2014年06月16日
●続和文解釈入門第480回
ロシア語で会話するときに、つまり会話で和文露訳をするときに必要なのは語彙であることは確かだが、全ての語彙を頭に入れておくのは無理である。覚えているのはせいぜい日常会話の語彙と、自分に関係のある(仕事で使う)か、興味がある語彙であろう。それに語彙だけ並べてもまともなロシア語の文ができるはずもない。文を作るに際して重要なのは文法を除けば、動詞である。動詞の活用は覚えられるが、動詞の体(アスペクト)の使い分けが難しい。それは日本語とロシア語では言語系統が全然別だということと、それに伴って両言語において時制や法(命令法や不定法)が必ずしも一致しないからだとも考えられる。つまり動詞が文の骨格で、その動詞の体が筋肉に相当すると言える。動詞の体がないと動詞を使いこなせないわけだ。そこでロシア語会話上達のため、この35年間ロシア語の動詞の体について研究してきたわけである。
出題)「ご注文はお決まりですか?」をロシア語にせよ。
Вы решили что
заказать ?
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正解です。私の答えは、Вы решили, что будете брать?
この他に、Можно вязть у вас заказ?(ご注文をうかがってもよろしいですか?)
Взяли заказ?(ご注文はお済ですか?)でもよい。
Что будете заказывать?
状況としては「店員が客に尋ねている」のだと思うのですが、うまい露訳が思いつきませんでした。
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「ご注文は何になさいますか?」ということで正解です。
Уже решили, что будете брать?
すぐ注文するからбытьと несов。
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正解ですが、ужеは取るべきです。日本語の「もう」に当たる言葉でしょうが、強い響きがあるように感じますから、注文するのをせっつくような感じがしないでもありません。ソ連時代はともかく資本主義の国であれば、使わないような気がします。最もソ連なら、注文を聞きに来ること自体が稀なことで、こちらからボーイさんを呼び寄せたりしたものです。
すぐ注文するから不完了体という説明はおかしいでしょう。このбудетеは未来を示す連時(繋辞)であり、助動詞ですから、動詞ではないので、不完了体ではありません。文脈に沿った動作だから不完了体未来形が来ているわけです。
Вы решили, что заказать?
заказыватьだと反復を含意すると思い、消去法で完了体にしました。
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正解です。具体的な1回の行為を示すという意味で、疑問詞の後は完了体が来る場合が多いということになります。意味的には「何を注文すべきか」という義務の観念が出てきているから完了体とも言えます。一方что будете брать (заказывать)?の場合は、文脈に沿った場依存型の不完了体未来形の用法ですから、注文してもしなくてもよいという、相手に任せるというニュアンスが出て、商人的文体(レストランなどのサービスでよく用いられるхотетьの代わりのжелатьなど)の感じがします。