2017年01月02日
●和文露訳要覧第157回
この1年ほど平日はサラリーマンをしているので、正月などは休日の有難味を大いに感じている。休日は「和文露訳要覧」の添削をするのと、その問題集めも兼ねて、いろいろなロシア語の本を精読している。今は各10ページずつ、犯罪ドキュメンタリーБандиты эпохи Ельцына, Раззаков, Книжный мир, 2016、1930年代に書かれた未完のユーモア探偵小説Как я была пинкертоном, Раневская, Яуза-пресс, 2016、そしてボンダルコ先生の機能文法と体の用法Принципы функциональной грамматики и вопросы аспектологии, Бондарко, URSS, 2016である。和露辞典の方も9万ほどの項目がすでに集まっており、毎日推敲に精を出している。そのためにもいろいろな日本語の小説を読んでいる。有川浩(『図書館戦争』ではなく、『空飛ぶ広報室』、『県庁おもてなし課』など)のとか、警察小説などを読んで和露用の語彙を拾っている。ロシア語にしたらどういうのが適訳かを考えている時が一番楽しい。この調子だと和露辞典の完成も後4~5年かかるかもしれない。
出題)「後にその言葉を彼は思い出す事になるが、その時にはそれらに注意を払わなかった」をロシア語にせよ。
Потом он получится вспомнить эти слова, в то время, однако, он совсем не обратил внимания на них.
宜しく御願い致します。
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получитьсяは不定形を取らないと思います。不定形も補語と考えれば、自動詞が補語を取るというのは考えにくいと思います。「~となる」というのは未来における動作の実現(完遂)と考えれば、вспомнитと完了体未来形を使えばいいはずです。ただ出題は、すべて過去の動作です。つまり二つの動作があって、どちらが時間的に後か、前かということを表現する必要があります。私の答えは、Потом он вспомнит те слова, но тогда не обратил на них внимания.
大過去、比較の未来。
Потом он стал
вспомнить эти слова,
но в тогдашнее время
он не обратил
внимание на них.
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стать + 不完了体不定形です。в то время = тогдаですから、тогдашнееはよけいです。вниманиеは具象名詞ではない、つまり抽象名詞なので、否定文では生格を取ります。
Позже он эти слова вспоминает, но в то время на них не обращал внимание.
орфографические ошибкиをなくします。
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複文における不完了体の大きな特徴は、動作の同時性を示すか、時間にとらわれないかどちらかです。歴史的現在を使っているというのであれば、わからないこともありませんが。вниманияと生格にする必要があります。
Потом он будет вспоминать эти слова, но в то время на это не обращал внимания.
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不完了体を使うと動作が同時に行われているか(今回の出題では明らかにそうではありません)、時間的な違いを考慮しない場合ですが、今回の出題では、時間的に、二つの動作に前後があります。これを表現するのは、反復を除いて、完了体だけです。
Позже он вспомнил эти слова,но тогда не обращал внимание на них.
払わなかったは大過去でнвとしました。よろしくお願いします。
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これだと動作の順次性を示せないと思います。не обращал
だと、動作自体がなかったということであり、不完了体では現在の時制を除き(完了体は現在のこの一瞬を示せないため)、具体的な1回の動作を示せない(否定文であろうと肯定文であろうと)からです。