2015年01月18日
●和文露訳指南第159回
動詞の体の使い分けを考える際に、完了体と不完了体を対立するものとか、別個のものと考えると混乱する。それよりも数学の集合の考えを取り入れて、動詞の用法を大きな丸としたなら、その中に黒い丸を書く。その黒い丸が完了体であり、それ以外の白い部分が不完了体である。つまり不完了体は動詞の用法全てを代表するが、白地に黒が目立つように、完了体は主観的な動作を行うと考えればよい。完了体は過程(進行形)を示せないが、全一性などは、不完了体よりも、クロが白よりも目立つという意味で完了体が優先的に使われるということになる。完了体が過程を示せないので、やむを得ず不完了体が示すということになる。
出題)「そのような行動への参加・不参加に一線を画するのは難しい」をロシア語にせよ。
Трудно провести различие между участием и неучастием в таком действии.
具体的な状況での困難なのでсвとしました。よろしくお願いします。
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具体的な行動ではあるのですが、一つの行動を分けるわけにはいかないので、行動は複数にした方がよいと思います。私の答えは、Сложно провести чёткую грань между участием и неучастием в подобных действиях.
不可能から派生した難易のニュアンスから完了体不定形が用いられる。『和文露訳指南』6-2-5-1項参照。
Трудно единообразно
определять
положительные и
отрицательные
стороны участия в
таком движении.
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お答えは「このような運動への参加のプラスの側面とマイナスの側面を決める」ですから、違うと思いますし、完了体不定形を使うべきです。またединообразноよりоднозначноを使う頻度の方がはるかに高いと思います。
Трудно разграничить участие и неучастие в таком действии.
よろしくお願いします。
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参加する行動と不参加の行動があるわけですから、行動は複数にした方がよいと思います。それ以外は正解です。
(お題)
そのような行動への参加・不参加に一線を画するのは難しい
(コーシカ訳)
Трудно определить участие или неучастие в таком действии.
трудноの後は叙想語→話者の主観が出るため完了体不定形です。
参加・不参加を決めるのも1回1回の具体的動作という気もしますから、そのあたりも響いて完了体を取るように思えます。
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体の用法は正解ですが、определитьは判定する、確定する、定義する、決議する(判決など)であって、決心するという意味はありません。
Трудно начертить линию между участниками и неучастниками в таких актах.
昨日のは偶発的反復と言われてみたらそうなんですが、真剣に考えてあれです。бежатьが定動詞、ничинитьは前にвсегдаがあるのでнесов。чертитьのсовは初めて知りました。
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体の用法は正確です。актахと複数を使っているのもよいと思います。чертить линиюは文字通り、線を引くですが、一線を画するという意味ではпрочертить
の用例は知っていますが、начертитьはどうでしょう?
прочертить демаркационную линию между простым и великим
(素朴なものと偉大なものとの間に一線を画す)
アカデミー版露露がчのところまで来ていないので、なんとも言えませんが、начерчиватьの解説を見る限り、抽象的な意味では使えないようです。抽象的な意味ではпровести линию между, отмежеваться от линииの方が一般的です。
次回の本文にも書きましたが、通訳するときは時間がないので、体の使い分けを自動化(早める)のために、目印を使おうという気持ちは分かります。ただ「いつも」や「たびたび」なら不完了体を使うと考えるのは、中級者のレベルであり、ゴさんのような上級者では、文脈の流れにも意を払ってほしいということです。このコーナーで間違いを直すことができれば、実戦では正しいロシア語が使えることになります。予測可能か不可能かという点で考えればよいと思います。
Трудно провести черту между участием и неучастием в таких действиях.
主観的な可能性
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正解です。ただ用法的には私が考えるに、不可能から派生した難易の用法です。трудноを「ほぼ不可能」と解釈するわけです。これについては私の考えを押し付けるつもりはありません。трудноで後に不完了体不定形が続くのは、規則的反復、人間の能力を越えた動作であり、не мочьと同じ発想をすれば、よいと思います。
Трудно разграничить за участвовать к таковым действиям или нет.
ご教示ください。
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разграничитьと完了体不定形を用いているのは正解です。また参加ではなく、参加すると動詞で考えてみたわけですね。こういう発想も志向の柔軟さを示しているわけでけっこうなことだと思います。ただразграничитьは他動詞(補語に対格を要求する)なので、заというような前置詞は取りませんし、語結合的にはучаствовать в + 前置格となります。ここは参加は名詞で処理した方が簡単だと思います。
とても勉強になりました。ありがとうございます。
精進します
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お忙しくないときに、折を見て投稿ください。役に立つとよいのですが。