2005年10月04日
●知られざるロシア (4) 喧嘩の作法
日本にも8世紀頃より石合戦といって庶民(子供も含めて)の鬱憤を晴らす風習があったが、ロシアでも古来より冬の農閑期に、民衆が日頃の鬱憤を晴らす手段としてのスポーツに近いルールのある集団的殴り合いкулачные боиが盛んだった。村では村対抗、19世紀には都市では工場や町対抗で行われ、モスクワではモスクワ河で数百人が殴りあったこともある。素手のみで戦い、鉛などの道具を使ったものは卑怯者として敵味方から半殺しにあい、肋骨を折られたという。頭、腹、胸を殴りあう。殴り合いの種類を挙げると、タイマンодин на один(1対1で拳に自信があるものによって行われ、戦士は尊敬を集めた)、стенка на стенку(または стенкиは双方が壁のように2列になって殴り合い、その壁を突破した側が勝ちと言うもの)、乱戦сцепляка-свалка(誰を殴っても構わないというものだが、非常に稀である)、モスクワ式レスリングмосковская борьба は足をかけて倒したりもしたものをいう。Стенка на стенкуが有名であり、現代映画でも見ることがある。