2016年04月10日
●和文露訳要覧第25回
未来の時制の否定文における体の用法というのも難しい。現在の時制であれば、не + 不完了体現在形を使うのが一般的で、これは現在この瞬間において、ゼロの反復も含めて動作がまったくないことを示す。広い意味の現在である、近接未来(発話時点のすぐ後に続くか、発話時点と融合した未来)ならば、не + 完了体未来形を使って近接未来完了の用法(否定の強調)となる。ややこしいのはне + 完了体未来形には完遂的用法の否定というのがあり、これは未来のある時点における動作の完了を示す未来完了の用法があり、これは文脈により区別するしかない。
また未来の時制の否定文に使われる意識的否定の用法(не + 不完了体未来形)と近接未来完了の否定文の違いは、意識的否定の用法は現在と関わりのない、少なくとも現在からは一拍置いた未来の動作を扱っているのに対し、近接未来完了の否定文は現在との結びつきが感じられるという点と、完了体の持つ具体性が感じられるという点である。会話における和文露訳で未来の時制における否定文を扱う際には、動作が現在と続いているという意識があるか、動作の具体性とその結果を意識していれば完了体未来形を、動作が現在から一拍置いた以降の未来であって、具体性をあまり意識しないのであれば不完了体未来形を使うようにすればよい。
(お前には〔今は、ここでは〕言わない)Я не скажу тебе об этом . <広い意味での現在の時制における否定の強調であり、具体性のニュアンス〔今は、ここでは〕がある>
(このことについてもう二度と言うつもりはありません)я больше не буду говорить об этом. <未来の時制における一切の動作の否定であり、具体性のニュアンスの欠如>
出題)「それはお任せします」をロシア語にせよ。
Я это оставляю вам.
通常こういった場合は現時点でなく直後からお願いするのではないかと考え、最初はсвと思いました。しかしネットで見ても用例がほとんどないため、やはりнвに変更しました。そうすると、遂行動詞という理解になるのでしょうか。よろしくお願いします。
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出題には遂行動詞を使うのですが、оставлятьだと面倒事を委ねるという意味であり、若干違うような気がします。それと語結合ですが、На кого оставить все дела в Москве?(モスクワでだれに全ての件を一任すべきか?)私の答えは、Это я предоставляю на ваше усмотрение.
1.Я оставлю это на ваше усмотрение.
2.Я доверяю вам об этом.
宜しく御願い致します。
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ここは遂行動詞を使うべきです。1. は Я оставляю это на ваще усмотрение. となります。2. は一任するという感じで、強すぎるような感じがします。
Об этом вам я предоставлю.
よろしくお願いします。
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遂行動詞を使うのと、предоставлять свободу (право, возможность)のように補語をつけるべきだと思います。
Я это вам поручаю.
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会話で使うには「一任する」という感じで、強すぎるような感じがします。
Это сами решите.
Это дело ваше.
Я полагаюсь на ваше решение.
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最初の文はЭтоと сами の間にвыを入れると、「決めるのはあなただ」であり、二つ目は「ご勝手に」ですから、ニュアンス的にどうかなという気がします。3つ目が一番近いのですが、決定というのはどうでしょう?