2015年09月22日
●和文露訳指南第323回
『和文露訳指南』の一部内容追加のお知らせ。
6-1-4 動作の開始(促し)・継続・終了
日本語とロシア語は違う言語だが、同じ人間が話す言語ゆえ、発想が似ている部分もある。日本語で動作の開始や継続、終了を示す動詞結合は、連用形を取って、読み始める(読みだす)、読み続ける、読み終えるなどとなるが、この「読み」の部分は、読了するとか、ちょっと読むということを必ずしも意味しない。そういうニュアンスを超えた、文字通りの「読む」という意味と理解するのが普通である。露訳する場合日本語の連用形の部分は不定形で示されるが、「読み始める」はначать (начинать) читатьのように、不完了体不定形となる。このчитатьは読了するとか、ちょっと読むとかというもあるかもしれないし、ないかもしれないという、そういうニュアンスを超えたところの、動作の有の確認、つまり動作の名指しを意味するから不完了体が来ていると言える。
動作の開始(始発、促し、着手)、継続、終了を意味する動詞бросить/бросать(~するのを止める)кончать/кончить(終える)、начинать/начать(始める)、останавливаться/остановиться(止る)、переставать/перестать(止める)、прекращать/прекратить(中止する)、продолжать(続ける)、стать(~し出す)などと結合する不定形は不完了体となる。これは完了体の動詞は動作の全一性を扱うことと、動作の経過を伝達することがまったくできないことに起因する。つまり動作の開始、継続、終了の意味の動詞と結合する不定形には、その動作の内容を示す(動作の有の確認)だけで、動作の全一性を示す前提や必要性がないからである。全一性を担う必要性が出てくれば、し始める、~し続ける、し終えるという動詞がその機能を担う。начать/начинать(始める)ということは、その後動作が継続するか、反復することを想定し、продолжать(続ける)というのは、継続そのものであり、кончить/кончать(終える)のは継続、反復してきた動作が止むということを意味すると考えてもよい。動作の焦点が不定形に来ないために不完了体不定形になるという理屈も成り立つ。そのため、отправиться/отправляться、приняться/приниматься、взяться/братьсяなど着手の意味がある動詞は、不完了体動詞不定形と結びつく。これは命令法の着手や促しの用法で不完了体が用いられるのも、これを敷衍したものと考えてもよい。
出題)「彼は北朝鮮に大使として左遷された」をロシア語にせよ。
Его понизили в
должности в качестве
посла в КНДР.
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降格と左遷は必ずしも同じとは限りません。私の答えは、Его сплавили послом в КНДР.
体よく追い払われる、厄介払いされるの訳にも使える。
При понижении по службе, он был назначен посолом в КНДР.
宜しく御願いたします。
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降格というのは部長が課長になるとかということだと思いますが、左遷は肩書が変わらない場合もあります。
Его сняли и он вылетел в Северную Корею в качестве посола.
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大学を首になるという意味ではвылететь из университетаとも言いますが、北朝鮮へ飛び立ったというのも変です。
Его понизили в посол северной кореи.
結果の現存でсвとしました。よろしくお願いします。
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降格にはこのような語結合はないと思います。
Он был переведен в Северную Корею в качестве посла.
よろしくお願いします。
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お答えは異動したというだけです。