2012年04月29日

●和文解釈入門 第347回

「お入りなさい」はВойдите!とВходите!が両方可能であることは、第192回の回答のところに「ラスードヴァ先生の参考書133ページおよび134ページには、Услышав стук в дверь, обычно говорят Войдите!, давая разрешение войти. За глаголом входите закрепляется значение приглашения.」と書いておいた。完了体が許可で、不完了体が招待と解される。また広義の運動の動詞(定動詞や不定動詞のみならず、接頭辞のついたものも含めるという意味で)はムラヴィヨーヴァ先生も同じことを書いている。しかし、これも語義によるのではないかという気がする。この反対のвыйдите/выходитеはどうだろう。圧倒的にвыходитеが多いだろう。考えるに、入るのは、新しい事態の生起(これまで新規の動作としてきたがボンダルコБондарко先生の用語возникновение новой ситуацииを今後使う事にした)として考えやすいが、出るという動作は、普通は入らなければ、出られないという語義上の制約がある。つまり入ってしまえば、出るということは必然である。そうなるともともと新規に出るという発想は出にくいと思う。映画の題名にШпион, выйди вон!(スパイよ、出ていけ)というのがあるが、これとか喧嘩になって、外に出ろというような、出ることをあらかじめ想定しない状況でなければ使えないと思う。今後は文脈だけではなく、動詞の語義、もっというと多義語の動詞はその一つ一つの語義に合わせて、その語義を使うときに体の用法がある程度決まるという事が言える。つまりこの動詞であれば、普通は(一般的には)この体が多く使われるという事が、ロシア人がこう使うということではなく、上記のような論理的に導き出せるという事が言えるのではないかと思う。

設問)「日が短く(長く)なってきました」をロシア語にせよ。

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●和文解釈入門 第346回

刺身のつまのような動詞自体に論理的なアクセントが来ない文、つまり補語、状況語、疑問詞に意味の焦点があるような文には不完了体が来ると説明した。それを短絡的に疑問詞があれば不完了体が来ると誤解してはいけない。疑問詞があっても、例えば過去の時制で動詞に意味上の主体があれば、つまりアオリストや結果の現存のニュアンスがあれば、完了体が来る。
Кто написал этот роман?(この長編小説を書いたのは誰ですか?)
Посылку получил (получал) Миша.(小包を受け取ったのはミーシャです)
完了体過去形なら動作主(つまり小包の受取人)がミーシャだという事を示し、不完了体過去形なら取りに行った(受取人かどうか別にして受け取った)のはミーシャだという事を示していることになる。

 このような場合、動詞によっては完了体過去形しか来ない動詞もある。結果の現存に深く結び付いているような動詞、例えば瞬間動詞(забыть, потерять, разбить, сломать, убить, ударить, уронитьなど瞬時の移行・変化を示す動詞)は完了体を取る。
Кто (Когда) ты разбил чашку?(誰が〔いつ〕茶碗を割ったの?)

設問)「どのくらい前から痛みがありますか?」をロシア語にせよ。

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●和文解釈入門 第345回

予定の意味で使う不完了体の動詞はあたかも全ての動詞が遠い未来(1年後でも)使えるように書いたが、どうも違うのではないかと考えるにいたった。そのような遠い未来で使える動詞は、スケジュールに書かれるなどの文脈でせいぜいехать, лететь, уезжатьぐらいだろう。また動詞によっては近接未来(すぐ後といった感じのごく近い未来)でしか、文例がないような動詞もあるので、ここに整理して書いて見る。

 現在確認されているこの用法が使える動詞群は、一部の不完了体運動の動詞(定動詞のうち7つидти, ехать, бежать, лететь, нести, вести, везтиやбрать, возвращаться, встречать, встречаться, завтракать, заказывать, заканчиваться, начинать, начинаться, обедать, отправляться, переезжать, переходить, получать, поступать, посылать, приступать, сдавать(「試験を受ける」という意味のみ), ужинать, уезжать, улетать, уходитьであり、このほかにアナウンスなど硬い表現で使われるものには、вылетать, отплывать, отходить(バス、汽車、船の出発), отъезжать, прибывать(船、汽車の到着), приходить(船の到着)が、文脈によっては(近接未来〔すぐ後といったごく近い未来〕の動作に関して)выезжать, выступать, выходить, гулять, давать, ждать, заниматься, запрещаться, играть, истекать, кутить, пить, руководить, останавливаться, отменяться, передавать(放送するという意味で), пировать, следовать(向かう), стоять(停車するという意味で), участвовать (принимать участие) が現在形で予定を示す。これらの動詞は数は少ないが、日常で使われる頻度が非常に高い動詞群であり、スケジュールに従ってというニュアンスからビジネスや観光案内などで多用される。スポーツ、音楽などで使われるаккомпанировать, бить, выполнять, дирижировать, кататься, метать, опускать, петь, плыть, подавать(サーブするという意味で), поднимать, применять, проводить, проводиться, проходить, разыгрывать, совершать, соревноваться, судить, толкать, танцевать, тренироваться, удаляться, фехтоватьも新しい事態の生起という動作を強調するという事でなければ、近接未来の予定の意味で使える。

 1年後でも予定に入っているという事なら使えるが、そういう場合ここに挙げた全ての動詞が使えるわけではなく、ехать, лететь, уезжатьぐらいではないかと思う。このような比較的遠い未来ではそれほど使われないというのは、この用法が過程の意味から発達してきたという事を考えると理解できる。

設問)「この薬剤を服用するとめまい、発疹が出ることがあるとこの患者に言っておいてください」をロシア語にせよ。

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2012年04月28日

●和文解釈入門 第344回

体の用法を勉強するときに、入門編として読んだ方がよいのは、「ロシア語の体の用法」(原求作、水声社、1996年)である。著者が体の用法を十分消化して、自分の言葉で説明が分かりやすく難解な体の用法を説明しているからである。難を言えば、現在時制の説明があまりないのと、露文解釈用の説明であり、会話における和文露訳に使うには、これでは理解しにくいところも出てくる。結局最後にたどりつくのは、「ロシア語動詞 体の用法」(ラスードヴァ著、磯谷孝訳編、吾妻書房、1975年)なのだが、訳が非常に良いとは言え、日本人学習者向けに書かれた本ではないために、会話における和文露訳用に活用する上では読みこなすのが大変である。訳者の意識の重点も露文解釈であり、これを会話における和文露訳に活用するにはひと工夫も二工夫も要る。磯谷先生のこの本にある序文や、「演習ロシア語動詞の体」(磯谷孝編著、吾妻書房、1977年)もその理解には大いに助けになるとはいえ、十分ではない。

 一般の学習者の手に入る体の用法の参考書はそれほど多くはない。体の研究の現状を知る上で大いに参考になるのは、「ロシア語のアスペクト」(林田理恵、南雲フェニックス社、2007年)である。第6章の特殊疑問文におけるアスペクト的意味と機能が特によい。ただ全般的に説明が結果の現存に比重が置かれているようで、動作の名指しについてが弱いという感じを受けるのと、使われている例文には通俗小説の会話文も用いられて、それなりに工夫されていることは認めるが、小説の会話文というのは、一般のロシア人が使うありふれた会話とは違う。例えば、「~をご注文なさいますか?」などというレストラン、駅などで使う会話についての例もないし、その分析もない。そのため標準ロシア語という観点から見れば、それでよいのだろうが、通訳やガイドといったプロのみならず、ロシア語でロシア人と日常的に会話する人に、どういった体を使うべきなのかという具体的な示唆に乏しいという事は言える。

 無論、そういう趣旨の博士論文ではないことは認めるにせよ、ロシア語を会話で使うために、どんな初心者だって、どの体を使うべきか、決めなければならず、それを従来のような文例の丸暗記に求めるのは非科学的である。日常的な会話のみならず、ビジネスにおける交渉の場でもКак будет осуществляться оплата поставок оборудования?(設備納入の支払はどのようになされるのですか?)というような完了体未来形ではなく、不完了体未来形で使われることがあるわけで(この場合はкакに論理的アクセントがあるから、完了体未来形は来ないと思う)、我々通訳にはこういうロシア語を耳で聞いて日本語に訳すという比較的単純な作業もあるが、自分でのこの日本語からロシア語にするときにどの体を選ぶかを通訳をするときに常に選択をしなければならないというのも日常の現実である。

 本書の62ページにグラヴィンスカヤ先生の説として完了体と不完了体の体の対立という観点から動詞の分類を4つ挙げて解説しており、皆様にも役に立つと思うので、自分風に咀嚼して、簡単に書いておく。

1) 限界達成型
надевать/надетьなどで、完了体は限界点(服を着てしまう)という動作の終了があり、不完了体はその限界点への過程を示す。возникать/возникнуть, входить/войти, выздоравливать/выздороветь, высыхать/высохнуть, переставать/перестать, подходить, подойти, строить/построитьなど。
2) 非限界型
限界のない状態変化や働きかけの動詞、限界のない過程を示すと考えてもよい。увеличивать/увеличить, улучшаться/улучшитьсяなど。
3) 意識的働きかけの動詞
結果は完了体においては瞬時に達成されるが、不完了体においては結果達成への努力・試みを示す。ловить/поймать, решить/решатьなど。
4) 状態、位置、関係、感情の動詞
a) 不完了体はある状態にあるという状態の意味を、完了体においてはある状態に入るという動作を示す。болеть/заболеть, волноваться/взволноваться, заниматься/ханяться, обижаться/обидеться, обнимать/обнятьなど。
b) 不完了体はある状態にあるという状態の意味を、完了体はある状態に入り、一定期間その状態や関係にあり、その状態、関係であることを止める。благодарить/поблагодарить, говорить/сказать, касаться/коснуться, отвечать/ответить, просить/попросить, трогать/тронутьなどである。

 不完了体から上記のリストを見れば1)~3)は過程の動詞の類別であり、4)は状態の動詞ということになる。しかし、4)-b)の不完了体については状態の動詞ではないと思われる。проситьにせよ、動作が始まって、動作が終了するわけだから、「ある状態にある」ということではなく、これは動作遂行型の動詞のはずだ。例として、Студент отвечает на экзамене белстяще.(その生徒は試験でとてもよく答えている)とあるが、繰り返しでない以上、動作に「答えている」という状態はあり得ない。答える動作を開始して終了するのだが、それが「見事に答えている」ということなはずだ。касаться/трогатьсяはこの説明と合うが、それ以外の動詞は動作遂行型の動詞だと思われる。多分グラヴィンスカヤ先生もそういう意味で、4)を二つに分けているのだと思われる。

設問)「外科手術をしなくとも治療上効果はある」をロシア語にせよ。

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2012年04月27日

●和文解釈入門 第343回

会話における和文露訳用のロシア語の具体的な授業の進め方を書いて見る。体の用法と単数・複数の使い分けから始める。これらは参考書を読んでも理解しにくいところだからである。体の用法では、まず不完了体現在形の予定の用法に重点をおく。これが出来れば会話がかなり楽になるし、実戦的でもあるからである。ビジネスマンではなくとも、「交渉に行く」という現在形が、予定の意味の未来でも使えることと、運動の動詞(全部ではなく定動詞と不定動詞のうちのидти, ходить, ехатьだけ)を徹底的に教えるわけである。いずれにせよこのコーナーで提示してあるような日常で使える例文を示して暗記させるようにする。その後、完了体未来形との意味の違い、動作の有無の確認を例文中心に教える。過去の時制におけるアオリストと結果の現存、動作の有無の確認に進む。「イワノフさんがいらっしゃいました」をどう訳すかという事を中心に体の用法を学ぶのである。その結果の現存について被動形の過去の短語尾の用法についても触れる。これを従来のように不完了体現在形の繰り返しとか、動作の一般化という常識的なことばかり繰り返させても、実戦的な会話には何の役にも立たないからである。

 その後、どのくらい(時間的、数量的)、いつから始まるのか、どこにという疑問詞のついた疑問文について教え、前回の設問のような「~はありますか」という構文を中心に、単数と複数の使い分けを理解させる。こうすれば実践的な会話にもすぐ応用できることになる。

 日本語とロシア語との違いと似た表現を、具体例を上げて覚えさせれば、その例文が実戦で力を発揮することになるし、後に自学自習をするときの踏み台となるはずである。

設問)「治療の結果は思っていたほどよくはない」をロシア語にせよ。

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2012年04月26日

●和文解釈入門 第342回

高校の頃正月は郵便局で年賀はがきを配達するアルバイトをした。そのときに1年上の工業高校の人と知り合いになった。なかなかハンサムな人で、ギターなども引き、家には車もあるというような恵まれた家庭の人だった。私は函館中部高校で、公立では函館で一番いいとされていた高校に通っていた。その人がどこの高校かというので、中部ですといったら、「中部に行くような人に俺らの気持ちは分からないよ」と言われた。この人はユーモアのある人で、応答から判断する限り非常に頭の回転が速そうな人だったが、こういう人でも変なコンプレックスがあるのだなと思ったことを未だに覚えている。当時の私にとっては車があるというのは金持ちで、それだけで格差を感じており、大学で一人暮らしをするまでは自分の部屋というようなものはなかったから、自分一人の部屋を持っているこの人のことを考えると、上を見ればきりがない、下を見ればきりがないと思う。コンプレックスもいろいろだし、プラスにもマイナスにも働くわけで、この人はこの人でどんな人生を歩んでいるのだろう?

設問)「その他何かお困りのこととか、ご要望がありますか?」をロシア語にせよ。

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2012年04月25日

●和文解釈入門 第341回

未来時制における第300回のb) 意向の提示(「意向」改め)という用法については、やや誤解を招きかねないというか、実際に使うに当たって、その指針に曖昧な点があるように思われるので、整理して書いて見る。

 対象になるのは未来時制における単一(繰り返しではない)の動作の伝達である。完了体未来形を用いるのが一般的と思われているが、これに不完了体未来形(быть動詞の未来形 + 不完了体不定形)の組み合わせを用いることができる。ただ完了体未来形と不完了体未来形と用法の違いというものはある。そのときに考えなければいけないのは、不完了体そのものの特性である。この意向の提示という用法は過去の時制における動作の有無の確認という用法から発展したものだが、過去時制で広く使われるこの用法は、未来時制においては使用の制限があるということをまず理解してほしい。これは文脈だけに依存するのではなく、動詞の語義にも関係するのである。同じ文でも過去時制に事実の有無の確認に不完了体が用いられる場合、未来時制では体が入れ替わることがあるからである。(私は教授に会った)Я видел профессора.と(教授に会います)Я увижу профессора. や、(私は彼の意見を知っていた)Я знал его мнение. と(彼の意見を聞いてみます)Я узнаю его мнение. などである。

a) 未来時制の動作の有無の確認(動作の名指し)に使える不完了体動詞(動詞の語義による)
 この用法が使えるものは、まず第一に、無接頭辞単純動詞(гулять, делать, жить, играть, писать, пить, строить, читатьなど)である。これらは比較的自由に使える。第二は動作の過程、持続性、延長性を示すことのできる動詞で、語義に瞬時的移動・変化を示すようなものを含むものは使えない。例えば、получатьは具体的なものを受け取る(ないしは「叱られるполучить выговор」など)という意味では、動作が一気に終わる(過程ではない)のでこの用法は使えないが、特典を得る、交付を受けるというようなある程度過程のニュアンスがある語義の時は使える。даватьは過程の意味では用いないのでこの用法には使えない。захватыватьも未来時制では「つかむ、とらえる」という繰り返しの動作(過程、持続性、延長性を考慮しない動作)を示すのでこの用法では使えず、完了体のзахватитьを使う事になる。

b) 未来時制において動作の有無の確認(動作の名指し)の意味で使えない不完了体動詞
・状態の変化・発生を示す動詞 освождаться, преобращаться, становиться
 未来における過程の意味では使える。
(有料教育はますます高くなってゆく)Платное образование будет становиться всё более дорогим.
・瞬間的に成立する動作 брать, давать, изобретать, находить, получать
・無意識にもたらされる否定的結果を示すもの лишаться, ломать, разбивать, ронять, терять
・繰り返しのきかない単一的動作、意志的、非目的志向動作を示す動詞 видеть, выздоравливать, вылечиваться, погибать, поправляться, простужаться, рождаться, умирать, упадать
・広義の運動の動詞(定動詞・不定動詞のみならず、接頭辞のついた運動の動詞)の不完了体
 始発という概念自体は3つの解釈が可能である。一つは新たな事態の生起で、この意味をは完了体が担っている。もう一つは予定、3つ目は動作の着手という回りの状況や雰囲気により行われるもので、後の二つは不完了体の領域である。
 露露辞典にはпойти/поехатьには別項目を立て、それぞれначать идти/начать ехатьと語義を与えている。つまりидти/ехатьには新たな事態の生起という意味での始発の意味はない。「行く」という一般的事実の意味か、過程の意味だけである。だからбытьの未来形 + идти (ехать)を使う場合に、例えば「薬局に行って来る」(新規の事柄、新たな事態の生起を示す)という露訳に、いきなりЯ буду идти в аптеку. とは使えないのである。これは完了体未来形にしないといけない。(薬局まで行って来る。薬局までは歩いて15分だ)Я пойду в аптеку. До аптеки я буду идти 15 минут. 2番目の文の不完了体未来形は意味の主体を担っておらず、いわば刺身のつまのような用法だから不完了体を使うのである。ただ同じ始発でも予定であれば、それは不完了体現在形で示すことができ、(1時間後に薬局に歩いてゆく)Я иду в аптеку через час.となる。
 при-という接頭辞のつく運動の動詞は過程の意味がないので、この用法では使えないが、(お降りになりますか?)Вы будете выходить? という動作の確認の有無の用法のвыходитьや、(多分、年の暮れはあなたが会社から最後にかえりことになります)Возможно, накануне Нового года вы будете уходить с работы последним. という動詞に文の中心的意味の来ない用法のуходитьはこの用法で使える。

c) 疑問文における動作の有無の確認
 動作の有無の確認というのは、その動作をするかどうか尋ねるわけだから疑問文に出やすい。つまり疑問文で動作の有無を尋ねる(するかしないかを問う)時はこの用法を使うべきだ。これに完了体を使うと、叙想的ニュアンス(期待、懸念など主観的な感情)が感じられる。不完了体は叙実的(事実に密着して,それを客観的に描こうとする)ニュアンスだからである。しかし、実現されていない動作が問題となっている以上、不完了体未来形にも意図というニュアンスが出てくるのは当然である。
(〔地下鉄などで〕下りますか?)Вы будете выходить?
 現実的には地下鉄において動作の有無を尋ねるというよりは、予定のВы выходите?という会話が圧倒的に多い。車両の出口のそばに立っていたら下りるのは当然と考えるのが普通だからだ。
(お座りになりますか?)Вы будете садиться?
(お迎えが来ますか?)Вас будут встречать?
 выходить, садитьсяにしても語義に過程的ニュアンスがあるから用いられるのであろう。

d) 動詞が主体的意味を担わない用法(刺身のつまのような用法)
 過去時制の不完了体ではよく見られるが、未来時制にもある。動詞自体に論理的アクセント来ないような文、つまり文の中に「どのように」というような様態を示す語句か、疑問詞が来れば、意味の主体を担わないという事で不完了体が使われることになる。この用法をよく示すものとしてещёとの組み合わせがある。この副詞があることで、繰り返しを暗示しているわけだから、言外に同じ動詞を二度使う、もっと言うと表面に出てくる動詞は2度目の動詞ということで不完了体が出てくると言う事が言える。これは過去時制においてужеやоднаждыがあれば、動作の有無の確認を補強してくれるのと同じ発想である。
(何に乗ってお出かけですか?)На чём вы будете ехать?
(だれが歌い始めるのですか?)Кто будет начинать песню?
(注意して作文を写します)Я буду внимательно переписывать сочинение.
(まだあなたに反論しますよ)Я ещё буду возражать вам.
(何を変えることができるかさらに調べてみます)Мы ещё будем узнавать, что можно изменить.
(夜もう一度薬を飲みます)Я буду ещё раз принимать лекарство вечером.

e) 両方の体がほぼ同じ意味で使える場合
 平叙文においては不完了体未来形の動作の名指しと完了体未来形の具体的単一動作の実現の区別がつかない場合もある。「彼に明日電話する」をЯ позвоню ему завтра.やЯ буду звонить ему завтра.としたり、「助けてくれるよう彼に頼もう」をМы попросим его помочь нам.やМы будем просить его помочь нам.としてもニュアンスを別にすれば意味は変わらない。不完了体の方が口語的というだけである。しかし単一動作の伝達という行為自体が、一つの点となるような動作(過程を意味しない一気に終了するような動作)が多いために、完了体を使う方が多いようである。単一動作の伝達は文脈によっては意図(意志)の意味になりやすいという事は言えるが、はっきりと意図であることを示したいのなら、собираться, намеренなどを用いた方が誤解が少ない。(建設現場への救急手配はどうするつもりですか?)Как вы собираетесь организовать первую медицинскую помощь на площадку?

 上記のように両方の体が使えるのは、動作が始まって終わるというニュアンスのある動詞である。始まりだけとか、終わりだけを意味するとか、過程を示すような動詞は両方の体はほぼ同じ意味では使えない。писать, обедатьなどは可能である。つまり、第300回の表ではзвонить/позвонитьとписать/написатьの動詞群の中に語義を見る限り、ほとんどが当てはまるということになる。
начать/начинатьとкончить/кончатьのように始めと終わりを示す動詞は、完了体が具体的1回の動作を示し(新しい事態の生起)、不完了体は動作の着手、ないしはそれから派生する意志の用法となり、ニュアンスがかなり変わる。
Завтра я буду писать письмо домой.(書くつもりです)
Завтора я напишу письмо домой.(書きます)

Я кончу работу.(仕事を終える) - 新しい事態の生起。
Я буду кончать работу.(仕事を終えるつもりだ) - 動作の着手ないしは意志の用法。

f) 動作の着手(意志)
 不定的な持続的な過程を示すのであれば、動作の着手にも不完了体未来形が使える。これは不完了体の機能の一つで命令法に現れやすいが、未来の時制でも示すことができる。一人称の場合は動作の着手から派生して意志のニュアンスが出やすい。始発といっても、新たな事態の生起ではない、状況に身をゆだねた形での始発である。
(じゃあ集会を始めよう)Ну, будем начинать собрание!
(そう願いたいものですLet's hope so.)Будем надеяться!
(その辞典は近日発売される)Словарь будет продаваться в ближайшие дни.
(問題を出します)Я буду задавать вопросы.
(来月エニセイ川に水力発電所を建設します)В следующем месяце мы будем строить ГЭС на Энисее.
(いただきます)Я буду есть.

g) 未来時制においてесли, когдаに導かれる複文での時間にとらわれない一般的事実の表示
 命令法の促しという用法に似ている。この用法にはa) で使えないとされた動詞も一般的事実の意味ということで用いることができる。例えば、(もしこの方法を使うのが初めてなら、CDをドライブに入れなさい)Если будете использовать это средство впервые, вставьте компакт-диск в привод. という文ではеслиと一緒だと一般的事実の意味が出てくるし、不完了体の未来形では、二つの動作が何ら拘束し合わずに、時間的に共存する動作が名指しされていて、広く使われる用法である。これを完了体未来形にした(もしレバーを右にいっぱい回すと、目盛には緑色が光ります)Если вы повернёте ручку направо до отказа, на шкале вспыхнет зелёный свет.では、повернётеという動作が実現してからвспыхнетという動作が成立する、しかも最初の動作と次の動作が(あまり間をおかずに)行われるという動作の順次性が示されている。この使い分けは、二つの文の時間的関係である。次々と動作が起こるのであれば、完了体を続けることになるし、時間的拘束がなければ、если, когдаを含む節ではбытьの未来形 + 不完了体不定形を使う事になる。
(映画館のそばを通る時に、明日の切符を買います)Когда мы будем идти мимо кинотеатра, мы купим билеты на завтра.

 最初に書いたように、この回では未来における繰り返しを扱っていない。上記で使えないと書いた不完了体未来形は繰り返しで使える。(2030年までに喫煙で毎年1千万人が死ぬ)К 2030г. от курения ежегодно будет умирать 10 млн человек.

 体の用法を考えるときに、動作の有無の確認か、予定か、意志かをロシア語で区別することはできるが、動詞の持つ意義によってはその現れ方が偏って出てくることはある。土産店で、「その人形をお求めになりますか?」という問いを露訳するときに、まず誰がその問いを発するのかという問題がある。ついているガイドがロシア人観光客にということなら、Вы берёте куклу? とбратьの予定の用法で現在形が来る可能性が高い。しかし、売り子なら、買って欲しいという期待があるのが普通だから、Вы возьмёте куклу?となるはずだ。しかも、братьの動作は「買う」という意味というよりは、動詞の持つイメージから「つかんで持ち去る(「もらう」と訳した方が日本語の口語的なニュアンスが出るかもしれないが)」という一点となる動作なので、この語義でのбратьをレジでの支払のときにВы будете брать куклу? というようには使えないだろう。レジに品物を持って来て、売り子が単に動作の有無(買うかどうか)を尋ねることは普通あり得ないからだ。同じ「買う」でも、レジでの支払いのときなどではなく、「車を買いますか?」のように買い物全体という過程的・持続的なニュアンスが感じられるときに使われるとすればбудете брать, будете покупатьも使える。покупатьは不定法の場合は不完了体不定形でも完了体不定形でも同じような頻度で使われる動詞であるが、予定の意味で現在形は使わないようである。似た意味で、заказыватьは予定の意味でも使うし、Вы будете заказывать краски?(塗料を注文なさいますか?)と動作の有無を尋ねるときもよく聞く表現である。
これまでは文脈による体の用い方の違いだったが、このように動詞の語義と文脈によってどの体を用いるのかという新しいアプローチにも慣れてほしい。ただこのやり方は、無意識に、あるいは正しいかどうかという自覚なしに投稿者の皆さんはすでに使っていると思われる。

設問)「ヴィクトル・ニコラーエフ様、チェックインカウンターの方へお越しください」をロシア語にせよ。

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2012年04月24日

●和文解釈入門 第340回

原求作先生の「ロシア語の体の用法」の225ページに「думатьは完了体?」というコラムがある。そこにソルジェニーツインの「マトリョーナの家」からの文章として、За восемь лет послевоенных лет решила и Матрёна сама, что он не жив. И хорошо , что думала так.(戦後8年経って、マトリョーナ自身も、彼は死んだのだとようやく納得した。そう考えたのもまた結構なことである)という例文がある。この中で原先生は、думалаはрешилаの言い換えであると指摘し、думала = подумала、つまり完了体であるとしている。たしかにрешить = после размышления, обдумывания прийти к какому-либо выводу, заключению относительно чего-либо(長いこと考えて〔熟慮して〕何かについてある結論を下す)ということで、думалаがその言い換えであることは明らかである。しかし、そうであれば、実質的に同じような意味の動詞が繰り返されているわけで、そうなると、初めのрешилаは新規の事柄ということで、完了体として出てくるのは自然である。ところがほぼ同じ内容の動詞が出てくるというのは、刺身のつまのような用法で、動詞自体には意味上のアクセントはない。こういうときには過去の時制では不完了体が出てくる方が自然だという事はこれまで何度か述べた。これに完了体過去形を用いる方が逆に不自然となる。第2回の設問に「このバッグを買ったのよ」「どこで買ったの?」というのがあって、その答えは、- Я купила эту сумочку. および - Где ты её покупала? である。これに完了体過去形を用いるのは不可能とは言わないが、やや不自然となるように思う。

同様に、(貨物はどのように納入されるのですか?)Как будут поставляться грузы? はКакに論理的アクセントが来ているから不完了体が用いられているのだが、その回答(鉄道で発送します)Мы будем отправлять их по железной дороге. も不完了体が来ているのは、文の論理的アクセントは動詞ではなくпо железной дорогеに来ているから。このように動詞が変わっても動詞に論理的アクセントが来ないなら不完了体が来るという一つの証でもある。それゆえ、上記にподумалаを使えば、言い換えというニュアンスがなくなって、何か新しいことを考えついたのかと取られる可能性が出てくることになる。

 думать/подуматьという動詞群は第300回のooo)にあるように、ラスードヴァ先生曰く、「この動詞群ではпо-という接頭辞は完了体という意味の指標であり、はっきりとした語義上のニュアンスをもたず、所与の動作の一回性を強調する」とある。この動詞群は不完了体から完了体が発達し、そのように完了体を発達させた理由というのが、未来における必要性、可能性、好ましさを指摘するときだけと思われる。そういうことから原先生の説のごとくдуматьが完了体であるというのは受け入れ難い。думатьにはподуматьのもつ動作遂行の意味もすでにもっているからである。

 さらにその前の方で、Вы уже пообедали?(昼食は食べましたか)とロシア人が言うのは、あまり聞いたことがなく、Вы уже обедали?でたいてい済ましてしまうと述べ、このобедатьあたりも、将来は完了体の方に進出してくるかもしれず、пообедывать/пообедатьという新しいペアができるかもしれませんとしている。これについてはこのコーナーに投稿している人であれば、これは動作の完了を意味しているわけではなく、不完了体過去形の動作の有無の確認(文法的には動作の名指し)であって、不完了体過去形が来るのが普通であると分かるはずだ。これに完了体過去形を用いれば、「(そんなに短時間に、こんな時間に)食べ終わったのか?」とあるニュアンスを持って尋ねていることになり、単に昼食を食べたかどうか尋ねるという意味合いなら間違いということになるはずである。думатьやобедатьは完了体ではないし、今後完了体になることもない。完了体は必ず完了を意味するという思い込みが先生の方にもこの参考書を書いた時点(今から16年前だからかなり昔ではあるが)ではあったのかもしれない。

 いずれにせよ露文解釈で体の用法のどれが使われているかを調べる方が、会話の和文露訳で実際に体を使うのと比べてはるかに楽であることは皆さんも実感されたことと思う。

設問)「ビタミン豊富な食事を摂ってください」をロシア語にせよ。

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2012年04月23日

●和文解釈入門 第339回

ロシア語は日本語同様、英語と違って定冠詞や不定冠詞といった冠詞がない。そこで有無の確認のときのように英語では不定冠詞が関わるような場合には、ロシア語の場合可算名詞では複数形を使って漠然とした可能性を示すし、物質名詞でもそういう場合には複数が出て来るものがあることはすでに述べた。ロシア語においては単数は、単数であって、英語で定冠詞が用いられるような、物事を具体的に示すときにも使われる。完全に冠詞の機能を単数・複数の使い分けしているとは思わないが、部分的にそのような機能を果たしているという事は言える。

 体の用法も不完了体が不定的な要素を扱い、完了体が具体的な事象を扱うという事から考えれば、体も数も、双方補完し、複合して、同じような不定性と具象性という問題を処理しているように思える。この点を我々日本人が理解しにくいところなので、体と数を切り離して理解するのではなく、具象性の有無、ないしは不定性の有無という観点から考えるべきである。文法というのは個々に独立しているのではなく、有機的に結びついているのだからである。

 日本語はさらに進んで、複数という概念は必要な時しか出て来ないという省エネの最先端を行っている言語である。これは人々が日本のように同質の社会でないと、つまり他民族と異種の思考が混在すればするほど実現不可能である。世界はiPodなどを見ても分かるように均質化に向かっているわけで、そういう時代にこそ日本語という主語も省略し、単数・複数を原則的に区別しない言語が標準として求められるのではないかと考える。漢字も視覚文字であり、一瞬にして意味を察知できるという長所を我々自身がよく理解すべきだ。漢字の数が多いといってもほとんどが組み合わせ文字であり、また基礎になる文字は象形文字であって、理解が難しいとは思えないし、第一、世界の1/5を占める中国人が用いているという事実もある。

設問)「台風が日本に上陸すると思いますか?」をロシア語にせよ。

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2012年04月22日

●和文解釈入門 第338回

医療ロシア語学習がちょっとブームのようである。来るべき医療ツアーを見据えてのことだろう。医療ロシア語を使った経験も医療機器をロシアやソ連に売った経験も数えるほどしかないからあまりでかい顔はできないが、私見を述べる。ロシア人観光客や技術者のアテンド(一緒について回ること)をすると、稀だが、お客さんの具合の悪くなって、病院で検査や治療をすることになり、その通訳をする羽目になることはある。司法通訳をしていて、要は容疑者であるロシア人と刑事の取り調べの通訳をしていて、被疑者が強い頭痛を訴えて、結局CTをかけたことがあり、その通訳もした。結局詐病(下世話に言えば仮病)という事になったと記憶している。

 医療ツアーでもこのように、主力は人間ドッグであろう。そうなると血液・尿などの検査の通訳が出来ればよいことになる。医療用語といっても特殊な用語ではなく、日常我々が、健康診断で使う語彙を完璧に覚えることが必要であり、その語彙自体は大したものとは思えない。難しいのは体の用法である。その使い分けが正確でないと、命にかかわるとまでは言わないが、通訳への信頼度に関わってくるのは明らかだ。日本語の通訳でもテニヲハのおかしい人や敬語の使い方のよく分からない外国人に、医者の通訳をしてもらうのは非常に不安であるのと同じである。それと前にも書いたが物質名詞で、複数形を使う場合があるので、そういう点を説明できる講師がいればよいことになる。最新の脳外科の治療について知ることは悪いことではないと思うが、医療通訳なら、もっと先に完璧に覚えておかねばならないことはいくらでもあると思う。ロシア人を講師にすると、難しい症例や用語に特化するような気がして、人間ドッグや健康診断で使うロシア語がないがしろにされるのではないかという懸念もある。医療用語自体は特に難しいとされる症例や病名は英語が分かれば、ネットを通じても、英露や露英の医学辞典で調べはつく。難しいのは基本的な医学用語のほうである。例えば、第239回本文で挙げた出血に相当するロシア語のの類語の使い分けとか、薬の服用で使う「食間 (ロシア語ではмежду едамиという表現は聞かないので、個人的にはнатощакとせざるを得ないと思う)」はどう訳せばいいのかとか、рак легких с метастазами в желудок и кишечник (胃腸と腸に転移した肺ガン)というような語結合や、「転移はありますか?」Есть метастазы?と複数を使うという方を教えてもらう方が実戦的によほど役に立つ。体の用法も単数・複数の使い分けも一般のロシア人(この点ではロシア語学者を除けば、ロシア人の医療専門家だってロシア語学には素人であろう)には、正しいものはどれだとは言えるが、どういう場合にそうなるのかは説明できまい。こういう点を医療通訳志望の人は考えておく必要がある。

設問)「乗客のパスポートをご覧になりますか?」をロシア語にせよ。

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2012年04月21日

●和文解釈入門 第337回

最近面白い事に気がついた。婚約者(女性)や花嫁はневестаで、嫁はневесткаである。自分がそういう立場に立つことは絶対にないからか、こういう類の単語はわりにいい加減に覚えているものだなと思った次第。

 「彼女は警察に届け出た」はОна заявляет в милицию.となり、ソ連時代であれば市民に義務付けられた隣近所の挙動に対する密告という感じだが、盗難届、失踪届などにも使えるし、隣近所の騒音の苦情に対しても使える。具体的に言う場合にはОн заявил об ограблении.(強盗の被害届を出した)とか、Он сделал заявление на вас.(あなたに対して苦情届を出した)などと使う。
родитьは産むという動詞で、女性が主語のはずだが、ロシア語ではОн родил от неё сына и дочь.という文もある。岩波には訳が「彼は彼女との間に一男一女をもうけた」とあり、なかなかうまい訳だと思う。

 タイトルは第47回でназвание, заглавие, заголовокの使い分けにを説明したが、титрыは字幕、サブタイトルという意味である。枠はрамаだが、参加枠はквота (участников)である。分泌物はвыделениеだが、眼ヤニはотделяемое в уголках глазという。「射撃する」はстрелять из винтовки(ライフルを撃つ)とизが来るが「ライフルを試射する」はпристеливать винтовкуである。

 「訪問する」はпосетить/посещать + 対格(場所)だが、同じ意味をпобывать + в/на + 前置格でも示せる。Я хочу посетить кинстудию. = Я хочу побывать на киностудии.となる。нанести/наносить (сделать/делать, совершить/совершать) визит + 与格というのは非常に硬い表現で、外交関係など公式的報道でよく用いられる。

設問)「この場合手術などとんでもない」をロシア語にせよ。

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2012年04月16日

●和文解釈入門 第336回

投稿者の回答を見て、間違いというのはだいたいすぐピンと来るが、まさか「私の感じではこういうふうには言わない」とか、「間違いだと思う」と書くわけにもいくまい。そこで投稿に対する理詰めな説明を探すために辞書や文法書を見直すことになる。それが私にとってとてもいい勉強になる。

設問)「彼から窓の敷居(窓台)の上に1/3だけ飲んだブランデーの瓶が見えた」をロシア語にせよ。

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●和文解釈入門 第335回

ロシア語で日本人が理解しにくいのが体の用法と単数複数の使い分けである。この使い分けをロシア人に聞いても、その文が正しいかどうか、正しくなければ直してはくれるだろうが、使い分け自体については、仮に日本語が流ちょうであっても外国人の我々に説明しようがないだろう。体系的に学んでいないし、そのような体系があるかどうかすら知らないだろう。せいぜいのところ、単数を使うべきか複数を使うべきか分からなければ、複数を使いなさいと言ったところである。

 できるだけ早くロシア語を話せるようになればロシア語を続けようというモチベーションも高まる。このコーナーはそのためのお手伝いが出来ればと思っている。1年ぐらい一生懸命頑張ればその糸口はつかめるはずであるし、1年とか2年である程度の成果を出さないと、この忙しい世の中ではロシア語の勉強に集中できないし、またある程度うまくなっているという実感がつかめないとやる気が続かない。具体的な目標としては露露辞典を早く引けるようになる必要がある。そうすれば、自学自習でさらに実力がアップする道が開けることになる。

設問)「彼女が来るのは早くてその10分前だ」をロシア語にせよ。

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●和文解釈入門 第334回

通訳をしていて、文脈がどうでも取れる場合、時間があれば聞き返すが、なければ通訳がこうだと思う確率の高い方を訳す。しかし、どちらの場合でも通訳できなければならないことは言うまでもない。通訳してみれば分かるが、明晰に話す人は特に日本人では少ない。交渉慣れした人や自身英語を話す人は、分かりやすく区切っては話してくれるので助かる。このコーナーの設問でも意味がいくつかの意味でとれる場合があるが、そのいくつかの場合でも全て訳せないといけない。しかも訳す時にこのニュアンスではこう訳したと意識的に回答を書く必要がある。

設問)「今のは誰からの電話だったの?」をロシア語にせよ。

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●和文解釈入門 第333回

この世で苦難しても信仰を捨てなければ天国に行けるという考え方は、一種のバランス感覚である。物事はマイナスのままという事はなく、できることなら後楽がよいと考えるのは人間の常だろう。しかしこういう殉教の考え方は、布教という意味でやむなく、殉教するのであれば別だが、殉教を奨励するように見えるし、このような16世紀や17世紀のキリスト教伝道師のやり方はキリスト教本来の宗旨とは異なるように思われる。また徳川幕府の指示により改宗を強いた側もサド的な要素があったことは疑いを入れない。

設問)「起床は朝4時半だった」をロシア語にせよ。

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●和文解釈入門 第332回

на заводеについて第25回でなぜнаが来るかについて書いたが、ヴィノグラードフ先生の「ロシア語」を読み返していたら、на лекции, на концертеと同様、場所と動作を示す名詞だからнаが来ているのだという説明を見つけた。同様にучиться на медицинском факультете(医学部で学ぶ)などを挙げている。ただすぐそばにカッコしてработать в мастерской(作業場で働く), учиться в университете(大学で学ぶ)などの用例を出して、例外もあることを指摘しているのはさすがである。

 症状や病状はболезненные симптомы, паталогии (патологические признаки), явление などというが、患者が訴える症状や病状はжалоба (жалобы)である。結果はрезультатだが、口語で血液や尿の検査結果はанализыといい、лаборатоные анализы нормальные (без изменений, плохие, стали лучше)(ラボの検査結果は正常です〔変化なし、悪い、よくなった〕)という。検査結果という意味ではданныеも使える。Каковы данные биопсии?(生検の結果〔データ〕はどうですか?)。
姿勢は身体を維持するという意味ならосанкаで、体の位置というならположениеである。姿勢がよくないはОсанка нарушена.であり、В каком положении вы чувствуете боль сильнее?(どの姿勢の時に痛みを強く感じますか?)となる。尻はягодицыで、赤ん坊のお尻はпопкаで、動物のはкрестец(人なら仙骨)、馬のならкрупである。ちなみに尻のしわはскладки на бедреという。日本語の尻よりロシア語のягодицаは意味が狭い(尻の半球形の部分とか座るときに当たる人体の部分)ようである。бёдраと複数にすると腰より下の人体となり、ヒップを意味する。

設問)「輸血システムにエアーが入っていないかチェックしてください」をロシア語にせよ。

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2012年04月15日

●和文解釈入門 第331回

自分なりに文法でいう状態と過程の違いというものを考えてみた。状態というのは、Он сидит.(彼は座っている)のように回りの景色が変わらないもので、過程はОн идёт.(彼は歩いている)のように景色が変わるものである。もっというと状態は静的な動きстатистикаであり、過程は動的な動きдинамикаであり、過程は上下の動きに例えた方が分かりやすいかもしれない。

設問)「止血帯を2時間おきに緩めなさい。さもないと壊疽になる」をロシア語にせよ。

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2012年04月14日

●和文解釈入門 第330回

ロシアソ連文学を和文露訳用に活用できないかというのがこの20年ほどの私のテーマである。700冊ほど精読して思うのだが、名作といわれるものほど著者独自の文体があり、哲学的な会話をするとすれば、それにはいいかもしれないが、日常会話で決まりきった表現を探そうとすると、いやにもってまわった言い方しか見つからないか、使うにしても文脈がかなり限られてしまうことが多い。かといって現代小説で会話の多い小説で、例えばアクーニンの探偵ファンドーリンの孫が活躍する小説Внеклассное чтениеでは、その孫の妻はちゃきちゃきのモスクワ娘で、その言葉は俗語や隠語が多く、露文解釈には必要な語彙かもしれないが、日本人(外国人)がロシア人に対しては会話では使えないものばかりで参考にはならない。

 最近読んだものお勧めは、シーモノフの「生者と死者」(全3巻)Живые и мертвые (Симонов)で1970年代初めの出版で、第二次世界大戦の戦いをテーマにしたものであるが、男女関係、上司と部下の関係、極限状態における人間関係など興味深い。スターリンに対しても控えめな批判がある小説であり、その長所は会話が多く、現代でも会話に使える口語表現が多いことである。このような会話の多い小説を精読して、自分で語彙を収集して、動詞句、前置詞句を入れて和訳をつけ、文で覚えるようにすれば後で必ず役に立つと思う。

設問)「出発期限がぎりぎりに迫った」をロシア語にせよ。

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2012年04月13日

●和文解釈入門 第329回

露文解釈は初級文法を終えた後、露和辞典があれば何とかできないこともないが、和文露訳は和露辞典だけでは正しい露文は絶対に作れない。40年ロシア語をやっても、概ね正しいロシア語を話せるというだけで、通訳するときに常に正しいロシア語が口をついて出てくるというわけではない。もっともあと2~3秒あれば、どこがおかしいか分かるし、訂正できる自信はある。

 タイヤはавтопокрышки (автомобильные покрышки)やшинаといい、шинаはкамерная チューブタイヤ(自転車などの)とбескамерная チューブレスタイヤ(車などの)があり、チューブкамераの有無である。покрышка はこのチューブを除いた部分のみをさす。ホイールはколесоでトレッドはпротекторという。タイヤは口語ではрезина, баллонとも言う。Шина не боится проколов.(そのタイヤはパンクしない)。

 前兆はпредзнаменование, предвестиеというが、癲癇や頭痛のなどの発作の前兆はпредчувствие эпилептического припадкаとかаураという。ゴールは決勝点ならфиниш、サッカーやホッケーのゴールはголという。

設問)「設備の総額の80%を即金で、残り20%を商品受け取り直後にお支払いいただく必要があります」をロシア語にせよ。

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2012年04月12日

●和文解釈入門 第328回

ロシア語離れは深刻で、第二外国語としてのロシア語も人気がないという。文法というと拒絶反応を起こす人も多い。これはやむをえないとはいえ、外国語の初級ではどうしても機械的暗記(名詞の格変化や動詞の活用)をせざるを得ないからである。機械的暗記というものは、いい大人が(20歳前後から大人と判断してよいだろう)するものではないからだ。巷では若者の間にコンピューターゲームも単純なものは飽きられつつあり、逆に将棋に人気が集まっているという。結局奥の深いもののほうが飽きが来ないということなのだろう。将棋もルールを覚えなければならないし、上手になろうと思えば、いろいろな手を覚える必要がある。それはロシア語の文法でも同じことである。ロシア人との会話のニュアンスやロシア・ソ連文学を深く味わおうとすれば、体の用法の理解が不可欠である。これを無視して、ロシア人も日本人も同じ人間だから、発想も時制もなにもかもまったく同じだと一人合点して、日本語の理解だけで、露和辞典を頼りに、語義さえ分かれば、ニュアンスというのは感覚だから同じはずだとするのは暴論であり、ロシア語を理解できていないことになる。かなりロシア語の会話が出来る人でも、こういう意識があるのは、つきつめてロシア語のニュアンスを考えたり、その違いを指摘されたことがないからだろう。ロシア語の文法もゲーム感覚で覚えれば、その見返りとして、ロシア語の美しさ、ニュアンスの多様さなど得るものも多く、ロシア人そのものに対する理解も深まると確信している。

設問)「頭を身体より低くしてください」をロシア語にせよ。

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2012年04月08日

●和文解釈入門 第327回

インターネットのニュースを見ても1行にまとめられている。分かりやすいのは結構だが、これでは事件の本質が分からないだろう。何でも簡単に白黒がつけられるというものではないからだ。ただニュースを分かりやすくするという解説もテレビでは商売として成り立っているようで、これはこれで有難い。文学書もかいつまんで中身を紹介する本もあるから、ロシア語の参考書も如何にかいつまんで内容を分かりやすく、1行ですぐ分かるよう教えることに主眼が置かれることになるだろう。体の用法のようにそういかないものはどうするのだろう?そこが先生の腕の見せ所か?

設問)「最近物価がとても高くなって、さらに値上がりが続いている」をロシア語にせよ。

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●和文解釈入門 第326回

 ピンの安全ピンはбулавка безопасная、ヘヤーピン、植え込みボルトはшпилькаで、支持ピンはштырьで、ピストンピン(ガジョンピン)はпоршневой палецで、ノックピンという位置決め用のピンはустановочный палец (штифт)という。

 тёмная лошадкаを生半可なイメージでダークホースと訳すと誤訳になる。これは得体の知れない人物という意味である。

 「心の奥では」と言いたければв глубине душивやв тайниках душиという表現を文学で見かけるが、医者に対して訴える胸の奥の痛み(圧迫感)はболи (давление) за грудинойといい、即物的に胸骨の奥にある痛み(圧迫感、押される感じ)と表現する。ちなみに胸の痛みはболь в грудиで、腹痛はболь в животеある。盲腸は口語では虫垂炎だし、盲腸炎тифлит, влспаление слепой кишкиを虫垂炎と誤称する場合もあるからややこしいが、これをслепая кишкаと露訳すれば大腸の中の器官としての盲腸ということになる。虫垂炎はаппендицит, воспаление аппендиксаだから気をつけないといけない。なお虫垂(旧称は虫様突起)はаппендиксという。

 スコアは総譜ならпартитураで、パート譜ならпартияである。スポーツのサッカーなどのスコアはсчётで、при счёте пять на шесть = при счёте 5 : 6(5対6のスコアで)となり、体操などのスコアはоценкаとなる。例えば、Какова ваша оценка за артистичность программы (композицию, общее впечатление, технику выполнения прыжка, техническое мастерство)? (芸術性(構成、全体的な印象、ジャンプのテクニック、技術点)に対しての得点はどのくらいですか?)などと使う。

設問)「水の流量を1時間当たり100~150 m3(の範囲)に抑えてください」をロシア語にせよ。

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●和文解釈入門 第325回

可能性を示す時にмочьやуметьをまず使う事を考える。前者は能力的な可能性やTPOに関係した可能性(蓋然性)にも使えるが、後者は能力的なものである。それではВы говорите по-русски?のように動詞自体が可能性を内在しているものについて第260回で紹介したが、それではмочьやуметьを全く排除していいのだろうか?そうではない。可能性を内在する動詞というのは多義語であるために、文脈によっては可能性であることを明確に示すためにмочьやуметьを使った方が可能性であることが分かりやすいからだ。

 мочьを使わなくても可能性を示す動詞群というのが他にもある。例えばспатьсяを露露で引くとо наличии желания или возможности спать(寝たいという気持ち、寝る可能性があることについて)とあるから、「眠れる」と可能性で訳してよいことになる。同じ傾向を持つ動詞群のвериться(思考能力に関係する), вспомниться/вспоминаться(思考能力に関係する), думаться(思考能力に関係する), житься(生きる条件の有無、つまり生きる可能性), забыться/забываться (терять ясность), писаться(о возможности и желании писать否定形で使う事が多い), работаться (о возможности и желании работать) , сидеться(о наличии и возможности сидеть、否定形で使うことが多い), терпеться(о наличии терпения否定形でよく使う)も思考や、可能性の有無に関係しているから可能性の語義が出てくるのだという事が分かる。

設問)「このテレビ買ってもう半年だけど、まだ一度も壊れない」をロシア語にせよ。

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●和文解釈入門 第324回

нестиの熟語ではなく単独の使い方がよく分からない。この動詞で思いつくのは、(彼は猫を手に持って運んでいる)Он несёт кошку.や「彼は聖火を持って走っている」Он несёт факел.いう過程の文か、「だれが国旗を持って行進するのですか?」Кто будет нести ваш национальный флаг?ぐらいである。それ以外で、「スーツケースを持って来てください」というなら、Принесите чемодан.のように接頭辞のついたものを使う。ところがпри-という接頭辞のついた不完了体は過程を示すことができず、繰り返ししか表せない。だから(花瓶を持って来てください。気をつけて持って来てくださいね)というときに(これは不完了体のさしみにつまのような用法である)、Принесите вазу. Приносите осторожно.とはいえない。Принесите вазу. Несите осторожно.と言う必要がある。同じことはпривезти, привестиとвезти, вестиについても言える。しかし、これも含めて日常生活であまり使うとも思えない。ほかに何かあるのだろうか?

設問)「千人に一人が読み書きできる」をロシア語にせよ。

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2012年04月07日

●和文解釈入門 第323回

よい和露辞典というのは、文法をある程度やった段階で、その和露辞典に載っている語彙でロシア語の作文が作れ、そのできた作文がロシア人に違和感なく受け入れられるものであろう。無論技術関係とか俗語とかという特殊な用語を除いての話である。現今の和露辞典ではどうであろう?

 会話集や時事ロシア語の露文和訳でも文法的説明(特に体の用法)がほとんどないために、他の文脈で応用しようにも使い方がよく分からないことが多い。結局丸暗記して、そのような文脈でしか使えないという非効率なことになる。その点を編者や著者も考えてほしいものだと思う。

設問)「与党も野党も国家院の開会する1日前にその法案について合意しなければならない」をロシア語にせよ。

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2012年04月06日

●和文解釈入門 第322回

次のような質問を投稿者より受けたが、非常に良い質問なので、ここに掲載することにした。

問)確か不完了体現在を使うときというのは、確実にこれから行われるであろう動作のときですよね?たとえば、思いつく例として、вы выходите?(地下鉄などで、降りますか?というとき。確実にこれから行われるであろう動作。)、вы уезжаете из этой комнаты?(部屋から出ていくときにそこに居る人から、出る準備をしている人に向かって聞くとき)などがあるんですが、つい最近、確実に近い未来に、ある人が自分のところに来ると分かっているという条件つきで(例えばその日に会う約束をしていた友人との会話などで)、「何分後に来る?」という場合、確実に分かっている近い未来ということだから、Через сколько времени ты приходишь? と言えるのか?とある人に質問したところ、придёшь?にしないと
この文はおかしい、と言われました。

 これは、もしかして、уехать выехатьなどは今現在地点からの出発をあらわしている?動詞だから現在の延長をあらわしやすく、приехатьは遠くから自分の地点への動き、ということで現在自分の地点からの直接の延長にならないということでしょうか?確実に知っている例が少ないのであまり分からないのですが。運動の動詞でも未来を表す不完了体現在の使用ができる動詞とできない動詞というのがあるんでしょうか?以前の和文解釈で説明されておられたのかもしれませんが、たくさんありすぎて全部読むことができず・・・もしこの点、または近い事項に関して説明されていた回があれば第何回にあったか教えて頂ければ嬉しいです^^
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答)不完了体現在形の予定の用法は、おっしゃるような「確実にこれから行われるであろう動作」なのですが、そういう理解だと完了体未来形との区別ができなくなります。予定の用法というのは自分がそう思いこむというよりは、スケジュールなどでそうなっていると考えたほうが分かりやすいと思います。極端に言えば自分の意志を念頭に置かない動作とも言えます。不完了体はKY(この場合は「空気読めてない」という意味ではなく、「空気を読む」という意味)動作だと書きましたが、主体は主語ではなく、周りの状況です。完了体の場合はそうではありません。新規の動作を完了体が示すというのもKYとは無関係だからです。

 確実であるこれから起こる動作は、主語が確実だと思っていて、それが周りの状況とは無関係なら、完了体未来形を使います。そういう意味で、この場合はその「ある人」のпридёшьが正解です。

 この場合もう一つ厄介な動詞が絡んでいます。それはпри-という接頭辞のついた運動の動詞(運動の動詞であって、すべてのпри-という接頭辞のつく動詞ではありません)であるприходитьです。при-という接頭辞のつく運動の動詞は過程を示すことができません。語義が到着であるため、動作の一般化か繰り返しの意味にしかならないのです。不完了体現在形の予定の意味は、過程に意味から発展したと私は考えています。これはロシア語と同じ語族の英語でも、He is leaving tomorrow.と予定の意味で使えることから推測できます。ですからприходитьを予定の意味で使うのは、心理的に抵抗があると推測されるわけです。ところが、Verbs of motionという参考書の中で、Muravyova先生は何箇所か、特に184ページにはприходит, уходит, выходит = собирается прийти, уйти, выйтиと書かれています。そうなるとприходитьも予定の意味で使えることになります。ただガイドをして新幹線などでロシア人観光客からКогда мы прибываетм в Киото?(いつ京都に到着しますか?)と聞かれることはあっても、これにприезжаемは聞いたことがありません。прибыватьは運動の動詞ではなく、やや硬い表現(上品と言い換えてもいいですが)ですが、不完了体で予定を示します。

 「何分後に来る?」というのは、明らかに周りの状況とかスケジュール(出張に行く、汽車が来るなどはそうです)とは無関係であり、来る人が自発的に到着の時間を決めているわけですから、その「ある人」のおっしゃる通り、完了体未来形でないとおかしいことになります。

 全ての不完了体動詞が予定の意味で使えるわけではないということはすでに書きましたが、бытьの未来形 + 不完了体不定形の場合も、KY的なニュアンスが出てきます。Что вы будете пить?(何をお飲みになりますか)だって、レストランや招かれた家などでそういう表現が当然出てくるだろうというときに使う場合に使われます。この答えで、ビールを飲みます)はЯ выпью пива.(пиваと部分生格が来ていることに注意。сок やкока-колуは瓶をイメージするせいか対格が来る。чаю, чайку, кофейкуと部分生格専用の生格がある名詞もある)と完了体未来形が出てくるのはビールという新しい情報が入ってくるからです。ただ対応する完了体がなければ、KY的でない場合でも不完了体を使わざるを得ないということになります。

 完了体未来形が使われるのは、予定というものを初めから考慮しない場合で、これはわざと予定を無視するということではありません。予定というものがそもそも念頭にないのです。これらの用法については第300回のa), b), e)を参照下さい。

設問)「読書力をつけるには精読と多読のどちらが大切だと思いますか?」をロシア語にせよ。

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2012年04月05日

●和文解釈入門 第321回

露文解釈だけをやっていると、露文の中で正しい体が出てきているわけだから、そこの書いてある体の使い分けを勉強するという事はあっても、自主的に使い方を学ぶ練習にはならない。そこで「予約する」の類語を第79回で紹介したが、それを使って、完了体と不完了体の使い分けについて復習してみよう。ホテルのフロントと客とのやり取りである。
「(部屋の)予約をした佐藤です」
「いつご予約なさいましたか?」
 最初の文は結果の現存であり、かつ予約するという動詞をこのシチュエーションでは初めて使うわけだから完了体の過去形を使い、Сато, я забронировал номер.となる。無論、動詞を使わずにУ меня броня.という言い方もできる。これに対してフロントは予約はいつですかと聞いているのだが、予約という事は分かっており、極端に言えば「いつ?」だけでもいいのだが、客商売の手前礼儀を考えるとそうはいかない。それでКогда вы бронировали?と不完了体過去形のの刺身のつまのような用法を使う事になる。

 似たような文例で、
「佐藤ですが」
「ご予約でしょうか?」
この「ご予約でしょうか?」は頭の中で、「ご予約にいらっしゃったのですか?」か「ご予約なさいましたか?」と変換し、どちらか選択する必要がある。前者なら、予約するという新規の行為だから、Вы желаете забронировать номер?と完了体不定形を使い、後者であれば、予約の有無を聞いているわけだから、不完了体過去形を使ってВы бронировали?となる。普通は後者であろう。

設問)「社長が自ら出迎えに来られなかったことをお詫び申しております」をロシア語にせよ。

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2012年04月04日

●和文解釈入門 第320回

単語や言い回しを覚えれば、すぐにそれを応用して使えるものだとロシア語を始めてすぐのころは誰でも思うが、だんだん勉強が進むとそうはいかないものだというのが分かってくる。そうなるとロシア語の本で読んだり、辞書で見たり、ロシア人が話した表現でないと使えなくなる。それを克服すれば応用への道筋もつき、学習においても一皮むけるような気がするのだが、なかなかそうはいかない。そうこうするうちにかなりの語彙も覚えてしまい、応用ということすら、よほど切羽詰まった時でないと出てこないし、使おうと気も起きなくなってしまう。

設問)「この席にはどなたかいらっしゃいますか?」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 07:29 | Comments [5]

2012年04月02日

●和文解釈入門 第319回

投稿者から回答をもらえるのはとてもうれしいが、中でも想定外の回答を貰えた時が一番である。正しい答えなら、そのまま覚えればいいし、間違った答えでも、理論的に、ないしは文献的に間違いであることを当方としては証明しなければならないから、それはそれで当方にとって勉強になる。

 「追いつく」を意味する動詞にはには4つあり、まったくの同義語として使われる場合もあり、また類義語として、意味上の違いを出す場合もある。そのときにはдогонятьは頑張って(早く歩くなどして)追いつくというニュアンスがあり、нагонятьは先にいる人が歩みを緩めたりして、特に努力もしないのに追いつき追い越すという感じとなり、настичьやнастигнутьは前に行くものを追跡、追及しているというニュアンスが出てくることがある。

設問)「僕には初耳だ」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 06:37 | Comments [4]

●和文解釈入門 第318回

これまでのロシア語の参考書では、体の用法を、完了体を中心に説明していた。つまり完了体は具体的で新規な事柄、それ以外は不完了体であるという説明だったわけである。それを私は発想の転換をして、不完了体は自然体で用いられるものであり、それ以外は完了体が用いられるとしたわけである。それとロシア語のレターでよく使われる動作遂行の動詞などの現在時制について既存の文法書では説明されていないが、これは露文解釈という観点だけで文法の説明をしていたからであろう。実際に和文露訳をすれば、例えば「知らせる」という動詞はよく使うわけで、この種の不完了体現在形を用いる動詞と完了体未来形を使う動詞との使い分けについての説明が従来全く成されていなかったので、これらについて和文露訳という観点から解説を加えたものである。

 また現在時制から派生したと考えられる不完了体動詞現在形についても、和文露訳という観点からどう使うべきかについて、予定の用法に力点を置いて、どう和文露訳を組み立ててはどうかという提言をしてみた次第である。

設問)「後でみなさんを呼びにやります」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 06:34 | Comments [4]

2012年04月01日

●和文解釈入門 第317回

今後設問だけ先行して、投稿された回答への答えや解説が2~3日遅れることもあるかもしれないが、必ず回答するのでご心配なく。

 遠からず高性能のロシア語自動翻訳機もできるだろう。そうなると通訳や翻訳者というのも絶滅危惧種になるのだろうか?それとも曲芸師のように芸を売るようになるのだろうか?私の予想では、ロシア語が生き残るためには、茶道や空手のように、お稽古事で生き残るしかないと思う。ロシア語、特に体の用法をマスターすれば、しわが消えるととか、色が白くなるということになれば、これに勝ることはないのだが。色は北国だから白いだろうが、実はロシア語のエッセンス(特にからだではなくて体の)が影響を与えているのだとか研究してくれる人はいないものか?ただ寿命について言えば、ロシア人の事を考えると、まったく望み薄ではある。ロシア語が悪いわけではなく、酒と気候が悪いのであり、そういう中でもロシア人が生き延びているということと、ロシア語が偉大なロシア文学を生みだしたということを評価してくれるといいのだが。

設問)「靴を脱いだ後、靴の跡が(あなたの体に)残りますか?」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 05:00 | Comments [2]