2015年01月11日
●和文露訳指南第152回
定動詞というのは反復であまり使われないが、円運動であるとか、反復が一方向ずつだけであれば使えるということは『和文露訳指南』8-2-1項で説明した。規則的な反復であれば、定動詞も順次的用法に使える。ただ順次的用法と不完了体一般という事でいえば、下記の文は文脈上動作の順がはっきりしているからいいが、不完了体というのは動作の終了をはっきりは示さないので、同時性や動作の重なりなどが出てくる場合もあるので、順次的用法は完了体と共に用いられると考えた方がよい。
(この頃彼は帰宅して、夕食をとって、仕事に取り掛かるのがいつもの日課だった)В это время он всегда приходил домой, ужинал и принимался за работу.
(仕事が終わるとすぐ彼は家に行く)После работы он сразу идёт домой.
(いつも自分の仕事を終えると友達のところに遊びに行く)Обычно я заканчиваю свои дела и идёт в гости к своим друзьям.
(夏が来ると毎年海に行く)Каждый год, как только наступает лето, я еду на море.
(毎年海に行く)Каждый год я езжу на море. <滞在する、いる、訪問するという意味では定動詞は使えない>
出題)「患者には筋肉の弛緩が認められる」をロシア語にせよ。
У пациента наблюдается расслабление мышц.
よろしくお願いします。
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正解です。このнаблюдаетсяも遂行動詞です。私の答えは、У больного отмечается мышечная слабость.
遂行動詞。расслабление (ослабление) мыщцでもよい。
У больного
замечается
ослабление мышцы.
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惜しいですね。мышцです。具体的な一つの筋肉を除き、мышцыと複数で使うことが多いようです。мускулыは手足の鍛えた筋肉を指します。
У больного признано расслабление мышц.
結果の存続でсв被動形動詞過去短語尾としました。よろしくお願いします。
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признатьは何か外見の特徴である人や物の中に知人やしっていることを見出すという意味が基本です。こういうのは露露辞典を見ると分かりやすいでしょう。結果の存続を使うと、動作が起きたのは過去であり、それが一瞬前なのか、かなり前なのかは分かりませんが、その動作の結果が今に至っているという意味です。ところが出題は、発話が終了すると同時に、発話の内容が聞き手に伝わるのですから、遂行動詞を使う必要があります。признаватьも遂行動詞として使えます。
У пациента наблюдается (отмечено) расслабление мускулатуры.
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мускулатра = совокупность мускуловであり、筋肉の全体ですから、より具体的なмыщцとした方がよいと思います。наблюдаетсяはいいのですが、отмеченоとすると、とっくの昔に気がついていて、それが今に至っているという風にも理解でき、意味が変わります。
(お題)
患者には筋肉の弛緩が認められる
(コーシカ訳)
У пациента наблюдается мышечная релаксация.
現在の状態を指す不完了体現在です。
弛緩релаксацияと緊張тонусで対になっておるのですね、勉強になりました。
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認められているなら状態でしょうが、これは遂行動詞です。релаксацияは弛緩は弛緩ですが、人為的に施すものですが、出題は患者の兆候としてのものです。
У пациента отмечается расслабление мышц.
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正解です。
Признано, что у пациента мышцы расслаблены.
признано : 結果の存続(発話の結果が存続)
下記の露々辞典の例文等を参考にしました。
признать пациента душевнобольным.
一人称が多い遂行動詞は避けたのですが、признаётсяやпризнаютはやっぱり変でしょうか?
また、代わりにподтвержденоは使えますでしょうか?
расслаблены : 結果の存続
筋肉が弛緩しつつあるのか、筋肉が弛緩した状態が続いているのか、二通りの意味が取れると思いましたが、後者を選びました。
また、岩波にраспустить мускулы.やмускулы распустились.という例文がありました。医療用語的な使い回しではこちらの方が妥当なのでしょうか?
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これは三人称を使った遂行動詞であり、『和文露訳指南』上巻152ページにも例を挙げています。医療関係では客観的立場(医療機器での計測結果)ということを強調して、本来なら一人称で言うべきところを三人称が多用されるのではないかと思います。распустить мускулыは筋肉を弛緩させるというのことで、人為的な行為です。ところが出題は症状を示しているわけで、使うのはまずいでしょう。
подтверждать = признавать, свидетельствовать истинность, достоверность, наличие и т. д.であり、正しいこと、存在することを認めるという意味ですが、出題の認めるはобнаружитьという意味ですから、признать同様使えません。