2014年12月12日

●和文露訳指南第122回

ロシア語の辞書は重い。アカデミー版の露露辞典は1冊あたりA4よりちょっと小さめで厚みは5センチ、重さも2~3キロはあるだろう。これまでに出た22冊を机の目の前にずらーっと並べている。坂口安吾に『勉強記』という30頁ほどの短編があるが、主人公は印度哲学科で梵語を学んでいて、その辞書たるや露露辞典の比ではないようだ。これを読むと、26歳の時にロシア語原文でゴーゴリの『検察官』を読み始めた頃、1ページで30回も辞書を引くのにうんざりしたことを思い出す。さすがに10ページも読まずにあきらめた。本格的にロシア語でロシア文学を読みだしたのは39歳のときの『ドクトルジヴァーゴ』だから、この後遺症はずいぶん続いたことになる。最初にロシア語で読むのはチェーホフの初期短編など、もっと短いものにすべきだったと思ったが後の祭りだった。1ページに辞書を引く限界は、個人的経験から言うと10回であり、それを超えるなら、まだその本は手に負えないということになる。自分の体験から言って、子供向けの本から始めた方が長続きするし、読解力もついて行く。何を読んでいるか誰に言うわけでもないのだから、児童向けのノーソフНосовの『もの知らず』Незнайкаシリーズなどは手ごろだろう。

出題)「彼は彼女が着替えをしている最中に(部屋に)入ってきた」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2014年12月12日 05:47
コメント

Он вошел (в комнату), когда она переодевалась.
よろしくお願いします。
------------------------
正解です。私の答えは、Он вошёл, когда она переодевалась.

Posted by 智 at 2014年12月12日 07:52

Он вошел в комнату
в самом разгаре ее
переодевания платья.
-------------------------------
直訳されたわけですね。動作に動きが感じられず、会話では使えないと思います。

Posted by ブーチャン at 2014年12月12日 09:11

Пока она переодевалась, он вошёл (в комнату).
переодевалась : 過去の過程(不完了体動詞過去形)
вошёл : アオリスト的用法(完了体動詞過去形)
-------------------------
体の用法は正確ですが、お答えだと、彼女が着替えている間に、どこか別の部屋に彼は入ったという解釈になります。動作の合致(ある動作を背景にしての別の動作の発生)<研究社露和のкогдаのⅡcにある用語>にはкогдаを使います。

Posted by チジクピジク at 2014年12月12日 17:39

Он вошёл в комнату в тот момент, когда она сменяла платье.
Он вошёл в комнату, пока она не кончила переодеваться.
незнайкаで見たら...これ、パルナスですよね!
------------------------------------------------
最初のは、сменять = переменятьで同じようなものに替えるということで、彼女が自分で着替えしているとはなりません。たんにワンピースを替えている(例えばショーウィンドウの)にすぎません。二つ目は彼女が着替えが終わるまでに彼は入室したですから、最中とは違うと思います。両方をうまくミックスすると正解です。構文的にも体の用法も正解ですから、特に気にすることはないでしょう。上級者のいわゆる考えすぎということです。
 私は北海道の函館生まれで、高校卒業後は東京ですから、パルナス製菓というのがあるのは初めて知りました。そのマスコットキャラクターがНезнайкаを模したものであったとは!どうも関西圏だけのようです。Век живи, век учись!です。どうもありがとうございます。

Posted by ゴ at 2014年12月12日 23:30

今日はオフ会ですね。今後に繋がる顔合わせになりますように。

(お題)
彼は彼女が着替えをしている最中に(部屋に)入ってきた
(コーシカ訳)
Она переодевала, когда он вошел (в комнату).

着替えは過去の過程で不完了体過去、
入ってきたのは過去の具体的1回の動作で完了体過去です。
2-1-4の例文を参考にしました。

この半年で少しは読んだせいか、最近は読むのが楽しく(いや、以前ほどは苦にならなく)なってきました。もう少し粘って、露和の助けなしでも露露を使える所まで持って行きたいです。
------------------------------------
переодеватьは着替えさせるという他動詞であって、着替えるはпереодеватьсяです。体の用法は正解ですから、特に気にすることはないと思います。2-1-4項の例文は、Я писал письмо, когда он вошёл.(彼が入ってきたときには私は手紙を書いていた)であり、出題はそうはなっていませんが、中味は同じような気もします。
 私はロシア語の勉強というのは露文解釈に始まり、露文解釈に終わると思いますし、ロシア・ソ連文学は世界に誇る知の文化遺産だと思います。せっかくロシア語に携わるのであれば、その精神世界に足を踏み入れず、知らずに終わるというのは、宝の山の入り口で引き返すような、まことにもったいない話です。ロシア語文学(哲学なども含めて)は幅広いものであり、この好みは人によって違いますが、いろいろな本を読むことによって、自分の知的枠組みを広げる手助けになると確信していますし、それには歳は関係ありません。個人的にはボケ防止に役立つと思いたい。文学のみならず、ロシア語はネットでも使用頻度では英語、中国語に次ぐ第三の言語(その後はポーランド語という説もあります)で、以下にロシア人が活字に淫しているかが分かります。文学だけでなく、いろいろな知識を得る上でロシア語の読解力は大きな武器となりますし、何か新しい生きがいを見つける手助けにもなると確信しています。本をニュアンスを含めて精読(体の使い分けを活用して)していけば、作者が伝えたいことが明確に分かるようになりますし、それは読む方にとってもより深く昧読できることにもなります。ドストエーフスキーのカラマーゾフの兄弟も、哲学小説というよりは、先入観を持たずに読めば、犯人探しの推理小説ですし、普通の推理小説と違って、登場人物の性格描写の多様さにも圧倒され、割りに読みやすいと思います。トルストイ、チェーホフの代表作も含め、第41回本文で挙げた作品リストが参考になると思います。読書する人が日本でも減っている昨今、読書の味わいを日本語のみならずロシア語でも昧読できるよう、さらなる飛躍を祈っています。

Posted by コーシカ at 2014年12月12日 23:37

Он вошёл в комнату, как раз она переодевалась.
-----------------------------
как разは接続詞としては使いません。тотчас, мигомという意味では廃語です。現代語で使われる用法は、именно, вполне возможно, впору (в самый раз, подходитという意味では服や靴が似合っているという意味)がありますが、接続詞ではありません。普通にкогдаを使ったらよいと思います。
手紙の末尾にあるようなЖду вашего ответаは状態の動詞と申し上げましたが、それは同じ意味をВ ожидании вашего ответаでも示すことができるということにあります。ただ『和文露訳指南』4-1-2-6項にもあるように、予想を示す動詞でもあるとも言えます。
 お勧めの文学については第41回本文を参照願います。この中で、Довлатов, Искандер, Жванецкий, Каверин, Пастернак, Севера, Шаламов, Шмелевなどは読みやすいと思います。

Posted by じぇーにゃ at 2014年12月13日 01:33

Он вошёл в комнату,пока она меняла одкжду.
入ってきたは結果の現存でсв、着替えをしてはそれに先行する動作なのでнвとしました。よろしくお願いします。
--------------------------------
одеждуのタイプミスがあります。お答えは彼女が服を替えていた(自分の着替えをしていたという意味ではなく)間に、彼は入室したということで、動作の合致にはなりません。покаはある期間のいつかですが、когдаは主文の動作と、動作が合致した一瞬という意味を示すことができます。

Posted by やま at 2014年12月13日 04:59
コメントしてください