2014年04月28日
●続和文解釈入門第433回
『三訂和文露訳入門』4-1-1-6項を下記のように変更願う。
不完了体動詞未来形の肯定文では、回りの雰囲気や状況から、文脈によっては、「~するつもりである」という意味になることもあるが、そういう風にも理解されることもありうるというのであって、状態の動詞や無接頭辞単純動詞(本源動詞)を除いて、場独立型の、自らの意図を示す動作ということには必ずしもならない。否定文の場合も、不完了体が持つ文脈依存性であることから、今後一切~しないという、これから起こる未来のいつの時点の動作をも全て否定するゆえに、「~するつもりはない」という強い否定の意図が明確に現れるということは言える。またне стоит + 不完了体動詞不定形(意味がない、値しない)の意味に取れる場合もある。一方、否定詞と完了体動詞未来形の組み合わせは、不可能の意味か、ないしは特定かつ不動の一点をイメージしての否定の強調の意味となる。Не буду говорить とНе скажуの違いは、前者が「言うつもりはない」という意志を示すが、後者は「言わない」という未来の動作の否定の強調であると同時に、「言えない」という不可能をも表せる。そのどちらかは文脈による。
(許して下さい、二度としませんから)Простите (Извините) меня, я никогда больше не буду так делать.
上の文は交通違反などをして、警察官に注意されてという文脈(回りの雰囲気や状況によって)で、不完了体動詞未来形の否定が使われている場合である。больше(これ以上)という副詞があるのも、すでに言及された事に対してのという含みがあり、動作に焦点が来ていないことになる。以下の文も同様である。
(もうしませんから)Больше не буду.
(二度は繰り返して言わないからな)Дважды повторять не буду.
(奴を背負う〔だっこして運ぶ〕のはごめんこうむる)Я его нести не буду.
(お前を騙すつもりなんかない)Я тебя обманывать не буду.
(お手間〔お時間〕は取らせません)Я не буду отнимать ваше время.
(俺にかまうな。俺もお前には手をださないから)Ты меня не трогай, и я тебя не буду трогать.
(その家族と娘について一言も話すつもりはありません)Я не буду говорить ни слова об этой семье и девушке. <話さないように頼まれての返事>
出題)「そうでなければ、この件は他のものにやらせて下さい」をロシア語にせよ。
Если не так, пускай
другой человек
выполнит это дело.
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「そうでなければ」については前にも書いたと思いますが、「その反対なら」ということですので、厳密に言えば、иначеなどを用いたほうが文意ははっきりします。またпускайというのは、上から目線の言葉(ないしはかなりぶっきらぼうな表現)ですから、出題のニュアンスとは違うと思います。私の答えは、Или прошу распорядиться о передаче сего дела кому-нибудь другому.
Иначе, поручите эту работу кому-нибудь другому.
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意味は取れると思います。работаよりもделоを使うべきだと思います。
Иначе этот случай уступайте другому.
иначеを前提として、促しでнвと考えました。
よろしくお願いします。
なお、出題文直前の文章は、об этой семье のタイプミスでしょうか。
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すみません。その通りで当方のタイプミスです。直しておきました。お答えですが、случайには事例(case)、事件(事故)という意味があります。そういう意味なら使えます。иначеというのは「そのようにならなかったら」ということで、聞き手の想定外の事態ということであり、場独立型ということなので、完了体を用いるべきです。その場の雰囲気通り、波風を立てないのが不完了体、そうでないのが完了体と考えればよいかと思います。場依存型か場独立型を決めるのは、話し手が聞き手がどう思うかを想定してのことです。話し手にとっては、「そのようになる場合」と「その通りにならない場合」の二つの場合は、想定の内ですが、聞き手にとってはそのようにならない場合は、前もって提示していなければ、新規の事柄になるわけで、それで完了体を使えということなのです。つまり体の使い分けは、話し手自身がどう考えるかではなく、聞き手がどう考えるかを話し手が忖度(推察)するということにあります。
Иначе, пусть этим делом занимается кто-то другой.
誰でもいいのではなく、一定の範囲の誰かだからкто-то。
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пустьは上から目線という感じですから、出題とはそぐいません。上司に言うのであればふてくされた感じです。上司であれば、おっしゃるように任せるのが不定の誰かではないと想定できますが、部下の発言なら、上司に代理の人を決めつけるような発言はすることはないでしょう。つまり代理は誰でもいいからとなるはずです。иначеについてはyamaさんのところに書きました。