2014年10月19日
●和文露訳指南第72回
18世紀末には受け身の動作主がот + 生格でも作れるとクルガーノフの文法文例集にあったが、聖書のヨハネの第一の手紙の露訳の中にもあるので紹介する。トルストイの『読書の範囲』Круг чтенияの中にあったもの。
Братья, будем любить друг друга, ибо любящий рождён от Бога и знает Бога.(同胞〔はらから〕よ、お互いに愛し慈しもう。なんとなれば愛するものは神によって生まれ、神を知っているからである)
出題)「どなたとも知らない方にお答えするのはちょっと」をロシア語にせよ。
Не хотелось бы отвечать тому, кто ни с кем не знаком.
よろしくお願いします。
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お答えは、「だれとも知り合いでない人に答えたくはありません」ですが、出題は婉曲な回答拒否です。お答えは無論仮定法を使っていますから、かなり控えめな感じがしますが、それでもストレートすぎるような感じがします。それと主語は一人称ですから、「だれとも知り合いではない人」ではなく、「どなたとも知らない方」というのは「私が知らない人」ということです。私の答えは、Я затрудняюсь дать ответ, не зная, с кем имею дело.
(1) Мне немножко не
охота ответить тому,
кого я не знаю.
(2) Я немножко колеблюсь
в том, чтобы отвечать
тому, кто же такой.
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1)はне охотаというのは嫌気の用法ですから、不完了体不定形とすべきです。охота自体もまだ強すぎる感じがしますし、немножко не охотаよりもне очень хочуの方がまだ分かります。2)は私がだれか知らない人にとでもしないと文意が通じません。
Простите, что я не могу ответить вам, так как я не знаю кто вы.
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意味はそういうことですが、ストレートすぎて、出題の日本語の婉曲な気持ちが出ていないように思います。「~したくない」というのは主観であり、いくら婉曲に言っても我意ですが、「~するのが困難」と言えば、これは主観とは関係なく、ある事情により不可能だと述べており、その事情や状況が取り除かれたり、緩和されれば、可能性が出てくるというように客観性を表に出す事ができます。
Затрудняюсь ответить незнакомому мне человеку.
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正解です。欲を言えば、私の知らないというのも若干ストレートな感じがしますので、そこのところの工夫があればもっとよいかと思います。
(お題)
どなたとも知らない方にお答えするのはちょっと
(コーシカ訳)
Я стесняюсь, чтобы ответить на того, кого не знал(а).
стесняюсьは今現在ためらいを覚えているので不完了体現在
ответитьは具体的1回の返答と思われるため完了体不定形
знал(а)は過去に面識があってその結果が続いている
・・・のが否定されているため、完了体過去です。
実際に返答したわけではないので、仮定の意味でчтобыを使いました。
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構文的にはЯ стесняюсь ответить незнакому.となるのでしょうが、これだと、遠慮はしていますが、結局は答えることになります。この動詞を使わない方がよいと思います。трудно сказатьのほうがまだましです。
Стесняюсь вам сказать, что(お恥ずかしい話だが、こんなことを言うのはお恥ずかしいが)
Я постеснялся ему об этом сказать.(決まりが悪いので彼にはこのことを言わなかった)
Боюсь отвечать тому, кого не знает никто.
боюсь : 状態(不完了体動詞現在形)
отвечать : 動作の有無(不完了体動詞不定形)
знает : 状態(不完了体動詞現在形)
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お答えは反復か性質であり、боюсь отвечать на телефонные звонкиと言えば、電話に出るのが怖いとなります。出題は具体的な1回の動作です。
Я стесняюсь ответить человеку неизвестного происхождения.
状態なのでнвとして、その後ろにくるのは、やり取りがなされている今現在の具体的な一回のこととしてсвとしました。よろしくお願いします。
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コーシュカさんと同じですね。происхождениеというのは出身とか身分ということですが、戦前ならともかく、現代ではこうは言わないでしょう。