2015年04月26日
●和文露訳指南第229回
嘘の類語で、ложьやвраньёは語義にговорить(言う)やписать(書く)が含まれているので、重言(二重表現、重複表現)となり(馬から落馬するの類)、これらの動詞との語結合はあり得ない。говорить неправду(嘘をつく)、писать неправду(嘘を書く)となる。неправдаは意識的な嘘、無意識の嘘にも使える。ложьは前以て考えられた巧妙な嘘、враньёは想像に発する法螺であり、未来においてつく嘘にも使える。この二つには複数形はないが、неправдаはあまり用いられないが、複数は可能である。
出題)「実際のところ望みのものを得ないのであれば、キリールィチはキリールィチではない」をロシア語にせよ。
Если на самом деле
не добивается
пожеланного.
Кириллыч не является
им самым.
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出題の日本語を直訳したという感じですが、ロシア語では非常に不思議な感じがします。御訳では「実際に望みのものを得ないなら、キリールィチはキリールィチ自身ではない」となりそうですが、さにあらず。「彼はキリールィチではない」というのは、否定文の現在形で表現できますが、キリールィチがキリールィチ自身ではないというのは、矛盾であり、仮定法でしか表現できないはずです。私の答えは、И действительно, Криллыч не был бы Кирыллычем, если бы не добился желаемого.
仮定法過去からの出題。
Если Кирилич на самом деле не достал бы то, что он хотел,он бы не Кириличым.
話者はキリールィチは得ると信じているのでしょうから、仮定法のつもりで書きました。よろしくお願いします。
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仮定法であるのは間違いなにことですから、出題の趣旨は理解なさっていることになります。細かい点を言えば、чегоでしょう。抽象的なものを欲するときは、生格を取ります。
На самом деле если не завоюешь то, что желаешь, тут Кирилыч не будет Кирилычем.
すみません、見てないので、よろしくお願いします。例示でсовです。
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性的な対象を除けば(廃語であり、人の対格は生格と同形ですが)желать + 生格です。完了体未来形を使うのは1回の具体的な行為ですが、出題は反復です。それと未来においてキリールィチは死ぬことがあっても、キリールィチ自身でなくなることはないので、仮定法を使うべきです。если..., тоでしょう。
Кирилыч не Кирилыч, если не получит то, что он хочет.
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日本語ではおかしくなくとも、キリールィチがキリールィチではないというのは論理的に矛盾します。それを解決するには仮定法過去を使わざるを得ません。