた頬にはどれほどの無慈悲な怒りが、この若さで、きわめて異常な、不自然なほどの怒りが彼女の表情全体に現れているのだろう。ここでの放埓さがこの子の顔にぬぐえない刻印を残したのである。この子の顔はその表情がなければ素晴らしいと言えたかもしれない。この子は体の大きい、たくましい力持ちの男の膝の上にとりすました顔で座って、二人に勧められたパイプで苦くて酸っぱい、とてもきついくずタバコを喫い、彼のウオッカをあまり間をおかずにコップで飲み干していた。

出題)「暑さのせいで開店休業だ」をロシア語にせよ。

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2015年09月05日

●和文露訳指南第306回

この女の子こそ、(悪党の巣窟)マリンニクやヴャーゼムスキー屋敷の申し子である。そこで育ち、そこで生まれた。誰の子かって?知りはしない。どうやってこの年まで大きくなったかはこれも神のみぞ知る。生まれてこのかた母の優しさも知らず、人から優しい言葉やまなざしの一つもかけられたこともない。ただただ死ぬまで凍えて飢えているだけだ。この子は見捨てられ、誰からも憎まれる存在である。生まれてこのかた覚えているのは、いたるところで雨あられと降って来る棍棒だった。棍棒と悪口雑言、軽蔑と嘲笑は彼女のいつもの運命である。誰もがいつでも、殴りたいときに彼女を殴った。彼女を嫌うのは特に女たちだった。からかったり、つねったり、髪をひっぱたり、ピンで刺したりして、心から楽しむのだった。

出題)「この席にはどなたかいらっしゃいますか?」をロシア語にせよ。

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2015年09月06日

●和文露訳指南第307回

その子が涙も流さず、歯を食いしばったり、歯がみしたりして、血走った悪意に満ちたギラギラとした目で、野良猫のように、憤怒のあまりに、いじめた女の誰でもいいから一人に飛びかかり、その肩に飛びかかって、両足で抑え込み、噛みついたり、顔を自分のとがった瓜で傷だらけにしようとした時が、騒ぎのクライマックスになるという、それが酒席の座興だったりしたものだ。

出題)「一緒に暮らして17年になる」をロシア語にせよ。

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2015年09月07日

●和文露訳指南第308回

まるでどこかの獣の子であり、獣みたいに呼ばれていた。だれかが、どこかで、いつだったか彼女を「どぶねずみ」と呼び、それが彼女の一生の通り名となる。スラムの住人のだれもが彼女の本当の名を知しらないということは、このあだ名はもっと小さなころについたものに違いない。彼女には子供らしさは微塵も残っていないし、気持ちの上で男女の別や年齢を少しでも思わせるような、おとなしそうなまなざしとか、優しそうな動作とかはまるでなかった。あるのはどす黒い欲求不満、すぐ切れてしまうような、神経質な怒りっぽさだけである。

出題)「冬に市場はにぎわったものだった」をロシア語にせよ。

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2015年09月08日

●和文露訳指南第309回

彼女の口から飛び出すのは悪態や恥知らずな歌、世の中を逆さに見た放蕩の言葉のみである。奇妙な、そしてほとんどあり得ない、考えられないような生き物である。残念ながら自分の目でそれを見たり、観察したりしなければ全くあり得ないと思えるほどだ。
 この子はとてもいらついているとはいえ、この子の目に涙が浮かぶのをわたしは一度して目にしたことがない。この病的なイライラは彼女の奇妙な、衝動的で素早い動きや、しかめっ面や、だるそうな、青ざめた顔の引きつったような動きの中に頻繁に見てとれるのだ。

出題)「偽証すれば責任を問われることを彼は前もって警告された」をロシア語にせよ。

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2015年09月09日

●和文露訳指南第310回

彼女の咳には血が混じり、てんかん持ちでもあった。げんこ混じりに、しつこくつねられたり、からかわれたりすると、死ぬほどかっとなって、発作が起きる。口に泡を吹いて床に倒れ、体をバタバタさせたり、ひきつけが起こったりする。そのとき彼女の顔には何かのボロがかけられ、この発作が疲れきって失神状態になるまで放っておかれることになる。あるちょっとした、まったくちっぽけな場面を私は忘れることができない。そこには私も端役ながら登場人物の一人とならざるを得なかったし、それは私の記憶にはっきりと刻まれている。

出題)「ついに彼女にお鉢が回ってきた」をロシア語にせよ。

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2015年09月10日

●和文露訳指南第311回

それは夜中過ぎのことだった。当時のスラムの友人一人とマリンニクにある店に立ち寄った。サリャンカというスープを一人前ずつ頼んで、空いたテーブルにどっしりとすわった。そのテーブルのそばの向こう側に、「どぶねずみ」が座っていた。私は彼女が「どぶねずみ」であることは知っていたし、彼女をここでは何度となく見かけたが、彼女とは知り合いでもなかったし、口をきくチャンスもなかった。サリャンカとは名ばかりの水っぽいスープが一皿ずつ出された。私には食べたいという気持ちがちっとも起こらなかった。たんにつきあいで頼んだだけだった。正直言って、こういう雰囲気の中、マリンニクのものを食べるのはちょっとどうかなとも思った。よほど腹が減っているか、食い物に好ききらいがないか、かなり慣れていないと無理だ。

出題)「この近くで警察官を見ませんでしたか?」をロシア語にせよ。

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2015年09月11日

●和文露訳指南第312回

私の話相手が自分の分をすごい食欲で平らげたその時に、「どぶねずみ」が自分の席から彼の方を、特に彼の丼の方に、がまんできないような、欲しくてたまらないような目つきを向けたのに私は気がついた。絶えず自分の頬の筋肉を神経質そうに動かしながら。今日の分のパン代を稼ぐことができずにいたから、「どぶねずみ」はきっと腹が減ってたまらなかったのだろう。
「食いたいのかい?」と、唐突に私は彼女に声をかけた。しかし、私の問いなど知らぬようだった。その問いが彼女に向けられたものとは思いもしなかったのだろう。
 私はもう一度もっとはっきりと繰り返した。「どぶねずみ」はぴくっと体を動かして、ほんとにびっくりしたように、私の方を見た。
 何も言わない。
同じ問いかけを三度繰り返す羽目になった。
「食うかって?」怪訝そうに彼女は言った。
「そうだよ。とても腹が減っているように見えたからね」
「食いたいからって、それがどうしたのさ」

出題)「寿司を食べたことのない人は(食の)楽しみを知らない」をロシア語にせよ。

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2015年09月12日

●和文露訳指南第313回

「どぶねずみ」の心の中には私がからかったり、いじめたりしようとしているのではないかという疑いが頭をもたげているようだった。彼女の声はかすれて、呼吸もぜいぜいとして、短く、途切れがちだった。

出題)「2002年以降公用でそこによく出かけた」をロシア語にせよ。

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2015年09月13日

●和文露訳指南第314回

「食いたいなら、食うといい」こう言って、私は彼女の方に自分の丼を押しやった。
しかし、死ぬほど食べたいのだが、彼女はその丼に触れるか触れまいか決心がつかず、私を不信とやるせないような目で見つめ続けた。このようなことに耳を傾けるのは不慣れだったし、彼女にとってあり得ないというか、奇妙なことだった。
「どうしてなんだよう?」かなりためらった後で、とうとう彼女の方から聞いてきた。
「なんでだよ?笑いものにする気かい。それともまじで?」
「笑いものにする気はないさ。ただ食いたくないからだ」

出題)「いまどきの若い者ときたら」をロシア語にせよ。

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2015年09月14日

●和文露訳指南第315回

「どぶねずみ」はもう一度ちらっと見て、ためらいがちに、信じられないという感じで手を伸ばした。そしておずおずと私の分を自分の方に引き寄せた。初めの一口は遠慮がちに飲み込んだが、食いたい気持ちはあるのだが、ちょっと食べるのを止めて、彼女に対して何か悪だくみを私が企んでいないかどうかもっと確かめたいという風に、斜に、じろりと私の方を見た。飢えた、おびえた野良犬がそばにいる知らない人の手から投げられた食べ物の切れ端を取る時のようなやり方と表情と全く同じだった。もう二つ三つ、このような動きと、視線をぶつけた後、「どぶねずみ」はようやく私が汚い真似を彼女にするつもりはないという事を得心したようだった。ガツガツと、すさまじい早さで、一瞬のうちにスープを平らげたのである。

出題)「みんなに課題を解くよう命じた」をロシア語にせよ。

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2015年09月15日

●和文露訳指南第316回

彼女はきっとわざとこんな早さで食べたように思われた。それも根拠のないことではない。私が悪さをして、いきなり丼を取り上げはしないかと思ってのことである。この薄倖の子供を見るのは哀れで、胸が痛かった。丼はあっという間に空となったが、「どぶねずみ」はまだまだ腹いっぱいというわけではなかった。
「もっと何か欲しいのか?」、彼女に向かって、「欲しけりゃ、そう言え。頼んでやるから」
「肉団子が欲しい」と途切れ途切れに、私の方を見ずにその子は答えた。

出題)「ユーゴスラビアで行方不明になったソ連のジャーナリストたちが死んでいることは98%間違いない」をロシア語にせよ。

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2015年09月16日

●和文露訳指南第317回

 肉団子が出てくる間に、私はこの野生児をもっと近くで見てみたくなった。
「名前はなんて言うんだい?」と話のきっかけになればと尋ねると、またびっくりしたように、
「名前?」と彼女は繰り返して、「どぶねずみ」
「それは、お前をからかって「どぶねずみ」って呼ぶんだろ。名前だよ。何かの名前があるんだろう?」
「名前、名前はあるよ」
「どんな?」
「どぶねずみって言っただろ」

出題)「私は彼にとって兄弟同然だ」をロシア語にせよ。

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2015年09月17日

●和文露訳指南第318回

彼女は自分の名さえ知らないのか、小さい時から忘れてしまったのだろう
「母親はいるのかい?」と私は続けた
「母親って?どんな母親のこと?」
「普通にいる母親だよ」
 「どぶねずみ」は私をじっと、すごく怪訝そうに見つめた。これまで彼女にこんなことを聞いた人はほとんどいないので、彼女にはこの当たり前の質問がとんでもない、奇妙なものに思われた。
「いるかもしれないし。さあね。聞いたこともないわ」と少しためらって、考え込むようにこう言った。

出題)「見つけた人には褒美が出る」をロシア語にせよ。

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2015年09月18日

●和文露訳指南第319回

そのときその顔には何か淋しそうな、思いに沈むような、わびしそうなものが現れたように思われた。一言で言えば、何か人間的なものが。母という言葉は、最初は彼女にはとんでもないように思えたのが、本能的に心のどこか琴線に触れ、瞬時に新しい意識の残り香を目覚めさせたかのようだった。これまで自分の母や、母とは一体何なのかを知らなかったことが彼女には哀れで、心痛むものであるかのように。
「いくつなんだい?」と私は尋ねた。
「そんなの知るもんか。数えたことなんかないし」神経質そうな、忌々しいようないらだちとともに彼女の口をついて出た。

出題)「彼女は家から8キロのところで不慮の死を遂げた」をロシア語にせよ。

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2015年09月19日

●和文露訳指南第320回

「つきまとうなって。ほんとに胸糞悪いだから」
 彼女を捉えた新しい感情と意識のすき間に、この質問が彼女を病的にいらだたせたようだった。それは当然、過ぎた年月や彼女の誕生、すなわち再び母に対する思いと結びついていたからである。どれもこれも彼女には見当がつかないものだった。違う口調で、違う質問でもいいけれど、なにか関係ないことで彼女の気持ちや思いをそらしてくれるなら、うれしかったろうと私には思われた。
 彼女の細い首には貧弱な飾りのような、真っ赤なビロードのリボンがあり、それは「どぶねずみ」の外観と際立った違いを見せていた。
 「ビロードなんかつけて」と私の連れが指さして言った。「そのビロード、どこのだ?だれからもらったんだ?」

出題)「彼のアリバイは崩れた」をロシア語にせよ。

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2015年09月20日

●和文露訳指南第321回

「盗んだんだよ」とあっさり、ごく自然に、何の恥じることなく、「どぶねずみ」は答えた。
「センナヤ広場の古着屋からかっぱらったんだ」と彼女は自慢して、でっかい態度でニヤッと笑い、ちょうど持ってきた肉団子にまたがつがつと取りかかり始めた。肉団子が食いつくされた時に、彼女はちょっと間をおいて、立ち上がり、とんでもなく大胆な、小馬鹿にした表情で私に向かってこう言った。
「行こうか?」挑むような調子でこう彼女は続けた。
「どこに?何のために?」私は私で驚いた。「どこにも行かないよ。行きたいところあれば勝手に行けよ」

出題)「(気持ちの上で)何か引っかかるものがある」をロシア語にせよ。

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2015年09月21日

●和文露訳指南第322回

 「どぶねずみ」は本当に怪訝そうに立ち止り、私を驚いた眼でじっと見た。
「何だって!お前、ロハでおごってくれたっていうのかい」、なぜか奇妙にゆっくりと引き延ばして話し、見つめ続けた。
「他に何だって言うんだよ?」
「フーン、ほんとうにタダでかい?」
「そう言ってるだろう」
「バーカ」、ぶっきらぼうに、ほんとうに軽蔑したという体で、「どぶねずみ」は声を発し、すばやく私たちのテーブルから去って行った。
 可哀想な子である。彼女は、だれかが後先何も考えないで、目的もなしに腹いっぱい食わせてくれるという可能性を一顧だにできなかったのだ。このような意識より苦いものがあるだろうか?この子のために、彼女の人生のために私の胸は痛んだ。「主よ、早く御許にお召しください」とその時私は思った。「どぶねずみ」はほんとうに死んだらしい。少なくとも最近どこのスラムでももう彼女の姿は見かけない。だれに聞いても、答えは返って来ない。この子の思い出さえ消えてしまったのだ。

出題)「途中で我々は雨に降られた」をロシア語にせよ。

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2015年09月22日

●和文露訳指南第323回

『和文露訳指南』の一部内容追加のお知らせ。

6-1-4 動作の開始(促し)・継続・終了

日本語とロシア語は違う言語だが、同じ人間が話す言語ゆえ、発想が似ている部分もある。日本語で動作の開始や継続、終了を示す動詞結合は、連用形を取って、読み始める(読みだす)、読み続ける、読み終えるなどとなるが、この「読み」の部分は、読了するとか、ちょっと読むということを必ずしも意味しない。そういうニュアンスを超えた、文字通りの「読む」という意味と理解するのが普通である。露訳する場合日本語の連用形の部分は不定形で示されるが、「読み始める」はначать (начинать) читатьのように、不完了体不定形となる。このчитатьは読了するとか、ちょっと読むとかというもあるかもしれないし、ないかもしれないという、そういうニュアンスを超えたところの、動作の有の確認、つまり動作の名指しを意味するから不完了体が来ていると言える。
動作の開始(始発、促し、着手)、継続、終了を意味する動詞бросить/бросать(~するのを止める)кончать/кончить(終える)、начинать/начать(始める)、останавливаться/остановиться(止る)、переставать/перестать(止める)、прекращать/прекратить(中止する)、продолжать(続ける)、стать(~し出す)などと結合する不定形は不完了体となる。これは完了体の動詞は動作の全一性を扱うことと、動作の経過を伝達することがまったくできないことに起因する。つまり動作の開始、継続、終了の意味の動詞と結合する不定形には、その動作の内容を示す(動作の有の確認)だけで、動作の全一性を示す前提や必要性がないからである。全一性を担う必要性が出てくれば、し始める、~し続ける、し終えるという動詞がその機能を担う。начать/начинать(始める)ということは、その後動作が継続するか、反復することを想定し、продолжать(続ける)というのは、継続そのものであり、кончить/кончать(終える)のは継続、反復してきた動作が止むということを意味すると考えてもよい。動作の焦点が不定形に来ないために不完了体不定形になるという理屈も成り立つ。そのため、отправиться/отправляться、приняться/приниматься、взяться/братьсяなど着手の意味がある動詞は、不完了体動詞不定形と結びつく。これは命令法の着手や促しの用法で不完了体が用いられるのも、これを敷衍したものと考えてもよい。

出題)「彼は北朝鮮に大使として左遷された」をロシア語にせよ。

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2015年09月23日

●和文露訳指南第324回

諸般の事情により、今後このコーナーは土日、休日となりますので悪しからず。

出題)「先月その課は廃止された」をロシア語にせよ。

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2015年09月26日

●和文露訳指南第325回

『和文露訳指南』追記のお知らせ。

9-6-5 疑問詞を二人称に使う例

 誰にкомуという疑問詞をお前にтебеの意味で使う場合があるので紹介する。これは日本語にもある反語法的用法であろう。

(彼女につきまとわないで。誰に言っていると思ってるの)Отстань от неё, кому говорю! 
(下から出なさい。誰に言っていると思ってるの)Вылезай, кому говорят! <この場合говорят = говорю> 

出題)「明朝運動場に全員集合!」をロシア語にせよ。

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2015年09月27日

●和文露訳指南第326回

2015年9月21日付のタイム誌によると、アメリカではフットゴルフなるスポーツが人気を呼んでいるという。文字通りサッカーボールを使ったゴルフで、ゴルフ用具は必要ない。2009年にオランダのミカエル・ヤンセンという人が発明して、アメリカではゴルフコースとの兼用で433のコースができる人気ぶり。アメリカの若い人にとってゴルフは、金がかかる、プレーに時間がかかる、プレーが退屈ということで、ゴルフ人口が前年より500万人減ったという。面白いことにこのフットゴルフにはまった人の36%がゴルフをやってみたいと答えた由。今年には専門のフットゴルフ場もできるという。サッカーボールを蹴るというのなら大概の人はやったことがあるだろうし、ゴルフ界にとってもサッカーゴルフからゴルフをやってみたい人がたくさん出てくるのなら朗報だろう。日本人はアメリカで流行ったものに対するあこがれが強いので、日本でも流行るかもしれない。

出題)「排尿時に残尿感はありますか?」をロシア語にせよ。

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2015年10月02日

●和文露訳指南第327回

集まる(集合する)という意味のсобраться/собиратьсяには語結合的に留意すべき点がある。場所を示す場合はв/на + 前置格だが、場所と行為を同時に示すような名詞に対してはна + 対格となる。на митинг (демонстрацию, субботник, репетицию, бал, праздник, фестиваль, встречу, совещание, сессию, съезд)となる。

出題)「助けて、殺される」をロシア語にせよ。

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2015年10月03日

●和文露訳指南第328回

前回の出題のコメントはコメント欄に出ないようなので、この場に念のため書いておく。

1) 消えた鮭さん

Помогите! Меня убьют!

よろしくお願いします。
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убьютと完了体未来形を使っても、文法的には間違いではないとは思いますが、「助けて」とある以上、普通は、今誰かに襲われ、殺されそうになっている最中であると理解するのが普通です。完了体未来形には二つの用法があって、一つは近接未来完了(一瞬後の動作の完遂)、もう一つは未来完了(一瞬後ではないある期間後の動作の完了)で、この違いは文脈に依ります。お答えは近接未来完了ですが、それでも一瞬後の動作なので、この発話の時点では殺されるという動作はないことになります。殺される動作は一瞬後です。分かりやすく、且つ厳密に言えば、首を絞められているとか、相手がナイフで脅しているなら、過程か予定であり、不完了体現在形を用いますが、相手が向かってくるだけなら、完了体未来形と区別すべきだというのが、私の考えです。私の答えは、Караул! убивают!
不完了体現在形の過程ないしは予定の用法。

2) Гоさん

Спаси, меня убьют!
状況と関係ないсов。
-----------------------------
状況云々というのであれば、少なくとも話し手は、相手のナイフや、握りこぶしは、首で絞められたなどの状況があると思いこんでいるはずです。Спасиとすると、単数の人тыに対する呼びかけですから、かなり状況が限られると思いますので、複数にする方が自然です。

3) 角丸さん

Ставите, меня убьют!
--------------------------
Спаситеのタイプミスでしょうか?

4) やまさん

Помогайте мне, меня убьют!
助けては切迫でнв、殺されるは動作の進行中ということで нвとしました。よろしくお願いします。
-----------------------------------------
不完了体命令形には切迫(着手や促しから派生)という用法がありますが、その場合も不完了体の用法ですから、状況に沿って、つまりその場でそういう動作をするのが自然だという意識の流れがあることは理解されると思います。助けてと呼びかけられる人(道行く人)にとって、助けるのが自然かどうかですが、助けてと叫びを上げる以上、呼びかける人は、呼びそかけられる人が気づいていない、つまり状況に則していない、新規の1回の動作であると思います。そうであれば、完了体命令形を使うべきです。
 殺されるはご理解の通り、動作の進行中ですから不完了体現在形が来ますが、なぜубьютと完了体未来形になっているのでしょう?

5) ブーチャンさん

Спастите,
меня убьют.
--------------------------
спаситеとタイプミスがあります。

6) さきちゃんさん

Помогите, меня убивают!
宜しく御願いたします。
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正解です。

出題)「彼は命の恩人だ」をロシア語にせよ。

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2015年10月04日

●和文露訳指南第329回

日本語の会話を勉強したい外国人にはマンガという便利な手段があるが、ロシア語にはそういうものはあまり期待できない。ロシア語のマンガのほとんどは日本のマンガの翻訳だから、ロシアの庶民文化を知る役には立たないということになる。

 10年ほど前にハリーポッターの偽物というよりは翻案物で、当時かなりロシアで売れた『ターニャ・グロッテルТаня Гроттер, Емец』もの全10巻を買っておいた。第1巻だけは読んだが、それ以外は他にロシア語で読むものがたくさんあったので、自然ほったらかしになった。ハリーポッターとの違いは、主人公は女の子で、コントラバスに乗って空を飛び、敵役はТа-Кого-Нет (Чума-дель-торт)と言い、女性のようである。ある出版社の担当者はこの日本語版を出す事に興味を示していたが、ハリーポッターの原作者から間違いなく、訴訟を起こされることを懸念して、この話は立ち消えになった。

 今第2巻を読んでいるが、結構面白い。会話は若者言葉であり、教科書や参考書ではよく分からないロシア庶民の考え方、背景なども分かる。ストーリーがマンガ的であり、こういう表現はどういう時に使うものかも理解しやすい。ロシア語を錆びつかせないためにいいかなと思う。

出題)「歩数にすると何歩?」をロシア語にせよ。

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2015年10月09日

●和文露訳指南第330回

仮病使いは、симлянт が一般的であり、аггравант というのは自分の病状を誇張する者である。

出題)「彼の得意技が出た」をロシア語にせよ。

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2015年10月10日

●和文露訳指南第331回

ロシアの公爵はкнязьを、ヨーロッパ諸国の公爵にはгерцогを用いる。侯爵маркизや子爵виконтはロシアにはない。革命前のロシアでは一般的にкнязьは皇帝の血筋に、граф伯爵は大貴族の血筋に、барон男爵はバルト海地域のドイツ系貴族に与えられた。

出題)「警告するのはこれが最後だぞ」をロシア語にせよ。

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2015年10月11日

●和文露訳指南第332回

シャッターはカメラのはзатворで、ガレージなどのはрулонные воротаと言い、窓のはжалюзиと言う。

出題)「究明する時間はなかった」をロシア語にせよ。

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2015年10月12日

●和文露訳指南第333回

斜面のсклонは山や丘の斜面で、切り立ったものでも、緩やかな斜面でも使う。скосやоткосは川岸、盛り土、土塁などのあまり高くはないが、急に下っている斜面、法面(のりめん)などを指し、скатは緩やかな斜面である。

出題)「こういうことに鼻のきく誰かが必要だ」をロシア語にせよ。

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2015年10月17日

●和文露訳指南第334回

文章などの修正はпоправкаで、理論の修正はревизия。

出題)「そうでなければ裁判に訴えざるを得ません」をロシア語にせよ。

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2015年10月18日

●和文露訳指南第335回

『和文露訳指南』8-1項に下記追記した。

бытьの過去形にも完了体の用法として結果の存続の意味で使う場合があるが、これは状態の動詞の3-1-6-2項の用法と見なしてよい。

(すぐにもう彼女は立ち上がっていた)Вскоре она была уже на ногах.

出題)「表彰台に上っているのはどの国の選手ですか?」をロシア語にせよ。

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2015年10月23日

●和文露訳指南第336回

『和文露訳指南』に一部追記した。

3-2-1-1 結果の存続〔結果の達成と残存〕 → 完了体動詞過去形

 結果の存続перфектное значениеというのは、「~したばかりだ、~したところだ」というように、過去において生じた出来事や動作の結果が発話の時点まで残っていることを言い、発話が今(過去のある時点)なら今(過去のある時点)に至るまで残っているということで、現在完了(過去完了)のことで、未来の時制なら未来完了である。いずれも完遂的用法の一つであり、本書において過去の時制ではアオリスト的用法ないしは過去完了の継続となり、未来の時制では完遂的用法となる。

出題)ファインプレーの後の発話で「ご覧になりましたか?」をロシア語にせよ。

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2015年10月24日

●和文露訳指南第337回

樹脂という意味でのживицаは松脂など、木から出ているか、木に含まれているもので、それを加工したものがсмолаである。

出題)「(これでも)食らえ」をロシア語にせよ。

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2015年10月25日

●和文露訳指南第338回

奨学金はстипендияだが、これは卒業後返還の必要はない。日本の一般奨学金はкредиты на обучениеであり、特別奨学金はневозвратные грантыである。

出題)「彼は謙虚そのものだった」をロシア語にせよ。

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2015年10月31日

●和文露訳指南第339回

вдоваとвдовецはそれぞれ未亡人(後家、やもめ、寡婦)と男やもめ(寡夫)と露和辞典にはあるが、何となくニュアンスのある日本語である。ニュートラルな訳としては、夫に先立たれたとか、妻に先立たれたというのも文脈によっては品があってよいと思われる場合もある。必ずしも訳は短くなくても適訳と言うのはあり得るはずだ

出題)「逮捕者数は我が国ではもう何年も続けて低下している」をロシア語にせよ。

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●和文露訳指南第340回

衝突はстолкновениеが一般的。коллизияは書き言葉で、抽象的な意味での衝突を指し、соударениеは二つの動いているものの衝突で物理学用語である。наездは車や馬の衝突を指す。

出題)「それとも俺の知らないことが何かあるのか?」をロシア語にせよ。

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2015年11月02日

●和文露訳指南第341回

処刑台という意味のэфшафот は断頭や絞首にもちいられ、плахаは断頭台である。

出題)「この席はふさがっていますと言って下さい」をロシア語にせよ。

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2015年11月03日

●和文露訳指南第342回

しわはморщинаだが、складкаは深いしわ、皮膚のたるみを指す。

出題)「どんなニュースにも賞味期限がある」をロシア語にせよ。

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2015年11月06日

●和文露訳指南第343回

完了体未来形は近接未来での、ないしは近接未来ではない未来での完遂を示すが、不完了体未来形は近接未来ではない未来の時制での、完遂に焦点を置かない動作を示すと言える。

出題)「誰かがこれについて尋ねるのを私は待っていた」をロシア語にせよ。

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2015年11月07日

●和文露訳指南第344回

信号はсигналであり、交通信号機は светофор。

出題)「喜ぶのはまだ早い。ゲームはまだ終わっていない」をロシア語にせよ。

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2015年11月08日

●和文露訳指南第345回

心理状態のпсихикаは個人の精神状態を指し、умонастроениеは集団のそれを指す。

出題)「報告の後彼らは僕に総立ちの拍手喝さい(スタンディングオベーション)をしてくれた」をロシア語にせよ。

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2015年11月13日

●和文露訳指南第346回

スパイのうち、секретный агент は秘密エージェントで、шпион は国家的、ないしは警察のスパイであり、провокаторはある組織に潜入したスパイを指し、осведомительは内通者である。

出題)「両チームは向かい合って整列した」をロシア語にせよ。

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2015年11月14日

●和文露訳指南第347回

スローガンという意味のлозунгはモットーでもあり、指導理念や要求を簡潔に表現したものであり、девизは振る舞いや活動を規定する標語である。Слоганという言葉も使われ始めた。

出題)「悪党は犯行現場で押さえないといけない」をロシア語にせよ。

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2015年11月15日

●和文露訳指南第348回

工場での製造・生産にはпроизводствоやвыпускが使えるが、выпускは生産ラインから出てくるようなニュアンスである。добычаは鉱物資源などの採掘という意味である。

出題)「少女は指で鼻をつまんだ」をロシア語にせよ。

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2015年11月20日

●和文露訳指南第349回

接点という意味では、точка соприкосновения は数学用語、人との接点ならконтактная точка, касательствоが使える。

出題)「二人の私がいる」をロシア語にせよ。

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2015年11月21日

●和文露訳指南第350回

セットは書類、工具、機械、機械部品セット組みのセットという意味ではнаборとкомплектは同義だが、комплектには完全なセットという意味がある。家具、下着、寝具のセットはгарнитурで、活字のセット、機械部品はгарнитураと言い、映画のセットはпавильон、バレーボールのセットはпартияで、テニスのはсет、運動のトレーニングなどではподходを使う。

出題)「彼の安否が心配だ」をロシア語にせよ。

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2015年11月22日

●和文露訳指南第351回

『和文露訳指南』に項目番号も含め、下記変更を加えた。

6-2-5-1 не мочь/не смочь, нельзяの用法

助動詞мочь(~できる状態にある)は現在の時制で、現在形では、現在における反復、慣用、性質を示し、смочь(できる)の完了体動詞未来形は一瞬後およびそれ以降の未来の具体的な1回の動作の可能性を示す。過去の時制でのそれぞれの用法をまず紹介する。смочьは完了体ゆえに、その過去形はアオリスト的用法(ないしはそこから派生した結果の存続〔うまくすることができた〕の用法が多い)で用いられる。一方мочьの不完了体の過去形は動作の有無の確認の用法であり、できる状態にあったということのみを述べているにすぎず、仮定法過去のような結果存続無効の用法(できたのにしなかった)という意味かもしれず、できたという意味かもしれない。какと共に用いて、不完了体の様態の用法として非難のニュアンスが出ることもある。

(負傷後すぐに怪我をした足で歩け(踏み出せ)ましたか?)Вы могли сразу после травмы наступать на повреждённую ногу? <歩ける状態にあったかという動作の有無の確認>
(私は切符を手に入れることができた)Я смог достать билет. <結果の存続>
(私は切符を手に入れることができる状態にあった)Я мог достать билет. <手に入れなかったのかもしれないし、手に入れることができたのかもしれない>
(どうやってこんな高いところに登って来られたのだい?)Как ты смог подняться на такую высоту? <結果の存続>
(よくも彼は私をだます事ができたものだ!)Как он мог обмануть меня! <動作の有無の確認から派生した、非難の用法>
(どうしてドイツ軍が1941年にモスクワに迫ることができたのか?)Почему немцы смогли вплотную подойти к Москве в 1941 году? <アオリスト的用法>
(1911年秋から学校に通うことができるようになって、1913年春に卒業しました)С осени 1911 года он смог ходить в школу и окончил ее весною 1913 года. <アオリスト的用法由来の大過去(過去完了の継続)>

смочь (суметь) は肯定文よりも否定文で使われることが多い。これに否定が関わると、次のような使い分けが出てくる。不許可や禁止については6-1-5項参照のこと。

(彼は来る状態にはない)Он не может прийти. <+ 完了体動詞不定形の場合は、一回の具体的動作のときで、現在の時点において来るのが不可能な状態にあるということ>
(彼は来られない)Он не сможет прийти. <+ 完了体動詞不定形の場合は、一回の具体的動作のときで、しかも未来の状況語がない時は、一瞬後の現在、ないしはそれ以降の未来の時制において「来る」という動作が不可能だという事>
(毎日学校に辞書をもって来ることはできない。とても重いんだ)Я не могу каждый день брать в школу словарь. Он очень тяжёлый. <今現在持って来れる状態にはない>
(〔これからは〕毎日お前と図書館に通うことはできない)Я не смогу каждый день ходить с тобой в библиотеку.
(彼はどんなバスケットボールの練習にも参加することはできなくなる)Он не будет в состоянии принимать участие в любых баскетбольных тренировках. <бытьの未来形 + 不完了体動詞不定形で、未来の時制の反復や状態の否定を示す>
「計画を立てるのを手伝ってくれ」Помоги мне составить план.

に対して、完了体不定形と不完了体不定形の答えがあり得る。

「今手伝うことはできない」Сейчас я не могу тебе помогать.
「今手伝うことはできない。すぐ出かけないといけないんだ」 Сейчас я не могу помочь: я должен срочно уходить.).

このように経過の意味のある動詞の時は、どちらの体の不定形も可能である。完了体動詞不定形だと新規の情報を伝える完了体の用法であることが分かる。しかもこの場合その後にуходитьと切迫性の不完了体動詞不定形が来ている。

(彼は来ないかもしれない)Он может не прийти. <否定の可能性>
(彼は来なくてよい、彼は来る必要がない)Он может не приходить. <不必要>

出題)「彼は着るものに無頓着だ」をロシア語にせよ。

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2015年11月23日

●和文露訳指南第352回

『和文露訳指南』に下記変更を加えた。

4-1-2 予定の用法 → 不完了体動詞現在形

予定предстояниеの用法「~する、~するところだ、~することになっている」は理屈で考えれば未来進行形であり、不完了体未来形で示すはずのものであるが、近接未来ближайшее будущее(発話時点のすぐ後に続くか、発話時点と融合した未来)や実現の可能性がその場の状況下では非常に高い未来において、既存の動作の延長上にある動作の継続が意識されるため、不完了体現在形を用いる。一方不完了体未来形は現在とはつながりのないと話し手の考える未来の時制における動作の有無の確認(4-1-1-1項参照)に使われるのが普通である。

出題)「その気になれば何でもできる」をロシア語にせよ。

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2015年11月28日

●和文露訳指南第353回

『和文露訳指南』に下記変更を加えた。

4-1-1-9 если, когдаと未来進行形

 когдаやесли以下の従属節に不完了体動詞未来形が、主節に完了体動詞が来る時は、従属節に未来の過程(経過)の意味が出てくるし、二つの動作が何ら拘束し合わずに、時間的に共存する動作を示すことができるので、広く使われる用法である。未来における反復については5-1-6項も参照願う。

(映画館のそばを通る時に、明日の切符を買いましょう)Когда мы будем идти мимо кинотеатра, мы купим билеты на завтра.
(貯水池のそばを車で通る時に、一休みするのに素晴らしい場所を教えてあげますよ)Когда мы будем ехать мимо водохранилища, я покажу вам прекрасное место для отдыха.
(帰るときは、ガスを消して下さい)Когда вы будете уходить, выключите газ.
(その専門家の病気の期間が60日以上となる場合には、その専門家を交代させる措置を取ります)В случае, если период болезни специалиста будет длиться более 60 дней, мы примем меры по замене данного специалиста.
(もしこの方法を使うのが初めてなら、CDをドライブに入れなさい)Если будете использовать это средство впервые, вставьте компакт-диск в привод.

出題)「どうしてその写真はピンボケになったのか?」をロシア語にせよ。

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2015年11月29日

●和文露訳指南第354回

『英文法のエッセンス』(江藤裕之、大修館書店、2015年)を読んだ。英文法の本質を分かりやすく説明した好著である。現在形(過去形)は現在(過去)の客観的事実に加え、話者が事実と考えていることも含むものを示すとか、未来には事実がなく、主観的な想定を示すためwillを使い、それがとりわけ意志を示す事なるなど、分かりやすく説明されている。動作動詞の現在形は習慣的な事実(ふつうのこと)を、現在進行形は一時的な事実(そのときのこと)を示し、状態動詞は恒常的事実(いつものこと)を示すという説明にも感心した。高校のときにこういう本に出合えれば、私のように理詰めに文法に取り組む学習者には、ロシア語文法を極める上でも、大いに助けになったろうと思われる。みなさんにもお勧めする。

 ただ、和訳で未来を示すのに推測の「~だろう」を使うなど、学校英文法の欠点が踏襲されているが、これは日本語の特徴である非過去(現在と未来)を分けて英語との違いを学習者に理解させるためには、やむを得ないことなのだろう。それと、When it rains tomorrow, I will stay at home.を露訳すれば、従属節は不完了体未来形になるが、英語では従属節が現在形になるのを、「明日雨が降るという事実を仮に想定しているので現在形を用いる」というのは、これは時制の例外であるとする説明よりはましだとは思うが、かなり苦しいように思う。この点は同じインド・ヨーロッパ語族とは言え、ロシア語の方が論理的である。

出題)「低気圧はサハリンからオホーツク海へ向きを変えつつある」をロシア語にせよ。

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2015年12月05日

●和文露訳指南第355回

『和文露訳指南』に下記追記願う。
10-23 体の使い分けの早見表

体は時制によって形式上使い分けがあり、それはまた文脈や動詞の語義自体により現れ方も違う。それをまとめて紹介したい。

(不完了体現在形)
1-1) 動作動詞 → 過程 <進行形、一時的事実、そのときのこと、時間軸の一点の動作>
1-2) 動作動詞 → 反復 <習慣的な事実、ふつうのこと>
1-3) 動作動詞 → 予定 <動作の起こるのは未来だが、気持ちの上では現在進行中の継続動作>
1-4) 状態動詞 → 状態 <恒常的事実、いつものこと>
1-5) 状態動詞 → 継続 <過去が動作の始点であり、現在までの動作の継続で、現在は動作の終点ではないことに注意。 про-の接頭辞を持つ完了体過去形は、結果の存続として動作の終点が明示される>
1-6) 遂行動詞 <発話と共に動作が始まり、発話の終了と共に動作が終わる、つまり現在の時間軸の一点が発話と共に移動して、動作の終了に至るというもの>
1-7) 評価解釈型動詞 <発話の時点〔現在〕で動作の評価とその結果の存続が示される>
1-8) 歴史的現在 <過去の動作をあたかも眼前で行われているかのように、生き生きと表現する用法>

(不完了体過去形)
2-1) 過程
2-2) 反復
2-3) 予定 <『和文露訳指南』2-1-10項参照>
2-4) 動作の有無の確認 (経験も含む)

(不完了体未来形〔合成未来〕)
3-1) 過程
3-2) 反復
3-3) 動作の有無の確認

(完了体過去形)
4-1) アオリスト的用法(過去完了)
4-2) 結果の存続(現在完了)

(完了体未来形)
5-1) 近接未来完了 <近接未来とは発話時点のすぐ後に続くか、発話時点と融合した未来を指す>
5-2) 未来完了 <近接未来ではない、もっと後の未来の動作を扱う>

完了体・不完了体の動詞それぞれに上記のすべての用法があるわけではない。多回動詞は反復のみであり、даватьのように過程を表せないが、複合動詞としてなら予定を示せるものなどさまざまである。

出題)「祝日が日曜と重なった場合には、月曜を休日とすること」をロシア語にせよ。

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2015年12月06日

●和文露訳指南第356回

捜査のследствиеは刑事事件の証拠集めとその立証、いわゆる捜査であり、расследованиеはその捜査を行う事である。розыскは犯人や盗難品の捜索を指す。

出題)「劇場にはこの道でいいですか?」をロシア語にせよ。

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2015年12月12日

●和文露訳指南第357回

ソファーベッドはдиван-кровать が一般的。диван-книжкаは一番初期のソファーベッドで、本を開くように背もたれが倒れるもの。кушетка はそのままで両方に使えるもの。

出題)「どこを怪我なさったのですか?」「胸と肩と顔です」をロシア語にせよ。

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2015年12月13日

●和文露訳指南第358回

損害のубытокは経営、取引に関する損害を指し、уронは経営、災害、戦争、人的損害を、ущербは経営、災害、戦争を指す。 потериは複数形で戦闘中の人的・物的損害を意味する。

出題)「どちらかましな方を選ばざるを得ないものだ」をロシア語にせよ。

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2015年12月19日

●和文露訳指南第359回

「逮捕する」はарестоватьが一般的、задержатьは屋外、いつもの居所以外、偶発的な状況下での逮捕を示す。взятьは口語で「捕まえる」、забрать俗語・口語的ニュアンス(しょっぴく)、заместиは俗語的で「ぱくる」、схватитьは意外性、素早く逮捕されるという意味であり、同じニュアンスであるが、卑語がсцапатьやзацапатьである。

出題)「私の正体を見破られたくはない」をロシア語にせよ。

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2015年12月20日

●和文露訳指南第360回

句と句との間に挿入するダッシュはтиреだが、ローマ字の右肩につける「'」はштрихと言う。

出題)「どこを進んでいるのですか?」「湖の上を」をロシア語にせよ。

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2015年12月22日

●和文露訳指南第361回

танцовщица (男性はтанцощвщик)は現代語ではバレエダンサーで、ダンサーはтанцорка (男性はтанцор)という。

出題)次の文をロシア語にせよ。
「合い言葉を言え」
「スポーツ」
「通行を許可する」

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2015年12月23日

●和文露訳指南第362回

物理的な力はсилаだが、体力はсилыと複数になる。精神力духовные силыもそうである。また威力という意味なら、власть музыки(音楽の力)という言い方をする。

出題)「尋ねよ、さらば見出さん」をロシア語にせよ・

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2015年12月25日

●和文露訳指南第363回

図書館で偶然、『刑事ぶたぶた』(矢崎存美)という本を見つけた。題名に魅かれて、読んでみたが、なかなか面白い。「ぶたぶた」シリーズは20冊近く刊行されていて、主人公は生きているブタのぬいぐるみ。中味(多分乗り移ったの)は40代の男性で、渋い声をしているという。本名山崎ぶたぶた。妻(人間)もあり、娘(人間)が二人いるということがシリーズを読み進むにつれて分かって来る。あるときは刑事、あるときはフランス料理のシェフ、菓子職人、執事喫茶の執事、ホテルの指導係、伝説のホスト、学校のカウンセラー、獣医、カフェの主人、本屋の主人、ラジオのパーソナリティーであり、本好きで、料理はプロ並み。フランス料理の修行にフランス留学の経験もある。酒も好きだが、タバコは喫わないようである。ぶたぶたさんがいろいろな問題や悩みを解決するというよりは、人とのふれあいを大事にし、相手の話をとことん聞いてやることにより、悩んでいる人が自分で何らかの解決法やそのきっかけをつかむというもの。テーマは学校のいじめ、家庭内暴力、父親の蒸発、自殺など重いものもあるが、読後感がほのぼのしているのは、主人公が控えめで礼儀正しいということからなのだろう。絵本にもなっているという。正月に一読を勧める。

 我が家にもブタのぬいぐるみがあり、家内の枕になっていて、タマリンと名付けている。ぶたぶたさんと違って女の子であり、ははるかに可愛いと思う。出身はコブータン。八百万一番の神々認識番号を持つ神道の神の新入りで、天照大神の雑用係を勤めていて地上に舞い降りたという設定。他にもいろいろストーリーがあるのだが、この辺でやめておく。

出題)「彼女に何かしてあげなさい」をロシア語にせよ。

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2015年12月26日

●和文露訳指南第364回

поставщикは納入業者、供給者と研究社の露和辞典にはある。無論間違いとは言わないが、通訳で使うには直訳じみて、使いにくい。仕入先とでも訳せば、もっと日本語らしいような気がする。

出題)「言わないよ。変に取られるから」をロシア語にせよ。

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2015年12月27日

●和文露訳指南第365回

今年『和文露訳指南』の改訂版『和文露訳要覧』を出すつもりだったが、DLmarketがPDF化のサービスを止めてしまったので、中止した。このサービスには「しおり機能」が含まれるのが魅力だったのだが、自分でしおりを作るとなると、この本の場合は200項目以上もあり、何千部も売れるならともかく、自分でやる気はしない。ともかく『和文露訳指南』を出してから1年以上も経つので、この正月に推敲を終えるつもりで、見直している。

 体の用法についてもより首尾一貫した説明を持たせるよう配慮するなどしたため、全体で50頁ほど増補し、例文を入れ替えたり、似たような例文を削ったり、新たに追加したりして、総ページ数も600ページ余となり、初版の倍を超えた。和文露訳で見過ごされることの多い動作の否定、複文、完遂の用法を近接未来完了と未来完了に分けるなどの工夫を加え、より充実させたのが『和文露訳要覧』の特長である。ただこの1年間で主だったところはこのコーナーに掲載しているおり、そのため特に電子書籍とか製本版で出さず、あくまで自分用として1セット製本しようと思っている。

出題)「いつ体温を測りましたか?」をロシア語にせよ。

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2015年12月28日

●和文露訳指南第366回

カッターの先につける超硬合金の片(チップ)tipはпластинкаで、工業用チップchipはтехнологическая щепа、半導体で使うチップはчип、サービスで出す方はчаевыеと言う。

出題)「幽霊全員の視線はホールの一点に向けられた」をロシア語にせよ。

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2015年12月29日

●和文露訳指南第367回

сальтоやсальто-морталеというのは手を地面につけないでの宙返りであり、つけるのはкульбитという。мёртвая петляは飛行機の宙返りを指す。

出題)「これほど信じられないトレーニング法を知っていた人は他にいない」をロシア語にせよ。

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2015年12月30日

●和文露訳指南第368回

中心という意味ではцентрは、円の中心、二つに軸の交点、集まるところ、重要な場所と多義であり、серединаは場所の中心を指し、средоточиеは集まって来るところという意味である。

出題)「血縁関係にはないのに双子のように見えた」をロシア語にせよ。

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2015年12月31日

●和文露訳指南第369回

С Новым годом!
通算するとこの和文露訳の出題も1500回に達している。もっとも誤って重複して出したのもあるから、それを考慮するとあと2、3回で1500回と言うのは間違いないところだろう。投稿者の皆さんに深くお礼を申し上げる。このコーナーが和文露訳をする上で、いくらかでも役に立っているといいのだが。

出題)「朝食と夕食を兼ねて食べよう」をロシア語にせよ。

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2016年01月01日

●和文露訳指南第370回

鋳造はлитьёだが、貨幣鋳造はчеканкаという。硬貨を製造することを「鋳造」すると表現するが、現在の硬貨は全て打刻(打製)である。つまり、圧延した金属板を丸く型抜きした平金を作り、これに刻印を打ち付けて製造するので鋳造ではない。

出題)「危うく火事になるところだった」をロシア語にせよ。

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2016年01月02日

●和文露訳指南第371回

チューブという意味のтубаはワセリン、絵の具用など大型のチューブで金属製であり、その指小形тюбикは金属性もプラスチック製もある。車や自転車の空気の入ったチューブはкамераとかбалллон(タイヤと言う意味もある)。

出題)「このような式を執り行うことは初めてでございますので、至らぬところがございましても、何卒御寛恕願います」をロシア語にせよ。

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2016年01月03日

●和文露訳指南第372回

兆候という意味では、признакが一般的な語であり、приметыは人の外見の特徴を指し、複数形で現象の外見的特徴を示す。знакは何かの状況の存在や到来を指すが、現代語ではあまり使われない。симптомは医学用語である。

出題)「損得なしだ」をロシア語にせよ。

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2016年01月08日

●和文露訳指南第373回

小説や映画などにおける悪魔の描写というのは、善との対比として描かれることが多い。つまり善と相容れないものが悪で、それを悪魔が信奉しているというものである。しかし、考えてみると悪というのはそれほど単純なものではないような気がする。

1) 善との対比としての悪
2) 天の邪鬼のようなもので、人の言う事、することの反対をすることであり、善の場合もあり得る。
3) 天衣無縫、つまりアナーキスト的考えで、善悪をまったく考慮しないので、善の場合もあり得る。
4) サディズム、人の苦しむのを見て喜びを得る。
5) マゾヒズム、人に自分の苦しみを見せて喜びを得るもので、見せられた人は不快を感じる。サディストがマゾヒストが苦しむのを見ても、何とも思わないか、偽の苦しみに怒りを覚えるだけだろう。
6) 自分と異なる考え方を全く認めない原理主義的立場で、その立場に立つ人にとっては自分の考え方は善そのものである。

出題)「彼女は年相応に見える」をロシア語にせよ。

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2016年01月09日

●和文露訳指南第374回

追跡という意味では、погоняは逃亡した人やなくなったものを探索して追跡することであり、преследованиеは追跡そのもの、またотслеживаниеは工学用語である。

出題)「こうなったらほとぼりの冷めるのを待たなくてはならない」をロシア語にせよ。

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2016年01月10日

●和文露訳指南第375回

工場などの通路はпроход、マンションなどの各階の通路はоткрытая галерея。

出題)「ついてこないで。一人にならなくちゃいけないの」をロシア語にせよ。

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2016年01月11日

●和文露訳指南第376回

тростьは歩行のための杖で、палкаも同様だが、тростьの方が細い。посохは長い杖、ないしは先端が曲がっているか、球のような取っ手のついているもの。крюкаは先端が鉤のように曲がった杖。

出題)「彼は私の前にすでに7回も婚約していた」をロシア語にせよ。

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2016年01月16日

●和文露訳指南第377回

やまさんの指摘により第370回回答にタイプミスがあったので、Едва пожара не было! と訂正します。間違いの指摘があれば、チェックし、間違いがあれば即訂正いたします。ご迷惑をおかけしました。

出題)「僕を信じてくれなくて結構」をロシア語にせよ。

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2016年01月17日

●和文露訳指南第378回

次のという意味では、следующийが一般的だが、定期的に発生するもの対してはочереднойも使える。

出題)「彼はそっちではなく、ホールと反対方向に曲がった」をロシア語にせよ。

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2016年01月20日

●和文露訳指南第379回

非売品として『和文露訳要覧』(上巻306頁、下巻296頁)の製本したセットがようやく届いた。6セット(上下巻)注文し、自分用に1セット、残りの5セットはお世話になった方々に献呈した。DLmarketがPDF化サービス(+ しおり作成)を止めてしまい、製本サービスも1冊当たり今のところ200頁までなので、別のところにPDF化(しおり機能なし)と製本を依頼した次第。『和文露訳要覧』は『和文露訳指南』と比べ、体の用法について、より首尾一貫した説明を持たせるよう配慮するなどしたため、全体で50頁ほど増補し、例文を入れ替えたり、似たような例文を削ったり、新たに追加したり、誤植を訂正したりして、総ページ数も600ページ余となり、初版の倍を超えた。和文露訳で見過ごされることの多い動作の否定、複文、完遂の用法を近接未来完了と未来完了に分けるなどの工夫を加え、より充実させた。ただ新規の内容のほとんどは1年半前に『和文露訳指南』を出版して以来、本コーナーで紹介したものが主であることや、特に新規の売上も見込めそうもないし、製本で出版するとすれば、購入者の本名や住所、電話番号という個人情報を知らせてもらい、なおかつ振込による前払をお願いせざるを得ず、そうなると事務が煩雑になることも出版しない理由である。『和文露訳入門』自体が元々自分用だったので、その原点に戻ったということになる。

 出来上がった製本版は『和文露訳指南』に比べてA5版だが、活字が小さくなった。見開きが広くなったし、許容範囲だろう。表装もつや消しラミネート加工にしてもらった。ただこの製本を頼んだ後、大したことではないが、複合状況語に3行追加することになったりした。この調子で少しずつ増補して行くことになるのかもしれない。

出題)「私のパンチは空を切った」をロシア語にせよ。

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2016年01月23日

●和文露訳指南第380回

ロシア語で知り合いといいたければ、男ならзнакомыйで、女ならзнакомая、複数形はзнакомыеだが、複数の女性の知り合いと言いたければどういうのだろうか?最近ポーランドのSF作家スタニスワフ・レムСтанислав Лемの露訳された『パイロットピルクス物語Рассказы о пилоте Пирксе』と言う連作短編集を読んでいたら、знакомые женского полаという表現を見つけた。ご参考まで。

出題)「彼はかっとなって、善玉も悪玉も罰した」をロシア語にせよ。

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2016年01月24日

●和文露訳指南第381回

出来事という意味では、событие は社会的、個人的な出来事であり、случай は個人的な出来事、происшествиеは思いがけない事件、приключениеは思いがけない愉快な出来事、инцидентは不愉快な事件であり、историяは思いがけない、奇妙な事件、казусは思いがけない不愉快な事件を指す。

出題)「こういう人たちの心理的発達は(生後)6カ月で止っている」をロシア語にせよ。

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2016年01月29日

●和文露訳指南第382回

『和文露訳指南』10-3-1項を下記のように変更した。

日本語では特に複数という概念があまりないので、抽象名詞は単数と理解すればよいと思いがちである。ところが技術технологияは一般的に技術を意味するときは単数だが、何種類かの具体的な技術を意味するときは複数になり、これを種別の複数と言う。музыкаは音楽という意味では単数だが、吹奏楽や楽器という意味では複数が使える。抽象名詞でも一般的にその名詞について話し手が抽象性を意識すれば不可算に、具体性を意識すればするほど複数形が用いられる傾向にある。これが複数が不定性を示す可算名詞と具体性を示す抽象名詞との違いである。

出題)「彼は自分の解雇が合法かどうか法廷で争うようになった」をロシア語にせよ。

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2016年01月30日

●和文露訳指南第383回

техникаは相対的な技法で、приёмは個々の技法。фактураは芸術における技法を指す。

出題)「人が飛べたのだから、僕にもできる」をロシア語にせよ。

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2016年01月31日

●和文露訳指南第384回

デザイナーという意味では、дизайнерは工業デザイナーや建築デザイナーを指し、衣服のデザイナーはмодельерと言い、художник-оформительは包装紙など装飾関係のデザイナーを指す。

出題)「こういうことは百年に一度起こる」をロシア語にせよ。

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2016年02月05日

●和文露訳指南第385回

могとсмогの使い分けについては、『和文露訳指南』下巻にも書いたが、念のため、第383回の出題を例にとって解説する。

「人が飛べたのだから、僕にもできる」Другие летали - ну, и я смогу.

 мог летатьとしない方がよいのは、могが不完了体過去形のため、動作の有無の確認の用法であり、「できる状態にあった」という意味となり、実際に飛んだかどうかは分からないからである。смогなら結果の存続となり、飛ぶことができたとなる。ただсмог... смогуとなると、順次的用法となり、これまた出題とは違ってくる。これに対して、不定動詞なら能力の意味もあるし、その過去形は不完了体でもあるから、動作の有無の確認の意味にも使えるからベストの選択となろう。

出題)「その質問は彼の不意をついた」をロシア語にせよ。

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2016年02月06日

●和文露訳指南第386回

法律に用いられるо/обの面白い使い方を見つけたので紹介する。
Федеральный закон от 27 июля 2006 № 149-ФЗ «Об информации, информационных технологии и о защите информации»( 2006年7月27日付≪情報、情報技術および情報保護に関する≫連邦法 No. 149FZ)
 об/оを法律故に、かなり厳密に使い分けていることが分かる。

出題)「罷免された人物の名前は公表されなかった」をロシア語にせよ。

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2016年02月07日

●和文露訳指南第387回

更新がうまくゆかず、2回アップしないと更新できないので、出題の回答は今後aのついた回に投稿願う。
『ハリーポッター』シリーズのニセモノで、『ターニャ・グロッテル』Таня Гроттер, Емец(10巻)シリーズを読んでいて、今第5巻目である。第4巻ではドラゴンボールの試合で隠れ蓑を用いるチームのГурий Пупперというハリーポッターまがいが主人公のターニャに恋するなど、原作に対する安易な皮肉が多いが、ターニャの叔父で、ドラキュラの血を引くゲルマン一家の描写がかなり精彩を放っている。彼らのお相手も多重人格の物の怪とかユニークである。彼らは人間で人間界に住むが、彼らを主人公にしたシリーズを書いた方がよかったように思う。

出題)「彼らはかなりの額の脱税で起訴されていた」をロシア語にせよ。

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2016年09月22日

●和文露訳要覧第103回

私の父は徴兵され、北千島で整備兵だったときに、部隊全員がソ連の収容所送りとなり、バイカル湖の護岸工事に駆り出されたりしたが、運よく生きて帰国できた。そのためロシアやソ連に対しては複雑な思いがある。ロシア人と長く付き合っていると、酒の席などで領土問題などに触れざるを得ない場合もあり、日ソ中立条約破棄、収容所問題などもそうである。ソ連軍の背信行為などの話をすると、たいていのロシア人(モスクワやペテルブルグ出身者)はドイツ軍の残虐行為を語り、戦争はあってはならないという結論になるのだが、これがウラジオとかサハリン、極東出身者となると、シベリア出兵で何万のロシア人が巻き添えとなって虐殺されたかと逆襲される。1921年の尼港事件(ニコラエフスク・ナ・アムーレ)で700人の日本人(半数は駐留部隊で半数は民間人)が赤軍のパルチザンに虐殺されたことを持ち出しても、尼港事件では数千人のロシア人民間人も殺されたという事を祖父母から聞かされているなどという話を聞く羽目になる。尼港事件は赤色テロルの一環であり、その犠牲者にはロシア人のみならず、日本人もいたのである。
戦争直後日本人引き揚げ者がソ連の一方的被害者だったという我々の認識も、ロシア側にはロシア側の言い分があるということを、我々日ロ関係に従事する者は、双方の歴史的資料をよく読んでお互いの言い分をよく理解することが大切である。その一助になるのが、『ピコラエヴィッチ紙幣』(熊谷啓太郎、ダイヤモンド出版、2009年)である。尼港事件を背景にしたフィクションだが、一読の価値はあると思う。

出題)「エカチェリンブルグからバトンを受け取ったのはモスクワだった」をロシア語にせよ。

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