2015年01月13日

●和文露訳指南第154回

前回の出題は「~することができた」を和文露訳するときに、単純にмогとсмогのどちらを使うべきかという風にも置き換えられる。つまり日常会話でも大いにあり得る状況である。мочь/смочьは助動詞ではあるが、体の使い分けに関しては本質的には他の動詞と変わることがない。過去の時制についていえば、接続する動詞の体や文脈によって、状態、規則的反復、動作の有無の確認、結果の存続、アオリスト的用法、否定の用法などがあるが、岩波の書き方ではあたかもその文例の用例しかないように、学習者が受け止めてしまう恐れがある。この用例は、不完了体過去形は過去の時制でのみ用いられ、現在とのつながりがあるかどうかは分からないという特質を活かした結果存続無効の用法(第75回本文参照)や動作の有無の確認であり、完了体過去形は結果の存続を示しているに過ぎない。感嘆とか非難というのもкакが示すものであり、後に続く不定形の動詞の語義や文脈、イントネーションによるもので、мочь/смочьとは関係ない。

(負傷後すぐに怪我をした足で歩け(踏み出せ)ましたか?)Вы могли сразу после травмы наступать на повреждённую ногу? <動作の有無の確認>
(彼は自分の報告書をタイプアップすることができた)Он мог (смог) перепечатать свой доклад. <不完了体過去形は動作の有無の確認から来る結果存続無効〔可能性があった〕であり、完了体過去形は結果の存続だが、文脈によってはアオリスト的用法も可能>
(どうやってこんな高いところに登って来られたのだい?)Как ты смог подняться на такую высоту? <結果の存続>
(よくも彼は私をだます事ができたものだ!)Как он мог обмануть меня! <動作の有無の確認>
(どうしてドイツ軍が1941年にモスクワに迫ることができたのか?)Почему немцы смогли вплотную подойти к Москве в 1941 году? <アオリスト的用法>
(1911年秋から学校に通うことができるようになって、1913年春に卒業しました)С осени 1911 года он смог ходить в школу и окончил ее весною 1913 года. <アオリスト的用法由来の大過去(過去完了の継続)>

出題)「全ての人は時間がないとぼやくが、ちょっとでも自由な時間ができると、無駄に過ごしてしまう」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2015年01月13日 08:06
コメント

Все люди жалуются
на то, что нет времени,
но, если хоть немножко появляется свободное время, они зря его трачут.
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やはり偶発的反復がお分かりでないようです。私の答えは、Все жалуются на отсутствие времени. Но выпадет свободный часок – проведёшь его бесполезно.
規則的反復と偶発的反復の組み合わせで、偶発的反復の方は結果のニュアンスが文脈にある。第130回、第135回参照。

Posted by ブーチャン at 2015年01月13日 16:20

Все жалуются, что нет времени, но найдет человек хоть немного свободного времени - проведет он его напрасно.
例示的用法と判断しました。よろしくお願いします。
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耳で聞いている分には正解ですが、ноの前で文を切った方がよいと思います。偶発的反復なので、無理にчеловекと主語を立てずに、普遍人称文にした方がよいと思います。

Posted by 智 at 2015年01月13日 19:53

Всякий человек жалуется,что времени не хватает. Но когда появится свободное время, он проведёт напрасно.
第一文は習慣でнв、第二文は偶発的反復でсвとしました。よろしくお願いします。
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正解ですが、智さんにも書いたように、偶発的反復ですから、普遍人称文を用いるべきです。

Posted by やま at 2015年01月13日 20:42

昨日は本当に失礼しました。日本語が分かっていません。お恥ずかしい。мочьとсмочьもすごく簡単にしか理解してませんでした。気を取り直して。
Все жалуюстся на то, что им не хватает времени, но когда у них появилось свободное время, хотя его немного, они не смогут использовать его полезно.
後半は例示でсов。
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相対時制と例示的用法がごっちゃになっているようです。例示的用法では完了体未来形しか使えません。появитсяとしてегоを取れば正解に近くなります。それと否定文よりも肯定文を考えたほうがよいと思います。

Posted by ゴ at 2015年01月13日 22:42

偶発的反復…かな?

(お題)
全ての人は時間がないとぼやくが、ちょっとでも自由な時間ができると、無駄に過ごしてしまう
(コーシカ訳)
Все люди жалуют, что у них нет времени. Но они растратят досуг, когда у них будет хоть бы кратчайшая свобода.

ぼやくのは規則的な反復で不完了体現在
無駄に過ごしてしまうのは、ある条件が整うと必ず起こる(この場合はちょっとでも自由な時間ができる)例示的用法の完了体未来
時間ができるも、例示的な意味で使われていると感じます。
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発想的には正しいと思います。不平を言うはжаловатьсяです。свободаには自由な時間という意味はありません。例示的用法ですから、完了体未来形を続けるべきです。

Posted by コーシカ at 2015年01月13日 23:54

理屈で考えられない私にとって、昨日の問題はお手上げでした。
皆さんの解答、とても勉強になりました。

Все люди жалуются, что у них нет времени. Но когда у них будут хоть немного свободного времени, они тратят его на ерунду.
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偶発的反復(例示的用法)を理解なさっていないようです。

Posted by じぇーにゃ at 2015年01月14日 00:25

Все жалуются на то, что нет времени, но как только появится хоть немного (сколько-нибудь) свободного времени, напрасно его проведут.
例示的用法
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正解と言っていいのですが、惜しいですね。偶発的反復(例示的用法)ですから、不定人称文ではなく、普遍人称文を使うべきです。偶発的反復については、ご理解されたようで、あと普遍人称文を使いこなせるようになると、ロシア人の使うロシア語に近くなります。

Posted by チジクピジク at 2015年01月14日 06:10
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