2014年05月12日

●続和文解釈入門第446回

『オオカミ少女はいなかった』(鈴木光太郎、新曜社、2008年)は副題に心理学の神話をめぐる冒険とあり、我々が当然と思っていた事柄、例えばオオカミ少年や少女はほとんど何の裏付けもない話であるとか、サブリミナル広告(1秒の何分の一かの間にで広告品を買わせるような無意識下での意識操作)は、広告を意識しても買おうと思わないものが無意識下で思うはずがないとか、心理学の胡散臭い部分を我々素人にも分かりやすく書いている良書である。チンパンジーやゴリラとのコミュニケーションで手話を持ちいても実験者効果という予断(先に結論ありき)が影響するというのには驚いた。ただ著者はカードを用いたコミュニュケーションは否定していないわけで、そのコミュニケーションにおいて、叙述よりも命令が用いられるというのは、言語の発生を考える上で面白い。言語はもともと人への説明というよりは、命令の必要性があって生まれたものであろう。

出題)「彼ははっきりとした人生の目標がないことに悩んだ」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2014年05月12日 06:32
コメント

Он мучился над тем,
что он не имел четкой
цели своей жизни.
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第431回のコメントにも書いたような気がしますが、мучиться надで「悩む」という意味はありません。「手を焼く」という意味が研究社の露和にはありますが、その意味では最新のアカデミー版ではс + 造格だけが載っています。それとмучитьсяがчто以下の節がつく複文で用いられたものを見たことはありません。また仮にそういう複文があったとして、英語と違いロシア語には時制の一致はないのですから、人生の目的を持っていたのは、苦しんでいた時点よりも過去の時点(大過去、過去完了)となりますから、違うでしょう。私の答えは、Он страдал от отсутствия ясных жизненных ориентиров.
目標はцелевой ориентирでもよい。установка = руководящее указание(指導方針)も使えるかもしれない。цельだと目的になる。

Posted by ブーチャン at 2014年05月12日 07:45

Он страдал от того, что у него нет ясной цели своей жизни.

過去の一定期間悩んでいたと解して、不完了体にしました。
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正解です。ただ広辞苑では目標は目的を達成するために設けためあてとあります。

Posted by Женя at 2014年05月12日 22:59

Он беспокоился о том, что он ещё не может найти ясную цель в своей жизни.
昨日のは難しいと思いました。まだ整理中です。
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正解です。目標と目的(お答えでは生きがい)の違いはあるでしょうが。
 前回の出題は体の使い分けの肝心なところです。「今後日本はどんな道を歩むのか?」というのは既定の路線ではないか、それが不明ということになり、それが文脈や場に依存しない完了体の用法につながるのです。『三訂和文露訳入門』第1章を一読ください。

Posted by ゴ at 2014年05月12日 23:37

Он беспокоился о том, что у него нет определённого цели жизни.
結果が存続しないと考えНВにしました。
よろしくお願いします。
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正解です。

Posted by yama at 2014年05月13日 06:02

お答えのжизненный はжизненныхのタイプミスでしょうか。
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すみません。当方のタイプミスです。訂正しておきます。

Posted by yama at 2014年05月22日 06:13
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