2014年12月25日
●和文露訳指南第135回
偶発的反復と規則的反復の使い分けだが、偶発的反復は超時間的用法であり、過去、現在で使われるが、いずれの時制でも例示的用法からの派生という事で完了体未来形が用いられ、一つの動作を例としての(例示的な)反復や慣用を示す用法である。そのため主語が単数の文やтыを主語にした普遍人称文(特に諺など)でよく用いられる。「早起きは三文の得」の露訳は偶発的反復でも、不完了体の規則的反復でも表現できるが、完了体では一つの動作を例にとることにより、完了体の特質でもある具体性が感じられ、生き生きとした感じが出るが、不完了体では、例外なく皆こうであるというような平板な感じを受ける。
Встанешь раньше, шагнёшь дальше. <偶発的反復で、例示的用法の例えば早起きしたらというニュアンスがあり、二つの動作に論理的帰結がある>
Кто рано встаёт, тому бог даёт. <規則的反復で動作の常態化を示すが、二つの動作に論理的帰結がない>
ここで誤解して欲しくないのは、このように二つの体が語義的に同じような場合に使われるというのは非常に稀であり、仮に使われるにせよ、上に記したようなニュアンスの差はあり、通常は二つの用法に厳然とした使い分けの違いがあるということである。偶発的反復がよく使われるのは、動作が次々と行われる順次的用法のとき、否定の状況がある時、動作の到来を強調するような語句(как только, сразу, вдруг)がある時であるが、特によくみられるのは、文脈に原因が記載されているどうかは別にして、その結果(論理的帰結)のニュアンスがある時である。不完了体の規則的反復には結果のニュアンスはない。その例については、ひょっとして『和文露訳指南(改)』というのを出す時には載せるつもりだが、あてにはならないので、いずれ本コーナーに復習として出題することになるかも知れない。
出題)「この飛行機の高度はどのくらいですか」(機内でキャビンアテンダントに)をロシア語にせよ。
(1) На какой высоте
этот самолет летит ?
(2) Какова полетная
высота этого
самолета ?
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(1)は正解ですが、直訳っぽい感じがします。(2)はこの飛行機の飛行高度はですが、これだけだと最大高度なのか、巡航高度なのか、現在の高度なのかは分かりません。私の答えは、На какой высоте мы летим?
На какой высоте этот самолёт?
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動詞がありませんね。会話では動詞を省くことがありますが、省くのがどういう動詞なのか話し手も聞き手も了解の上という前提に立ってのことです。
На какой высоте сейчас летит самолёт?
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正解です。
На какой высоте самолёт летит?
定動詞の過程で単数形。
一般的に飛行機が飛ぶ高度を尋ねるなら、
На каких высотах самолёты летают?
と、不定動詞の一般化した反復で複数形になるという理解です。
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正解です。ただ曲芸飛行とか空中戦なら別ですが、不定動詞は使わないと思います。飛行機は一方向に進むのが普通でしょうし、定期便でも、行きと帰りでは便名が異なるのが普通のような気がします。
(お題)
この飛行機の高度はどのくらいですか
(コーシカ訳)
1) Какой высоты этого самолета?
2) На какой высоте наш самолет летит?
研究社のвысотаの例文を参考にしました。
1) のвысотыは述語生格です。
2) は現在進行中の事柄を指す不完了体現在です。
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1)だと飛行機自体の高さ(長さや幅と同様)と理解されると思います。2)は正解で、нашを使っているあたり、他の人の回答よりもロシア語のセンスがあるように思います。
В какой высоте летит наш самолёт?
偶発的反復…覚えておきます。知りませんでした。
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語結合的にнаです。コーシカさん同様нашを使っているので、その点はロシア人のセンスに近いと思います。
Скажите, пожалуйста, на какой высоте летит этот самолёт?
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正解ですが、直訳に近いと思います。ガイドの使う観光ロシア語では、ガイドは観光客と一体化しているという前提があります。ですから、ガイド中に、「浅草にこれから行きます」にВы едете в Асакуса.と二人称を使うことはなく、Мы едем в Асакуса.と一人称の複数を使います。出題をお答えのように直訳してもいいのですが、機内にいるのであれば、ロシア語としては一人称複数にした方が自然だと思います。このニュアンスはガイドだけでなく、友達との会話も含めてそうですし、ロシア人は日本人より対人距離が近いと思います。タクシーでも運転手の隣に客が座るのが普通で、乗っている間中見も知らない同士しゃべり合っています。言葉は語彙だけ写し取ればよいというわけではありません。その点からの発想も必要かと思います。老婆心ながら。
На какой высоте мы летим?
よろしくお願いします。
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正解です。全くその通りです。
На какой высоте летит самолёт?
現在進行なのでнвとしました。よろしくお願いします。
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正解です。