2014年10月15日
●和文露訳指南第68回
ジョークや小噺、アネクドートの類はほとんどが面白くない。なぜかというとほとんどのオチは子供のころも含めて雑誌などに紹介されていて、既に知っているからである。しかもその源流をたどると、中国では二千数百年前の笑府などから江戸時代に翻訳されたものも多いだろうし、また人間は基本的に考えるところは同じだから、同じ発想の笑い話が長い間に生まれてもおかしくはないと考えられるからなおさらである。笑府の中の「女の知恵」というのは、クルガーノフの『文法文例集』Письмовникにも同工異曲のもの(フランスなどからの翻訳であろうが)があるが、それがいい例であろう。
小噺には人の好みもある。私はロシア語のダジャレ、地口、その時々のロシアやソ連の時代風刺が好きだが、万国共通の艶話や政治小話が好きだという人もいるわけで、多くの人がこれはというようなアネクドートを見つけるのは至難の業である。オチが面白いかどうかにこだわらなければ、アネクドートは時代を知る上での宝庫と言ってよい。しかしアネクドートを理解するためには、現代の若者言葉や俗語のみならず、その当時(ソ連時代も含めて)の時代背景を理解する必要がある。アネクドートは30年ぐらい研究を続けてきたし、何冊か著書も書いた。ロシア・ソ連文学の露文解釈の代わりに、アネクドートで現代ロシアを読み解くという試みをレッスンの形で始めようかと考えている。これは映画や日常会話の聞き取り、文学の読解力向上に大いに役立つと思う。
出題)「彼は往生際が悪い」をロシア語にせよ。
Он не готов покориться
судьбе.
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お答えは、「彼は運命に従う用意ができていない」ということで、往生際を死に際と解釈されたようです。「往生際が悪い」というのは、ギリギリのところに追い詰められたときやその時の態度です。私の答えは、Он не умеет проигрывать.
Он не знает когда сдаваться.
作ってしまいました。習慣でнвとしました。よろしくお願いします。
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なんとなく意味は伝わると思います。
(お題)
彼は往生際が悪い
(コーシカ訳)
1) Он еще не решился покориться своей участи.
2) Он уклоняется даже от неизбежимого следствия.
1) решилсяは結果の現存の完了体過去
покоритьсяは具体的1回の動作を指す完了体不定形
2) は現在進行中の事柄ないし反復・習慣を指す不完了体現在です。
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1)はブーチャンさんと同じような発想で、直訳的です。2)は「不可避の結果すらから避ける」とあり、何か抽象的です。
Он не умеет достойно проигрывать.
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正解です。
Он не знает признаваться в своей неправильности.
Он не знает, когда отступиться.
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始めの文は通用するかも知れませんが、二つ目のは、具体的な事例ならともかく、отступатьсяと不完了体にした方が自然です。
Он напрасно пытается не признавать свое поражение.
よろしくお願いします。
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意味は通じると思います。
Он легко не примиряется с судьбой.
反復(不完了体動詞現在形)
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お答えだと、よい意味で解釈されそうです。