2014年05月14日

●続和文解釈入門第448回

『数学受験術指南』(森毅、中公文庫、2012年)には「自分がよく分からないとき、他人に教えると、よく分かるようになる」とか、「人間は、他人に説明しようと思うと、自分の方でも、よく分かってくるものである」とか、「人に教えてやれば、じぶんが賢くなれるのだ」とある。これはこのコーナーにおける私のことでもある。誤解をしてもらいたくないが、このコーナーを始めたのは、あくまでも自分のロシア語をよくしたいということであり、投稿者や閲覧者のロシア語が上達するとかどうかというのは埒外のことである。上達してもらうのに越したことことはないが、上達するかどうかは個人の努力次第であろう。私の経験が役に立てば結構というぐらいである。投稿者の回答に対するコメントもあくまでも自分のためであり、人に分かるように説明できないければ、真に自分が理解したとは言えないと考えているからである。同書に「文章表現を試みると、自分の分かっているところも、分かっていないところもはっきりとしてくる」とあるのも、同感である。投稿者によっては、回答になぜ不完了体(あるいは完了体)を用いたのか、細かく書いてくる人がいるが、こういう人は伸びると思う。基本的にこのコーナーで人にロシア語を教えているつもりはないので、投稿者の回答の正否はともかく、回答のしかたについてどうのこうの言ったことはないが、ただ回答の露文を書くよりは、どういうつもりで設問を解釈し、その結果、このような体、あるいは単数(複数)を用いたのかを書けば、それば私への説明というよりも、自分のロシア語の文法に対する理解が整理され、それが次のステップに進む大きなきっかけになると思う。

 ロシア語会話の上達をロシア人のように感覚的に使えるようにすることであると考える人が多いと思うが、それは5歳や6歳の子供ならともかく、いい大人がする勉強法としては間違いだと思う。なぜなら子どもと違い、大人は脳が出来上がってしまっているからである。大人になってからの語学の上達法は、理詰めに考え、丸暗記することは最小限にすべきである。丸暗記というのは機械的作業であり、面白くもないから、勉強が続かない。世の中に丸暗記を屁とも思わない人がおり、プロの語学の達人の条件かもしれないが、それは学問ではない。数や体の使い分けなど理屈(文法)を母国語の日本語で考えることで上達し、それが大人の(まともな人間としての)学問である。そうでないと体の用法の真髄を理解した時の心の震えというか、おののきを体験できないことになり、ロシア語を勉強してきた甲斐がないと思う。

出題)「しばしば納品待ちが何カ月にも及んだ」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2014年05月14日 07:30
コメント

(1) Нам часто
приходилось подождать поставки
товаров даже на
несколько месяцев.

(2) Задержка поставок
товаров часто
распространялась
на несколько месяцев.
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(1)のподождатьは少し待つですから、待つ全体をカバーできるとは思えません。(2)のраспростарнятьсяは場所に及ぶということであり、時間に及ぶならпростиратьсяかзахватыватьсяを使うべきだと思います。それとзадержкаの後に生格を続けるのは、日本語の「の」を続ける感じですから、задержка с поставкой товаровとかзадержка в поставке товаровという工夫をした方がいいかもしれません。私の答えは、Ожидание поставок иногда растягивалось на месяцы.

Posted by ブーチャン at 2014年05月14日 08:04

Бывали задержки поставки товаров в течение несколько месяцев.
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в течение нескольких месяцевであり、お答えは数カ月の間に納品遅延がよくあったということで、出題は遅延の期間が何カ月にもなったということですから違うと思います。

Posted by 石頭 at 2014年05月14日 20:20

Часто мой заказ был задержан, и до выполнения заказа требовало много месяцев.
前半は、納品待ちの結果はもう残っていないのでестьの過去形を入れました。後半の動詞は、過去の反復と考え нвとしました。よろしくお願いします。
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бытьの過去形 + 被動形動詞過去短語尾というのはアオリスト的用法ですから、1回の具体的動作を示します。そのためчастоと一緒に使うならбыватьを使うべきです。それとзаказは注文であって、納品(デリバリー)ではありません。注文が遅れれば納品が遅れるのは当然です。

Posted by yama at 2014年05月14日 21:35

Часто пришлось ждать поставку товаров несколько месяцев.
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частоとともに完了体のпришлосьというのはおかしいと思いますし、数か月と何カ月では意味も違うでしょう。

Posted by ゴ at 2014年05月14日 23:35
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