2014年04月24日
●続和文解釈入門第429回
トルストイ版老子道徳経に、「賢者は右より左を好む、なんとなれば兵を用いるものは左より右を好むからである」とよく分からない説明がある。左袒という漢語や、日本でも左大臣が右大臣より上というのは中国由来らしい。神社での拍手のときも、両手を合わせるときに左手をやや上にして、それから合わせ、手を打つというのもそういうことらしい。何故左が右より貴いのかは今でも確たることは分からない。多分右が左より上だというのは世の中に右利きが多いことだと思われるが、賢者は右より左を好むというのは、小は結局のところ大であるという老荘思想のあらわれなのだろうか?
チョールナヤの『17世紀モスクワの帝の日常生活』には、17世紀、特にロマノフ朝第2代のアレクセイ・ミハーイロヴィチの御代に、外国の大使を迎えるときに、双方の皇帝や王の名誉を守るために、互いに大いにしのぎを削り合ったことが分かる。大使もその国の王や皇帝の代表だから、その意識が強かったし、アレクセイ帝17世紀初めのロシアの大乱のあとで他国になめられてはいけないという意識から、儀式や名誉には必要以上にこだわったので、その家臣のほうも引かなかった。国境から大使一行に付き添うロシアの帝の家臣も、国境で出迎えのとき馬車に乗り変えるために、どちらが先に下馬するか(後から下りるのが偉いという)で、ずいぶんもめ、馬車やそりに乗れば乗ったで、どちらが先に下りるか、下りたふりをして実際は下りないなどのテクニックを双方とも弄したりして、かなり時間がかかったものだという。その中に「馬車で大使と高き側(右側)に(座って)行った」という表現があり、右が左よりも上だったことが分かる。現代でも日本では後部座席の左側が一番偉い人が座るが、ロシアでは運転手の隣、つまり右に座るというのもこれに関係するのだろうか?
出題)「『命と自由は保証する』と彼は約束した」をロシア語にせよ。
Он обещал
гарантировать
жизнь и свободу.
------------------------------
正解です。私の答えは、Мы гарантируем вам жизнь и свободу - пообещал он.
гарантируемは遂行動詞。
Он обещал, что жизни и свободы гарантированы.
-------------------------------
жизньもсвободаも抽象名詞ですから、単数です。それとお答えだと、すでに命と自由が保証されているということになりますから違います。発話の終了と同時に保証されるわけですから、ここは直接話法を用いて、遂行動詞にすると問題は解決されます。
"Мы гарантируем вашу жизнь и свободу" --- он так дал мне слово.
--------------------------------------
正解です。遂行動詞も立派に使いこなしておられます。遂行動詞はなかなか使い方が難しいものです。
Он дал обещание, что гарантирует жизнь и свободу.
始めの動詞は動作の有無を表すн.в.、後は動作を完遂するという意味でс.в.と考えました。
---------------------------
далは完了体過去形ですから、動作の有無を表す不完了体過去形とは違いますし、出題はお答えのдалで、動作の完遂(結果の存続)という理解でよいと思います。гарантироватьは遂行動詞ですが、遂行動詞は多くは一人称の不完了体現在形で使うということと、直接話法で使い、間接話法では使えないのではないかと私は思います。それとгарантироватьは形では、完了体と不完了体が同形です。
Обещатьは不完了体と完了体同一
ですが、Пообещатьとの
使い方の違いを教えてください。
-------------------------------
пообщедатьは完了体であることを強調したいときに使います。обещалだけでは、結果の存続か、動作の名指しかは文脈によりますが、それだと聞き手の負担が大きいわけで、それを和らげるために使います。
失礼しました。н.в.過去形であればдавал でした。