2012年04月06日

●和文解釈入門 第322回

次のような質問を投稿者より受けたが、非常に良い質問なので、ここに掲載することにした。

問)確か不完了体現在を使うときというのは、確実にこれから行われるであろう動作のときですよね?たとえば、思いつく例として、вы выходите?(地下鉄などで、降りますか?というとき。確実にこれから行われるであろう動作。)、вы уезжаете из этой комнаты?(部屋から出ていくときにそこに居る人から、出る準備をしている人に向かって聞くとき)などがあるんですが、つい最近、確実に近い未来に、ある人が自分のところに来ると分かっているという条件つきで(例えばその日に会う約束をしていた友人との会話などで)、「何分後に来る?」という場合、確実に分かっている近い未来ということだから、Через сколько времени ты приходишь? と言えるのか?とある人に質問したところ、придёшь?にしないと
この文はおかしい、と言われました。

 これは、もしかして、уехать выехатьなどは今現在地点からの出発をあらわしている?動詞だから現在の延長をあらわしやすく、приехатьは遠くから自分の地点への動き、ということで現在自分の地点からの直接の延長にならないということでしょうか?確実に知っている例が少ないのであまり分からないのですが。運動の動詞でも未来を表す不完了体現在の使用ができる動詞とできない動詞というのがあるんでしょうか?以前の和文解釈で説明されておられたのかもしれませんが、たくさんありすぎて全部読むことができず・・・もしこの点、または近い事項に関して説明されていた回があれば第何回にあったか教えて頂ければ嬉しいです^^
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答)不完了体現在形の予定の用法は、おっしゃるような「確実にこれから行われるであろう動作」なのですが、そういう理解だと完了体未来形との区別ができなくなります。予定の用法というのは自分がそう思いこむというよりは、スケジュールなどでそうなっていると考えたほうが分かりやすいと思います。極端に言えば自分の意志を念頭に置かない動作とも言えます。不完了体はKY(この場合は「空気読めてない」という意味ではなく、「空気を読む」という意味)動作だと書きましたが、主体は主語ではなく、周りの状況です。完了体の場合はそうではありません。新規の動作を完了体が示すというのもKYとは無関係だからです。

 確実であるこれから起こる動作は、主語が確実だと思っていて、それが周りの状況とは無関係なら、完了体未来形を使います。そういう意味で、この場合はその「ある人」のпридёшьが正解です。

 この場合もう一つ厄介な動詞が絡んでいます。それはпри-という接頭辞のついた運動の動詞(運動の動詞であって、すべてのпри-という接頭辞のつく動詞ではありません)であるприходитьです。при-という接頭辞のつく運動の動詞は過程を示すことができません。語義が到着であるため、動作の一般化か繰り返しの意味にしかならないのです。不完了体現在形の予定の意味は、過程に意味から発展したと私は考えています。これはロシア語と同じ語族の英語でも、He is leaving tomorrow.と予定の意味で使えることから推測できます。ですからприходитьを予定の意味で使うのは、心理的に抵抗があると推測されるわけです。ところが、Verbs of motionという参考書の中で、Muravyova先生は何箇所か、特に184ページにはприходит, уходит, выходит = собирается прийти, уйти, выйтиと書かれています。そうなるとприходитьも予定の意味で使えることになります。ただガイドをして新幹線などでロシア人観光客からКогда мы прибываетм в Киото?(いつ京都に到着しますか?)と聞かれることはあっても、これにприезжаемは聞いたことがありません。прибыватьは運動の動詞ではなく、やや硬い表現(上品と言い換えてもいいですが)ですが、不完了体で予定を示します。

 「何分後に来る?」というのは、明らかに周りの状況とかスケジュール(出張に行く、汽車が来るなどはそうです)とは無関係であり、来る人が自発的に到着の時間を決めているわけですから、その「ある人」のおっしゃる通り、完了体未来形でないとおかしいことになります。

 全ての不完了体動詞が予定の意味で使えるわけではないということはすでに書きましたが、бытьの未来形 + 不完了体不定形の場合も、KY的なニュアンスが出てきます。Что вы будете пить?(何をお飲みになりますか)だって、レストランや招かれた家などでそういう表現が当然出てくるだろうというときに使う場合に使われます。この答えで、ビールを飲みます)はЯ выпью пива.(пиваと部分生格が来ていることに注意。сок やкока-колуは瓶をイメージするせいか対格が来る。чаю, чайку, кофейкуと部分生格専用の生格がある名詞もある)と完了体未来形が出てくるのはビールという新しい情報が入ってくるからです。ただ対応する完了体がなければ、KY的でない場合でも不完了体を使わざるを得ないということになります。

 完了体未来形が使われるのは、予定というものを初めから考慮しない場合で、これはわざと予定を無視するということではありません。予定というものがそもそも念頭にないのです。これらの用法については第300回のa), b), e)を参照下さい。

設問)「読書力をつけるには精読と多読のどちらが大切だと思いますか?」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2012年04月06日 08:32
コメント

Что важнее, по-вашему, чтобы научиться хорошо читать : читать внимательно и медленно или читать просто много книг?

「精読」をどう言えばよいか分かりませんでした。
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口で話す分にはこれで十分通じると思いますが、читатьが3つは多すぎます。ただ精読の訳はこれでよいと思いますが、медленноは少し違うと思います。私の訳は、Что вы считаете важнее для приобретения навыков чтения - читать подробно, внимательно или читать побольше?
 こういう設問は体の用法を考えなくてもよいから、ある意味でガイド試験などの作文向きかもしれません。発想を鍛えるにはよいのかもしれません。

Posted by 角丸 at 2012年04月06日 16:19

(お題)
読書力をつけるには精読と多読のどちらが大切だと思いますか
Как Вы думаете важнее для того,
чтобы совершентсвовать умение читать:
тщательность или количество?

今回は全部不完了体で訳してみました:
・最初のдуматьは「どう考えていますか」と現在の状況を尋ねているため
 また、質問の重点は(コーシカの回答の場合)важнееにあり
 думатьという動詞抜きでも成立しうると思われるため
・次のсовершенствоватьは「読書力をつける」と長期にわたる過程を指すため
・читатьは読むこと一般を指すため

совершенствоватьという動詞は
совершенствовать свое мастерство 技能(腕、芸)を磨く
という例文を見て思いつきました(ЗиР、328頁、мастерство)。
「(読書)力」の訳語としてмастерствоではいくらなんでも強すぎるのでは、と感じ
習得の意味合いも強そうなумениеで置き換えてみました。
果たしてこの動詞と結びつくのかは不明です…

上記のдумать抜きの例も考えてみました。うむ、冗長。
В совершентсвовании умения читать,
который из следующих для Вас важнее:
тщательность или количество?
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最初の文の方がよいと思いますが、二つ問題点を指摘しておきます。一つは読書力にумение читатьを当てていることです。умениеは読み書きなどの基本的な能力を指します。読書力というのは単に文字を読めることではなく、読書の量や質を問題にしていますから、これでは不適当だと思います。それとその量と質を名詞にしていますが、читатьという動詞を修飾するなら副詞でないとおかしいと思います。

Posted by コーシカ at 2012年04月07日 01:31

Что больше важно чтобы научиться грамотно читать, проникнуть в смысл произведений или начитаться?
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意味は分かります。ただ比較級はболее важноかважнееでないとおかしいと思います。проникнуть, начитатьсяと完了体を使っていますが、この文は動作の一般化ですから不完了体を使うべきですが、もっと簡単にчитатьを活かして副詞でまとめたほうがロシア語らしいと思います。

Posted by asuka at 2012年04月07日 02:49

Как считаете, что важнее для развития навыков чтения: читать внимательно или много?
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正解です。

Posted by Ml at 2012年04月07日 03:15

昨夜投稿しないまま寝てしまい、今朝すでにみなさんの投稿がUPされていたので、焦りながら投稿しています。

Как вы думаете что важнее для освоения способности чтения,
читать тщательно или читать много?
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способностьは生まれつきの能力なのでこれは使わない方がよいでしょう。освоениеも開発という意味ではシベリア開発とか宇宙開発であって、能力開発という意味で使えるかどうかは疑問です。能力開発は知識の習得という風に置き換えたほうがよいと思います。それ以外は問題ないと思います。

Posted by メイ at 2012年04月07日 07:15

私も寝てしまい遅れてしまいました。すいません。挑戦させてください。
Как вы думаете? Какой способ больше помогает улучшить навыки чтения: читать медленно, но внимательно, или читать много и быстро?
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正解です。ただ個人的にはスピードは精読にも多読にも関係ないと思います。精読したから時間がかかるとは思いません。集中力の問題だと思います。多読も速読と同じとは思えません。しかしあくまでも個人的な意見です。

Posted by 雪のかけら at 2012年04月07日 08:13

ありがとうございます。ご指摘の通りです。勉強になります。私もスピードは違うと思います。特に「читать много и быстро?」は、「просто побольше читать」とか「читать просто много книг」に直したほうがいいですね。

Posted by 雪のかけら at 2012年04月07日 09:57
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