2012年04月27日
●和文解釈入門 第343回
会話における和文露訳用のロシア語の具体的な授業の進め方を書いて見る。体の用法と単数・複数の使い分けから始める。これらは参考書を読んでも理解しにくいところだからである。体の用法では、まず不完了体現在形の予定の用法に重点をおく。これが出来れば会話がかなり楽になるし、実戦的でもあるからである。ビジネスマンではなくとも、「交渉に行く」という現在形が、予定の意味の未来でも使えることと、運動の動詞(全部ではなく定動詞と不定動詞のうちのидти, ходить, ехатьだけ)を徹底的に教えるわけである。いずれにせよこのコーナーで提示してあるような日常で使える例文を示して暗記させるようにする。その後、完了体未来形との意味の違い、動作の有無の確認を例文中心に教える。過去の時制におけるアオリストと結果の現存、動作の有無の確認に進む。「イワノフさんがいらっしゃいました」をどう訳すかという事を中心に体の用法を学ぶのである。その結果の現存について被動形の過去の短語尾の用法についても触れる。これを従来のように不完了体現在形の繰り返しとか、動作の一般化という常識的なことばかり繰り返させても、実戦的な会話には何の役にも立たないからである。
その後、どのくらい(時間的、数量的)、いつから始まるのか、どこにという疑問詞のついた疑問文について教え、前回の設問のような「~はありますか」という構文を中心に、単数と複数の使い分けを理解させる。こうすれば実践的な会話にもすぐ応用できることになる。
日本語とロシア語との違いと似た表現を、具体例を上げて覚えさせれば、その例文が実戦で力を発揮することになるし、後に自学自習をするときの踏み台となるはずである。
設問)「治療の結果は思っていたほどよくはない」をロシア語にせよ。
Результат лечений
оказывается не
столько
удовлетворительным
как рассчитано.
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結果は複数で使うのが普通です。この場合は一つの治療と考えると単数ですし、いくつかの治療と考えればお答えのように複数となります。問題なのは時制です。「思っていた」とありますから、それは結果より過去であることは明らかです。рассчитаноは被動形動詞過去短語尾の結果の残存でしょうから、時制は現在ということになります。そうなると時制の面ですべて現在ということになり、設問と異なるということになります。その点を考慮して回答を作る必要があります。私の答えは、Результаты лечения не такие хорошие, как можно было ожидать.
「~ほど~ではない」という構文の例です。
① Результат лечения не так хорош, как ожидалось.
② Результат лечения получился не так хорошо, как ожидалось.
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結果は基本的には単数では用いられない(具体的に何か一つの結果というのでなければ)ということを除けば正解です。
Результат лечения оказывается хуже чем я ожидал(а).
ある人が治療の結果を聞いた後に話している様子を表しました。
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単数複数の問題もありますが、お答えだと「悪い」と断定しているわけで、「それほど」という感じが出ていません。それと、日本語と似ていますが、ロシア語はそれほど自己主張をしない言語のような気がします。主語がないのなら、不定人称文や無人称文のような主語を特定できないような文にすべきです。
1) Лечение не было столь же эффективным, как это могло бы быть.
2) Лечение не принесло ожидаемого результата.
よろしくお願いいたします。
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正解ですが、2)はожидаемых результатовとした方がよいと思います。