2014年08月04日
●『和文露訳指南』(上下2巻)
このたび電子書籍として『和文露訳指南』(上下2巻)Dlmarketより各巻1,080円(税込)で上梓した。すぐに製本版(電子書籍との抱き合わせで、製本版だけでは購入できないとのこと)予価各巻(2,800円)も出す予定だが、今問合わせ中であり、一応自分で手に入れてから連絡する。
『三訂和文露訳入門』は元々自分の手引き用として書いたものである。体の使い分けを例文で確認するときに、まとめて書いたものあれば便利だと考えたからである。ただ個人用となると、だらけて書きそうなので、正式に本として出せば、間違いは許されないし、結局は自分のためになると考えたわけである。引き受けてくれそうな出版社も見あたらず電子書籍という形でしか出せなかったので、閲覧用にスマホでも買おうかとも思ったが、画面が小さすぎて読みにくそうだ。やはり個人的には紙の本の方が見やすいということは言える。個人レッスンを始めてから手元にそういう手引きがあった方が教えるのに便利だなと考えるようになった。しかし電子書籍から単にコピーを取って自分で製本するというのも面倒である。そこで最近電子書籍の販売元であるDLmarketでも電子書籍を紙で売るサービスを始めたと聞いたので、四訂版を『和文露訳指南』という形で電子書籍、紙の本と二つの形式で出版することにした。電子書籍の売り上げを見てもまったく売れる本ではないので、まったく私の個人的な利用のためのものである。ところがDlmarketによるとページ数が多すぎて1冊では製本できないという。そこでやむなく上下2巻とした。電子書籍版と電子書籍版 + 製本版の販売で、製本版だけの販売は今のところやっていないとのことである。製本版だけにしたとしても価格は電子書籍版 + 製本版と変わらず、要は電子書籍がおまけについてくるという考え方らしい。
『三訂和文露訳入門』を出してから、変更、追加なども入れると60ぺージぐらい増えて、原稿の段階で総ページが530ページになった。ある程度否定の用法についても目処がたったし、第300回から第524回までの変更分や追加文が『和文露訳指南』の方に反映されている。これまでの変更や追加については、このコーナーの第300回以降の本文などに記載してきたが、細かい訂正などもあり、小間切れで学習者にしても読むのが大変だろうと思う。まとめて整理された形で読みたいという人にはよいかもしれない。興味のある方は御注文を。いくらなんでも私が書く和文露訳関係の本はこれで最後だろう。
目 次
はじめに 15頁
<本書の特長と使い方> 22頁
<体の使い分けの簡単な目安16ヶ条> 27頁
第1章 動詞の体(アスペクト)の本質と規範 30頁
第2章 過去の時制
2-1 過去の時制における不完了体の用法 47頁
2-1-1 過去の出来事や動作の有無の確認 → 不完了体動詞過去形
2-1-1-1 過去の時制における動作の有無の確認とは何か?
2-1-1-2 動作の有無の確認の用法の種類
2-1-2 述語に文の焦点が来ない場合 → 不完了体動詞過去形
2-1-2-1 述語に文の焦点が来ない場合とは何か?
2-1-2-2 動作の否定(否定文一般) 55頁
2-1-3 動作の往復
2-1-3-1 動作の往復の動詞群
2-1-4 過去の過程(進行形) → 不完了体動詞過去形
2-1-5 慣用 → 不完体動詞過去形
2-1-6 反復 → 不完了体動詞過去形
2-1-6-1 みなし反復(見立て反復) 68頁
2-1-7 大過去(過去完了の継続) → 不完了体動詞過去形
2-1-8 歴史的現在 → 不完了体動詞現在形 73頁
2-1-8-1 歴史的現在とアオリスト的用法の関係
2-1-8-2 動作の順次性
2-1-8-3 歴史的現在と完了体動詞未来形
2-1-8-4 劇的現在
2-1-8-5 動詞を使わない歴史的現在
2-1-8-6 日本語の歴史的現在との違い
2-1-8-7 記録の現在
2-1-8-8 歴史的現在とアオリスト的用法の違い
2-1-8-9 歴史的現在が使えない動詞や場合
2-1-8-10 結果存続の無効 90頁
2-1-9 意志の欠如 → не стал(а,о, и) + 不完了体動詞
2-1-10 過去の予定 → 不完了体動詞過去形
2-1-11 過去の経験 → 不完了体動詞過去形
2-1-12 動作の同時性
2-2 過去の時制における完了体の用法
2-2-1 アオリスト的用法 → 完了体動詞過去形 95頁
2-2-1-1 アオリスト的用法とは何か?
2-2-1-2 アオリスト的用法と結果の存続の違い
2-2-1-3 創作者としての資格 → 完了体動詞過去形
2-2-1-4 順次的用法 → 完了体動詞過去形 104頁
2-2-1-5 動作の一括化 → 完了体動詞過去形
2-2-1-6 否定の強調
2-2-2 結果の達成への期待 → 完了体動詞過去形(疑問文・否定文)
2-2-3 いったん開始された行為の中断、中止 → 小詞было + 完了体動詞過去形
2-2-4 結果の評価 → 完了体動詞過去形 113頁
2-2-5 回想・過去の偶発的反復動作(~したものだ) → 小詞бывало + 完了体動詞未来形(不完了体動詞過去形、不完了体動詞現在形〔歴史的現在〕)
2-2-6 疑問詞 + 主語 + 完了体動詞過去形
2-2-7 完了体が使える継続
第3章 現在の時制
3-1 現在の時制における不完了体の用法
3-1-1 過程 → 不完了体動詞現在形 122頁
3-1-1-1 過程の意味
3-1-1-2 過程を示すことができない動詞群
3-1-1-3 過程の意味における日本語との表記の違い
3-1-1-4 ся動詞による非情の受け身と過程の用法 127頁
3-1-1-5 その他の過程の用法
3-1-2 反復・習慣・慣用 → 不完了体動詞現在形
3-1-2-1 反復・習慣と不完了体
3-1-2-2 過程を示せず、反復のみを示す動詞
3-1-3 過去から現在及び未来に至る継続ないしは反復
3-1-3-1 過去から現在に至る継続 and/or 反復 → 不完了体動詞現在形 132頁
3-1-3-2 過去から現在に至る動作の未遂行 → 不完了体動詞現在形
3-1-3-3 動詞を使わない用法
3-1-3-4 про-の接頭辞を持つ完了体動詞過去形
3-1-3-5 現在から未来への動作 → 完了体動詞過去形、不完了体動詞現在形
3-1-4 遂行動詞 → 不完了体動詞現在形 139頁
3-1-4-1 遂行動詞を分別する理由
3-1-4-2 過程や状態の動詞との違い
3-1-4-3 遂行動詞の種類
3-1-4-4 結果の存続の用法との違い
3-1-4-5 語義による区別の仕方
3-1-4-6 проситьとпопроситьの一人称での使い分け
3-1-4-7 動詞以外の遂行動詞的用法
3-1-4-8 遂行動詞と否定
3-1-4-9 従属節中の遂行動詞
3-1-5 結果存続兼評価型動詞 → 不完了体動詞現在形 161頁
3-1-5-1 結果存続兼評価型動詞とは何か
3-1-5-2 結果存続兼評価型動詞群
3-1-5-3 начинать の現在形の特殊用法
3-1-6 状態の動詞 167頁
3-1-6-1 状態の動詞とは
3-1-6-2 状態の動詞と結果の存続
3-1-7 経験(~したことがある) 173頁
3-1-7-1 経験の用法と不完了体動詞過去形
3-1-7-2 経験の否定
3-1-7-3 事実の有無の確認
3-1-7-4 現在を含む経験
3-1-8 動作の否定 → 不完了体動詞現在形の否定
3-1-9 多回動詞の用法 → 不完了体動詞
3-1-10 真理の提示 → 不完了体動詞現在形
3-1-11 動作の様態 → 不完了体動詞現在形 187頁
3-2 現在の時制における完了体の用法
3-2-1 結果の存続(現存) 189頁
3-2-1-1 結果の存続〔結果の達成と残存〕 → 完了体動詞過去形
3-2-1-2 結果の存続の否定
3-2-1-3 被動形動詞過去短語尾の結果の存続〔現存〕)の用法 → 現在の時制
3-2-1-4 結果の存続とアオリスト的用法の違い
3-2-1-5 сейчас, теперь, только чтоの違い
3-2-1-6 動詞を使わない用法
3-2-2 否定の強調 → 完了体動詞未来形の否定 204頁
3-2-3 不可能 → 完了体動詞未来形の否定
3-2-4 偶発的反復
第4章 未来の時制
4-1 未来の時制における不完了体の用法
4-1-1 単一動作 → 不完了体動詞未来形 213頁
4-1-1-1 未来における動作の有無の確認
4-1-1-2 述語に文の焦点(中心的意味や役割)が来ない場合
4-1-1-3 動作の有無の確認に使える不完了体動詞(動詞の語義による)
4-1-1-4 動作の有無の確認の意味で概ね使えない不完了体動詞
4-1-1-5 運動の動詞と不完了体動詞未来形
4-1-1-6 意識的否定 → 不完了体未来形(не + бытьの未来形(не + статьの未来形) + 不完了体動詞不定形) 224頁
4-1-1-7 両方の体がほぼ同じ意味で使える場合
4-1-1-8 動作の促し(意志)
4-1-1-9 если, когдаと未来の時制
4-1-1-10 完了体動詞未来形、不完了体動詞現在形、不完了体動詞未来形の使い分け
4-1-2 予定の用法 → 不完了体動詞現在形 236頁
4-1-2-1 予定の用法の特性
4-1-2-2 予定の用法が使える動詞
4-1-2-3 近接未来における予定の用法
4-1-2-4 例外的用法
4-1-2-5 現在の時制の動詞бытьと予定の用法
4-1-2-6 予想を示す動詞(無人称動詞)
4-1-3 意向 → 不完了体動詞現在形 + 動詞の不定形 246頁
4-1-3-1 「~するつもりです、~します」の内訳
4-1-3-2 意向の動詞の使い分け
4-1-3-3 願望の意味の動詞群
4-1-4 未来の反復 → 不完了体動詞未来形
4-1-5 呼応的用法 → 不完了体動詞現在形
4-1-6 未来の時制の不定人称文
4-2 未来の時制における完了体の用法
4-2-1 完遂的用法 → 完了体動詞未来形 256頁
4-2-1-1 完遂的用法が用いられる動詞
4-2-1-2 完遂的用法と疑問詞
4-2-1-3 完遂的用法の特徴
4-2-1-4 完遂的用法と否定
4-2-2 順次的用法 → 完了体動詞未来形
4-2-3 例示的用法 → 完了体動詞未来形 263頁
4-2-4 未来の時制における往復(行って来る)
4-2-5 未来の時制における被動形動詞過去短語尾 268頁
4-2-5-1 未来の時制における被動形動詞過去短語尾の用法
4-2-5-2 ся動詞の不完了体動詞未来形の用法
4-2-5-3 補足事項の説明や挿入
4-2-6 接続詞抜きでの条件法や仮定法への転用 → 完了体動詞未来形
4-2-7 譲歩
(下巻の目次)
第5章 命令法
5-1 命令法における不完了体の用法
5-1-1 促し(着手、切迫感、焦燥感) → 不完了体動詞命令形
5-1-2 勧誘 → 不完了体動詞命令形
5-1-3 動作の様態 → 不完了体動詞命令形
5-1-4 禁止 → 否定詞 + 不完了体動詞命令形
5-1-5 反語的用法
5-1-6 反復
5-1-7 感情的ニュアンス(願い事、説得、主張、反抗的態度、脅し)
5-1-8 過程
5-2 命令法における完了体の用法
5-2-1 要請 → 完了体動詞命令形
5-2-2 例示的意味 → 完了体動詞命令形
5-2-3 丁寧な依頼 → 完了体動詞未来形の否定疑問形
5-2-4 警告・危惧(うっかり~しないで) → 否定詞 + 完了体動詞命令形
5-2-5 同じような状況で使える完了体・不完了体の用法の違い
5-2-6 被動形動詞過去短語尾を使って命令の意味を示す用法
5-2-7 憤激と反抗のニュアンス
5-2-8 条件法的・仮定法的用法
5-2-9 間接話法
5-2-10 完了体動詞未来形による命令法
第6章 不定法
6-1 不定法における不完了体の用法
6-1-1 切迫感(促し) → 不完了体動詞不定形
6-1-2 不必要 → 不完了体動詞不定形
6-1-3 動作の持続性 → 不完了体動詞不定形
6-1-3-1 пробовать, пытаться, стремиться, стараться
6-1-4 動作の開始(促し)・継続・終了
6-1-5 禁止および不許可 → 不完了体動詞不定形
6-1-6 動作の有無の確認 → 不完了体動詞不定形
6-1-7 命令 → 不完了体動詞不定形
6-1-8 嫌気(やめたい)・不適切
6-1-9 愛好
6-1-10 反復
6-2 不定法における完了体の用法
6-2-1 目的(具体的な1回の動作の実現) → 完了体動詞不定形
6-2-1-1 долженの用法(義務)
6-2-2 「~しましょうか?」構文 → 完了体動詞不定形
6-2-3 必要性 → 完了体動詞不定形
6-2-4 命令 → 完了体動詞不定形
6-2-5 不可能
6-2-5-1 → не + 完了体動詞不定形
6-2-5-2 не мочь/не смочь, нельзяの用法
6-2-6 例示的用法 → 完了体動詞不定形
6-2-6-1 完了体動詞不定形を好む動詞・名詞などとの組み合わせ
6-2-6-2 例示的意味の不定形を取る熟語
6-2-6-3 遺憾・不本意 → не + хотеть + 完了体動詞不定形
6-2-7 不可避・必然
6-2-8 疑問詞 + 完了体動詞不定形(不完了体動詞不定形)
第7章 特異な体のペア
7-1 時制に関係なく完了体動詞と不完了体動詞で意味の異なる動詞群(писать/написатьグループ)
7-1-1 志向
7-1-2 志向の動詞と否定
7-2 不完了体動詞の使用頻度が高い動詞群(звонить/позвонитьグループ)
7-3 状態「~である」(不完了体)と状態の発生時点「~となる」(完了体)を示す動詞群(казаться/показатьсяのグループ)
7-4 体の対立
7-5 完了体・不完了体が同形の動詞
7-6 –ну-動詞
第8章 会話に役立つ動詞の用法
8-1 動詞бытьの用法
8-1-1 「到着する」という意味の用法
8-1-1-1 否定(行かない)
8-1-2 軍隊で上官に対する敬語(Есть + 不定形)
8-1-3 есть + 疑問詞 + 完了体動詞不定形(~できるもの〔こと〕がある)
8-1-4 будетの特殊用法
8-1-5 бытьの不定形無人称文
8-2 定動詞と不定動詞の特殊用法
8-2-1 反復の意味の定動詞
8-2-2 過程や予定を示す不定動詞
8-2-3 能力を示す不定動詞
8-2-4 定動詞と不定動詞における否定の用法の違い
8-2-5 運動の動詞 + 完了体動詞未来形(命令形)
8-3 複合動詞
8-4 「意見」と「知識」に関する動詞群の使い分け
8-5 接頭辞за-のつく動詞で場所を補語に取る他動詞群
8-6 хотетьとхотеться
8-7 敬語
8-8 エネルギッシュ型動詞
8-9 可能の意味が内在する動詞群
8-9-1 可能・不可能の意味のся動詞
8-9-2 自発的可能性のся動詞(無人称動詞)
8-10 形動詞
8-10-1 被動形動詞現在
8-10-2 能動形動詞過去
8-10-3 名詞化した能動形動詞現在と被動形動詞現在
8-11 副動詞
8-12 対格補語とо + 前置格の違い
8-13 「~しましょう」構文
第9章 その他統語論関係
9-1 時制の転用
9-1-1 「出発進行」
9-1-2 抽象的現在
9-1-3 想像中の動作の現在
9-2 相対時制
9-2-1 時制の一致
9-2-2 相対時制
9-2-3 確述(確言)
9-3 無人称文
9-4 受動態と不定人称文
9-4-1 受動態
9-4-2 不定人称文
9-5 迷惑(被害)の受け身
9-6 人称の転用
9-6-1 多くの人への命令 ты = вы
9-6-2 皇帝のмы
9-6-3 著者のмы
9-6-4 医者のмы
9-7 強調構文
9-8 構文「とても~ので~する」他
9-8-1 「とても~ので~である」というтак + 形容詞, чтоの構文
9-8-2 「~するほど~するものない」не так + 副詞, какという構文
9-8-3 「~しすぎて~ない」слишком (чересчур) + 形容詞(動詞、副詞), чтобы + быть、ないしは不完了体動詞不定形という構文
9-9 関係代名詞что
9-9-1 関係代名詞что
9-9-2 前の文全体を受ける関係代名詞что
9-10 主題の提示
9-10-1 テーマとレーマ、はが構文
9-10-2 ウナギ文
9-11 能動受動態
9-12 使役(~〔さ〕せる)
9-12-1 пустьの用法
9-12-2 可能性(許可)としての使役
9-12-3 「~を~にする」
9-12-4 恩恵の授受
9-12-5 使役受け身(~させられる)
9-13 繋辞(連辞)
第10章 会話に役立つ形容詞、副詞、数詞、接続詞、前置詞など
10-1 性質形容詞の特殊用法
10-2 複合状況語
10-3 単数と複数
10-3-1 単数と複数
10-3-2 「ありますか?」構文
10-3-3 「よくありますか?」構文
10-3-4 単数と複数の使い分け
10-3-5 否定における単数と複数
10-4 形容詞の最上級
10-5 助数詞(助数辞)
10-5-1 助数詞の種類
10-5-2 「種類」の類語
10-6 述語生格
10-6-1 生格の述語的用法
10-6-2 изの述語用法
10-7 持ち主の受け身(全体を示す与格)
10-8 知覚動詞と接続詞что/как
10-9 理由を示す前置詞、前置詞句
10-10 「~のために」の使い分け
10-11 並列接続におけるиの有無
10-12 指示代名詞
10-12-1 日本語の指示代名詞との違い
10-12-2 どれ、どちらか、どちらも
10-13 –тоと-нибудьの使い分け
10-14 чтобыの用法
10-15 時間的前後を示す表現
10-15-1 時間的前後を示す前置詞
10-15-2 位置と時間の前後
10-16 コロンとダッシュ(接続詞を使わない複文)
10-17 状況語の語順
10-18 動詞や名詞の補語としての先行詞тоの用法
10-19 疑問詞
10-20 否定生格
10-20-1 否定生格動詞
10-21 二重否定
あとがきに代えて
参考文献