2014年02月17日
●続和文解釈入門第369回
電車の広告で分からない単語をロシア語で何と言うのかを考えることがある。和露辞典を使えば簡単だと思うのは素人である。まず載っていない。時事ロシア語という以前の問題である。単語がすぐロシア語にならなければ説明すればよいのだが、その説明が簡単には行かないようなものを、テレビや新聞、電車の広告などで集めて、それをロシア語にするというのが日課になったりする。宮部みゆきの小説は現代ものはそうでもないが、時代ものの本所深川同心井筒平四朗が活躍する『ぼんくら』、『日暮らし』、『おまえさん』の三部作は、文章も雰囲気も気に入っているし、他にも日照り神を扱った、『あんじゅう』(三島屋変調百物語事続)に収められている『逃げ水』は特に気に入っている。ストーリーだけでなく、この作家の遣う、日本語として心にしみるような日本語の語彙が気になって、気になる語彙はロシア語にしようとしたりすることもある。そういうときには露和辞典や3巻本の英露辞典Новый большой англо-русский словарь(新大英露辞典、3巻), Ю.Д. Апресян, Русский Язык, 1994(語数25万語)を使うことがあるし、たまに和露辞典としてはまあまあ気にいっているРусско-японский словарь, Русский Язык、Б. П. Лаврентьев、1984(語数約7万語)を使うこともある。和露辞典にはその時点で必要とする語彙が載っていないので使いたくないのだが、この和露辞典には正解はないかもしれないが、ヒントはある。和露辞典の悪口を書いているようだが、和露辞典は一般的な語彙を扱い、しかも露訳しやすい語彙を選んでいるような感もある。その上類語の区別がないから使えないし、我々プロが探す語彙というのは普通の文脈では使わないものが多いので、結局自分で調べざるを得ないのだ。
出題)「スタートから200メートルほどで僕はころんだ」をロシア語にせよ。
Я упал за метров
двести со стартования.
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за... доとかчерез... послеとかの言い回しを思い出すまでまであと一歩といったところでしょうか。私の答えは、Примерно через 200 метров после старта я упал.
Почти на 200 метрах от старта,я упал.よろしくお願いします。
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個数詞であればв + 前置格のはずです。ただこの表現のためには標識でもない限りは難しかろうと思います。
Примерно в двухсотом километре от старта я упал.
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前にも言ったかと思いますが、на + 順序数詞の前置格です。いずれにせよ、この表現を使うためには標識でも必要なような気がします。