2011年03月25日
●東日本巨大地震
東日本巨大地震、津波、福島原発事故で被害を受けた方々に謹んでお見舞い申し上げます。一日にも早い復興を祈っております。
このたびはロシアも155人の救援隊を送り、仙台周辺にベースキャンプを張り、災害救助車両、探索装置、ディーゼル発電機を持ち込み、112体の遺体を収容したとの報道に接しております。
さて節電を進め、買占めしないなど自分なりにできるだけお役に立ちたいとは思っておりますが、専門のロシア語を通じてなにかできないかと考えておりました。仕事で技術通訳・翻訳をしておりますから、ロシア救援隊のお礼も兼ねて在日ロシア人の方に翻訳をすればよいのでしょうが、それでは効率が悪いように思います。こういう必要な翻訳にみんなが少しずつ空いている時間に家でできるようなシステムづくりが必要だと思います。そこで私の提案ですが、
1) 翻訳するものを段落ごとに決まったサイト(管理人の許可が出るなら例えばロシアンぴろしきの掲示板)に投稿する。こうすればその段落の日本語の下に露訳をつけてゆけばよい。すぐ更新すれば(あるいは翻訳するという意思表示でもよい)、翻訳者が重なることはない。こういうサイトの設定や更新・運営はロシア語ができない人や翻訳に自信がない人にもできます。若い人でコンピューターに詳しい方などどうでしょう?
2) ロシア語の翻訳の援助はしたいが、翻訳をしたことがなく、単語や言い回しが分からないものがあるからと躊躇している方もおられるでしょう。無論分からない語彙が多ければ翻訳できませんが、少ないのであれば、私のようなプロの翻訳者が手伝えば翻訳できますし、翻訳の練習・勉強にもなります。
そこで翻訳したいが、語彙が分からないという人は、是非このコーナーに投稿ください。公開してより多くの人のお役に立てたいと思います。ただ誤解を避けるために申し上げますが、今私がそのような翻訳を依頼されているわけではありません。このような形でお手伝いできるのがベストと考えております。次の文章は何日か前に書いたものですが、ご参考になれば幸いです。
前に時事ロシア語はそれほど難しくはないと書いた。それは日本的な表現「たおやかな」とか「まったりした」とか、「腹芸」などに比べてという意味でもあるが、実際に和文解釈をする上で、例えば「被災地」をロシア語で何と言うか調べてみよう。無論和露辞典には載っていないだろう。技術関係の単語であれば、私は一応技術通訳のプロなので、露英技術辞典(4巻本収録語数50万語)や英露技術辞典(2巻本20万語)のほかにも、分野毎に(例えば鉄鋼関係の露英辞典、露和辞典、船舶関係の英露辞典、露英辞典など収録語数各10万語)専門事典を400種(冊数はもっと多い)所有しているからよほど最新の単語でなければ大抵は対応できる。ただよく使うのは所有している辞典の5%ほどである。技術の基本的な語彙を知っている人なら、露英技術辞典を英露のように活用できるテクニックもある。ただ時事ロシア語となると、名前の通り最近の語彙が多いため辞典は使えないことが多い。
そこでインターネットを使う。漫然とやってもしかたがないので、アルク社の無料和英辞典を使ってみる。被災地だとsuffered are, quake-stricken area, disaster(-stricken) areaなどが出て来る。今度は英露辞典(3巻本25万語収録)で見てみるが、時事関係には使えないことが分かった。それで露和辞典で苦しむという意味のстрадатьを見てみた。確かに「今苦しんでいる」からстрадающийかと思ったが、何もない。完了体の結果の現存と考えて、пострадавшийを見てみると、被災者とある。それでпострадавшие районыというのをヤンデックスでみてみると、いっぱい出て来る。これ一つでは言い換えが出来なく心細いので、もう一つぐらい見つけることにした。поразитьはどうだろうと調べてみるが、これは病気関係でないと使えないようだ。そこで和英に戻ってdisaster areaを直訳してみる。この場合の災害は天災だからбедствиеを使うはずと考えрайон бедсвияを、ヤンデックスで見ると、あった。
同様に「土壌の液状化」を調べてみる。「液状化」は液化だから技術用語ではсжижениеである。そこで直訳してみることにした。сжижение почвыをヤンデックスで見てゆくと、いくつか出てきて内容的にこれでいけそうだ。今回は非常にラッキーだった。無論技術用語なら、アルク社の和英辞典でliquefactionを見つけ、それをそのままヤンデックスで調べてもсжижениеは出て来るはずである。無論сжижениеのほかにожижиениеやразжижениеの単語が出てくる可能性はあるが、ヤンデックスで液状化とよく出て来る斜面склонなどと一緒に検索すれば正しいサイトに出くわす確率が高くなるはずである。
今回のような大規模災害はмассовые бедствияという。不要不急というのもよく聞くが、これはпока ненужныйでいいのではないか?また低体温症というのがあり、これはгипотермияで、力点はмиに来る。また今マスコミでよく使われる単位にシーベルトがあるが、ロシアではレムбэр (биологический эквивалент рентгена) やレントゲンрентген(複数生格はрентгеновまたは рентген)を使う。100レム(照射の生物学的作用を考慮した上でレントゲンとみなしてもよい)が1シーベルトに等しい。ロシアでも専門家は知っているので、一応ロシア語を書いておくとзиверт(単位はЗв)である。力点はиにくる。ベクレルはбеккерель (Бк)で、力点はреにくる。ガイガーカウンターは正式にはгазоразрядные счётчики Гейгера – Мюллераだが、普通はсчётчики Гейгераという。ガイガーカウンターは放射線の数だけ数えるもので、エネルギーを計るものではない。放射線の線量を計るものは線量計дозиметрという。力点はзиに来る。
2011年04月19日
●東日本大震災 第2回
昨年11月に某メーカーのウクライナグループの通訳をさせていただいたわけですが、その中にMr Oleksandr Slobodyanyuk (Vinnitsa市)という方がいらして、元旦に突然おめでとうの電話をいただいたり、メールで写真をもらったりしました。今回の大震災でも丁寧なお見舞いのメールをもらい、その上Western Union 経由1000ドルを私宛に送金され、これを大震災の被害者のために使ってほしいというので、福島県の災害本部あてに義援金として彼からの寄付であることを明記して本日送りました。福島県に送金したのは、彼が1986年に召集を受け、チェルノーブィリ原発30 kmゾーンで4カ月仕事につき、原発事故の怖さを身にしみて知っているというメールを受けたためでもあります。一度訪日した縁とはいえ、個人にとって1000ドルは大金です。世の中もなかなか捨てたものではないと思い、皆様にお知らせする次第です。