2016年04月01日
●和文露訳要覧第20回
ハシケはбаржаが一般的、乗客や貨物用で非自航船が多い、лихтерは波止場のないところでの本船への積み込み、積み下ろし用の非自航船。
出題)「不眠症はもう治った?」をロシア語にせよ。
2016年04月02日
●和文露訳要覧第21回
「発見する」обнаружитьが一般的、открытьは思いがけず、偶然発見するであり、раскрытьやвыявитьは完全に見つけるという意味である。
出題)「身の回りのものが歪んで見えるような感じがすることがよくありますか?」をロシア語にせよ。
2016年04月03日
●和文露訳要覧第22回
発酵には二つあり、брожениеは酒などの微生物による発酵で、ферментацияは紅茶の葉などに対するような酵素による酸化発酵である。
出題)「この事を誰にも言わないと約束してください」をロシア語にせよ。
2016年04月08日
●和文露訳要覧第23回
裁縫道具の針、および注射器や外科用の針はигла、時計や磁石、羅針盤の針はстрелка、計器の指針はуказтель、虫(ミツバチ、スズメバチ、蚊、アブ、蟻)のはжало という。
出題)「人には普通何らかの好みがある」をロシア語にせよ。
2016年04月09日
●和文露訳要覧第24回
преступность は犯罪一般や犯罪件数を指し、個々の犯罪や刑法上の罪という意味では преступление を使う。криминалは口語。
出題)「何語を話せますか?」をロシア語にせよ。
2016年04月10日
●和文露訳要覧第25回
未来の時制の否定文における体の用法というのも難しい。現在の時制であれば、не + 不完了体現在形を使うのが一般的で、これは現在この瞬間において、ゼロの反復も含めて動作がまったくないことを示す。広い意味の現在である、近接未来(発話時点のすぐ後に続くか、発話時点と融合した未来)ならば、не + 完了体未来形を使って近接未来完了の用法(否定の強調)となる。ややこしいのはне + 完了体未来形には完遂的用法の否定というのがあり、これは未来のある時点における動作の完了を示す未来完了の用法があり、これは文脈により区別するしかない。
また未来の時制の否定文に使われる意識的否定の用法(не + 不完了体未来形)と近接未来完了の否定文の違いは、意識的否定の用法は現在と関わりのない、少なくとも現在からは一拍置いた未来の動作を扱っているのに対し、近接未来完了の否定文は現在との結びつきが感じられるという点と、完了体の持つ具体性が感じられるという点である。会話における和文露訳で未来の時制における否定文を扱う際には、動作が現在と続いているという意識があるか、動作の具体性とその結果を意識していれば完了体未来形を、動作が現在から一拍置いた以降の未来であって、具体性をあまり意識しないのであれば不完了体未来形を使うようにすればよい。
(お前には〔今は、ここでは〕言わない)Я не скажу тебе об этом . <広い意味での現在の時制における否定の強調であり、具体性のニュアンス〔今は、ここでは〕がある>
(このことについてもう二度と言うつもりはありません)я больше не буду говорить об этом. <未来の時制における一切の動作の否定であり、具体性のニュアンスの欠如>
出題)「それはお任せします」をロシア語にせよ。
2016年04月12日
●和文露訳要覧第26回
美化を意味するэстетизацияは美的なものすることで、идеализацияは理想化、лакировкаは粉飾で、приукрашивание誇張することで、прекраснодушииеはおめでたい考え方を指す。
出題)「映画の時代設定は1950~70年代」をロシア語にせよ。
2016年04月13日
●和文露訳要覧第27回
結果の存続がアオリスト的用法から発生したということは日本語でも説明できる。「イワノフ氏が来た」を露訳するとしよう。
(イワノフ氏がたった今来た)Господин Иванов только что пришёл. <たった今とある以上、イワノフ氏はそこにいる可能性が高い→イワノフ氏は来ている>
(イワノフ氏が昨日来た)Вчера приходил господин Иванов. <昨日とあるのでприходил = пришёл и ушёлの可能性が高い→イワノフ氏が来ていた><このвчераは「昨日来て帰った」ということなので、時間軸の一点と言うよりは期間と考えた方がよい>
(イワノフ氏は昨日来た)Вчера пришёл господин Иванов. <今いるかどうかは不明>
言語は生きている人間が対象なので、絶対こうだとは言えないことを理解する必要がある。「たった今」とあっても、「たった今来て帰った」ということもあるので、全ては文脈次第である。
出題)「ゾンデの事故は偶然ではなかったと私は思っていたし、ずっとそう思っている」をロシア語にせよ。
2016年04月15日
●和文露訳要覧第28回
前々回のコメントで劇的現在を記録の現在と間違って書いてしまったので、この場を借りて訂正する。
出題)「そんなことを私がしたとすれば、自分の首を絞めることになったであろう」をロシア語にせよ。
2016年04月16日
●和文露訳要覧第29回
被害者という意味のжертваは事故、犯罪、病気など犠牲者、被害者を指し、потерпевшийは犯罪の被害者(法的な意味)、災害の罹災者、被災者で、пострадавшийは怪我、損害、不具、嫌なこと、不幸を受けた人というニュアンスである。
出題)「僕の背広知りませんか?」をロシア語にせよ。
2016年04月17日
●和文露訳要覧第30回
刑事事件で告訴され、裁判に付されるまでの被告人をобвиняемыйと呼び、公判(裁判所に起訴された後)、裁判においてはподсудимыйと呼ぶ。民事では被告ответчикとなり、原告はистец, истицаであり、弁護士から見れば被告、被告人はподзащитный である。
出題)「もし検査官たちが試験用コンピューターの誤作動、ないしは作動において他に何らかの欠陥を見逃したのなら、彼らに責任があるのか、あるとすればどんな責任が?」をロシア語にせよ。
2016年04月22日
●和文露訳要覧第31回
истерияはヒステリーという病気であり、истерика は号泣、大声などのヒステリーの発作・症状を指し、психозは社会的な現象として、массовые психозы(集団ヒステリー)などと使う。
出題)「その姿はこの世のものとは思われない」をロシア語にせよ。
2016年04月23日
●和文露訳要覧第32回
потребностьは常時およびその時点での必要性であり、нужда(口語)やнадобность(やや廃語的)はその時点での必要性を示す。
出題)「彼女のどんな動きも前もって読まれていた」をロシア語にせよ。
2016年04月24日
●和文露訳要覧第33回
『和文露訳指南』2-1-8-10項として下記を追加する。
能動形動詞現在にも歴史的現在の用法がある。ポーランドのSF作家スタニスワフ・レムСтанислав Лемの『月夜Лунная ночь』というラジオ用戯曲のト書き(ポーランド語からロシア語への翻訳)に、次のような一節がある。
(ブロップ: お前の手は震えている。気をつけろ。コップを落とすぞ)Бропп. .....Руки у тебя дрожат – смотри, стакан выронишь!
(コップが落ちて、割れる音)Звук падающего и разбивающегося стакана.
(ミルス: 嘘だ!コップを割ったのはお前だ!)Миллс. Неправда! Это ты разбил стакан!
動作は順次的でアオリスト的用法であることが分かる。
出題)「夜毎私はうなされるようになった」をロシア語にせよ。
2016年04月28日
●和文露訳要覧第34回
非難という意味では、упрёк, осуждениеが一般的で、порицаниеは意味が強く、弾劾などと訳す。укорとукорищеは意味が弱く、咎めぐらい、попрёкиは複数で普通用い、根拠のない激しい非難を指す。
出題)「石鹸で手を洗いましたか?」をロシア語にせよ。
2016年04月29日
●和文露訳要覧第35回
『和文露訳指南』にも書いた通り、命令法の促し(着手)の用法には不完了体命令形を使うが、会話でよく聞く、Давай, давай(さあさあ、やれ)!とかдавай + 不完了体命令形に不完了体命令形が使われるのも、この用法だからである。
(さあ喧嘩をやれよ)Давайте деритесь!
出題「その事故は不幸な巡り合わせによるものだった」をロシア語にせよ。