2015年04月12日
●和文露訳指南第225回
『分析哲学入門』(青山拓央、ちくま文庫、2015年)を読んだ。分析哲学にはそれほど興味がないが、「どの可能世界もその世界から見れば「現実」であり、唯一本当に実在する現実世界などない」とか、「私以外のどの人物もその人物から見れば「私」であり、ここ以外のどの場所も、その場所から見れば「ここ」である」とか、また名指しと必然性などはロシア語の学習にとってもためになると思う。特に末尾の「時間について」において、無時制的表現(思考)ということで、今は状況に依存する表現であり、今は存在しないというのは、時間が過去から現在、未来へ一方通行的に流れるという事を否定しているわけで、これは大いに考えされられた。私見だが、今「昨日友人と会い、明日会社に行く」と思っているというのは、あたかも過去にそういう事実があり、未来においてもそういう動作を予定しているということに依存しているようだが、この今は連続せずに、単独で存在していると考えるべきだという風に理解した。ただロシア語の時制は基本的には過去から現在へ、未来へと一方向的に移行し、過去や現在を変えたらと想定するのが仮定法であると考えれば、秩序ある無時制と表現できるのかもしれない。
出題)「僕の帽子だれか見なかった?」をロシア語にせよ。
Кто-то не видел
мою шапку ?
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体の用法は正確ですが、кто-тоなら、だれかが帽子を見たという意識があることになります。動作の有無の確認ですから、кто-нибудьとすべきです。私の答えは、Кто видел мою шляпу?
口語でкто = кто-нибудьです。
Кто-нибудь не увидел мою шапку?
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見たか、見なかったかという動作の有無の確認ですから、不完了体過去形が来ないとおかしいことになります。
Кто-нибуть не увидит мою шлапу?
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お答えは完了体未来形ですから、これから帽子を見るのかとなり、
間違いです。
Кто-нибудь не смотрел мою кепку?
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体の用法は正確ですが、смотретьとвидетьの違いは分かっていません。『和文露訳指南』10-8項参照ください。それとкепкаは鳥打帽であって、それを理解されているならよいのですが。
Кто-нибудь не видел мою шапку?
よろしくお願いします。
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正解です。
Кто-нибудь мою шапку видел?
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正解です。
Кто-нибудь увидел мою шапку?
最初はвиделかとも思いましたが、そうすると「およそ今までに私の帽子というものを見たことがあるか」という意味になるように思い、具体的な事実ということでсвとしました。よろしくお願いします。
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これは動作の有無の確認ですから、不完了体過去形を用いるべきです。
(お題)
僕の帽子だれか見なかった
(コーシカ訳)
Видел ли кто-нибудь мою шляпу?
行為の有無を尋ねる不完了体過去です。
さて、正解は
ктоにそんな使い方があるのですね。
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正解です。
Кто-нибудь не видел мою кепку?
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正解です。