2014年09月27日
●和文露訳指南第50回
『私家版和露活用辞典』研究編纂についてのクラウドファンディングのお願いを第46回本文に書いたところ、資金(この場合寄付金)を出して10年音沙汰なしというのでは、寄付する側が納得しないだろうから、ニュースレターのような進み具合がどうなっているかを知らせるような仕組みが必要ではないかという声が寄せられた。全くその通りで、このコーナーが続いている間は、このコーナーの本文で研究編纂の段階で得られた私なりのロシア語文法上の知見を紹介して行きたいと思っているし、このコーナーがやめとなれば、クラウドファンディング(寄付)の提供者の中で希望者(メール番号を教えてもらうことが前提)には、何らかの発信をしてゆきたいと思っている。このようにこのプロジェクト実現のための提言があれば、是非、このコーナーでも、私のサイト「ランポポー」のメールからでもご意見を賜りたい。
こういうクラウドファンディングをお願いするというのも、体力的にも精神的にもこのような辞書の編纂はここ10年くらいしかできないだろうと感じるからである。今まで40年以上にわたって蓄積した資料を私の死後このまま葬るのは非常に残念な気持ちだからである。
ご寄付いただいた方に完成の暁には製本版を無料送付できればいいのだが、それは無理というものである。戸田進先生の『和露・技術用語用例辞典』には見出し語約3,000、用例数約8,500で19,000円(税別)となっており、私の予定している辞典の項目数は91,000で、30倍だから、単純計算で1冊60万円となってしまう。安くはできるかもしれないが、限度があろう。つまり電子書籍(辞書用の検索プログラムを購入する必要がある)とならざるを得ないし、私が寄付をお願いしているのは、製本費用ではなく、資料購入、研究調査および編纂に専念するための費用である。電子書籍にしてフラッシュで送付できるのなら、ご寄付された方で希望者には無論辞書完成後送付する。
クラウドファンディングと言っても私の場合は、税金の関係上、寄付という形を取らざるを得ない。寄付なので多数の個人からなら少額でいいのだが、やはり企業や団体などの大口のスポンサーがないと話は進まないと思う。そういうのを御紹介いただけるのでもよい。ご紹介していただいた方には下記のようなお礼を差し上げつつもりである。仮に一口2万5千円を寄付してもらっても、50口から100口ぐらいないと、本格的なスタートすらできない。とりあえずは寄付希望者がどのくらいあるか、寄付の意思と額(口数)のみをお寄せいただき、それが50口を超えた時点から、実際に寄付してもらうというほうがよいかもしれない。
ただ一方的に寄付を募るというのでは申し訳ないので、今私ができることを次に挙げるので、ご寄付いただいた方から、希望者(住所と氏名を教えてもらう必要があるが)には一口当たり一つ選んでもらえば、送付するなどしたいと考えている。これはあくまでたたき台(試案)なので、これに対してもご意見をお寄せいただければありがたい。
A) 『私家版和文露訳活用辞典』原稿(項目数9万1千400で、エクセルのファイル16.6メガバイト)
原稿なので毎日手を入れているとはいえ、スペルミス、項目の重複などがまだあるし、エクセルなので検索はロシア語日本語とも語幹でという工夫が必要だが、一応私が仕事で使っているもの。
フラッシュメモリーにコピーした後、書き込み禁止と、コピー禁止をしたフラッシュメモリーを希望者に送付する。ただ書き込み禁止(エクセルのファイルにすればよいのだろうと思う)や、コピー禁止のやり方が分からないので教えてもらってからということになる。昔CDで1回だけ録画でき、あとは読み出しオンリーというのがあったが、こういうフラッシュがあればいいし、あるいはそういう設定ができればこういう形のお礼も可能である。
B) 『続和文露訳指南』オンデマンド製本版を寄付1口当たり1セット(2冊)郵送する。
『和文露訳指南』が発売されてから2カ月近く経つが、すでに内容的に全体で8ページほど増えている。1~2年経てば、50~60ページぐらい増えているだろうと思うので、これを寄付いただいた方に決定版ということで今から1~2年後に送付するというもの。『続和文露訳指南』は電子書籍として出すかもしれないが、製本版は出すつもりがないので、寄付いただいた方限定とするつもりである。
C) 『和露類語集』(仮称)オンデマンド製本版1部を寄付一口当たり1部郵送する。
類語辞典については、『るいごプラス!』に類語を431語載せているが、今原稿の段階で約250語あるので、これを合わせて計680語として再編集する。電子書籍は一般向けに販売するが、オンデマンド製本版は寄付いただいた方限定という形で、寄付受付後半年以内に希望者に郵送するというもの。
D) これまで電子書籍とした私の著作の中で、寄付いただいた方の希望を聞いて一番希望が多いものをオンデマンド製本して、希望者に郵送する。特に『ロシア人の疑問』は日本語テキストとロシア語の見開きとなっているので、製本した方が見やすいかもしれない。
E) ロシア語レッスン4時間(1回1時間で計4回)
交通費を御負担いただけるならどこでもいいが、そうでなければ東京23区内のみ。希望者の要望に合わせたレッスンを実施する。
10年というのはあまりにも長いので、3年後、5年後に編纂途中のエクセルファイルを一口以上ご寄付いただいた希望者に送付するというのでもよいし、万が一私が死んだり、病気になったりしたら、その時点でエクセルファイルをその希望者に送るよう手配しておくつもりである。
出題)「こういうひどい目に何度か遭ったことがある」をロシア語にせよ。
Я несколько раз
встречался с таким
тяжелым положением.
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положениеというのは多義語ですが、状況という意味では、обстановка общесвенной жизни, совокупность общественно-политических отношенийということで、社会や政治に関する全般的状況ということですから、この場合は違うと思います。語結合的辞典には、встретиться с трудностями (с затруднениями, каким-либо явлением)というのはあります。私の答えは、Этому несчастью я и сам несколько раз подвергался.
Несколько раз я переносил такие трудности.
経験でнвとしました。よろしくお願いします。
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正解です。別電で和露活用辞典寄付ご趣旨賛同のメールありがとうございます。やまさんが第1号です。
(お題)
こういうひどい目に何度か遭ったことがある
(コーシカ訳)
1) Несколько раз я находился(находилась) в таком тяжелом положении.
2) Несколько раз жестоко обходились со мной.
過去の複数の経験ですので不完了体過去です。
エクセルの保護を試してみましたが
・コピー&ペーストができてしまう
・上記を防ぐと
1)カーソルの現在位置が分からず
2)検索もできなくなる
ために、一筋縄ではいかなさそうです…
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1)はひどい状態にあったことがあるというのですから、広義では間違いではないと思いますが、こうはあまり言わないと思います。2)のобходитьсяにはこのような用法はないと思います。
一番いいのは一度だけ書き込みOKなフラッシュカードか、昔の1回だけ書き込みができるCDを寄付いただいた方に送付するというのですが、そういうのに心当たりのある方はご一報ください。
Такие неприятности я не раз потерпел.
既に遭って結果を強調でсов。
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何度もというのですから、不完了体過去形の経験の用法のはずです。
1) Такие ужасные случаи испытывал несколько раз.
2) С такими ужасными опытами сталкивался (встречался) не сколько раз.
反復(不完了体動詞過去形)
3) Таким ужасам (я) был подвергнут несколько раз.
反復(быть動詞 + 被動形動詞過去短語尾)
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1)は正解です。2)опытは実験という意味では複数形になりますが、経験という意味では単数です。3)はアオリスト的用法と解すべきで、そうなると不完了体過去形を使うべきです。ужасыと複数形にはなりますが、怖さということであり、つらい経験イコール怖さかという疑問が起きます。
Со мной случалась такая беда несколько раз.
よろしくお願いします。
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正解です。同じような災難ということですが、такие бедыという複数も使えます。
Я несколько раз сталкивался таким горьким случаем.
経験で不完了体を選びました。
少なくて申し訳ないのですが、1口分寄付させて頂きたいと思います。
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和露活用辞典研究編纂の趣旨にご賛同いただき、ありがとうございます。ハリネズミさんが第3号となります。ある程度このプロジェクトにご寄付いただける金額がまとまり次第、このコーナーか私のホームページに振込先などを連絡するつもりです。その時はよろしくお願いいたします。お知らせしてすぐこのような吉報をいただけるのはうれしい限りです。
さてお答えですが、体の用法はその通りですが、何度もとあるので、горькими случаямиとすべきです。ただ、出題の趣旨は経験の用法が分かっているかどうかですし、いつも申しているように、語彙はまじめにやれば、増えてゆくものです。