2014年12月05日

●和文露訳指南第115回

『代替医療のトリック』(サイモン・シン&エツァート・エルンスト、青木薫訳、新潮社、2010年)を読んだ。鍼、指圧、灸、電気、レーザー、音波、磁気を使った治療、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法の治療効果はプラセボ(プラシーボ)効果によるものであり、患者の治りたいという気持ちが治療効果をある程度出す場合もあるのだということである。カイロプラクティックについては腰痛に効果がある場合もあるが、レントゲンの多用でガンになる可能性もあり、予防接種に対する敵対的態度、頸椎への手技では頸動脈破損の可能性が何もしない場合の5倍にも上るとして、より安全な理学療法や整骨療法を勧めている。プラセボ(偽薬)効果というのは、例えば砂糖の丸薬と薬と偽っても、治療効果が出る場合もあるということである。世の中には催眠術にかかりやすい人とそうでない人いるわけで、暗示にかかりやすい人は、本人の意思にかかわらず、具合が悪くなるわけだから、プラセボだろうと何だろうと効果があればいいのではなかろうか思う。ただ問題なのは、プラセボ効果の出方が予測不可能ということにある。これなら通常の医療に頼った方が病気やけがが治る確率がはるかに高いと言える。本書ではプラセボ効果には、3つの要素があると指摘している。一つは、医師の評判が高いこと、二つ目は、治療薬が高いこと、三つ目は治療法が目新しいことである。高いお金を出しているのだから効果があるはずだという期待が、治療効果を挙げているということも否定できないということなのだろう。その他に、治療効果を上げるには、錠剤より注射、一錠より二錠、錠剤の色は緑が最も不安を和らげ、抑鬱改善には黄色がベストである。白衣を着た医師から錠剤をもらう方が、Tシャツを着た医師からもらうより効果があり、そんな医師でも看護師からもらうよりは効果があるとある。錠剤の大きさも大きい方が効果があるが、非常に小さい錠剤についてはその限りではないという。

 代替治療は通常の医療に比べ、より長い診察時間、より分かりやすい説明など、患者との間に治療効果のある関係を築き上げているために、プラシーボ効果が強く現れるのだろうと思われるという。

出題)「彼は病み上がりだ」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2014年12月05日 06:26
コメント

Он только недавно
поправился.
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お答えは元の健康な体に戻ったというのですから、病み上がりとは違うと思います。私の答えは、Он только что перенёс болезнь.

Posted by ブーチャン at 2014年12月05日 14:31

Он выздоровился совсем недавно.
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全快したというのであれば、выздоровелであり、выздоровилсяという単語は聞いたことがありません。それと病み上がりというのは、病後体力が十分に回復していない状態を指します。

Posted by じぇーにゃ at 2014年12月05日 22:48

Он пока выздоравливает.
Он в ходу к выздоровлению.
Он совсем недавно болел.
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病み上がりということを正しく理解されていると思います。最初のは過程を示しており、病気や怪我が完全には治っていないというのですから、病み上がりとは違います。二つ目も過程のようですが、このような構文は知りません。3番目が一番出題に近いと思いますが、недавноという時を示す状況語があり、それに不完了体過去形がついているので期間の意味に取らざるを得ず、出題は結果の存続ですから、完了体にする工夫が必要だと思います。

Posted by ゴ at 2014年12月05日 23:25

(お題)
彼は病み上がりだ
(コーシカ訳)
1) Он только что поправился.
2) Он выздоравливает.

1) はアオリストの完了体過去で、治ったばかりであることを強調し
2) は本調子に戻りつつある過程に注目して不完了体現在です。
どちらもЗиРを参考にしました:1) は丸写しです(548頁、поправляться)。
>患者の治りたいという気持ちが治療効果をある程度出す場合もある
妹が鍼灸師をしております。患者さんの体それ自体が持つ治癒力を高めるないし援けることが施術の目的である由、口にします。中医学や漢方などは介入の結果を数値化し辛かったり、因果関係を西洋医学のようには証明しにくい面もあるのでしょうが、教育や認定を充実させて治療の水準の確保を進めてもいるようです。そうした分野も含めてプラセボとまで言うのはかなり思い上が・・・もとい思い切った発言ですね。
一方で、伝統医学と最新の知見を組み合わせようとする動きも(うちの主治医の先生含め)確かにあり、さとうさんもお書きのとおり、治るならそれぞれの良いところを組み合わせてもらう方が患者としてはありがたいです。
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病み上がりや病気上がりというのは病後まだ体力が十分に回復しないこと(人)と広辞苑にあります。1)でご指摘のザルービンの露和には「病気上がり」とあり、поправитьсяは全快するですから、辞書の編集者が日本語を直訳したのであって、正しく理解していないことが分かります。このように露和辞典に関して言えば、日本で出たものなら、日本語は問題ないが、ロシア語については疑問の余地があることを理解すべきですし、ロシアで出たものは、この逆であることをロシア語上級者は理解すべきです。ましてや和露においてをやと言ったところです。2)は治りつつある過程ですから、これも違うと思います。
 肩こりというのも、頭痛というのもこの年まで10回ぐらいしか経験がなく、腰痛も月1回重い物をものを持ったり、さむくなると軽く出るぐらいで、痛みとは縁のない体で、これは親や先祖に感謝しています。そのため鍼はしたこともなく、マッサージの類は台湾旅行の時に家族で試しましたが、隣で娘や家内がマッサージで泣きわめいているのに、私は触られているという感じで、マッサージ師からもマッサージに縁のない人と言われました。指圧や針でもカイロでも治療というよりは通うというようで、痛みの軽減であって、根治でないように思います。リーズナブルな値段でならその人の懐具合で次第でしょう。今日の読売新聞朝刊に痛みの85%は直接の原因は不明で、ストレスが主因であり、歩行や筋力をつける方が治療に役立つとありました。西洋医学だから信じるとか、東洋医学は昔からだから信ずるというのではなく、その良否を自分で判断し、その責任も自分で負うということでしょう。医者やマッサージ師が万能ではないということを改めて理解するということだろうと思います。

Posted by コーシカ at 2014年12月05日 23:33

Он только что поправился.

結果の現存でсвとしました。こうなると病み上がりというニュアンスは出ないのか不安がありますが。よろしくお願いします。
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おっしゃるように出ません。

Posted by やま at 2014年12月06日 00:28

Он только что перенес болезнь.
よろしくお願いします。
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正解です。

Posted by 智 at 2014年12月06日 05:49

Он выздоравливающий.
病気は完治しても体力が回復していないため(能動形動詞現在)
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出題のご理解は正しいと思いますが、この動詞の不完了体は完治ではなく、病気回復の過程にあるというのであり、病み上がりは違います。

Posted by チジクピジク at 2014年12月06日 07:26
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