2015年05月31日

●和文露訳指南第244回

не думатьの後にчтоが来ないかのように第235回出題の投稿のコメントには書いたが、誤解を受けやすいコメントだったので、投稿者のみなさんにお詫びすると同時に、真意をより詳しく説明したい。ただいずれにせよчтобыを使う方が自然だと思うことに変わりはない。

『和文露訳指南』10-14項に下記追記した。

『新ロシア語文典』(プーリキナ/ザハーワ・ニェクラーソワПулькина/Захава-Некрасова、稲垣兼一・初瀬和彦共訳、吾妻書房、1972)はロシア語の参考書で唯一複文をそれなりに扱った参考書だが、377ページに「意味の近い文に用いられるчтоとчтобы」という項目があり、сомневаться, не думать, не верить, не может бытьの後はчтоでもчтобыでも使用可能であり、文意も近いとある。これはフォルマノーフスカヤ先生の主張と違う。先生はчтоも使えるが、疑念のニュアンスが弱まると述べている。私見だが、чтобыは仮想的ニュアンスがある接続語であり、さらにこれらの疑念を示す述語で、文全体の疑念が強まるのに対し、чтоは接続語という役割しかなく、疑念を示すのは述語だけだからであろう。そういう意味でフォルマノーフスカヤ先生の主張の方が説得力がある。和訳する場合にはこのニュアンスの差をいかに表現するかが翻訳者の腕の見せ所であろう。

(彼らがこの計画を達成した(する)のか疑問だ)Я сомневаюсь, что они выполнили (выпоняет) этот план.
(彼らがこの計画を達成するかは疑問だ)Я сомневаюсь, чтобы они выполнили этот план.
(この計画の遂行が難しい(難しい、難しかった)とは思わない)Я не думаю, что этот план (будет, было) трудно выполнить.
(この計画の遂行は難しいとは思わない)Я не думаю, чтобы этот план трудно было выполнить.
(この計画がもう遂行されたはずがない)Не может быть, что этот план уже выполнен.
(この計画はもう遂行されたはずはない)Не может быть, чтобы этот план уже был выполнен.
(こんな短期間で好結果が出るかは疑わしい)Сомнительно, что вы добьётесь положительных результатов в такой короткий срок.
(こんな短期間で好結果が出るかは疑わしい)Сомнительно, чтобы вы добились положительных результатов в такой короткий срок.

出題)「彼女は彼女らを男に近づけさせないようにした」をロシア語にせよ。

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2015年05月30日

●和文露訳指南第243回

『和文露訳指南』10-14項に下記追加願う。

(また不幸に遭遇するために彼はここに来たようなものだ)И вот он приехал сюда, чтобы здесь столкнуться с новыми несчастьями.

こういう文をフォルマノーフスカヤ先生はпредложение антицели(非目的文)と呼んでいる。私見では、形式的には目的を示すが、論理的には目的では文意が通らない文のことであろう。чтобы自体が仮想的ニュアンスを含んでいるため、якобы, как бы, будто быとは直接結びつかないし、словно чтобы やбудто чтобыは冗語的表現と見なされるからかもしれない。次のような和訳では目的に訳せるが、論理的には曖昧な文から、さらに目的とはかけ離れた非目的文が発達したものであると先生は述べている。非目的文はあたかもというような仮想的ニュアンスを含んだ文のことであると思われる。

(人を理解するには人を愛することが肝要である)Чтобы понимать людей, надо любить их.  <論理を無視した主観である>
(火事はすぐに前以上に激しく燃え上がるために鎮まったかのようである)Пожар как будто затухает, чтобы через минуту вспыхнуть с новой силой. <非目的文>

出題)「帝とはつかず離れずの関係でいなさい」をロシア語にせよ。

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2015年05月24日

●和文露訳指南第242回

フォルマノーフスカヤФормановская先生の『複文Сложное предложение』を読了した。第一部の「複文の同義語句群とバリエーション」が実戦的和文露訳に役立つと思う。同義語句群は頻出度の高い順から挙げられているので、非常に便利である。

『和文露訳指南』を昨年出版してから原稿が50ページほど増えたということと、複文や否定文につき、書き加えたこともあり、整理して『和文露訳要覧』として夏ごろに5訂版を出そうかなと思い、推敲を始めた。いくらなんでもこれが最後だろう。

出題)「また不幸に遭遇するために彼はここに来たようなものだ」をロシア語にせよ。

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2015年05月22日

●和文露訳指南第241回

『和文露訳指南』4-2-1-4項を若干下記のように変更した。

 「~するつもりはない」という意向の否定版を示すために意味的に一番明確なのは、4-1-3項の意向の動詞と否定詞の組み合わせ、つまりне собираться (намерен, думать, планировать) + 不完了体不定形を用いることである。これだと今後一切かような動作はしないという反復の否定版も、具体的な1回の動作の意向の否定版も示す事ができる。一方、4-1-1-6項の意識的否定は反復の否定版だけである。完了体未来形の否定で意向の否定版を示す事ができるのは、始発の動詞だけであり、動作の始発自体を否定することから意向の否定となり、しかも、それは具体的な1回の動作の否定版である。それ以外の完了体動詞では完遂の否定版や動作の強調の意味になってしまう。

(自分の立場を法廷で変えるつもりはない)Свою позицию на суде я менять не собираюсь. < = менять не буду>
(僕はそこには行かない)Я туда не пойду. <始発の動詞>

主観的ニュアンスなしに動詞本来の生の動作だけを意味するのが不完了体であり、これ否定すると今後一切かような動作は行わないという、未来におけるあらゆる時点で反復される動作も否定することになり、完了体動詞未来形の完遂の用法(具体的な1回の動作の完遂)の否定版と言える用法4-2-1項と対立する。また不完了体未来形が否定文で用いられるのであるから、これこそ動作の無の確認の用法でもある。

(彼はロンドンに行かない)Он не уедет в Лондон. <1回の具体的動作の完遂の否定版>
(許して下さい、二度としませんから)Простите (Извините) меня, я никогда больше не буду так делать. <今後複数回の動作の否定、ここから意識的否定となる>
(今〔ここで〕お別れをして、もうお会いすることはありません)Сейчас мы с вами попрощаемся и больше не увидимся. <1回の具体的動作の完遂の否定版であり、否定の強調でもある。большеのおかげで不完了体未来形の否定の意識的否定に文意が近くなる>

例示的用法を否定文で用いれば、3-2-2項の否定の強調や3-2-3項の不可能という用法につながる。その例文を次に挙げる。例示的用法は条件節などの従属節で用いられていることが分かる。

(ヴィークトルはきちんとした人だ。絶対に遅れないし、いつも時間に間に合う)Виктор человек точный: никогда не опоздает, всё вовремя успеет. <例示的用法の否定版で、完了体未来形は理由を示す従属節で用いられている>
(安全ベルトを締めないと、罰金を払うことになる)Не наденешь ремень безопасности - заплатишь штраф.
(渋滞にはまらなかったら、すぐに行くよ)Скоро приеду, если в пробках не застряну. <動作が順次的に行われていることを示す完了体の用法でもある。не застрянуは、これから渋滞にはまらなかったらという、例示的用法である>

出題)「この先どうなるかを理解するのに超能力は必要ない」をロシア語にせよ。

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2015年05月16日

●和文露訳指南第240回

сучья は大枝(一番低いところにある)で、ветви は枝、ветки は小枝、веточки は果実のなる小枝、побеги は若枝 で、лапаは針葉樹の手の形の枝を指す。

出題)「もし想像力がなくなれば、人は人でなくなる」をロシア語にせよ。

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2015年05月15日

●和文露訳指南第239回

動物をおびき出すための餌はприманкаであり、比喩的にも用いられる。наживкаは動物用の罠や釣りの餌に使われ、насадкаは釣針につける餌である。живецは生き餌としての小魚を指す。кормは鳩などの給餌用の餌、家畜の飼料。

出題)「大学に入った年のことを私は忘れない」をロシア語にせよ。

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2015年05月10日

●和文露訳指南第238回

営業許可証のпатентは販売用であり、活動についてのものにはлицензияを用いる。

出題)「1年もたたないうちにモスクワ当局から最初の重大な警告が来た」をロシア語にせよ。

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2015年05月09日

●和文露訳指南第237回

『和文露訳指南』10-8項で、видетьなどの動詞は、接続詞としてчто/какの両方が取れると書いたが、使い分けはある。чтоは事実の確認だけだが、какは事実の確認だけではなく、動作にも注目していることになる。

(彼が到着したのが見えた)Я видел, как (что) он пришёл.
(彼が道を歩いていたのが見えた)Я видел, как он шёл по дороге. <чтоにすると不自然である>
(彼女から何かが〔繰り返し〕奪われたような〔その姿を〕私はしばしば目にせざるを得なかった)Нередко приходилось мне видеть, как у неё отнимали что-нибудь. <чтоにすると不自然である>

出題)「私が店に行ってくる間に、宿題を暗記しなさい」をロシア語にせよ。

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2015年05月06日

●和文露訳指南第236回

『和文露訳指南』10-14項に下記追加願う。

接続詞のчтоは事実の確認に用いられ、чтобыは疑い、希望・要望(хотеть欲する, желать望む, просить頼む, советовать勧める, просьба頼む, совет助言, приказ命令, умолять懇願する, заклинать切願する, надо必要だ, нужно必要だ, необходимо不可欠だ、など)に用いられるという原則を理解されていない方が多いようだ。

(いらっしゃったことが重要です)Важно, что вы пришли. <事実の確認>
(いらっしゃることが重要です)Важно, чтобы вы пришли. <要望>
(合格なさると思います)Я думаю, что вы сдадите экзамен. <この主文を否定文にすると下記のようになる>
(試験に合格なさるとは思えません)Я не думаю (сомневаюсь, не считаю), чтобы вы сдали экзамен. <疑いのニュアンス>

(人は幸せでなければならない)Надо, чтобы люди были счастливы.

出題)「マンションは息子名義だった」をロシア語にせよ。

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2015年05月05日

●和文露訳指南第235回

運転手のшофёрは交通機関などのプロの運転手を指すのが普通で、водительはプロもアマも含む総称語であり、ドライバーとも訳せる。長距離運転手、つまりトラック野郎はводитель-дальнобойщикないしはдальнобойщикである。водила, водило は卑語で「運ちゃん」。丁寧な呼びかけである、「運転手さん」はкомандирやшефで、шефはボーイ、警察官などに呼びかけるときにも丁寧語として使われる。

出題)「試験に合格なさるとは思えません」をロシア語にせよ。

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2015年05月04日

●和文露訳指南第234回

占いはгаданиеが一般的。ворожбаはカードや、豆、コーヒーかすで行うような病除けの占いを指す。

出題)「彼は2008年から国際的に指名手配されていた」をロシア語にせよ。

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2015年05月03日

●和文露訳指南第233回

『複文Сложное предложение, Формановская, URSS, 2015(第3版)』を読み始めた。так какとпотому что、однакоとноの使い分けなど、例文が多く、分かりやすい。複文については文法書に少し書いてあるだけで、和文露訳での使い方も我流だった。本書は非常に役に立つと思うので、みなさんにもお勧めする。Формановская先生はАкишина先生と共著で、Этикет русского письма, Русский язык, 1981やРусский речевой этикет, Русский язык, 1978の名著を書かれた先生であり、これらの本は遂行動詞について書かれたものではないが、私がロシア語で遂行動詞や遂行動詞的用法を研究する際のよい原資料となった。共にURSSから復刻されているようである。

出題)「彼はとても誠実だったので、民の苦しみを見ていることができなかった」をロシア語にせよ。

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2015年05月02日

●和文露訳指南第232回

第232回
同じくクルガーノフの第2巻に、週の説明があり、日曜воскресеньеは復活の日というのが本義であり、これをスラブ語で言うとнеделя(現代語では週という意味)であり、これはне делай(〔何も〕するな)が由来であるという落語のオチ見たいなことが書かれている。これまでнеделяの由来など考えたこともなかったが、そう言われれば、なるほどと思えるから不思議だ。

出題)「2005年12月14日その取締役は半死半生になるまで殴られた」をロシア語にせよ。

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●和文露訳指南第231回

родитьは人の子や文化現象を創出するという意味であり、принестиは動物の子を生むとか、植物の実を作るという意味である。

出題)「前科なし」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 07:14 | Comments [5]