2014年06月05日
●続和文解釈入門第469回
出題を露訳するときには完全にそれだけで成り立つ独立した文と考えるべきではない。つまり壁に向かっての独り言という設定ではないので、自分でこういう文がよく使われるだろう場合を想定して回答すべきである。前回の出題「想像なさるのはご自由です」は、想像する内容についても、回数についても何も言っていないし、相手が勝手に何かを想像するという前提で話している。また内容が不定であり、回数もゼロではなく反復である。また想像するという動作もある程度時間的経過を示すということから不完了体の使用が自然である。この出題を露訳するときにその前の状況を自分なりに補ってみるとよい。例えば、マスコミがある企業家に「プロジェクトAに出資されるのですか?」と問うて、出題のような回答がなされたとして、その企業家にそのプロジェクトの覚えがあるとすれば、そのプロジェクトは具体的なものではあるが公表したくないということで、ノーコメントに近い回答をしたことになる。そうであれば、具体的なプロジェクトが頭にあっても、口では漠然としたものいいをしたことになる。つまり政治家のように、腹に思うことと口に出す事が違うということもあり、そういう前提で露訳をしなければならないこともあるわけである。完了体の本質は具体性であるように、不完了体の本質は任意性であるが、それは心中どう思うかではなく、あくまでも発話に関するものと言える。
出題)「我々は晴れ着を脱ぎ、より簡素な普段着に着替えた」をロシア語にせよ。
Мы сняли праздничную одежду и переоделись в более простую повседневную.
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正解です。私の答えは、
Я снял праздное платье и переоделся в более простую одежду.
Я переоделся из праздного платья в более простую одежду.
Мы сняли с себя
нарядное платье и
переоделись в
более простое
будничное платье.
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платьеが重ねて出てくるのはどうかなという気はしますが、正解です。
Сняв праздниную одежду и мы надели простую повседневную.
順次的用法と考え、СВにしました。晴れ着より普段着が簡素なのは当然と考え、「より」の部分は訳しませんでしたが、どうでしょうか。よろしくお願いします。
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普段着が晴れ着より簡素なのは確かですが、晴れ着と普段着の中間とか、人によっては晴れ着が普段着と言う人もいますから、比較級を使ったほうが出題の趣旨には沿っているかと思います。