2017年01月01日

●和文露訳要覧第156回

明けましておめでとうございます。С Новым Годом! 今年もよろしく。

出題)「負傷した襲撃犯は病院に搬送された」をロシア語にせよ。

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2017年01月02日

●和文露訳要覧第157回

この1年ほど平日はサラリーマンをしているので、正月などは休日の有難味を大いに感じている。休日は「和文露訳要覧」の添削をするのと、その問題集めも兼ねて、いろいろなロシア語の本を精読している。今は各10ページずつ、犯罪ドキュメンタリーБандиты эпохи Ельцына, Раззаков, Книжный мир, 2016、1930年代に書かれた未完のユーモア探偵小説Как я была пинкертоном, Раневская, Яуза-пресс, 2016、そしてボンダルコ先生の機能文法と体の用法Принципы функциональной грамматики и вопросы аспектологии, Бондарко, URSS, 2016である。和露辞典の方も9万ほどの項目がすでに集まっており、毎日推敲に精を出している。そのためにもいろいろな日本語の小説を読んでいる。有川浩(『図書館戦争』ではなく、『空飛ぶ広報室』、『県庁おもてなし課』など)のとか、警察小説などを読んで和露用の語彙を拾っている。ロシア語にしたらどういうのが適訳かを考えている時が一番楽しい。この調子だと和露辞典の完成も後4~5年かかるかもしれない。

出題)「後にその言葉を彼は思い出す事になるが、その時にはそれらに注意を払わなかった」をロシア語にせよ。

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2017年01月03日

●和文露訳要覧第158回

「あなたと私」はロシア語では普通мы с вамиと言うが、Я с вами.という文例を見つけたのでお知らせする。出かける場面で、ОГПУ(後のKGB)の担当者が、被疑者たちに言う言葉であり、私はお前たちと同じグループに属していないというニュアンスを感じた。

出題)「その事件の翌日にはもう多くの新聞がその出来事について書いた」をロシア語にせよ。

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2017年01月07日

●和文露訳要覧第159回

出題)「殺そうとしたが、殺さなかった」をロシア語にせよ。

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2017年01月08日

●和文露訳要覧第160回

出題)「政府はこの事件に関する貴重な情報の提供者には25万ドルの懸賞を出すと発表した」をロシア語にせよ。

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2017年01月09日

●和文露訳要覧第161回

出題)「1年の間この秘密は多くの人の頭を悩ました」をロシア語にせよ。

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2017年01月13日

●和文露訳要覧第162回

『和文露訳要覧』に下記のように加筆した。

2-2-7 完了体が使える継続

 期間の具体的に限定された継続はпо-(必要な、あるいは望む期間より短い、「ちょっと、少しのというニュアンス」)やпро-(十分な期間、必要な、又は望むより長い期間)という接続詞のついた完了体で示す。これは未来の時制においても同様である。

(祖母は私たちのところに半年暮らして、再び帰って行った)Бабушка пожила у нас полгода и снова уехала.
(何時間も日向ぼっこをして。それはとても体に悪いよ)Ты пролежала несколько часов на солнце, это очень вредно.

 厳密に言えば、不完了体の継続(3-1-3-1項)が動作の完遂されていない経過報告のようなものであるのに対し、この種の完了体は期間の区切りを示しており、その区切りまでで継続するという動作が終了しており、この区切りが時間軸の一点момент времениを示す事で、1回の具体的動作を表現していることになる。

出題)「これを戦友から隠す理由がなかった」をロシア語にせよ。

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2017年01月14日

●和文露訳要覧第163回

出題)「無関心を装うのは彼にとっては問題ではない」をロシア語にせよ。

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2017年01月15日

●和文露訳要覧第164回

出題)「それはあなたと彼女の問題よ」をロシア語にせよ。

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2017年01月20日

●和文露訳要覧第165回

完了体は過程を示す事が出来ないということが体の本質であることは前に述べた。過程には動作動詞による動的過程(進行形)と3-1-6項(状態動詞)で述べる静的過程があり、静的過程には二次元や三次元方向の動きがないとは言え、時間的経過があるわけで、過程の重要な要素である。

出題)「彼は整形手術を受けた」をロシア語にせよ。

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2017年01月21日

●和文露訳要覧第166回

日本語の「~したことがある」という経験の用法も、露訳すれば動作の有無の確認の有無の一つではあるが、обедатьなど日常動作の規則的反復を意味する動詞は経験の意味に用いられない。これは経験というものが非日常で用いられるものだからであろう。

(今日散歩しましたか?)Вы гуляли сегодня?

出題)「彼女は出来心からブローチを取ってしまった」をロシア語にせよ。

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2017年01月22日

●和文露訳要覧第167回

『和部露訳要覧』4-1-1-1項に下記追記願う。

<動作の有無の確認のまとめ>

 2-1-1-1項において過去の時制の動作の有無の確認について述べたが、動作の有無の確認の用法は過去、未来のみならず、現在や不定法にもある。そこで動作の有無の確認のまとめをしておこう。現在の時制では動作の有無が動作の前提となっており、さらに過程などの用法が重なって体の特徴を形作るため、詳細は3-1を参照されたい。
完了体は不完了体と違い、1回の具体的動作を示す。単なる具体的動作ではなく、1回の、「いつ」、つまり期間ではなく、時間軸の1点момент времениにおける過去や未来における具体的動作であって、場所ではない。そのため疑問詞との組み合わせでは、疑問詞に文の焦点が来ることが多いこともあり、不完了体が来ることが多い。
一方、体の用法を完了体の側からではなく、不完了体の側から見れば、不完了体の本質は動作の有無の確認であり、これは主語 + 動詞の疑問文という構文なら理解しやすいだろう。

(お昼召しあがりになりましたか?)Вы обедали? <昼を食べたかどうか聞いているだけで、文字通り他意はない>
(スヴェルクーノヴォ、次の駅はドロフェーエヴォ!お降りになる方はいらっしゃいますか?)Сверкуново, следующая – Дорофеево! Будет кто выходить? <未来の時制の場合бытьの未来形が動作の有無の指標となっている>
(具だくさんスープを食べるかい、そこの彼氏?)Похлёбку есть будешь, кавалер? <同上>

しかし、補語が付加されるにつれて、内容はより具体的になってゆくわけで、この内容の具体化が過去や未来の時制で進めば、完了体との使い分けに悩む場面も出てこよう。文につく補語は直接補語(対格)、間接補語(与格)の他に、TPO(いつ、どこで、どのように)が考えられるが、完了体にとって重要なのは、「いつ」であり、それも期間периодではなく、時間軸の一点момент времениである。一方、不完了体では「いつ」は「いつ」でも期間периодが扱う対象となる。
2016年に逝去されたボンダールコБондарко先生の『機能文法の原則とアスペクト研究の諸問題』Принципы функциональной грамматики и вопросы аспектологии, URSS, 2016から抜き出して、動作の有無の確認(動作の名指しобообщённо-фактическая функция)の用法の特性につき解説する。
 動作の有無の確認というのは、動作に関する最大限に一般的(非具体的)情報を伝えることにある。

a) 動作の有無に関する情報
(彼に手紙を書きましたか?)Вы ему писали?
b) 特定な状況であれ、一般的な状況であれ、こういう場合には一般的にこうなるというような情報
(こういうものと別れるの残念だ)Жаль расставаться с этой вещью?
(果たしてそのような言葉を投げかけてよいものだろうか)Разве можно бросать такими словами?

 動作の有無の確認の用法かどうかを見分けるポイントは次の通り: < >内は私のコメント。

1. 動作が1回であるか反復であるかを問題にしない。 <ということは1回の動作でも示せるということになる>
2. 結果の達成かそうでないかを問題にしない。 <聞き手にとってはどっちでもいいけれどというニュアンスがある>
3. 動作の有無そのものが強調されており、結果の存続とは一線を画す。
4. 順次的動作ではない。

(失礼ですが、どこでバナナをお求めですか)Простите, где вы покупали бананы? <バナナを持って歩いている人に対して。みなし(見立て)反復2-1-6-1項参照>

「アンドレイは電話してきたか?」は不完了体でも完了体でも露訳可能であるが、ニュアンスの違いはある。

Андрей звонил? <不完了体の典型的な動作の有無の確認の用法であり、この発話を見る限り、聞き手は電話があったかどうかには特に関心はない>
Андрей позвонил? <完了体の持つ叙想(主観的)ニュアンスがあり、電話してくれるのを期待していたというニュアンス>

不完了体の動作の有無の確認は、過去の時制では完了体の結果の存続перфектと、未来の時制においては完遂の用法と対立する。

出題)「この死は世論の注目を浴びなかっただろうが、しかしである(しかし一つ問題がある)」をロシア語にせよ。

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2017年01月27日

●和文露訳要覧第169回

『和文露訳要覧』に下記のように一部追記した。

3-1-4-3-1 呼応的用法

идтиとбежатьという定動詞現在形一人称に代表的に見られ、「呼ばれたから行く、来る」という用法だが、日常会話ではよく耳にし、遂行動詞の告知型の変形と思われる。つまり、「行く」という動作そのものというよりは、動作内容を伝えていると考えるべきである。また定動詞は不完了体動詞であり、不完了体動詞には本来主観的な要素が欠如しているわけで、これらの動詞を用いるためには何かサイン(合図)が必要である。「助けて」という呼び声でも、宅配の人がドアのベルが鳴らすのでも、会社で、「~さん、電話ですよ」でもいいが、それを合図に「今行きます」Иду.(急ぐ時はБегу.)と告知することになる。気持ちの上では、この発話の終了直後には電話や、ドアなどにたどり着いているというニュアンスがある。ゆえに、この用法は予定の意味ではなく、不完了体の基本的な用法である場依存型である。Пошёл (Пошла)と完了体過去形の時制の転用を使うと、出発したというニュアンスのみで、場所を示す補語がない以上、電話やドアに辿り着いたというニュアンスは出せないことになる。

「だれか助けて」- Помогите, кто-нибудь!
「今行くぞぉー」- Иду-у-у!

 この他にも次の文の動詞にも遂行動詞としての告知のニュアンスがある。

(俺は手を引く)Я выхожу из игры. <不完了体を使っているので、主語である俺は状況から判断して手を引くのが当然と思っていることが分かる>

出題)「当直明けで帰宅する途中だった」をロシア語にせよ。

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2017年01月28日

●和文露訳要覧第170回

前回第169回の出題につき、「当直明けで帰宅する途中だった」とすべきところを、「非番明けで帰宅する途中だった」としてしまい、投稿者の皆様の貴重な時間を無駄にしたようで、誠に心苦しく思い、深くお詫びいたします。今後もこういうことがないように努めますが、歳のせいもあり、ご寛恕願います。

『和文露訳指南』にも『和文露訳要覧』にも、体の使い分けについて、「完了体は話し手が動作遂行の結果として、時間軸の特定、かつ無限小の不動の一点をイメージする」と書いたが、もう少し簡単に書けないか熟考した結果、「完了体は時間軸の一点で語義の動作が完結することを示し、不完了体は時間軸の一点で語義の動作や状態が起こっていることを示す」とした方が、分かりやすいのではないかと考えるようになった。ご参考までに。

出題)「金目当ての殺しという線を警察はすぐに退けた」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 11:46 | Comments [4]

2017年01月29日

●和文露訳要覧第171回

出題)「ウクライナ野郎オシープ・コヴァリ名義のパスポートを自分用に私は作った」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 11:39 | Comments [4]