2015年01月07日
●和文露訳指南第148回
菜食主義者であるトルストイは肉食の害を説いた。一般に菜食主義者にとって肉食はダメだが、菜食は、つまり植物は動物と違うので食べてよいということらしい。植物と動物では生命という概念が違うようである。木の皮の近くは既に死んだ細胞で、生きているのは内部だけだと読んだことがある。ただ植物だって生き物であり、最近の研究では植物には感情があるかどうかという研究がなされており、弱い電気信号を用いて感情を示しているともいう。同じ生き物なのだから、肉食がだめなら、植物を食べるのも不可とすべきという議論が出てくるはずだが、植物も駄目となると、仙人じゃあるまいし、人は霞を食っては生きられないのは確かである。これに対してトルストイは、果実食を勧めている。果実を食べても種は残るわけで、再生産の道を残す事になると言う考えらしい。そうであれば根で増える栄養生殖の植物もよいのだろう。ただそういう理屈であれば、酪農農家であっても、種牛を金を出して借りてきて、種付けするわけだから、再生産の道は残していることになる。今全人類が肉食を止めたとしたら、飼われていた家畜のほとんどは餓死してしまうだろうし、需要がなくなれば無理に飼うこともなくなるわけで、繁殖させることもなくなる。自然にはそれほど栄養のある食糧である草がないからだ。食べられるために生きるのと、はじめからそういう可能性もなく、生まれて来ないと言うのではどちらがよいのだろう。いずれにせよ、人が勝手に決める問題ではないように思う。
出題)「水をたくさん汲んだら、すぐに戻るんだ。いいな?」をロシア語にせよ。
Сразу после того,
как черпнешь много
воды, вернись назад.
Ладно ?
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間違いとは言いませんが、черпнутьсяは一回体ですから、начерпать водыとした方が自然でしょう。1回でたくさんの水をくみ上げたかどうかは分かりませんし。ладно = пусть будет так, ничего не поделаешьというように、同意しているのですが、やむを得ず、しぶしぶというニュアンスがありますから、この場合はхорошоの方がいいと思います。
順次的用法として完了体を二つ続けているのですが、命令法の場合はそう簡単ではありません。私の答えは、Наберите воды и сразу же возвращайтесь, хорошо?
命令法における動作が次々続く順次的用法では、先の動作の結果を次の動作が受けるかどうかによって、次の動詞の体が変わって来る。完了体の順次的用法は前の動詞の結果が次の動詞に及ばないくらい早く連続して続く場合に使われ、依頼の意味の別個の新規の動作がそれぞれ続く時ぐらいであろう。一方、前の動作の結果を次の動詞が受けるときは、初めに完了体命令形で、その後は前の動詞が作り出した文脈による促し(着手)の意味で、不完了体命令形が続く場合の方が多い。回答のвозвращайтесьが不完了体なのは、水をたくさん汲んだ以上、戻るのが当然だという意味の促し(着手)の用法であり、切迫のニュアンスもある。その場合完了体は先に終わる動作を示しているに過ぎない。逆に最初が不完了体命令形で、次に完了体命令形が来る場合は、同じ動詞のペアについては、『和文露訳指南』5-1-1項に書いておいた。ペアでない別個の動詞が続く場合は例としては多くない。
(お題)
水をたくさん汲んだら、すぐに戻るんだ。いいな
(コーシカ訳)
Черпни воду обильно и вернуй сразу. Понятно?
具体的1回の命令+順次的用法の完了体です。
誰かに食べられる=誰かの役に立つ→そうやって功徳を積む
食べる方は食べる方で、自分が生き延びるためには殺生が避けられないという事実と向き合い、そうまでして支えた命を有効に使う→そうやって功徳を積む
…というような流れで仏教なら説明がなされそうです。
正当化と取るか意味づけと取るかは受け手次第。
答えは恐らく人の数だけあるのでしょうけれども、考えて自分なりの答えを出す(求める)ことが大切だと思います。
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具体的一回の動作だからと言って、一回体を使わなければならないということにはなりません。たくさんの水なのに対格は来ないでしょう。вернуйという語形はありませんし、再帰動詞を使うべきです。命令法では、動作が二つあるとすると、後の動詞は前の動詞の動作の影響を受ける場合が多いため、そう簡単には順次的用法が使えないのです。順次的用法となる場合は、
(この手紙を読んで、彼女に渡して下さい)Прочитайте это письмо и передайте ей.
Достань много воды и потом сразу возвращайся. Понял?
順次сов、迫ってるнесов。
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厳密に言えば汲むとは限りませんが正解です。順次ではなく、新規の1回の動作(完遂)です。
Как только нальёшь воду, сразу же вернись, ладно?
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возвращайсяの方がよいと思います。налить ведро воды (водой)のはずです。
1) Как начерпаешь много воды, сразу возвратишься, хорошо?
順次的用法
2) Начерпай много воды и сейчас же возвращайся, хорошо?
切迫感の用法
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2)がよいと思います。ただначерпай водыとすべきです。
Как только начерпаешь много воды, сразу же возвращайся, ладно?
вернисьとすると水を汲んだ直後に元の場所にいなければならず不可能に思えたので、着手の不完了体を選びました。
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начерпатьにもたくさんの液体を汲むという意味があるので、многоは不要だと思います。それにмногоを格変化させる必要があるかどうかなど、よけいな問題も発生しますし。水を汲んだ直後、汲んだ場所にいるのは当たり前だと思います。そこから家に戻れというのは論理的だと思います。そういうことは別にして、これは着手です。
Набрав воду,сразу возвращайся. Понял?
副動詞と、文脈から確認・促しとしてнвとしました。よろしくお願いします。
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惜しいですね。набрать водыです。ただ会話で副動詞は使わない方がよいと思います。