2015年01月17日
●和文露訳指南第158回
本格的に露文解釈をやろうと思ったら、単語の語義を辞書で確認するのみならず、その単語を使いこなせないと真に理解したことにはならない。特に文学の場合は、どういう気持ちを込めて作者がこの単語を使ったのかが問われる場合もある。そのためには和文解釈で体の使い分けを学ぶことで、露文解釈や露文和訳においても、正確に文意やニュアンスをつかむ術や自由に単語を使いこなせる術を身につけることができるようになる。
出題)「いつもこうだ。僕が中庭に走って来るや否や、すぐに誰かが叫び出すんだ」をロシア語にせよ。
Всегда так
получается. Как
только я прибегу
к двору, сразу же меня
вызовут
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прибегу к дворуですから、中庭のところまで到達したが、中に入ったかどうかは分からないということになりますが、そういう解釈もあり得るでしょう。вызовутというのは、呼びだすということで、叫び出すという意味にはなりません。そういう細かいことを除けば、体の用法は正解ですが、偶発的反復なので不定人称文でない方がよいと思います。私の答えは、Так всегда: как только выбегу во двор, сразу кто-нибудь – закричит.
偶発的反復で結果のニュアンスがある。主観が強く出ているとも言える。
(お題)
いつもこうだ。僕が中庭に走って来るや否や、すぐに誰かが叫び出すんだ
(コーシカ訳)
Всегда так получается. Как только я прибегу во двор, кто-нибудь закричат.
「いつもこう」なるは繰り返しで不完了体現在。以下は順次的用法の完了体未来です。完遂の意味もあると思います。
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出題を二つのバラバラな文と考えるのは間違いです。「僕が中庭に走って来るや否や、すぐに誰かが叫び出すんだ」ということがいつもだという意味です。体の用法が正確でも、用法を正しく理解していないと、次は間違う可能性が高いと思います。それと語結合ですが、ブーチャンさんと似ていますが、中庭には到達したが、中に入ったかどうかは不明ということになります。またкто-нибудьは単数です。
Всегда так.Едва я прибегу в двор, как кто-то начнёт кричать.
前の動作があったとすれば後の動作が起こるとということで、свで偶発的反復としました。 начнёт の後の動作は一定程度続く動作と考えнвとしました。誰かは具体的な、特定できる人と考えкто-то としました。よろしくお願いします。
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今回の出題の狙いは偶発的反復ですから、それをクリアなさったことは結構なことです。ただお答えでは中庭に到達するですが、中庭は四方を建物で囲まれているので、中庭に出るとした方がよいと思います。特定できる人というよりは、不定の誰かと考えるべきです。начать/начинатьに続く不定形は常に不完了体です。動作を始めるというのがこの動詞の語義なので、不定形に完遂の意味を持たすわけにはいかないということかもしれません。продолжать, кончать/кончитьなども不完了体不定形が来ますし、「~に取りかかる」とか「出発する」という動詞も不定形が来るとすれば不完了体です。
Всегда так! Как только я бежал в двор, сразу кто-то начинает кричать.
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偶発的反復が分かっていないことになります。「私」がいつ中庭に出るということは、「私」自身に取っても、予測不可能な動作のはずです。お答えだと、定期的ないしは、中庭に出ることは予測可能なくらいのかなりの頻度ということになります。それと時制がめちゃめちゃです。これはタイプミスかもしれませんが。
Всегда так - не успею я забежать во двор, как кто-то закричит.
よろしくお願いします。
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惜しいですね。偶発的反復なので、不特定の誰かと考えたほうが自然です。また「いつもこうだ」の説明なので、コロンの方がよいと思います
Всегда так. Как только я прибегу во двор, сразу кто-то начинает орать.
例示的用法
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惜しいですね。偶発的用法なので、不特定の誰かкто-нибудьとした方がよいと思います。ただ偶発的反復なので、不定人称文はやめておいた方がよいでしょう。
勉強不足ですみません。
お答えの主節も不定人称文だと思うのですが、кто-нибудь закричитの間に - が入ることで不定人称文でなくなるのでしょうか?
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不定人称文неопределённо-личные предложенияというのは、主語がなく、述語が不定の人によって行われる行為を意味する文をいうとプーリキナ先生の文法書『新ロシア語文典』や宇多先生の『ロシア語文法便覧』にある用語です。私の答えのような主語が不定というのは、不定人称文ではありません。次のような文が不定人称文で、内容的に受身としても使われます。
В киоске продают газеты.(キオスクでは新聞が売られている)
用語についてはロシア語が上達したいだけなら、特に覚える必要はありません。ただ将来ロシア語に関する参考書や論文を書こうというのなら覚えておく必要はあります。私の場合は、このコーナーにひょっとして、ロシア語文法の専門家がまかり間違って閲覧する場合もあるかもしれないのと、一人がッテをできるだけ排するのと用語の統一のためです。