2014年03月24日
●続和文解釈入門第398回
『三訂和文露訳入門』に下記追加補正した。
9-4 受動態と不定人称文
9-4-1 受動態
日本語ではどの動詞でも受動態(受け身)を使うのは文体上好ましくないとされるが、それでも主語をぼかしたいときなど受動態を使わざるを得ないときもある。ся-動詞の完了体はотклеиться(はがれる)など自動詞が多いが、ся-動詞の不完了体や被動形動詞過去形短語尾で受動態が作れるものがあり、それらは表示するかどうかは別にして動作主がある。行為者を造格で示すのは事務的な文体であり、口語体の文では少ないと言える。ただ他動詞であれば、ся-動詞で受動態を作れるというものではない。3-1-1-4項の非情の受け身にあるように、ся動詞(受け身)の主語には生物など意志をもったものはなれないのが普通だからだ。完了体の用法で動作主を考慮に入れた受動態を作るには、被動形動詞過去形短語尾を使えば、動作主は生物でも無生物でもよいが、意味が動作の遂行を表すことになってしまう。
そのため動作主が不定の人であることが含意されている場合、完了体や不完了体という制約を考えずに主語をぼかしたいのであれば不定人称文を、動作主が事物を含意しているのならся動詞(受け身)か被動形動詞過去形短語尾を使うのがよい。特に、反復や動作の一般化ということなら、不定人称文を勧める。不定人称文は完了体も不完了体も過去の時制でも、現在の時制でも、未来の時制でも用いられる。こうすれば「ひとりでに~した」というような自発的な要素は排除できる。自発的なニュアンスを出すためにはся-動詞の完了体を使えばよい。これは過去の時制、現在の時制、未来の時制、不定法にすべて当てはまるわけで、受動態を作る時にも体による使い分けが必要となる。反復や過程の用法であれば、ся動詞の不完了体を、具体的な1回の動作を意識するのであれば被動形動詞過去短語尾を、9-4-2項の不定人称文はどちらにも使えることになる。ся動詞の完了体は原則として受動態として用いられないが、окунуться(包まれる), осветиться(照らされる), покрыться(おおわれる), смениться(取って替えられる)などは、例外的に人間の意思に関わりない行為又は現象を指す場合に用いられることがある。
(犯人は捕まえて、棒打ちにしなければならない)Преступник должен быть схвачен и побит палками. <具体的な1回の行為>
Дом строится.
(筆記試験問題が先生によって採点されている)Письменные работы проверяются преподавателем. <能動文ではПреподаватель проверяет письменные работы. となり、文脈により反復、過程いずれもありうる>
(野原は雪で覆われた)Поля покрылись снегом. <ся動詞の完了体で受動体になる稀な例で、結果の存続かアオリスト的用法である>
9-4-2 不定人称文
出題)「彼は今どこにいるはずなのかを地図で確認した」をロシア語にせよ。
Я проверил на карте,
где он сейчас должен
находиться.
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正解です。私の答えは、Он сверился по карте, где он сейчас должен находиться.
свериться = проверить что-либо по каким-либо показаниям, данным
Я узнал на карте, где сейчас он должен находиться.
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確認すると知ると言うのは違うように思います。
よろしくお願いします。
Я проверил на карте, где он должен быть в тот момент.
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正解です。
Мы уточнили на карте, где он должен быть сейчас.
よろしくお願いします。
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正解です。
コメントありがとうございます。
小生はСвериться с чем
と覚えていました。例えば Свериться со словаремの様に。
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研究社の露和ではс + 造格だけですが、アカデミー版の4巻本(アカデミー最新版はРのところまでしか出ていないので)では、по + 与格の例も挙げています。