2014年10月22日
●和文露訳指南第75回
『和文露訳指南』2-1-8-10項結果存続の無効を現在の時制に移し、項目も3-1-12項結果存続無効と変更して、下記内容を出だしとして追記した。
結果存続無効аннулированность результатаという用法は、動作が現在とは関わりがないことを示すわけで、動作が過去の時制であることを明確にするのに一番簡単なのは、反復の意味ではない不完了体動詞過去形を用いることである。不完了体動詞過去形は仮定法を除けば過去の時制でしか用いられないという特性を持ち、動作の有無の確認の用法でよく使われる。不完了体動詞過去形はこの用法の他に、過去完了(過去の過去を示す)、過去進行形を示すが、3-1-7項の経験の用法のように現在の時制の文脈で回顧的に用いれば、過去完了とか、過去進行形と混乱することはない。対義語のある不完了体動詞過去形を使った2-1-3項も、反復や過程の用法でないことが明確ならこの用法が使える。完了体動詞過去形の用法の項で述べるアオリスト的用法と結果の存続は形が同じなので、区別するのは文脈しかない。その場合結果の存続ではないことをはっきりさせるためには、結果存続無効の用法を使うことになる。
(彼は田舎育ちだ)Он рос в деревне. <育ったのは田舎だが、大人になるまでいたかは分からないし、もう田舎にはいないというニュアンスである。ちなみに日本語の「育った」はアオリスト的用法、結果の存続、過去完了を意味する>
(彼は田舎で大人になった)Он вырос в деревне. <вырасти = стать взрослымであり、アオリスト的用法か結果の存続(まだ田舎にいる)かは文脈で判断せざるを得ず、結果の存続であれば、まだ田舎にいるとなり、日本語の「田舎育ちだ」というニュアンス(田舎にはもういない)と食い違ってくる。このロシア語文は動作が時間軸の一点であるような状況語か文脈がない限り、アオリスト的用法ではなく、結果の存続と理解するのが普通であり、その曖昧さを避けるには結果存続無効の用法を用いるべきである>
設問)「いつもの時間に家へと帰った」をロシア語にせよ。
В очередной час я
возвратился домой.
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очереднойというのは、定期的に反復する、定期的に反復することにおける次のということで、очередной скандалのように、いつものスキャンダルと訳せるものもありますが、お答えの「定期的に反復するときに」という語結合はないように思います。それとお答えは、帰宅した(家にたどりついた)ですから、出題(帰宅の途についた)とは違います。私の答えは、Уехали домой в обычный час.
Вернулся домой в обычное время.
アオリスト的用法としてсвとしました。よろしくお願いします。
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お答えだと帰宅したになります。
(お題)
いつもの時間に家へと帰った
(コーシカ訳)
Я вернулся (-лась) домой в обычное время.
常ならざる事態が起こり、その時の帰宅時間が話題になっていると考えました。
過去の具体的1回の動作で完了体過去です。
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お答えだと帰宅したになります。
В обычное время я возвратился домой.
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お答えも帰宅したになります。
「家へと向かった」という意味にとりました。
Я пошёл домой в обычное время.
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正解です。ただ、家に向かったというよりは、この場からいなくなって、家へ帰ったというのですから、уйти, уехатьを使ったほうがよいとは思います。
Он вернулся домой в обычное время.
アオリスト的用法(完了体動詞過去形)
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お答えは帰宅するになります。
Он пошел домой во всегдашнее время.
よろしくお願いします。
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всегдашний = постоянный, неизменныйですから違います。