2014年07月11日
●続和文解釈入門第505回
『三訂和文露訳入門』に下記追加願う。
3-1-6-2 状態の動詞と結果の存続
(分かった)Понял. は完了体過去形の結果の存続用法であり、これは(分かります)Понимаю.という遂行動詞に意味的に非常に近いことが分かる。これを否定文にしても意味は変わらない。ちなみにне понимаюは動作の否定であって、遂行動詞ではない。
(私はこれが分からない)Я этого не понял. = Я этого не понимаю.
出題)「彼は王子の刀と帽子を手にとって、いろいろな方向に回しながら長いこと眺めていた」をロシア語にせよ。
Взяв в руки меч и
шапку принца, он их
долго осматривал
вращая в разные
стороны.
------------------------------------
正解です。ただвращаяの前にカンマを入れ忘れたのでしょう。私の答えは、Он вязл в руки шпагу и шляпу королевича и долго рассматривал, вертя в разные стороны.
順次的用法でも、二つ目の文に期間のある動詞が来ている場合は不完了体が来る例。
刀剣холодное оружие(槍も含む)については知らない人が多いと思うので、御参考のために書いておく。
меч(刀剣の総称であり、両刃で突き用は剣、片刃で斬撃用は刀と言う。古代では通常мечは斬撃用で先端は丸みを帯びている)
стилет(千枚通しに似た短剣)
сабля(サーベル(湾刀)、片刃で突きおよび斬撃用、軽騎兵用、簡単な鍔つき、腰に佩用する)
палаш(重騎兵кирасир や竜騎兵драгуны〔歩兵と騎兵が合体したようなもの〕〕用の鍔なしの無反り、片刃又は両刃の直刀、コサックや騎兵用はお椀状の鍔がついている)
шашка(反りのある直刀(日本刀に近い)、無鍔、肩にかける。突きおよび斬撃用。刀身はсабля より短い)
тесак(鉈、山刀で、広幅刃渡60~70 cm、簡単な鍔つき、工兵用)
шпага(エペ(主として突き用)、鍔つき、両刃、先端は3、4、6稜、通常は左手に短剣を用いる。貴族の象徴。主に儀礼用)
ナイフнож(片刃、片半刃〔片刃 + もう片方に1/3刃がついている〕)、短剣кинжал(両刃)、кортик(細身のкинжалで、刃は稜形、海軍および空軍将校が持つ)
Он взял меч и шапку принца на руки, повертел и с разных сторон надолго присмотрелся к ним.
「回しながら長いこと」から、нвかとも思いましたが、全体として結果の現存と考え、свとしました。よろしくお願いします。
--------------------------------------------
順次的用法に引きずられて、すべて完了体で統一されたわけですね。お気づきのように、「回しながら長いこと」とあるように、順次的用法でも、期間がある場合は不完了体を使うべきでした。手に取るはв рукиです。これは刀を両手で握る(つつむようにする)ということですから、на рукиでは握れないでしょう。
Он взять меч и шлялу принца ,
крутить в разнообразной направление и смотрел долго .
1手に取る
2回す
3眺める
1が完結 後2.3が同時進行を表したいので、1を完了体、2・3を不完了体にしました。
語順や前置詞の使い方、修飾語をかけたい場所にかける方法等、全く分かっていないので勉強していきたいと思います。
----------------------------------------------
体の用法は完璧です。これだけを3ヶ月ちょっとで、しかも独学でできるというのは驚きです。私はロシア文字さえ覚えれば(ロシア文字はローマ字に似ているので、アラビア文字なんかと違ってそれほど難しいものではないはずです)、後はすぐ体の使い分けをして、その時に例文も一緒に暗記すれば一挙両得になると思います。早い時期に体の使いわけができるようになれば、後は和露やネット単語を調べるだけで済みます。次の目標は露露辞典を使いこなせるようになることですね。
手に取るはбрать/взять + 対格 + в руки(両手の中に取るという理詰めな感じです)であり、今回はご回答の通り、順次的用法(『三訂和文露訳入門』2-2-1-4項参照)なので、完了体過去形を使います。私の本は特に買ってくれる必要はありませんが、この場ではあまり詳しい説明ができませんし、例文の提示がスペースの関係上できないので、ご興味があればということです。順次的用法というのは、動作が次々と行われるわけで、前の動作が終わらないと次に進めないので、完了体を使うことになります。разнообразныйというのは、さまざまなという意味ですが、あらゆる種類のであって、別々のという意味の色々なという意味ではразныйを使います。回しながらは、不完了体副動詞(中級文法書には載っています)を覚えたほうがいいとは思いますが、先にесли, когдаを使いこなせるようになってから使えばよいと思います。
(お題)
彼は王子の刀と帽子を手にとって、いろいろな方向に回しながら長いこと眺めていた
(コーシカ訳)
Он взял царевичены меч и шляпу в руки,
повёртывал их в разные стороны и долго осматривал.
手に取るのは過去の1回の動作でアオリストの完了体過去、
色んな方向に回したり、長いこと眺めたりするには時間が要るので不完了体過去です。
手に取るをдержатьにすると権力の象徴?を手にした
→即位した(立位せられた)の意味に取られてしまいそうです。
------------------------------------------
体の用法は正確です。церевиченыはцаревичев(皇子の)のことでしょうか?これは廃語ですあり、普通に生格にすべきです。これだけ動詞が続くと副動詞を使ったほうが、すっきりすると思います。私はеслиやкогдаの使い方がおぼつかない中級程度の人には、副動詞や形動詞を使うのは勧めませんが、常連投稿者のコーシカさん、ブーチャンさん、やまさん、ゴさん、Mlさんは上級ですから、好きなようにというか、文章を引き締めるという意味合いも含めて自由に使えばよいと思います。上級と言っても下から上まであるわけで、分野ごとにも上達の程度は違います。すべてで上の上という人は知りませんし、そういう人はいないでしょう。ただ多くの分野で上の中くらいなら目指せるとは思います。
Он взял в руки меч и кепку царевича и, крутя их в разные стороны, долго глядел на них.
кепкаってレーニンがかぶってるようなやつかしらん。ихが続くのはどうも…ですが、どっちも省きませんでした。
-----------------------------
体の用法は正確です。おっしゃるようにкепкаは鳥打帽で、イギリスの王子は知りませんが、まあ似合わないなとは思います。ихはくどいと思えば省けばよいのです。
Он взял в руки меч и шляпу принца, и долго смотрел на них - поворачивая в разные направления.
ダッシュ部分はカンマでもいいかとも思いましたがこのまま出してみます。はじめВзявを文頭にして考えたのですが、現在過去と二種の副動詞を使うことになるので、書きなおしました。かまわないのでしょうか?
--------------------------------------------
正解です。в разные стороныの方がよく使われると思います。副動詞なのでダッシュでなく、カンマにすべきです。
おっしゃるように繰り返しを避けるという点まで配慮できる人を上級者と呼ぶのです。
>царевичев(皇子の)のことでしょうか?
>これは廃語であり、普通に生格にすべきです。
はい。царевичевыのつもりでした。
「王子の」という形容詞があるはずだ、と探し回りましたが見つからず
(принцевкскийというのはネットで見つかりましたが苗字っぽいので没)、
とりあえず辞書にある語を充てました。やっぱり廃語でしたか…
>еслиやкогдаの使い方がおぼつかない
ぎくっ!
これを機会に城田文法の当該箇所に目を通しました。
>多くの分野で上の中くらいなら目指せるとは思います
甲野善紀氏も武術について同じようなことを書かれて
(あの人の場合は「言われて、おっしゃって」の方が適切かな)いたのを思い出します。