2014年08月16日

●和文露訳指南第11回

動詞の体の用法はある程度集中的にやった方がよい。もっとも1週間というレベルではなく、1年ぐらいのスパンという意味である。このコーナーの出題に毎日投稿しても1年で365回であり、100回ぐらいやれば、和文露訳自体怖くなくなるだろうと思う。こういう短文の出題形式というのは自分の若い頃はなかったので、回答者とか投稿者の立場では何も言えないのだが、投稿の答えを見ていると、間違いは間違いでも体の用法ではそれほど正解からぶれなくなってくると思えるのは、毎日投稿する人で3ヶ月ぐらいからではないかと思うからである。このコーナーの出題はあらゆる分野(政治経済、スポーツ、医学、技術、犯罪、観光、社会、ビジネス他)から、毎回毎回体系無視(面倒だから次回のことは何も考えずに)で出しているが、これが実戦(実践)に近い形式だと自負している。1100回以上も出題しているのでこれくらい言っても罰は当たらないだろう。それに結果の存続で問題を出すと予告して、その出題に投稿が正解だったとしても、実戦では使えないだろう。体の使い分けについての体系的なものとしては『和文露訳指南』を書いたので、それを見てもらえばよい。世の中やってみないと分からないことが結構あり、和文露訳もそうである。このコーナーはタダだし、匿名でも構わないし、辞書を使っても、極端に言えばロシア人に聞いてもかまわない(それで正解が得られるなら結構なことだが)。give-and-takeで出題者のロシア語の勉強にもなっているので、タダだからと気に病むこともない。おかげで本も出せた。

 このコーナーはロシア文字を覚えたばかりの初級者でも、中級者でも上級者でもだれでも大歓迎だが、一番いいのは語彙や文法をある程度やって、ロシア語の実力はあるのにロシア人の前に立つと、満足なロシア語が出て来ないという人たちである。つまり文法もよく分かっていないのに日常会話だけはペラペラしゃべる人たちに、悔しい思いを抱いている人たちである。基本ができているのだから、少し動詞の体の用法について見方を変えるだけで、すぐ見違えるように会話がうまくなると思う。もっともリスニングは自分で千時間ぐらい歌詞の多い音楽とか、ニュースを聞いてもらう必要はある。聞きとれなければ会話にならないからだ。通勤通学で聞き流せばいいので、そのために特に時間を取る必要はない。

出題)「右を見ても、左を見ても山ばかり」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2014年08月16日 07:54
コメント

Смотришь и направо и
налево, вокруг меня
одни горы.
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現在の時制を使っているので、過程か反復の意味となります。「君が右と左を見ている。僕の周りは山だけだ」とか、いつも君は左右を見ているという訳ですが、不完了体を使っているために、具体性が感じられません。具体性を示す時は完了体を使うべきで、完了体未来形の例示的用法は超時間的用法であり、それに普遍人称文(文中の述語が任意の人によって行われる行為を示すもので、諺でよく使われる)の組み合わせが考えられます。私の答えは、Направо посмотришь - горы, налево посмотришь – горы.

Posted by ブーチャン at 2014年08月16日 08:20

Куда ни глянешь, везде горы.
よろしくお願いします。
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正解です。

Posted by tomm at 2014年08月16日 11:25

Гляжу направо, гляжу налево - только горы.

よろしくお願いします。лишь горы とは言いませんか。
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лишь горыでもいいですが、одни горыの方がいいかもしれません。不完了体現在を使っているので、「私は今右を見ているところです、左を見ているところです。山だけです」というような実況中継のような感じがします。後は反復ですが、そうなると具体性が感じられません。

Posted by ぶんち at 2014年08月16日 12:02

Только горы находятся в поле зрения.

нвとしました。規則的反復でしょうか。よろしくお願いします。
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「視界には山だけが位置する」ですから、普通に考えれば状態です。間違いだとは思いませんが、英語の教科書の例文みたいで、具体性が感じられません。находитьсяというのは、基本的な意味は場所を示します。存在を示す意味もありますがそれはそれほど多く使われるわけではありません。具体性を示すには完了体です。

Posted by やま at 2014年08月16日 21:41

Глядя направо и налево, одни горы.
глядя : 副動詞(不完了体動詞現在形)
быть動詞の三人称複数現在形は省略。
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今左右を見ていると、山だけだという意味では正解です。見るというのはこれから見るわけで、見ているというのとは違うと思います。

Posted by chijikpijik at 2014年08月17日 06:28

完了未来形の例示的用法、あまり意識したことがなかったのでこれを機に覚えます。一点だけ、глянутьは完了体ではないでしょうか。
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すみません。глядетьと見誤りました。朝食後気がついて訂正したのですが、先にこの投稿が入っていたというわけです。ただкуда ни глянь (куда ни глянешь) = повсюдуという熟語ですから、見るという意味は薄れているかもしれません。そうなると「山ばかり」となってしまいます。日本語の「どこを見ても」というのが、いたるところとほぼ同義ですが、やはり目で見るという意味は残っているように思えます。

Posted by tomm at 2014年08月17日 07:33

第11回
(お題)
右を見ても、左を見ても山ばかり
(コーシカ訳)
1) Мы устремляем взор и направо и налево - видим только горы.
2) Когда мы смотрим направо или налево, видим только горы.
3) Нашему взору представляются - и направо и налево - одни лишь горы.

不完了体現在で揃えました。
・どっちに目をやっても山というのは話し手にどうしようもない
・今現在も山が見える
と考えました。
完了体を続けると条件(左右どちらかに目をやると山だけが見える)
になってずれるように思われます。
さて、正解は
なんと、完了体の例示でしたか。
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再投稿いただき、誠に申し訳なく思っています。投稿者一人当たりに100~200のスパムが来るので、99~199は削除対象ですが、投稿者の投稿が規則的に投稿されるはずもなく、何度か繰り返してみて、入ろうがないようにしているのですが、ときどき気が緩む時もあります。まあやむを得ないでしょう。出題の種がなくなれば、それで終わりですkら、あるうちは続けたい思います。
 お答えはで問題なのは、устремлять взорですが、会話ではまず使わないでしょう。不完了体現在形で動詞を続けると、反復か過程でしょうから、視線を向けてから見えるというのは論理的ですが、視線が向ける過程で、それと同時に見えているというのは、動作の順番が分からなくなるという意味で無理があるように思います。これを解決するのは反復ですが、それは出題と違ってきます。一番奇妙なのは、並立複文なのに、最初の動作動詞が過程の意味で使われているのに、二番目の動詞が状態の動詞だということです。

Posted by コーシカ at 2014年08月17日 15:13

いつもスパムとの格闘お疲れ様です。

посмотришь ли направо или налево , увидите только горы.

例示的用法で完了体未来系を選びました。

山はいつもあるものなので、見えるは反復の不完了体と迷いました。

やればやるほど場独断型か場依存的かを判断する基準が揺らぎ五里霧中状態です。
霧が晴れる事を信じて地道に勉強を続けたいと思います。
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文頭は大文字です。山はいつもあると考えるのは日本人ですが、ロシアではモスクワ近辺は平野が続いています。山を一般的にとらえるか、具体的なものとしてとらえるかによって、体の用法は違います。不完了体は抽象的に山をとらえ、完了体は具体的に山をとらえます。
 лиというのは、日本語の「か」と同様、疑問を示す助詞ですから、これを省くべきです。илиではなく、иです。完了体を続けると、どうしても順次的用法となり、動作が連続していく感じがしますので、увидитеを取るべきです。理屈で体の使い分けの本質をいうことは簡単ですが、理論を実際の例文と見比べてみて、理論を見てみるという繰り返しをしないと、理解できないと思います。そういう意味で、このような投稿は重要な意味を持つと思います。しかし、これまでの投稿を見る限り、非常に筋がよいというか、感覚的にはかなりロシア人に近い感性をお持ちだと思います。ただ誤解してほしくないのですが、ロシア人と100%異なる感性を持った人でも、本質を理解すると、今までの自分の考えを逆転させれば、正しい体の使い方ができるということになります。体の使い分けにについて90%ロシア人と同じように使えるとしても、後10%は違うわけですから、実戦では正しいか、間違いかの二者択一を選ぶのと変わらないことになります。つまり100%とは言わないまでも、95ぐらいの精度を上げないと、プロとして実戦では使えない可能性があります。ただロシア人だって皆が皆、常に100%正しい体の用法をしているとは思えませんが。
 まだロシア語を始めて日が浅いのですから、後半年ぐらい、例文と理論を比較対照してみれば、体の使い分けのコツが会得なさると思います。

Posted by はりねずみ at 2014年08月17日 19:57
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