2014年09月01日

●和文露訳指南第24回

不定法を時制で考えると、時制を担うのは述部であって、不定形ではない。不定形は基本的に発話より未来の時制を示すのが基本で、反復や状態という意味では発話と同じ時制となり、発話より過去の時制を示すことはない。「~したことto have done」と言いたければ、то, что я сделал (делал)と節にするか、сделанноеと被動形動詞過去形を使うしかない。ロシア語では不定形では過去の時制を示す事がない代わりに、形動詞過去がその役割を担っていると言える。『和文露訳指南』8-10-2項参照。

(このテキストを読むのは我々には簡単だった)Нам было легко читать этот текст. <この意味では対応する完了体がないのでчитатьと不完了体不定形が来ている>
(学生たちがその講義を聴講するのは興味深いぞ)Студентам будет интересно слушать лекцию.

出題)「ヴォーフカが先に手を出したんだ」をロシア語にせよ。

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2014年09月02日

●和文露訳指南第25回

ロシアンぴろしき管理者を通じ、本日9月2日10時~12時頃にかけて、サーバの移行作業が行われると、サーバの管理会社から連絡がありました。この関係から、もしかすると、記事エントリーの際に、うまくいかないことがあるかもしれません。この時間をずらして投稿願います。

ビジネスレターで貴社や御社を文中であってもВы, Вам, Вашеなどと大文字で始めるが、これは相手に敬意を払ってのことである。18世紀末にクルガーノフの書いた文法例文集によれば、敬意を示す名称は大文字で始めるか、すべて大文字にすることとあるが、それが関係しているのかもしれない。Бог(神), ПЕТР ПЕРВЫЙ(ピョートル大帝), ТЫ(わが君 <君主に対してはтыで呼びかけた。当時はвыの用法がフランスから入ったばかりのようで、クルガーノフは非論理的なので使うべきでないと書いている>), Генерал(将軍), Синод(宗務院), Москва(モスクワ), Сибирь(シベリア), Проблема(問題)という例を挙げている。モスクワやシベリアは地理的名称だからとか、固有名詞だからではなく、ツァーリやその代理が治めているから尊称扱いだったのだろうか?問題が大文字なのは由々しい問題だからなのかもしれない。国名も現代同様大文字で始まるが、民族名はこの時代は大文字で始めたのが今とは違う。外国人に対する敬意が少なくなってきたからだろうか?яがロシア語で小文字なのは謙譲表現だからかもしれないし、逆に英語のIが大文字なのは国民的に自己主張が強いということかもしれない。

出題)自治体首長の発言「津波警報を解除します」をロシア語にせよ。

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2014年09月03日

●和文露訳指南第26回

中世のロシアでは貴婦人方は人前に出ないようにしていたが、例外として客人が家に来た時に、出迎えて、客人にキスをするというものである。これはキスの儀式と呼ばれ、キスは注目と尊敬のしるしであり、その客人につつがなく(無事)で、健康であれという意味の無言の願いであるとされる。それはキスпоцелуйがцелый(欠けるとことのない、つつがない)から派生しているということからも分かる。

出題)「彼の背丈は僕と同じくらいだった」をロシア語にせよ。

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2014年09月04日

●和文露訳指南第27回

ロシアでは19世紀の初めには農奴以外の国民向けに国民学校が整備されつつあり、貴族は自分の子弟が、いやらしい虫(ナンキンムシの類)が体に湧いているようなこれらの階級の子らと同じ机に学ぶのは困るということで、貴族だけの学校を作ったりした。しかし教師には自分の雇っている教養のない外国人(元パリの門番、厩番など)ばかりを教師として厄介払いの形で押しつけたりした。そのため国民学校の生徒より貴族の子弟の方がものを知らなかったという。その一人が懐古談で、Мы были настоящее училище попугаев.(我々は正にオウムの学校だった)と書いている。これは丸暗記で教科書に書いてあることをオウムのように暗記させられたということである。我が国のロシア語の初級の授業においても、特に会話ではオウムになってはいまいか?初級者には理屈は分からないとはなから決めつけ、理屈など教えずに、会話の例文の暗記と発音の矯正に終始してはいまいか?ロシア語を学ぶ人たちは大人である。大人に理屈が通らないわけがない。教えないのは教える側が人に分かりやすく教えるようにはロシア語を理解していないからではないか?

出題)「前の方で道路工事中だ」をロシア語にせよ。

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2014年09月05日

●和文露訳指南第28回

20年ほど前にシベリアのチュメニというところに12月出張で行ったことがある。現地の工場の人が急にТепло!(暖かい)と言って、着ている防寒着を脱ぎ出したので、どうしたことかと、温度をきいて見るとマイナス22度だという。朝はマイナス39度だったから暖かくなったのは確かだが、ちょっと驚いた。寒いというのはどのくらいの気温を指すのかと聞いたらマイナス50度ぐらいで、学校や仕事が休みになる温度だという。温度というものも相対的なものだと分かる。

出題)「成績がよかったので学費免除だった」をロシア語にせよ。

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2014年09月06日

●和文露訳指南第29回

拙著『ロシア小話アネクドート』(ブックレットNo. 66、東洋書店)のアネクドート発生においての一考察において、ユダヤ人のラデクがアネクドートの創始者のように言われているが、批評家のドゥルィリンはこれを否定していると書いたが、バジャーノフの『私はスターリンの秘書だった』によれば、20年代のソ連の閣僚や高官のいる前でラデクは自分が創作したアネクドートを話したと言うし、ソ連や反ソビエト関係の小話はかなり部分ラデクが作ったと述べ、バジャーノフはそれらをラデク自身からじかに聞いたと言う。ラデクがソ連の政治小話、特にスターリンを揶揄したものの創作で、政治局の内情に通じていることから大きな役割を果たしたのは間違いのないところだろう。そのうち二つほどを紹介する。

スターリンとモーゼの違いは何か?モーゼはユダヤ人をエジプトから連れ出したが、スターリンは政治局から。

古いタイプの反ユダヤ主義(宗教的、人種差別的)に新しいタイプが加わった。それはマルクス主義的反ユダヤ主義である。これには大きな未来があると予言できる。

出題)「消費材市場の多様性はこれにとどまらなかった」をロシア語にせよ。

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2014年09月07日

●和文露訳指南第30回

велеть (приказать) долго житьというのは、亡くなるумеретьという意味だが、文字通りは長く生きろと命じるということで、どうして死ぬ人間がそういう事を言うのかよく分からなった。天国でというのであれば、命じるのは神様のはずで、主語が死ぬ人というのが納得いかなかったわけである。ベロヴィンスキーによれば、ロシア正教徒は死期が近づくと、痛悔機密(カソリックの告解〔こっかい〕、いわゆる懺悔)をし、罪の許しを得、聖体機密を得ることで、心静かに死を迎える準備が整ったことになり、残される子や妻にたいして、祝福を与える(お前たちは長く生きなさいと命じる)言葉であると書いてあった。この痛悔機密、罪の許し、聖体機密を受けなければ魂は地獄に行くとされ、罪の許しを得させないで人を死に追いやることは最大の罪とされた。旅人を襲って殺してしまうような盗賊ですら、犠牲者の最後の願いにより犠牲者の懺悔を聞いてやることがあったという。ただ懺悔を聞いてやった上でも、殺すということには変更はなかったらしい。

出題)「昼食と夕食の時間には私の叔父たちの後ろに直立不動で召使いが一人ずつ皿を持って立っていた」をロシア語にせよ。

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2014年09月08日

●和文露訳指南第31回

はりねずみさんから続和文露訳入門第512回に関して、次のようなコメントをいただいた。「勘違いかも知れませんが、私は遂行動詞を三つタイプで考えています。一つ目は報告するや連絡する、の様に発話=行為(主に話す事が関係する動詞)のもの、二つ目は解除や禁止の様に発話をもって行為が有効になるもの、三つ目は許すや分かります等の意思表示に関わるものです。三つ目の場合、否定でも遂行動詞の様に感じてしまう場合があります。例えば殴られた後等の「許さない!」は否定の強調で完了体を選ぶのが正しいのかもしれませんが、時制を考えると発話によって許さないという意思表示が遂行される(許さないのは一瞬先を含む未来では無く現在から)と考えて不完了体を選んでしまいそうです」

 この返答として遂行動詞が定義的に、不完了体の否定のように動作自体を否定する、つまり動作がなければ動作の遂行がないということで、遂行動詞には否定形はないことを伝えた。詳しくは第512回のコメント参照願う。提示された例文の「許さない!」では、完了体未来形の否定しか使いようがないが、はりねずみさんの言わんとするところは、遂行動詞の否定でも、意思を具体的な文脈で発話終了と同時に否定の意味で伝わる(伝えることができる)という気づきをご指摘されたように思われる。そこで、改めて考えてみると、態度表明型の遂行動詞の否定については、そのような傾向があると考えてもよいのではないかという節がある。

 賛成か反対かを問われて、Против.(反対です)といえば、遂行動詞的用法だが、これをНе согласен.(賛成しない)と返事すれば、遂行動詞的な、具体的な事柄の否定の意思表示である。ただこの例も含め、他の会話の用例を見ても、叙想語を使って、Не могу согласиться.(同意できません)とするか、仮定法過去Охотно бы, но не могу.(そうしたいのは山々ですが)などを使い、遂行動詞の不完了体動詞を否定して、かつ否定的ニュアンスのまま使う例はないと思われる。これは遂行動詞が定義的に否定文では使えないので、それを避ける工夫がなされているとからだと思われる。どうしても遂行動詞を否定で使う場合は、動詞自体に否定的ニュアンスがあるものを否定する、つまり二重否定にして肯定文として用いられることになるのではないかというのが私の考えである。

(断固反対する)Решительно отказываюсь!
(そのような意見には反対しない)Я не возражаю такого же мнения. <意味的に肯定なので遂行動詞として使われているのであろう>

 ロシア語の歴史的現在や否定文の権威であるパードゥチェヴァ先生は遂行動詞は否定では用いられないと書かれているとはいえ、否定文というのは全般的にまだまだ研究の余地があるとも述べておられる。投稿者のみなさんの中で、遂行動詞における否定の用法ということで論を発展させるつもりであれば、私は見つけることができなかったが、上記のように遂行動詞的用法は否定で用いられる以上有るはずだという前提のもと、ロシア語の本や会話をよく研究し、人が聞いてなるほどと思われるような(作った文ではない)自然な文を集めて例証とすることである。将来斯界に益する考え方や研究、論文(例えば遂行動詞と否定とか)でも発表されることにでもなればこれに過ぎる喜びはない。このコーナーをやっていてよかったと思うのは、自分の発想では出て来ないような気づきを投稿者の方々から、直接間接いただくことであり、これによって自分のロシア語もこの3年ほどで、ロシア語の理解とその解説能力ということではかなり上達したと思う。そういう意味で投稿者の皆様方には改めて感謝申し上げたい。

出題)「暑さには弱いですか?」をロシア語にせよ。

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2014年09月09日

●和文露訳指南第32回

智さんの御指摘により出題の第30回の私の回答にタイプミスが見つかり、それを訂正したのでお知らせする。

不完了体と完了体を白と黒のように対立的(対蹠的)なものと考えるのは誤りである。不完了体は動詞の用法のすべてをカバーしているのだが、完了体はその中の動作の完遂とその動作の結果を意味する。つまり不完了体という大きな円の中に完了体という小さな円が含まれているのだと考えると分かりやすい。ただこの完了体は強力で、過去と未来においては、動作の完遂であれば、不完了体よりも優先的に使われ、表に出て、強く自己主張をしたがる。完了体は現在でも動作の存続や被動形動詞過去短語尾の現在の時制で使われるが、これとて過去の動作の結果が現在に持ち込まれていて、その状態を示しているにすぎず、動作としては現在の時制で完了体が使われることはない。不完了体はと言えば、完了体の使えない現在の時制で、過程(進行形)、遂行動詞、結果存続兼評価型動詞の用法のように動作の遂行や具体性を示すのである。

出題)「他のところで騒げ」をロシア語にせよ。

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2014年09月10日

●和文露訳指南第33回

具体的な1回の動作の否定には完了体が用いられ、動作が一切ない(任意の1回の動作の否定か反復動作の否定かは文脈による)ことを示すのが不完了体の否定である。そのため不完了体である遂行動詞を否定すると、この動作が一切ないという風に理解されるため、遂行動詞的用法で、遂行動詞の否定はあり得ないことになるのだと思われる。

出題)「このような見世物小屋で頭が二つある子牛を見ることができた」をロシア語にせよ。

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2014年09月11日

●和文露訳指南第34回

『Письмовник(文法文例集)』(Курганов Н.Г.)という1794年版の、江戸時代でいう往来物では、現行のロシア語文法と異なる点もいくつかある。受け身(受動態)の動作主は現代ロシア語では造格で示されるが、18世紀には造格の他に、от + 生格でも示せるとある。

Дарий побеждён от Александра (Александором).(ダリウスはアレクサンドロスに破れた)
Турецкий флот сожжён от Российского 1770 года.(トルコ艦隊は1770年ロシア艦隊の焼き打ちにあった)<1770 годаと生格なのは、現代の日にちの用法と似ている。Российскогоと大文字なのは、民族や国名の形容詞は当時は語頭を大文字で書いたからである>

出題)「私はいろんな時にたくさんのスポーツをやりました」をロシア語にせよ。

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2014年09月12日

●和文露訳指南第35回

遂行動詞が否定で用いられないのは、肯定的なことは一人称で述べるが、相手に悪印象を与えるような否定的なことは不定人称文や受け身(受動態)にして動作主をぼかすという人間心理が働いているのかもしれない。否定であっても動作が肯定的内容であれば遂行動詞が使えるということがその例証である。

(そのような意見には反対しない)Я не возражаю такого же мнения.

出題)「我々は自分が食べたものからできている」をロシア語にせよ。

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2014年09月13日

●和文露訳指南第36回

ロシア語を学ぶのは、ロシア人と会話したいとか、ロシアに行ってみたい、ロシアについていろいろ知りたいというためなのだろうが、そういうある意味直接的、実利的なことではなく、茶道、日本舞踊、生け花、空手道(スポーツや格闘技ではない)、座禅のように、お稽古事(習いごと)感覚で、ロシアやロシア人を知ること、特に庶民の文化を知ることを趣味や生きがいにしてはどうだろう?私の上の世代である団塊の世代は、退職の時期を迎え、生活の方はそこそこなんとかなるが、毎日することがない、趣味や生きがいがないのが悩みだという声も聞く。若いころにロシアやロシア語と関わりがあったとか、今までロシアとは何のか関わりもなかったが、ボケ防止や余生の一つの生き方としてロシア語を学んでみたいという人がいれば、お手伝いできると思うのでこのコーナーか私のサイト「ランポポー」のメール欄に希望を寄せていただければありがたい。ロシアの庶民文化を知るためにアネクドートを通じてロシア語を教えてみたいと考えている。言葉と文化は切り離せないわけで、ロシア人を真に理解するために、一番分かりやすいのがアネクドートであると確信しているからである。年配の人でなくても、若者向けのロシア語の雑誌を、チェーホフやドストエフスキー、トルストイを原語で読みたいとか、会話における生きたロシア語を勉強してみたいという方でも大歓迎である。体面授業が望ましいが、やったことはないがスカイプを使って遠方の方と授業をトライしてもよい。

出題)「きっと、うちのペーチャが学校で何かしでかしたのよ」をロシア語にせよ。

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2014年09月14日

●和文露訳指南第37回

『闇屋になりそこねた哲学者』(晶文社、2003年)という木田元(1928~2014)の自伝を読んだ。哲学者流の丸暗記による語学勉強のことが出てきている。語学を知識収集の道具ととらえ、会話は無視というのであれば、また暗記が得意であれば、こういう勉強法もよいと思う。「大学なんて、本当に勉強したくなってから入った方がよさそうです」とか、「語学の勉強には精神を安定させるところがあります」とあり、特に「他の大学のテキストの読み方が相当ルーズだということが分かりました。おおよその意味が分かればいいという読み方です」とあり、これではいけない、精確な読み方をすべきであるとして、ハイデッガーなどをドイツ語の原書で好学の士に教えるような、訳読形式の勉強会を何年も主宰して、教えてきたという。

出題)「読者は3人から28人に増えた」をロシア語にせよ。

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2014年09月15日

●和文露訳指南第38回

言葉を覚えたばかりの幼児がどうだったと聞かれて、「引っ張った」と答えたのに対して、「何を」と尋ねると、「機関車」と続くわけだが、この「引っ張った」は伝えたいこと(文の焦点)であり、幼児の頭に最初に浮かんだことだったと思われる。それを露訳するとしたら、完了体になるはずだ。

出題)「食欲減退(イライラ感、仕事の能率の低下)は前からですか?」をロシア語にせよ。

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2014年09月16日

●和文露訳指南第39回

最近お亡くなりになった木田元先生の自伝を第37回で紹介したが、先生は「語学の勉強には精神を安定させるところがあります」とおっしゃっている。不眠に悩む人も催眠剤を飲むだけではなく、外国語を原書で読むような勉強をしてみてはどうだろう。本を読んで眠れなくなるという話を聞くこともあるが、それは非常に刺激の強い本だったり、面白くて読むのが止められない本であるが、そういう本は稀である。授業中に教科書をながめていて(読んでいてと言うよりは)、瞬間気を失った経験はだれしもあるはずである。このことから語学の勉強が睡眠薬代わりになることは納得されるだろう。先生はドイツ語の原書でハイデッガーなどを勉強会で輪読されたようだが、それも人のやらないような、今だれもやろうとしない、正に逆風の吹いている感のあるロシア語を睡眠薬代わりにやってみてはどうだろう。これだと副作用はなかろう。日本人に人気の高い、メンタリティー的に合うと思われるドストエフスキーや、チェーホフ、トルストイの原書でも、若者向けのロシア語の雑誌やアネクドートでもよい。初めからすらすら読める人はいないから、その読み方や辞書の使い方、飽きの来ない勉強法を指導してもよい。

出題)「彼には何でもお見通しだ」をロシア語にせよ。

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2014年09月17日

●和文露訳指南第40回

そのロシア語文が正しいかどうか分かるには語感を磨くことであるが、そのためにはロシア・ソ連文学などの名文をできるだけ多く精読(cover-to-coverで)すべきである。私の場合は500冊ぐらい精読して語感がついたように感じたように思う。早い人は100冊も読めば語感が研ぎ澄まされてくるのかもしれない。今790冊を読破し、トルストイのКруг чтения(読書の輪とか、読書の範囲と訳すのか)と19世紀の探検家で幕末の箱館(今の函館)にも来たことがあるС.В. Максимовの全集の残りを読んでいる。元々ロシア・ソ連文学にのめりこんだのはかなり遅くて、39歳の時にパスルナークのДоктор Живагоを読んでロシア・ソ連文学の面白さに目覚めたわけである。それまではロシア語の会話(和文露訳)をマスターしようとして、構文、慣用句、諺、熟語、語彙の暗記や文法の本を読んでばかりいた。40代、50代は1日のノルマを50ページとか100ページ精読(体の用法、ニュアンスの読解)するだけでなく、会話に使える表現をエクセルに和露形式で書き抜いてまとめるようなことまでしていたので、10ページに1時間半ぐらいかかることもあった。今はあまりやる気もないので、ロシア語が錆びつかないように1日20ページ、つまり2冊がノルマということになる。

 ロシア・ソ連文学は名文の宝庫であり、ロシア語をやる以上1日10ページくらいは精読すべきであり、使えると思う表現はエクセルに和露の形式でまとめておくと、検索も楽だし、後で会話などに利用しやすい。本も100ページくらいのから1,000ページを超えるものまでいろいろだが、1冊平均400ページくらいのものを1日10ページ精読すれば、1年で10冊ぐらいは読める勘定である。90年代はロシアでは古本を1冊1ドルくらいで買えたが、今や本も高い。ただネットでロシア文学はほとんどロシア語原文をタダで読めるので、やる気があれば読む本はいくらでもあるということになる。どんな本を読むべきかは露学階梯に書いたが、いろいろたくさん書いてあるので、そこにたどりつくまでが大変だろうと思うので、次回リストアップする。

出題)「我らがチームは又引き分けだ」をロシア語にせよ。

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2014年09月18日

●和文露訳指南第41回

日本に紹介されている、つまり和訳のあるロシア・ソ連文学はいずれもよい本である。そこから自分の読みたい本をピックアップしてもよいが、一応私が読んだ中でお勧めのものを挙げておく。*は特によいと思うもの。
Аксаков: Записки об уженье рыбы, Записки ружейного охотника оренбургской губернии, Семейная хроника, Детские годы Багрова-внука
Бажов: Малахитовая шкатулка
Белый: Воспоминание(3巻)
Библия *
Благово: Рассказы бабушки
Булгаков: *Мастер и Маргарита
Бунин: Суходол
Витте: Воспоминания
Войнович: Жизнь и необыкновенные приключения солдата Ивана Ченкина, Москва 2042
Вострышев: Московские обыватели
Гаршин: Четыре дня, Attalea princeps
Герцен: *Былое и думы
Гиляровский: Москва и москвичи
Гоголь: Тарас Бульба, Ревизор, *Мертвые души
Горький: *В людях, По Руси, Детство, *Жизнь Клима Самгина
Григорович: Литературные воспоминания
Гроссман: Всё течёт..., Жизнь и судьба
Довлатов: Наши
Достоевский: Неточка Незванова, Село Степанчиково и его обитатели, *Записки из мертвого дома, *Преступление и наказание, Бесы, *Братья Карамазовы
Дурова: Записки русской амазонки
Дудинцев: Белые одежды
Есенин: Автобиография, Сергей Есенин
Жванецкий: Миниатюры
Забелин: Домашний быт русских царей и цариц в 16 – 17 ст.
Зайцев: Дом в Пасси, Анна
Зощенко: Перед восходом солнца
Искандер: Сандро из Чегема, Стоянка человека, Детство Чика
Каверин: Ночной сторож, или Семь занимательных историй, рассказанных в городе Немухине в тысяча девятьсот неизвестном году, Верлиока
Карамзин: *История государства российского
Карцев Роман: На пляж Одесса собиралась так...
Кони: Воспоминания о деле Веры Засулич
Короленко: История моего современника
Крестовский: Петербургские трущобы
Крылов: *Басни
Ключевский: *Курс русской истории
Куприн: Яма, Гамбуринус
Лесков: *Соборяне, Очарованный странник
Максимов С.: Сибирь и каторга
Мельников: *В лесах
Некрасов В.: В окопах Сталинграда
Пастернак: *Доктор Живаго
Паустовский: «Тот» мальчик
Пикуль: Исторические миниатюры
Помяловский: Очерки бурсы
Приставкин: Ночевала тучка золотая
Пришвин: Календарь природы
Пушкин: Повести покойного Ивана Петровича Белкина,
*История Пугачева
Пыляев: Замечательные чудаки и оригиналы
Райкин: Без грима
Раскин: Энциклопедия Хулиганствующего Ортодокса
Репин: Далекое близкое
Романов: Застольная история государства Российского
Савинков: Воспоминания террориста
Салтыков-Щедрин: История одного города, Пешехонская старина, господа Головлевы
Севера Э.: Легенды инвалидной улицы, Мужской разговор в русской бане
Симонов: Живые и мертвые
Скороходов: Разговоры с Раневской
Солженицын: Архипелаг ГУЛАГ
Соловьев С. М.: *История России с древнейших времен
Соллогуб: Тарантас
Сологуб: *Мелкий бес
Станиславский: Моя жизнь в искусстве
Степанов: Порт Артур
Толстой А.К.: Семья вурдалака, Артемий Семенович Бервенковский
Толстой Л.Н. : Детство, *Анна Каренина, *Война и мир, Холстомер, Крейцерева соната, Отец Сергий, Воскресенье, Фальшивый купон
Тургенев: Дневник охотника, Дворянское гнездо, Отцы и дети, Муму, Ася, Первая любовь
Успенский Г.И.: Нравы Растеряевой улицы
Утесов: *Спасибо, сердце
Чехов: Ионыч, Палата № 6, *Попрыгунья, Человек в футляре, В овраге, Черный монах, Каштанка, Шуточка
Чуев: 140 бесед с Молотовым
Чуковский: От дувух до пяти, Живой как жизнь
Шаламов: *Колымские рассказы, Очерк преступного мира
Шмелев: *Лето господне, Богомолье
Шолохов: *Тихий Дон, Судьба человека
Щеглов: Фаина Раневская
Эренбург: Оттепель; Люди, годы, жизнь

出題)「奴は口封じに殺された」をロシア語にせよ。

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2014年09月19日

●和文露訳指南第42回

このコーナーの設問や出題の私の回答はすべてこれまで私が本で読んだり、ロシア人から聞いたりしたものであり、語結合も、文法的にも確認を取り、自分が通訳のときに使っているか、使おうと心に決めているものばかりであり、主語を変えることはあっても時制や体を変えたことはない。つまり自分の頭で勝手に作り上げた例文ではないという事を申し上げたい。文脈にもよるが、基本的にどこに出してもおかしくないロシア語文である。プロの通訳やガイドはみなそのような語彙や例文を収集しているはずであり、ひとりよがりな訳は避けるために、本や雑誌をよく読んで、使える例文の収集に努めているはずである。私のはこれまで収集した9万1千項目ある自分の和露の語彙集から精選したものである。

出題)「目黒へはどんな乗り物がありますか?」をロシア語にせよ。

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2014年09月20日

●和文露訳指南第43回

被動形動詞過去形は完了体から作られるのが一般的だが、稀に不完了体からも作られる。作られるのは無接頭辞単純動詞(本源動詞)からであり、писанный, битыйなどである。完了体由来のものとの違いは、不完了体からのものは過去の動作の反復を示すことができるということだろうと思う。

Стихи, читанные ещё в детстве(まだ子供のころによく読んだ詩)

ちなみにнの一つ少ないчитаный = прочитанныйは形容詞であり、читаная книга(読了した本)となる。

出題)「彼は二位に落ちた」をロシア語にせよ。

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2014年09月21日

●和文露訳指南第44回

プロとして和露辞典を使うことがないとは言えないが、通訳やガイドの現場の実態に則しているとはとても思えない。ごくたまにヒントをもらうぐらいである。そのため自分用に和露語彙集を30年ほど前から作り始め、1年前には9万4千500項目にまでなった。そろそろタイプミスや重複も含めて内容チェックの時期だろうと思い、3千項目ほど減らした。あと10年ぐらいやれば、私家版和露活用辞典として公開できるものになるかもしれない。当分この私家版和露活用辞典の編纂にかかりきりになると思う。

 20年ほど前に今は亡き恩師の飯田規和先生に、和露語彙集を作っているが、語彙集として使えるようになるにはどのくらいの語彙が必要か尋ねたことがある。先生は岩波露和辞典の編纂者のお一人でもあり、辞書作りのプロだったからだ。5万くらいあれば使えるようになるとのお話で、その際項目数も大事だが、要は使える例文をどのくらい集めることができるかだとおっしゃったのを覚えている。

 今現在項目は9万1千を超えたが、使える例文をもっと増やそうと日夜ロシア語や日本語の読書に余念がない毎日である。日本語の小説、新聞、雑誌、テレビからロシア語に訳しにくいという語彙を集めて、それをロシア語にし、実際に使えるかどうかの確認をしているわけで、これに相当時間を取られる。日本語の語彙をロシア語の文で説明するのや、自分で勝手に語彙を作るのはそれほど難しくはないが、文脈に合わせて、できるだけ簡潔に意を尽くす、より日常よく使われるロシア語の語彙や表現を見つけるのはそう簡単ではない。もちろんロシア語の名詞が日本語の名詞に対応させる必要はないし、動詞句、副詞句、形容詞句、前置詞句で表現しても、全体として意味が正しく伝わればいいと考えているとはいえ、それでも結構難しい。辞書、本などの資料にも金がかかるし、現地調査にも金がかかる。私家版和露活用辞典編纂に専念できるよう、スポンサーが現れてくれないか神頼みの毎日である。

出題)「彼らは子供のころおもちゃで遊んだ」をロシア語にせよ。

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2014年09月22日

●和文露訳指南第45回

『和文露訳指南』4-1-1-4項の一部を分かりやすいように下記のように書き改めた。

・無意識的で否定的結果をもたらす動作 ×лишаться → лишиться(なくなる)、×ломать → сломать(壊す)、×разбивать → разбить(砕く)、×ронять → уронить(なくす)、×терять → потерять(失う)、×убивать → убить(殺す)、×ударять → ударить(なぐる) <否定文の場合も含めて、これらの動詞は具体的な1回の動作を示し、このような危害や人の命、損得に関わる動作は人間の暮らしにとって非常に重要なものゆえ、感情を抜きにした単なる動作の有無の確認ということにはならず、主観的ニュアンスであると考えられ、完了体が多用される>

Кошелёк или жизнь.(金を出せ、さもないと命はないぞ)という言い方もあることだし。

出題)道を尋ねて、「いくつめの角を曲がるのですか?」をロシア語にせよ。

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2014年09月23日

●和文露訳指南第46回

ライフワークである私家版和露活用辞典完成のためにコツコツと語彙や例文の収集や整理をしていると書いたが、目指しているのは、単なる和露辞典ではなく、勝俣銓吉朗先生の『新英和活用辞典』(研究社、1958年)の和露辞典版のようなものである。勝俣先生は日本人が英語を書くためには和英辞典だけでは不十分であり、語結合が重要であるとして、自ら雑誌や書籍などから20万の例文を収集し、38万もの語彙を活用辞典に載せておられる。私はと言えば、日本人がロシア語を書くというよりは、もっと基本的なロシア語会話をしたり、ロシア語でメールを書いたりする上で、もっと語結合を重視して、実際に使える語彙や例文をそろえた和露活用辞典が必要だと考えている。これまで自費でロシア語の辞書400点、ロシア語の書籍1400冊を購入し、その書籍の55%を読破し、使えると思う例文や語彙を40年にわたって和露語彙集に集積してきた。そのごく一部をこのコーナーで紹介し、またその成果の一端を紙の著作11点、電子書籍6点という形で出版してきた。私の著作にある例文はすべてこの和露語彙集から採ったものである。しかし、さらに新たな資料などをそろえ、それをチェックし、エクセルにインプットするなど辞書の編纂に専念するためには、これまで以上に時間を取られ、生活もしていかねばならない以上金もかかるからである。スポンサーを見つけるのは無理のようなので、クラウドファンディング(ソーシャルファンディング)で私家版和露活用辞典編纂プロジェクトへ支援をお願いした方がよいのかもしれない。この場合のクラウドファンディングというのは、個人が多くの人々からわずかな寄与を集め、利用することで目標に到達するというコンセプトである。そのため御趣旨に賛同いただいた方々への見返りは、私が病気か死なない限りは、せいぜいのところ、いつ完成するかもしれない(多分10年後)その辞書たった1部ということになる。

 その辞書のサンプルは『アネクドートに学ぶ実戦ロシア語会話第2版』(東洋書店)第6章の「使える言い回し」にある。そこには500項目(60ページ)載せたが、私の私家版和露活用辞典は使える例文や類語の使い分けなども含め、項目数を200倍の10万項目(原稿としてはすでに9万1千項目ある)にするというものである。これを見ていただければ、私の考えがお分かりになると思う。紙幅の関係から1項目1例文に抑えたが、実際には1項目にいくつかの例文が載る場合もあるので、例文の数はすでに20万を超えていると思われる。エクセルを使い、ロシア語からも検索できるクロス検索となっているので、トータルの語彙数も40万以上はあると思う。この項目にある語彙や例文の精度を上げ、ロシア語会話のために、より使いやすいものを出版したいというのが私の願いである。

出題)「ヴィクトルはとてもおかしく我らが生物学の教授の真似をする」をロシア語にせよ。

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2014年09月24日

●和文露訳指南第47回

動作の遂行は完了体でも不完了体でも表現できるが、完了体は動作の過程を示さず、動作の結果を重視する。過程というのは常に動作が一瞬一瞬動いているわけで、完了体の動作は過去か未来であり、その時点での動作の一瞬や過程(進行形)を示す事はない。過程を示せないことから、完了体は未来でも過去でも時間軸の一点の動作を示すと私は考えた。この一点に動作があるということは、動作自体に焦点があり、動作に焦点を結ぶというのはより具体的な動作を意味することになり、それは主観的な動作にもつながる。それゆえ主観的な事柄には完了体を用いるのだというのが私の考え方である。

出題)「繰り返して悪いことは決してない」をロシア語にせよ。

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2014年09月25日

●和文露訳指南第48回

『和文露訳指南』8-10-3項に下記追記願う。

能動形動詞現在の形容詞としての用法には、不完了体現在形の反復の用法を使ったвертящиеся табуретки(回転式ストゥール)、вращающееся кресло(回転イス)、открывающаяся решётка на окна(開閉式格子)、поворачивающее на шарнирах зеркало(ヒンジで回転する鏡、ヒンジ回転式鏡)、поднимающаяся кровать(上下可動式ベッド)などがある。

出題)「そこは何番地ですか?」をロシア語にせよ。

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2014年09月26日

●和文露訳指南第49回

『わたしの哲学入門』(木田元、講談社学術文庫、2014年)を読んで大いに啓発された。読書の醍醐味というのは正にこういうことを言うのであろう。ハイデガーを中心に、自らの哲学へのかかわりについて書かれている。「存在とは何か」という問いが、西洋哲学の根本の問いであり、本質存在(本質性)と事実存在(現実性)に分けて考えたのはプラトンであり、プラトンは本質性の現実性への優位を主張したが、アリストテレスが現実性に重きを置いたとハイデガーは考えているとのことだった。著者はこれを日本語で「一万円札デアル」(本質性))と「一万円札ガアル」(現実性)というように「である」と「がある」に簡単に訳し分けているのはすごい。

 「家が立っている」というのはたんなる静止ではなく、建てるという運動の集約した終結点であるというのは、状態ではなく、結果の存続(現存)であると言い替えられるような気がする。ここから不完了体というのはその動詞の語義における本質的動作(本質性)を示し、完了体はこれを具体的な動作という現実性を示しているのではないかとも思える。

 氏の説くハイデガーの著書『存在と時間』における存在と時間というのは、時制と存在とも置き換えられるような気がするし、現在の時制の現前性が優勢であるとあり、これなどは完了体過去形の用法では分かりやすいうちの結果の存続(現存)と似たようなものだという感じがする。つまり時制やアスペクト(動詞の体)を考えることは、哲学すると同義であると言っても間違いではないように思われる。そうであれば、体の使い分けに関心のある人は、毎日哲学していることになる。

出題)「生ゴミ対策はどうしていますか?」をロシア語にせよ。

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2014年09月27日

●和文露訳指南第50回

『私家版和露活用辞典』研究編纂についてのクラウドファンディングのお願いを第46回本文に書いたところ、資金(この場合寄付金)を出して10年音沙汰なしというのでは、寄付する側が納得しないだろうから、ニュースレターのような進み具合がどうなっているかを知らせるような仕組みが必要ではないかという声が寄せられた。全くその通りで、このコーナーが続いている間は、このコーナーの本文で研究編纂の段階で得られた私なりのロシア語文法上の知見を紹介して行きたいと思っているし、このコーナーがやめとなれば、クラウドファンディング(寄付)の提供者の中で希望者(メール番号を教えてもらうことが前提)には、何らかの発信をしてゆきたいと思っている。このようにこのプロジェクト実現のための提言があれば、是非、このコーナーでも、私のサイト「ランポポー」のメールからでもご意見を賜りたい。

こういうクラウドファンディングをお願いするというのも、体力的にも精神的にもこのような辞書の編纂はここ10年くらいしかできないだろうと感じるからである。今まで40年以上にわたって蓄積した資料を私の死後このまま葬るのは非常に残念な気持ちだからである。

 ご寄付いただいた方に完成の暁には製本版を無料送付できればいいのだが、それは無理というものである。戸田進先生の『和露・技術用語用例辞典』には見出し語約3,000、用例数約8,500で19,000円(税別)となっており、私の予定している辞典の項目数は91,000で、30倍だから、単純計算で1冊60万円となってしまう。安くはできるかもしれないが、限度があろう。つまり電子書籍(辞書用の検索プログラムを購入する必要がある)とならざるを得ないし、私が寄付をお願いしているのは、製本費用ではなく、資料購入、研究調査および編纂に専念するための費用である。電子書籍にしてフラッシュで送付できるのなら、ご寄付された方で希望者には無論辞書完成後送付する。

 クラウドファンディングと言っても私の場合は、税金の関係上、寄付という形を取らざるを得ない。寄付なので多数の個人からなら少額でいいのだが、やはり企業や団体などの大口のスポンサーがないと話は進まないと思う。そういうのを御紹介いただけるのでもよい。ご紹介していただいた方には下記のようなお礼を差し上げつつもりである。仮に一口2万5千円を寄付してもらっても、50口から100口ぐらいないと、本格的なスタートすらできない。とりあえずは寄付希望者がどのくらいあるか、寄付の意思と額(口数)のみをお寄せいただき、それが50口を超えた時点から、実際に寄付してもらうというほうがよいかもしれない。

 ただ一方的に寄付を募るというのでは申し訳ないので、今私ができることを次に挙げるので、ご寄付いただいた方から、希望者(住所と氏名を教えてもらう必要があるが)には一口当たり一つ選んでもらえば、送付するなどしたいと考えている。これはあくまでたたき台(試案)なので、これに対してもご意見をお寄せいただければありがたい。

A) 『私家版和文露訳活用辞典』原稿(項目数9万1千400で、エクセルのファイル16.6メガバイト)
 原稿なので毎日手を入れているとはいえ、スペルミス、項目の重複などがまだあるし、エクセルなので検索はロシア語日本語とも語幹でという工夫が必要だが、一応私が仕事で使っているもの。
 フラッシュメモリーにコピーした後、書き込み禁止と、コピー禁止をしたフラッシュメモリーを希望者に送付する。ただ書き込み禁止(エクセルのファイルにすればよいのだろうと思う)や、コピー禁止のやり方が分からないので教えてもらってからということになる。昔CDで1回だけ録画でき、あとは読み出しオンリーというのがあったが、こういうフラッシュがあればいいし、あるいはそういう設定ができればこういう形のお礼も可能である。
B) 『続和文露訳指南』オンデマンド製本版を寄付1口当たり1セット(2冊)郵送する。
 『和文露訳指南』が発売されてから2カ月近く経つが、すでに内容的に全体で8ページほど増えている。1~2年経てば、50~60ページぐらい増えているだろうと思うので、これを寄付いただいた方に決定版ということで今から1~2年後に送付するというもの。『続和文露訳指南』は電子書籍として出すかもしれないが、製本版は出すつもりがないので、寄付いただいた方限定とするつもりである。
C) 『和露類語集』(仮称)オンデマンド製本版1部を寄付一口当たり1部郵送する。
 類語辞典については、『るいごプラス!』に類語を431語載せているが、今原稿の段階で約250語あるので、これを合わせて計680語として再編集する。電子書籍は一般向けに販売するが、オンデマンド製本版は寄付いただいた方限定という形で、寄付受付後半年以内に希望者に郵送するというもの。
D) これまで電子書籍とした私の著作の中で、寄付いただいた方の希望を聞いて一番希望が多いものをオンデマンド製本して、希望者に郵送する。特に『ロシア人の疑問』は日本語テキストとロシア語の見開きとなっているので、製本した方が見やすいかもしれない。
E) ロシア語レッスン4時間(1回1時間で計4回)
 交通費を御負担いただけるならどこでもいいが、そうでなければ東京23区内のみ。希望者の要望に合わせたレッスンを実施する。

 10年というのはあまりにも長いので、3年後、5年後に編纂途中のエクセルファイルを一口以上ご寄付いただいた希望者に送付するというのでもよいし、万が一私が死んだり、病気になったりしたら、その時点でエクセルファイルをその希望者に送るよう手配しておくつもりである。


出題)「こういうひどい目に何度か遭ったことがある」をロシア語にせよ。

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2014年09月28日

●和文露訳指南第51回

『和文露訳指南』9-3項に下記追記願う。

しかし、自然現象が自分の意志を持っていたと考えられた昔はともかく、現代においてはこのような自然現象が動作主として主語に立つことに抵抗を覚えるのではないかと考えられ、無人称文や受動態を使うのが自然であろう。

P.S. ある方から「クラウドファンディングでは、毎年一口寄付して、毎年更新された私家版和文露訳活用辞典を手にして完成の過程を共有するのが個人的にはよいと思いました」というご提案もいただきました。毎年ご寄付いただくというのは個人としては大変だと思います。寄付は一度でも結構だと思います。ただ毎年ご寄付いただいた方にはご寄付いただくごとに、その時点での和露活用辞典の最新原稿ファイルを送付するということにしたいと思います。その手段として、1回だけ書き込める記憶媒体をご存じの方ご一報ください。

出題)「常にパスポートを所持している必要がありますか?」をロシア語にせよ。

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2014年09月29日

●和文露訳指南第52回

『私家版和露活用辞典』のためのクラウドファンディングという事でご寄付をお願いしているが、辞書の編纂方針を御紹介したい。「白い」、「テレビ」などの日常語彙は単独では検索の効率性を考えて基本的に載せていないが、薄型テレビのようなものは載っている。かなりの語彙に出典が明記されており、С. Максимовの3-158とあれば、マクシーモフ著作集の第3巻158ページにその用例があることになり、私の持っている著作集の当該ページに赤で下線が引いてある。単純に収録語彙を増やす事ではなく、和文露訳で使える例文や語結合を収録するように努めている。動植物はカタカナ表示であり、例えば、サクラマスсима(ヤマメはその陸封型)とあれば、その学名(ラテン語名)でチェックし、和名とロシア語名が魚類図鑑で一致したもののみ例文なしの単語のみで記載している。建て網ставной неводなどの用語は日ロの百科事典(Wikipediaも含む)、英露・露英技術辞典などで、図解や内容を吟味した上、納得したものを例文なしの単語のみで載せている。ガタンというようなオノマトペ(擬態語)も収めたが単語のみである。収録した語彙は基本的な語彙の場合は、露訳が一筋縄ではいかないようなものに用例を添え、その露文には和訳をつけた。ただ力点はまだ打っていない。日本語のことわざ、慣用句、格言、武器、機器名からも引けるようになっている

 寄付された方にはご希望があればこの辞典の原稿ファイルを読み出し専用で送付するが、まだ原稿なのでタイプミス、重複、誤訳など不備も多いし、私の気づかない短所も多数あると思う。実際に使ってみて、疑問点やコメントがあれば遠慮なくメールしてほしい。そうすることにより、辞書はさらに使い勝手がよくなるし、そういう形で辞書編纂に携わることになる。辞書編纂に終わりはない。ある程度のところまで私がやるつもりだが、私が死んだり、体力的、精神的に辞書編纂が不可能と判断した時には、寄付された方でご希望の方々(それまでに辞書に対するコメントなどで編纂に協力してきた方々)に、辞書、文献を差し上げてもよい。正し送料は負担願う。さらに最終原稿ファイルをそのまま(読み出し専用ではなく)無料で、その方々に前以て希望があれば送付するよう手配するので、私の原稿に基づいて、自分なりの和露辞典を、自分の編集方針で完成されてもかまわない。編集協力者に私の名前を入れてくれればよい。

 辞書は本来一人で作るものではないが、編集方針などもあるし、デカルトも「学問にしても、種々雑多な人たちの意思で少しずつ組み立てられたものより、一人の人間が一定の方向に従ってつくり上げたものの方が真理に近づく捷径であるに違いない」と述べているし、У семи нянек дитя без глазу (глаза).(船頭多ければ船山に上る)ともいうので、一人でやって行くつもりである。これまで40年近く語彙集作成をしてきたのだが、毎年1万項目ぐらいは手に入れていると思う。

出題)「彼はどんな助けであれ断った」をロシア語にせよ。

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2014年09月30日

●和文露訳指南第53回

Письмовник, Курганов Н.Г.という1794年に出た、日本でいう往来物みたいな、文法と文例集の第一部を読んでいるが、後ろの方にКраткие повести(小話とでも訳すのか)というヨーロッパの笑い話を訳したものが140ページ(第一部全体の1/3)あるのを見つけた。読んでオチが特に面白いとは思わないが、これが後のロシアのアネクドートの源流の一つであろうと思うとそれなりに興味深い。これまた偶然『中国笑話選』(松坂茂夫、武藤禎夫訳、東洋文庫、1964年)も読んだが、収録されているのは『笑府』という明の時代のものが主である。松坂先生によると中国の小噺は二千数百年前にできた『孟子』にある逸話にさかのぼると言われているから相当古い。
笑府には男色をテーマにしたものがいくつかあるが、17世紀初頭に完成した戦国・安土桃山時代の笑話集が『醒酔笑』(2巻)〔安楽庵策伝、鈴木棠三校注、岩波文庫、1986年〕で、日本でも男色(寺院における)が広く行われていたことがよく分かる。西洋と違い、宗教的に同性愛を迫害したりしなかったので、おおっぴらに笑いのめす事が可能だったのだろう。

P.S. 昨日の私家版和露活用辞典原稿についてだが、「日本語のことわざ、慣用句、格言、武器、機器名からも引けるようになっている」を補足する。
私家版和露活用辞典原稿のファイルを書き込み禁止にして、ファイル名を寄付いただいた方の名前にすればよいのかもしれない。挿入→ヘッダ→テキスト→ヘッダとフッター→ヘッダ/フッター要素のファイル名に寄付いただいた方の名前を入れるというのでもよいかもしれない。PDF Proでコピペ禁止というやりかたもあるようである。

出題)「電気照明は個人の家々にも普及し始めた」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 04:38 | Comments [7]