2014年05月10日
●続和文解釈入門第444回
物忘れというのは、年を取れば誰にでも出てくるもので、ボケの症状である場合もあろうが、多くは年を重ねるにつき覚えていることが増え、検索に時間がかかるだけということだろう。引き出しに品物が5、6個ならすぐ見つけ出せるが、引き出しいっぱいにものが詰まっていたら、あまり使わないものなら探し出すのは一苦労だということと同じである。ロシア語上級者に対しても同じことは言える。覚えている文例や語彙が多すぎて、頭にいくつも浮かぶ。語彙なら類語によっては使い分けが必要だし、動詞の体にしても例文が瞬時にいくつも浮かぶから、どちらの体を使うのか迷ってしまう。つまり検索を早くするためには頭の引き出しの整理が必要なわけである。そういう頭の中のロシア語の語彙の整理のために『三訂和文露訳入門』を書いたのだが、購入された方に少しでもお役に立てたらと願っている。
間違って回答も書いたのを出題してしまったの、別のを出します。
出題)「香りづけにはローレル、何かの青物、あればひき割りを加えるとよい」をロシア語にせよ。
回答付きの出題ですね。
私なりの回答を書こうと思いましたが
止めときます。
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すみません。間違って回答もつけてしまいました。別のと差し替えます。
Добавляют лавр для аромата, какие-нибудь зелень и если есть крупу чего-нибудь.
よろしくお願いします。
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お答えは「(反復して)加えられる」であって、「~するとよい(~することはよい、~すべきだ)」ではありません。条件があるので、例示的用法とすべきです。зеленьは単数です。ароматを含むものに青物やひきわりが入るとは思えませんし、ローレルだけがаромат用となると、文意が通りません。今回は料理用語からの出題。私の答えは、Хорошо для отдушки прибавить лавровго листа, какой-нибудь зелени, а если есть и крупы.
香り付けを匂い消し、匂い取りと考えたわけである。
В качестве
ароматной приправы
рекомендуется
добавлять лавровые
листья, какую-нибудь
зелень и сечку если
есть.
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ароматнойを取れば、それほどおかしいようには見えません。рекомендуетсяの後は動名詞でも不定形でも可能ですし、不定形も完了体、不完了体が可能です。ただ不完了体であれば反復でしょうから、この場合(味付けという条件がついていますから)例示的用法(あるいは具体的な1回の動作)を使うほうが自然だと思います。不完了体の反復というのは、メリハリのない表現法でたいていこうなる(する)という感じです。
Рекомендуем добавить листья лавра, чтобы передать аромат, и зелень, и ещё, если есть дома, крупы.
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ароматはローレルだけに関係し、後の材料はただ加えるだけと取ったようですが、これだと文法的には正しくとも、出題からは外れると思います。крупаには複数形はありますが、いろいろな種類の引き割りということですし、料理ではソバのひき割りを指すのが普通でしょうから単数とした方がよいと思います。