2014年12月26日
●和文露訳指南第136回
このコーナーを始めた理由は、ロシア語の動詞の体の使い分けについて自分なりに整理しようと思い、またそれが世間で通用するかどうかを確かめてみたいと考えたからである。和文露訳短文に対する熱心な投稿者からのフィードバックもあり、おかげで『和文露訳入門』とその改訂版である『和文露訳指南』を電子版(紙の本は出版を引き受けてくれるところがなかったので)で出せた。本を出したのはいいが、この本だけで体の使い分けを体得できるとは思えなかったので、読者サービスの一環として和文露訳の短文出題を実戦用の模擬テスト代わりとして継続した。ひょっとして新規の購入者が出てくるかもしれないなとも考えたからでもある。
短文出題が1300回近くになって思うのだが、上級者はこの本と短文出題をやれば体の使い分けがすぐに理解できるようになると思うが、初級者や中級者が体の使い分けを独学でやるには、うまくいったとしても10年とか20年単位の時間がかかるかも知れず、それくらいやってもよほど一所懸命取り組まないと、結局体の用法の全貌はつかめないということにもなりかねない。それではまったくの時間の無駄である。体の使い分けはできるだけ早い時期にマスターすれば、会話であろうと、通訳や翻訳、ガイドでも効果抜群である。なぜならロシア語のまともな文を会話で言おうとすればまず動詞が出てくるはずであり、そうなると完了体か不完了体かどちら選ばねばならないはずであり、そこでつまづくのが普通だからである。
露文解釈や翻訳においても体の使い分けをマスターすることにより、動詞のニュアンスも含めてより深くロシア文学を昧読できるというものである。初級者や中級者でも体の使い分けを含めたロシア語のレッスンを受ければ1~2年で済むのに、その10倍の時間をかける意味はないし、10倍かけても体の使い分けが分からないということも大いにあり得る。ただロシア語自体が不人気のため、学習者が他言語に比べればほとんどいないというわけで、希望者もないのが残念である。希望者が万一出てきたころには、こちらの気力や体力が伴っていかないような気がする。
出題)「家から職場へは片道1時間40分の道のりだ」をロシア語にせよ。
Дорога займет один час сорок минут в
один конец из дома
до работы.
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家から職場ですから毎日通っていると考えられます。となると不完了体現在形を使うか、動詞を取るかどちらかの方がよいと思います。私の答えは、Дорога в один конец от дома на работу - 1 час 40 минут.
(お題)
家から職場へは片道1時間40分の道のりだ
(コーシカ訳)
Дорога из дому до офиса занимает час с сорока минут в один конец.
習慣ですので不完了体現在を充てました。数詞の変化の復習にもなりました。
とっさに訳せと言われたら、家から職場まで往復3時間20分です!になりそうです…
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час сорок минутでしょう。
Я трачу на дорогу от дома до работы 1 час и 40 минут.
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正解ですが、時間を費やすという訳になり、非常に硬い表現です。дорогаを主語として、я трачу наを取れば会話でも使えます。
Растояние от дома на работу час и сорок минут езды.
時間的に徒歩ではないと思いました。
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расстояниеのスペルミスがあります。距離という意味ですから、何キロメートルという風になりそうです。
От дома до работы всего час и сорок минут езды.
往復と入れなければ片道であろうと考え何も入れませんでした。よろしくお願いします。
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主語がないということと、往復切符は билет в оба концаといいますから、その点からも類推可能です。
На дорогу от дома до работы уходит один час сорок минут.
よろしくお願いします。
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正解です。
Путь из дома на работу займет 1 час 40 минут в одну сторону.
例示的用法
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職場ではなく、なじみのない場所というのなら例示的用法でしょうが、違うと思います。