2014年06月26日
●続和文解釈入門第490回
否定生格動詞は存在動詞бытийные (экзистенцильные) глаголыと知覚動詞глаголы воспрятияに分けられる。存在動詞は人や物が存在するかどうかということに関係し、知覚動詞は実際にものが存在かどうかというよりは、目や耳、鼻など知覚において感じられるかどうかに関係する。分かりやすく言えば、その場で見えないものが必ずしも存在する・しないとは言えないということである。否定文において、存在動詞の主語は否定生格を取るが、知覚動詞の場合は無の意味が強く出れば否定生格が、位置のニュアンスが強く出れば主格が出ることになる。これはиметь место起こる, исчезнуть消える, находиться(位置に)ある, начаться始まる, присутствовать出席する, потерпеть аварию事故に遭う, размещаться配置される, располагаться配置される, участововать参加する、のような所在動詞(存在というよりは位置を示す動詞)は、否定文でも主格しか来ないということからも分かる。
(特段の問題は起きていない〔起きない〕)Не возникло (возинкает) особых проблем. <存在動詞なので否定文で主格は来ない>
Я пошёл в киоск за газетами.(私はキオスクに新聞を買いに行った)という文章の後に、「新聞は来ていない」という意味の否定文としては、поступать/поступитьが知覚動詞のため二つの文が考えられる。
Газеты не поступили. <その新聞はどこかにあるのだが、届いていない>
Газет не поступило. <1部も届いていない、どこかにあるかというよりは、とにかくない>
出題)「フリーメーソンであることが流行りになったと言ってよい」をロシア語にせよ。
Можно сказать, что
масонство стало
популярным.
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масонство は18世紀に英国に起こった宗教的運動、フリーメーソンの見解、主張、立場ということで、フリーメーソンになるという意味はありませんが、立場は、フリーメーソンであることですから正解です。私の答えは、Можно сказать, что быть масоном стало модным. <「フリーメーソンになることが」とも解釈できる>
Можно сказать, что вступление в масонство стало модным.
最初の動詞は新規の事柄でсв、後の動詞は結果の現存でсвとしました。よろしくお願いします。
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正解です。
Можно было бы сказать, что стало модно участие в масонстве.
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стать + 副詞になるのは無人称文のときですから、стало моднымとすべきです。Мне стало страшно.(僕は怖くなった)
(お題)
フリーメーソンであることが流行りになったと言ってよい
(コーシカ訳)
1) Можно сказать, что масонское членство стало модным.
2) Можно сказать, что быть масоном модно.
1) сказатьはможноという叙想語の後であること
繰り返したり長期に亘ったりする動作ではないことから完了体、
сталоは結果の現存の完了体過去です。
2) は「フリーメーソンであることが流行りであると言える」で出題と時制がずれていますね。
то, чтоなしの不定形だけで主語になれたかどうかが自分の中で微妙なので
確認のための投稿です。
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正解です。この場合чтоは接続詞なので、тоは不要です。詳しくは『三訂和文露訳入門』10-18項を参照ください。
Можно сказать, что членство в масонских ложах стало модой.
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正解です。
10-18項を確認しました。
自動詞、他動詞の見分けが必要になると感じました。
英語なら辞書の見出しに自動詞か他動詞かが書かれていますが、ロシア語はさにあらず。
さて、見分け方はないもんか
…と考えてみますと、思いつきました。
動詞を辞書で引いて
・格支配が明記されていれば他動詞
・なければ自動詞
他動詞であれば先行詞тоが来る可能性があるので
10-18項およびその他の資料にて裏を取る。確認項目は:
・то省略の可否
・省略か明記のどちらの通用度が高いか(誤読される恐れが少ないか)
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アカデミー版露露には動詞にはперех.(他動詞)のように書いてありますし、研究社露和辞典でも動詞の補語のところにкого-чтоと書いてあるので、分かるはずです。ただтоの有無は発話や感情に関わる動詞であり、節が取れる動詞となりますから、研究対象にするのなら別ですが、あまり気にすることはないと思います。接続詞なら取らない、関係代名詞なら取るという原則があり、取る場合でも省略する場合も結構あります。