2014年07月31日

●続和文露訳入門第525回

このところ年のせいか、暑さのせいか知らないが、自分の訳を投稿者に示すのを第517回と第522回、第523回と忘れてしまった。答えはすでに書きいれた。こういうことは前にも何回かあったと思う。お詫びするとともに、今後もあり得ると思うので、その都度ご指摘いただければ、すぐ提示する。

 ロシア語のニュースをロシア語で読んだり聞いたりする人もいるだろう。そのときに意味だけ取ればいいやとするのではなく、体の用法を極めておけば、正確にそのニュースのニュアンスをとらえることができる。体の用法の使い分けは会話のみならず、このようなニュースを読んだり、ロシア語の文学作品を昧読するのにも非常に強力な武器として使えるのである。

出題)「これら手づくり品すべての以前のようなばかげた安さはもう昔話となった」をロシア語にせよ。

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2014年07月30日

●続和文解釈入門第524回

『三訂和文露訳入門』3-1-1-4項を下記訂正願う。

3-1-1-4 ся動詞による非情の受け身と過程の用法

 不完了体ся動詞で受動態(受け身)を示すことができるものがあるが、主語に立つのは不活動体であり、人は一般的に主語にはならず、動作の主体は造格となる。このような受け身を日本語の文法では非情の受け身と呼ぶ。ただ動作の主体が明確であれば活動体が主語でも反復や過程の意味で用いられることがある。受け身の意味で使われる不定人称文は動作主が明確な場合には使えないからである。そのため非情の受け身は使い勝手が悪いが、被動形動詞過去短語尾の用法と違い、過程を示すことができる。

(家が建てられている、家は建設中である)Дом строится.
(英雄たちは国家により表彰される)Герои награждаются государством. <主語は活動体だが、動作の主体が明確であるために不定人称文が使えない例である>
(郡の医者は医療自治会によって追加料金で呼ばれた)Уездный врач приглашался земством медицины за дополнительную плату. <これも主語は活動体だが、動作の主体が明確であるために不定人称文が使えない例である>

出題)「長く歩いたり座ったりすると靴がきついと感じたことがありますか?」をロシア語にせよ。

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2014年07月29日

●続和文解釈入門第523回

ボルゾイとかライカとかロシアの犬についても広く知られるようになったが、これらは猟犬охотничьи собакиである。猟犬にもいろいろあるが、ロシアの猟犬でもっとも有名なのはライカлайкаで、鹿、猪、熊、ビーバー、鴨猟で使われ、獲物を追いたて、吠えて(лайは吠えることを指す)、獲物の注意を引きつけ、猟師に仕留めさせるために使う。ボルゾイборзаяはウサギやキツネ猟に使い、猟銃を使用せずにボルゾイ犬が獲物を仕留める。ポインターлегавые собакиは小獲物猟において狩猟対象を探索し、発見した獲物をハンターに指し示す(ポイントする)犬。ハウンドгончие собакиは狩り立て用の犬で、追跡や回収(リトリバー犬)などを行う。セッターсеттерはハンターの指示でハンターが射撃するのに最適な位置に鳥を追いだす(セットする)犬。

出題)「彼は短刀で斬りつけられ、それがもとで死んだ」をロシア語にせよ

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2014年07月28日

●続和文解釈入門第522回

『三訂和文露訳入門』8-4項に下記変更の上、追記願う。

ロシア語における「意見」は具体的な人の意志の力により形成されるものであり、一方「知識」は、自然にわいてくるものではなく、どこからか得るものだという考え方があり、これが二つの状況語の語結合に大きな影響を及ぼしている。学校などでもそうだが、どこからか知識は学ぶものであり、創意工夫して新しい発見や知見を生みだすのはごく少数の例外的な人たちであるというのと似ている。そこから「意見」は程度ではなく、正否を判断するという考えかたになり、逆に「知識」は、すごいかどうか(程度)であって、正しいか否かという考え方はしないということになる。使用例でみると、отчего = почемуである。

下記の文のв чём = гдеも同様に、ロシア語では知識(問題などの)の所在をきいていることになる。

(生きるか死ぬか、それが問題だ)Быть или не быть, в чём вопрос. <英語ではTo be or not to be, that is a question.となり、ロシア語との差が明確である>
(どういうことだ)В чём дело? <= Что случилось?>
(サムソンの力(の源)は彼の髪の毛にある)Сила Самсона заключалась в волосах его.

出題)「生徒たちから答案が受け取られ、教授たちが添削し、コメントをつけて生徒たちに返す事になる」をロシア語にせよ。この答案はレポートや作文と考えてください。

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2014年07月27日

●続和文解釈入門第521回

ロシア語をマスターしたいのであれば、露訳しようとする会話文の時制を自分の頭で突き詰めて考えることである。私の書いた『三訂和文露訳入門』も無条件に信じるのではなく、本当にそうなのかという疑いを抱き、その中から自分で納得できるものを増やしてゆけばよいのであり、教条化する必要はない。ただ私の言う体の本質に納得がいかなくとも、個々の用法の説明で納得がいけば、実際に会話の場面で使えばよい。掲載されている例文で私が勝手に作ったものはないので、正しい文脈であれば安心して使えることは私が保証する。

 何千もの模範的な例文を丸暗記することは勉強ではない。物事には何かしら理屈が通っているわけで、時間をかけて考えれば説明がつくはずである。語彙という枝葉は日常語彙を除けば、必要な分野や関心のある分野を覚えればよいし、もっというと自分の和露の語彙集に入れておくだけでよい。そういう語彙集が手元にあれば暗記はいつでもできる。それよりも文の根幹である動詞の時制について日ロの違いを明確に理解し、マスターすることに心血を注ぐべきである。丸暗記というのは思考停止であり、そういうことに無駄に精力を注ぐべきではいけない。丸暗記は勉強の名に値しない。

出題)「農業は主な収入源だった」をロシア語にせよ。

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2014年07月26日

●続和文解釈入門第520回

動詞бытьには動作動詞として不完了体・完了体の機能があることは前に述べた。不完了体の機能において反復の意味はなく、その機能はбыватьが担う。完了体過去形についても第487回本文においてアオリスト用法はあるが、былが助動詞として過去の時制を示すため結果の存続の用法はないのではないかと述べた。それでは動詞бытьには結果の存続の用法はないのだろうか?『三訂和文露訳入門』8-1-1項において、Я дома.が「私は家にいる」という意味の他に、動作動詞として「ただいま(戻りました)」という意味の時は、3-1-6-2項に挙げたように、状態の動詞がуже(すでに)というニュアンスがある文脈では、結果の存続の意味を出せることから「到着した」という意味を示す事ができると考えてもよい。つまり動詞бытьは現在の時制で結果の存続の意味をもつと言える。

出題)「モスクワでコーヒーを飲む習慣はギリシャ人から始まった」をロシア語にせよ。

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2014年07月25日

●続和文解釈入門第519回

『三訂和文露訳入門』に下記追加願う。

7-1-2 志向の動詞と否定

「(ワーニャはその問題を解いた)Ваня решил задачу.」を否定文にすると、次の二つの文が考えられる。

(ワーニャはその問題を解けなかった)Ваня не решил задачу. <= Ваня пытался решить не решил.>
(ワーニャはその問題を解かなかった)Ваша не решал задачу. <= Ваня не пытался решить.>

 最初の文は解こうとしたが、解けなかったとなり、二つ目の文は解こうとさえしなかったという、志向の否定となっている。

出題)「彼は知らん顔」をロシア語にせよ。

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2014年07月24日

●続和文解釈入門第518回

私は大学でロシア語を専攻して3年生のときに、あるロシア人の女性のもとで仲間三人と共に週1回ロシア語会話を習うことになった。その会話のレッスンのときに初めて会話での動詞の体の使い分けをどうすればいいのかという疑問が浮んだと言える。正しいロシア語はそのロシア人に聞けば、ある程度状況を日本語や片言のロシア語で説明すると、教えてもらえるので不自由はしなかったが、過程を無視して答えだけとか、なぜ片方の体がだめなのかが教えてもらえないという不満は当時もおぼろげながら感じていた。大学のロシア語会話の授業では、先生は野村タチヤーナ先生やタマーラ原先生だったが、十数人の生徒たちに対して、既に教材も決まっており、その対話体の教材の発音と構文の暗記に終始し、体を気にするようなことはなかったと記憶する。

 体の用法をマスターしようと思ったのはこの10年くらいだろう。これまでいろいろな例文をかなり暗記したおかげで、仕事上のいろいろなシチュエーションでもロシア語は口からついて出てきたし、ロシア語はそれなりに通じたから、体の用法をマスターする必要は特には感じなかったが、会社を辞めてプロの通訳やガイドをするようになって、プロとしてこれではいけないと思うようになったからである。回りのプロの通訳やガイドに動詞の体のことをきいても怪訝な顔をされるばかりで、それなりに正しいロシア語が話せるというのは、体を理解しているということであり、どの状況でどの体を使うかその説明ができなくても、正しい(通じる?)体が出てくるのなら問題ないだろうということらしかった。ところが、何年か前、あるプロの通訳でロシアソ連文学の翻訳家の方から話をうかがった時に、その方は時々体の使い方でロシア人から直されると笑いながら教えてくれた。謙遜の意味もあったのかもしれないが、体の用法が確実でないのに、文のニュアンスを訳すのが難しい文学の翻訳ができるのだろうかと疑問に感じたのを覚えている。自分の場合でも、今でも体の用法を間違うことはよくあるが、間違えた瞬間なぜ間違ったかはすぐ分かる。それは次に間違えないようにと、そういう勉強をしてきたからだ。何故この体でなければならないのかを理解しなければ、何万と丸暗記した例文に頼らざるを得ず、困ったことに完了体・不完了体が同じような場面で使われる場合もあるし、明確に使い分けをしなければならない場合も多々ある。仮に実用上は問題がなくとも、体を十分に理解していないと、文学などの翻訳では誤訳の元になりはしないかと危惧する次第である。しかしそう考える人は聞いたこともないし、プロの中でもいないようだ。あまり文法、文法というと香り高い文学の邦訳が台無しになると考える先達もいる。

 動詞の体というのは、これまでに磯谷孝先生、原求作先生、林田理恵先生の参考書が日本語で出ているが、それなりによい本だとはいえ、会話での和文露訳用とは思えない。ロシア語で会話をしようと思えば、一つ一つの文でまず動詞のどちらの体を選ぶか決めなければいけないのに、ロシア語の会話の授業では例文や構文(これらはロシア人が作ったロシア語で体の使い方ももちろん正しい)の暗記ばかりのように思われる。正しいロシア語文の暗記ばかりで、なぜこの体をこの文で使うと間違いなのかを生徒に教えないと、いつまでもまともな文は作れないのではないかと思う。入門の段階で、ロシア文字を覚えた時点から、会話の授業を始め、それに体の使い分けを入れるべきだと思う。そうすれば、ロシア人と会話をするとかメールをするなどという具体的な目標ができて、やる気が生まれると思う。入門や初級の段階で会話や、ましてや動詞の体は無理だということで、名詞の格変化や動詞の活用の暗記に特化した授業や例文や構文の丸暗記ばかりで、会話と体を組み合わせたような授業をしていないのが問題だと思う。生徒は馬鹿ではないし、小学生でもない。立派な大人ばかりである。このような人を馬鹿にした授業法がまかり通っていて、それに対して生徒の方から不満が出て来ないというのもおかしい話である。もっともそういう人はロシア語が難しいという一言のもとにロシア語の勉強を止めてしまうのだろう。こういう現実になんとか歯止めをかけ、語学はどの語学もそれなりに難しいが、語学の勉強は全く未知の世界を知ることにつながるわけで、丸暗記と言う機械的な勉強ではなく、動詞の体と会話を通じて、知的で、人間らしい勉強をしようと言うのが私の提案である。このコーナーの投稿者の皆さんは、そういう中で体に関心を持つ非常に奇特な方々ではあるが、私の考えでは、会話や動詞の体に重きを置く常識的な人ばかりだと思う。こういう方々が少ないのがおかしいと思うわけである。それもこれまで会話や体の重要さを初級の段階で指摘して来なかったからであろう。現実に私にロシア語をマンツーマンで習いたいという人も出てきた。この流れがより大きな流れになることを祈っている。学習者の知的関心、レベルは皆違う。入門時や初級レベルでその学習者に合ったオーダーメイドの勉強法でロシア語を学べば、中級や上級へと自学自習の道も開ける。最初が肝心であり、最初に自分で考える方法の手助けを講師がお手伝いできるかどうかがそのカギとなると確信している。

出題)「彼女は隠しごとには向いていない。感情が全て表に出る」をロシア語にせよ。

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2014年07月23日

●続和文解釈入門第517回

(そうは言っていない)という第515回の出題についてコーリャさんから、第80回出題のコメントや第81回本文の説明と第515回の出題の回答およびその説明に食い違いがあるとの御指摘がありました。すっかり出題したことを失念しており、第80回出題のコメントと第81回本文の(そうは言わなかった)という部分の解説は誤りと認め、深くお詫び申し上げます。特にコーシカさんは正解にもかかわらず、間違いとしたことに対して慙愧の思いに堪えません。ご寛恕のほどよろしくお願い申し上げます。どうも結果の非存続という考え方にはまり込んでいたみたいです。

 第515回出題のコメントが正しいと認識した理由は、最近マリーニナМарининаの『他人の仮面Чужая маска』というミステリーと、バジャーノフБажановの『私はスターリンの秘書だったЯ был секретарём Сталина』を読んで、その中の出てきた文章とその文脈から判断したわけです。まずマリーニナの警察小説の主人公女性捜査官カーメンスカヤと夫の会話から見てみます。

- Ты прав, Юрик, я непозволительно распустилась со своими переживаниями. Со мной стало неприятно иметь дело, да?(その通りよ、ユーリク(夫の愛称)。私、許しがたいほど自分の苦しみのことでいい気になってしまったの。私が嫌になったのね、そうでしょ。)
- Я этого не сказал.(そんなことは言っていないよ)<具体的な1回のカーメンスカヤの発言に対して否定の結果の存続>

 バジャーノフのは、

Когда он (Розенберг) наконец кончили, я говорю: «Из всего, что здесь говорилось, совершенно ясно, что в самом непродолжительном будущем вы начинаете войну против Советов». Розенберг спешит сказать: «Я этого не говорил».(彼〔ローゼンベルグ、ドイツの高官〕がついに話を終えると、私はこう言った。「ここで述べられたことすべてから、ごく近い将来あなたたち(貴国)はソ連と戦争を始めることは全く明らかだ」。ローゼンベルグは「そんなことを言ったこと〔覚え〕はない」と急いで言った) <говорилосьとある以上、何度か話をした、つまり1回の動作ではないので、動作の無の確認のみである>

 誤りについてはないようにしたいとは常々思っておりますが、学未だ至らぬところも多々あり、今後ともこのような誤りはあるかと思いますが、遠慮なくご指摘いただければ、その都度説明なり、訂正なり、お詫びなりをしたいと思います。それが会話における和文露訳においての体の用法の解明に資するところ大だと考えるからです。

出題)「彼女は彼女のところに一晩泊ってはどうかと言った」をロシア語にせよ。

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2014年07月22日

●続和文解釈入門第516回

место(場所)の前につく前置詞はвかнаか迷う人も多いと思う。『女性のための技術ロシア語』にも書いたが、タイプミスもあり、それを訂正するとともに、Wade先生のA comprehensive Russian grammerに従って書いて見る。наを使うのが基本であり、вは例外として、その例外になる事例を覚えた方が効率的だと思う。

на местеは不動、所有、元の場所、平坦な場所(二次元)、置換、位(1位、2位などの)、на местах(地方で)などと使う。

в месте
1) 全体の一部
Книга порвана в одном месте.(その本は1か所破れている)
2) 三次元の場所
В тёмном месте(暗い所で)
3) 一つに(まとまる)
Всё собрать в одном месте.(全てを一か所にまとめる)
4) 同じ場所
Мы всегда встречались в одном месте.(僕らはいつも同じ場所で会った)
5) 特定の場所
в чудесном месте(素晴らしい場所で)
6) 特定な形容詞との結びつき
в разных местах(いろいろな場所で)、в другом месте(別の場所で)

『女性のための技術ロシア語』の「6. 場所」にはタイプミスがあったので下記のように訂正します。お買い上げの方々には深くお詫びいたします。

技術でも多用される「場所で」という意味のместоの前に来る前置詞наとвの使い分けだが、普通は наが来ると思えておけばよい。вが来るのはкрай(行政単位の地方)、округ(管区)、местность(地域・地方)を意味するときであり、複数で用いられる。地方の機関や役所では Придётся ехать на места.(地方回りをせねばならなくなる)とか、наはделегаты с мест(地方出身の議員)とна – сの組合わせとなる。何か他とは異なった個所(箇所)にはв месте перелома(骨折個所)、文学作品や音楽作品などの不明箇所、в публичном (общественном) месте(公共の場所)というようにвが来ることが多い。<上記のように上っから3行目に「複数で用いられる」を追加し、同4行目の原文にあった「на делегации с мест」を「Придётся ехать на места.(地方回りをせねばならなくなる)とか、на はделегаты с местに訂正し、本コーナー最後の行に「前置格と共に」を追加しました>

расставить метальщиков в двух местах 爆弾の投擲者を2か所に配置する
принести в указанное место и в указанное время 指定の場所、指定の時間に持ってくる

место работы(作業場、仕事場), место назначения, место службы(任地)については、方向を示す場合、кが来るのが普通である。

Обед доставлялся к месту работы. 昼食は仕事場に届けた。
К месту назначения не прибудет. 任地には(彼は)行かない。
Подорожные деньги выдавались лицам, выезжающим к месту службы 旅費は任地に赴く人に支給された。

上の文については、多くはないがвやнаも来る。位置を示す(~では)は前置格と共にвやнаが来る。

出題)「1865年秋、劇場理事会が彼女が舞台を去るとアナウンスした時に、大衆は初め信じようとしなかった」をロシア語にせよ。

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2014年07月21日

●続和文解釈入門第515回

日本では外国語のうちで特にロシア語の人気がないのは周知の事実である。それはNHKの語学番組の扱いを見てみればよく分かる。時の政治情勢などにも影響されるだろうし、今回のマレーシア機墜落事件を見る限り、ロシア語を学んでロシアを知ろうという気は起こらないかもしれない。しかし、一方日本人はドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』や、トルストイ、チェーホフなどをよく読み、ロシア文学好きでもある。『カラマーゾフの兄弟』を読了したら、思考力の面で一人前だと考える若い人もいるやに聞く。欧米と異なる対応をするロシア、ロシア人について逆に知りたいと考える人もいるだろうし、私のようにロシア政府と一般のロシア人の考え方は違うのではないかと思う人もいるだろう。こういうときに普通のロシア人とメールなどでやりとりして生の声を聞いてもらいたいと思うのである。

 いざロシア語をやろうと思っても、挨拶言葉の丸暗記に続いて、名詞の格変化(6つある)、動詞の活用(人称と単数・複数ごとに)を丸暗記(これはある程度やむを得ない)があり、他にも動詞の体の用法や単数・複数の使い分けがある。これでははなからやる気も失せようというものである。短所ばかりあげつらっても仕方がない。楽な面もある。それは文字である。ロシア文字はたった33文字しかないし、ローマ字と似ているものが大半だから、三日もあれば覚えられるだろう。アラビア文字や漢字を勉強することに比べたら屁でもないはずだ。

 問題はここからである。とりあえず学習の目標をロシア語を話せるようにするから、生のロシア人とメールでやりとりできるようするにして、学習法を工夫してあげればよいと思う。ロシア文字を覚えた学習者に、初歩的な言い回しや文法を教えると同時に、学習者からロシア人にメールするとして、それに学習者が必要だと思う短文を日本語で書いてもらう。それを露訳して、レッスンの半分はこの露訳の詳しい解説に当て、この露文を暗記してもらう。例えば、「調子はどうですか?」という文があったら、指導する側は、いろいろ訳せるだろうが、Как дела? と教え、какやделаについて細かく説明し、この返事はどうなるのかまで教える。毎回一文と決めて、やって行くうち、「私は東京に住んでいます」とか、「ウクライナ情勢についてどう思いますか?」、「ロシアのコスプレ人気はどうですか?」というように、学習者の興味ある分野で和文露訳できるようにしてあげる。学習者一人一人に合わせた、オーダーメードの語彙や分野で勉強した方がやる気も出るし、そうすれば勉強も自分の興味ある分野だから勉強も続くはずだ。それを既存の教科書のような、ある意味の押し付けで、学校とか友達とかというきまりきった万人向けのテーマで書かれた会話内容を発音させ、暗記するというのでは実際の会話がいつまでたってもできないままだろうし、学習意欲が湧くとも思えない。自分の言葉でロシア人に自分の話したいこと、聞きたいことを伝えるというのが、まず一番最初にすべきことだと思う。名詞の格変化だって、自分の関心のある分野、例えば車、ファッション関係を使えばいいし、会社関係なら、会社のカタログを使うということも可能である。動詞の活用についても会話でよく使う動詞を優先的に覚えるようにしてもらえばよいわけである。こういう指導のできる講師が少ないのか、あるいは学校の体制によってそれができないのかは知らないが、私なら個人向けにこのようなレッスンはできると自負している。こういうようなレッスンを受けてみたいという方はご連絡を。料金は応相談だが、とりあえずは東京近辺の方ということになる。慣れてきたらそのうちSkypeでのレッスンも視野に入れたいと思っている。

出題)「そんなことは言っていない」をロシア語にせよ。

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2014年07月20日

●続和文解釈入門第514回

否定生格における証言性の例をもう少し挙げておこう。「冷蔵庫に瓶はなかった」という文は二つに訳し分けられる。

Бутылки не было в холодильнике. <状態の否定>
Бутылка не была в холодильнике. <動作の否定>

 最初の文は冷蔵庫の中味を改めたが瓶は入っていなかった(証言性の否定生格)であり、二つ目は実際冷蔵庫の中を確かめたわけではないが、例えば瓶が生温かかったので、冷蔵庫には入っていなかったと判断したということになる。

出題)「保存血液は涼しい場所で保管の事」をロシア語にせよ。

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2014年07月19日

●続和文解釈入門第513回

モスクワの中心、赤の広場の近くにキターイ・ゴーロトКитай-городというところがあって、1980年代にモスクワに駐在していたころ、観光バスに乗った時に、その若い女性のガイドがこの場所は英語で言えば、〔キターイ(契丹が由来らしい)は中国のことだからと言いたかったのだろう〕チャイナタウンであり、大昔中国人が住んでいたからだという駄法螺を吹いていたのを思い出す。いくらなんでも言っていいことと悪いことがある。現在のところは、キターというのは古代、城壁を作るための編籠(中に石を詰める)、編垣から来ているとされていたが、ショーカレフШокаревの『中世モスクワの日常生活』(Молодая гвардия, 2012)によれが、チュルク語系のкытайクィタイ、要塞から来たのだという説もあり、定説はないとのことである。2002年ごろキターイ・ゴーロトに行ったら、チャイナタウンというレストランがあったから、案外一般のロシア人も地名の由来を知らないかもしれないのか、大して気にしないという事なのだろうなと思った次第。

出題)「顔の整形をした」をロシア語にせよ。

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2014年07月18日

●続和文解釈入門第512回

『三訂和文露訳入門』に下記追記願う。
3-1-4-8 遂行動詞と否定

遂行動詞の否定(専門的に言えば発語内的否定)は、元の発語内行為の否定ではなくて、保留であり、「ない」は遂行動詞ではないということが入江幸雄先生の『発語内的否定と質問』という論文に書かれている。つまり遂行動詞を否定すると、否定された動詞は遂行動詞とは言えず、遂行する動作自体が存在しなくなるのだから、「~しないことになっている」というような、動作自体を否定し、一般的にこうだという意味にしかならない。またパードゥチェヴァ先生も遂行動詞は否定を許容しないと述べておられる。遂行動詞の用法を否定文で用いたければ、否定の強調(3-2-2項)を参照願う。

(戻ると僕は約束する)Я обещаю вернуться. <遂行動詞>
(戻るとは約束しない)Я не обещаю вернуться. <パードゥチェヴァ先生は保留というよりは拒否のニュアンスがあると述べている>
(万事順調)Я не жалуюсь. <= Всё в норме.ということで、Как дела?〔調子はどう?〕の答え。文字通りでは「文句はない」だが、そこから派生して、形式は否定文だが、意味的には肯定であり、遂行動詞的用法となったもの>
(弊社は他の方々にお客様の個人データを知らせることは一切ありません)Мы никогда не сообщаем ваши личные данные другим сторонам.

出題)「最低1カ月はリハビリに必要だ」をロシア語にせよ。

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2014年07月17日

●続和文解釈入門第511回

プロの露文和訳にはそれなりの苦労があると思うが、我々素人の露文解釈は和文露訳(会話も含む)よりははるかに簡単である。初級文法を抑えておけば、後は語彙を調べるだけで済むからだ。体の用法云々といっても、見かけでほぼどちらの体かは分かる。無論重箱の隅を突っつくようなことを言えば、時制の転用とか、歴史的現在というのもあるが、前後の文脈でだいたい分かる。ところが和文露訳は語彙を調べてから、それからどちらの体を使うべき(選ぶ)か考えねばならない。
 いったいロシア語の会話ができる人というのは、体の使い分けという問題をどう解決しているのだろう?自分の経験から言えば、丸暗記した例文に近いものが頭に浮かべば、それを活用する。そういう例文が頭に浮かばなければ、動作の完了なら完了体を、反復、過程なら不完了体を、よく分からない文脈では、一か八かでどちらかの体を使ってみるというところだろう。100%正しく体の用法を使えるという人は寡聞にして知らない。無論幼いころからロシアに住んでいたというようなバイリンガルの人は例外だろうが、大人(大学生だって大人である)になってからロシア語をやった人に、体の用法がだいたい正しく使いこなせるというレベルの人はかなりの上級者だと思う。基本的にできるだけ多く例文を暗記して、それを自分の脳に覚え込ませ、そしてコンピューターのように処理してもらおうと考えているのかも知れない。そうすればロシア人と同じように感覚的にロシア語を使えるようになると考えるのは錯覚としか思えない。そういうことが仮にできるようになるとしても何十年もかかるような気がする。もう少し理詰めに体の使い分けを、初級の入門の段階で始めれば、語彙の量を別にすれば、より早く(1、2年で)ロシア語が習得できると思う。その時に体の使い分けの例文を暗記すれば一石二鳥だ。覚える語彙も日常会話やせいぜいのところ新聞の見出しに載る程度のもの、自分の興味のある分野のものでよい。

出題)「二重否定は肯定である」をロシア語にせよ。

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2014年07月16日

●続和文解釈入門第510回

ロシア語でвынести сор из избыというのは、内輪のもめ事を明るみにしないということだが、これは革命前のロシアの農村で文字通り、Сор из избы выносить запрещалось.(農家のゴミを外に出すのは禁じられていた)ということで、ゴミには髪の毛、切った後の爪などがあり、それらは人に呪いをかけるのに使われる可能性があると考えられたからであるという。

出題)「彼は彼女に気があるのじゃないかい?」をロシア語にせよ。

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2014年07月15日

●続和文露訳入門第509回

「ついに、とうとう」はнаконецやв конце концовと訳すのだということを知っている人は多いと思うが、用法も同じだと勘違いしている人がほとんどではないだろうか。その違いを参考のために紹介する。наконецは感情的な表現で、否定文とは使われず、内容的に肯定的な文章で使われ、完了体と共に使う。в конце концов感情表現の面で特に制約はなく、肯定文・否定文とも使われるし、完了体・不完了体とも使われる。ただошибиться(間違う), заболеть(病気になる、病みつく), умереть(死ぬ), отчаять(絶望する), погибнуть(死ぬ), застрелиться(銃で自殺する), проиграть(負ける), проспать(寝過ごす), вынужден(~せざるを得ない), должен(~ねばならない), нужно(必要である), приходится(~ねばならない)という否定的ニュアンスが感じられる語彙はв конце концовと共に使われるということが言える。

Ура! Наконец наша команда победила.(万歳、ついに我が国のチームが勝った)
В конце концов он так и не напечатал свой роман.(結局彼は自分の小説を出版しなかった)

出題)「彼は村まで後2キロのところまで来た」をロシア語にせよ。

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2014年07月14日

●続和文解釈入門第508回

否定文において完了体(完遂)と不完了体(動作の欠如)ではっきりと意味の違いが出る例があるので紹介する。「スポーツ選手はまだ休憩を取っていなかった」は二通りに露訳できる。

Спортсмен ещё не отдохнул. <休憩を始めたが、休憩は終了していない>
Спортсмен ещё не отдыхал. <休憩の動作が始まっていない>

出題)「24時間後にここに戻ると誓う」をロシア語にせよ。

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2014年07月13日

●続和文解釈入門第507回

『三訂和文露訳入門』6-2-1-1項を次のように訂正願う。

 должен(~すべきである)はмочьなどのように叙想語(モダリティー)であり、話し手の主観を示す言葉だから、完了体動詞不定形が後につくのが原則である。

(今日アレクセイに手紙を書かねばならない)Сегодня я должен написать письмо Алексею.

不完了体動詞不定形がつくとすれば、切迫感(6-1-1項の例文参照)や、否定(不必要)、反復、経過・継続の用法であろう。また義務の意味の他に、完了体動詞不定形を伴って予定(~するはずだ)の意味となる。これは未来の時制におけるある出来事の到来について確信と未知が合わさったニュアンスをもつ用法で、叙想的ニュアンスがあるため例示的用法として完了体動詞不定形が結びつき、否定文でも完了体動詞不定形を取る。

(いつママは来ることになってるの?)Когда мама должна прийти?

не должен + 完了体動詞不定形では「~するはずがない、~しそうもない」という意味になり、不完体不定形や動詞бытьとなら「~するべきではない」という意味となる。не обязан(~する義務はない)、не обязательно(~する義務はない)、не полагается(~すべきではない)、не приказано(命令されているわけではない)も、不完了体動詞不定形と共に義務の不履行を示す。「~するはずがない」は完了体の例示的用法からの否定の強調である。この用法以外では、не должен + 不完了体不定形を取る。

(彼が遅れてくるはずがない)Он не должен опоздать.
(申請書をお出しになるべきではありません)Вы не должны подавать заявление.
(計画には間違いがあってはならない)В проекте не должно быть ошибок.
(遅れた生徒たちを通せという命令は受けていない)Мне не приказано пропускать опоздавших учеников.

出題)「オーリャ、いいかげん目を覚ましなさいってば」をロシア語にせよ。

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2014年07月12日

●続和文解釈入門第506回

日常会話では、否定文において結果の存続も動作の無の確認も意味が接近する。

(お前が取ったのか?)Ты взял?
(いや、ぼく取らなかったよ)Нет, я не брал. <動作の無の確認の用法で、я не взял.とすると否定の結果の存続であり、日常会話では意味の違いはほとんどない>
(この人たちは切符代を払わず、前の試合から居残った)Эти люди не платили денег за билет, а остались здесь с предыдущего матча. <заплатилиに代えても意味は変わらず、順次的用法となる>

出題)「時と共に状況はがらっと変わった」をロシア語にせよ。

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2014年07月11日

●続和文解釈入門第505回

『三訂和文露訳入門』に下記追加願う。

3-1-6-2 状態の動詞と結果の存続

 (分かった)Понял. は完了体過去形の結果の存続用法であり、これは(分かります)Понимаю.という遂行動詞に意味的に非常に近いことが分かる。これを否定文にしても意味は変わらない。ちなみにне понимаюは動作の否定であって、遂行動詞ではない。

(私はこれが分からない)Я этого не понял. = Я этого не понимаю.

出題)「彼は王子の刀と帽子を手にとって、いろいろな方向に回しながら長いこと眺めていた」をロシア語にせよ。

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2014年07月10日

●続和文露訳入門第504回

これまでの30年以上にわたるロシア語やロシア人との関わりを基に、人にロシア語を教えたいという気持ちは10年ぐらい前からあったが、その程度のロシア語の経歴の人はざらにいる。ロシア語を話せるというのと、分かりやすく教えるというのは別問題である。ましてやロシア語会話となれば、ロシア人について学びたいという人がほとんどだろう。その中で何か売りというか、特色を出す必要があると考えた。10年前のことである。教えるには参考書が要るが、他の著者の本は、アカデミックであり、実際のロシア人とのやりとりやビジネスなどから離れているようで教えづらい。もっと現代社会、ビジネスに則したものが自分にはぴったりだと思ったが、そのようなロシア語の参考書はない。そこで、自分の得意分野(ビジネスロシア語、技術、観光)から始めて、日常会話、語彙集、構文集、ついには動詞の体の使い分けについて本を書いた。前回も書いたが、否定の用法だけはまとまった参考書がなく、どうかなと思っていたところ、パードゥチェヴァ先生の本に巡り合え、自信が持てた次第である。これで、学習者が希望するなら他の著者の参考書に合わせても、分野ごとでも、日常会話からでも、体の使い分けでも個人でもグループでも教えられる用意ができたことになる。若い時にロシア語をかじって、挫折した人も多いだろう。年配の方でも、暗記主体ではなく、理詰めにロシア語を学びたいという人は大歓迎である。趣味から生きがいになるやもしれず、そのお手伝いができれば幸いである。またロシア語の読解はできるが、会話が今一つという方も、丸暗記にながれない、理詰めの学習法で対処できると考える。体の用法だけ教えてほしいというのでもよい。とにかく丸暗記だけではない、理詰めのロシア語学習法を広げたいと考えているので、趣旨にご理解を示される方々にはご協力のほどよろしくお願いする次第である。

出題)「普通はすぐ血が止る方ですか?」をロシア語にせよ。

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2014年07月09日

●続和文解釈入門第503回

これまで何人かにロシア語を教えたことはあるが、いずれも商社やメーカーの駐在予定者であり、そのメーカーや商社のカタログなども利用してクレーム処理も含めたビジネスレターも含む実戦的なものだった。この頃一般的なロシア語を教えてもいいなと考えるのは、実際に教えてほしいという人たちが現れたことだが、もっと言うと、それまであまり自信のなかった否定の用法についてパードゥチェヴァ先生の本により目処が立ったからである。この本を読んで、自分の考えは間違っていなかったことが分かり、また否定以外に疑問に思っていた点(動詞бытьの完了体的用法など)がよりクリアになったことである。100%ではないかもしれないが、動詞の体の使い分けなどについても、このコーナーのおかげで人に分かりやすく説明できる自信がついたからとも言える。

 正しいロシア語を話す事は暗記の得意な人ならそれほど難しいことではない。暗記する例文を増やせばいいからである。ところが、なぜ使えないのか、使い分けなければならないかを分かりやすく説明するのは難しい。ロシア人の先生は正しいロシア語を話すし、間違いは瞬間的に直してくれるだろうが、なぜそうなるかについて尋ねても、こういうのだから、正しい言い回しを覚えなさいと言われるだけであろう。その場はそれでいいが、それでは次回に応用ができないことになり、ほぼ全く同一の例文でなければ、少し語彙が入れ替わるだけでも正否の判断をロシア人にいちいち聞くことになり、それがほぼ永久に続きかねないということになる。プロの通訳でも、私よりロシア語のうまい人は何人も、何十人もいると思うが、語彙や体の使い分けが説明できない以上、最終的な正否の判断はロシア人にあおぐというふうになってしまう。私にはロシアソ連文学の例文を蓄積した和露の語彙集(9万項目)と、アカデミー版露露辞典など400種を超える辞書、それに何冊もの著名なプロのロシア語学者の参考書があり、それらを体系化したもの(『四訂和文露訳入門』〔原稿〕)も持っているので、これらを網羅して説明できる自信はあり、それが生徒に対して応用力をつけさせることにつながると確信する。これらの参考書や辞書は普通のロシア人の説明よりもはるかに権威のあるものである。ロシア人にとって私たちの日本語同様、ロシア語は母語であり、正しくは話せるが、分かりやすく日本人生徒に説明するのはロシア語学者でないと無理であろうし、仮に日本にロシア人のロシア語学者がいたとして、達意の日本語で分かりやすく説明できるとも思えない。Скажите.とГоворите.の違いは何かなどもそうである。一を聞いて十を知るというのは、学習の要諦であり、いたずらに語彙を暗記し続けるのは大人の勉強法ではない。理詰めに基本を押さえて、短期間(1、2年)でロシア語の真髄をマスターするためには、動詞の体をマスターすることに尽きると考えている。

出題)「もし人体に何らかの黴菌が侵入したら、体は免疫系全体を防御態勢に置く」をロシア語にせよ。

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2014年07月08日

●続和文解釈入門第502回

自分の本を通しで読み返すという機会はあまりない。『三訂和文露訳入門』を出してから、変更や追加をこのコーナーで発表してきており、自分なりに4訂版の原稿が530ページを超えた。60ページほど増えたことになる。これを機会に通しで読んでみることにした。少しずつ読んでいる。読んで思うのだが、自分ではロシア語初級の人にも分かるように書いたつもりだが、内容が分かりにくいというか、くどい感じがする。文章力の問題なのは確かだが、説明を一刀両断にすると正確さが失われるということもある。いずれにせよ参考書は参考書であって、やはり学習者のレベルに合わせて、その希望も聞き、マンツーマンで教えるに如かずということであろう。本はあくまでも学習の補助であり、この本だけで動詞の体の用法をマスターできるとしたら、その人のレベルは上級ということになる。個人レッスンの希望者は大歓迎だが、皆が皆そうもいくまい。そうなるとこのコーナーで実際に投稿するかどうかは別にして、実際に問題を解いて、回答の説明を理解しないと会話の和文露訳の上達の道はないと思う。匿名で構わないのだし、しかも無料である。遠慮しないでどしどし投稿されたら良いと思う。仕事や学校で忙しいなら、毎日投稿する必要もない。休みの日に合わせて、週1回でも2回でも構わないと思う。投稿さえしてくれれば、それに必ずコメントするので、遠慮しないでほしい。この頃気力の衰えも感じられるから、続けているうちが華で、このコーナーが終わってしまったら、和文露訳の練習するようなそういう機会を探すのも大変だろう。あるうちに利用したらよいと思う。ただ投稿したつもりが、載っていないというのは、私が嫌がらせをしているわけではない。数少ない投稿者、神様同然の投稿者ににそういう事をするはずがない。投稿者のフィードバックによって、『和文露訳指南』もより実践的にいい意味で変わってきて、より応用のきくものになってきており、大いに感謝している次第である。コメントがないとしたら、毎日千通ぐらいは来るスパムのせいだろうと思う。毎日更新しているのでスパムも多い。投稿が載っていなければ面倒でも再投稿してほしい。必ずコメントする。逆に同じ投稿が3通ぐらい入ることもあるのだから、投稿したつもりが投稿されていないということもあるのだろうと思う。自分の投稿が載っていないと、私のホームページ『ランポポー』のメールを利用して、メールで送ってくれる熱心な投稿者の方もいる。有難いことである。

出題)「われらがボクサーは強いパンチを食らった」をロシア語にせよ。

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2014年07月07日

●続和文解釈入門第501回

パードゥチェヴァ先生は「否定生格は主語と補語が否定されるときは使えない」と述べているが、これは否定自体が世の中にないという絶対的(抽象的)無から、「ここでは見えない」というような、より具体的なものの否定になっていくと、主格や対格補語が出てくる可能性があることを示唆していると思われる。

(どのロシアの飛行機もグルジアの空域を侵犯したことはない)Никакие российские самолёты воздушного пространства Грузии не нарушали.

(事故は起こらなかった)Аварии не произошло.

 上の文でАварии не имело места.とすると、иметь местоが所在動詞なので非文となるのだが、語義上は同じなのに、ダブルスタンダードではないかと思ってしまう。これも主語と補語を同時に否定することになると考えて、否定生格が出て来られないからだろう。いずれにせよ、外国人である私には所在動詞と存在動詞の区別が難しい。существовать(存在する)は存在動詞なので、否定文では否定生格が来ることが多いが、所在動詞としての一面もあり、文脈によっては否定文でも主語に主格が来る。появитьсяも同様である。これも主語と補語が両方否定されることと関係あるのかもしれない。

(純粋な意味では絶対的道徳価値はまだ一度としてどこにも世の中に存在したことはない)В чистом виде абсолютные нравственные ценности ещё никогда и нигде не существовали в мире. <所在動詞としてのニュアンスから主格が来ている>
(新しい乗客はそのコンパートメントには現れなかった)Новых пассажиров в купе не появилось. <否定生格>
(市長は出仕しなかった)Мэр на работе не появился. <所在動詞としてのニュアンスから主格が来ている>

出題)「彼らにはそのポストにトロツキーの宿敵が必要だった。スターリンこそその宿敵だった」をロシア語にせよ。

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2014年07月06日

●続和文解釈入門第500回

完了体未来形というのは一瞬後か、かなり後かは別にして未来に動作が起こる。それを否定するとなると、現在の状態を明確に示すことはできないことになる。そのため現在の状態を示すのであれば、被動形動詞過去短語尾の否定を現在の時制で使わざるを得ない。これなら完了体だから具体性を示すことができるわけである。状態であれば、状態の動詞の否定も可能性としてはあり得るが、その動作を否定しても、不完了体だから、慣用(一般性、普遍性)という概念が邪魔をして、個別の具体的な事柄は表現できないと思われる。

出題)「我々はよいところはよいところとして認めている」をロシア語にせよ。

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2014年07月05日

●続和文解釈入門第499回

『三訂和文露訳入門』を下記のように訂正願う。

8-1-4 будетの特殊用法

 アカデミー版『ロシア語文法』(Наука, 1980)では、бытьの未来形を現在の時制で用いる時制の転用として、二つの用法を挙げている。一つは口語・俗語的用法として、疑問文で用いるもので、「まだ識別していない事実というニュアンス(つまり未来において確定するというニュアンスがあるので未来の時制が用いられているということらしい)оттенок ещё не распознанного факта」がある用法である。

(どちらさまですか?)Вы кто будете?

もう一つは、概数приблизительное количествоを示す用法であり、現在ではおよその数量(数字)しか分からないが、その確定は未来に先延ばしされるので未来の時制が使われているのだという示唆がある。しかし、これにも「識別распознавание」のニュアンスがあるが、これは概数ではないことは明らかである。例えばДва и два будет четыре.(2 + 2 = 4)という文で、2と2を足せば、答えは4になるが、4は概数ではない。動詞бытьの動作動詞完了体未来形(なる)を用いていることになる。2 + 2 = 4がすでに頭の中にあるということなら、Два и два – четыре.と現在の時制の状態の動詞としての用法も使える。このときにбудетが使われるのは、Два и два – четыре.は発音すれば分かるが、述語が形式上存在しない。それで述語を明確にして動詞がないという不安定感をなくすと同時に、語調を整える意味からではないかと思われる。
またアカデミー版ロシア語大辞典第2巻(Наука, 2005)296ページに口語表現として挙げられている次の例文も、「およそ」という意味を担っているのは、С месяц(1カ月ほど)や数詞を含む語順の倒置(およそ百歳)лет стоであり、будетが来ているのは、上記の例の問いの省略であり、敢えて答えるとすれば、という意識が働き、そのためその答えが一瞬とは言え、未来になっているからではないか。このようなбудетは推測というよりは、問いの後の答え、ないしはそれを想定した答えだから現れるのであり、また答える側が、問いを出す人の立場に立って(その立場を想定して)、未来の時制を用いるのだと考える方が無理がない。

「ここは長いのかね?」- Давно ли ты здесь?
「1か月ほどになります」- С месяц будет.
(相変わらず婆さんは達者だ。もう100歳ぐらいだ)Всё жива старуха. А уже лет сто будет.

出題)「輸血用血液が使えるかどうか調べてください」をロシア語にせよ。

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2014年07月04日

●続和文解釈入門第498回

『三訂和文露訳入門』を下記のように変更願う。

9-1-2 抽象的現在

 現在の時制の意味でбудетを使う用法であり、動詞бытьの動作動詞としての完了体の用法(完遂〔なる〕の否定)ということで、例示的用法(4-2-3項参照)からの派生の用法の一つとも考えられ、仮定、確信、必然というニュアンスがある。意味は仮定法を用いても変わらないので、仮定法未来から発展した用法であることが分かる。仮定法は過去や現在の事実に反する仮定を示すが、未来においては条件法と意味はほとんど変わらない。未来は未確定の事柄に属するからだろう。仮定法の方が話し手の動作の実現に対する疑いのニュアンスがある。それと現在の時制のбытьは状態の動詞であり、到着というニュアンスは可能だが、始発というニュアンスがないので、未来の時制を持って動作動詞としての機能を明確化したとも考えられる。

(我々の暮らしは、今日何らかの形でインターネットとつながっていると言っても過言ではない)Не будет преувеличением сказать, что наша жизнь сегодня так или иначе связана с Интернетом.
<= Было бы преувеличением сказать, что наша жизнь сегодня так или иначе связана с Интернетом.>
(それが『戦争と平和』の有名な戦いのシーンのレベルに近く書かれていると言う勇気はない)Не будет смелостью сказать, что это написано близко к уровню знаменитых военных сцен "Войны и Мира".

出題)「変な事ことを言ってしまったことに気づいた」をロシア語にせよ。

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2014年07月03日

●続和文解釈入門第497回

体の使い分けの理屈を体得できれば、感覚として体の使いわけができることになる。通訳の現場では理屈を考えている時間はなく、与えられる日本語と文脈で体を決めなければならないと思うので、理屈を極めて得られる、そのような感覚は通訳にとって非常に大事だと思うし、それは結局のところ、体の用法を体感して会得したロシア語が母国語のロシア人が体を運用している使い分けと共通するものがあると思われる。我々は母国語が日本語であり、幼いころからロシア語に触れる環境にあったひとはそうざらにはいない。大人になってからロシア語に触れた人がほとんどであろう。そうであれば、幼児が言葉を覚えるような方法は取れないことがお分かりになるであろう。つまり何年も語彙や例文の丸暗記を続けることをモノともしない、特殊なコンピューターのような人を除けば、理屈から入る方法しかないことになる。

出題)「危うくこの世とおさらばするところだった」をロシア語にせよ。

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2014年07月02日

●続和文解釈入門第496回

最近バジャーノフ(1900~82)の『僕はスターリンの秘書だったЯ был сектерарём Сталина, Борис Бажанов, Алгоритм, 2014』を読んだ。彼は1923年から27年までスターリンの秘書であり、1928年1月1日ペルシャの国境を越えて亡命した。本書は1930年にフランス語で初版が出たが、当時情報提供者もソ連で生存していることもあり、ぼかして書いたところもあったという。それを1977年の第2版では訂正し、本書はこの第2版の復刻版である。革命以降スターリンがどのようにして権力を奪取したのか、著者の見たスターリン像と共に理性的な筆致で描かれている。バジャーノフはカガノーヴィチにより書記として見出され、1904年のままであった党規約の改定を提言し、意識したかどうかは別にして、それが組織ビューローоргбюро(内閣官房のようなもの)の権限強化につながり、書記長としてスターリンが権力を握ってゆくさまが分かりやすく描かれている。

 内戦はレーニンが実質的に指揮下に見かかわらず、赤軍の長としてのトロツキー脚光を浴び、それがレーニンには面白くなく、そのためトロツキーの仇敵であるジノービエフやスターリンを引き立てることになったとある。レーニンもスターリンも共にаморальный(モラルに欠けた、節操のない)人間であり、誠実、正直、忍耐、武士の一言などの人間として最も重要な価値観をブルジョア的として軽蔑していたとある。スターリンの家庭生活も含めて個人的な側面にも触れており、スターリンや革命直後からネップにかけてのソ連に興味のある人には必読の書と言える。

出題)「読者の皆様にご紹介申し上げるのは歴史小説集です」をロシア語にせよ。

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2014年07月01日

●続和文解釈入門第495回

主語に否定生格が来る動詞や述語的表現は300超あると言われているが、その中の代表的なものを参考のために下記に挙げる。(неизвестно)以外はнеと共に用いられる。主語として存在の無の意味では否定生格のみが来るが、知覚の動詞では両方可能であり、その使い分けについては前に述べた。

белеет白くなる, блистает輝く, бываетよくある, былоあった, введено導入された, вводится導入される, ведётся行われる, взято取った, виднеется見える, видно見える, внесено入った, вносится含まれる, водится行われる, возвуждается興奮する, возбуждено興奮した, возникает起こる, возникло起こった, всплыло浮きあがった, вспыхиваетかっとなる, встретилось見かけた, выдалось現れた, выделено分離する, выкопано掘り出す, вынесено取りだした, выпало当たった, выписано注文した, выписывается注文する, выпускается生産する, выпущено, выработалось, вырабатывается, выражалось, высказывалось, выступает, выступило出た, вышло出た, выявилось現れた, выяснилось明らかとなった, выясняется明らかとなる, говорится言われる, даётся与えられる, дано与えられた, делаетсяなる, держится保持する, доносится届く, допускается許容される, допущено許容された, достаётся入手する, досталось入手した, достигается達する, достигнуто達した, дошло届いた, доходит届く, живёт生きている, заведено作る, заводится作る, завелось, задаётся課せられる, задано課せられた, затевается企む, заметно目立つ, замечается指摘される, замечено指摘された, запечатлелось刻み込まれた, запланировано予定された, зарегистрировано記録された, зафиксированоフィックスされた, звучит響く, значится載る, идёт行われる, издаётся出版される, имеетсяある, исходит由来する, кроется隠れている, куплено買った, лежитある, мелькаетちらちらする, мелькнулоちらっとする, наблюдается見られる, набирается増す, набиралось増した, набрано集めた, названо呼ばれた, называется呼ばれる, найдено見つかった, накапливаетсяたまる, накладывается重なる, накоплено重なった, наладилосьうまく行った, налаживаетсяうまくいく, наложено重なった, намечается予定される, намечено予定した, написано書かれた, наступило到来した, начато始まった, начинается始まる, находитсяいる, нашлось見つかった, (неизвестно分からない), нетない, нужно必要だ, обеспечивается保証されている, обнаружено見つかった, обнаруживается見つかる, обнаружилось見つかった, обозначилось意味した, образовалось形成された, образуется形成する, обращается向けられる, обращено向けられた, объявилось宣言された, объявляется宣言する, ожидается期待される, оказалосьいた, оказаноいた, оказываетсяいる, опубликовано公刊された, остаётся残っている, осталось残った, открывается開かれる, открылось開いた, открыто開いている, отметилось指摘された, отмечается指摘する, отпечаталось印字した, отпечатывается印字される, ощущается感じられる, передалось伝わった, передано伝えられた, пишется書かれる, планируется予定される, повторится繰り返される, подворачивается居合わせる. подвернулось居合わせた, подведено下に敷く, подводится下に持って来る, поддерживается維持される, поднимается上がる, поднято上がった, пойманоつかまった, показалось見えた, показывалось見えた, покупается買われる, полагаетсяということになる, положеноすべきだ, получаетсяということになる, получено得られた, получилосьということになった, понадобится必要である, попадается当たる, попало当たった, попалось当たった, последовалоついてきた, послышалось聞こえた, поставлено納入された), построено建設された, поступает入る, поступило入った, потрачено費用が使われた, почувствовалось感じられた, появилось現れた, появляется現れる, предвидится予見する, предоставлено委ねられた, предоставляется委ねられる, предополагается想定する, предпринимается処置を取る, предпринято処置を取った, представлено提出された, представилось提出した, представляется提出される, предстоитすることになる, предусматривается織り込まれている, предусмотрено謳われた, прибавилось増えた. прибавляется増える, прибыло増えた, приведено引用された, приводится引用される, привязывалось結びつけられる, придаётся付加される, прикладывается添付される, приложено添付された, применяется用いられる, принимается採用される, принято採用された, приснилось夢を見た, приходит来る, пришло来た, пробивается貫く, пробито貫いた, проведено行われた, проводится行う, проектируется投射される, производится行われる, произведено行われた, произошло起こった, происходит起こる, прокладывается敷設される, пролилосьこぼれた, пролитоこぼれた, проложено敷設された, проникает侵入する, проникло侵入した, проходит行われる, прошло過ぎた, прячется隠れる, публикуется公刊される, растёт伸びる, регистрировалось記録された, родилось生まれた, рождается生まれる, рождено生まれた, сдаётся渡される, сдано渡された, сделаноできた, сидитすわっている, сказано言われた, сквозит風が入る, скитаетсяさまよう, скрывается隠れる, скрывалось隠れた, случалось起こった, случилось起こった, слышится聞こえる, слышно聞こえる, собирается, соблюдается, соблюдено, собрано, содержится, создаётся. создано, состоит, сохранилось保った, сохраняется保つ, спрашивается尋ねられる, стоит立っている, существует存在する, сформировалось形成された, сшито縫われた, таится隠れている, требуется要求される, уделяется分与される, улавливаетсяとらえられる, упало倒れた, упоминается指摘される, усматривается見てとる, устанавливается固定される, установилось確固となった, уцелело生きのびた, фиксируется固定される, формируется形成される, числится載る, чувствуется感じられる, шьётся縫われる

出題)「この間ずっと僕は十以上の職を変えた」をロシア語にせよ。

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