2016年11月12日
●和文露訳要覧第129回
和文露訳をする時に、ロシア語と日本語の文法的な違いはあるにせよ、同じ人間である以上、考え方は本質的に同じであろうと考える。ただ日本人とロシア人との歴史的、民族的、風土的発想の違いは少なからずあり、それを前もって学ぶ姿勢が大切であることは言うまでもない。この補正的要素、つまりロシアの庶民の常識を学ぶ教材はほとんどなく、学習者個個人が自分で自己啓発するより道はないのが現状である。
出題)「彼の金、貴重品、証明書類には暗殺者は手を触れなかった」をロシア語にせよ。
Киллер не трогал его деньги, ценности, документы и т.д..
動作の無でнвとしました。よろしくお願いします。
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出題には「~など」はありません。и т. д.であって、точкаは二つ書くのは間違いです。私の答えは、Его деньги, ценности и документы киллер не трогал.
Убийца не тронул руками по крайней мере его денег, ценных вещей и письменных оказательств.
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否定文に完了体というのは、動作がなかった場合にはおかしいわけですし、お答えでは、手では触らなかったが、何か他のもので触ったというようなニュアンスになります。「少なくとも」は出題にはありません。補語に否定生格が来ていますが、現代とシア語では、補語の場合、具体的なものは否定文においても対格が来ます。否定生格が使えるのは抽象名詞の場合です。書面の証拠と証明書類は違うと思います。
Убийца не трогал руками его денег, драгоценностей и документов свидетельства.
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否定生格についてはブーチャンさんの解説をお読みください。рукамиと直訳する必要はありません。документы свидетельстваとは言わないでしょう。アカデミー版の露露辞典では、документ = удостоверение, подтверждающее личность предъявителя или содержащее определённоые сведения и т. п. деятельностиですから、ロシアで言う国内パスポート、日本では運転免許証、個人識別カードなどの身分証明書を指すことは明らかです。
1.Его деньги, ценные вещи, и удостоверения были не тронуты руками убийцы.
2.Его деньги, ценные вещи, и удостоверения совсем не привлекли внимания убийцы.
宜しく御願い致します。
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1. иの前のカンマは取るべきです。рукамиも直訳過ぎます。それとне былиでしょう。2. は注意を引かなかったとは出題からは分かりません。注意を引いても、泥棒ではないので取らなかったと考えるのが普通です。