2015年05月22日
●和文露訳指南第241回
『和文露訳指南』4-2-1-4項を若干下記のように変更した。
「~するつもりはない」という意向の否定版を示すために意味的に一番明確なのは、4-1-3項の意向の動詞と否定詞の組み合わせ、つまりне собираться (намерен, думать, планировать) + 不完了体不定形を用いることである。これだと今後一切かような動作はしないという反復の否定版も、具体的な1回の動作の意向の否定版も示す事ができる。一方、4-1-1-6項の意識的否定は反復の否定版だけである。完了体未来形の否定で意向の否定版を示す事ができるのは、始発の動詞だけであり、動作の始発自体を否定することから意向の否定となり、しかも、それは具体的な1回の動作の否定版である。それ以外の完了体動詞では完遂の否定版や動作の強調の意味になってしまう。
(自分の立場を法廷で変えるつもりはない)Свою позицию на суде я менять не собираюсь. < = менять не буду>
(僕はそこには行かない)Я туда не пойду. <始発の動詞>
主観的ニュアンスなしに動詞本来の生の動作だけを意味するのが不完了体であり、これ否定すると今後一切かような動作は行わないという、未来におけるあらゆる時点で反復される動作も否定することになり、完了体動詞未来形の完遂の用法(具体的な1回の動作の完遂)の否定版と言える用法4-2-1項と対立する。また不完了体未来形が否定文で用いられるのであるから、これこそ動作の無の確認の用法でもある。
(彼はロンドンに行かない)Он не уедет в Лондон. <1回の具体的動作の完遂の否定版>
(許して下さい、二度としませんから)Простите (Извините) меня, я никогда больше не буду так делать. <今後複数回の動作の否定、ここから意識的否定となる>
(今〔ここで〕お別れをして、もうお会いすることはありません)Сейчас мы с вами попрощаемся и больше не увидимся. <1回の具体的動作の完遂の否定版であり、否定の強調でもある。большеのおかげで不完了体未来形の否定の意識的否定に文意が近くなる>
例示的用法を否定文で用いれば、3-2-2項の否定の強調や3-2-3項の不可能という用法につながる。その例文を次に挙げる。例示的用法は条件節などの従属節で用いられていることが分かる。
(ヴィークトルはきちんとした人だ。絶対に遅れないし、いつも時間に間に合う)Виктор человек точный: никогда не опоздает, всё вовремя успеет. <例示的用法の否定版で、完了体未来形は理由を示す従属節で用いられている>
(安全ベルトを締めないと、罰金を払うことになる)Не наденешь ремень безопасности - заплатишь штраф.
(渋滞にはまらなかったら、すぐに行くよ)Скоро приеду, если в пробках не застряну. <動作が順次的に行われていることを示す完了体の用法でもある。не застрянуは、これから渋滞にはまらなかったらという、例示的用法である>
出題)「この先どうなるかを理解するのに超能力は必要ない」をロシア語にせよ。
Чтобы понять как всё будет дальше, экстрасенсорные силы ненужны.
-----------------------------------------
お答えは「この先すべてがどのようになるのか」ですが、設問は「何がこの先起こるのか」ですから違います。私の答えは、Экстрасенсорика здесь не нужна, чтобы понять, что дальше будет.
超能力はэкстрасенсорные способности, экстрасенсорика (= экстрасенсорное восприятие (ЭСВ), ESP 超感覚的知覚), сверхспособности, свехъестественные способности という。
Пси Фактор (хроники паранормальных явлений)はカナダの連続テレビ番組名。
Для того, чтобы понять, что будет происходить в дальнейшем, экстрасенсорные способности не нужны.
-----------------------------------------
正解です。
Пси-фактор не
требуется для того,
чтобы понять как
дальше будет.
-----------------------------
Пси Факторはカナダの連続テレビ番組名のようです。
Чтобы понимать,что будет дальше,не нужна сверхъестественная сила.
規則的反復でнвとしました。よろしくお願いします。
-----------------------------------
чтобыにつく不定形は、具体的な1回の動作を示すことが多いので完了体となるのが普通です。出題も、この先どうなるかを理解するのは何度も理解するのではなく、1回の具体的動作ですから完了体とすべきです。
Не надо иметь экстрасенсов, чтобы узнать будущее.
---------------------------------
お答えは、未来を知るために霊能力は持つ必要はないという一般的な話になっています。