2015年11月02日
●和文露訳指南第341回
処刑台という意味のэфшафот は断頭や絞首にもちいられ、плахаは断頭台である。
出題)「この席はふさがっていますと言って下さい」をロシア語にせよ。
2015年11月03日
●和文露訳指南第342回
しわはморщинаだが、складкаは深いしわ、皮膚のたるみを指す。
出題)「どんなニュースにも賞味期限がある」をロシア語にせよ。
2015年11月06日
●和文露訳指南第343回
完了体未来形は近接未来での、ないしは近接未来ではない未来での完遂を示すが、不完了体未来形は近接未来ではない未来の時制での、完遂に焦点を置かない動作を示すと言える。
出題)「誰かがこれについて尋ねるのを私は待っていた」をロシア語にせよ。
2015年11月07日
●和文露訳指南第344回
信号はсигналであり、交通信号機は светофор。
出題)「喜ぶのはまだ早い。ゲームはまだ終わっていない」をロシア語にせよ。
2015年11月08日
●和文露訳指南第345回
心理状態のпсихикаは個人の精神状態を指し、умонастроениеは集団のそれを指す。
出題)「報告の後彼らは僕に総立ちの拍手喝さい(スタンディングオベーション)をしてくれた」をロシア語にせよ。
2015年11月13日
●和文露訳指南第346回
スパイのうち、секретный агент は秘密エージェントで、шпион は国家的、ないしは警察のスパイであり、провокаторはある組織に潜入したスパイを指し、осведомительは内通者である。
出題)「両チームは向かい合って整列した」をロシア語にせよ。
2015年11月14日
●和文露訳指南第347回
スローガンという意味のлозунгはモットーでもあり、指導理念や要求を簡潔に表現したものであり、девизは振る舞いや活動を規定する標語である。Слоганという言葉も使われ始めた。
出題)「悪党は犯行現場で押さえないといけない」をロシア語にせよ。
2015年11月15日
●和文露訳指南第348回
工場での製造・生産にはпроизводствоやвыпускが使えるが、выпускは生産ラインから出てくるようなニュアンスである。добычаは鉱物資源などの採掘という意味である。
出題)「少女は指で鼻をつまんだ」をロシア語にせよ。
2015年11月20日
●和文露訳指南第349回
接点という意味では、точка соприкосновения は数学用語、人との接点ならконтактная точка, касательствоが使える。
出題)「二人の私がいる」をロシア語にせよ。
2015年11月21日
●和文露訳指南第350回
セットは書類、工具、機械、機械部品セット組みのセットという意味ではнаборとкомплектは同義だが、комплектには完全なセットという意味がある。家具、下着、寝具のセットはгарнитурで、活字のセット、機械部品はгарнитураと言い、映画のセットはпавильон、バレーボールのセットはпартияで、テニスのはсет、運動のトレーニングなどではподходを使う。
出題)「彼の安否が心配だ」をロシア語にせよ。
2015年11月22日
●和文露訳指南第351回
『和文露訳指南』に項目番号も含め、下記変更を加えた。
6-2-5-1 не мочь/не смочь, нельзяの用法
助動詞мочь(~できる状態にある)は現在の時制で、現在形では、現在における反復、慣用、性質を示し、смочь(できる)の完了体動詞未来形は一瞬後およびそれ以降の未来の具体的な1回の動作の可能性を示す。過去の時制でのそれぞれの用法をまず紹介する。смочьは完了体ゆえに、その過去形はアオリスト的用法(ないしはそこから派生した結果の存続〔うまくすることができた〕の用法が多い)で用いられる。一方мочьの不完了体の過去形は動作の有無の確認の用法であり、できる状態にあったということのみを述べているにすぎず、仮定法過去のような結果存続無効の用法(できたのにしなかった)という意味かもしれず、できたという意味かもしれない。какと共に用いて、不完了体の様態の用法として非難のニュアンスが出ることもある。
(負傷後すぐに怪我をした足で歩け(踏み出せ)ましたか?)Вы могли сразу после травмы наступать на повреждённую ногу? <歩ける状態にあったかという動作の有無の確認>
(私は切符を手に入れることができた)Я смог достать билет. <結果の存続>
(私は切符を手に入れることができる状態にあった)Я мог достать билет. <手に入れなかったのかもしれないし、手に入れることができたのかもしれない>
(どうやってこんな高いところに登って来られたのだい?)Как ты смог подняться на такую высоту? <結果の存続>
(よくも彼は私をだます事ができたものだ!)Как он мог обмануть меня! <動作の有無の確認から派生した、非難の用法>
(どうしてドイツ軍が1941年にモスクワに迫ることができたのか?)Почему немцы смогли вплотную подойти к Москве в 1941 году? <アオリスト的用法>
(1911年秋から学校に通うことができるようになって、1913年春に卒業しました)С осени 1911 года он смог ходить в школу и окончил ее весною 1913 года. <アオリスト的用法由来の大過去(過去完了の継続)>
смочь (суметь) は肯定文よりも否定文で使われることが多い。これに否定が関わると、次のような使い分けが出てくる。不許可や禁止については6-1-5項参照のこと。
(彼は来る状態にはない)Он не может прийти. <+ 完了体動詞不定形の場合は、一回の具体的動作のときで、現在の時点において来るのが不可能な状態にあるということ>
(彼は来られない)Он не сможет прийти. <+ 完了体動詞不定形の場合は、一回の具体的動作のときで、しかも未来の状況語がない時は、一瞬後の現在、ないしはそれ以降の未来の時制において「来る」という動作が不可能だという事>
(毎日学校に辞書をもって来ることはできない。とても重いんだ)Я не могу каждый день брать в школу словарь. Он очень тяжёлый. <今現在持って来れる状態にはない>
(〔これからは〕毎日お前と図書館に通うことはできない)Я не смогу каждый день ходить с тобой в библиотеку.
(彼はどんなバスケットボールの練習にも参加することはできなくなる)Он не будет в состоянии принимать участие в любых баскетбольных тренировках. <бытьの未来形 + 不完了体動詞不定形で、未来の時制の反復や状態の否定を示す>
「計画を立てるのを手伝ってくれ」Помоги мне составить план.
に対して、完了体不定形と不完了体不定形の答えがあり得る。
「今手伝うことはできない」Сейчас я не могу тебе помогать.
「今手伝うことはできない。すぐ出かけないといけないんだ」 Сейчас я не могу помочь: я должен срочно уходить.).
このように経過の意味のある動詞の時は、どちらの体の不定形も可能である。完了体動詞不定形だと新規の情報を伝える完了体の用法であることが分かる。しかもこの場合その後にуходитьと切迫性の不完了体動詞不定形が来ている。
(彼は来ないかもしれない)Он может не прийти. <否定の可能性>
(彼は来なくてよい、彼は来る必要がない)Он может не приходить. <不必要>
出題)「彼は着るものに無頓着だ」をロシア語にせよ。
2015年11月23日
●和文露訳指南第352回
『和文露訳指南』に下記変更を加えた。
4-1-2 予定の用法 → 不完了体動詞現在形
予定предстояниеの用法「~する、~するところだ、~することになっている」は理屈で考えれば未来進行形であり、不完了体未来形で示すはずのものであるが、近接未来ближайшее будущее(発話時点のすぐ後に続くか、発話時点と融合した未来)や実現の可能性がその場の状況下では非常に高い未来において、既存の動作の延長上にある動作の継続が意識されるため、不完了体現在形を用いる。一方不完了体未来形は現在とはつながりのないと話し手の考える未来の時制における動作の有無の確認(4-1-1-1項参照)に使われるのが普通である。
出題)「その気になれば何でもできる」をロシア語にせよ。
2015年11月28日
●和文露訳指南第353回
『和文露訳指南』に下記変更を加えた。
4-1-1-9 если, когдаと未来進行形
когдаやесли以下の従属節に不完了体動詞未来形が、主節に完了体動詞が来る時は、従属節に未来の過程(経過)の意味が出てくるし、二つの動作が何ら拘束し合わずに、時間的に共存する動作を示すことができるので、広く使われる用法である。未来における反復については5-1-6項も参照願う。
(映画館のそばを通る時に、明日の切符を買いましょう)Когда мы будем идти мимо кинотеатра, мы купим билеты на завтра.
(貯水池のそばを車で通る時に、一休みするのに素晴らしい場所を教えてあげますよ)Когда мы будем ехать мимо водохранилища, я покажу вам прекрасное место для отдыха.
(帰るときは、ガスを消して下さい)Когда вы будете уходить, выключите газ.
(その専門家の病気の期間が60日以上となる場合には、その専門家を交代させる措置を取ります)В случае, если период болезни специалиста будет длиться более 60 дней, мы примем меры по замене данного специалиста.
(もしこの方法を使うのが初めてなら、CDをドライブに入れなさい)Если будете использовать это средство впервые, вставьте компакт-диск в привод.
出題)「どうしてその写真はピンボケになったのか?」をロシア語にせよ。
2015年11月29日
●和文露訳指南第354回
『英文法のエッセンス』(江藤裕之、大修館書店、2015年)を読んだ。英文法の本質を分かりやすく説明した好著である。現在形(過去形)は現在(過去)の客観的事実に加え、話者が事実と考えていることも含むものを示すとか、未来には事実がなく、主観的な想定を示すためwillを使い、それがとりわけ意志を示す事なるなど、分かりやすく説明されている。動作動詞の現在形は習慣的な事実(ふつうのこと)を、現在進行形は一時的な事実(そのときのこと)を示し、状態動詞は恒常的事実(いつものこと)を示すという説明にも感心した。高校のときにこういう本に出合えれば、私のように理詰めに文法に取り組む学習者には、ロシア語文法を極める上でも、大いに助けになったろうと思われる。みなさんにもお勧めする。
ただ、和訳で未来を示すのに推測の「~だろう」を使うなど、学校英文法の欠点が踏襲されているが、これは日本語の特徴である非過去(現在と未来)を分けて英語との違いを学習者に理解させるためには、やむを得ないことなのだろう。それと、When it rains tomorrow, I will stay at home.を露訳すれば、従属節は不完了体未来形になるが、英語では従属節が現在形になるのを、「明日雨が降るという事実を仮に想定しているので現在形を用いる」というのは、これは時制の例外であるとする説明よりはましだとは思うが、かなり苦しいように思う。この点は同じインド・ヨーロッパ語族とは言え、ロシア語の方が論理的である。
出題)「低気圧はサハリンからオホーツク海へ向きを変えつつある」をロシア語にせよ。