2012年05月17日

●和文解釈入門 第363回

接続詞как と чтоの違いについて第206回の回答で述べたが、若干補足したい。какはговорить, спрашивать, рассказывать, знать, понимать, думатьがあると、従属文を結ぶ接続詞として働き、論理的アクセントを持って発音され、従属文ではこの語は様態の状況語の役割を果たす。Он спросил меня, как я решил эту задачу.(彼は私がどのようにこの〔算数や数学の〕問題を解いたのか尋ねた)。これに関連して、Как вы думаете? とЧто вы думаете о + 前置格? はどう違うのか説明してみたい。Как вы думаете? は単独でも、尋ねる文脈がはっきりしていれば、「どう思いますか?」と意見を尋ねる場合に使われる。そうでない場合は、Как вы думаете (ты думаешь) は疑問文の前置きとなり、「~すると思いますか」と意見を尋ねる場合に使う。前に設問で回答した「日本を台風が襲うと思いますか?Как вы думаете, обрушится ли тайфун на Японию? もその例の一つである。一方、同じく意見を尋ねる意味では同じだが、Что вы думаете о спектакле?(その劇についてどう思いますか?)は具体的な対象(名詞)について、突っ込んで(より具体的な)意見を尋ねるときに使うという違いがある。節とも使え、(若者がインターネットのためにテレビを完全に拒否しているという点についてどう思いますか?)Что вы думаете о том, что молодёжь полностью отказывается от ТВ в пользу интернета?

 「ご意見はどうですか?」と尋ねるときの他の表現としては、
А каково ваше мнение по поводу развития событий в германском вопросе?(ドイツ問題における出来事の推移についてのご意見は?)
Какое ваше мнение о трассе?(コースについてのご意見は?)
Что вы можете сказать о роли?(その役割についてのご意見は?)
Что можно сказать о характере данного состояния?(この状態の特徴についてのご意見は?)
Каково ваше мнение об уровне выступления?(演技のレベルについてのご意見はいかがですか?)

設問)「午後は雨の見込みです」をロシア語にせよ。

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2012年05月16日

●和文解釈入門 第362回

 不完了体未来形についてよく理解している人が少ないようなので、念のため、会話における和文露訳で不完了体未来形を使う基準を書いておく。

・論理的アクセントが動詞にないことだが、動詞は動作の有無の確認(名のみの存在と考えてもよい)のみの役割は果たす。

・動作の有無の確認する場合(特に疑問文では分かりやすいし、出やすい)、これは論理的アクセントを示すような補語がない場合の見分け方でもある。

・使おうと思う動詞が瞬間動詞ではないこと。つまりニュアンス的にある程度は過程の意味を持つ動詞は不完了体未来形が使える。瞬間動詞 (разбить など)は、論理的アクセントが来る動詞だからという考え方もできる。瞬間動詞や、他の動詞でも完了を強調する場合は、論理的アクセントが来るのだから、その場合は完了体未来形を用いる。

・機能動詞は名詞や名詞句との組み合わせなので、動詞そのものは動作(する)という意味だけで、動詞句の意味は名詞ないしは名詞句が担っているので、完了を強調するのではない限り、未来では不完了体として使われることが多い。機能動詞は不定法では具体的1回行為なら完了体不定形との結びつきが多く、繰り返しなら不完了体との組み合わせが多い。

・予定の意味の不完了体現在形を使うのは、運動の動詞など不完了体未来形では使うのに制限がある動詞とか、近接未来で、動作が起こるのが当然という場合に使われることが多い。そうでない場合は不完了体未来形か、文脈によって完了体未来形を使う。これは未来の意味の副詞がないときや、前後が予定の意味の文脈でない場合に、不完了体現在形を使うと繰り返しの意味と判断されるのが普通で、意味に曖昧さが出るからだと思われる。

 本来は使われる動詞が動作の有無の確認の場合は不完了体未来形を使うという事なのだが、(予備品をご注文なさいますか?)Вы будете заказывать запасный части? のような疑問文でなければ、平叙文では特に動作の有無の確認なのか、そうでないのかが分かりにくい。動作の有無の確認というのは動詞が叙情的ニュアンスを持たないということで、文中の動詞に論理的アクセントが来ずに、補語や主語に来るということになる。論理的アクセントがどこにくるかを見た方がどの体を用いるべきかが分かりやすいので、不完了体未来形を使うのは、動詞に論理的アクセントがないときと目印にしたわけである。要は「文の中の動詞に論理的アクセントが来なければ不完了体未来形を使う」という一点に尽きる。この点をよく理解してほしい。過去の時制における刺身のつまのような用法と同じ考え方である。

設問)「みぞおちに不快感(特に食後胃もたれや胃が張った感じ)がありますか?」をロシア語にせよ。

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2012年05月15日

●和文解釈入門 第361回

動作遂行動詞については第359回の設問でも取り上げたが、よく分からない人もいるかもしれないので、もう少し具体的に書いて見る。なぜしつこく書くかというと、日本語では「ます」や「する」という助動詞や動詞で終わる文をロシア語にする場合、どの時制を使うのかという問題が起きるわけで、その区別のために必要だからである。動作遂行型の動詞ならロシア語では不完了体現在形を、それ以外の動詞は未来形(完了体乃至は不完了体)を使う事になるからである。

 デパートの案内などで、「~をご案内(連絡)申し上げますСообщаем, что」という文を耳にする。これは共に動作遂行型の動詞であって、動作の過程や状態の動詞ではない。動作遂行型の動詞は動作の始まりと終わりがある。過程や状態の動詞にはそれがない。「案内(連絡)する」は動作に始めと終わりがあって、過程ではないし、状態でもない。「~している」という過程や状態を示す助動詞をつけてみると、日本語の「案内している」や「禁止している」は状態であって、過程ではないことが分かる。これらは日本語の過程を示す助動詞「~しつつある」と比べると、その違いが分かる。

 一方「階段を上るподниматься по лестнице」、「昼食を食べるобедать」は動作の始めも終わりも意味しないし、「上っている」や「食べている」は状態ではなく、過程を示している。ロシア語でも、Я сейчас поднимаюсь по леснице.(私は今階段を上っている)は過程である。ただобедатьの現在形には予定の意味もあるので、文脈によってはЯ сейчас обедаю.(私は今昼食を食べている)とも、「彼は今すぐ昼食を食べます」とも解せるが、予定の意味に使える動詞は限られているからその区別は可能である。
「階段を上ります(上る)」や「昼食を食べます(食べる)」という文は、ロシア語では未来の時制であり、Я поднимусь по лестнице. (Кто будет подниматься по леснице? 階段を上るのは誰だ?)や、Я пообедаю. (Я буду обедать в ресторане. 彼はレストランで昼食を食べる)や、予定の用法のЯ обедаю через час.(1時間後に昼食を食べる)と未来の時制で示す。未来の時制における完了体と不完了体の用法違いについてはすでに述べたので割愛する。

 このように動作遂行動詞は、日本語で「~です、ます、だ、~する」という助動詞の文をロシア語に訳す時は不完了体現在形で示し、過程を示す動詞は未来の時制を使う。動作遂行動詞は動詞が動作の初めと終わりを示し、「~している」という助動詞との組み合わせでは状態を示す。一方それ以外の動詞は意味的には過程を示すという違いがあるから区別できるはずだ。

設問)「ここは長いのですか」をロシア語にせよ。

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2012年05月14日

●和文解釈入門 第360回

体の用法の違いについては、日常(不完了体)か、非日常(完了体)か、動詞に論理的アクセントが来なければ(動詞が従なら)不完了体、来るなら(動詞が主なら)完了体とか、流れのままなら(回りの雰囲気を読むなら)不完了体で、新しい事態が起こるなら完了体とか、客観的なら不完了体、主観的なら完了体であるなどと書いたが、その使い方を間違えると、その文を聞いた人は、程度の差こそあれ、違和感を感じる。単なる文体上の差に留まるのもあれば、理解の許容範囲を超えるものもある。そのため、作家によってはわざと体を入れ替えて、粗雑な人柄を表したり、ユーモラスな表現として工夫したりする手だてとすることもある。

 「敬語」(菊池康人、講談社学術文庫、1997年)の中に、敬語をわざと間違えて使う事により、文体的意味を変えている例が挙げられている。「とんでもないことをしてくれた」や「先輩がせっかくいらっしゃったんだ、酒ぐらいふるまえ」などである。日本語には体というものはないが、ひょうきんさ出したり、深刻さを和らげたりなどという、文体の差を変える一つの手段として敬語が使えるわけである。外国人が日本語を話す時に敬語を間違っても意味が通じる限り、特に咎めだてをすることはしない。しかし変な日本語だなという感じはつきまとうし、外国人でも敬語をうまく使えば、かなり日本語ができるという人だという印象を抱くことになる。

 体の用法もそれと同じではないだろうか。長年ロシア語に携わっていても、言葉というのは基本的意味が通じればよいのだと、体の用法に無頓着な人もけっこういるようだが、日本語の敬語に置き換えてみれば、そういう考え方は間違いであることが分かる。そういう人たちは、語彙も多く、体の用法の参考書を一読するだけで、体の用法をマスターすることができるのだろうから、その手間を惜しむというのは、誠に残念な話である。

設問)「設備の通関をするのは貴社ですよ」をロシア語にせよ。

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2012年05月13日

●和文解釈入門 第359回

通訳やロシア語で会話をする際に、瞬間的に完了体か不完了体かを決めなければ、正確な和文露訳ができないことは前に述べた。その目安として、日常(不完了体)か、非日常(完了体)か、動詞に論理的アクセントが来なければ(動詞が従なら)不完了体、来るなら(動詞が主なら)完了体とか、流れのままなら(回りの雰囲気を読むなら)不完了体で、新しい事態が起こるなら完了体とか、客観的なら不完了体、主観的なら完了体とか、それらの組み合わせとか、自分なりにいろいろな指標が考えられる。体の本質は一つでも、それを多面的に表現できるということでもある。

 最近通訳してみて思うのだが、通訳する瞬間にどちらの体を使えばいいかはだいたい分かる。そのときに上記の目印が頭に浮かぶのかと言われれば、多分浮かんでいないと思う。なにせ40年ロシア語をやっているので、覚えている例文もかなりの量である。だからそれらの文例のおかげで、自分なりにどちらかの体を選択していると思う。体の選択がほぼ自動的になってきていて、ロシア人に限りなく近づいてきているのである。これは私だけではなく、他の通訳の人も同じだろう。例文を多く覚えることと、恥を多くかくことでみんな会話ができるようになって来るのである。

 このように、会話をマスターする上で役に立つ伝統的な例文丸暗記法にも大きな欠点が二つある。一つは習得に時間がかかるということである。10年、20年、30年、40年と完全を目指すならきりがないことになる。二つ目は、体の用法を決める拠り所(例えば第300回の表)がないので、100%完全に体の用法を習得できたどうかがいつになっても分からないということである。多くの例文を覚えるにつれて、似たような文で完了体と不完了体を両方使う例文がいくつも出てくるのである。同義だと決めつけるならそれはたやすい。しかし、それではロシア人からは直されることもある。直されてもなぜ直されるのかその根拠が分からないから、次にも同じようなミスをする可能性がある。

 恥をかけばその前後の文脈も覚えているが、普通は例文だけを暗記するので、前後の文脈はとっくの昔に忘れてしまっているし、例文第一だから、前後の文脈まで頭においておく余裕はない。結局肝心なところはロシア人に聞かないと分からないことになるし、そのロシア人の文脈の解釈もいろいろで、ロシア語の体の用法の研究家ならともかく、その文が正しいかどうかは言えても、ロシア語上級者にどのように体を区別しているのかを教えることができないのである。

 そこで、40年かけて諸先生の体の用法の参考書を基に自分なりに体の用法についてまとめたものが第300回の表である。完全なものではないので、投稿者からのフィードバックを参考にして、ほぼ毎日手を入れている。自分が体の用法について何か疑問が起こった時の拠り所となっている。

 話は戻るが、体の本質を理解してから語彙を覚えた方が、むやみに例文を暗記するよりは会話の上達が早いと思う。これは体の本質(体の仕組み)を体系的に理解しないで、ただ「こういう体の使い方は間違いである」というような個別的な知識を寄せ集めても役に立たないし、応用力も身につかないからである。しかし、それを自分では実証できない。上に書いたように過去の例文が無意識のうちに顔を出すのだ。結果オーライという事で自分についてはいいのだが、若い学習者のみなさん(ロシア語をやっている人はほとんど私より若いだろうから)に、是非このような体の本質を先に理解するという学習法をやってみてほしいものである。私が死ぬまでに、この方法が効果があったと言ってくれる人が一人でも出てくれば、嬉しい限りである。中級者以上の方は私と同様この方法の効果を実証できないとはいえ、効果はすぐ表れると思うし、なによりもロシア人に頼らずともどちらの体を使えばいいかが判断できるようになるのである。

設問)「2012年2月15日付貴信拝受。(その中で)発電機の故障につきご連絡いただき、また故障した発電機の不具合を速やかになくすようにとのご要求がなされております」をロシア語にせよ。

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