2016年01月01日
●和文露訳指南第370回
鋳造はлитьёだが、貨幣鋳造はчеканкаという。硬貨を製造することを「鋳造」すると表現するが、現在の硬貨は全て打刻(打製)である。つまり、圧延した金属板を丸く型抜きした平金を作り、これに刻印を打ち付けて製造するので鋳造ではない。
出題)「危うく火事になるところだった」をロシア語にせよ。
2016年01月02日
●和文露訳指南第371回
チューブという意味のтубаはワセリン、絵の具用など大型のチューブで金属製であり、その指小形тюбикは金属性もプラスチック製もある。車や自転車の空気の入ったチューブはкамераとかбалллон(タイヤと言う意味もある)。
出題)「このような式を執り行うことは初めてでございますので、至らぬところがございましても、何卒御寛恕願います」をロシア語にせよ。
2016年01月03日
●和文露訳指南第372回
兆候という意味では、признакが一般的な語であり、приметыは人の外見の特徴を指し、複数形で現象の外見的特徴を示す。знакは何かの状況の存在や到来を指すが、現代語ではあまり使われない。симптомは医学用語である。
出題)「損得なしだ」をロシア語にせよ。
2016年01月08日
●和文露訳指南第373回
小説や映画などにおける悪魔の描写というのは、善との対比として描かれることが多い。つまり善と相容れないものが悪で、それを悪魔が信奉しているというものである。しかし、考えてみると悪というのはそれほど単純なものではないような気がする。
1) 善との対比としての悪
2) 天の邪鬼のようなもので、人の言う事、することの反対をすることであり、善の場合もあり得る。
3) 天衣無縫、つまりアナーキスト的考えで、善悪をまったく考慮しないので、善の場合もあり得る。
4) サディズム、人の苦しむのを見て喜びを得る。
5) マゾヒズム、人に自分の苦しみを見せて喜びを得るもので、見せられた人は不快を感じる。サディストがマゾヒストが苦しむのを見ても、何とも思わないか、偽の苦しみに怒りを覚えるだけだろう。
6) 自分と異なる考え方を全く認めない原理主義的立場で、その立場に立つ人にとっては自分の考え方は善そのものである。
出題)「彼女は年相応に見える」をロシア語にせよ。
2016年01月09日
●和文露訳指南第374回
追跡という意味では、погоняは逃亡した人やなくなったものを探索して追跡することであり、преследованиеは追跡そのもの、またотслеживаниеは工学用語である。
出題)「こうなったらほとぼりの冷めるのを待たなくてはならない」をロシア語にせよ。
2016年01月10日
●和文露訳指南第375回
工場などの通路はпроход、マンションなどの各階の通路はоткрытая галерея。
出題)「ついてこないで。一人にならなくちゃいけないの」をロシア語にせよ。
2016年01月11日
●和文露訳指南第376回
тростьは歩行のための杖で、палкаも同様だが、тростьの方が細い。посохは長い杖、ないしは先端が曲がっているか、球のような取っ手のついているもの。крюкаは先端が鉤のように曲がった杖。
出題)「彼は私の前にすでに7回も婚約していた」をロシア語にせよ。
2016年01月16日
●和文露訳指南第377回
やまさんの指摘により第370回回答にタイプミスがあったので、Едва пожара не было! と訂正します。間違いの指摘があれば、チェックし、間違いがあれば即訂正いたします。ご迷惑をおかけしました。
出題)「僕を信じてくれなくて結構」をロシア語にせよ。
2016年01月17日
●和文露訳指南第378回
次のという意味では、следующийが一般的だが、定期的に発生するもの対してはочереднойも使える。
出題)「彼はそっちではなく、ホールと反対方向に曲がった」をロシア語にせよ。
2016年01月20日
●和文露訳指南第379回
非売品として『和文露訳要覧』(上巻306頁、下巻296頁)の製本したセットがようやく届いた。6セット(上下巻)注文し、自分用に1セット、残りの5セットはお世話になった方々に献呈した。DLmarketがPDF化サービス(+ しおり作成)を止めてしまい、製本サービスも1冊当たり今のところ200頁までなので、別のところにPDF化(しおり機能なし)と製本を依頼した次第。『和文露訳要覧』は『和文露訳指南』と比べ、体の用法について、より首尾一貫した説明を持たせるよう配慮するなどしたため、全体で50頁ほど増補し、例文を入れ替えたり、似たような例文を削ったり、新たに追加したり、誤植を訂正したりして、総ページ数も600ページ余となり、初版の倍を超えた。和文露訳で見過ごされることの多い動作の否定、複文、完遂の用法を近接未来完了と未来完了に分けるなどの工夫を加え、より充実させた。ただ新規の内容のほとんどは1年半前に『和文露訳指南』を出版して以来、本コーナーで紹介したものが主であることや、特に新規の売上も見込めそうもないし、製本で出版するとすれば、購入者の本名や住所、電話番号という個人情報を知らせてもらい、なおかつ振込による前払をお願いせざるを得ず、そうなると事務が煩雑になることも出版しない理由である。『和文露訳入門』自体が元々自分用だったので、その原点に戻ったということになる。
出来上がった製本版は『和文露訳指南』に比べてA5版だが、活字が小さくなった。見開きが広くなったし、許容範囲だろう。表装もつや消しラミネート加工にしてもらった。ただこの製本を頼んだ後、大したことではないが、複合状況語に3行追加することになったりした。この調子で少しずつ増補して行くことになるのかもしれない。
出題)「私のパンチは空を切った」をロシア語にせよ。
2016年01月23日
●和文露訳指南第380回
ロシア語で知り合いといいたければ、男ならзнакомыйで、女ならзнакомая、複数形はзнакомыеだが、複数の女性の知り合いと言いたければどういうのだろうか?最近ポーランドのSF作家スタニスワフ・レムСтанислав Лемの露訳された『パイロットピルクス物語Рассказы о пилоте Пирксе』と言う連作短編集を読んでいたら、знакомые женского полаという表現を見つけた。ご参考まで。
出題)「彼はかっとなって、善玉も悪玉も罰した」をロシア語にせよ。
2016年01月24日
●和文露訳指南第381回
出来事という意味では、событие は社会的、個人的な出来事であり、случай は個人的な出来事、происшествиеは思いがけない事件、приключениеは思いがけない愉快な出来事、инцидентは不愉快な事件であり、историяは思いがけない、奇妙な事件、казусは思いがけない不愉快な事件を指す。
出題)「こういう人たちの心理的発達は(生後)6カ月で止っている」をロシア語にせよ。
2016年01月29日
●和文露訳指南第382回
『和文露訳指南』10-3-1項を下記のように変更した。
日本語では特に複数という概念があまりないので、抽象名詞は単数と理解すればよいと思いがちである。ところが技術технологияは一般的に技術を意味するときは単数だが、何種類かの具体的な技術を意味するときは複数になり、これを種別の複数と言う。музыкаは音楽という意味では単数だが、吹奏楽や楽器という意味では複数が使える。抽象名詞でも一般的にその名詞について話し手が抽象性を意識すれば不可算に、具体性を意識すればするほど複数形が用いられる傾向にある。これが複数が不定性を示す可算名詞と具体性を示す抽象名詞との違いである。
出題)「彼は自分の解雇が合法かどうか法廷で争うようになった」をロシア語にせよ。
2016年01月30日
●和文露訳指南第383回
техникаは相対的な技法で、приёмは個々の技法。фактураは芸術における技法を指す。
出題)「人が飛べたのだから、僕にもできる」をロシア語にせよ。