2016年02月10日

●和文露訳要覧第1回

和文露訳指南のコーナーも400回近くになって、更新が難しくなったので、あらたに「和文露訳要覧」というコーナーを立ち上げた。黒帯研究会や和文露訳入門のころからだと1500回を超える。いつまでもつのだろう?

出題)妻が夫に「正直に言って。浮気しているの?」をロシア語にせよ。

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2016年02月11日

●和文露訳要覧第2回

トイレはтуалетが一般的。гальюнは船内のトイレで、отхожее местоは農家の離れにある屋外便所。移動式トイレはкабинки переносных туалетовと言い、место уединённых размышлений は(お籠り、沈思黙考の場所)である。

出題)「この瞬間から私たち赤の他人よ」をロシア語にせよ。

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2016年02月13日

●和文露訳要覧第3回

道具はорудиеで、工具はинструментだが、交渉の道具など、抽象的な手段という意味で使われるときは、どちらも使われる。

出題)「これに伴い、特段の連絡があるまでセクター83、84および87は航行閉鎖といたします」をロシア語にせよ。

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2016年02月14日

●和文露訳要覧第4回

凍結はзамерзаниеが一般的で、промерзаниеは土壌などのある一定の深さや完全凍結を指し、обледенениеは道路などの凍結。口座の凍結はзамораживаниеを使う。

出題)「試行錯誤してベストの決定を探った」をロシア語にせよ。

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2016年02月20日

●和文露訳要覧第5回

胴体という意味ではтуловищеは人間や動物の手足や頭を除く部分であり、торсは人間の胴体ないしは彫像などの胴体、фюзеляжは飛行機の胴体。

出題)「誰かが倒れた建物の下敷きになったのかどうかを究明すること」をロシア語にせよ。

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2016年02月21日

●和文露訳要覧第6回

угриというのは皮脂腺が脂肪で詰まったもので、白ニキビとか、黒ニキビとか言われるものであり、прыщは吹き出物を指す。

出題)「もうだまされないぞ」をロシア語にせよ。

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2016年02月27日

●和文露訳要覧第7回

косметическое молочкоは皮膚用化粧品としての乳液で、植物の乳液はмлечное сок、乳剤や乳濁液(エマルション)ならэмульсия

出題)「警察の厄介になったことはない」をロシア語にせよ。

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2016年02月28日

●和文露訳要覧第8回

глинаは粘土の原料であり、пластилинはロウ、脂肪を加え乾燥しないようにした工作用粘土である。

出題)「ご家族で緑内障にかかっている人はいらっしゃいますか?」をロシア語にせよ。

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2016年03月05日

●和文露訳要覧第9回

ノイズという意味のпомехиは複数形で電波障害という意味であり、心音などのノイズはшумを使う。

出題)「普段の体重はどのくらいですか?」をロシア語にせよ。

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2016年03月06日

●和文露訳要覧第10回

能力という意味ではспособностьだが、仕事関係というのであればделовые качестваがよい。

出題「彼は犯罪すれすれでバランスを取っていた」をロシア語にせよ。

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2016年03月11日

●和文露訳要覧第11回

『和文露訳指南』10-3項に下記追加した。

машинаは「ある(一台の)車」という意味の他に、「その(一台の)車」という意味がある。このことからロシア語には日本語同様、英語の冠詞がない事が分かる。どちらで理解するかは文脈次第であり、話題の初めに出てくれば、一般的にはa car(ある一台の車)であり、それ以降はthe car(その一台の車)という意味になるとはいえ、いきなり「その車」としか理解できない文脈も多い。複数のмашиныも単数ではないことを示すだけで、「ある(複数の)車」か、「その(複数の)車」かは文脈に依る。ただ複数は不定性を表現することが多いことから、「その(複数の)車」という場合は少ないと思われる。本来であれば、машинаはона で、машины はониで受けるのだが、その文脈に他に名詞がありすぎて、代名詞の候補が多い場合や語義を明確にする場合、ないしは「その車」というように強調する場合には代名詞を使わない場合もある。ただ「その車」を露訳するときに、эта машинаとする必要は必ずしもない。不可算名詞でも、さまざまなという具体性を帯びる場合に複数になるものがあるが、用法は上に挙げた可算名詞の複数と同じである。
 
出題)「お前には冗談が通じない」をロシア語にせよ。

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2016年03月12日

●和文露訳要覧第12回

『和文露訳指南』を下記のように訂正した。
10-3-5 否定における単数と複数

 その文脈ではゼロなのか、単数なのか、複数なのか分からない数(不定数)については、可算名詞の場合、複数で示される。ゼロの場合もноль градусов(零度)のように、可算名詞が接続する場合は、その可算名詞全ての存在を否定するために複数生格を取る。これは存在を否定する否定文では、可算名詞はその可算名詞すべての存在を否定するために複数生格が来ることを敷衍したものである。ところが「ひとつも~ない」というように一つすらを強調する場合は単数となる。

出題)「心からロシア軍の失敗と成功に一喜一憂した」をロシア語にせよ。

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2016年03月13日

●和文露訳要覧第13回

2016年3月12日発表の内閣府世論調査によれば、親しみを感じる国として断トツのトップは米国で84.4%(前回比1.8%増)、韓国は33%、中国は14.8%、そしてロシアはと言えば17.4%(前回比2.7%減)とある。中国よりはましなのは結構なことだが、マイナス傾向というのがいただけない。ロシアでの日本の人気はアニメやマンガの影響もあってかなり高いというのに、日本では北方領土問題があるからか低い。人見知りするというようなロシア人気質は日本の東北や北海道の人たちの気質に似ているところもあるので、お互いにいったん心を許せば、分かり合える点も多いと思うし、西洋文化一辺倒の日本人にとっても別の視点から物事を見るという点では、ロシア人と知り合うというのは、考え方のバランスを取る上で有意義なはずだ。

出題)「自分の負けを認めた」をロシア語にせよ。

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2016年03月18日

●和文露訳要覧第14回

「自分の負けを認めた」を会話の文と考えると、「認めた」は結果の存続(現在完了)であり、「負けた」のも発話の時点に負けたのであり、1年前の負けの話をしているわけではないことは明らかである。つまり「負けた」には結果の存続を使えばよいことが分かる。ここで「負け」に名詞を使ってしまうと、必ずしも結果の存続という意味にはならず、アオリスト的用法の可能性も出てきて、曖昧な訳となってしまう。「認めた」には完了体過去形を使うのは容易に理解できよう。となると、一つの文に二つの結果の存続の用法を使うには、並列複文(иなどを用いて動詞を二つつなげる)が頭に浮かぶが、この和文では無理がある。残された手は結果の存続の用法がある被動形動詞過去を使うことである。つまり、Признал себя побеждённым.とすればよい。和文露訳をする際に上っ面だけ直訳するのではなく、時制という観点から文の意味を深く考える癖をつければ、丸暗記するよりははるかに効果的に、応用が効く訳ができるようになる。

出題)「ゲームで重要なことは勝つことではなく、参加することである」をロシア語にせよ。

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2016年03月19日

●和文露訳要覧第15回

『和文露訳指南』3-2-2項を下記のように修正した。

完了体動詞未来形の否定の強調は4-2-3項の例示的用法や3-2-4項の偶発的反復から派生したもので、一つで全体を示す、つまり一つたりとも(ほんの少しでも)~しないということがниなどを用いて明示的にも、あるいはниなどを用いずに暗示的にも表現されている場合は、潜在的可能性すら否定するため完全な否定となる。

出題)「誰かグーニャを呼んでください」をロシア語にせよ。

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2016年03月20日

●和文露訳要覧第16回

клейстер はデンプンや小麦粉で作った糊であり、клейはそれを含む接着剤である。

出題)「再発してもいいの?」をロシア語にせよ。

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2016年03月21日

●和文露訳要覧第17回

барは日本で言うホテルのバーのようなものであって、日本のいわゆるホステスのいるバーではない。планкаは走り高跳びのバーで、станокはバレエの練習用の横木を指す。

出題)「おまえ、魚釣りに行ってきたのか?」をロシア語にせよ。

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2016年03月26日

●和文露訳要覧第18回

「入る」という意味では、входить は部屋など中に入る、ドアを通る、輸送機関が中に入るで、поступитьは就職、入学に関して用い、вступитьは軍、協会、サークル、党、組合に入ることを意味する。

出題)「お腹のどこが一番痛みますか?みぞおちの左、臍の回り、左下腹部ですか?」をロシア語にせよ。

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2016年03月27日

●和文露訳要覧第19回

「犬死に」というのは「無駄死に」のことだが、ラヴレンチエフの和露ではсобачья смертьとなっている。しかし、これは誤りである。「犬死に」はнапрасная смертьであり、Иначе сама его смерть становилась ещё более бессмысленней.(そうでないと彼の死自体が無駄死にという事になった)であり、собачья смертьはСобаке - собачья смерть. (= о дурном человеке, умершим (погибшем) без покаяния)(後悔せずに死んだ悪人)から来た言い回しであって、強いて訳せば「惨めな死」のことであろう。

出題)「日ソ交渉は3ヶ月目でようやくある程度の進展が見られた」をロシア語にせよ。

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2016年04月01日

●和文露訳要覧第20回

ハシケはбаржаが一般的、乗客や貨物用で非自航船が多い、лихтерは波止場のないところでの本船への積み込み、積み下ろし用の非自航船。

出題)「不眠症はもう治った?」をロシア語にせよ。

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2016年04月02日

●和文露訳要覧第21回

「発見する」обнаружитьが一般的、открытьは思いがけず、偶然発見するであり、раскрытьやвыявитьは完全に見つけるという意味である。

出題)「身の回りのものが歪んで見えるような感じがすることがよくありますか?」をロシア語にせよ。

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2016年04月03日

●和文露訳要覧第22回

発酵には二つあり、брожениеは酒などの微生物による発酵で、ферментацияは紅茶の葉などに対するような酵素による酸化発酵である。

出題)「この事を誰にも言わないと約束してください」をロシア語にせよ。

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2016年04月08日

●和文露訳要覧第23回

裁縫道具の針、および注射器や外科用の針はигла、時計や磁石、羅針盤の針はстрелка、計器の指針はуказтель、虫(ミツバチ、スズメバチ、蚊、アブ、蟻)のはжало という。

出題)「人には普通何らかの好みがある」をロシア語にせよ。

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2016年04月09日

●和文露訳要覧第24回

преступность は犯罪一般や犯罪件数を指し、個々の犯罪や刑法上の罪という意味では преступление を使う。криминалは口語。

出題)「何語を話せますか?」をロシア語にせよ。

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2016年04月10日

●和文露訳要覧第25回

未来の時制の否定文における体の用法というのも難しい。現在の時制であれば、не + 不完了体現在形を使うのが一般的で、これは現在この瞬間において、ゼロの反復も含めて動作がまったくないことを示す。広い意味の現在である、近接未来(発話時点のすぐ後に続くか、発話時点と融合した未来)ならば、не + 完了体未来形を使って近接未来完了の用法(否定の強調)となる。ややこしいのはне + 完了体未来形には完遂的用法の否定というのがあり、これは未来のある時点における動作の完了を示す未来完了の用法があり、これは文脈により区別するしかない。

 また未来の時制の否定文に使われる意識的否定の用法(не + 不完了体未来形)と近接未来完了の否定文の違いは、意識的否定の用法は現在と関わりのない、少なくとも現在からは一拍置いた未来の動作を扱っているのに対し、近接未来完了の否定文は現在との結びつきが感じられるという点と、完了体の持つ具体性が感じられるという点である。会話における和文露訳で未来の時制における否定文を扱う際には、動作が現在と続いているという意識があるか、動作の具体性とその結果を意識していれば完了体未来形を、動作が現在から一拍置いた以降の未来であって、具体性をあまり意識しないのであれば不完了体未来形を使うようにすればよい。

(お前には〔今は、ここでは〕言わない)Я не скажу тебе об этом . <広い意味での現在の時制における否定の強調であり、具体性のニュアンス〔今は、ここでは〕がある>
(このことについてもう二度と言うつもりはありません)я больше не буду говорить об этом. <未来の時制における一切の動作の否定であり、具体性のニュアンスの欠如>

出題)「それはお任せします」をロシア語にせよ。

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2016年04月12日

●和文露訳要覧第26回

美化を意味するэстетизацияは美的なものすることで、идеализацияは理想化、лакировкаは粉飾で、приукрашивание誇張することで、прекраснодушииеはおめでたい考え方を指す。

出題)「映画の時代設定は1950~70年代」をロシア語にせよ。

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2016年04月13日

●和文露訳要覧第27回

結果の存続がアオリスト的用法から発生したということは日本語でも説明できる。「イワノフ氏が来た」を露訳するとしよう。

(イワノフ氏がたった今来た)Господин Иванов только что пришёл. <たった今とある以上、イワノフ氏はそこにいる可能性が高い→イワノフ氏は来ている>
(イワノフ氏が昨日来た)Вчера приходил господин Иванов. <昨日とあるのでприходил = пришёл и ушёлの可能性が高い→イワノフ氏が来ていた><このвчераは「昨日来て帰った」ということなので、時間軸の一点と言うよりは期間と考えた方がよい>
(イワノフ氏は昨日来た)Вчера пришёл господин Иванов. <今いるかどうかは不明>

 言語は生きている人間が対象なので、絶対こうだとは言えないことを理解する必要がある。「たった今」とあっても、「たった今来て帰った」ということもあるので、全ては文脈次第である。

出題)「ゾンデの事故は偶然ではなかったと私は思っていたし、ずっとそう思っている」をロシア語にせよ。

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2016年04月15日

●和文露訳要覧第28回

前々回のコメントで劇的現在を記録の現在と間違って書いてしまったので、この場を借りて訂正する。

出題)「そんなことを私がしたとすれば、自分の首を絞めることになったであろう」をロシア語にせよ。

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2016年04月16日

●和文露訳要覧第29回

被害者という意味のжертваは事故、犯罪、病気など犠牲者、被害者を指し、потерпевшийは犯罪の被害者(法的な意味)、災害の罹災者、被災者で、пострадавшийは怪我、損害、不具、嫌なこと、不幸を受けた人というニュアンスである。

出題)「僕の背広知りませんか?」をロシア語にせよ。

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2016年04月17日

●和文露訳要覧第30回

刑事事件で告訴され、裁判に付されるまでの被告人をобвиняемыйと呼び、公判(裁判所に起訴された後)、裁判においてはподсудимыйと呼ぶ。民事では被告ответчикとなり、原告はистец, истицаであり、弁護士から見れば被告、被告人はподзащитный である。

出題)「もし検査官たちが試験用コンピューターの誤作動、ないしは作動において他に何らかの欠陥を見逃したのなら、彼らに責任があるのか、あるとすればどんな責任が?」をロシア語にせよ。

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2016年04月22日

●和文露訳要覧第31回

истерияはヒステリーという病気であり、истерика は号泣、大声などのヒステリーの発作・症状を指し、психозは社会的な現象として、массовые психозы(集団ヒステリー)などと使う。

出題)「その姿はこの世のものとは思われない」をロシア語にせよ。

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2016年04月23日

●和文露訳要覧第32回

потребностьは常時およびその時点での必要性であり、нужда(口語)やнадобность(やや廃語的)はその時点での必要性を示す。

出題)「彼女のどんな動きも前もって読まれていた」をロシア語にせよ。

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2016年04月24日

●和文露訳要覧第33回

『和文露訳指南』2-1-8-10項として下記を追加する。

能動形動詞現在にも歴史的現在の用法がある。ポーランドのSF作家スタニスワフ・レムСтанислав Лемの『月夜Лунная ночь』というラジオ用戯曲のト書き(ポーランド語からロシア語への翻訳)に、次のような一節がある。

(ブロップ: お前の手は震えている。気をつけろ。コップを落とすぞ)Бропп. .....Руки у тебя дрожат – смотри, стакан выронишь!

(コップが落ちて、割れる音)Звук падающего и разбивающегося стакана.

(ミルス: 嘘だ!コップを割ったのはお前だ!)Миллс. Неправда! Это ты разбил стакан!

 動作は順次的でアオリスト的用法であることが分かる。

出題)「夜毎私はうなされるようになった」をロシア語にせよ。

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2016年04月28日

●和文露訳要覧第34回

非難という意味では、упрёк, осуждениеが一般的で、порицаниеは意味が強く、弾劾などと訳す。укорとукорищеは意味が弱く、咎めぐらい、попрёкиは複数で普通用い、根拠のない激しい非難を指す。

出題)「石鹸で手を洗いましたか?」をロシア語にせよ。

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2016年04月29日

●和文露訳要覧第35回

『和文露訳指南』にも書いた通り、命令法の促し(着手)の用法には不完了体命令形を使うが、会話でよく聞く、Давай, давай(さあさあ、やれ)!とかдавай + 不完了体命令形に不完了体命令形が使われるのも、この用法だからである。

(さあ喧嘩をやれよ)Давайте деритесь!

出題「その事故は不幸な巡り合わせによるものだった」をロシア語にせよ。

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2016年04月30日

●和文露訳要覧第36回

秘密という意味でтайнаとсекретは同義語だが、секретは個人的で具体的な秘密であり、個人の利害、個人や少数のグループの情報に関係する。隠れた理由や、ある過程や現象の原因と言う意味では両方使えるが、секретが口語で冗談めかして使われる。

出題)「気管支に造影剤を入れなさい」をロシア語にせよ。

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2016年05月01日

●和文露訳要覧第37回

病気という意味のболезньは重病でも軽症でも使える一般的な語であり、заболевание(疾病)はболезньと同義だが、医学者が好んで使う。недугは重病で、書き言葉である。нездоровьеやнедомоганиеは体調不良で、原因不明のものを指す。хворьやхворостьは口語でやや軽蔑的な響きがある。

出題)「私何か決めたら、とことんやるの」をロシア語にせよ。

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2016年05月03日

●和文露訳要覧第38回

репродукцияは絵画の印刷や写真による複製で、слепокは本来は彫刻作品のコピーを指し、そこから鍵などの複製、比喩的にある人のコピーみたいな人を指す。копияは文書のコピー、芸術作品の手書きの模写を指す。

出題)「今回は彼はツキに見放された」をロシア語にせよ。

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2016年05月04日

●和文露訳要覧第39回

プラグはштепсельが普通。вилкаはピンが二つあるもので、штекер はジャック(凹部)にはめる凸部のこと。штепсельには口語でコンセントрозеткаという意味もある。

出題)「日本はロシアには負けたが、中国や韓国には勝って2位となった」をロシア語にせよ。

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2016年05月05日

●和文露訳要覧第40回

качелиはブランコ(子供の遊戯器械)で、трапецияは空中ブランコ。

出題)「彼は私が正にそのように行動することを100%確信していた」をロシア語にせよ。

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2016年05月06日

●和文露訳要覧第41回

文学という意味ではлитератураは広い意味で、科学文献、批評も含む。教義の文学はхудожественная литератураであり、беллестристикаは物語文学で、レベルの高くないものを指す場合がある。

出題「何曜日がお休みですか?」をロシア語にせよ。

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2016年05月07日

●和文露訳要覧第42回

紛失という意味では、потеряが一般的、утратаは強調で、公的に使い、утеряは書類や証書の紛失に用いる。

出題)「どうして怪我をしたか覚えていますか?」をロシア語にせよ。

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2016年05月08日

●和文露訳要覧第43回

和文露訳をマスターするためには、まず日本語とロシア語の時制の扱いの差を精確に理解することである。過去の時制はまだ理解しやすいが、未来の時制となるとかなり難しい。

出題)「お通じは毎日ありますか?どのくらいおきに?」をロシア語にせよ。

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2016年05月13日

●和文露訳要覧第44回

оградаは取り囲むような塀や柵を意味し、изгородьは取り囲むような塀や柵で、地面に打ち付けた杭から成り、横木を通したもの。заборも取り囲むような塀で、木製。

出題)「守秘義務からその医者は何も言いはしないよ」をロシア語にせよ。

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2016年05月14日

●和文露訳要覧第45回

「~がいなければ」という意味のесли бы неが否定生格ではなく、主格と結びつくのは、語義的におかしいと感じる向きもあろう。なぜ主格が来るかというと、仮定法過去だからである。つまり現実には存在するという前提があるので主格が来ていると思われる。

(もし彼がいなければ、彼女は視線で(ひとにらみで)奴らを石に変えてしまったろう)Если бы не он, она превратила бы их взглядом в камень.

出題)「この装置の仕組みを解明することはコップ1杯の水を飲み干すのと同じだった」をロシア語にせよ。

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2016年05月15日

●和文露訳要覧第46回

пастаは練り粉状のもので、医療、化粧品、食品のペーストであり、паштетは肉や魚のペーストを指す。

出題)「日本と言うと、何が頭に浮かびますか?」をロシア語にせよ。

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2016年05月20日

●和文露訳要覧第47回

кроватьはベッドそのもので、постельは寝具も含めてのベッドを指す。一方кушеткаは診療室の簡易ベッド、背もたれのない、枕のついたソファーで、станина は工作機械の土台。

出題)「彼らはロープの上を歩いており、今にも落ちそうだ」をロシア語にせよ。

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2016年05月21日

●和文露訳要覧第48回

箒という意味ではвеник は服をはたいたり、床を掃いたり、蒸し風呂で体をはたくもの。метла は小枝を束ねたもので、長い柄がついており街路を掃くもの、また魔女の飛行道具である。голикは小枝を束ねたもので床、室内の清掃、はたき代わりにも使う。помелоはは柄に小枝、藁、雑巾、へちまのようなものをつけた、竈の底を掃除するはたきのようなもので、儀式にも使われるし、魔術にも関係する。

出題)何かが変だという意味で「何かが違う」をロシア語にせよ。

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2016年05月22日

●和文露訳要覧第49回

эмиссияは大気中へのガスの放出を、испусканиеは物理学の用語であり、отпускは食料品などの放出を指す。

出題)「今や諸君も我々にとって諸君から何が必要かを知るべき時である」をロシア語にせよ。

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2016年05月27日

●和文露訳要覧第50回

防毒マスクという意味のпротивогаз は有毒ガス用フィルターがついているのみならず、目と顔も保護するが、респираторはフィルター(吸収缶)のみ。

出題)「老監督(スポーツの)は物事を常識的に見ている」をロシア語にせよ。

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2016年05月28日

●和文露訳要覧第51回

防波堤という意味では、молは陸から続いている、いわゆる突堤で、волнолом, волнорезは陸続きでないものを指す。брекватерは港湾のみならず、海岸にある消波堤、離岸堤も指す。比喩的にはширмаが使われる。

出題)「この瞬間から市の状況は一変した」をロシア語にせよ。

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2016年05月29日

●和文露訳要覧第52回

撲滅という意味ではуничтожение は一般的に用いられ、истреблениеは完全に、искоренение は完全に、最終的な殲滅を示す。

出題)「大きな声を出しても無駄だ」をロシア語にせよ。

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2016年06月03日

●和文露訳要覧第53回

ユーリさんからのご指摘で、保険金の訳が間違っていたことが判明したので、次のように訂正します。誠に申し訳ありません。ユーリさんには深く感謝申し上げます。

страховые выплаты, выплата страховой суммы, страховое вознаграждение, страховое возмещение, は保険金で、保険会社が保険の受取人に払うものであり、страховые взносы, страховка (страховая премия, премия) は保険会社に保険加入者が払う保険料である。

出題)「そうらしいけど、ほんとかどうかは分からない。受け売りなんだ」をロシア語にせよ。

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2016年06月04日

●和文露訳要覧第54回

頬笑みのулыбка はプラスのイメージで使い、усмешка は軽い頬笑みで、皮肉、嘲笑、不信のニュアンスがあり、ухмылка はマイナスイメージで、軽蔑、憎悪を示す。

出題)「彼は洞窟の中で死体で発見された」をロシア語にせよ。

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2016年06月05日

●和文露訳要覧第55回

見つけるという意味では、найтиは意識して探して見つける場合も、偶然見つける場合にも使える。отыскатьは意識して探し出す事を指し、特にразыскатьは徹底的に探して見つけるという意味である。изыскатьは書き言葉で、別な場所で見つけるということで、可能性возможность、資金средства、手段способыという語と結びつきやすい。сыскатьは現代語では否定文、疑問文、感嘆文で用いられる。выискать, откопать, отрыть, раскопать, выкопатьは俗語で、かなり努力して珍しいもの、忘れ物、変わったもの、驚くべきもの見つけるという意味である。

出題)「2013年までに日本は当該指標で4位に落ちた」をロシア語にせよ。

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2016年06月11日

●和文露訳要覧第56回

見取り図という意味ではпланは家の間取りなどの配置図で、схемаもこの意味で使われるが、装置の部品の配置図や電気の系統図、接続図などで使われることが多い。

出題)「きみのとこ、生まれたのは男の子それとも女の子?」をロシア語にせよ。

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2016年06月12日

●和文露訳要覧第57回

モデルという意味ではманекенщик/манекенщиц はファッションモデル、натурщик/натурщицаは絵描く際や彫刻を造る際の目の前でポーズを取るモデル、модельは製品サンプル、実物模型や縮尺模型、прообразは文学作品などのモデルを指す。

出題)「彼は経験があり過ぎて、だまされなかった」をロシア語にせよ。

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2016年06月18日

●和文露訳要覧第58回

изысканныйやутончённыйは物腰、振る舞いが優雅であることを指し、食事や飲み物が洗練されたという意味もあるが、この意味ではутончённыйは強調のニュアンスがあり、тонкийは最高に洗練されたという意味になる。Грациозныйにはポーズや体の動きの優雅であるという意味である。

出題)「逃げだそうなんて考えるなよ!」をロシア語にせよ。

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2016年06月19日

●和文露訳要覧第59回

誘惑という意味ではсоблазнが一般的で、искушениеはより執拗な、義務や禁止事項に反した誘惑を指す。

出題)「唯一助かるチャンスは追手の裏をかくことだった」をロシア語にせよ。

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2016年06月24日

●和文露訳要覧第60回

「悪くない」はнеплохоとかнедурноと訳す人がいるが、厳密に言えば間違いである。ともにдовольно хорошоという意味なので、「かなりいい」ということになる。

出題)「粗朶(枯れ枝)の山は彼とほとんど同じくらいの背丈になった」をロシア語にせよ。

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2016年06月25日

●和文露訳要覧第61回

弓矢の弓はлукだが、バイオリンなどの弓はсмычокである。

出題)「彼はとても誠実だったので、民の苦しみを目にせざるを得なかった」をロシア語にせよ。

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2016年06月26日

●和文露訳要覧第62回

качкаというのは波による船の揺れで、килевая качка縦揺れ(ピッチングpitching)とбортовая (боковая) качка横揺れrollingがあり、車両などの移動の際の軽い揺れも指す。тряскаは左右や上下の揺れである。толчокは拍動(複数のみ)、地震や移動の際の車両の揺れを指す。

出題)「もし彼の目的がお前なら、彼はあきらめない」をロシア語にせよ。

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2016年07月01日

●和文露訳要覧第63回

сновидение は寝ている時に見る夢であり、сонにもその意味があるが、本来は眠りという意味である。мечтаは希望という意味の夢である。

出題)「でも殺し屋にはまったくなるつもりはない」をロシア語にせよ。

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2016年07月02日

●和文露訳要覧第64回

「よい」という意味では、хорошийが一般的であり、добрыйはобычай, правио, время, день, привычкаなどとの語結合でよく使われ、человек, молодец, конь, еда, ужинとの語結合では廃用ないしは民話的、詩的な表現である。славныйは見かけが魅力的という意味であり、おいしいという意味では廃用。важный、важнецкийはものに対して用いられる。мировойはとてもよいという意味である。

出題)「ここで待っていてください。すぐ戻りますから」をロシア語にせよ。

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2016年07月03日

●和文露訳要覧第65回

『和文露訳指南』8-1-1項を下記のように修正した。

動詞бытьの過去形ではアオリスト用法だけで、былが助動詞として過去の時制を示すため、結果の存続の用法はないのではないかと述べたが、現在形では結果の存続の機能を果たし、さらに近接未来完了を意味する場合があると言える。これは未来形が近接未来を示す事ができないためではないかと思われる。

(今すぐ行きます)Я сейчас. <近接未来完了>
(今行くよ)Я сейчас буду. <近接未来完了というよりは未来完了であろう>
(すぐに戻りますから)Я мигом. = Я ненадолго. <近接未来完了>
(運転がありますので)Я за рулём. <酒を勧められた時の返事、近接未来完了>
(もういらしたのですね)Вы уже здесь. <結果の存続>
(来たと取り次いでくれ)Доложи, что я здесь. <結果の存続>
(誰かから私に問い合わせがあったら、私はレストランにいますから)Если меня будут спрашивать, я в ресторане. <これはすでにレストランに行こうとしているわけで、быть動詞の現在形でも近接未来完了を示す事ができる>

上の文もбуду(= прибуду完了体未来形の完遂の用法)などが省略されているとも理解されるが、素直に、現在の時制でも「到着する」という完了体未来形の完遂の用法(近接未来完了)に匹敵する意味になる例ととらえるべきだろう。бытьの未来形を使って下記のように未来完了となる例もある。

(だれかが私のことを問い合わせてきたら、2時過ぎに戻りますと)Если меня будут спрашивать, я буду после двух часов.

しかし、быть動詞には完了体の意味もあることから、現在の時制で近接未来完了から派生する偶発的反復(例示的用法)を示す事もできる。

(必要なら、一声かけてください。すぐ参ります)Что надо - кликните, я мигом.

出題)「私に恥をかかせるな」をロシア語にせよ。

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2016年07月08日

●和文露訳要覧第66回

読み物はчтение が普通。чтивоは低級な読み物。материал для чтения は教材としての読み物。

出題)「どこの(スポーツ)クラブでプレーしていますか?」をロシア語にせよ。

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2016年07月09日

●和文露訳要覧第67回

自動車レースのラリーはралли、автораллиで、テニスなどのはобмен ударамиという。

出題)「我々全員、彼に比べるとゴミみたいなものだ」をロシア語にせよ。

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2016年07月10日

●和文露訳要覧第68回

表の縦の欄はколонка, столбец と言い、言葉より数字でよく使う。横の欄はстрокаと言い、графаは線で囲まれた欄を指す。

出題)(道を尋ねての返答)「この道じゃないですよ」をロシア語にせよ。

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2016年07月15日

●和文露訳要覧第69回

リストという意味ではсписокが一般的で、реестрは名簿など文書の形のリスト、目録を指し、описьは記載(登録)される品物や文書のリスト。

出題)「何もすることがないのか?」をロシア語にせよ。

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2016年07月16日

●和文露訳要覧第70回

やまさんへお詫び。
昨日疲れていたのか、出題を今日と昨日を取り違えて出題しました。後で気がついて訂正したのですが、やまさんには間に合わなかったようです。申し訳ありません。

このたびNHKラジオ第一放送の夕方のニュース番組「先読み!夕方ニュース」の「夕方ホットトーク」というコーナーでロシア人気質について話をすることになりました。出演日は7月25(月)で、午後5時半からの生放送です。平日なので時間的に放送を聞くのは無理だと思いますが、NHKのサイトで放送後1カ月は聞けるとのことですので、ご興味があれば聞いてください。

出題)「我々の話が奥方のいない、二人っきりでできたら、ありがたい」をロシア語にせよ。

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2016年07月17日

●和文露訳要覧第71回

再度やまさんへのお詫び。申し訳ありません。どういうわけかご投稿が消えてしまいました。再投稿願います。

имение 不在地主のも含む領地。поместьеは実際に地主が住んでいる土地。усадьбаはその地主が住んでいる屋敷のこと。вотчинаは12~18世紀の貴族の世襲領地。

出題)「それらは啓蒙とか科学と何の共通点があるのか?」をロシア語にせよ。

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2016年07月18日

●和文露訳要覧第72回

(何かニュースある?)Что нового? <述語生格>
(言い争うことに何の得(意味)がある?)Что пользы (толку) спорить? <述語生格>
(それらが啓蒙とか科学と何の共通点があるのか?)Что общего имеют они с просвещением или наукой? <述語生格と疑問詞の複合用法>

новоеもобщееもこの場合は形容詞派生の名詞であり、その場合述語生格が用いられる。

出題)「疲れやすい方ですか?」をロシア語にせよ。

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2016年07月22日

●和文露訳要覧第73回

レンズという意味ではлинзаが一般的だが、メガネのレンズはстёклаと言い、虫メガネはувеличительнок стеклоである。

出題)「次のようにまとめさせていただきます」をロシア語にせよ。

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2016年07月23日

●和文露訳要覧第74回

печьは製鉄所の炉であり、горнは鍛冶屋の炉である。

出題)「生きるに値しないと考えることがよくありますか?」をロシア語にせよ。

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2016年07月24日

●和文露訳要覧第75回

『和文露訳指南』6-1-1項の一部を下記のように修正した。

規則的反復というのは不完了体のもともとの役割ではないはずだが、完了体がその用法の本質から偶発的反復という役割を担うために、不完了体に規則的反復の役割が回ってきたびではないかと3-1-2項で述べたが、この規則的反復というのは習慣性を生み、それが習慣だから習慣を守りたい、「~するのが当然である」、それから「~せねばならぬ」という気持ち(切迫感)に発展したのだと思われる。また不完了体の別の側面でもある過程の用法も動作が既定の路線上を移行するわけであり、そうなるのが当然という意識から切迫感になったとも考えられる。

出題)「残りますか、それとも行きますか?」をロシア語にせよ。

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2016年07月29日

●和文露訳要覧第76回

前回の出題を添削するときに、уехатьとпоехатьの使い方がよく分かっていないような感じを受けたので、この機会に説明しよう。у-の接頭辞の意味は、「(この場、ないしは発話の場所から動作主が)去る(いなくなる)」というもので、по-の接頭辞では、「出発する」ということであり、動作の視点が、その場に残るか、動作主と共に出発するかの違いがある。前回の出題「残りますか、それとも行きますか?」では、話し手は動作主である聞き手とは行動を共にしない(あるいは行動を共にするかどうかはわからない)というニュアンスである。Я уезжаю.という文では、私は去るが、聞き手であるあなたは残ると言うニュアンスが出る。

出題)「何事にもいい面を見なくてはならない」をロシア語にせよ。

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2016年07月30日

●和文露訳要覧第77回

若い女性の中には、「~します」を「...симась」と発音しているように聞こえる人が結構いる。テレビの女優の影響なのだろうか。NHKの若い男性報道記者の中にも、語末の音が軟音に聞こえる人がいる。これは「す」だと断定的な感じがするので、これを避けるためなのかもしれない。個人的にはどうかなと思う。

出題)「お話の途中失礼ですが」をロシア語にせよ。

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2016年07月31日

●和文露訳要覧第78回

ロープはканатで、тросは船舶用語である。共に一般的にはワイヤロープを指す。конецも船舶用語だが係留用、曳航用ロープを指す。

出題)「紙の上を波が走った」をロシア語にせよ。

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2016年08月05日

●和文露訳要覧第79回

体の用法と時制の関係を分かりやすく次のように図に示すことができる。

<完了>
_______________ ・ _____________
アオリスト的用法   結果の存続 (現在) 近接未来完了   未来完了

<不完了体>

____________|現在|__________________
不完了体過去形                      不完了体未来形                 

注1) 完了体の用法の現在は、この瞬間としての(点としての)現在であり、不完了体の用法の現在は、この瞬間としての現在を含む、ある程度幅を持った現在である。完了体はこの瞬間としての(点としての)現在を示す事が出来ないことはお分かりだろう。
注2) どこからがアオリスト的用法で、どこからが結果の存続なのかは、話し手の主観や文脈による。近接未来完了と未来完了との関係も同様である。

出題)「お前はクビだ」をロシア語にせよ。

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2016年08月06日

●和文露訳要覧第80回

<改訂版>
体の用法と時制の関係を分かりやすく次のように図に示すことができる。

<完了体>
                         ・
______ ________________________
アオリスト的用法   結果の存続<現在>近接未来完了    未来完了

<不完了体>

___________|現在|________________
不完了体過去形       不完了体現在形   不完了体未来形             

注1) 完了体の図にある現在は、この瞬間としての(上の点としての)現在(狭い意味での現在)と幅のある現在(広い意味での現在)であり、完了体は点としての現在を示す事が出来ない。一方不完了体の用法の現在は、この瞬間としての現在を含む、ある程度幅を持った現在である。その広い意味での現在を不完了体現在が扱い、不完了体過去形は時制的に過去のみを、不完了体未来形は未来のみを扱う。
注2) どこからがアオリスト的用法で、どこからが結果の存続なのかは、話し手の主観や文脈による。近接未来完了と未来完了との関係も同様である。

出題)「届けると言ったら届ける」をロシア語にせよ。

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2016年08月07日

●和文露訳要覧第81回

体の使い分けを考える上で重要なのは、完了体はその動詞の語義の動作を完遂するということである。пойтиのような始発の動詞であれば、「歩き出す」という語義を完遂するということになる。その語義の動作の完遂ということから、時制で考えると動作を点で示さざるを得ないし、現在のその瞬間(狭い意味での現在)を示す事が出来ないのは、完遂(動作の終了)というのは過去か未来しかないからである。過程の意味の「~しつつある」というのは動作が完遂していないことはお分かりだろう。一方不完了体については不完了体現在形で一番分かりやすい過程(進行形)の用法で説明すると、идтиなら、歩いているという動作は終点が明示される場合もあるが、その時点では動作が継続中であるし、時間の経過と共に狭い意味の現在の点が連続して動いていると考えてもよい。状態の動詞лежатьなら、状態には動作の終点が明示されないということで完遂ではないし、横たわっているという動作の点は動かずにそのままのように見えるが、いくつも点が重なってきていると考えればよい。ところが完了体のполежатьは、少しの間だけ横になるわけで、少しの間が過ぎれば横たわるという動作は完遂される。遂行動詞では発話という狭い時間の中で動作の点が始発→過程→終了と動くというものであり、評価解釈型動詞では、発話の終了と共に評価という動作が伝えられる。そのため評価解釈型動詞(現在形)は完了体過去形と意味上接近する。

 結果の存続では狭い意味での現在(現在のその瞬間)が含まれるのではないかと疑問に思われる方もいるかもしれないが、動作は過去に完遂され、例えばприехал(来ている)では、「来た」という動作は過去のある時点に完遂されていることが分かり、その結果が現在まで及んでいるに過ぎない。しかも結果の存続というのは、アオリスト的用法の派生であり、動作の結果が現在までに及ぶかどうかは文脈次第であるため、意味上では過去の時間軸の一点において動作が起こったということを示すのみである。

近接未来完了(一瞬後に動作が完遂する)や未来完了(ある程度時間が経過してから動作が完遂する)も文脈次第であり、はっきりしているのは、現在の一瞬以降の未来の時間軸の一点において動作が完遂するという事だけである。

出題)「だって私は彼に対し含むところは全くありません」をロシア語にせよ。

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2016年08月11日

●和文露訳要覧第82回

猥褻なという意味では、неприличный がよく使われ、непристойный は強調である。会話や文書に不適切と言う意味では、непечатный(口語的)、нецензурныйがある。площаднойは言葉や悪罵に用いられ、極めて程度の低い表現である。похабныйは卑猥な程度が最もひどいという事を意味する。

出題)(助けを求めて)「誰か、何かしてください」をロシア語にせよ。

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2016年08月12日

●和文露訳要覧第83回

渡すという動詞の類義語に関して書いて見る。手から手へと渡すという意味ではдаватьが一般的だが、過程を示せない。つまり進行形には使えない。подаватьは要請、指示、必要に迫られて、何らかの意図を持って渡すということを強調する。передаватьは手から手へ、人から人へ渡すということを強調する。отдаватьは、返却する、一時的に何かの作業のために渡す、プレゼントする、ものを渡す事で、解放されるという事を意味し、даватьのように貸すという意味はない。вручитьは渡す行為が特別であるか、渡すものが重要であることを意味し、сдатьは任されたもの、義務を引き継ぎするという意味である。

出題)「彼は30のフレーズを暗記し、それを使い回す」をロシア語にせよ。

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2016年08月13日

●和文露訳要覧第84回

完了体未来形の偶発的反復(例示的用法)というのは、起こる確率がゼロの場合もあり得るという意味で、複数の不定の用法に似ているし、もっと言うと、-нибудьの用法とも通じるものがある。同じことは、不完了体の規則的反復・単数・-тоの関係にも言える。この点を深く突き詰めて考えてみることにした。何か成果があればこのコーナーで発表することにしたい。

出題)「手が近づくと明りがつく」をロシア語にせよ。

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2016年08月14日

●和文露訳要覧第85回

ワックスという意味で、床を磨くためのものはвоскで、スキー用のワックスはмазьと言う。

出題)「この件ではエカチェリンブルグはロシアの他の都市よりも突出していた」をロシア語にせよ。

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2016年08月15日

●和文露訳要覧第86回

печьは製鉄所の炉であり、горнは鍛冶屋の炉である。

出題)「一度見た顔は死ぬまで忘れない」をロシア語にせよ。

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2016年08月19日

●和文露訳要覧第87回

出題)「どこで超過荷物分は払えばいいのですか?」をロシア語にせよ。

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2016年08月20日

●和文露訳要覧第88回

カザフスタンに駐在していたころ(1995~97年)、カザフ人の歴史に興味があり、何冊か地元で買って読んだ。カザフ人はユーラシア大陸に住んでおり、地続きだから、しかも御先祖は遊牧民族なので、チュルク系とは言っても、モンゴル系などいろいろな民族と混交していることは理解できる。カザフ民族は14~15世紀ウズベクから分かれ、15世紀後半にカザフ・ハン国が生まれた。概ね3つの大部族から成っており、それぞれ大ジュズстарший джуз、中ジュズсредний джуз、小ジュズмладший джузと呼ばれ、ジュズはカザフ語で百を意味する。その大部族もさらに中小の部族に分かれている。カザフ人はいずれかの部族に属しているわけで、カザフ人の知り合いが中ジュズのナイマンに属していると聞いたことがある。中ジュズは中国との国境に多く住み、1930年代のカザフ人定住政策で多くのカザフ人が犠牲になったが、その中には中国に逃げた人も多いと聞く。

 陳瞬臣の『チンギス・ハーンの一族』を読んだ時に、チンギス・ハーンがモンゴル高原でキリスト教を奉ずるケレイトやナイマンという国を滅ぼしたというくだりを読んで、これら部族の生き残りが後のカザフ人に吸収されたのかなと考えた次第である。ケレイトは小ジュズの中に含まれている。これらの部族について陳瞬臣は中国の史書で読んだ可能性が高いと思うが、確かめることなく、また中央アジアの専門書を特に読みたいと思ったわけでもなく、そうこうするうちに日は過ぎて行った。

 最近『中央アジア・蒙古旅行記』(カルビニ/ルブルク、護雅夫訳、講談社学術文庫、2016年)という13世紀中ごろにモンゴルに別々に旅した二人の修道士の旅行記を読んで、ケレイトやナイマンは景教徒(ネストリウス派キリスト教徒)が多く住んでいた国であり、13世紀極東にあったとされるプレスター・ジョンの伝説の源であることを知った。

 この本にはアレクサンドル・ネフスキーなどロシアの諸侯が朝貢のためモンゴルに出向いた時の状況や運命が述べられており、当時のモンゴル民族の様子が詳しい。13世紀のロシアについても若干ふれており、当時のロシアや中央アジアにご興味のある方にはお勧めする。

出題)「落ちているコインを拾いますか?」をロシア語にせよ。

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2016年08月21日

●和文露訳要覧第89回

出題)「小包は2週間郵便局に置きっぱなしだった」をロシア語にせよ。

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2016年08月26日

●和文露訳要覧第90回

出題)「法律を知らなかったでは済まない」をロシア語にせよ。

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2016年08月27日

●和文露訳要覧第91回

出題)夢かと思って「つねったら、痛かった」をロシア語にせよ。

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2016年08月28日

●和文露訳要覧第92回

出題)「耐久力(早さ、コーディネーション)を高めるためにどのような練習を取り入れていますか?」をロシア語にせよ。

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2016年09月02日

●和文露訳要覧第93回

出題)「鈍器で頭を殴って殺された」をロシア語にせよ。

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2016年09月03日

●和文露訳要覧第94回

出題)「12月16日遺骨は荼毘に付された」をロシア語にせよ。

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2016年09月04日

●和文露訳要覧第95回

出題)「その日このモーテルのレストランで誕生日のお祝いをしていた」をロシア語にせよ。

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2016年09月09日

●和文露訳要覧第96回

出題)「すべてが金で買えるわけではない」をロシア語にせよ。

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2016年09月10日

●和文露訳要覧第97回

出題)「これでは問題の解決にはならない」をロシア語にせよ。

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2016年09月11日

●和文露訳要覧第98回

出題)「だれがいいか悪いかはこの状況ではどうでもいいことだ」をロシア語にせよ。

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2016年09月16日

●和文露訳要覧第99回

出題)「クリスマスから残っていたツリーが立っていた」をロシア語にせよ。

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2016年09月17日

●和文露訳要覧第100回

出題)「やっていいことといけないことの(区別が)彼らは理解できない」をロシア語にせよ。

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2016年09月18日

●和文露訳要覧第101回

出題)「彼は自分の甥が生きているのを見た後でのみ金を彼らに渡すことにする」をロシア語にせよ。

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2016年09月19日

●和文露訳要覧第102回

ロシア史については9世紀から現代までСоловьевやКлючевскийの著作を自分なりに読破し、それなりの知識はあるつもりだが、20世紀初めが弱いように感じていた。これはソ連時代の歴史家の著作(ポクローフスキーなども含めて)がソ連の御用学説ばかりで信用できないためである。革命前後についてはトロツキーの『ロシア革命史』(岩波書店、5巻)などを読んだが、内戦、特に赤色テロル関係のものが知識不足のように感じて、そういうものを最近読んでいる。古典とも言える『ソヴェト=ロシアにおける赤色テロル(1918~23)』メリグーノフ(発音はメリグノーフが正しいと思う)、梶川伸一訳、社会評論社、2010年で、これはロシア革命直後の赤色テロルに関する同時代人の証言による古典である。ただ虐殺の事実の羅列のみであり、レーニンの責任についてなど、赤色テロルを俯瞰的に述べられていない憾みがあるが、同時代という事考えるとやむを得ない。ただそれを補う解説が巻末についている。ミーシュカ・ヤポンチクМишка ЯпоничикやコトーフスキーКотовскийがヤクザや盗賊上がりのボリシェヴィキーであるとの記述もある。また『共産主義黒書<ソ連編>』、ステファヌ・クルトワ+ニコラ・ヴェルト、外川継男、ちくま学芸文庫、2016年は、赤色テロルにおけるレーニンの主導的役割を明確に示した好著。社会革命直後の農民反乱や緑軍について詳しく解説しているのがありがたい。ロシア語では『ロシアにおける赤色テロルと白色テロル(1918~1922)』Красный и белый террор в России、リトヴィーンАлексей Литвин, ЭКСМО, 2004があり、これは赤色テロルと白色テロルについて書かれている好著である。

出題)「うまくゆく見込みはあるのか?」をロシア語にせよ。

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2016年09月22日

●和文露訳要覧第103回

私の父は徴兵され、北千島で整備兵だったときに、部隊全員がソ連の収容所送りとなり、バイカル湖の護岸工事に駆り出されたりしたが、運よく生きて帰国できた。そのためロシアやソ連に対しては複雑な思いがある。ロシア人と長く付き合っていると、酒の席などで領土問題などに触れざるを得ない場合もあり、日ソ中立条約破棄、収容所問題などもそうである。ソ連軍の背信行為などの話をすると、たいていのロシア人(モスクワやペテルブルグ出身者)はドイツ軍の残虐行為を語り、戦争はあってはならないという結論になるのだが、これがウラジオとかサハリン、極東出身者となると、シベリア出兵で何万のロシア人が巻き添えとなって虐殺されたかと逆襲される。1921年の尼港事件(ニコラエフスク・ナ・アムーレ)で700人の日本人(半数は駐留部隊で半数は民間人)が赤軍のパルチザンに虐殺されたことを持ち出しても、尼港事件では数千人のロシア人民間人も殺されたという事を祖父母から聞かされているなどという話を聞く羽目になる。尼港事件は赤色テロルの一環であり、その犠牲者にはロシア人のみならず、日本人もいたのである。

 戦争直後日本人引き揚げ者がソ連の一方的被害者だったという我々の認識も、ロシア側にはロシア側の言い分があるということを、我々日ロ関係に従事する者は、双方の歴史的資料をよく読んでお互いの言い分をよく理解することが大切である。その一助になるのが、『ピコラエヴィッチ紙幣』(熊谷啓太郎、ダイヤモンド出版、2009年)である。尼港事件を背景にしたフィクションだが、一読の価値はあると思う。

出題)「エカチェリンブルグからバトンを受け取ったのはモスクワだった」をロシア語にせよ。

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●和文露訳要覧第104回

出題)「彼女は字が読めなかった」をロシア語にせよ。

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2016年09月23日

●和文露訳要覧第105回

出題)「みんな俺が悪いんだ!」をロシア語にせよ。

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2016年09月24日

●和文露訳要覧第106回

出題)「彼の条件をのむしか私には選択の余地がない」をロシア語にせよ。

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2016年09月25日

●和文露訳要覧第107回

出題)「しかしながらことはそれで終わらなかった」をロシア語にせよ。

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2016年09月30日

●和文露訳要覧第108回

出題)「6月18日彼は血を吐き始めた」をロシア語にせよ。

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2016年10月01日

●和文露訳要覧第109回

出題)「死を目前にして嘘をつく人はいない」をロシア語にせよ。

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2016年10月02日

●和文露訳要覧第110回

出題)「だれからの電話?」をロシア語にせよ。

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2016年10月07日

●和文露訳要覧第111回

出題)「そのため興味を引く銀行で行員の一人を(しばしば)買収する」をロシア語にせよ。

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2016年10月08日

●和文露訳要覧第112回

出題)「彼は15年前に警察に目をつけられた」をロシア語にせよ。

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2016年10月09日

●和文露訳要覧第113回

出題)「文明化した民族の間での戦争はまだ不可欠かとお尋ねですが、(それに~と)お答えします」をロシア語にせよ。

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2016年10月10日

●和文露訳要覧第114回

出題)「判事たちはますます法務省に依存するようになった」をロシア語にせよ。

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2016年10月14日

●和文露訳要覧第115回

出題)「事実は小説よりも奇なり」をロシア語にせよ。

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2016年10月15日

●和文露訳要覧第116回

出題)「答える用意は整いましたか?」をロシア語にせよ。

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2016年10月16日

●和文露訳要覧第117回

出題)「ヘリコプターが空に舞い上がった」をロシア語にせよ。

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2016年10月20日

●和文露訳要覧第118回

着手や促しの意味で不完了体が使われるのは、『和文露訳要覧』6-1-4項で説明したように、始発の動詞(начать/начинать, отправиться/отправлятьсяなど)に接続する不定形が不完了体であるのと同じ発想と考えてよい。

出題)「文字通り壁から湿気がしずくとなってしたたり落ちる」をロシア語にせよ。

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2016年10月22日

●和文露訳要覧第119回

仕事や状況、事態が足踏みをしている(事態が動かない)と言う場合には、топтаться на местеを使うが、運動などのその場足踏みをするはходить на месте(その場足踏みはходьба на месте)と言う。идтиという定動詞を使わないのは、方向性がないからだろう。ちなみにその場駆け足はбег на местеと言う。

出題)「反応が返って来ない」をロシア語にせよ。

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2016年10月23日

●和文露訳要覧第120回

最近 『明治初期日本の原風景と謎の少年写真家』、アルフレッド・モーザー著、ペーター・パンツァー監修、宮田奈奈訳、洋泉社、2016年を読んだ。
 オーストリア人写真家ミヒャエル・モーザー(1853~1912)は地方の農家で生まれ、13歳でウィーンの写真家に弟子入りし、15歳で日本へ船で出発した。明治初期お雇い外国人として明治政府に出仕し、16歳から7年間(1869~1876)日本に住んだ。長崎に上陸して初めて日本人を見た時の印象をこう書いている。「日本人は濃い褐色の肌をしており、丸顔で平らな鼻、まくれた分厚い唇で、皆、似たような顔立ちをしている。髪は黒く、髯ははやしていない」とある。箱根や浅草についても書かれており、日本人は清潔好きで、温厚であると好意的な評価もしている。

 明治初期の写真や絵も豊富で、チョンキナ踊り(裸踊りの一種で、少女たちが踊りながら脱衣して全裸となり,さらに続けて踊りながら着物を身につけて去るという民衆舞踊)の絵が載っていたのは珍しいと感じた。チョンキナ踊りは狐拳の一種で、合いの拍子に「ちょんきなちょんきな、ちょんちょんきなきな、ちょんがなのはで、ちょちょんがほい」と唱え、その終わりを合図に拳を打つのだという説もある。明治時代までは、混浴も普通であり、男女の裸には特に目くじらを立てなかった日本人に欧米の人は驚きをもって接していたようである。

出題)「金の問題じゃない」をロシア語にせよ。

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2016年10月28日

●和文露訳要覧第121回

ゴンドラのгондола はベネチアの平底船という意味の他に、飛行船、気球、ロープウェイのキャビン、飛行機の主脚やエンジン格納部と言う意味がある。高所作業車のゴンドラはрабочая площадка と言い、беседка для окраски(подвесное сидение) は塗装や、窓掃除用である。

出題)「犯人は3~4メートルの距離からトカレフで2発撃った」をロシア語にせよ。

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2016年10月29日

●和文露訳要覧第122回

преступник というのは犯罪を犯した人、許し難い振る舞いをする人を指し、виновникというのは事故の加害者、何かの原因である人(口語では何かの原因であるもの)、例えば騒音やイタズラの原因である人、動物を指す。

出題)「英語でオオカミは何といいますか?」をロシア語にせよ。

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2016年10月30日

●和文露訳要覧第123回

в гробу я видел кого-либоという卑語的表現があり、意味は誰かに対する激しい不満、軽蔑、完全なる無関心を示す。どうしてвиделと過去形が来るのか考えてみた。видеть はвидеть сон(夢を見る)のように語義的に воображтьと解釈され、そうなると「棺の中で(だれかを)見たことがある」という経験の意味になる。これをもっとかみ砕いて説明すると、「(だれかが)くたばってしまったのを想像したことがある」という罵倒の意味の経験を意味し、В гробу я видел вас.なら「お前たちの顔も見たくない、お前たちのことなぞ何とも思わない(屁とも思わない)」と訳される。

出題)「11月5日現在刑事罰の越権行為が18件明るみに出ている」をロシア語にせよ。

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2016年11月02日

●和文露訳要覧第124回

弾という意味のзаряд は総称で、пуля(拳銃の弾), патрон(実包), снаряд(砲弾)という意味がある。

出題「彼の殺人犯の捜索は続いているが、今のところ成果なしだ」をロシア語にせよ。

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2016年11月03日

●和文露訳要覧第125回

больной は病気にかかった人(病人)であり、пациентは医者にかかっている病人(患者)を指す。怪我人はраненый, пострадавший という。

出題)「今度何かしたら承知しないから」をロシア語にせよ。

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2016年11月05日

●和文露訳要覧第126回

出題)「この作戦の結果45人が拘束され、その内15人がその後逮捕された」をロシア語にせよ。

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2016年11月06日

●和文露訳要覧第127回

出題)「爆発の威力は専門家によってTNT換算で600グラムの爆薬と評価された」をロシア語にせよ。

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2016年11月11日

●和文露訳要覧第128回

専門家はспециалистだが、экспертというのは何かの件で結論を下す専門家を指す。

出題)「タクシーは反対(対向)車線に飛び出した」をロシア語にせよ。

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2016年11月12日

●和文露訳要覧第129回

和文露訳をする時に、ロシア語と日本語の文法的な違いはあるにせよ、同じ人間である以上、考え方は本質的に同じであろうと考える。ただ日本人とロシア人との歴史的、民族的、風土的発想の違いは少なからずあり、それを前もって学ぶ姿勢が大切であることは言うまでもない。この補正的要素、つまりロシアの庶民の常識を学ぶ教材はほとんどなく、学習者個個人が自分で自己啓発するより道はないのが現状である。

出題)「彼の金、貴重品、証明書類には暗殺者は手を触れなかった」をロシア語にせよ。

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2016年11月13日

●和文露訳要覧第130回

出題)「どこに行方をくらましてたんだ?出かけてたのかい?」をロシア語にせよ。

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2016年11月18日

●和文露訳要覧第131回

前回は結果存続無効(『和文露訳要覧』3-1-12項)と動作の往復(『和文露訳指南』2-1-3項)に絡んだ出題だった。結果存続無効も含めた動作の無効について若干整理したので、追記する。

7-7 動作の無効

 動作の無効という用法には下に挙げるように、結果存続無効、動作の往復、動作の未達、期待外れ、動作の取りやめなどがある。未来は未定であるがゆえに、動作の無効という用法は、動作の結果を無効するということから過去の時制と深く結び付いている。
体の用法は動詞によって不完了体の方が頻度の高いものや、逆に完了体の方がよく使われるものがある。その動詞の中で使われる頻度が低い体が動作の無効という機能を担う。взять/братьのように、どちらの体も同じような頻度で使われるように見える動詞でも、近接過去と現在を結びつける結果の存続では完了体がより多く使われるわけであり、体の使い分けにおいても時制が大きな影響力を持っていることがよく分かる。

1) 結果存続無効(3-1-12項参照)
 瞬間動作動詞など意味的に完了体過去形がアオリスト的用法(特にその派生的用法である結果の存続)で使われる動詞の不完了体過去形は、結果存続無効で使われる。

(彼は行方不明となった)Он пропал без вести. <発話の時点が今なら、今彼はここにいない>
(1934年彼は行方不明になった)В 1934 г. он пропал без вести. <アオリスト的用法で、発話の時点が今だとしても、彼の行方がつかめたかどうかについて話し手は興味がない>
(どこにふけていたんだ?)Ты где пропадал? <発話の時点が今なら、君はここにいるか電話で話している、つまり行方はつかめている(結果存続無効)>
2) 動作の往復(2-1-3項)
(彼は去った)Он уехал. <発話の時点が今なら、彼はここにいない>
(出かけてたのかい?)Ты уезжал? <発話の時点が今なら、уезжал = уехал и приехалで、君はここにいるか、電話で僕と話をしている>
3) 動作の未達(7-1-1項)
 志向の動詞の不完了体過去形で、「しようとしたができなかった」という意味。
(私たちは彼を捕まえようとしたが、だめだった)Мы ловили его, но не поймали. <不完了体には反復も含まれる>
4) 期待外れ(7-2項)
 完了体過去形を用い、動作は起こるが、その結果は期待とは異なる。
(彼のことはあてにしていたのだが、このざまだ)Я на него понадеялся, а вот что вышло. <シノニムのположитьсяにもこの期待外れのニュアンスが若干ある。動作は起こったのだが、期待とは違う結果になった>
5) 動作の取りやめ(2-2-3項)
 小詞было + 完了体動詞過去形、いったん開始された行為の中断、中止。
(車は動きかけたが、彼は車を止めた)Машина было тронулась; но он остановил её.

 上記から4)や5)の完了体は主観的動作を担い、1)、2)、3)の不完了体は規則的反復を示しているわけで、体の本質と一致していることが分かる。

出題)「爆発の結果爆心から半径500メートルの近くの家屋の窓からガラスが吹っ飛んだ」をロシア語にせよ。

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2016年11月19日

●和文露訳要覧第132回

出題)「今はその雑誌の状態は持ち直している」をロシア語にせよ。

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2016年11月20日

●和文露訳要覧第133回

出題)「この一味は7人で、1993年5月から1994年1月まで車両強奪と個人へのその売却のためこれらの殺人を行った」をロシア語にせよ。

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2016年11月23日

●和文露訳要覧第134回

出題)「同日21時15分死亡」をロシア語にせよ。

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●和文露訳要覧第135回

出題)「この犯罪は多くの人にショックを与えた」をロシア語にせよ。

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2016年11月25日

●和文露訳要覧第136回

出題)「重役は頭と腹部に被弾した」をロシア語にせよ

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2016年11月26日

●和文露訳要覧第137回

出題)「その犯罪がお定まりの図式におさまるとはまず思えない」をロシア語にせよ。

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2016年11月27日

●和文露訳要覧第138回

出題)「アレクセイの両足は子供の頃の悲劇の結果膝から下を切断された」をロシア語にせよ。

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2016年12月02日

●和文露訳要覧第139回

出題)「法案は賛成239票、反対11、棄権4で採択された」をロシア語にせよ。

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2016年12月03日

●和文露訳要覧第140回

出題)下記の単語をロシア語にせよ。
司法取引、数字のばらつき、匿名希望  

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2016年12月04日

●和文露訳要覧第141回

出題)「卒業したら、私はそこで何かには、なれるだろうけど」をロシア語にせよ。

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2016年12月09日

●和文露訳要覧第142回

出題)「死は何ら怖いものではない」をロシア語にせよ。

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2016年12月10日

●和文露訳要覧第143回

出題)「朝までに吐き気と下痢が止まらないなら、電話してください。すぐに参ります」をロシア語にせよ。

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2016年12月11日

●和文露訳要覧第144回

出題)「目が嘘だと言ってるわ」をロシア語にせよ。

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2016年12月16日

●和文露訳要覧第145回

出題)「島々の主権は日本と韓国の間で争われている」をロシア語にせよ。

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2016年12月17日

●和文露訳要覧第146回

出題)「この庭園の注目すべきなのはとても大きいという事だけだ」をロシア語にせよ。

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2016年12月18日

●和文露訳要覧第147回

出題)「我々はリーザに泣かされることになる」をロシア語にせよ。

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2016年12月22日

●和文露訳要覧第148回

出題)「だって人が見てるよ」をロシア語にせよ。

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2016年12月23日

●和文露訳要覧第149回

『和文露訳指南』9-2-3項末尾に下記追記願う。

上記確述の述部に使われている時制の転用については、他にもплакатьの過去形の例もあり、これは形式的には不完了体でありながら、意味するところは「実現しない」не осуществиться, не состоятьсяという未来や過去における完遂の否定版である。

(捜査官としての出世もパーだ)Плакала его карьера следователя. <未来の時制>
(片方のストッキングもバスで破れてしまった。6ルーブルがパー)И чулок в автобусе прорвала.. Плакали шесть рублей. <結果の存続、ないしはアオリスト的用法>

出題)「リュボーフィ・ペトローヴナから少なからずリーザがもらい、いくばくかはトーニャがもらっていた」をロシア語にせよ。

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2016年12月24日

●和文露訳要覧第150回

出題)「22人の乗客を人質にした」をロシア語にせよ。

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2016年12月25日

●和文露訳要覧第151回

『和文露訳指南』を下記のように訂正した。ご参考まで。

9-4-1 受動態

日本語ではどの動詞でも受動態(受け身)を使うのは文体上好ましくないとされるが、それでもクレーム処理などで我意をあまり主張するのは好ましくないような、主語をぼかしたいときなど受動態を使わざるを得ないときもある。一方ロシア語では、ся-動詞の完了体はотклеиться(はがれる)など自動詞が多いが、ся-動詞の不完了体や被動形動詞過去形短語尾で受動態が作れるものがあり、動作主が示されていない。動作主を明示したいときは造格で示す事ができるが、これは事務的な文体であり、口語体の文では少ないと言える。しかも他動詞であれば、ся-動詞で受動態を作れるというものではない。3-1-1-4項の非情の受け身にあるように、ся動詞(受け身)の主語には生物など意志をもったものはなれないのが普通だからだ。完了体の用法で動作主を考慮に入れた受動態を作るには、被動形動詞過去形短語尾を使えば、動作主は生物でも無生物でもよいが、意味が動作の完遂を示すことになってしまう。

そのため動作主があって、それが不定の人であることが含意されている場合、完了体や不完了体という制約を考えずに主語をぼかしたいのであれば不定人称文を、動作主が事物を含意しているのであれば、ся動詞(受け身)か被動形動詞過去形短語尾を使うのがよい。特に、反復や動作の一般化ということなら、不定人称文を勧める。

出題)「この問題は特に検討を要する」をロシア語にせよ。

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2016年12月28日

●和文露訳要覧第152回

『古文書に見る江戸犯罪考』(氏家幹人、祥伝社、2016)を読んだ。通り魔、放火、強盗、詐欺、偽金作り、盗み、強姦、スリなど現代にあるような犯罪は江戸時代にもあったことがよく分かる。中に海保青稜という学者の話として、1805年にはスリ(巾着切と呼ばれた)は江戸に1万人以上おり、5人くらいの親分に率いられ、時の町奉行曲淵甲斐守から、巾着切はみな浅黄色の木綿頭巾をかぶるよう命令が下され、それを巾着切が守ったというくだりが面白かった。スリは土地の者を狙わず、おのぼりさんを中心に稼いだということが書かれている。スリにはスリの掟や仁義があり、これは19世紀、20世紀初めのロシアのスリ社会と似ており、スリの監獄における差し入れなどの相互扶助の一環から、вор в законеが生まれたという説があるのもうなづけるところである。ロシアではスリは手先が器用であり、馬鹿では勤まらないということから、小悪党という扱いではなく、それなりに尊敬され、有名なヤポンチクЯпоничикもスリ上がりと言われている。

出題)「肝心なのはすべてがうまく行くことだ」をロシア語にせよ。

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2016年12月29日

●和文露訳要覧第153回

出題)「彼の口を片手で抑えたわ」をロシア語にせよ。

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2016年12月30日

●和文露訳要覧第154回

『和文露訳指南』にある偶発的反復という用語名をボンダルコ先生の著作『機能文法の原則とアスペクト論の諸問題Принципы функциональной грамматики и вопросы аспектологии』に合わせて、例示的反復と変更することにした。

3-2-4 例示的反復

 例示的反復というのは、ある条件がそろえば起こるが、そろわなければ起こらないという予測不能な動作、つまりしたり、しなかったりという動作の予測不能性を示す用法で、例示的用法から派生したものでもあり、潜在的可能性とも関連する。また例示的反復には話し手の気持ち次第という、完了体ゆえの主観的要素が関わっている。詳しい説明は4-2-3項参照。例示的反復では今この一瞬が動作に含まれないので、不完了体現在形は使えない。例示的反復は超時間的用法であり、過去、現在で使われるが、いずれの時制でも例示的用法からの派生という事で完了体未来形が用いられ、この反復は1回の具体的出来事を例として伝達される (Повторяемость передаётся на примере одного конкретного эпизода) ため、不完了体の機能である規則的反復と区別して、例示的反復(偶発的反復)と呼ぶことにする。

出題)「人に後ろ指を指されるようなことは何もした覚えはない」をロシア語にせよ。

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2016年12月31日

●和文露訳要覧第155回

遂行動詞には1人称か、一人称を暗示するものが主語に立つと述べたが、その例を追加として挙げる。

(彼がみなさんを劇場に招待いたします)Он приглашает вас в театр. <この文の内容を伝えているのは一人称と考えるのが自然>
(この結論は発話やその意味の言語的内容構造の不一致から導かれる)
Этот же вывод следует так же из несовпадения структур языкового содержания высказывания и его смысла, <意味上の主語は一人称>

出題)「その(日の)夜中はどこにいらしたのですか?アリバイを証明してくれる人はいますか?」をロシア語にせよ。

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2017年01月01日

●和文露訳要覧第156回

明けましておめでとうございます。С Новым Годом! 今年もよろしく。

出題)「負傷した襲撃犯は病院に搬送された」をロシア語にせよ。

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2017年01月02日

●和文露訳要覧第157回

この1年ほど平日はサラリーマンをしているので、正月などは休日の有難味を大いに感じている。休日は「和文露訳要覧」の添削をするのと、その問題集めも兼ねて、いろいろなロシア語の本を精読している。今は各10ページずつ、犯罪ドキュメンタリーБандиты эпохи Ельцына, Раззаков, Книжный мир, 2016、1930年代に書かれた未完のユーモア探偵小説Как я была пинкертоном, Раневская, Яуза-пресс, 2016、そしてボンダルコ先生の機能文法と体の用法Принципы функциональной грамматики и вопросы аспектологии, Бондарко, URSS, 2016である。和露辞典の方も9万ほどの項目がすでに集まっており、毎日推敲に精を出している。そのためにもいろいろな日本語の小説を読んでいる。有川浩(『図書館戦争』ではなく、『空飛ぶ広報室』、『県庁おもてなし課』など)のとか、警察小説などを読んで和露用の語彙を拾っている。ロシア語にしたらどういうのが適訳かを考えている時が一番楽しい。この調子だと和露辞典の完成も後4~5年かかるかもしれない。

出題)「後にその言葉を彼は思い出す事になるが、その時にはそれらに注意を払わなかった」をロシア語にせよ。

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2017年01月03日

●和文露訳要覧第158回

「あなたと私」はロシア語では普通мы с вамиと言うが、Я с вами.という文例を見つけたのでお知らせする。出かける場面で、ОГПУ(後のKGB)の担当者が、被疑者たちに言う言葉であり、私はお前たちと同じグループに属していないというニュアンスを感じた。

出題)「その事件の翌日にはもう多くの新聞がその出来事について書いた」をロシア語にせよ。

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2017年01月07日

●和文露訳要覧第159回

出題)「殺そうとしたが、殺さなかった」をロシア語にせよ。

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2017年01月08日

●和文露訳要覧第160回

出題)「政府はこの事件に関する貴重な情報の提供者には25万ドルの懸賞を出すと発表した」をロシア語にせよ。

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2017年01月09日

●和文露訳要覧第161回

出題)「1年の間この秘密は多くの人の頭を悩ました」をロシア語にせよ。

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2017年01月13日

●和文露訳要覧第162回

『和文露訳要覧』に下記のように加筆した。

2-2-7 完了体が使える継続

 期間の具体的に限定された継続はпо-(必要な、あるいは望む期間より短い、「ちょっと、少しのというニュアンス」)やпро-(十分な期間、必要な、又は望むより長い期間)という接続詞のついた完了体で示す。これは未来の時制においても同様である。

(祖母は私たちのところに半年暮らして、再び帰って行った)Бабушка пожила у нас полгода и снова уехала.
(何時間も日向ぼっこをして。それはとても体に悪いよ)Ты пролежала несколько часов на солнце, это очень вредно.

 厳密に言えば、不完了体の継続(3-1-3-1項)が動作の完遂されていない経過報告のようなものであるのに対し、この種の完了体は期間の区切りを示しており、その区切りまでで継続するという動作が終了しており、この区切りが時間軸の一点момент времениを示す事で、1回の具体的動作を表現していることになる。

出題)「これを戦友から隠す理由がなかった」をロシア語にせよ。

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2017年01月14日

●和文露訳要覧第163回

出題)「無関心を装うのは彼にとっては問題ではない」をロシア語にせよ。

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2017年01月15日

●和文露訳要覧第164回

出題)「それはあなたと彼女の問題よ」をロシア語にせよ。

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2017年01月20日

●和文露訳要覧第165回

完了体は過程を示す事が出来ないということが体の本質であることは前に述べた。過程には動作動詞による動的過程(進行形)と3-1-6項(状態動詞)で述べる静的過程があり、静的過程には二次元や三次元方向の動きがないとは言え、時間的経過があるわけで、過程の重要な要素である。

出題)「彼は整形手術を受けた」をロシア語にせよ。

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2017年01月21日

●和文露訳要覧第166回

日本語の「~したことがある」という経験の用法も、露訳すれば動作の有無の確認の有無の一つではあるが、обедатьなど日常動作の規則的反復を意味する動詞は経験の意味に用いられない。これは経験というものが非日常で用いられるものだからであろう。

(今日散歩しましたか?)Вы гуляли сегодня?

出題)「彼女は出来心からブローチを取ってしまった」をロシア語にせよ。

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2017年01月22日

●和文露訳要覧第167回

『和部露訳要覧』4-1-1-1項に下記追記願う。

<動作の有無の確認のまとめ>

 2-1-1-1項において過去の時制の動作の有無の確認について述べたが、動作の有無の確認の用法は過去、未来のみならず、現在や不定法にもある。そこで動作の有無の確認のまとめをしておこう。現在の時制では動作の有無が動作の前提となっており、さらに過程などの用法が重なって体の特徴を形作るため、詳細は3-1を参照されたい。
完了体は不完了体と違い、1回の具体的動作を示す。単なる具体的動作ではなく、1回の、「いつ」、つまり期間ではなく、時間軸の1点момент времениにおける過去や未来における具体的動作であって、場所ではない。そのため疑問詞との組み合わせでは、疑問詞に文の焦点が来ることが多いこともあり、不完了体が来ることが多い。
一方、体の用法を完了体の側からではなく、不完了体の側から見れば、不完了体の本質は動作の有無の確認であり、これは主語 + 動詞の疑問文という構文なら理解しやすいだろう。

(お昼召しあがりになりましたか?)Вы обедали? <昼を食べたかどうか聞いているだけで、文字通り他意はない>
(スヴェルクーノヴォ、次の駅はドロフェーエヴォ!お降りになる方はいらっしゃいますか?)Сверкуново, следующая – Дорофеево! Будет кто выходить? <未来の時制の場合бытьの未来形が動作の有無の指標となっている>
(具だくさんスープを食べるかい、そこの彼氏?)Похлёбку есть будешь, кавалер? <同上>

しかし、補語が付加されるにつれて、内容はより具体的になってゆくわけで、この内容の具体化が過去や未来の時制で進めば、完了体との使い分けに悩む場面も出てこよう。文につく補語は直接補語(対格)、間接補語(与格)の他に、TPO(いつ、どこで、どのように)が考えられるが、完了体にとって重要なのは、「いつ」であり、それも期間периодではなく、時間軸の一点момент времениである。一方、不完了体では「いつ」は「いつ」でも期間периодが扱う対象となる。
2016年に逝去されたボンダールコБондарко先生の『機能文法の原則とアスペクト研究の諸問題』Принципы функциональной грамматики и вопросы аспектологии, URSS, 2016から抜き出して、動作の有無の確認(動作の名指しобообщённо-фактическая функция)の用法の特性につき解説する。
 動作の有無の確認というのは、動作に関する最大限に一般的(非具体的)情報を伝えることにある。

a) 動作の有無に関する情報
(彼に手紙を書きましたか?)Вы ему писали?
b) 特定な状況であれ、一般的な状況であれ、こういう場合には一般的にこうなるというような情報
(こういうものと別れるの残念だ)Жаль расставаться с этой вещью?
(果たしてそのような言葉を投げかけてよいものだろうか)Разве можно бросать такими словами?

 動作の有無の確認の用法かどうかを見分けるポイントは次の通り: < >内は私のコメント。

1. 動作が1回であるか反復であるかを問題にしない。 <ということは1回の動作でも示せるということになる>
2. 結果の達成かそうでないかを問題にしない。 <聞き手にとってはどっちでもいいけれどというニュアンスがある>
3. 動作の有無そのものが強調されており、結果の存続とは一線を画す。
4. 順次的動作ではない。

(失礼ですが、どこでバナナをお求めですか)Простите, где вы покупали бананы? <バナナを持って歩いている人に対して。みなし(見立て)反復2-1-6-1項参照>

「アンドレイは電話してきたか?」は不完了体でも完了体でも露訳可能であるが、ニュアンスの違いはある。

Андрей звонил? <不完了体の典型的な動作の有無の確認の用法であり、この発話を見る限り、聞き手は電話があったかどうかには特に関心はない>
Андрей позвонил? <完了体の持つ叙想(主観的)ニュアンスがあり、電話してくれるのを期待していたというニュアンス>

不完了体の動作の有無の確認は、過去の時制では完了体の結果の存続перфектと、未来の時制においては完遂の用法と対立する。

出題)「この死は世論の注目を浴びなかっただろうが、しかしである(しかし一つ問題がある)」をロシア語にせよ。

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2017年01月27日

●和文露訳要覧第169回

『和文露訳要覧』に下記のように一部追記した。

3-1-4-3-1 呼応的用法

идтиとбежатьという定動詞現在形一人称に代表的に見られ、「呼ばれたから行く、来る」という用法だが、日常会話ではよく耳にし、遂行動詞の告知型の変形と思われる。つまり、「行く」という動作そのものというよりは、動作内容を伝えていると考えるべきである。また定動詞は不完了体動詞であり、不完了体動詞には本来主観的な要素が欠如しているわけで、これらの動詞を用いるためには何かサイン(合図)が必要である。「助けて」という呼び声でも、宅配の人がドアのベルが鳴らすのでも、会社で、「~さん、電話ですよ」でもいいが、それを合図に「今行きます」Иду.(急ぐ時はБегу.)と告知することになる。気持ちの上では、この発話の終了直後には電話や、ドアなどにたどり着いているというニュアンスがある。ゆえに、この用法は予定の意味ではなく、不完了体の基本的な用法である場依存型である。Пошёл (Пошла)と完了体過去形の時制の転用を使うと、出発したというニュアンスのみで、場所を示す補語がない以上、電話やドアに辿り着いたというニュアンスは出せないことになる。

「だれか助けて」- Помогите, кто-нибудь!
「今行くぞぉー」- Иду-у-у!

 この他にも次の文の動詞にも遂行動詞としての告知のニュアンスがある。

(俺は手を引く)Я выхожу из игры. <不完了体を使っているので、主語である俺は状況から判断して手を引くのが当然と思っていることが分かる>

出題)「当直明けで帰宅する途中だった」をロシア語にせよ。

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2017年01月28日

●和文露訳要覧第170回

前回第169回の出題につき、「当直明けで帰宅する途中だった」とすべきところを、「非番明けで帰宅する途中だった」としてしまい、投稿者の皆様の貴重な時間を無駄にしたようで、誠に心苦しく思い、深くお詫びいたします。今後もこういうことがないように努めますが、歳のせいもあり、ご寛恕願います。

『和文露訳指南』にも『和文露訳要覧』にも、体の使い分けについて、「完了体は話し手が動作遂行の結果として、時間軸の特定、かつ無限小の不動の一点をイメージする」と書いたが、もう少し簡単に書けないか熟考した結果、「完了体は時間軸の一点で語義の動作が完結することを示し、不完了体は時間軸の一点で語義の動作や状態が起こっていることを示す」とした方が、分かりやすいのではないかと考えるようになった。ご参考までに。

出題)「金目当ての殺しという線を警察はすぐに退けた」をロシア語にせよ。

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2017年01月29日

●和文露訳要覧第171回

出題)「ウクライナ野郎オシープ・コヴァリ名義のパスポートを自分用に私は作った」をロシア語にせよ。

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2017年02月03日

●和文露訳要覧第172回

『和文露訳要覧』に下記のように変更を加えた。

3-1-4-2 過程や状態を示す動詞との違い

 過程の動詞は動作が遂行途中である事を示すが、遂行動詞における動作は全一的なもので、1/2の動作や1/3の動作という観念はなく、動作全てを発話の始まりから終わりまでを過程のニュアンスをもって示す、いわば時間的に非常に短い志向の動詞に近いと言える。過程のニュアンスがあるので、動作の全一性を示すが不完了体現在形が用いられることになる。過程の動詞は補語をつければ別だが、状態動詞と同様動作の始まりと終わりを示さない。遂行の動詞は動作の終了後、その結果が存続していることを示している。

(彼は今階段を上っているところだ)Он сейчас поднимается по леснице. <過程の動詞>
(仲間のことは保証する)За ребят ручаюсь. <遂行動詞>
(彼は草の上に横になっている)Он лежит на траве. <状態動詞>

出題)「国には犯罪の波が押し寄せた」をロシア語にせよ。

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2017年02月04日

●和文露訳要覧第173回

生まれ変わり(転生)について考え見た。生まれ変わりはごく少ない例ながら、前世の記憶を持って生まれる子供がいると言われるが、例外的であり、我々にはそのような記憶がない。ないから前世がないとも、あるとも言えない。奈良時代の神道では死ねば魂は山の彼方へ去るというもので、神話から判断するに死は穢れと考えられ、そのためか今に至るまで神社には墓はない。江戸時代末期になって仏教の影響もあって、死ねば荒魂(あらたま)となり、悪さをする場合もあり、そうならないよう死んだ人の霊を慰める(鎮める)ことが必要とされ、法要が行われるようになった。33回忌で荒魂は和魂(にぎたま)となり、先祖たちの霊と一体化するとする説も現れた。

 なかなか面白い説であり、自分なりに生まれ変わりについて考えてみた。仮に宇宙に精神統一体みたいなものがあって、生まれてくる微生物や虫、植物、動物、人間に、その一部(霊)が生まれる瞬間に舞い降りてくるとしようか。その生物の脳の仕組み(霊的能力)によって、その発現が制限されるが、人間ではかなりその発現力が発揮され、それ以上の存在(あるとすれば)ではそれ以上に発揮されるが、死ねば母体の精神統一体に戻るのではと最近考えるようになった。そうすれば前世と言っても、同じ精神統一体であるから、稀にその記憶が精神統一体の近隣の部分にあれば、次に生れる時に思い出すということもあるかもしれない。生き物は皆同じで宇宙規模で輪廻するということになる。

出題)「高価なパンプスを履くと、女性は歩き方も違う」をロシア語にせよ。

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2017年02月05日

●和文露訳要覧第174回

『和文露訳要覧』9-13項にいくつか書き加えた。

 「それは大きな喜びだった」という文を訳すと、

Это была большая радость. <Этоは繋辞で、主語はбольшая радость>
(彼は何週間も後に来るはずだったが、彼は母をびっくりさせたかった。それは大きな喜びだったから)Он должен был приехать неделей позже, но ему хотелось сделать матери сюрприз. Это было большой радостью. <主語はЭто>

 となるが、最初のЭтоは繋辞であり、英語の形式主語itの動詞支配がないものと思えばよい。二つ目の文は、この文単独で存在できるのではなく、次のような先行する文が不可欠だと思う。つまり、二つ目の文のЭтоは文の内容全体(9-9-2項参照)を受けており、単に主語としての役割を果たしているに過ぎないと思われる。тоにも同様の用法がある。

(それは私にとって忘れられない日だった)То был памятный для меня день. <主語はпамятный для меня деньであり、то = это)

出題)「俺は2時間お前を待っているんだ」をロシア語にせよ。

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2017年02月10日

●和文露訳要覧第175回

ある翻訳家(大学教授)が和訳をする上で、できるだロシア語の名詞は日本語の名詞、動詞は動詞と訳すのが精確な訳だと翻訳論を述べたことがあるが、それは間違いである。ロシア語と日本語は構造的にまったく違う。そのため翻訳には機能文法的なアプローチが欠かせない。原文の意図することを精確に訳すのであれば、品詞の一致を特に考える必要はない。一字一句翻訳において品詞の一致をするというのであれば、それは曲芸のようなものであり、多くの場合文意がぎこちなくなる。そういう盲信から離れて、文意の通る訳を目指すべきである。

出題)「捜査員たちが彼の後を追って駆け出し、もう追いつこうとしたその時、彼は上着の下からピストルを取りだした」をロシア語にせよ。

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2017年02月11日

●和文露訳要覧第176回

出題)「クリスタノーヴィチに重要な仕事がまかされた」をロシア語にせよ。

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2017年02月12日

●和文露訳要覧第177回

出題)「回想録の入手は幸運な成り行きのおかげである」をロシア語にせよ。

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2017年02月17日

●和文露訳要覧第178回

Авторитет, или подчинение без насилия.(権威、それは暴力なき服従)を、「権威、あるいは暴力なき服従」というように、илиを間違って直訳しているのをよく見かける。これは英語のorと同じ用法で、то есть(つまり), иначе(換言すれば)という意味である。

出題)「急ブレーキをかけると前輪がスリップします」をロシア語にせよ。

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2017年02月18日

●和文露訳要覧第179回

マスコミで紹介される遺族の談話などでは、「天国のお母さん云々」というような話をよく聞く。我々日本人はほとんどが神道や仏教だから、浄土や極楽ではないかなどという瑣末なことはともかく、多くの日本人はあの世はあると考えているようだ。私個人としては、子、怪力乱神を語らずと論語にもあるように、あるかどうか分からないものに対しては不可知論の立場である。つまり、ないとか、あるとか決めつけるようなことはしないということである。しかしながら、ガイドをしている時に、ロシア人に対して日本人庶民の死生観や葬式のあり方(なぜ葬式をするのかも含めて)を尋ねられることも多く、それなりの回答を用意しておくべきだと思い、これまでいろいろその種の本も読んできた。最近読んだ本で感心したのが『日本人の死生観』(五来重、角川選書、1994)である。この類の本では同じ標題の『日本人の死生観』(加藤周一他、岩波新書、1977)があるが、これはは乃木希典、森鴎外、中江兆民、河上肇、正宗白鳥、三島由紀夫という日本の(知的?)エリートの死にまつわる評伝であり、これはこれで面白いが、これを、日本人全体を代表する死生観として取り上げることには大いに疑問である。五来氏の著書は正に日本の庶民の来世観を墓制と共に取り上げたもので、外国人向けのガイドをする上での必読書と言える。

我が国は古来より死者は死の直後は荒魂(あらみたま、あらたま、新魂)となるが、これは祟りやすいとされ、鎮魂(子孫の供養など)により死者の罪が清められ、年を経て和魂(にぎみたま、にぎたま)という子孫を慈しみ、恩寵を与えるものになるという、いわば霊魂昇華説が日本人の宗教感情の根底にあるからだと述べておられる。江戸時代には33回忌で死者の魂は祖先の霊と一体化するという説も生まれた。

殯(もがり)は荒魂を封じて置くために、遺体を土の上に置き、四方を木などで囲んだもので、風葬のようなものであり、3ヶ月から2年、6年(平均2年)と遺体を風化させておくものだという。葬儀は荒魂を鎮める鎮魂の儀式であり、墓は荒魂を封じておく構造物だったという。もがりは7世紀の大化の薄葬令で公には禁止されたが、その後も庶民の間では細々と続き、土饅頭などの土葬、700年の僧道昭に始まる火葬に代わって行った。これは遺体が腐敗していくのをそのままにしておくのは忍びないということもあったのかもしれない。

出題)「すべて私の体調の悪いのは、まず第一に喫煙のせいだ」をロシア語にせよ。

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2017年02月19日

●和文露訳要覧第180回

新橋駅地下にあるシュークリーム屋さんでプロフィトロールが売られていた。プチシューのようなもので、クリームがかかっている。話のタネにと、それとこの頃シュークリームにはまっているので、買って食べてみた。おいしいが、私には普通のシュークリームで十分だ。ロシアでもпрофитрольというプチシューが売られており、アカデミー版の露露辞典にも収録されているから、ロシア語ではあるが、フランス語由来であろう。なぜこんなことを書くかというと、シュークリームをロシア語で何というか悩んだことがあり、結局サイズは違うが、профитрольとするしかないという結論を得た。ただ中の餡が甘いものの他に、しょっぱいものもあるという点がどうかなという気はする。

出題)「あなたの子供が欲しいの」をロシア語にせよ。

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2017年02月24日

●和文露訳要覧第181回

太平洋戦争で戦没された方の遺骨(英霊)収集についての記事を目にすることがある。これは我が国において、火葬の後、骨拾い(骨揚げ)し、骨壺に納めて、それから納骨するという一般的な葬儀と関係しているからであり、骨尊崇の思想があるからであろう。これに関して『死の民俗学』(山折哲雄、岩波書店、1990年)に興味深い記述があるのを見つけた。イギリスの歴史家ジョン・マクマナーズの『死と啓蒙』に世界の奇習の一つとして骨拾いが挙げられているという。日本でも骨尊崇の思想は昔からのものではなく、古来日本ではもがりのような風葬のあと、庶民においては遺骨は川に流すか、土に埋めるか、野ざらしにするとか、骨に特に執着しなかったが、仏教渡来と共に仏舎利崇拝が6世紀ごろから貴族階級に広まり始め、それが11世紀ごろ(藤原道長の時代)から、骨を依代とする考え方が庶民にも伝わるようになったのではないかとある。

出題)「7月18日はモスクワ郊外の警察にとってついていない日だった」をロシア語にせよ。

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2017年02月25日

●和文露訳要覧第182回

最近葬儀に列席することもあって、ロシアの火葬について調べてみた。ロシア正教は回教同様火葬を認めていないが、ソ連時代は大都市では場所の不足や衛生の面から火葬が奨励され、火葬の後納骨堂колумбарийに葬られた。納骨堂は壁が納骨壇ячейкаとなっており、そこに骨壺урна с прахомと共に納骨された。現在でも墓地に土葬するというのはお金がかかるわけで、マフィアの親分や有名芸能人、政治家、金持ちはともかく、庶民の間では火葬が多いようである。ロシアでもっとも有名な納骨堂はクレムリンの壁で、片山潜やスターリンなど115柱が葬られている。

出題)「彼はそこで、爆発現場で死んだかもしれなかったが、彼を救ったのはその場に居合わせた医師だった」をロシア語にせよ。

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