2014年03月18日
●続和文解釈入門第392回
『三訂和文露訳入門』ではアオリスト的用法のところにあったみなし反復を新項目とし、いくつか加筆した。
2-1-6-1 みなし反復
一見その動詞が初めて出てくるのにもかかわらず、不完了体が使われることがあるが、よく文脈を見ると、すでにその動詞に関する状況設定がなされている、つまり踏み台(踏み段)のように、場がすでにこしらえられていることが分かる。つまり意識下において、使われる動詞は新規に使われるのではなく、反復であるという認識(みなし反復)から不完了体が用いられることになる。
(だって彼はもうここに来ていたよ。私と一緒に地震の後に来たんだよ)Он ведь уже был здесь – приезжал со мной после землетрясения.
「この前はいつサラートフに来たのですか?」- Когда в последний раз были в Саратове?
「昨年の選手権の決勝戦のときです〔のときに来ました〕」- Приезжал в прошлом году на финал чемпионата.
上の文は来たというのは分かっているわけで、いわば、刺身のつまのような用法であり、приезжалがなくても意味が通じると言える。быть動詞の反復を避けて、運動の動詞を使うという意味もあり、そのような動詞に焦点が来ない場合には、不完了体動詞過去形が来ると言える。来たことはあるが、それがいつなのか、あるいは何回なのかも分からないというのが、一番自然な不完了体動詞過去形の使い方である。
不完了体は本質的に回りの状況に沿って行われる動作を示すが、これは予め状況が設定されている、つまりすでに心理的な踏み台が存在しているということでみなし反復を意味する。それゆえ不定法の切迫感や命令法の促し(着手)もこれと同じ発想にあると言える。
(みなさん準備オーケーですか?みなさんチーズしてますか?(それでは)撮ってよろしいですか?)Все подготовились? Все улыбаются? Можно снимать? <最初の二つの文で話し手が写真撮影をしようとしていることが分かる。これが「踏み台」であり、そのために、
最後の文で切迫感(もうそろそろ)や促し(着手)の不完了体不定形が来ることになる>
(ちょっとといっても量はいろいろだ。目でどのくらいか教えてください)Чуть-чуть имеет разные объёмы. Показывайте глазами – сколько. <酒を注ぐときなど>
前の文は状況設定という意味合いがあり、「だから~しなさい」ということで、動作をしてもらうことが話し手にとっては当然ということになり、着手とか促しという意味での不完了体命令形を使うことになる。
出題)「(ラジオの)裏ぶたを取ると電源は自動的に落ちる」をロシア語にせよ。
Берешь оборотную
крышку радиоприемника,
источник питания
автомотически
отключается.
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お答えのоборотнаяというのは、表裏一体のものの裏と言う感じがしますから、задняяの方が自然です。それとкрышка目覚ましの裏の電池が入っているようなという感じを受けます。私の答えは、При снятии задней стенки (радиоприёмника) питание автоматически отключается.
стенка = боковая сторона какого-либо полого предмета
стенки ящика(箱の側)、стенки кастрюля(鍋の土手)
よろしくお願いします。
При открывании задней крышки радиоприёмник автоматически отключается.
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отрываниеよりはоткрытиеが普通ですし、取るのと開けるのは違います。また電源が切れるとラジオが切れるとは同じではありません。заднейはよいのですが、крышкаだとブーチャンさんに書いたのと同じ感じがします。
Снимаешь задний чехол,радиоприёмник автоматически выключается.
よろしくお願いします。
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чехолというのは物の形に合わせてあつらえたカバーを言い、чехол на оборудование(設備のカバー)などと言いますから違います。ラジオが切れるのと電源が切れるのとは違います。
Когда снимут заднюю доску, то радио автоматически выключится.
例示でсовにしました。
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例示的用法というのは、普通はないが、万が一あるとすればというニュアンスですから、判断が難しい場合もあります。出題は裏ぶたを取れば、いつも電源が落ちるというのですから、反復でよいように思います。日本製はともかくソ連製の電化製品(ラジオを含めて)はすぐ壊れ、修理して使うというのが普通ですから、ゴさんのような発想はロシアでは通じないように思います。それとラジオが切れるのと電源が落ちるのは違います。スイッチ(のつまみ)をオフにするのと、停電などで電源が落ちる場合などの例が挙げられます。スイッチにも起動用のものの他に、電源スイッチсетевой выключательというのがあることを覚えておくとよいでしょう。