2007年02月02日

●帯研(第48回)

幸い拙著「ビジネスロシア語」の売れ行きがよく、発売後1週間で増刷が決まった。もっと売れて欲しい。本を出版した関係もあって、「ビジネスロシア語」に関するサイトを調べてみた。いろいろな大学で「ビジネスロシア語」という講座があり、某サイトではご親切にも「ビジネスロシア語」会話まで紹介している。ただ気になるのは、講師にはロシア人もおり、講師の先生方のロシア語のレベルは当然高いとは思うが、日露あるいは日ソのビジネスを5年以上(10年以上が望ましいが)経験された方が教えているのであろうか?日露ビジネスの経験もなくビジネス英語と同じつもりで教えているのであれば、随分実態とは違うものとなっているわけで生徒が気の毒である。チェーホフを読まずして、チェーホフについて語れないし、チェーホフの全作品を読んだからと言ってチェーホフ作品の講読を大学で講義できないだろう。同じことはビジネスロシア語にも言えるはずだ。例えば、実際のビジネスでのクレームでは、5W1Hをはっきりさせないと、ロシア側から何寝ぼけたことを言っているのかと言われる。それなのに、あるサイトにあるクレームの会話では、「貴社は何度もデリバリー(商品の納入поставка)が遅れたので、もう取引を止める云々」という会話が出てきたが、1回でも納入遅延があれば、その都度クレームを立てるわけで、具体的に船積状況(船名、日時、港)など詳しくクレームアクトに記入して相手に連絡するのが常識である。このようなあいまいな会話をクレームのつもりでロシア人に言えば、証拠も示さずにいい加減なことをいう奴だという事で、こういう担当者を代えてくれと言われるか、最悪取引停止となり、笑い事ではすまないのである。仮に商社に勤めていたといっても業務部(ソ連室やロシア室も含めて)の管理部門で営業を経験していなければ、実際のビジネスのやりとりを肌で感じたことにはならないのではないかと思う。日露のビジネス経験もなく教えているのであれば、ビジネスロシア語の看板を下ろして、一般ロシア語講座とすればよい。それはそれで役に立つこともあろう。実際の商談の流れについて書こうかと思ったが、長くなるので次回にする。今回は隠語に関する小話を一つ。多分勘や類推で正解に近いものを書けるかもしれないが、これらの隠語が載っている隠語辞典を見つけるのは大変だろう。今回は勘や類推でもよいので、訳にトライしてほしい。
Судья просит подсудимого описать произошедший случай. Подсудимый встаёт и начинает рассказывать: «Ну что три копейки диферить, попусту фармазонить, зашли мы с корешом Федькой в кабак, взяли два фанфурика, вмазали. Вышли – штифтами зыркаем, глядим – две клюшки киряют, штанами шуршат. Ну мы их за рога и в стойло на укол. А тут «кубики», баня свободная. Кости на сиденье кинули, поехали, рули – верти. Сперва по просеке Ленина, потом на хауз-камьюнике,а там всё пучком. Три свечурки горят, патефон играет, ну мы туда. И ту менты землю роют, шифером шуршат. Дверь с петель сняли, тут нас и загребили». Судья возмущён: «Подсудимый! Что за жаргон в зале суда?». Встаёт адвокат и говорит судье: «Заткни пасть, волк позорный. Чувак дело молотит».

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2007年02月06日

●帯研(第49回)

帯研参加者の高橋さんが、ついにロシア語初心者向けに露英和でアネクドートを自分のサイト「アネクドートの小窓 (http://anecdotenokomado.blog92.fc2.com/)」に掲載を始めた。同氏にはこの他に〔英語徒然日記~nikitaの窓~(http://d.hatena.ne.jp/nikita-diary/)〕というサイトもある。ロシア語(特に会話)が上達するためには、アネクドートが一番というのが私の持論であり、和文だけではなく、露和英で記載することにより、世界に発信することになったわけで慶賀に耐えない。ロシア語の原文があるので、誤訳があるかどうか多くの人にチェックされているわけだが、間違ったらすぐ訂正すればよいと思う。こういう風にロシアの大衆文化の紹介を世界(私はせいぜい日本だけだからうらやましい限りである)に発信するという試みは高く評価したい。世界とは言わず、日本国内で十分なので後に続かれる方が出ることを心から祈っている。
拙著「ビジネスロシア語」は日露貿易に関わるビジネスマンを対象としているので、日露ビジネスそのものは基本的に理解しているだろうという前提で書いている。ただ帯研には学生や主婦の方も、あるいはビジネスに無縁の方もいると思うので、実際の商談の流れについて書いておく。買手がある品物や製品が買いたいといって、それについての条件(技術条件や支払条件、数量)を記載したものが引合запросであり、それに対して売り手(メーカーや商社)が、その条件に類似の条件を提示したのがオファーofferまたは見積предложениеというものである。これで商談がまとまれば、ビジネスロシア語は必要ない。お互いにカタコトの英語が出来ればよい。しかしこのように、中古車や使い捨て注射器のように、だれもがどういうものかを知っていて、値段が安くて納期がOKなら成約(契約)するという商品は少ない。設備などでは、まず売り手が買手にプレゼンテーション(会社概要、製品紹介、特に特徴と長所の説明)презентацияを行う。相互に会社の業務内容、売り上げ、純利(税引き後)、業界シェアなどを説明する。プレゼンテーションには技術用語が頻出する。ビジネスロシア語というのは、専門用語ができないとお話にならないわけである。買手がメーカーを価格などの条件から2、3社に絞込み、テクネゴ(技術交渉 technical negotiations)を行い、技術的に問題ないか双方でチェックする。それでOKなら次にようやくコマネゴ(商談 commercial negotiations)となる。ここで納期、品質保証、支払い条件、価格が合意されることになるわけである。こういう商談の流れを大学のいわゆる「ビジネスロシア語」講座で教えているのだろうか?ビジネスロシア語には科学技術ロシア語などの専門用語の知識(魚のビジネスなら水産用語、木材なら林業用語)、専門用語を日本語、英語(ロシア人の提出用の日本のメーカーのカタログは英語で記載されていることが多いので)、ロシア語で理解することが不可欠だということがお分かりであろう。では初心者がビジネスロシア語の勉強をするにはどうしたらよいか?拙著を買って読むほかに(コピーや回し読みというのはとんでもない話である)、数字(年号、月日、時間、億などの金額)の和訳露訳が瞬間的に出来るようにする。具体的には電車や新聞の広告で特殊なものを除き基本的表現、数字表現を露訳する練習をするとよい。今回の課題は、
設問1)次の文で正しいもののみ訳せ。
1) Я люблю Достоевского, так же, как Толстого.
2) Я люблю писателя, как Толстой.
3) Я люблю Толстого как писателя.
4) В среде таких органических растворителей как сероуглерод
設問2)наを使って言い換え事ができると思うなら、示せ。
a) Он в плаще.
b) Она в темных очках.

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2007年02月08日

●帯研(第50回)

ついに50回を迎えた。参加者の御支持の賜物である。すでに100回分の課題は作ってある。せっかくだから後50回は続けて一応100回で終わりとしたい。100回以上やっても、出題が同じようなもので、ただ和訳せよでは参加者も飽きるし、第一勉強にはなるまい。私の出した課題と回答や解説は自分で保存しているが、参加者の回答やそれに対する私のコメントは保存していない。ご興味ある方は自分で保存願う。会話力разговорная практикаを向上させるために、ひとつ勧めたいことがある。それはオチの分かりやすくて、隠語や卑語のない会話の多い小話を1日1話ロシア語のテキストを手書きするかコンピューターにインプットしてから和訳する。これを丸暗記してしまう。そして1行ずつロシア語からでも日本語からでも日本語やロシア語に訳す練習をする。こうすればロシア語らしい会話の文章が自然に出てくるようになる。会話集にある文例は上級者には役立つが、中級者には前後のつながりのない短文が多いので、その文章が使える前段階の文章が分からないので、使えないことが多い。今回の課題は、
Вор спрашивает чёрную кошку, которая перебежала ему дорогу, когда он шёл на дело: «На кого работаешь?»
- Мур! – ответила та.
課題1)オチが分かるように訳せ。

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2007年02月09日

●帯研(第51回)

読書は個人の好みで何でもよい。チェーホフやブーニンの短編からはいるのもよいし、いろいろなものをSFも含め乱読するようにする。筆者が読んで面白かったもの及びロシア文学をやる上で筆者の考える必読書(*で記載した)を挙げる。詩は大して読んでないので入れていない。詩は今後の課題である。マスコミ、小話、会話で引用される詩(特にプーシュキン、レールモントフ、アフマートヴァなど)があるので、それはチェックしておく必要がある。どういうのが引用されやすいかは、ある程度まとめてから発表するようにしたい。有名なチェーホフの戯曲が入っていないのは、人間の心理を描く戯曲と言うのはあくまで素材であり、通常は俳優や監督が自分の解釈を入れて劇として完成させるわけで、素材のまま読んでも、読み手にそういう素養というかある程度の解釈できるロシア語のレベルがなければ面白さは分からないと考えるからである。無論チェーホフの戯曲はすべて読んだが、これらは劇として鑑賞すべきものだと思う。

Аксаковアクサーコフ Записки об уженье рыбы釣魚日記, Записки ружейного охотника оренбургской губернииオレンブルグ県狩猟日記, Семейная хроника家譜, Детские годы Багрова-внукаバグローフ孫の幼年時代
Библия聖書 *
Благовоブラゴヴォー Рассказы бабушкиおばあさんの物語
Булгаковブルガーコフ *Мастер и Маргарита巨匠とマルガリータ
Бунинブーニン Суходол涸谷
Виттеウィッテ Воспоминания回想録
Войновичボイノーヴィチ Жизнь и необыкновенные приключения солдата Ивана Ченкина兵士イワン・チョンキンの生涯と不思議な冒険, Москва 2042モスクワ2042年
Вострышевヴォーストルィシェフ Московские обывателиモスクワの住人
Гаршинガールシン Четыре дня 4日間, Attalea princes
Герценゲールツェン *Былое и думы過去と思索
Гиляровскийギリャローフスキー Москва и москвичиモスクワとモスクワの人々
Гогольゴーゴリ Тарас Бульбаタラス・ブーリバ, Ревизор検察官, *Мертвые души死せる魂
Горькийゴーリキー *В людях人々の中で, По Русиロシア中を, Детство幼年時代, *Жизнь Клима Самгинаクリム・サムギンの生涯
Григоворичグリゴローヴィチ Литературные воспоминания文学回想
Довлатовドヴラートフ Наши我らが一族
Достоевскийドストエーフスキー Неточка Незвановаニェートチカ・ネズヴァーノヴァ, Село Степанчиково и его обитателиスチェパーンチコヴォ村とその住人, *Преступление и наказание罪と罰, Бесы魔族, *Братья Карамазовыカラマーゾフの兄弟
Дудинцевドゥヂーンツェフ Белые одежды白衣
Дуроваドゥーロヴァ Записки русской амазонкиロシアのアマゾンの手記
Есенинエセーニン Автобиография略歴, Сергей Есенинセルゲイ・エセーニン
Жванецкийジュヴァニェーツキー Миниатюрыコント集
Зайцевザーイツェフ Дом в Пассиパッシーの建物, Аннаアンナ
Зощенкоゾーシシェンコ Перед восходом солнца朝日が昇る前に
Искандерイスカンデール Сандро из Чегемаチェゲム村のサンドロ, Стоянка человека人間の停車場, Детство Чикаチークの子供時代
Каверинカヴェーリン Ночной сторож, или Семь занимательных историй, рассказанных в городе Немухине в тысяча девятьсот неизвестном году19xx年ニェムーヒン市で噂となった7つの愉快な出来事, Верлиокаヴェルリオーカ
Карамзинカラムジーン *История государства российскогоロシア国史
Короленкоコロリェーンコ История моего современника我同時代人の歴史
Крестовскийクレストーフスキー Петербургские трущобы ペテルブルグのスラム
Крыловクルィローフ *Басни寓話集
Ключевскийクリュチェーフスキー *Курс русской историиロシア史講義
Купринクプリーン Яма魔窟, Гамбуринусガンブルヌス
Лесковレスコーフ *Соборяне僧院の人々, Очарованный странник魅入られた放浪者
Мельниковメーリニコフ *В лесах森の中で
Некрасов Вニェクラーソフ. В окопах Сталинградаスターリングラードの塹壕で
Пастернакパステルナーク *Доктор Живагоドクトルジバゴ
Пикульピークリ Исторические миниатюры歴史の小品
Помяловскийポミャローフスキー Очерки бурсы神学校ルポ
Пришвинプリーシュヴィン Календарь природы自然の暦
Пушкинプーシュキン Повести покойного Ивана Петровича Белкина故イワン・ペトローヴィチ・ベールキン物語, *История Пугачеваプガチョフ史
Пыляевプィリャーエフ Замечательные чудаки и оригиналы素晴らしき奇人変人
Раскинラースキン Энциклопедия Хулиганствующего Ортодокса暴走正統派百科
Репин Далекое близкое遠くて近きもの
Романовロマーノフ Застольная история государства Российскогоロシア国食卓史
Салтыков-Щедринサルトィコフ・シシェドリーン История одного городаある町の歴史, Пешехонская старинаペシェホンの古, господа Головлевыゴロヴリョーフ家の人々
Севера Э.セヴェーラ Легенды инвалидной улицы片輪通りの伝説, Мужской разговор в русской банеロシア式蒸し風呂での男の会話
Скороходовスコロホードフ Разговоры с Раневскойラニェ-フスカヤとの対話
Соловьев С. М.ソロヴィヨーフ *История России с древнейших времен古代からのロシア史
Соллогуб Тарантас旅行馬車
Сологубソログープ *Мелкий бес小人(しょうじん)
Станиславскийスタニスラーフスキー Моя жизнь в искусстве芸術における我生涯
Толстой А.К.トルストーイ Семья вурдалака吸血鬼一家, Артемий Семенович Бервенковскийアルチェーミー・セミョーノヴィチ・ベルヴェンコーフスキー
Толстой Л.Н.トルストーイ Детство幼年時代, *Анна Каренинаアンナ・カレーニナ, *Война и мир戦争と平和, Холстомерホルストメール, Крейцерева сонатаクロイツェルソナタ, Отец Сергий神父セールギー, Воскресенье復活, Фальшивый купон偽クーポン
Тургеневトゥルゲーニェフ Дневник охотника猟人日記, Дворянское гнездо貴族の巣, Отцы и дети父と子, Мумуムムー, Асяアーシャ, Первая любовь初恋
Успенский Г.И.ウスペンスキー Нравы Растеряевой улицыラスチェリャーエヴァヤ通りの気質
Утесовウチョーソフ *Спасибо, сердце心よ、ありがとう
Чеховチェーホフ Ионычイオーヌィチ, Палата № 6第6号病棟, *Попрыгуньяはねっかえり, Человек в футляре殻男, В овраге谷間で, Черный монах黒衣の僧, Каштанкаカシュターンカ, Шуточкаちょっとしたいたずら
Чуевチューエフ 140 бесед с Молотовымモロトフとの140の会話
Чуковскийチューコーフスキー От двух до пяти二つから五つまで、Живой как жизнь実生活のように生きた(言葉)
Шаламовシャラーモフ *Колымские рассказыコルィマー物語, Очерки преступного мира犯罪世界ルポ
Шмелевシュメリョーフ *Лето господне主の夏, Богомолье巡礼
Шолоховショーロホフ *Тихий Дон静かなるドン, Судьба человека人間の運命
Щегловシシェグローフ Фаина Раневскаяファイーナ・ラニェーフスカヤ
Эренбургエレンブルグ  Оттепель雪解け; Люди, годы, жизнь人々、歳月、人生
今回の課題は小話ではないのでオチを考えて貴重な時間をつぶさないように。
- Она всё тут с артистом одним ездит.
- С каким артистом?
-Да не знаю...Говорят, что артист.
設問1)和訳せよ。
設問2)даとнеが一つの文に混在する正しい文を作れ。二つの対話にしてもよい。

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2007年02月10日

●帯研(第52回)

これまでロシア語でソ連ロシア文学を560冊読んだわけだが、私の選んだベストテンを上位から紹介したい。
1)ドクトルジバゴ Доктор Живаго、パステルナーク Пастернак作
2)コルィマー物語Колымские рассказы、シャラーモフШаламов作
3)アンナ・カレーニナАнна Каренина、トルストイЛ. Толстой作
4)カラマーゾフの兄弟Братья Карамазовы、ドストエーフスキーДостоевский作
5)戦争と平和Война и мир、トルストイЛ. Толстой作
6)罪と罰Преступление и наказание、ドストエーフスキーДостоевский作
7)主の夏Лето господне、シュメリョーフШмелёв
8)ロシア式蒸し風呂での男の話Мужской разговор в русской бане、セヴェーラСевела
9)チェゲム村のサンドロСандро из Чегема、イスカンデールИскандер作
10)回想録Воспоминания、ウィッテВитте作
今回の課題は、
- Это вы подбили танк?
- Я.
- А вы знаете, что это был советский танк?!
- Я, я.
設問1)訳せ。
設問2)オチを説明せよ。

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2007年02月12日

●帯研(第53回)

学習者の手近にロシア人がいれば、そのロシア人に自分の作った露文をチェックしてもらうというのは自然なことだが、ロシア人が見ているのは露文そのものがロシア語としておかしくはないかということである。あるいは親切なロシア人なら自分ならこう書くと直してくれるも多い。ただ元の和文のニュアンスが分かるほど日本語が出来るロシア人はそんなにいないということを頭に入れておくべきだ。ロシア人から「この露文はロシア語としておかしい」と言われても、案外テニヲハ程度のミスやそのロシア人の好みに合わないということで、本質的には原文の和文とそれほど違わないということもよくあることだ。聞けるなら、文法のミスか、標準語法ではないのか、そのロシア人の好みなのかよく確認する必要がある。無論そこまで聞くにはロハでということではなく、授業料を払うべきだとは思う。
Самый короткий анекдот:
Еврей – дворник.
設問1)オチを説明せよ。

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2007年02月15日

●帯研(第54回)

日本の大学のいろいろなロシア関係の先生方がロシア全般について一冊にまとめて書いてある本で、ある女性の先生が、ロシア人と酒について書いていた。「いい若い者が昼間っからビール瓶片手にビールで酔っ払っているとは情けない」という趣旨だったと思う。ロシア人と酒について何か根本的に誤解していることがわかる。ビールで酔っ払うロシア人というのを見たことはない。ビール瓶を持って酔っ払っているなら、多分ウオッカをしこたま飲んで、のどが渇いたのでビールを口直しに(せいぜい迎え酒に)飲んだというのが普通だろう。日本人の感覚で考えてはいけない。ロシア人が酔っ払うくらい飲むのだから、まあ二人で2本のウオッカ(500 ccずつ)を30分くらいで空けたのであろう。日本人で清酒の一升瓶を一晩で飲んだと自慢しても、ロシア人にとっては別に驚くにはあたらない。問題なのは単位時間とウオッカの量である。くれぐれもロシア人に酒で勝負しようなどと馬鹿なことは考えないようにしよう。今回の課題は技術関係が分からないと難しいかもしれない。技術関係はビジネスロシア語では多用されるし、ロシア語のプロを目指そうという人は、どんな仕事でも、ポルノであれ、技術であれ、訳せといわれたら訳すことができるように研鑽を積む必要があるのは言うまでもない。訳せるが、ポルノは品がないから訳さないというのは自由だ。今回は技術的な小話を。
Плакат: «Сталевары! Ваша сила в плавках!»
設問1)オチが分かるように訳せ。

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2007年02月16日

●帯研(第55回)

ロシア語に関して疑問が湧いてくるようになれば、ロシア語の力がついてきている証拠である。ただ疑問が出てくるようになるきっかけをつかめない人が多い。気取らずに文字通りどんなことでもロシア語で疑問に思ったことは?マークをつけてリストアップしておく。それからまず辞書や文法書で自分の力で答えを見出すよう努力をすべきだ。その過程でわき道に入っても、それはそれで後で役に立つ知識がつくことになる。自分で何もしないで人から答えを聞こうと甘く考えても、そういう答えは決して身にはつかない。さて今回の課題は簡単なものを、
Гордый отец позвонил в редакцию одной газеты и сообщил, что его жена родила тройню. Однако редактор не понял его и прокричал в трубку.
- Вы можете повторить?
- Ну уж дудки! С меня хватит троих.
設問1)和訳せよ。
設問2)1行目позвонилを不完了体に代えることは可能か?

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2007年02月18日

●帯研(第56回)

サイトでロシア語関係の大学の講座を見ていると、通訳コースや同時通訳コースというのがある。生徒の人気を集めるためだろうが、ロシア語の初歩から始めた生徒がこういうレベルに2年や3年でなれると考えるのはおかしいし、そう考える生徒も無論おかしい。ロシア語はそれほど甘いものではない。中学で始める英語ですら、ごく一部の人たち(高校時代に留学したとか)は別にして、大学で同時通訳のコースを受講できる資格のある人はそんなにいまい。ましてやロシア語はである。生徒に気を引くばかりで実利のないコースを設けるくらいなら、自己通訳コースというのを設ければよい。つまり自分の言いたいこと(あるいは自分の口癖)や自分のよく使う日本語の構文(「~じゃない」とか「~が大事よねだ」とか「~かもね」の類)をロシア語にする練習を徹底的にする。自分の好きな分野(テレビでも、歌でも)ならロシア人に説明できるようなレベルに鍛えるというふうにすればよい。構文が使えれば後は単語の入れ替えだから実戦向きだと思うが如何?チェーホフやドストエフスキーの講読は教えられても、生徒にこのようなロシア語を教えられる先生がほとんどいないだろうとは思うが。
Штирлиц стрелял из двух пистолетов по очереди. Очередь за пивом заметно редела.
設問1)オチが分かるように訳せ。

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2007年02月21日

●帯研(第57回)

内向的な人と外向的な人のどちらがロシア語に向いているかと聞かれたら、語学は何年もかけてものにするものだから、内向的であっても、外向的であっても根気のある人が最後に笑うことになると思う。一般的に外向的な人は最初の2、3年ぐらいは進んでロシア人との会話もするし、表面的なロシア語の学力がついているように見えるが、外的刺激がなければ勉強を続けないような人が多い。通訳という職業はある意味で自分を殺すわけで、自分の言いたいことではなく、人の言うことを通訳するわけだから、程度問題だが内向的な人が向いていると思う。内向的というよりは、出しゃばらず、常識のある人ということになる。そういうわけなので、自分が外向的でないから通訳はできないと一人勝手に決めて、翻訳をと考える向きは考え直して欲しい。翻訳だけでも通訳だけでも食えないのに、どちらかだけに限ってしまうとますます食えなくなってしまうのはお分かりだと思うし、通訳の経験が翻訳に、翻訳の経験が通訳に役立つのだから。
Чапаевцы отбили у белых полустанок. При осмотре трофеев Василий Иванович и Петька обнаружили цистерну со спиртом.Чтобы бойцы не перепились, подписали C2H5(OH), надеясь, что бойцы химию знают слабо. Наутро все были «в стельку». Чапаев растормошили одного и спрашивает:
- Как нашли?
- Да просто. Искали мы, искали, вдруг смотрим – что-то на цистерне написано, а в скобках – (ОН). Попробовали – точно он.
設問1)和訳せよ。

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2007年02月23日

●帯研(第58回)

ロシア語の文法を独立したものとして教えるのではなく、いかに実戦で応用できるかという観点から、ネットで見かけるようなロシア語の文法書をただ和訳するのではなく、教える側が文法をよく消化して学習者に教えることが大切である。特に文法が会話力向上にどう役立つか具体例をもって説明すべきである。今回の課題は、
Встречаются два мужика на том свете.
- Ты как умер?
- Замёрз, а ты как?
- От смеха умер.
- Это как?
- Был я у лобовницы, звонок в дверь, муж пришёл. Я в панику. Она ему в дверь мусорное ведро подала, пока он ходил, я спокойно оделся и ушёл. Прихожу домой, звоню, а жена мне в дверь ведро протягивает. Я всё понял, ворвался в квартиру, везде все перерыл, а никого не нашёл. Сел на диван, смеяля, смеялся, от смеха и умер.
- Дурак, заглянул бы в холодильник, оба бы жили.

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2007年02月24日

●帯研(第59回)

拙著「ビジネスロシア語」の書評が初めて出たので紹介したい。JICインフォメーションwww.jic-web.co.jpというサイトのTOPICSの下のJICインフォメーションをクリックし、新刊のご案内というのに載っている。ご興味のある方はどうぞ。第2刷も出版され、2、3振り仮名のミスタイプを訂正した。さて内向的な人と外向的な人のどちらがロシア語に向いているかと聞かれたら、語学は何年もかけてものにするものだから、内向的であっても、外向的であっても根気のある人が最後に笑うことになると思う。一般的に外向的な人は最初の2、3年ぐらいは進んでロシア人との会話もするし、表面的なロシア語の学力がついているように見えるが、外的刺激がなければ勉強を続けないような人が多い。通訳という職業はある意味で自分を殺すわけで、自分の言いたいことではなく、人の言うことを通訳するわけだから、程度問題だが内向的な人が向いていると思う。内向的というよりは、出しゃばらず、常識のある人ということになる。そういうわけなので、自分が外向的でないから通訳はできないと一人勝手に決めて、翻訳をと考える向きは考え直して欲しい。翻訳だけでも通訳だけでも食えないのに、どちらかだけに限ってしまうとますます食えなくなってしまうのはお分かりだと思うし、通訳の経験が翻訳に、翻訳の経験が通訳に役立つのだから。
自分にとって何か面白いことやためになるなと思うことがあったら、エクセルにでもインプットしてデータベース化すれば、何年後かに役立つ可能性がある。ロシア語の語彙にしても然りである。集合知というのは、多くの人の知恵を集めるという意味もあるが、自分にも日々こつこつ何気なく集めた知識がいつか役に立つ、そういう集合知もあると思う。
今回の課題は、比較的簡単なものを。
Два ковбоя по прерии скачут.
- Джо, когда ты куришь, то смахиваешь на идиота.
- Хорошо, я буду смахивать в другую сторону.
設問1)オチが分かるように訳せ。

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2007年02月28日

●帯研(第60回)

ジューコフの自伝を読んでいて、ベルリン陥落のところでстремительная атакаという表現を見た。別になんてことはないもので、「集中した攻撃」、「素早い攻撃」というようなイメージが頭に浮かぶ。アマ(素人)ならこういうイメージだけで読み進んでよいが、通訳でも翻訳でもプロになろうという人はこれで止めてはいけない。ロシア語をイメージだけで読むのは考えるほど難しいことではないし、そのイメージ自体が感覚だけで正しい文法や語彙の理解に支えられていないと、誤訳を一生引きずることになる。理解した気になるというのが一番怖いということにアマは往々にして気がつかない。アマはそれでも実害はないが、プロは金をもらっている以上それでは済まない。プロには文脈に沿った的確な表現で日本語あるいは(日本語からなら)ロシア語にできるかが要求されているのである。そのためには露和だけでなく、訳に疑問が出たら露露辞典を引く癖をつけるべきである。Стремительный にはочень быстрый, отличающийся быстротой движенийとあるので、例えば「迅速な攻撃(これは露和にも載っている)」や「疾風怒濤の攻撃」というような訳を思いつくのもよい。全部を露露で引く必要はないし、そういう人は中級者とすら呼べない。取りあえずは訳する上で気になったところを辞書で見ればよい。露和は特定の文脈の訳ではなく、一般的な(多くの文脈で通じるような)訳が載っているということをよく理解し、露和に載っている訳を金科玉条とするのは辞典の編集者の意図とは異なるということをよく理解すべきだ。プロや上級を目指す人は露和に頼りすぎず(活用はするものの)、露露を頼り、また日本の文学や評論をよく読んで日本語の語彙を高めるのも重要であり、自動的に日本語訳やロシア語訳が出るように訓練を積むべきである。究極的には辞書を引かずに適訳が出るように努力すべきである。通訳はともかく翻訳者は辞書を引く時間があるので、そういう訓練は必要ないと考えるのであれば、それは間違っている。技術関係などの翻訳では提出日というのが設定されているわけで、適訳が早く出れば、訳全体のスピードが上がり、必ずといっていいくらい出てくる難訳語に対しても、余裕をもって調べることが出来るというものである。
Ребёнок подбегает к матери и спрашивает:
- Мама, разве вытрезвитель сгорел?
- Ты что, сынок, нет.
- А почему папа идёт по улице и поёт: «Враги сожгли родную хату».
設問1)和訳せよ。
設問2)オチを説明せよ。

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